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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140531
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230928BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20230928BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230928BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L21/304 648K
H01L21/304 648
H01L21/306 R
B05C11/10
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046416
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】藤井 定
(72)【発明者】
【氏名】石川 秀和
(72)【発明者】
【氏名】テン ポーリン
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 圭将
【テーマコード(参考)】
4F042
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
4F042AA06
4F042AB00
4F042BA09
4F042BA12
4F042CB08
4F042CB19
4F042DH09
4F042EB05
4F042EB09
4F042EB17
5F043DD07
5F043DD13
5F043DD30
5F043EE07
5F043EE08
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB72
5F157AB90
5F157BB32
5F157CF14
5F157CF42
5F157CF60
5F157CF72
5F157DA21
5F157DA41
5F157DB32
(57)【要約】
【課題】サックバック後の処理液の液面を所望の位置に精度良く位置させる。
【解決手段】基板処理装置では、第1バルブ521が開放され、第2バルブ531が閉鎖された状態で、処理液供給源71からノズル51へと処理液が供給される。また、第1バルブ521が閉鎖され、第2バルブ531が開放された状態で、第1配管52内の処理液が第2配管53へと排出されてノズル51内の処理液のサックバックが行われる。そして、流量センサ56による測定結果に基づいて第1配管52から第2配管53へと排出された処理液の積算流量である積算排出流量が求められる。バルブ制御部は、積算排出流量が所定のサックバック閾値に達した際に第2バルブ531を閉鎖する。これにより、サックバック後の処理液の液面を所望の位置に精度良く位置させることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
基板に供給される処理液を吐出するノズルと、
処理液供給源と前記ノズルとを接続する第1配管と、
前記第1配管上に配置される第1バルブと、
前記ノズルと前記処理液供給源との間にて前記第1配管から分岐する第2配管と、
前記第2配管上に配置される第2バルブと、
前記第1配管から前記第2配管へと排出される処理液の瞬間流量を測定する流量センサと、
前記第1バルブおよび前記第2バルブを制御するバルブ制御部と、
を備え、
前記第1バルブが開放され、前記第2バルブが閉鎖された状態で、前記処理液供給源から前記ノズルへと処理液が供給され、
前記第1バルブが閉鎖され、前記第2バルブが開放された状態で、前記第1配管内の処理液が前記第2配管へと排出されて前記ノズル内の処理液のサックバックが行われ、
前記流量センサによる測定結果に基づいて前記第1配管から前記第2配管へと排出された処理液の積算流量である積算排出流量が求められ、
前記バルブ制御部は、前記積算排出流量が所定のサックバック閾値に達した際に前記第2バルブを閉鎖することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記積算排出流量の算出は、前記第1バルブの閉鎖と並行して開始されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記積算排出流量の算出は、前記第1バルブの閉鎖から所定時間後に開始されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
サックバックが行われる際には、前記第1バルブの閉鎖よりも前に前記第2バルブが開放され、
前記積算排出流量の算出は、前記第2バルブの開放と並行して開始されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記ノズルを撮像する撮像部と、
前記撮像部からの出力に基づいて前記ノズルからの処理液の吐出の有無を判断する画像監視部と、
をさらに備え、
前記積算排出流量の算出は、前記画像監視部により前記ノズルからの処理液の吐出停止が判断された時点で開始されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記流量センサは前記第2配管上に配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
前記流量センサは前記第1配管上に配置され、
前記処理液供給源から前記ノズルに処理液が供給される際に、前記流量センサよって処理液の供給流量が測定されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、
複数種類の処理液にそれぞれ対応する複数の前記サックバック閾値を記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であって、
室温よりも高温にて供給される処理液に対応する前記サックバック閾値は、室温にて供給される処理液に対応する前記サックバック閾値よりも大きいことを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板に対して様々な処理が施される。例えば、基板処理装置において水平状態で保持された基板の表面に、エッチング液等の薬液が供給されて薬液処理が行われる。
