(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140532
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046417
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 昌太郎
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707ES03
3C707ET08
3C707EU08
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】カム溝に沿ってベアリングを円滑に移動させる。
【解決手段】把持装置は、駆動軸の回転駆動を把持部の直線運動に変換する変換部を備える。前記変換部は、一端面から他端面へ向けて凹むカム溝が形成されたカムと、前記カム溝に挿入されるベアリングと、を有する。前記ベアリングの端面は、前記駆動軸の延在方向において前記他端面側に前記一端面から離隔して配置される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸の回転駆動を把持部の直線運動に変換する変換部を備え、
前記変換部は、
一端面から他端面へ向けて凹むカム溝が形成されたカムと、
前記カム溝に挿入されるベアリングと、
を有し、
前記ベアリングの端面は、前記駆動軸の延在方向において前記他端面側に前記一端面から離隔して配置される、
把持装置。
【請求項2】
前記変換部は、他方の端部が前記ベアリングに挿入されるシャフトと、前記シャフトの一方の端部が挿入されるブロックと、をさらに備え、
前記シャフトは、径方向の外側に突出する拡幅部を有し、
前記ブロックには、前記拡幅部が係合する凹部が形成される、
請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記駆動軸は、前記延在方向の一方の端部に係合部が形成され、
前記変換部は、前記駆動軸の前記係合部を、前記延在方向の一方から視認可能な貫通孔が形成されたベース部を有する、
請求項1または2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記シャフトは、シャフト本体部と、シャフト本体部の周面において径方向の内側に凹む接着溝と、を有し、
前記接着溝に充填された接着剤によって前記シャフトが前記ブロックに固定される、
請求項2に記載の把持装置。
【請求項5】
前記カムを収容するカムケースと、
前記駆動軸が設けられたモータを収容するモータケースと、
前記カムケースと前記モータケースとの間に介在する中継プレートと、
をさらに備え、
前記中継プレートにおいて、前記カムケースが取り付けられる位置と、前記モータケースが取り付けられる位置とは異なる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出力軸の回転駆動を把持部材の直線運動に変換する機構を有する電動グリッパが知られている(例えば、特許文献1参照)。上記した電動グリッパは、カム溝を有するカムと、当該カム溝に挿入されるベアリングと、を有する。
【0003】
当該把持装置は、装置の小型化のため、カムの端面と、ベアリングの端面とが一致するように、カム溝の内部にベアリングが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記電動グリッパの組み立て前において、例えば部品輸送中、カム同士が接触したり、カムに他の部品が接触したりすることによって、カム溝が形成された、カムの端面に小さな傷が形成されるおそれがある。そして、カム溝に傷がある場合には、カム溝に沿ってベアリングが移動する際、傷にベアリングが引っ掛かるおそれがあった。
【0006】
本発明は、カム溝に沿ってベアリングを円滑に移動させることができる把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る把持装置は、駆動軸の回転駆動を把持部の直線運動に変換する変換部を備え、前記変換部は、一端面から他端面へ向けて凹むカム溝が形成されたカムと、前記カム溝に挿入されるベアリングと、を有し、前記ベアリングの端面は、前記駆動軸の延在方向において前記他端面側に前記一端面から離隔して配置される。
【0008】
