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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140536
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】移動装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20180101AFI20230928BHJP
【FI】
A01G9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046421
(22)【出願日】2022-03-23
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、農林水産省、農林水産研究推進事業、「AIを活用した栽培・労務管理の最適化技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
(71)【出願人】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(71)【出願人】
【識別番号】518107785
【氏名又は名称】PLANT DATA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 弘太郎
(72)【発明者】
【氏名】加納 多佳留
(72)【発明者】
【氏名】藤内 直道
(72)【発明者】
【氏名】戸田 清太郎
(72)【発明者】
【氏名】海野 博也
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327TA14
2B327TB10
2B327TC13
(57)【要約】
【課題】吊り下げられた状態で移動し、動力を用いることなく、その揺動を防止することのできる移動装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、栽培対象に対する作業を行う作業手段を移動させる移動装置が提供される。この移動装置は、本体部と、駆動部と、揺動防止部とを備える。本体部は、作業手段が配設される。駆動部は、本体部の上部に配設され、該本体部をレールから吊り下げた状態で該レールに沿って移動させる。レールは、作業手段を移動させる範囲に、該移動方向に沿って配設される。揺動防止部は、本体部の下部に配設され、本体部が停止している際に地面又は床面と接する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培対象に対する作業を行う作業手段を移動させる移動装置であって、
本体部と、駆動部と、揺動防止部とを備え、
前記本体部は、前記作業手段が配設され、
前記駆動部は、前記本体部の上部に配設され、該本体部をレールから吊り下げた状態で該レールに沿って移動させ、
前記レールは、前記作業手段を移動させる範囲に、該移動方向に沿って配設され、
前記揺動防止部は、前記本体部の下部に配設され、前記本体部が停止している際に地面又は床面と接する
移動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動装置において、
前記揺動防止部は、前記本体部が移動する際に、前記地面又は前記床面に接した状態で摺動される
移動装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の移動装置において、
前記揺動防止部は、板を含み、
前記板は、該板の厚みの方向と前記本体部が移動する方向とが一致する向きで配設される
移動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の移動装置において、
前記板は、前記本体部が移動する際に前記地面又は前記床面の形状に応じて変形し、前記本体部が停止した際に元の形状に復元する復元力を有する
移動装置。
【請求項5】
請求項3に記載の移動装置において、
前記板は、上部が前記本体部とヒンジで接続される
移動装置。
【請求項6】
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の移動装置において、
前記板は、ゴム板である
移動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の移動装置において、
前記ゴム板は、下端部を含む一部が鉛直方向に切断されている
移動装置。
【請求項8】
請求項1に記載の移動装置において、
前記駆動部は、第1のユニットと、第2のユニットと、第3のユニットと、連結部とを備え、
前記第1のユニットは、駆動輪を有し、
前記第2のユニットは、非駆動輪を有するとともに、鉛直方向を軸として回転可能な態様で前記本体部に接続され、
前記第3のユニットは、非駆動輪を有するとともに、鉛直方向を軸として回転可能な態様で前記本体部に接続され、
前記連結部は、前記第1のユニットと、前記第2のユニットとを屈曲可能な態様で連結する
移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境制御型の施設園芸では、植物の生育状態の高精度モニタリングと、それに基づいた環境制御が必須である。これらは、高収量化だけでなく、労務管理を含めた効率化、昨今求められているカーボンニュートラル・ゼロエミッションに貢献する。
【0003】
