(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140543
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】プラズマ発生器
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046433
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】納富 隼人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 豊
(72)【発明者】
【氏名】天立 茂樹
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB01
2G084BB06
2G084BB37
2G084CC04
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD55
2G084DD65
2G084DD68
2G084FF01
2G084FF02
2G084FF22
2G084FF32
2G084FF33
2G084FF39
(57)【要約】
【課題】誘導結合プラズマを発生させるガス圧力およびガス流量の範囲を広くする。
【解決手段】プラズマ発生器は、ガスが内部に導入され、内部においてプラズマを発生する。プラズマ発生器は、放電管と、放電管の外周に巻かれたコイルと、放電管の一方の開口を塞ぐ蓋部とを備える。蓋部は、放電管の中心軸に対応する位置に、外部から放電管の内部へとガスを導入するためのガス導入孔が形成される。蓋部の下端部からコイルの端部までの上流部における中心軸方向の長さは、コイルの中心軸方向の長さ以下である。コイルのうち、電流が流れる電流経路部のコイルの中心軸方向の長さは、上流部における中心軸方向の長さよりも短い。蓋部の下端部から電流経路部の端部までの中心軸方向の長さは、電流経路部の中心軸方向の長さよりも長い。放電管の内径は、上流部における中心軸方向の長さよりも短い。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが内部に導入され、内部においてプラズマを発生するプラズマ発生器であって、
絶縁体で構成された円筒状の放電管と、
前記放電管の外周に、前記放電管の中心軸を中心に巻かれた導電体のコイルと、
前記放電管の一方の開口を塞ぐ蓋部と
を備え、
前記蓋部は、前記放電管の中心軸に対応する位置に、外部から前記放電管の内部へと前記ガスを導入するためのガス導入孔が形成され、
前記蓋部の下端部から前記コイルの端部までの上流部における中心軸方向の長さは、前記コイルの中心軸方向の長さ以下であり、
前記コイルのうち、電流が流れる電流経路部の前記コイルの中心軸方向の長さは、前記上流部における中心軸方向の長さよりも短く、
前記コイルの一部が前記電流経路部になっており、前記蓋部の下端部から前記電流経路部の端部までの中心軸方向の長さは、前記電流経路部の中心軸方向の長さよりも長く、
前記放電管の内径は、前記上流部における中心軸方向の長さよりも短い
プラズマ発生器。
【請求項2】
前記ガス導入孔の内径は4mmの円形であり、
前記上流部における中心軸方向の長さは126mmであり、
前記放電管の内径は73mmであり、
前記コイルは、断面が10mm角の正方形の導電体を13mmのピッチで10回巻かれて構成されており、そのうち6回分が前記電流経路部となっている
請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項3】
前記コイルは中空で内部を冷媒が流れるように構成されている
請求項1または2に記載のプラズマ発生器。
【請求項4】
前記コイルは、1.7MHz以上、2.3MHz以下の高周波電圧が印加される
請求項1から3の何れか1項に記載のプラズマ発生器。
【請求項5】
前記ガスは、O2である
請求項1から4の何れか1項に記載のプラズマ発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスでは、プラズマを用いた処理が行われる。プラズマは、プロセスガスが内部に導入され、内部においてプラズマを発生する放電管を有するプラズマ発生器を用いて生成される。特許文献1および特許文献2には、誘導結合プラズマ(ICP)を発生させるプラズマ発生器が記載されている。
【0003】