本願発明によれば、カム溝に沿ってベアリングを円滑に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る把持装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る把持装置が備える中継プレートの平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る把持装置の内部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る把持装置の内部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る把持装置において、駆動軸に取り付けられたカムを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る把持装置が備えるカムおよびベアリングを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る把持装置が備えるカム、ベアリング、および、シャフトの断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る把持装置が備えるシャフトおよびブロックの断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る把持装置の内部を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る把持装置において、モータケースに対する変換部の組み付けを説明する斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る把持装置の組み立てに用いる治具を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る把持装置において、変換部に対する駆動部ハウジングの組み付けを説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、把持装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る把持装置1の斜視図である。
図2は、
図1の矢視A-Aにおける断面図である。
図3は、
図1の矢視B-Bにおける断面図である。
図4は、実施形態に係る把持装置1が備える中継プレート3の平面図である。
図5は、実施形態に係る把持装置1の内部を示す斜視図である。
図6は、実施形態に係る把持装置1の内部を示す斜視図である。
図7は、実施形態に係る把持装置1において、駆動軸211に取り付けられたカム41を示す斜視図である。
図8は、実施形態に係る把持装置1が備えるカム41およびベアリング42を示す斜視図である。
図9は、実施形態に係る把持装置1が備えるカム41、ベアリング42、および、シャフト43の断面図である。
図10は、実施形態に係る把持装置1が備えるシャフト43およびブロック44を説明する図である。
図11は、実施形態に係る把持装置1の内部を示す斜視図である。各図面において、説明を容易にするため、後述する駆動軸211が延在する方向をZ軸方向とし、Z軸方向と直交する方向をX軸方向とし、Z軸方向およびX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。
【0012】
本実施形態に係る
図1に示す把持装置1は、例えば、ロボットアーム等のマニピュレータの先端に設けられ、ワーク(把持対象物)を把持するロボットハンド等に用いられる。把持装置1は、
図2および
図3に示すように、駆動部2と、中継プレート3と、変換部4と、を備える。
【0013】
駆動部2は、モータ21と、駆動部ハウジング22と、を有する。モータ21は、駆動源であって、
図1に示すコネクタC2および電線W2を介して不図示の電源に対して電気的に接続される。
図2に示すモータ21は、電源から電力が供給された際に回転駆動が可能な駆動軸211を有する。換言すると、把持装置1は、駆動軸211を有する駆動部2を備える。そして、モータ21は、電源から電力が供給された際に駆動軸211の軸芯211zを中心にして回転駆動する。
【0014】
駆動軸211は、延在方向(Z軸方向)の一方の端部に係合部211aが形成される。係合部211aは、Z軸方向において、駆動軸211の一方の端面から他方の端面に向かって延在する凹部である。
【0015】
また、モータ21は、当該モータ21を収容するモータケース212を有する。モータケース212は、例えば複数の板材によって
図6に示すように直方体状に形成される。また、モータケース212のZ方向の一端には、複数の第1ネジ孔Nu1が形成される(
図5参照)。
【0016】
駆動部ハウジング22は、
図2、