植物の生育状態のモニタリングには、必要に応じて機材等の運搬を行う必要があるが、これらの運搬に床面を走行する装置を利用することもできるが、作物の成長点部分や開花部分は、作物群落の上部であることが多く、計測装置等を上昇させる必要があり、例えば、トマトやパプリカ等の場合には地上高3mまで上昇させる必要があり、運搬を行う装置の大型化や計測装置が不安定となることも多かった。
【0004】
また、植物を観察するために、吊り下げられたレールを走行する撮影ロボットが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-205363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、機材等を吊り下げた状態で運搬する移動装置は、その走行中はもちろんのこと、停止した際にも、揺れが生じることがある。この揺れを防止するためには、アクチュエータ等を用いて、移動装置を接地させることが考えられるが、その機構のために制御を行うことが必要となり、また、移動装置の重量も増大する。
【0007】
本発明では上記事情を鑑み、吊り下げられた状態で移動し、動力を用いることなく、その揺動を防止することのできる移動装置を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、栽培対象に対する作業を行う作業手段を移動させる移動装置が提供される。この移動装置は、本体部と、駆動部と、揺動防止部とを備える。本体部は、作業手段が配設される。駆動部は、本体部の上部に配設され、該本体部をレールから吊り下げた状態で該レールに沿って移動させる。レールは、作業手段を移動させる範囲に、該移動方向に沿って配設される。揺動防止部は、本体部の下部に配設され、本体部が停止している際に地面又は床面と接する。
【0009】
本発明の一態様によれば、安価かつ効果的に移動装置の揺動を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】移動装置10の概略構成を示す側面図である。
図2】移動装置10の概略構成を示す正面図である。
図3】本体部11が移動する際の揺動防止部13の変化を説明するための図である。
図4】本体部11が移動する際の揺動防止部13の変化を説明するための図である。
図5】揺動防止部13である板に木板を用いた場合を説明するための図である。
図6】揺動防止部13の正面を示した図である。
図7】揺動防止部13であるゴム板の変形例を示した図である。
図8】レール21の配線例を示した図である。
図9】駆動部12の構成を示した図である。
図10】駆動部12がレール21の曲線部を通過する場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0012】
1.全体構成
図1は、移動装置10の概略構成を示す側面図である。なお、移動装置10は、図中の矢印Aを移動方向とし、その移動方向に垂直な面を側面とする。また、側面は、栽培対象と対向する面でもある。また、図2は、移動装置10の概略構成を示す正面図である。図1及び図2に示すように、移動装置10は、本体部11と、駆動部12と、揺動防止部13とを備える。この移動装置10は、栽培対象に対する作業を行う作業手段を移動させるものである。作業手段は、例えば、撮影装置及び照明装置であったり、摘葉や摘芽、茎の誘引作業等を行う装置である。
【0013】
本体部11は、作業手段が配設される部位である。なお、図1では、本体部11を梯子状のものとして示しているが、本体部11の形状は、これに限るものではなく、任意のものであってよい。
【0014】
駆動部12は、本体部11の上部に配設され、本体部11をレール21から吊り下げた状態で、そのレール21に沿って移動させる。レール21は、作業手段を移動させる範囲に、その移動方向に沿って配設されるもので、レール支持部22によって、レール補助部23から吊り下げられている。なお、レール補助部23を用いずに、レール支持部22のみでレール21を吊り下げるようにしてもよい。また、レール21の形状は、駆動部12が移動できるものであればよく、レール21の形状は、駆動部12の構造によって決定される。例えば、図2に示した例では、駆動部12は、車輪125と車輪126を有しており、レール21は、「工」の字状の形状である。駆動部12の詳細については、後述する。
【0015】
揺動防止部13は、本体部11の下部に配設され、本体部11が停止している際に地面30又は床面と接している。また、揺動防止部13は、本体部11が移動する際に、地面30又は床面に接した状態で摺動される。
【0016】
2.揺動防止部13
次に、揺動防止部13について説明する。揺動防止部13は、板を含んで構成される。この板は、その厚みの方向と本体部11が移動する方向とが一致する向きで配設される。また、この板は、本体部11が移動する際に地面30又は床面の形状に応じて変形し、本体部11が停止した際に元の形状に復元する復元力を有する。ここで、揺動防止部13である板の変形について説明する。図3及び図4は、本体部11が移動する際の揺動防止部13の変化を説明するための図である。図3に示すように、本体部11が図中の矢印Bに移動する場合、揺動防止部13である板は、地面30との摩擦により変形する。
また、図4に示すように、本体部11が図中の矢印Bに移動する場合、地面30に摘除した葉等の植物残渣31が存在する場合、揺動防止部13である板は、その植物残渣31の形状に応じて変形する。この揺動防止部13である板は、例えば、ゴム板である。
【0017】