【0003】
このような基板処理装置では、薬液等の処理液を基板に向けて吐出するノズルが、配管等を介して処理液供給源に接続されている。特許文献1の基板処理装置では、配管内の処理液の流動の有無を、処理液と配管の内壁面との摩擦により生じる電荷を測定することにより検出する技術が開示されている。特許文献2の基板処理装置では、処理液供給源である供給槽に、シリコンを含むリン酸水溶液が処理液として貯留されており、当該供給槽と新たな処理液を生成する新液調合槽とを接続する新液補充配管に、新液の供給量を測定する積算流量計が設けられている。一方、特許文献3では、基板に供給した後の薬液の回収と排液とを切り替え可能な基板処理装置において、排液流量の累積(廃液積算流量)が所定流量に達した際に、排液から回収への切替を行うことが提案されている。
【0004】
また、上述のような基板処理装置では、ノズルからの処理液の吐出が停止されると、ノズルからのボタ落ち(すなわち、ノズル先端からの意図しない処理液の落下)等を防止するために、ノズル内の処理液を吸引して処理液の液面をノズル先端から配管側に戻す動作(すなわち、サックバック)が行われる場合がある。
【0005】
特許文献4の基板処理装置では、サックバック不良を防止するために、サックバックに用いられる吸い戻しバルブの動作速度の変動を抑制することが提案されている。当該基板処理装置では、ノズルから処理液を吸い戻す吸い戻しバルブの気圧が、圧力計で測定される。そして、吸い戻しバルブに駆動を指示するトリガ信号の出力タイミングと、測定された気圧が基準圧まで低下したタイミングとの間の時間を、吸い戻しバルブの実働時間として、吸い戻しバルブの動作速度が求められる。
【0006】
また、特許文献5の基板処理装置では、サックバック後においてノズルまたは配管内に残存する処理液先端面の位置のばらつきを抑制するために、配管上の所定位置において液面を検出する液面センサを設け、液面センサからの出力に基づいてサックバックの停止タイミングが決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6899228号公報
【特許文献2】特許第6917868号公報
【特許文献3】特許第6708508号公報
【特許文献4】特許第6932000号公報
【特許文献5】特開2016-72337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、基板処理装置における処理液のサックバックでは、処理液の粘度等により吸引される処理液の量が変化し、ノズル先端から配管側へと移動した処理液の液面の位置が変動する。特許文献5では、上述のように、液面センサを用いた液面位置のばらつき抑制が提案されているが、サックバック時に液切れ(すなわち、吸引される処理液の液柱が途中で途切れて2つの液柱に分かれる現象)が生じている場合等、液面センサにより検出された液面よりもノズルの先端側に処理液が残存していることがある。この場合、本来検出すべき処理液の液面(すなわち、ノズルの先端に最も近い処理液の液面)を検出することができず、当該処理液の液面が所望の位置からずれるおそれがある。また、液面センサは、所望の液面位置近傍に配置することが必要となるため、基板処理装置の設計の自由度が低くなる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、サックバック後の処理液の液面を所望の位置に精度良く位置させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、基板に供給される処理液を吐出するノズルと、処理液供給源と前記ノズルとを接続する第1配管と、前記第1配管上に配置される第1バルブと、前記ノズルと前記処理液供給源との間にて前記第1配管から分岐する第2配管と、前記第2配管上に配置される第2バルブと、前記第1配管から前記第2配管へと排出される処理液の瞬間流量を測定する流量センサと、前記第1バルブおよび前記第2バルブを制御するバルブ制御部とを備え、前記第1バルブが開放され、前記第2バルブが閉鎖された状態で、前記処理液供給源から前記ノズルへと処理液が供給され、前記第1バルブが閉鎖され、前記第2バルブが開放された状態で、前記第1配管内の処理液が前記第2配管へと排出されて前記ノズル内の処理液のサックバックが行われ、前記流量センサによる測定結果に基づいて前記第1配管から前記第2配管へと排出された処理液の積算流量である積算排出流量が求められ、前記バルブ制御部は、前記積算排出流量が所定のサックバック閾値に達した際に前記第2バルブを閉鎖する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記積算排出流量の算出は、前記第1バルブの閉鎖と並行して開始される。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記積算排出流量の算出は、前記第1バルブの閉鎖から所定時間後に開始される。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、サックバックが行われる際には、前記第1バルブの閉鎖よりも前に前記第2バルブが開放され、前記積算排出流量の算出は、前記第2バルブの開放と並行して開始される。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記ノズルを撮像する撮像部と、前記撮像部からの出力に基づいて前記ノズルからの処理液の吐出の有無を判断する画像監視部とをさらに備え、前記積算排出流量の算出は、前記画像監視部により前記ノズルからの処理液の吐出停止が判断された時点で開始される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記流量センサは前記第2配管上に配置される。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記流量センサは前記第1配管上に配置され、前記処理液供給源から前記ノズルに処理液が供給される際に、前記流量センサよって処理液の供給流量が測定される。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、複数種類の処理液にそれぞれ対応する複数の前記サックバック閾値を記憶する記憶部をさらに備える。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の基板処理装置であって、室温よりも高温にて供給される処理液に対応する前記サックバック閾値は、室温にて供給される処理液に対応する前記サックバック閾値よりも大きい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、サックバック後の処理液の液面を所望の位置に精度良く位置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システムの平面図である。