ところで、従来のプラズマ発生器は、コイルと結合すべきプラズマが下流側に流されて効率が低下し、ICPを安定的に発生することができない場合があった。このため、従来のプラズマ発生器は、ICPを発生させることができるガス圧力およびガス流量の範囲が狭く、ICPを安定的に発生させることができる条件が厳しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-161319号公報
【特許文献2】特開2020-057464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、誘導結合プラズマを発生させるガス圧力およびガス流量の範囲が広いプラズマ発生器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るプラズマ発生器は、ガスが内部に導入され、内部においてプラズマを発生するプラズマ発生器であって、絶縁体で構成された円筒状の放電管と、前記放電管の外周に、前記放電管の中心軸を中心に巻かれた導電体のコイルと、前記放電管の一方の開口を塞ぐ蓋部とを備え、前記蓋部は、前記放電管の中心軸に対応する位置に、外部から前記放電管の内部へと前記ガスを導入するためのガス導入孔が形成され、前記蓋部の下端部から前記コイルの端部までの上流部における中心軸方向の長さは、前記コイルの中心軸方向の長さ以下であり、前記コイルのうち、電流が流れる電流経路部の前記コイルの中心軸方向の長さは、前記上流部における中心軸方向の長さよりも短く、前記コイルの一部が電流経路部になっており、前記蓋部の下端部から前記電流経路部の端部までの中心軸方向の長さは、前記電流経路部の中心軸方向の長さよりも長く、前記放電管の内径は、前記上流部における中心軸方向の長さよりも短い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、誘導結合プラズマを発生させるガス圧力およびガス流量の範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るプラズマ発生装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るプラズマ発生器の外観を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るプラズマ発生器の断面を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るプラズマ発生器の寸法を示す図である。
【
図5】
図5は、前記蓋部の下端部からコイルの上端までの長さを100mmにした場合、ガス流量およびガス圧力の条件毎のプラズマ発生状態を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るプラズマ発生器における、ガス流量およびガス圧力の条件毎のプラズマ発生状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係るプラズマ発生装置10を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態に係るプラズマ発生装置10の構成を示す図である。実施形態に係るプラズマ発生装置10は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を発生させる装置である。
【0011】
実施形態に係るプラズマ発生装置10は、高周波電源12と、インピーダンス整合回路14と、プラズマ発生器20とを備える。
【0012】
高周波電源12は、RF(Radio Frequency)帯域の周波数の高周波電力を出力する。インピーダンス整合回路14は、高周波電源12から出力された高周波電力をインピーダンス整合してプラズマ発生器20へと供給する。
【0013】
プラズマ発生器20は、ガスが内部に導入され、内部においてプラズマを発生する。プラズマ発生器20により発生されたプラズマは、例えばプラズマ処理室へと送出され、エッチング等の各種の処理に用いられる。
【0014】
プラズマ発生器20は、円筒状の放電管22と、導電体のコイル24と、蓋部26とを備える。放電管22は、石英、アルミナ等の絶縁体で構成される。
【0015】
コイル24は、放電管22の外周に、放電管22の中心軸を中心に巻かれる。コイル24は、高周波電源12からインピーダンス整合回路14を介して高周波電力が供給される。
【0016】
蓋部26は、アルミニウム等の金属で構成されており、放電管22の一方の開口を塞ぐ。さらに、蓋部26は、放電管22の中心軸に対応する位置に、外部から放電管22の内部へとガスを導入するためのガス導入孔28が形成されている。