図3に示すように、モータケース212を収容し、側部ハウジング221と、底部ハウジング222と、を有する。側部ハウジング221は、X軸方向およびY軸方向におけるモータ21の周囲を覆うものであって、角筒状に形成され、Z軸方向に一対の開口221a、221bを有する。一対の開口221a、221bのうち、Z軸方向の他方に位置する開口221aは、底部ハウジング222で閉塞される。一対の開口221a、221bのうち、Z軸方向の一方に位置する開口221bは、後述するカムケース461aで閉塞される。側部ハウジング221は、
図7に示すように、Z軸方向の一方の端部に第3ネジ孔Nu3を有する。
【0017】
中継プレート3は、後述するカムケース461aとモータケース212との間に介在する。中継プレート3は、例えば、ステンレス製であって略矩形板状に形成される。そして、中継プレート3は、
図4~
図6に示すように、駆動軸211を挿通させる駆動軸挿通孔3h1と、第1ボルトBo1を挿通させる第1ボルト挿通孔3h2と、第2ボルトBo2を挿通させる第2ボルト挿通孔3h3と、を有する。
【0018】
駆動軸挿通孔3h1、第1ボルト挿通孔3h2および第2ボルト挿通孔3h3は、Z軸方向に対して中継プレート3を貫通する。また、本実施形態に係る中継プレート3は、1つの駆動軸挿通孔3h1と、4つの第1ボルト挿通孔3h2と、4つの第2ボルト挿通孔3h3と、を有する。
【0019】
第1ボルト挿通孔3h2は、後述するように、X軸方向およびY軸方向において、当該第1ボルト挿通孔3h2と第1ネジ孔Nu1とが一致するように、モータケース212の上に中継プレート3が載置された状態において、第1ボルトBo1と第1ネジ孔Nu1とを螺合させた場合、中継プレート3がモータケース212に取り付けられる。つまり、中継プレート3における4つの第1ボルト挿通孔3h2が形成された部分は、モータケース212が取り付けられる位置である。
【0020】
第2ボルト挿通孔3h3は、後述するように、X軸方向およびY軸方向において、当該第2ボルト挿通孔3h3と第2ネジ孔Nu2とが一致するように、中継プレート3の上にカムケース461aが載置された状態において、第2ボルトBo2と第2ネジ孔Nu2とを螺合させた場合、中継プレート3がカムケース461aに取り付けられる。つまり、中継プレート3における4つの第1ボルト挿通孔3h2が形成された部分は、カムケース461aが取り付けられる位置である。
【0021】
第1ボルト挿通孔3h2は、
図4に示すように、径方向において駆動軸211の軸芯211zに近接するように配置される。一方、第2ボルト挿通孔3h3は、径方向において第1ボルト挿通孔3h2よりも駆動軸211の軸芯211zに対して離隔するように配置される。つまり、本実施形態に係る中継プレート3において、カムケース461aが取り付けられる位置と、モータケース212が取り付けられる位置とは異なる。本実施形態に係る把持装置1は、中継プレート3を貫通する駆動軸211の軸芯211zに対して、モータケース212が取り付けられる位置よりもカムケース461aが取り付けられる位置が外側に位置する。
【0022】
変換部4は、
図2に示すように、カム41と、ベアリング42と、シャフト43と、ブロック44と、把持部45と、案内部46と、を有する。変換部4は、駆動軸211の回転駆動を把持部45の直線運動に変換する。なお、本実施形態に係る変換部4は、他の部品で構成してもよい。そして、変換部4は、一対の把持部45をX軸方向に沿って接近および離隔可能であり、一対の把持部45を接近することで把持対象物(ワーク)を把持する一方、一対の把持部45を離隔することで把持対象物を放す。
【0023】
カム41は、
図8に示すように、例えば貫通孔41hを有して円盤状に形成される。そして、カム41は、
図9に示すように、貫通孔41hにモータ21の駆動軸211が挿入され、当該駆動軸211に固定される。このようなカム41は、例えば鉄系の焼結材を用いて金型成型で焼結により形成される。また、カム41は、Z軸方向において、一端面411f1から他端面411f2へ向けて凹むカム溝411が形成される。つまり、変換部4は、一端面411f1から他端面411f2へ向けて凹むカム溝411が形成されたカム41を有する。
【0024】
カム溝411は、
図8に示すように、駆動軸211の軸芯211zに対して周方向に延在する。そして、カム溝411は、一方側の端部411sに行くに従って、軸芯211zとカム溝411の中央部との距離が徐々に遠くなる一方、他方側の端部411eに行くに従って、軸芯211zとカム溝411の中央部との距離が徐々に近くなる。本実施形態に係るカム41は、一対のカム溝411a、411bを有する。
【0025】
