(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140545
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】産業設備の設計装置
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20230928BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06F30/10 200
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046435
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】522115343
【氏名又は名称】株式会社Robofull
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】山本 大
(72)【発明者】
【氏名】深谷 誠
【テーマコード(参考)】
3C100
5B146
【Fターム(参考)】
3C100AA43
3C100AA70
3C100BB13
3C100CC03
5B146AA17
5B146DE16
5B146DL08
(57)【要約】
【課題】ロボット等の専門的な知識がない場合であっても、ユーザのニーズに応じた産業設備の設計及び見積りが可能な設計装置を提供する。
【解決手段】本発明の設計装置1は、ユーザが対象工程選択画面21やワークの供給選択画面25に従ってワークの情報やワークに施したい処理を入力するだけで、入力部11、設備設計部12及び見積り算出部13が設備の設計及び費用の見積り等を行う。設備の設計においては、1ワーク当りの加工時間を示すサイクルタイムと、ロボットが一つのワークを把持し、加工が完了するまでの時間を示すタクトタイムの設定によって設備の仕様が大きく変わる。本発明の設計装置1では、サイクルタムとタクトタイム情報を元に設備の設計及び見積りを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて、ワークの搬送・加工を行うロボットを含む産業設備の設計を行う装置であって、
ユーザからの入力を受け付ける入力部と、
前記入力部から入力された入力情報から必要な機器を選択して設備を設計する設備設計部を備え、
前記入力部は、搬送・加工の種類と、前記ワークの供給方式と、前記ワークの形状を含むワーク情報と、1個当りの前記ワークの加工時間と、タクトタイムを重視するか否かのタクトタイム情報と、連続稼働時間の程度を決定する稼働時間情報を入力可能であることを特徴とする産業設備の設計装置。
【請求項2】
請求項1に記載の産業設備の設計装置であって、
前記搬送・加工の種類を、少なくとも、荷受け・荷下ろし、搬送・取出、加工、組立、検査、又は梱包のいずれかから選択し、
前記供給方式は、前記ワークの供給を、少なくとも、バラ積み、ストッカー、コンベア位置決めあり、又はコンベア位置決めなしのいずれかから選択し、
前記ワーク情報は、前記ワークの形状として、少なくとも、リング・円盤・ナット型部品、棒状部品、又はその他(板金、鋳造・鍛造による複雑形状)のいずれかから選択し、前記ワークの寸法と前記ワークの重量を入力させ、
前記稼働時間情報は、少なくとも、所定の稼働時間以上の長時間稼働を必要とするか、前記長時間稼働が不要であるかを選択する産業設備の設計装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の産業設備の設計装置であって、
前記機器及び前記設備の構築に必要な費用の見積りを行う見積り算出部を備え、
前記見積り算出部は、前記設備設計部により設計された産業設備について、機械設計費を含む設備費用、電気設計及び配線費用、ソフトウエア設計を含む費用の見積りを算出する産業設備の設計装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業設備を設計する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットを中心とする産業設備は、工場等において作業の効率化のために導入されている。このようなロボットを導入する際には、ロボットについての知識と、設備導入のためのノウハウを備えた設計者によって設計が行われる。
【0003】
特許文献1には、設計者が産業設備の設計をしやすいように、過去に製造された設備の情報を記憶したデータベースを利用して、設計の容易化を図ることができるシステムが開示されている。特許文献2に開示されたシステムでは、ロボット等の設備をアイコン化して、設計画面上にアイコンを配置させて設計ができるようになっており、同時に、設備導入の際の費用の見積りが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-219857号公報