【0017】
このようなプラズマ発生器20は、放電管22の内部が高真空状態に保たれ、ガス導入孔28からガスが内部に導入される。そして、プラズマ発生器20は、コイル24に流れる高周波電流により発生する変動磁場との誘導結合によって放電管22の内部のガスをプラズマ化し、誘導結合プラズマ(ICP)を発生する。発生したプラズマは、放電管22における、ガス導入孔28とは反対側の開口から、プラズマ処理室等へと送出される。
【0018】
図2は、実施形態に係るプラズマ発生器20の外観を示す図である。
図3は、実施形態に係るプラズマ発生器20の断面を示す図である。
【0019】
プラズマ発生器20は、図中上側からガスが導入され、図中下側からプラズマを送出する。プラズマ発生器20に流れるガスの上流側を上側、ガスの下流側を下側とする。
【0020】
プラズマ発生器20は、放電管22と、上側フランジ42と、上側連結筒44と、蓋部26を備える。
【0021】
放電管22は、石英、アルミナ等の絶縁体である。放電管22は、内部に、プラズマの材料となるガスが中心軸方向に通過する。
【0022】
上側フランジ42は、アルミニウム等の金属で構成されており、放電管22の外周における、放電管22の上側の近傍に設けられる。上側フランジ42は、外周が円形であり、中心が円状に開口している。また、上側フランジ42は、中心の開口が放電管22の外周と一致しており、放電管22が開口に挿入された状態で取り付けられる。
【0023】
上側連結筒44は、アルミニウム等の金属で構成されており、放電管22における上側に取り付けられる。上側連結筒44は、略円筒状であって、内周が放電管22の外周と一致しており、内部に放電管22が挿入される。また、上側連結筒44は、下部位置において外周方向に延びている。この延出された部分が第1フランジ46として機能する。また、上側連結筒44は、上部位置において外周方向に延びている。この延出された部分が第2フランジ48として機能する。
【0024】
また、上側連結筒44の下端位置の内側(放電管22側)には切り欠きが形成されており、Oリング91が挿入される。第1フランジ46と上側フランジ42とをボルト等で固定することによって、Oリング91が第1フランジ46と上側フランジ42との間に挟み込まれる状態となり、Oリング91が変形するので、放電管22と第1フランジ46との間が塞がれる。これにより、放電管22の上方における気密性が保たれる。
【0025】
蓋部26は、円板状である。蓋部26は、円の縁が、上側連結筒44に形成された第2フランジ48の上に乗せ置かれた状態で、上側連結筒44に固定される。これにより、蓋部26は、放電管22の一方の開口を塞ぐことができる。
【0026】
さらに、蓋部26は、放電管22の中心軸に対応する位置に、ガス導入孔28が形成されている。これにより、蓋部26は、放電管22の内部の圧力を保ちつつ、放電管22の外部から内部へとガスを導入させることができる。なお、図中において、ガス導入孔28の周囲に4つの穴が形成されているが、これら4つの穴は、貫通しておらず、蓋部26の取り付けの際に用いられる。
【0027】
蓋部26と第2フランジ48との間には、接続部材49が設けられている。接続部材49は、アルミニウム等の金属で構成された環状の部材であり、環状のインナーリング、アウターリング及び両者の間に設けられたOリングによって構成されている。このような接続部材49を蓋部26と第2フランジ48との間に挟んだ状態で、蓋部26と第2フランジ48とを取り付けると、Oリングによって蓋部26と第2フランジ48との間の気密性を保つことができる。なお、蓋部26と第2フランジ48とを一体形成してもよい。このようにすれば、接続部材49が不要となり、コストを低減することができる。
【0028】
さらに、プラズマ発生器20は、コイル24を備える。コイル24は、放電管22における中心軸方向における中央領域に設けられる。コイル24は、断面の外周形状が矩形、例えば正方形である。コイル24は、線状の導電体であって、放電管22の外周に、放電管22の中心軸を中心に所定のピッチで、所定の周回数分巻かれる。これにより、コイル24は、放電管22の外周に、放電管22の中心軸を中心に巻かれた状態となる。
【0029】