図2】基板処理装置の側面図である。
図3】制御部の構成を示す図である。
図4】制御部の機能を示すブロック図である。
図5】処理液供給部を示すブロック図である。
図6】基板処理装置の側面図である。
図7】制御部の機能を示すブロック図である。
図8】第2の実施の形態にかかる基板処理装置の処理液供給部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システム10のレイアウトを示す図解的な平面図である。基板処理システム10は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を処理するシステムである。基板処理システム10は、インデクサブロック101と、インデクサブロック101に結合された処理ブロック102とを備える。
【0022】
インデクサブロック101は、キャリア保持部104と、インデクサロボット105(すなわち、基板搬送手段)と、IR移動機構106とを備える。キャリア保持部104は、複数枚の基板9をそれぞれ収容できる複数のキャリア107を保持する。複数のキャリア107(例えば、FOUP)は、水平なキャリア配列方向(すなわち、図1中の上下方向)に配列された状態でキャリア保持部104に保持される。IR移動機構106は、キャリア配列方向にインデクサロボット105を移動させる。インデクサロボット105は、基板9をキャリア107から搬出する搬出動作、および、キャリア保持部104に保持されたキャリア107に基板9を搬入する搬入動作を行う。基板9は、インデクサロボット105によって水平な姿勢で搬送される。
【0023】
一方、処理ブロック102は、基板9を処理する複数(たとえば、4つ以上)の処理ユニット108と、センターロボット109(すなわち、基板搬送手段)とを備えている。複数の処理ユニット108は、平面視において、センターロボット109を取り囲むように配置されている。複数の処理ユニット108では、基板9に対する様々な処理が施される。後述する基板処理装置は、複数の処理ユニット108のうちの1つである。センターロボット109は、処理ユニット108に基板9を搬入する搬入動作、および、基板9を処理ユニット108から搬出する搬出動作を行う。さらに、センターロボット109は、複数の処理ユニット108間で基板9を搬送する。基板9は、センターロボット109によって水平な姿勢で搬送される。センターロボット109は、インデクサロボット105から基板9を受け取るとともに、インデクサロボット105に基板9を渡す。
【0024】
図2は、基板処理装置1の構成を示す側面図である。基板処理装置1は、基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板9に処理液を供給して液処理を行う。図2では、基板処理装置1の構成の一部を断面にて示す。
【0025】
基板処理装置1は、基板保持部31と、基板回転機構33と、カップ部4と、処理液供給部5と、制御部8と、チャンバ11と、を備える。基板保持部31、基板回転機構33およびカップ部4等は、チャンバ11の内部空間に収容される。チャンバ11の天蓋部には、当該内部空間にガスを供給して下方に流れる気流(いわゆる、ダウンフロー)を形成する気流形成部12が設けられる。気流形成部12としては、例えば、FFU(ファン・フィルタ・ユニット)が利用される。制御部8は、チャンバ11の外部に配置され、基板保持部31、基板回転機構33および処理液供給部5等を制御する。
【0026】
図3に示すように、制御部8は、例えば、プロセッサ81と、メモリ82と、入出力部83と、バス84とを備える通常のコンピュータシステムである。バス84は、プロセッサ81、メモリ82および入出力部83を接続する信号回路である。メモリ82は、プログラムおよび各種情報を記憶する。プロセッサ81は、メモリ82に記憶されるプログラム等に従って、メモリ82等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算)を実行する。入出力部83は、操作者からの入力を受け付けるキーボード85およびマウス86、プロセッサ81からの出力等を表示するディスプレイ87、並びに、プロセッサ81からの出力等を送信する送信部等を備える。なお、制御部8は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)、または、回路基板等であってもよい。制御部8は、コンピュータシステム、PLCおよび回路基板等のうち、任意の複数の構成を含んでいてもよい。
【0027】
図4は、制御部8により実現される機能を示すブロック図である。制御部8は、記憶部801と、バルブ制御部802と、演算部803とを備える。記憶部801は、主にメモリ82(図3参照)により実現され、基板処理装置1に係る様々な情報を記憶する。バルブ制御部802は、主にプロセッサ81(図3参照)により実現され、処理液供給部5の後述する第1バルブ521および第2バルブ531を制御する。演算部803は、主にプロセッサ81により実現され、基板処理装置1に係る様々な演算を行う。
【0028】
図2に示す基板保持部31および基板回転機構33はそれぞれ、基板9を保持して回転させるスピンチャックの一部である。基板保持部31は、水平状態の基板9を下側から保持する。基板保持部31は、例えば、基板9を機械的に支持するメカニカルチャックである。基板保持部31は、ベース部311と、複数のチャック312とを備える。ベース部311は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円板状の部材である。基板9は、ベース部311の上方にベース部311から離間して配置される。