【特許文献2】特開2019-061404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムは、設計者による産業設備の設計が容易になると共に、見積り情報も取得できるが、このような設計者がいない場合であっても、産業設備の設計を行いたいという要望が多くなってきている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、ロボットやその他の設備の知識がなければ設計を行うことができず、設計される設備に要する費用の見積りを取得することができなかった。
【0007】
本発明は、ロボット等の専門的な知識がない場合であっても、ユーザのニーズに応じた産業設備の設計を行うことができる装置を提供することを目的とする。また、本発明は、設計された装置の導入に要する費用の見積りを得ることができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の産業設備の設計装置は、コンピュータを用いて、ワークの搬送・加工を行うロボットを含む産業設備の設計を行う装置であって、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、前記入力部から入力された入力情報から必要な機器を選択して設備を設計する設備設計部を備え、前記入力部は、搬送・加工の種類と、前記ワークの供給方式と、前記ワークの形状を含むワーク情報と、1個当りの前記ワークの加工時間と、タクトタイムを重視するか否かのタクトタイム情報と、連続稼働時間の程度を決定する稼働時間情報を入力可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業設備の設計装置によれば、ユーザは、産業設備の設計にあたり、入力部に、搬送・加工の種類と、前記ワークの供給方式と、前記ワークの形状を含むワーク情報と、1個当りの前記ワークの加工時間と、タクトタイムを重視するか否かのタクトタイム情報と、連続稼働時間の程度を決定する稼働時間情報を入力すればよい。即ち、ロボットを含む産業設備についての知識がなく、設計の経験がないユーザであっても、産業設備の設計を行うことができる。ここで、タクトタイムとは、ロボットが一つのワークを把持し、加工が完了するまでの時間である。
【0010】
また、本発明の産業設備の設計装置においては、前記搬送・加工の種類を、少なくとも、荷受け・荷下ろし、搬送・取出、加工、組立、検査、又は梱包のいずれかから選択し、前記供給方式は、前記ワークの供給を、少なくとも、バラ積み、ストッカー、コンベア位置決めあり、又はコンベア位置決めなしのいずれかから選択し、前記ワーク情報は、前記ワークの形状として、少なくとも、リング・円盤・ナット型部品、棒状部品、又はその他(板金、鋳造・鍛造による複雑形状)のいずれかから選択し、前記ワークの寸法と前記ワークの重量を入力させ、前記稼働時間情報は、少なくとも、所定の稼働時間以上の長時間稼働を必要とするか、前記長時間稼働が不要であるかを選択するようにしてもよい。
【0011】
当該構成によれば、ユーザは、各入力項目について、予め準備された項目を選択し、ワーク情報を入力することにより、産業設備の設計を行うことができる。
【0012】
また、本発明の産業設備の設計装置は、前記機器及び前記設備の構築に必要な費用の見積りを行う見積り算出部を備えているときは、前記設備設計部により設計された産業設備について、機械設計費を含む設備費用、電気設計及び配線費用、ソフトウエア設計を含む費用の見積りを算出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロボット等の専門的な知識がない場合であっても、ユーザのニーズに応じた産業設備の設計を行うことができる。また、ユーザは、設計を行った産業設備の導入に要する費用の見積りを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態の一例である設備設計装置の概要を示す説明図。
【
図2】ワークに対する処理を選択する対象工程選択画面を示す説明図。
【
図3】ワークの供給方法を選択する供給選択画面を示す説明図。
【
図4】ストッカーに格納されるワークの個数を入力する個数入力部を示す説明図。
【
図5】ワークがリング状である場合のワークの情報入力部を示す説明図。
【
図6】(A)はワークが棒状部品である場合のワークの情報入力部を示す説明図(B)はワークがその他の形状である場合のワークの情報入力部を示す説明図。
【
図7】ワーク1個当りの加工時間を入力するサイクルタイム入力画面を示す説明図。
【
図8】ワークのタクトタイムの情報を入力する画面を示す説明図。
【
