(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014054
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】他物固定具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/00 20060101AFI20230119BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
E04D13/00 J
F16B5/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113113
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2021117366
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(71)【出願人】
【識別番号】510153113
【氏名又は名称】株式会社ベルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高野 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】澤西 良三
(72)【発明者】
【氏名】崔 凱
(72)【発明者】
【氏名】野元 裕正
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GA01
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA10
3J001KA15
3J001KB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施工のために外側方から前記本体部に対して近接操作しやすくする。
【解決手段】下地側支持部材4に対して上下変位自在に連結する第1連結部14を設けた上部側支持部材15を設け、下地側支持部材4は、第1固定部3を下端部に設けた縦筒状の本体部7と、本体部7の上部を閉じる屋根部8を連設し、本体部7の周側面よりも外側に延設した庇部9を取り付け、上部側支持部材15は、屋根部8及び庇部9を上から覆い、且つ、第2固定部16を形成した天面部18を設け、天面部18の周部で下方に垂下した側壁部17に、第1連結部14を形成し、第1連結部14と連結する第1被連結部6を庇部9の外周部に設け、第1連結部14と第1被連結部6を互いに連結した状態で、天面部18の周方向で互いに離れた一対の側壁部17同士の間に、本体部7の横幅よりも大で、外側方から本体部7に対して近接操作可能な施工操作間隙を形成してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付下地への第1固定部を備えた下地側支持部材と、
上側の固定対象である他物を固定自在な第2固定部を備え、且つ、下側の前記下地側支持部材に対して上下変位自在に連結する第1連結部を設けた上部側支持部材とを設け、
前記下地側支持部材は、前記第1固定部を下端部に設けた縦筒状の本体部と、
前記本体部の上部を閉じる屋根部を前記本体部に一体に連設してあると共に、前記本体部の周側面よりも外側に延設した庇部を前記本体部に一体に取り付けてあり、
前記上部側支持部材は、前記屋根部及び前記庇部を上から覆い、且つ、前記第2固定部を形成した天面部を設けると共に、
前記天面部の周部で一体連設して下方に垂下した側壁部に、前記第1連結部を形成し、
前記第1連結部と連結する第1被連結部を前記庇部の外周部に設けてある他物固定具であって、
前記側壁部の一対を、前記天面部の周部で互いに離れて対向するように設けて、
前記第1連結部と前記第1被連結部を互いに連結した状態で、
前記天面部の周方向で互いに離れた前記一対の側壁部同士の間に、前記本体部の横幅よりも大で、且つ、外側方から前記本体部に対して近接操作可能な施工操作間隙を形成してある他物固定具。
【請求項2】
前記側壁部夫々の左右側縁部に、前記庇部から遠ざかる方向に突出するリブを、上下に沿って連設してある請求項1に記載の他物固定具。
【請求項3】
前記庇部の外周部に庇垂れ壁部を設け、その庇垂れ壁部に前記第1被連結部を設け、
前記一対の側壁部の夫々の互いに隣り合う前記リブ同士にわたって、前記施工操作間隙の上方で連設するリブ連設垂れ壁部を設け、