【0029】
複数のチャック312は、ベース部311の上面の外周部において、中心軸J1を中心とする周方向(以下、単に「周方向」とも呼ぶ。)に配置される。複数のチャック312は、例えば、周方向において略等角度間隔に配置される。基板保持部31では、複数のチャック312により、基板9の外縁部が保持される。なお、基板保持部31は、バキュームチャック等、他の構造を有するチャックであってもよい。
【0030】
基板回転機構33は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構33は、中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。基板回転機構33は、シャフト331と、モータ332とを備える。シャフト331は、中心軸J1を中心とする略円柱状または略円筒状の部材である。シャフト331は、上下方向に延び、基板保持部31のベース部311の下面中央部に接続される。モータ332は、シャフト331を回転させる電動回転式モータである。なお、基板回転機構33は、他の構造を有するモータ(例えば、中空モータ等)であってもよい。
【0031】
処理液供給部5は、基板9に対して処理液を供給し、基板9に対する液処理を行う。処理液供給部5は、ノズル51と、第1配管52とを備える。ノズル51は、基板9の上方から基板9の上側の主面(以下、「上面91」とも呼ぶ。)に向けて処理液を吐出する。当該処理液は、例えば、基板9のエッチング処理に利用されるエッチング液である。当該エッチング液は、例えば、室温(例えば、25℃)よりも高温にて基板9の上面91に供給される。なお、ノズル51からは、エッチング液以外の薬液が吐出されてもよく、薬液以外の様々な種類の処理液(例えば、リンス液)が吐出されてもよい。これらの処理液は、室温よりも高温にて基板9に供給されてもよく、室温以下の温度にて基板9に供給されてもよい。
【0032】
処理液供給部5は、ノズル51を移動するノズル移動機構を備えていてもよい。当該ノズル移動機構は、例えば、基板9の上方の供給位置と、基板9の外縁よりも中心軸J1を中心とする径方向(以下、単に「径方向」とも呼ぶ。)の外側の退避位置との間で、ノズル51を略水平に移動する。ノズル移動機構は、例えば、電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。また、処理液供給部5は、ノズル51に加えて、ノズル51から吐出される処理液とは異なる種類の処理液を基板9に吐出する他のノズルを備えていてもよい。
【0033】
図5は、基板処理装置1の処理液供給部5の構成を模式的に示すブロック図である。処理液供給部5は、上述のノズル51および第1配管52に加えて、第1バルブ521と、第2配管53と、第2バルブ531と、流量センサ56とを備える。
【0034】
ノズル51は、第1配管52を介して処理液供給源71に接続される。図5に示す例では、第1配管52は、処理液供給源71から略水平に延び、第1屈曲部522にて略90°向きを変えて略鉛直上方へと延び、第2屈曲部523にて略90°向きを変えて略水平に延びてノズル51に接続される。以下の説明では、第1配管52のうち、処理液供給源71と第1屈曲部522との間の部位を「第1部位524」とも呼び、第1屈曲部522と第2屈曲部523との間の部位を「第2部位525」とも呼び、第2屈曲部523とノズル51との間の部位を「第3部位526」とも呼ぶ。ノズル51は、第1配管52との接続部から略水平に延び、先端部近傍にて略90°向きを変えて略鉛直下方へと延びる。第1バルブ521は、第1配管52上に配置される。図5に示す例では、第1バルブ521は、第1配管52の第1部位524に設けられる。
【0035】
第2配管53は、サックバック用の配管である。第2配管53は、ノズル51と処理液供給源71との間にて、第1配管52から分岐する。図5に示す例では、第2配管53は、第1配管52の第1屈曲部522にて第1配管52に接続される。すなわち、第2配管53は、第1バルブ521とノズル51との間にて第1配管52から分岐する。第2配管53は、第1屈曲部522から略鉛直下方へと延びる。第2配管53の下方には、処理液が貯留されるドレンボックス55が配置される。第2配管53の下端部は、ドレンボックス55内に貯留されている処理液に浸漬されている。
【0036】
第2バルブ531は、第2配管53上に配置される。図5に示す例では、第2バルブ531は、第1屈曲部522とドレンボックス55との間に設けられる。また、第2配管53には、オリフィス532が、第2バルブ531の上側(すなわち、第2バルブ531と第1屈曲部522との間)にて第2バルブ531に近接した位置に設けられる。
【0037】
バルブ制御部802(図4参照)の制御により、第2バルブ531が閉鎖され、第1バルブ521が開放されることによって、基板9の処理に利用される処理液が、処理液供給源71から第1配管52を介してノズル51へと供給され、ノズル51の先端(すなわち、ノズル51の下端)から基板9の上面91へと吐出される。そして、バルブ制御部802により第1バルブ521が閉鎖されることによって、ノズル51からの処理液の吐出が停止される。
【0038】
また、バルブ制御部802(図4参照)の制御により、第1バルブ521が閉鎖され、第2バルブ531が開放されることによって、第2配管53内の処理液が、オリフィス532とノズル51の先端との高低差によるサイフォン効果によって、ドレンボックス55に向かって流れる。これにより、第1配管52内の処理液が第1屈曲部522から第2配管53へと排出され、ノズル51内の処理液のサックバックが行われる。サックバックが開始されると、ノズル51内の処理液の液面(すなわち、処理液と周囲の雰囲気との界面)は、ノズル51の先端から第1配管52に向かって移動する。なお、サックバックが開始される際には、第1バルブ521が閉鎖された後に第2バルブ531が開放されてもよく、第1バルブ521が閉鎖されるよりも少し前に第2バルブ531が開放されてもよく、第1バルブ521の閉鎖と略同時に第2バルブ531が開放されてもよい。
【0039】