カム41の一端面411f1側であるカム溝411の開口側は、面取り加工が行われる。そして、面取り加工によって、例えばZ軸方向の長さが0.1~0.2mmの傾斜面411f3(
図9参照)がカム溝411に形成される。傾斜面411f3は、カム溝411の延在方向に対して対向するようにカム溝411の両側壁に設けられる。このような傾斜面411f3は、把持装置1の組み立ての際、カム溝411に対するベアリング42の挿入を容易にして作業性を向上する。
【0026】
一対のカム溝411には、
図9に示すように、ベアリング42がそれぞれ挿入される。つまり、変換部4は、カム溝411に挿入されるベアリング42を有する。ベアリング42は、カム41に対するカムフォロアとして機能する。また、カム溝411の内壁面には、潤滑剤が塗布される。また、本実施形態には、2つのベアリング42を有する把持装置1を説明したが、ベアリング42の個数は、適宜変更することができる。
【0027】
ベアリング42には、シャフト43の他方の端部が挿入される。より具体的に説明すると、シャフト43の他方の端部は、Z軸方向における下方側の端部であって、本実施形態に係るベアリング42には、シャフト43の他方の端部が圧入される。また、ベアリング42の端面42f1は、Z軸方向(駆動軸211の延在方向)において他端面411f2側に一端面411f1から離隔して配置される。より具体的に説明すると、Z軸方向において、ベアリング42の端面42f1と、カム41の一端面411f1とがずれるように、カム溝411の内部にベアリング42が配置される。そして、Z軸方向において、カム41の一端面411f1とベアリング42の端面42f1との差H1は、例えば、0.5mmである。従って、本実施形態に係る把持装置1は、
図8に示すように、Z軸方向において、面取り加工の傾斜面411f3の下端部よりもさらに下方に、ベアリング42の端面42f1が位置する。また、後述する拡幅部432および凹部441によって、ベアリング42のZ軸方向における位置が決定され、
図9に示すように、カム溝411の底面411f4と、ベアリング42の底面42f2との間に隙間42sが形成される。
【0028】
シャフト43は、Z軸方向に延在するように形成される。シャフト43のZ軸方向の一方の端部43e1は、ベアリング42に挿入される。一方、シャフト43のZ軸方向の他方の端部43e2は、ブロック44に挿入される(
図2参照)。また、本実施形態に係るシャフト43は、シャフト本体部431と、シャフト本体部431の他方の端部に形成され、シャフト本体部431の周面から径方向の外側に突出する拡幅部432と、シャフト本体部431の周面から径方向の内側に凹む接着溝433と、を有する。
【0029】
接着溝433は、例えば、シャフト本体部431の周方向に連続して一周するように形成される。本実施形態のシャフト43は、
図10に示すように、例えばZ軸方向に離隔して2本の接着溝433を有する。そして、シャフト43の径方向において、シャフト本体部431と第1貫通孔44h1との間に形成される隙間よりも、大きな隙間43sが接着溝433と第1貫通孔44h1との間に形成される。また、拡幅部432は、駆動軸211の延在方向に対して直交する下端面432fを有する。本実施形態に係る把持装置1は、一対のシャフト43a、43bを有する。
【0030】
ブロック44は、
図1に示すように略直方体状に形成され、
図2に示すようにZ軸方向に当該ブロック44を貫通する2つの貫通孔44h1、44h2が形成される。2つの貫通孔44h1、44h2のうち、第1貫通孔44h1には、シャフト43のZ軸方向の他方の端部が挿通される。そして、シャフト本体部431の接着溝433には接着剤が塗布された後、ブロック44の第1貫通孔44h1にシャフト43が挿通され、その後、隙間43sにおいて当該接着剤が固化することで、シャフト43の他方の端部がブロック44に固定される。また、
図10に示すように、シャフト本体部431の外周面と第1貫通孔44h1の内周面とが接近してブロック44にシャフト43が挿通されるため、ブロック44に対してZ軸方向に沿ってシャフト43を配置することができる。さらに、2つの貫通孔44h1、44h2のうち、第2貫通孔44h2には、把持部45の軸部が挿通されて、把持部45がブロック44に固定される。
【0031】
また、ブロック44は、第1貫通孔44h1が形成された部分に、シャフト43の拡幅部432が嵌る凹部441が形成される。凹部441は、Z軸方向に対して直交する上端面441fを有する。そして、凹部441に拡幅部432が嵌ることによって、ブロック44に対するシャフト43のZ軸方向の位置決めを行い、それによって、ブロック44に対するベアリング42のZ軸方向の位置決めを行うことができる。本実施形態に係る把持装置1は、一対のブロック44a、44bを有する。