前記上部側支持部材を前記下地側支持部材に対して下降させて最下位の固定高さに調整させた状態で、前記リブ連設垂れ壁部の下端部を、前記庇垂れ壁部の下端部よりも上位になるように設定してある請求項2に記載の他物固定具。
【請求項4】
前記リブには、他物を取付可能な第1補助取り付け部を形成してある請求項2または3に記載の他物固定具。
【請求項5】
前記第1連結部に上下に沿ったボルト挿通用長孔を設け、
前記第1被連結部に角根ボルトの角根部挿通用の角孔を設けると共に、角根ボルトの角根部及び頭部を上方から受け入れ可能な開口部を前記角孔に連設してある請求項1に記載の他物固定具。
【請求項6】
前記角孔に受け入れる角根ボルトの角根部の上方への移動が阻止される抜け止め部を、前記開口部に設けてある請求項5に記載の他物固定具。
【請求項7】
前記側壁部に他物を固定自在な第2補助取り付け部を設けてある請求項1に記載の他物固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付下地への第1固定部を備えた下地側支持部材と、上側の固定対象である他物を固定自在な第2固定部を備え、且つ、下側の前記下地側支持部材に対して上下変位自在に連結する第1連結部を設けた上部側支持部材とを設け、前記下地側支持部材は、前記第1固定部を下端部に設けた縦筒状の本体部と、前記本体部の上部を閉じる屋根部を前記本体部に一体に連設してあると共に、前記本体部の周側面よりも外側に延設した庇部を前記本体部に一体に取り付けてあり、前記上部側支持部材は、前記屋根部及び前記庇部を上から覆い、且つ、前記第2固定部を形成した天面部を設けると共に、前記天面部の周部で一体連設して下方に垂下した側壁部に、前記第1連結部を形成し、前記第1連結部と連結する第1被連結部を前記庇部の外周部に設けてある他物固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記他物固定具は、天面部を平面視で四角形に形成すると共に、その天面部の周部の4辺夫々に一体連設する側壁部を設けてあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の側壁部は、前記天面部の周部で4~8枚一体連設してあり、そのために、
図11に示すように、全体を小型化しなければならない場合や、下地側支持部材4に対して、上部側支持部材15の高さ調整幅を大きくできるように側壁部17の上下長さを大きくしたい場合に、天面部18の周部で隣り合う側壁部17相互間の間隔Bが狭くなりやすく、例えば、下地側支持部材4の本体部7に対して、取付下地2から防水材を付設して防水層21を形成する場合や、上部側支持部材15を下地側支持部材4に連結するのに、第1連結部14と第1被連結部6とをボルトとナットで連結操作する場合、外側方から本体部7に対し、工具や手などを近接操作して施工するのが困難になるという問題点がある。
更に、この問題は、側壁部17相互の間隔Bを大きくするために、庇部9やその庇部9を上から覆う天面部18を大きくすればするほど他物等による上からの荷重により、本体部7の周側面よりも外側に延設する庇部9が変形しやすくなり、これらを防止するべく庇部9や天面部18を小さくすれば、本体部7に対して近接操作がより困難になるという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、施工のために外側方から前記本体部に対して近接操作しやすくするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、取付下地への第1固定部を備えた下地側支持部材と、上側の固定対象である他物を固定自在な第2固定部を備え、且つ、下側の前記下地側支持部材に対して上下変位自在に連結する第1連結部を設けた上部側支持部材とを設け、前記下地側支持部材は、前記第1固定部を下端部に設けた縦筒状の本体部と、前記本体部の上部を閉じる屋根部を前記本体部に一体に連設してあると共に、前記本体部の周側面よりも外側に延設した庇部を前記本体部に一体に取り付けてあり、前記上部側支持部材は、前記屋根部及び前記庇部を上から覆い、且つ、前記第2固定部を形成した天面部を設けると共に、前記天面部の周部で一体連設して下方に垂下した側壁部に、前記第1連結部を形成し、前記第1連結部と連結する第1被連結部を前記庇部の外周部に設けてある他物固定具であって、前記側壁部の一対を、前記天面部の周部で互いに離れて対向するように設けて、前記第1連結部と前記第1被連結部を互いに