処理液供給部5では、バルブ制御部802により第2バルブ531が閉鎖されることにより、処理液のサックバックが停止される。処理液供給部5では、第2配管53、第2バルブ531およびオリフィス532により、ノズル51内の処理液をサックバックするサイフォン式(自重式ともいう。)のサックバック機構50が構成される。なお、ドレンボックス55も当該サックバック機構に含まれてもよい。
【0040】
上述のサックバックは、例えば、基板処理装置1において複数の基板9に対する連続処理が行われる場合、1枚の基板9に対するノズル51からの処理液の供給が終了した時点で行われる。これにより、基板9への処理液の供給終了時点でノズル51の先端に位置している処理液の液面が、当該先端から離れて処理液供給源71側へと移動し、ノズル51内または第1配管52内の所定位置に位置する。また、上述のサックバックは、例えば、ノズル51からの処理液の供給が比較的長期間停止された後に再開される場合、ノズル51から処理液のプリディスペンスが実施された後に行われる。この場合も同様に、プリディスペンス終了時点でノズル51の先端に位置している処理液の液面が、当該先端から離れて処理液供給源71側へと移動し、ノズル51内または第1配管52内の所定位置に位置する。
【0041】
流量センサ56は、サックバック機構50によるサックバックが行われる際に、第1配管52から第2配管53へと排出される処理液の瞬間流量(すなわち、サックバック速度)を測定する。図5に示す例では、流量センサ56は、第2配管53上において第1屈曲部522とオリフィス532との間に配置される。流量センサ56は、第2配管53を下方に向かって流れる処理液の瞬間流量を測定する。流量センサ56としては、例えば、超音波式の流量センサが利用される。
【0042】
流量センサ56は、例えば、処理液の瞬間流量および積算流量を測定可能な積算流量センサである。流量センサ56は、その取付位置における処理液の瞬間流量を測定し、測定結果に基づいて(すなわち、瞬間流速の測定結果を積分することにより)、所定の測定開始タイミング以降に当該取付位置を通過した処理液の積算流量(すなわち、第1配管52から第2配管53へと排出された処理液の積算流量であり、以下、「積算排出流量」とも呼ぶ。)を求める。
【0043】
上述の積算排出流量の測定開始タイミングは、処理液のサックバックが実質的に開始されたと考えられるタイミングであり、基板処理装置1の使用者等により適宜設定される。例えば、積算排出流量の算出は、第1バルブ521の閉鎖と並行して行われる。ここで言う「第1バルブ521の閉鎖」とは、例えば、「制御部8からの第1バルブ521に対する閉鎖指令信号の発信」という意味であってもよく、第1バルブ521の開閉動作を監視する開閉センサが設けられている場合は、「当該開閉センサからの第1バルブ521の閉鎖開始信号または閉鎖完了信号の受信」という意味であってもよい。あるいは、「第1バルブ521の閉鎖」は、第1バルブ521が実質的に閉鎖されたと見なされる他の状態を意味してもよい。
【0044】
また、サックバック時における第1配管52から第2配管53への処理液の排出が、上述の「第1バルブ521の閉鎖」から少し遅れて始まる場合等、積算排出流量の算出は、「第1バルブ521の閉鎖」から所定時間後に開始されてもよい。
【0045】
あるいは、サックバックが行われる際に、第1バルブ521の閉鎖よりも前に第2バルブ531が開放される場合、積算排出流量の算出は、第2バルブ531の開放と並行して開始されてもよい。ここで言う「第2バルブ531の開放」とは、例えば、「制御部8からの第2バルブ531に対する開放指令信号の発信」という意味であってもよく、第2バルブ531の開閉動作を監視する開閉センサが設けられている場合は、「当該開閉センサからの第2バルブ531の開放開始信号または開放完了信号の受信」という意味であってもよい。あるいは、「第2バルブ531の開放」は、第2バルブ531が実質的に開放されたと見なされる他の状態を意味してもよい。
【0046】
流量センサ56により取得された瞬間流量および積算排出流量は、制御部8(図4参照)へと送信される。流量センサ56では、サックバックが行われている間、瞬間流量および積算排出流量の取得および送信が継続的に行われる。制御部8では、記憶部801に予め記憶されている所定のサックバック閾値と、当該積算排出流量とが比較される。そして、積算排出流量が漸次増大してサックバック閾値に達すると、バルブ制御部802により第2バルブ531が閉鎖され、サックバックが停止される。これにより、所定の体積の処理液がサックバックされ、処理液の液面が、ノズル51内または第1配管52内の所定の位置に位置する。また、サックバックの停止と並行して、流量センサ56による積算排出流量の取得も停止される。すなわち、積算排出流量がサックバック閾値に到達するタイミングが、積算排出流量の測定終了タイミングである。流量センサ56では、積算排出流量の測定値がリセットされて0に戻される。
【0047】
なお、流量センサ56は、第2配管53上において、オリフィス532と第2バルブ531との間に配置されてもよく、第2バルブ531とドレンボックス55との間に配置されてもよい。
【0048】
あるいは、流量センサ56は、第1配管52上において、ノズル51と第1屈曲部522との間に配置されてもよい。この場合、流量センサ56は、サックバック時の処理液の瞬間流量および積算排出流量の測定に加えて、基板9への処理液供給時の処理液の瞬間流量の測定にも利用されてよい。具体的には、処理液供給源71からノズル51に処理液が供給されて基板9の処理が行われている状態(すなわち、第1バルブ521が開放され、第2バルブ531が閉鎖されている状態)では、流量センサ56により、ノズル51から基板9に向けて吐出される処理液の瞬間流量が継続的に測定される。そして、測定された瞬間流量に基づいてバルブ制御部802(図4参照)により第1バルブ521の開度等が制御されることにより、基板9へと吐出される処理液の瞬間流量が、所望の目標流量に好適に維持される。なお、サックバック時と、ノズル51への処理液供給時とは、例えば、バルブ制御部802により制御されている第1バルブ521および第2バルブ531の開閉状態等に基づいて区別される。
【0049】