コイル24は、内部が中空であって、内部に冷媒が流れる冷却管52を含む。また、コイル24は、一方の端部に第1接続部54が設けられ、他方の端部に第2接続部56が設けられる。第1接続部54および第2接続部56の一方は、冷媒をコイル24の内部の冷却管52に導入するための接続治具であり、他方が冷媒をコイル24の冷却管52から送出させるための接続治具である。これにより、コイル24内の冷却管52は、一方の端部から他方の端部まで、内部に冷媒を流し、コイル24および放電管22を冷却することができる。コイル24は、このような冷却管52を含むことにより、コイル24による発熱を効率良く冷却することができる。
【0030】
また、コイル24は、一方の端部から他方の端部までの間の途中に、第1電極62および第2電極64が設けられる。第1電極62および第2電極64には、インピーダンス整合回路14から高周波電力が供給される。これにより、コイル24は、第1電極62と第2電極64との間に高周波電力に応じた電流が流され、高周波磁界を発生させることができる。
【0031】
さらに、プラズマ発生器20は、下側フランジ72と、下側連結筒74とを備える。
【0032】
下側フランジ72は、アルミニウム等の金属で構成されており、放電管22の外周における、放電管22の下側の近傍に設けられる。下側フランジ72は、外周が円形であり、中心が円状に開口している。また、下側フランジ72は、中心の開口が放電管22の外周と一致しており、放電管22が開口に挿入された状態で取り付けられる。
【0033】
下側連結筒74は、アルミニウム等の金属で構成されており、放電管22における下側に取り付けられる。下側連結筒74は、略円筒状であって、内周が放電管22の外周と一致しており、内部に放電管22が挿入される。また、下側連結筒74は、上部位置において外周方向に延びている。この延出された部分が第3フランジ76として機能する。また、上側連結筒44は、下部位置において外周方向に延びている。この延出された部分が第4フランジ78として機能する。
【0034】
さらに、プラズマ発生器20は、冷却管支持部82と、下側冷却管84とを備える。
【0035】
冷却管支持部82は、アルミニウム等の金属で構成されており、放電管22の外周における、下側フランジ72の上側に設けられる。冷却管支持部82は、下側冷却管84を保持する。また、放電管22の外周に沿って上方に伸びた形状をしている。
【0036】
また、冷却管支持部82の下端位置の内側(放電管22側)には切り欠きが形成されており、Oリング92が挿入される。冷却管支持部82と下側フランジ72とをボルト等で固定することによって、Oリング92が冷却管支持部82と下側フランジ72との間に挟み込まれる状態となり、Oリング92が変形するので、放電管22と冷却管支持部82との間が塞がれる。これにより、放電管22の下方における気密性が保たれる。
【0037】
下側冷却管84は、下側フランジ72の上側部分の放電管22の外周に略1周巻かれる。
【0038】
下側冷却管84は、一方の端部に第3接続部86が設けられ、他方の端部に第4接続部88が設けられる。第3接続部86および第4接続部88の一方は、冷媒を下側冷却管84に導入するための接続治具であり、他方が冷媒を下側冷却管84から送出させるための接続治具である。これにより、下側冷却管84は、放電管22を冷却することができる。
【0039】
このような構成のプラズマ発生器20は、ガス導入孔28からプラズマの材料となるガスが内部に導入されるとともに、コイル24に高周波電力を供給される。まず、プラズマ発生器20は、コイル24の電圧により、真空状態とされた放電管22内部でガスを電離させて容量性結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を発生させる。そして、プラズマ発生器20は、コイル24に流れる電流が増加されると、誘導磁界を発生させ、誘導性結合プラズマ(ICP)を発生させる。本実施形態に係るプラズマ発生器20は、誘導性結合プラズマ(ICP)を安定的に発生し、発生を維持することができる。
【0040】
図4は、広範囲のガス圧力およびガス流量により誘導性結合プラズマ(ICP)を安定的に発生し、発生を維持することができる条件の一例を説明するための図である。
【0041】
ここで、蓋部26の下端部からコイル24の上流側の端部までを、上流部102とする。上流部102における中心軸方向の長さは、コイル24の中心軸方向の長さ以下である。コイル24の中心軸方向の長さは、コイル24における第1接続部54が接続された端部から、第2接続部56が接続された端部までの、中心軸方向の長さである。
【0042】
また、コイル24における電流が流れる部分、すなわち、第1電極62から第2電極64までの部分を、電流経路部104とする。電流経路部104における中心軸方向の長さは、上流部102における中心軸方向の長さよりも短い。