連結した状態で、前記天面部の周方向で互いに離れた前記一対の側壁部同士の間に、前記本体部の横幅よりも大で、且つ、外側方から前記本体部に対して近接操作可能な施工操作間隙を形成してある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記側壁部の一対を、前記天面部の周部で互いに離れて対向するように設けて、前記第1連結部と前記第1被連結部を互いに連結した状態で、前記天面部の周方向で互いに離れた前記一対の側壁部同士の間に、前記本体部の横幅よりも大で、且つ、外側方から前記本体部に対して近接操作可能な施工操作間隙を形成してあることにより、前記施工操作間隙を介して外側方から本体部に対して、工具や手などが近接しやすくなり、下地側支持部材を下地に設置後に、例えば、下地から防水材を本体部に付設したり、下地側支持部材に対する上部側支持部材の上下取付高さを調整して連結操作する場合にも楽にできるようになる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記側壁部夫々の左右側縁部に、前記庇部から遠ざかる方向に突出するリブを、上下に沿って連設してある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、前記施工操作間隙を狭めることなく側壁部夫々の強度を上げることができ、第2固定部で固定した他物の荷重を夫々の側壁部で支持しながら、第1連結部から第1被連結部を介して下地側支持部材に伝達して安定支持できるようになる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記庇部の外周部に庇垂れ壁部を設け、その庇垂れ壁部に前記第1被連結部を設け、前記一対の側壁部の夫々の互いに隣り合う前記リブ同士にわたって、前記施工操作間隙の上方で連設するリブ連設垂れ壁部を設け、前記上部側支持部材を前記下地側支持部材に対して下降させて最下位の固定高さに調整させた状態で、前記リブ連設垂れ壁部の下端部を、前記庇垂れ壁部の下端部よりも上位になるように設定してある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、リブ連設垂れ壁部により一対の側壁部は互いに連設されるために、一対の側壁部は、リブ及びリブ連設垂れ壁部により一部筒型に形成されて、より補強され、しかも、前記上部側支持部材を前記下地側支持部材に対して下降させて最下位の固定高さに調整させた状態で、前記リブ連設垂れ壁部の下端部を、前記庇垂れ壁部の下端部よりも上位になるように設定してあることにより、下地側支持部材に対して上部側支持部材を最下位に降下して連結しても、そのリブ連設垂れ壁部によって、施工操作間隙を介しての本体部への近接操作が阻害されることはない。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記リブには、他物を取付可能な第1補助取り付け部を形成してある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、前記リブに設ける第1補助取り付け部には、第2固定部とは別に異なった方向からの他物の取り付け固定ができ、他物固定機構の多様性を向上させることができる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、前記第1連結部に上下に沿ったボルト挿通用長孔を設け、
前記第1被連結部に角根ボルトの角根部挿通用の角孔を設けると共に、角根ボルトの角根部及び頭部を上方から受け入れ可能な開口部を前記角孔に連設してある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、第1連結部と第1被連結部を連結する場合に、側壁部に設けた第1連結部にボルトを挿通させて、その角根ボルトにナットを仮螺合させた状態で、そのまま下降させて第1被連結部に設けた開口部を介して、角根部及び頭部を角孔に挿入させれば、第1連結部及び第1被連結部にボルトが挿通する状態になり、ナットを締め付けるだけで、下地側支持部材に対して上部側支持部材が連結固定される。
つまり、庇部の内側の狭い空間に工具や手などを差し入れなくとも連結操作ができ、下地側支持部材に対する上部側支持部材の高さ調整や、固定操作が簡単にでき、施工性を向上させることができる。
【0016】
本発明の第6の特徴構成は、前記角孔に受け入れる角根ボルトの角根部の上方への移動が阻止される抜け止め部を、前記開口部に設けてある。