図9】設備の連続稼働時間を入力する画面を示す説明図。
【
図10】設計された設備の画像又は動画と、設備の仕様及び見積りを表示する設計結果画面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態の一例である産業設備の設計装置について、
図1~
図10を参照して説明する。本実施形態の設計装置1は、
図1に示すように、サーバ2及びサーバ2内に記憶されたソフトウエアによって実現される装置である。
【0016】
図1に示すように、サーバ2は、インターネット等のネットワーク3に接続されている。また、ネットワーク3には、ユーザ端末4及び設備情報データベース5が接続されている。ユーザ端末4は、パーソナルコンピュータの他、タブレット端末、或いはスマートフォン等、本実施形態の設計装置1によって形成される画面を閲覧及び操作可能な端末が該当する。設備情報データベース5は、産業用ロボットを含む各種ロボットの他、ストッカー、コンベア、認識センサ等の設備情報が記憶されたデータベースである。
【0017】
サーバ2は、主要なハードウエアとしてコンピュータを備えている。コンピュータは、CPU等のプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスク、又はSSD(ソリッドステートドライブ)等の記憶装置、ネットワーク3への接続を行う通信部等を備えている。また、サーバ2の記憶装置には、サーバ2を本実施形態の設計装置1として作動させるためのプログラムが記憶されている。なお、コンピュータには、クラウドコンピューティングシステムが含まれる。
【0018】
図1に示すように、サーバ2は、プログラムにより実現される機能部として、入力部11と、設備設計部12と、見積り算出部13を備えている。入力部11は、ユーザ端末4に各種入力画面を表示させ、ユーザから入力された情報を受け付ける機能部である。設備設計部12は、入力部11によって取得された入力情報と、設備情報データベース5に記憶された機器等の設備のデータを用いて、ユーザの要望に合致する産業設備を設計する機能部である。見積り算出部13は、設備設計部12によって設計された設備の費用を見積もる機能部である。
【0019】
入力部11は、
図2~
図9の各画面をユーザ端末4に表示させ、ユーザが所望する設備の仕様について、ユーザの知識で回答可能な情報の入力を可能としている。この入力部では、ユーザがロボット等の設備に詳しくない場合であっても、ワークに対してどのような処理をしたいかについて、入力をすれば足りるようになっている。
【0020】
設備設計部12は、ユーザの要望に合致する産業設備を設計し、設計した産業設備をユーザ端末4に表示することができる(
図10)。同様に、見積り算出部13は、設備設計部12により設計された生産設備に関する見積りを行い、見積もられた費用の詳細をユーザ端末4に表示することができる(
図10)。
【0021】
設備情報データベース5は、記憶された機器として、産業用ロボットを含む各種ロボット、ストッカー、コンベア、認識センサ等の情報を記憶している。ロボットに関するデータとしては、ロボットの種類、大きさ、形状、機能、作動速度、作動範囲、消費電力、オプション装備、及び価格等のデータが記憶されている。
【0022】
設備情報データベース5におけるストッカーに関するデータとしては、ストッカーの種類、大きさ、形状、及び価格等のデータが記憶されている。コンベアに関するデータとしては、コンベアの種類、長さ、幅、駆動機構、搬送スピード、消費電力、オプション装備、及び価格等のデータが記憶されている。その他、工場において必要な設備として、認識センサ、防護フェンス、回転灯、制御盤等のデータが設備情報データベース5に記憶されている。これらのデータは、これらの製品のメーカーや代理店等から提供される。
【0023】
次に、本実施形態の設計装置1における作動について
図2~
図10を参照して説明する。ユーザは、ユーザ端末4を介して本実施形態の設計装置1に接続することが可能である。例えば、ユーザは、ユーザ端末4に予めインストールされたウエブブラウザやアプリ(プログラム)から設計装置1にアクセスすることができる。その際、ユーザは、事前に設計装置1のユーザとしてユーザ登録等を行っていなくても、設計装置1にアクセスが可能となっている。
【0024】
ユーザが設計装置1にアクセスして、産業設備の設計や費用の見積りをする場合、ユーザ端末4のウエブブラウザ等により設計装置1のURLにアクセスを行う。ユーザが本実施形態の設計装置1にアクセスすると、
図2(A)に示す対象工程選択画面21が表示される。
【0025】
ユーザは、この対象工程選択画面21において、ユーザが希望する工程の選択を行う。選択肢は、荷受け・荷下ろし、搬送・取出、加工、組立、検査、梱包又はその他から選択する。以下、本実施形態において、対象工程選択画面21で加工を選択した場合の作動について説明する。