【0032】
把持部45は、本実施形態に係るブロック44に一対設けられる。より具体的に説明すると、把持部45は、ブロック44の第2貫通孔44h2に挿入される軸部と、X軸方向において、把持対象物に対して近接および離隔(以下、単に「接離」と省略する)可能な不図示の爪部と、を有する。そして、把持部45は、一対の爪部をX軸方向に接離することによって、把持対象物(ワーク)を挟持可能である。
【0033】
案内部46は、一対のブロック44がX軸方向に沿って移動することを案内する。案内部46は、
図1に示すように、後述するカムケース461aの一部およびガイドレール461bの一部から構成されるベース部461を有する。ベース部461を構成するカムケース461aの一部は、後述するケース天板461a1であり、ベース部461を構成するガイドレール461bの一部は、後述する連結部461b1である。ベース部461は、
図2に示すように、当該ベース部461をZ軸方向において貫通する検査孔(貫通孔)461h1と、当該検査孔461h1をX軸方向で挟む一対のガイド孔461h2とを有する。
【0034】
検査孔461h1は、駆動軸211の直径と略同一であって、例えば円筒形状に形成され、駆動軸211の係合部211aを、Z軸方向の上方(延在方向の一方)から視認可能である。つまり、変換部4は、駆動軸211の係合部211aを、Z軸方向の上方(延在方向の一方)から視認可能な検査孔(貫通孔)461h1が形成されたベース部461を有する。把持装置1は、検査孔461h1の中心と、駆動軸211の軸芯211zとが、Z軸方向において一致する。
【0035】
検査孔461h1には、後述するように把持装置1の組み立ての途中において、治具5を挿入する。治具5は、いわゆる段付きシャフトであって、
図13に示すように、被係合部51と、検査孔対向部52と、摘持部53と、を有し、Z軸方向に沿って延在するように形成される。
【0036】
被係合部51は、駆動軸211に形成された係合部211aに係合可能であって、治具5におけるZ軸方向の先端に形成される。本実施形態に係る被係合部51は、例えば、円柱状に形成される。
【0037】
検査孔対向部52は、Z軸方向において、被係合部51に隣接して形成される。検査孔対向部52は、係合部211aに被係合部51が係合した状態において、当該検査孔対向部52の外周面が検査孔461h1の内周面に対向する。本実施形態に係る検査孔対向部52は、例えば、径方向の長さが被係合部51の径方向の長さよりも長い円柱状に形成される。
【0038】
摘持部53は、検査孔461h1に治具5の先端部を挿入する際に、作業員が摘持する部分である。摘持部53は、Z軸方向において検査孔対向部52に隣接して形成される。本実施形態に係る摘持部53は、例えば、径方向の長さが検査孔対向部52の径方向の長さよりも長い円柱状に形成される。
【0039】
ガイド孔461h2は、
図2に示すように、ベース部461をZ軸方向において貫通する。その上、ガイド孔461h2は、X軸方向に沿って延在する。そして、ガイド孔461h2には、シャフト43がそれぞれ挿通される。ガイド孔461h2は、シャフト43がX軸方向に沿って直線運動することを許容する一方、シャフト43がY軸方向へ移動することを規制する。
【0040】
案内部46は、
図1に示すように、カムケース461aを有する。カムケース461aは、カム41を収容する。より具体的に説明すると、カムケース461aは、カム41のZ軸方向の一方側、ならびに、カム41のX軸方向およびY軸方向の両側を覆い、Z軸方向の他方側に開口を有する箱状に形成される。カムケース461aは、矩形板状のケース天板461a1を有する。
【0041】
ケース天板461a1は、上述した検査孔461h1を構成する天板検査孔461ah1と、上述したガイド孔461h2を構成する天板ガイド孔461ah2とを有する。
【0042】
また、カムケース461aは、当該カムケース461aをZ軸方向に貫通する第3ボルト挿通孔461ah3を有する(
図6参照)。
【0043】
また、案内部46は、
図3に示すように、ブロック44と、ガイドレール461bと、鋼球4Boと、鋼球収容溝4Dとで構成されるリニアガイド4sを有する。リニアガイド4sは、ガイドレール461bに対するブロック44の移動を円滑にする。
【0044】
ガイドレール461bは、矩形板状に形成された連結部461b1と、Y軸方向において対向する一対のレール部461b2と、を有する。連結部461b1は、一対のレール部461b2を連結する。連結部461b1は、上述した検査孔461h1を構成する連結部検査孔461bh1と、上述したガイド孔461h2を構成する連結部ガイド孔461bh2と、を有する。