また、揺動防止部13である板は、変形しない木板等を用いてもよい。図5は、揺動防止部13である板に木板を用いた場合を説明するための図である。図5に示すように、本体部11が図中の矢印Bに移動する場合、地面30に摘除した葉等の植物残渣31が存在する場合、揺動防止部13である板は、その植物残渣31によって、上方に跳ね上がる。これは、板の上部が本体部11と、蝶番等のヒンジで接続されることによって実現される。もちろん、揺動防止部13である板にゴム板を用いた場合でも、ヒンジによる接続を行っても良い。なお、ヒンジによる接続を行った場合、板は、重力によって、元の位置に復元する。
【0018】
揺動防止部13である板にゴム板を用いた場合、そのゴム板にスリットを入れることで、植物残渣の影響をより低減することができる。図6は、揺動防止部13の正面を示した図である。同図に示すように、揺動防止部13は、スリット131を有している。この揺動防止部13であるゴム板は、下端部を含む一部が鉛直方向に切断され、スリット131を形成している。これにより、ゴム板は、変形が容易となり、本体部11の移動に際して、植物残渣の影響を受けにくくなる。
【0019】
また、揺動防止部13であるゴム板は、図7に示すように、スリット131に代えて、切り欠き部132を有するようにしてもよい。図7は、揺動防止部13であるゴム板の変形例を示した図である。
【0020】
3.駆動部12
次に、駆動部12について説明する。駆動部12は、基本的に、車輪を駆動させることでレール21に沿って移動し、これにより、本体部11を移動させるものである。しかしながら、レール21は、必ずしも直線のみで構成されるわけではなく、曲線部も含むことがあり、その場合には、駆動部12を、曲線を容易に通過できる構成とする必要がある。図8は、レール21の配線例を示した図である。なお、図8は、レール21を上部から見た図である。同図に示すように、レール21は、移動装置10に配設された作業手段が、複数の栽培対象40の全てに対して作業を行えるように、直線部と曲線部とを含むように配線される場合がある。
【0021】
図9は、駆動部12の構成を示した図である。同図に示すように、駆動部12は、第1のユニット121と、第2のユニット122と、第3のユニット123と、連結部124とを備える。例えば、第1のユニット121は、駆動輪を有する。また、第2のユニット122は、非駆動輪を有するとともに、鉛直方向を軸として回転可能な態様で本体部11に接続される。第3のユニット123は、非駆動輪を有するとともに、鉛直方向を軸として回転可能な態様で本体部11に接続される。連結部124は、第1のユニットと、第2のユニットとを屈曲可能な態様で連結する。
【0022】
図10は、駆動部12がレール21の曲線部を通過する場合を説明するための図である。同図に示すように、駆動部12がレール21の曲線部を通過する場合、第1のユニット121と第2のユニットは、その進行方向が、ともに円の接線に応じた向きとなり、それぞれ異なるものとなる。連結部124は、屈曲することで、進行方向の異なる第1のユニット121と第2のユニットを接続する。
【0023】
また、第2のユニット122と、第3のユニット123は、ともに、鉛直方向を軸として回転可能な態様で本体部11に接続されているため、本体部11に接続されている状態で、それぞれの進行方向が異なる(ともに接線方向)ことが許容される。このような構成により、駆動部12は、レール21が曲線部を有している場合でも、その曲線に従って、本体部11を移動させることができる。
【0024】
4.その他
本発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記移動装置において、前記揺動防止部は、前記本体部が移動する際に、前記地面又は前記床面に接した状態で摺動される移動装置。
前記移動装置において、前記揺動防止部は、板を含み、前記板は、該板の厚みの方向と前記本体部が移動する方向とが一致する向きで配設される移動装置。
前記移動装置において、前記板は、前記本体部が移動する際に前記地面又は前記床面の形状に応じて変形し、前記本体部が停止した際に元の形状に復元する復元力を有する移動装置。
前記移動装置において、前記板は、上部が前記本体部とヒンジで接続される移動装置。
前記移動装置において、前記板は、ゴム板である移動装置。
前記移動装置において、前記ゴム板は、下端部を含む一部が鉛直方向に切断されている移動装置。
前記移動装置において、前記駆動部は、第1のユニットと、第2のユニットと、第3のユニットと、連結部とを備え、前記第1のユニットは、駆動輪を有し、前記第2のユニットは、非駆動輪を有するとともに、鉛直方向を軸として回転可能な態様で前記本体部に接続され、前記第3のユニットは、非駆動輪を有するとともに、鉛直方向を軸として回転可能な態様で前記本体部に接続され、前記連結部は、前記第1のユニットと、前記第2のユニットとを屈曲可能な態様で連結する移動装置。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0025】
10 :移動装置
11 :本体部
12 :駆動部
13 :揺動防止部
21 :レール
22 :レール支持部
23 :レール補助部
30 :地面
31 :植物残渣
40 :栽培対象
121 :第1のユニット
122 :第2のユニット
123 :第3のユニット
124 :連結部
125 :車輪
126 :車輪
131 :スリット
132 :切り欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10