【0043】
また、蓋部26の下端部から、電流経路部104における上流側の端部までの中心軸方向の長さは、電流経路部104における中心軸方向の長さよりも長い。
【0044】
また、放電管22における内径は、上流部102における中心軸方向の長さよりも短い。
【0045】
以上の構成により、プラズマ発生器20は、誘導性結合プラズマ(ICP)を安定的に発生し、発生を維持することができる。
【0046】
以下、さらに具体的な寸法例等を示す。
【0047】
まず、放電管22の内径は、73mmである。また、ガス導入孔28は、円形であり、内径が4mmである。上流部102における中心軸方向の長さは、126mmである。コイル24の中心軸方向の長さは、130mmである。
【0048】
コイル24は、断面が10mm角の正方形である。コイル24は、13mmのピッチで10回巻かれて構成される。そして、電流経路部104は、10回巻かれたうちの6回分である。例えば、電流経路部104は、上から3巻目から8巻目までの部分である。従って、コイル24の電流経路部104における中心軸方向の長さは、78mmである。また、蓋部26の下端部から、電流経路部104における上流側の端部までの中心軸方向の長さは、152mmである。
【0049】
また、コイル24は、1.7MHz以上、2.3MH以下の高周波電圧が印加される。さらに、ガス導入孔28から導入されるガスは、O2である。
【0050】
図5は、蓋部26の下端部からコイル上端までの長さを100mmにした従来装置における、ガス流量およびガス圧力の条件毎のプラズマ発生状態を示す図である。
図6は、
図4に示した条件で作成したプラズマ発生器20における、ガス流量およびガス圧力の条件毎のプラズマ発生状態を示す図である。
【0051】
図5および
図6は、縦軸にガス流量(sccm)、横軸にガス圧力(Pa)を示し、ガス流量およびガス圧力毎に、プラズマの着火が可能であるか、プラズマが着火しないか、プラズマが着火するが放電を維持できないかを示す。さらに、
図5および
図6は、ガスとしてO
2を導入し、インピーダンス整合を取りながら1.7MHz以上、2.3MH以下の高周波電圧が印加されるように制御をした場合のプラズマ発生状態を示す。
【0052】
図5に示すよう、蓋部26の下端部からコイル上端までの長さを100mmにした従来装置は、ガス流量が4000sccmの場合には、180Pa~210Paの範囲でプラズマの着火が可能であるが、ガス流量が5000sccm以上の場合には、プラズマの放電を維持することができない。
【0053】
これに対して、
図6に示すように、実施形態に係るプラズマ発生器20は、ガス流量が10000sccmであっても、180Pa~250Paの範囲でプラズマの着火が可能となっている。このように、実施形態に係るプラズマ発生器20は、プラズマの着火および放電の維持可能なガス圧力およびガス流量の範囲が大幅に広くなっている。特に、
図5および
図6を比較した場合、実施形態に係るプラズマ発生器20は、2倍以上のガス流量を流しても、プラズマの着火および放電の維持可能となっている。
【0054】
【0055】
変形例に係る蓋部26は、
図7に示すように、上側連結筒44と一体的に構成されてもよい。変形例に係る蓋部26は、一方の開口が、蓋120により閉塞された円筒状である。変形例に係る蓋部26は、内径が、放電管22の外径と一致しており、放電管22の上端が挿入される。また、蓋部26は、上側連結筒44に形成された第1フランジ46と同様のフランジが、開口側の端部の外周に設けられている。
【0056】
また、変形例に係る蓋部26は、蓋120は、放電管22の中心軸に対応する位置に、ガス導入孔28が形成されている。
【0057】
このような変形例に係る蓋部26は、放電管22における上側に、上側連結筒44に代えて取り付けられる。これにより、蓋部26は、放電管22の内部の圧力を保ちつつ、放電管22の外部から内部へとガスを導入させることができる。
【0058】
このようなプラズマ発生器20は、部品数を減らすことができるとともに、取り付け作業等を容易にすることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
10 プラズマ発生装置、12 高周波電源、14 インピーダンス整合回路、20 プラズマ発生器、22 放電管、24 コイル、26 蓋部、28 ガス導入孔、44 上側連結筒、52 冷却管、74 下側連結筒、102 上流部、104 電流経路部