【0017】
本発明の第6の特徴構成によれば、前記角孔に挿入して角根ボルトは、開口部に設けた抜け止め部により、角根ボルトの角根部の上方への移動が阻止されるために、下地側支持部材に対する上部側支持部材の高さ調整操作時に、角根ボルトが角孔から開口部を通して不足に抜けることを防止でき、高さ調整作業が楽にできるようになる。
【0018】
本発明の第7の特徴構成は、前記側壁部に他物を固定自在な第2補助取り付け部を設けたところにある。
【0019】
本発明の第7の特徴構成によれば、他物を天面部よりもいっそう低い位置に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本発明の第1実施形態の組付け状態を示す斜視図である。
【
図3】設置状態の下地側支持部材の縦断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態の組付け設置状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態の組付け設置状態を示す斜視図である。
【
図13】別実施形態の組付け状態を示す正面図である。
【
図14】別実施形態の一枚のソーラーパネルを取り付けた状態の斜視図である。
【
図15】別実施形態の二枚のソーラーパネルを取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図3に示すように、本発明の他物固定具1は、建物のベランダや屋上などに、固定対象部材としての設備機器や配線、配管等の他物30を固定するために、屋上のコンクリート床やベランダ等の建築物(取付下地2の一例)への設置部に第1固定部3を備えた下地側支持部材4と、上側の固定対象である他物30を固定自在な第2固定部16を備え、且つ、下側の下地側支持部材4に対して上下変位自在に連結する第1連結部14を設けた上部側支持部15材とを設けてある。
【0022】
〔第1実施形態〕
図1~
図3に示すように、前記下地側支持部材4は、第1固定部3を下端部に設けた縦筒状(円筒状)の本体部7と、本体部7の上部を閉じる屋根部8を本体部7に一体に連設してあると共に、本体部7の周側面よりも外側に延設した例えば平面視で四角形状の庇部9を本体部7に一体に取り付けてある。つまり、庇部9は屋根部8から一体に横方向に延設してある。
前記上部側支持部材15は、屋根部8及び庇部9を上から覆い、且つ、第2固定部16を形成した平面視四角形の天面部18を設けると共に、天面部18の周部で一体連設して下方に垂下した側壁部17に、第1連結部14を形成し、第1連結部14と連結する第1被連結部6を庇部9の外周部に設けてある。
第1連結部14に上下に沿ったボルト挿通用長孔14Aを設け、庇部9の外周部に庇垂れ壁部10を一体に設け、その庇垂れ壁部10に第1被連結部6を設けてある。
【0023】
第1被連結部6には、角根ボルト12の角根部挿通用の角孔5を設けてあり、スパナやレンチなどの工具を使用しなくても角根ボルト12の回り止めを可能としてある。
また、図中には、上部側支持部を使用せずに、直接他物30を屋根部8に載置して、ボルト連結できるように、ボルト挿入用の補助孔24を庇部9に備えている。
【0024】
前記側壁部17の一対を、平面視四角形の天面部18の周部で互いに対向する2辺に、互いに離れて対向するように一体連設し、第1連結部14と第1被連結部6を互いに連結した状態で、天面部18の周方向で互いに離れた前記一対の側壁部17同士の間に、本体部7の横幅よりも大で、且つ、外側方から本体部7に対して近接操作可能な施工操作間隙Wを形成してある(
図2)。
従って、施工操作間隙Wを介して外側方から本体部7に対して、工具や手などが近接しやすくなり、下地側支持部材4を下地に設置後に、例えば、下地から防水材を本体部7に付設したり、下地側支持部材4に対する上部側支持部材15の上下取付高さを調整して連結操作したりする場合にも楽にできるようになる。
特に、一対の側壁部17を上下に長く形成して、第1連結部14に設けたボルト挿通用長孔14Aを上下に長く形成することにより、下地側支持部材4に対する上部側支持部材15の上下連結固定調整幅を大きくする場合の本体部7に対する施工作業が、特に楽になり、施工性を向上させられる。
【0025】
図3に示すように、庇部9とは別の補助庇部20を、第2固定部16よりも下方で本体部7に付設してあり、本体部7の周側壁で補助庇部20から下に、防水層21を付設可能にしてある。