【0045】
鋼球収容溝4Dは、当該鋼球4Boを収容し、X軸方向に沿って延在する。鋼球収容溝4Dは、レール部461b2におけるブロック44の対向面に形成された第1溝4D1と、ブロック44のレール部461b2における対向面に形成された第2溝4D2と、によって構成される。
【0046】
次に、
図12~
図14を用いて、上記のような構成を有する把持装置1の組み立てについて説明する。
図12は、実施形態に係る把持装置1において、モータケース212に対する変換部4の組み付けを説明する斜視図である。
図13は、実施形態に係る把持装置1の組み立てに用いる治具5を示す側面図である。
図14は、実施形態に係る把持装置1において、変換部4に対する駆動部ハウジング22の組み付けを説明する斜視図である。
【0047】
作業者は、先ず、中継プレート3の第1ボルト挿通孔3h2(
図5参照)と、駆動部2の第1ネジ孔Nu1(
図5参照)と、を一致させた状態で、モータケース212のZ軸方向の一方に中継プレート3を載置する。
【0048】
次に、作業者は、第1ボルトBo1の先端を第1ボルト挿通孔3h2に挿通した後、第1ボルトBo1を第1ネジ孔Nu1に螺合することで、
図12に示すように、中継プレート3をモータケース212に固定する。次いで、作用者は、駆動軸211の先端にカム41を固定する。
【0049】
次いで、作業者は、中継プレート3のZ軸方向の一方に変換部4を載置する。この状態で、治具5の先端部を検査孔461h1に挿入する。そして、作業員は、
図13において仮想線で示すように、治具5の被係合部51を駆動軸211の係合部211aに係合させ、検査孔461h1の内周面に治具5の検査孔対向部52の外周面を対向させることで、モータケース212に対して変換部4を位置決めする。
【0050】
この状態において、作業者は、中継プレート3の第2ボルト挿通孔3h3(
図6参照)と、変換部4の第2ネジ孔Nu2(
図6参照)と、を一致させる。
【0051】
次に、作業者は、第2ボルトBo2の先端を第2ボルト挿通孔3h3に挿通した後、第2ボルトBo2を第2ネジ孔Nu2に螺合することで、変換部4に中継プレート3を固定する。この結果、中継プレート3を介在させて、モータケース212に変換部4が組み付けられる。
【0052】
次いで、作業者は、
図14に示すように、変換部4の第3ボルト挿通孔461ah3と、側部ハウジング221の第3ネジ孔Nu3と、を一致させた状態で、側部ハウジング221のZ軸方向の一方に変換部4を載置する。
【0053】
次に、作業者は、第3ボルトBo3の先端を第3ボルト挿通孔461ah3に挿通した後、第3ボルトBo3を第3ネジ孔Nu3に螺合することで、モータケース212および変換部4に側部ハウジング221を固定する。
【0054】
次いで、作業者は、底部ハウジング222の第4ボルト挿通孔222h4と、側部ハウジング221の不図示の第4ネジ孔と、を一致させた状態で、底部ハウジング222のZ軸方向の一方に側部ハウジング221を載置する。
【0055】
次に、作業者は、第4ボルトBo4の先端を第4ボルト挿通孔222h4に挿通した後、第4ボルトBo4を側部ハウジング221の不図示の第4ネジ孔に螺合することで、側部ハウジング221に底部ハウジング222を固定することで、把持装置1を組み立てる。
【0056】
次に、上記のような構成を有する把持装置1において、把持対象物を把持する場合について説明する。把持装置1の初期状態は、
図1に示すように、一対のブロック44がX軸方向において、最も離隔した位置に配置され、かつ、一対のカム溝411の一方の端部411s側にベアリング42が配置される。
【0057】
この初期状態からモータ21を駆動し、モータ21の駆動によって駆動軸211は、軸芯211zを中心に回転駆動する。駆動軸211の回転駆動によって、駆動軸211に固定されたカム41が軸芯211zを中心に回転駆動する。
【0058】
そして、カム41の回転駆動によって、ベアリング42がカム溝411の延在方向に沿って一方の端部411s側から他方の端部411e側へ向けて移動する。
【0059】
この際、ベアリング42には、シャフト43の一方の端部が圧入され、かつ、シャフト43は、ガイド孔461h2によってX軸方向の移動が許容される一方、Y軸方向の移動が規制される。このため、一対のブロック44は、X軸方向において互いに接近するように移動する。そして、一対のブロック44の移動と共に、一対の把持部45もX軸方向において互いに接近するように移動し、一対の把持部45の間に配置された把持対象物を把持する。このような把持装置1において、把持対象物を放す場合、モータ21を逆駆動することで、一対のブロック44をX軸方向において離隔するように移動すると共に、一対の把持部45をX軸方向において離隔するように移動する。