【0026】
対象工程選択画面21において、加工を選択して、次へボタン23をクリック(又はタップ)すると、
図2(B)に示す加工内容選択画面22が表示される。ユーザは、この加工内容選択画面22において、所望の加工内容を選択する。ここで、例えば、研磨・バリ取り加工を選択する場合、ユーザ端末4において研磨・バリ取り加工の文字の前の「○」をクリックすると、
図2(B)に示すように丸印が「●」となる。
【0027】
このように、加工内容選択画面22で研磨・バリ取り加工を選択して、次へボタン23をクリックすると、
図3に示す供給選択画面25が表示される。一方で、ユーザが対象工程選択画面21に戻りたいときは、戻るボタン24をクリックする。
【0028】
供給選択画面25には、研磨・バリ取り加工を行う産業設備を構築する際の手順を示すフロー
図26と、ワークの供給に関する供給選択部27が表示されている。
図3においては、フロー
図26の供給方式の下方に表示された「1」が反転しており、現在表示されている画面がワークの供給方式を選択する画面であることが表示されている。
【0029】
ユーザは、供給選択部27において、ワークの供給方式の選択を行う。ワークの供給方式は、本実施形態では、バラ積み、ストッカー、コンベア位置決めあり、コンベア位置決めなしの各選択肢を有する。
【0030】
ワークの供給方式によっては、ワークをピックアップする際の設備の仕様が異なるため、上記各選択肢の中からユーザのニーズに合わせて供給方式を選択してもらう。例えば、ユーザがバラ積みを選択する場合は、供給選択部27においてバラ積みを選択する。
【0031】
ここで、
図3に示すように、ユーザがバラ積みを選択し、次へボタン23をクリックすると、
図4に示すように、パレティーナ・ストッカーに何個のワークが格納されているかを入力する個数入力部28が表示される。本実施形態において、ワークのバラ積みとは、パレティーナ・ストッカー等の容器内にワークが配列されずに格納されていることを意味する。なお、ユーザが対象工程選択画面21に戻りたいときは、戻るボタン24をクリックする。
【0032】
供給選択部27において、ユーザがストッカーを選択し、次へボタン23をクリックした場合も、
図4に示すように、パレティーナ・ストッカーに何個のワークが格納されているかを入力する個数入力部28が表示され、ワークの個数が入力可能となっている。本実施形態において、ストッカーとは、パレティーナ・ストッカー内にワークが配列されて格納されていることを意味する。
【0033】
ユーザが、
図4の個数入力部28において、例えば、ワークの個数が20個程度の場合には20という数字を入力し、次へボタン23をクリックすると、
図5に示すワーク形状選択画面29が表示される。
【0034】
ユーザが、
図3の供給選択部27において、コンベア位置決めあり、又はコンベア位置決めなしを選択し、次へボタン23をクリックした場合も、
図5に示すワーク形状選択画面29が表示される。コンベアによる搬送の場合は、コンベアからワークをピックアップするので、ストッカー等に関する選択肢は表示されない。
【0035】
ワーク形状選択画面29では、ユーザがワークの形状を選択すると共に、ワークの重量の入力を行い、入力部11によりワーク情報を取得する。本実施形態では、ワークの形状は、リング・円盤・ナット型部品、棒状部品、その他 (板金、鋳造・鍛造による複雑形状など)の中から選択する。ここでは、フロー
図26のワーク形状の記載の下方の数字「2」が反転しており、この画面がワーク形状を選択する画面であることが表示されている。
【0036】
ユーザがリング・円盤・ナット型部品を選択すると、
図5に示すリング状ワークの情報入力部30が表示される。ここでは、ワーク外径(内径)及びワーク高さ、即ちワークの寸法の入力を行う。また、
図5に示すように、リング状ワークの情報入力部30の下方に、ワーク重量を入力する重量入力部31が表示される。ユーザは、リング状ワークの情報入力部30において、ワーク外径(内径)及びワーク高さの入力を行い、重量入力部31においてワーク重量の入力を行って次へボタン23をクリックすると、後述する
図7に示すサイクルタイム入力画面34が表示される。
【0037】
図5のワーク形状選択画面29において、ユーザが棒状部品を選択すると、
図6(A)に示す棒状ワークの情報入力部32が表示される。ここでは、ワークの径及びワークの長さ(寸法)の入力を行う。
【0038】
また、ユーザがその他を選択すると、
図6(B)に示すその他ワークの情報入力部33が表示される。ここでは、ワーク幅、ワーク奥行、ワーク高さの入力を行う。いずれの場合も、ワーク重量の入力を行って次へボタン23をクリックすると、
図7に示すサイクルタイム入力画面34が表示される。
【0039】