また、第1配管52上においてノズル51と第1屈曲部522との間に配置される流量センサ56が、流量だけではなく、処理液の流れの方向も検出可能である場合、サックバック時と、ノズル51への処理液供給時とは、流量センサ56により検出される処理液の流れの方向により区別されてもよい。この場合、流量センサ56により検出される処理液の流れの方向が、第1屈曲部522からノズル51へと向かう方向から、ノズル51から第1屈曲部522へと向かう方向に変化したタイミングが、ノズル51への処理液供給時からサックバック時への遷移タイミングである。したがって、積算排出流量の算出は、流量センサ56により検出される処理液の流れの方向の変化と並行して開始される。
【0050】
流量センサ56は、処理液の瞬間流量を測定可能であればよく、必ずしも処理液の積算流量を求める機能を有している必要はない。流量センサ56において瞬間流量のみが測定される場合、測定された瞬間流量は継続的に制御部8(図4参照)へと送信され、記憶部801に記憶される。そして、記憶部801に記憶された瞬間流量の測定値が、演算部803によって上述の測定開始タイミングから積分されることにより、積算排出流量が求められる。
【0051】
基板処理装置1では、上述のように、基板9に対して複数種類の処理液が供給可能とされてよい。この場合、記憶部801では、当該複数種類の処理液にそれぞれ対応する複数のサックバック閾値が記憶される。当該複数のサックバック閾値は、処理液の種類に合わせて互いに異なっていてもよく、同じ値が含まれていてもよい。これにより、各処理液に適したサックバック量(すなわち、サックバックされる処理液の体積)にてサックバックを行うことができる。
【0052】
例えば、室温よりも高温にてノズル51に供給される処理液(例えば、SC-1等のエッチング液)に対応するサックバック閾値は、室温にてノズル51に供給される処理液に対応するサックバック閾値よりも大きい。このように、高温の処理液の場合、サックバック量を多くすることにより、サックバック後にノズル51および第1配管52、または、第1配管52のみに残留する処理液(以下、「残留処理液」とも呼ぶ。)の量を少なくすることができる。残留処理液は、時間経過に従って降温するため、サックバック後に基板9の処理を行う際に、処理液供給源71から送出される高温の処理液と混ざり、基板9に供給される処理液の温度を所定の処理温度から低下させる可能性がある。そこで、残留処理液を少なくすることにより、サックバック後に基板9に供給される処理液の温度低下が抑制される。
【0053】
基板処理装置1では、図6および図7に示すように、ノズル51を撮像する撮像部6が設けられ、制御部8が画像監視部804を備えていてもよい。撮像部6は、ノズル51の先端部(すなわち、吐出口近傍)を撮像し、取得した画像を制御部8へと送る。撮像部6は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)カメラ、または、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラである。画像監視部804は、撮像部6により取得されたノズル51の先端部の画像(すなわち、撮像部6からの出力)に基づいて、ノズル51からの処理液の吐出の有無を判断する。制御部8では、例えば、処理液を吐出しているノズル51の画像、および、処理液の吐出が停止されているノズル51の画像が、基準画像群として記憶部801に予め記憶されており、画像監視部804は、撮像部6からの出力と当該基準画像群とを公知の画像解析方法にて比較して、ノズル51からの処理液の吐出の有無を判断する。この場合、流量センサ56(図5参照)による積算排出流量の算出は、例えば、画像監視部804によりノズル51からの処理液の吐出停止が判断された時点で開始される。
【0054】
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる基板処理装置1aについて説明する。図8は、基板処理装置1aの処理液供給部5aを示すブロック図であり、上述の図5に対応する。基板処理装置1aの構成は、図5に示す処理液供給部5に代えて、処理液供給部5とは異なる構造を有する処理液供給部5aを備える点を除き、図1に示す基板処理装置1と同様である。以下の説明では、基板処理装置1aの構成のうち、基板処理装置1と同様の構成には同符号を付す。
【0055】
図8に示すように、処理液供給部5aは、上述のノズル51を備え、また、第1配管52aと、第1バルブ521aとを備える。上述のように、ノズル51は、基板9に向けて処理液を吐出する。第1配管52aは、処理液供給源71とノズル51とを接続する。図8に示す例では、第1配管52aは、図5に示す第1配管52とは形状が多少異なる。第1バルブ521aは、第1配管52a上に配置され、バルブ制御部802(図4参照)により制御される。処理液供給部5aは、また、上述の流量センサ56を備える。
【0056】
処理液供給部5aでは、上述のサックバック機構50とは構造が異なるサックバック機構50aが、ノズル51と第1バルブ521aとの間にて第1配管52aに接続される。サックバック機構50aは、エジェクタ式のサックバック機構である。サックバック機構50aは、第2配管53aと、第2バルブ531aと、ニードルバルブ533aと、第3配管54aと、第3バルブ541aと、逆止バルブ542aとを備える。第2配管53aは、ノズル51と第1バルブ521および処理液供給源71との間にて第1配管52aから分岐する。また、第2配管53aの第1配管52a側とは反対側の端部は、第3配管54aに接続される。第2バルブ531aおよびニードルバルブ533aは、第2配管53a上に配置される。第2バルブ531aは、バルブ制御部802により制御される。
【0057】
第3配管54aの一方の端部はガス供給源72に接続され、他方の端部はドレンボックス55aに接続される。第3バルブ541aおよび逆止バルブ542aは、第3配管54a上に配置される。第3バルブ541aは、バルブ制御部802により制御される。第2配管53aは、第3バルブ541aよりも下流側(すなわち、第3バルブ541aとドレンボックス55aとの間)にて第3配管54aに接続される。
【0058】
処理液供給部5aでは、バルブ制御部802の制御により、第2バルブ531aおよび第3バルブ541aが閉鎖され、第1バルブ521aが開放されることによって、基板9の処理に利用される処理液が、処理液供給源71から第1配管52aを介してノズル51へと供給され、ノズル51の先端(すなわち、ノズル51の下端)から基板9の上面91へと吐出される。そして、バルブ制御部802により第1バルブ521aが閉鎖されることによって、ノズル51からの処理液の吐出が停止される。