【0060】
上記で説明したように、本実施形態に係る把持装置1は、以下の構成を有する。ベアリング42の端面42f1は、駆動軸211の延在方向において他端面411f2側に、一端面411f1から離隔して配置される。把持装置1の組み立て前において、例えば部品輸送中、カム41同士が接触したり、カム41に他の部品が接触したりすることによって、カム溝411が形成された、カム41の一端面411f1に小さな傷が形成される場合がある。しかしながら、本実施形態に係る把持装置1は、上記構成によって、ベアリング42が接触するカム溝411の内周面に傷が形成されることを抑制することができる。その結果、本実施形態に係る把持装置1によれば、ベアリング42がカム溝411の内周面の傷に接触することを抑制することができるため、カム溝411に沿ってベアリング42を円滑に移動させることができる。
【0061】
本実施形態に係る把持装置1は、以下の構成を有する。シャフト43は、径方向の外側に突出する拡幅部432を有し、ブロック44には、拡幅部432が係合する凹部441が形成される。そのため、本実施形態に係る把持装置1は、拡幅部432および凹部441によって、ブロック44に対するシャフト43のZ軸方向の位置決めを行い、それによって、ブロック44に対するベアリング42のZ軸方向の位置決めを行う。つまり、本実施形態に係る把持装置1は、拡幅部432および凹部441によって、ブロック44に対するベアリング42の位置決めを容易に行うことが出来る。
【0062】
本実施形態に係る把持装置1は、以下の構成を有する。駆動軸211は、延在方向の一方の端部に係合部211aが形成され、変換部4は、駆動軸211の係合部211aを、延在方向の一方から視認可能な検査孔(貫通孔)461h1が形成されたベース部461を有する。そのため、本実施形態に係る把持装置1の組み立ての際、作業者は、Z軸方向の上方から検査孔461h1を視認し、検査孔461h1から係合部211aを視認することができる。その結果、本実施形態に係る把持装置1は、軸芯211zに対して直交する方向(つまり、X軸方向およびY軸方向)において、駆動部2に対して変換部4を正規の位置に配置することを容易に行うことができる。
【0063】
本実施形態に係る把持装置1は、以下の構成を有する。シャフト43は、シャフト本体部431と、シャフト本体部431に形成され径方向の内側に凹む接着溝433とを有し、接着溝433に充填された接着剤によってシャフト43がブロック44に固定される。そのため、ブロック44に対するシャフト43の固定作業を容易にすることができる。
【0064】
本実施形態に係る把持装置1は、以下の構成を有する。把持装置1は、カムケース461aとモータケース212との間に介在する中継プレート3をさらに備え、中継プレート3において、カムケース461aが取り付けられる位置と、モータケース212が取り付けられる位置とは異なる。そのため、本実施形態に係る把持装置1は、中継プレート3によって、カムケース461aをモータケース212に組み付ける作業を容易に行うことが出来る。
【0065】
なお、上述した実施形態には、2本の把持部45を備える把持装置1を説明した。しかし、本発明に係る把持装置1は、それに限られない。例えば、把持装置1は、3本の把持部45を備えてもよいし、4本以上の把持部45を備えてもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係る案内部46は、カムケース461aとガイドレール461bとから構成されるものを説明した。しかし、本発明に係る案内部46は、それに限られない。例えば、案内部46は、カムケース461aとガイドレール461bとを一体的に構成してもよい。
【0067】
さらに、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 把持装置, 2 駆動部, 211 駆動軸, 211a 係合部, 212 モータケース, 3 中継プレート, 4 変換部, 41 カム, 411 カム溝, 411f1 一端面, 411f2 他端面, 42 ベアリング, 42f1 (ベアリングの)端面, 43 シャフト, 431 シャフト本体部, 432 拡幅部, 433 接着溝, 44 ブロック, 441 凹部, 45 把持部, 461 ベース部, 461a カムケース, 461h1 検査孔(貫通孔)