尚、上記防水層21は、防水性塗膜を形成する塗膜防水の場合もあり、塗膜防水以外に防水シートを本体部7の周面に付設するシート防水もあり、シート防水の場合には、図示しないが一般的に、その付設するシートの上部にステンレスバンドを巻いて防水シートがずり落ちないようにすると共に、その防水シートの上部と補助庇部20の下面とに亘って液状の硬化型シール材を充填する。
【0026】
補助庇部20の外周縁は、外側ほど低くなる傾斜面に形成して、その傾斜面により、補助庇部20に降りかかる雨水があっても、その雨水は、本体部7からより遠ざかる方向に流されて、本体部7が濡れにくくなるばかりか、例えば補助庇部20の下側で本体部7の周部に防水層21を形成する場合、補助庇部20の下方から防水層21の上端部にかけて液状シール材を充填するのに、補助庇部20の外周縁に形成される前記傾斜面により、液状シール材を充填するカートリッジの先端ノズルが本体部7の周面に誘導されて施工の確実性が向上し、防水層21の上端部と本体部7との界面に対する防水性は、より一層確保しやすくなる。
【0027】
〔第2実施形態〕
図4~
図8に示すように、前記側壁部17夫々の左右側縁部に、庇部9から遠ざかる方向に突出するリブ25を、上下に沿って連設してある。
従って、平板から成る側壁部17は、例えばその板厚が薄かったりすると、他物30等の上からの大きな荷重により座屈したり、偏荷重により曲がり変形したりする虞があるのを、リブ25の連設により、それらの変形を防止でき、前記施工操作間隙Wを狭めることなく側壁部17夫々の強度を上げることができる。そのために、第2固定部16で固定した他物30の荷重を夫々の側壁部17で支持しながら、第1連結部14から第1被連結部6を介して下地側支持部材4に伝達して安定支持できるようになる。
【0028】
前記庇部9の外周部に庇垂れ壁部10を設け、その庇垂れ壁部10に第1被連結部6を設け、更に、一対の側壁部17の夫々の互いに隣り合うリブ25同士にわたって、施工操作間隙Wの上方で、且つ、天面部18より垂下して連設するリブ連設垂れ壁部26を設けてあり、上部側支持部材15を下地側支持部材4に対して下降させて最下位の固定高さに調整させた状態で(
図5→
図6)、リブ連設垂れ壁部26の下端部を、庇垂れ壁部10の下端部よりも上位になるように設定してある。
従って、一対の側壁部17夫々に連設する一対の縦方向のリブ25と、一対のリブ25間に亘って横方向に連設するリブ連設垂れ壁部26とが一体となって、側壁部17の変形をより一層防止でき、しかも、上部側支持部材15を下地側支持部材4に対して最下位に下げて連結しても、
図6に示すように、リブ連設垂れ壁部26によって施工操作間隙Wを通しての本体部7に対する外側方からの工具や手などの近接操作の障害にはならない。
尚、上記の機能を満たすためには、リブ連設垂れ壁部26の形状において、
図4~
図10では、リブ25との連設部を一体化するための補強のために、少し斜めの下辺部を形成するようになっているが、左右両リブ25間に亘って横方向に連接した中間部の大部分が少なくとも上記の条件を満たしていればよい。つまり、リブ連設垂れ壁部26は、その横方向の中間部の大部分が、少なくとも庇垂れ壁部10の下端部よりも上位になるように設定してあればよい。
【0029】
尚、製作上は、前記リブ25とリブ連設垂れ壁部26とは、夫々各別の金属板で成形してあって、それらを、溶接などで側壁部17及び天面部18に一体化してもよく、又は、前記リブ25とリブ連設垂れ壁部26とは一連の金属板から形成されていて、それらを側壁部17及び天面部18に溶接により一体化してあってもよく、又は、あるいは、側壁部17とリブ25とが一体の金属板から成形してあって、リブ連設垂れ壁部26を形成する別部材の金属板を、リブ25及び天面部18に溶接などで一体化してあってもよく、又は、天面部18と側壁部17とリブ25とリブ連設垂れ壁部26とが鋳造成形などで一体成型されていてもよい。
【0030】
図4、
図5、
図8に示すように、第1被連結部6に角根ボルト12の角根部挿通用の角孔5を設けると共に、角根ボルト12の角根部12A及び頭部12Bを上方から受け入れ可能な開口部11を前記角孔5に連設してある。