【0059】
処理液供給部5aでは、バルブ制御部802の制御により第3バルブ541aが開放されることによって、ガス供給源72から第3配管54aへとガス(例えば、圧縮空気)が供給され、ドレンボックス55aへと比較的高速にて流れる。これにより、第2配管53aと第3配管54aとの接続部535a近傍において、第2配管53a内に負圧が生じる。そして、バルブ制御部802の制御により、第1バルブ521aが閉鎖され、第2バルブ531aが開放されると、第2配管53a内の処理液が当該負圧により第3配管54aへと流入し、上記ガスと共にドレンボックス55aへと流れる。これにより、第1配管52a内の処理液が第2配管53aへと排出され、ノズル51内の処理液のサックバックが行われる。
【0060】
サックバックが行われると、処理液の液面(すなわち、処理液と周囲の雰囲気との界面)は、ノズル51の先端から第1配管52aに向かって移動する。なお、サックバックが開始される際には、第1バルブ521aが閉鎖された後に第2バルブ531aが開放されてもよく、第1バルブ521aが閉鎖されるよりも少し前に第2バルブ531aが開放されてもよく、第1バルブ521aの閉鎖と略同時に第2バルブ531aが開放されてもよい。その後、バルブ制御部802により第2バルブ531aおおび第3バルブ541aが閉鎖されることにより、処理液のサックバックが停止される。
【0061】
流量センサ56は、サックバック機構50aによるサックバックが行われる際に、第1配管52から第2配管53へと排出される処理液の瞬間流量(すなわち、サックバック速度)を測定する。図8に示す例では、流量センサ56は、第2配管53a上において、第2配管53aと第1配管52aとの接続部534aと、第2バルブ531aとの間に配置される。流量センサ56は、第2配管53aを第3配管54aに向かって流れる処理液の瞬間流量を測定する。上述のように、流量センサ56として、処理液の瞬間流量および積算排出流量(すなわち、第1配管52aから第2配管53aへと排出された処理液の積算流量)を測定可能な超音波式の積算流量センサが利用可能である。
【0062】
なお、流量センサ56は、第2配管53a上において、第2配管53aと第3配管54aとの接続部535aと、第2バルブ531aとの間に配置されてもよい。また、流量センサ56は、第3配管54a上において、第2配管53aと第3配管54aとの接続部535aと、ドレンボックス55aとの間に配置されてもよい。
【0063】
あるいは、流量センサ56は、第1配管52a上において、第1配管52aと第2配管53aとの接続部534aと、ノズル51との間に配置されてもよい。この場合、流量センサ56は、サックバック時の処理液の瞬間流量および積算排出流量の測定に加えて、基板9への処理液供給時の処理液の瞬間流量の測定にも利用されてよい。具体的には、処理液供給源71からノズル51に処理液が供給されて基板9の処理が行われている状態(すなわち、第1バルブ521aが開放され、第2バルブ531aが閉鎖されている状態)では、流量センサ56により、ノズル51から基板9に向けて吐出される処理液の瞬間流量が継続的に測定される。そして、測定された瞬間流量に基づいてバルブ制御部802(図4参照)により第1バルブ521aの開度等が制御されることにより、基板9へと吐出される処理液の瞬間流量が、所望の目標流量に好適に維持される。なお、サックバック時と、ノズル51への処理液供給時とは、例えば、バルブ制御部802により制御されている第1バルブ521a、第2バルブ531aおよび第3バルブ541aの開閉状態等に基づいて区別される。
【0064】
流量センサ56を用いた積算排出流量の算出開始タイミング(すなわち、測定開始タイミング)は、上記と同様に、処理液のサックバックが実質的に開始されたと考えられるタイミングに合わせて様々に設定されてよい。流量センサ56では、サックバックが行われている間、瞬間流量および積算排出流量の取得、および、測定値の制御部8への送信が継続的に行われる。制御部8では、当該積算排出流量とサックバック閾値とが比較され、積算排出流量がサックバック閾値に達すると、バルブ制御部802により第2バルブ531aおよび第3バルブ541aが閉鎖され、サックバックが停止される。これにより、所定の体積の処理液がサックバックされ、処理液の液面が、ノズル51内または第1配管52a内の所定の位置に位置する。なお、積算排出流量は、上記と同様、流量センサ56にて測定された瞬間流量に基づいて、制御部8の演算部803(図4参照)において求められてもよい。
【0065】
以上に説明したように、基板9を処理する基板処理装置1,1aは、ノズル51と、第1配管52,52aと、第1バルブ521,521aと、第2配管53,53aと、第2バルブ531,531aと、流量センサ56と、バルブ制御部802とを備える。ノズル51は、基板9に供給される処理液を吐出する。第1配管52,52aは、処理液供給源71とノズル51とを接続する。第1バルブ521,521aは、第1配管52,52a上に配置される。第2配管53,53aは、ノズル51と処理液供給源71との間にて第1配管52,52aから分岐する。第2バルブ531,531aは、第2配管53,53a上に配置される。流量センサ56は、第1配管52,52aから第2配管53,53aへと排出される処理液の瞬間流量を測定する。バルブ制御部802は、第1バルブ521,521aおよび第2バルブ531,531aを制御する。
【0066】
基板処理装置1,1aでは、第1バルブ521,521aが開放され、第2バルブ531,531aが閉鎖された状態で、処理液供給源71からノズル51へと処理液が供給される。また、第1バルブ521,521aが閉鎖され、第2バルブ531,531aが開放された状態で、第1配管52,52a内の処理液が第2配管53,53aへと排出されてノズル51内の処理液のサックバックが行われる。そして、流量センサ56による測定結果に基づいて第1配管52,52aから第2配管53,53aへと排出された処理液の積算流量である積算排出流量が求められる。バルブ制御部802は、積算排出流量が所定のサックバック閾値に達した際に第2バルブ531,531aを閉鎖する。
【0067】
このように、基板処理装置1,1aでは、サックバックの開始からの処理液の積算排出流量を測定し、所定のサックバック閾値に等しい量の処理液をサックバックすることにより、サックバック後の処理液の液面を所望の位置に精度良く位置させることができる。その結果、サックバック後に基板9に対して供給される処理液の量(例えば、次の基板9に対する処理液の供給量)を、所望の量に精度良く調節することができる。したがって、基板9に対する処理の質を向上することができる。
【0068】
上述のように、積算排出流量の算出は、第1バルブ521,521aの閉鎖と並行して開始されることが好ましい。これにより、積算排出流量の算出開始を、サックバックの実質的な開始タイミングに合わせることができる。その結果、積算排出流量を精度良く算出することができる。
【0069】
上述のように、積算排出流量の算出は、第1バルブ521,521aの閉鎖から所定時間後に開始されることも好ましい。これにより、第1バルブ521,521aの閉鎖から少し遅れて処理液の移動(すなわち、ノズル51の先端から離れる方向への移動)が開始される場合であっても、積算排出流量を精度良く算出することができる。
【0070】
上述のように、サックバックが行われる際には、第1バルブ521,521aの閉鎖よりも前に第2バルブ531,531aが開放されることも好ましい。これにより、ウォータハンマー現象の発生を好適に抑制することができる。また、この場合、積算排出流量の算出は、第2バルブ531,531aの開放と並行して開始されることが好ましい。これにより、積算排出流量を精度良く算出することができる。
【0071】
上述のように、基板処理装置1は、撮像部6と、画像監視部804とをさらに備えることも好ましい。撮像部6は、ノズル51を撮像する。画像監視部804は、撮像部6からの出力に基づいてノズル51からの処理液の吐出の有無を判断する。そして、積算排出流量の算出は、画像監視部804によりノズル51からの処理液の吐出停止が判断された時点で開始されることが好ましい。これにより、積算排出流量の算出開始を、サックバックの実質的な開始タイミングに合わせることができる。その結果、積算排出流量を精度良く算出することができる。基板処理装置1aにおいても同様である。
【0072】
上述のように、流量センサ56は第2配管53,53a上に配置されることが好ましい。第2配管53,53aでは、基板9に対する処理液の供給時には処理液の流れは実質的に生じず、サックバック時のみ処理液の流れが生じる。したがって、第2配管53,53a上に流量センサ56を配置することにより、サックバック時における積算排出流量を精度良く算出することができる。なお、基板処理装置1aでは、第3配管54aにおいてもサックバック時のみ処理液の流れが生じるが、第3配管54aでは処理液と圧縮空気等のガスとの混合流体が流れるため、積算排出流量を精度良く算出するという観点からは、流量センサ56は第2配管53a上に配置されることがより好ましい。
【0073】
上述のように、流量センサ56は第1配管52,52a上に配置されることも好ましい。この場合、処理液供給源71からノズル51に処理液が供給される際に、流量センサ56によって処理液の供給流量が測定されることが好ましい。このように、サックバック時における処理液の瞬間流量および積算排出流量の測定に利用される流量センサ56を、ノズル51への処理液供給時(すなわち、基板9に対する処理液供給時)の流量測定にも利用することにより、それぞれの測定用に別々の流量センサを設ける場合に比べて、基板処理装置1,1aの装置構造を簡素化することができる。
【0074】
上述のように、基板処理装置1,1aは、複数種類の処理液にそれぞれ対応する複数のサックバック閾値を記憶する記憶部801をさらに備えることが好ましい。これにより、処理液の種類に合わせた適切なサックバック量にてサックバックを行うことができる。
【0075】
より好ましくは、室温よりも高温にて供給される処理液に対応するサックバック閾値は、室温にて供給される処理液に対応するサックバック閾値よりも大きい。このように、処理液が室温よりも高温にて供給される場合、サックバック量を多くする(すなわち、残留処理液の量を少なくする)ことにより、サックバック後に基板9の処理を行う際に、降温した残留処理液が高温の処理液に混ざることを抑制することができる。その結果、基板9に供給される処理液の意図しない温度低下を抑制することができる。
【0076】
上述の基板処理装置1,1aでは、様々な変更が可能である。
【0077】
例えば、基板処理装置1,1aでは、積算排出流量の算出が開始されるタイミングは、必ずしも上述のものには限定されず、処理液のサックバックが実質的に開始されたと考えられるタイミングであれば様々なタイミングであってよい。
【0078】
流量センサ56は、超音波式の流量センサには限定されず、他の種類の流量センサ(例えば、電磁式の流量センサ)であってもよい。また、流量センサ56は、必ずしも、処理液の流れの方向を検出可能なタイプである必要はない。
【0079】
基板処理装置1,1aでは、サイフォン式のサックバック機構50、および、エジェクタ式のサックバック機構50aに代えて、他の構造を有するサックバック機構が設けられてもよい。
【0080】
上述の基板処理装置1,1aは、半導体基板以外に、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の平面表示装置(Flat Panel Display)に使用されるガラス基板、あるいは、他の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。また、上述の基板処理装置1,1aは、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
【0081】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0082】
1,1a 基板処理装置
6 撮像部
9 基板
51 ノズル
52,52a 第1配管
53,53a 第2配管
56 流量センサ
71 処理液供給源
521,521a 第1バルブ
531,531a 第2バルブ
801 記憶部
802 バルブ制御部
804 画像監視部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8