したがって、第1連結部14と第1被連結部6を連結する場合に、側壁部17に設けた第1連結部14にボルトを挿通させて、その角根ボルト12にナット13を仮螺合させた状態で、そのまま下降させて第1被連結部6に設けた開口部11を介して、角根部12A及び頭部12Bを角孔5に挿入させれば、第1連結部14及び第1被連結部6にボルトが挿通する状態になり、ナット13を締め付けるだけで、角根ボルトには、角孔5で回り止めされた状態で、下地側支持部材4に対して上部側支持部材15が連結固定される。
つまり、庇部9の内側の狭い空間に工具や手などを差し入れなくとも連結操作ができ、下地側支持部材4に対する上部側支持部材15の高さ調整や、固定操作が簡単にでき、施工性を向上させることができる。
【0031】
また、
図4~
図5、
図8に示すように、前記角孔5に受け入れる角根ボルト12の角根部12Aの上方への移動が阻止される抜け止め部27を、前記開口部11に設けてある。
つまり、抜け止め部27は、角孔5の上端部における開口部11に、左右から内側に膨出する突出部を設け、左右の突出部間の間隔は角根部12Aの幅より少し大きくなっていて、上方からの角根部12Aの角孔5内への侵入は許容しながら、角根ボルト12が上方へ移動しようとする動きに対しては、角根ボルト12の角根部12Aが引っかかりやすくなり、そのために、下地側支持部材4に対して、上部側支持部材15の上下高さを調整するために上方に持ち上げた時に、角根ボルト12が開口部11から上方に不足に抜け出すのを抑制できるように形成してある。
【0032】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 前記本体部7は、円筒状以外に例えば四角筒等の多角筒状であってもよい。
〈2〉 前記本体部7は、
図9に示すように、四角筒形状ではあるけれども、その4面ある各側面は、側壁部17と平行ではなく交差する面に形成してあれば、一対の側壁部17間の施工操作間隙Wを通して工具や手などを挿入して防水施工する際などに、左右どの角度からでも工具や手などが本体部7に近接しやすくなり、一層作業性が向上する。
〈3〉 前記庇部9は、必ずしも屋根部8から一体に横方向に延設してなくても、屋根部8とは別の上下位置に配置して、本体部7の周側面より外側に延設してあってもよい。
〈4〉 屋根部8及び庇部9、並びに、屋根部8を上方から覆う天面部18を、平面視で四角形以外の多角形や、円形に形成してあってもよい。そこで、天面部18が円形で、一対の側壁部17が部分円筒形である場合、それらの部分円筒形の側壁部17は、前記リブ25がなくとも平板よりも補強になり、やはり、一対の側壁部17間は、本体部7の横幅よりも大きな施工操作間隙Wを形成する。
〈5〉 第1連結部14と第1被連結部6とを連結するのに、角根ボルト12とナット13を使用する以外に、一般的なボルトとナットで連結してもよい。
〈6〉 前記リブ25には、
図10に示すように、ボルト挿通孔32を設けて、チャンネル材等の他物30を取付できる第1補助取り付け部33に形成してあってもよい。
〈7〉
図12~
図15に示すように、側壁部17から横方向に突設させたブラケットに第2補助取り付け部35を形成して、チャンネル材や角材などの金属製の他物30を取付できるようにしてもよく、この場合、例えばソーラーパネル36を前記他物30に取り付けて、ソーラーパネル設置高さをより低い位置に設定できるようになる。
尚、下地側支持部材4に対して、上部側支持部材15の上下固定高さ調整をしたり、天面部18の固定角度の調整をして、ソーラーパネル36の設置角度を自在に調整できるようになる。
図12では、他物30は角筒状部材であって、その両端部には、第2補助取り付け部35に上方から嵌合してボルト連結するための切欠き部38を設けてある。
他の構造としては、上記他物30を、角筒状部材に代えて長手方向に沿った溝を備えた断面コの字型のチャンネル材で形成して、その断面コの字型のチャンネル材の溝が下側に位置するようにして、その両端部を、夫々第2補助取り付け部35に嵌合連結させても良い。
また、図中の37は、ソーラーパネル36を、他物30に固定するための金属製の掛止固定部材を示す。
【0033】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
2 取付下地
3 第1固定部
4 下地側支持部材
5 角孔
6 第1被連結部
7 本体部
8 屋根部
9 庇部
10 庇垂れ壁部
11 開口部
12 角根ボルト
12A 角根部
12B 頭部
14 第1連結部
15 上部側支持部材
16 第2固定部
17 側壁部
18 天面部
25 リブ
26 リブ連設垂れ壁部
27 抜け止め部
30 他物
W 施工操作間隙