図7を参照して、サイクルタイム入力画面34では、ワーク1個当りの加工時間がどの程度か、予想される加工時間を入力する。サイクルタイムが所定の閾値よりも短い場合、速度重視となり、ロボットとしてはスカラロボットが第一候補となる。また、ワークがバラ積みの状態であれば、パレティーナと加工装置との間にワークフィーダを設けてワークのピックアップの時間を短くすること等が必要となる。
【0040】
一方で、サイクルタイムが所定の閾値よりも長い場合、速度は重視されていないので、例えば、ワークがバラ積みの状態でもランダムピッキングを行えばよいため、設備の構成を簡素なものとすることができる。
【0041】
ここで、サイクルタイムの閾値は、ワークに対して行われる処理である搬送又は加工によって異なっているが、搬送の場合は1~10秒程度、加工の場合は20秒~5分というように、それぞれの処理により閾値を設定することができる。
【0042】
また、ロボットの種類としては、一般に、直角座標ロボット(直交座標型)、円筒座標ロボット、極座標ロボット、多関節ロボット(垂直多関節型)、スカラロボット(水平多関節型)、パラレルリンクロボット、及び双腕型ロボットが知られている。本実施形態の設計装置1では、製品として取引可能な各種ロボットの情報を設備情報データベース5に記憶しており、設備設計部12において、各種条件を元にこれらのロボットの選定を行っている。
【0043】
ユーザが、サイクルタイム入力画面34において加工時間を入力し、次へボタン23をクリックすると、
図8に示すタクトタイム情報入力画面35が表示される。
【0044】
タクトタイム情報入力画面35では、ユーザは、タクトタイムを重視するか、あまり重視しないかの選択を行う。タクトタイムとは、ロボットが一つのワークを把持し、加工が完了するまでの時間である。
【0045】
このタクトタイムを重視するか否かの閾値については、ワークに対する処理の種類に応じて設備設計部12おいて予め記憶されているが、ユーザの要望に応じて変更することが可能となっている。
【0046】
タクトタイムを重視する場合は、ロボットに対してスピードが求められるので、スピードの速いスカラロボが第一候補となる。一方で、加工作業の種類によっては、スカラロボで対応できない場合があるため、その場合は、6軸多関節ロボット等の他の種類のロボットを選択する。
【0047】
ユーザがタクトタイム情報入力画面35においてタクトタイムを重視するか、あまり重視しないかの選択を行い、次へボタン23をクリックすると、
図9に示すように、連続稼働時間を重視するか否かについて、連続稼働時間の程度を決定する稼働時間選択画面36が表示される。
【0048】
ユーザが稼働時間選択画面36において、所定の稼働時間以上の長時間稼働(例えば30分)を必要とするか、長時間稼働が不要であるかの稼働時間情報を選択する。長時間稼働間を希望する場合は、ワークの供給をコンベアで行うことが好ましく、パレティーナ・ストッカーを用いる場合は、数多くのワークをストック可能なものを使用する必要がある。
【0049】
一方で、長時間稼働が不要な場合は、コンベア等の設備を不要とすることができる。なお、長時間稼働の基準となる時間については、ワークの種類等に応じて設備設計部12おいて予め記憶されているが、ユーザの要望に応じて変更することが可能となっている。
【0050】
ユーザが稼働時間選択画面36において、長い連続稼働時間を希望するか、短くてもかまわないかを選択し、見積りボタン37をクリックすると、これらの入力部11から入力されたデータが設備設計部12に送信される。設備設計部12においては、設備情報データベース5のデータを基礎として、ロボット、ストッカー、或いはコンベア等の設備の設計が行われる。
【0051】
設備設計部12においては、入力部11から入力された入力情報を元に、設備情報データベース5に記憶されたデータから、ロボット等に関するデータを取得する。例えば、搬送・加工の種類が搬送の場合、ワークを搬送可能なロボットのデータを取得する。その際、入力部11によって、ワークの供給方式と、ワークの形状を含むワーク情報と、1個当りのワークの加工時間であるサイクルタイムと、タクトタイムを重視するか否かのタクトタイム情報が取得されているので、その条件に合ったロボットを検索して抽出する。
【0052】
また、見積り算出部13によって、設備設計部12により設計された産業設備に関する費用の見積りが行われる。見積り算出部13は、設備設計部12により設計された産業設備について、機械設計費を含む設備費用、電気設計及び配線費用、ソフトウエア設計を含む費用の見積りを算出する。
【0053】
設備設計部12による設備の設計と、見積り算出部による費用の見積りが行われた後、
図10に示すように、ユーザ端末4に設計結果画面38が表示される。設計結果画面38には、設備設計部12によって設計された設備の詳細と、設備の画像或いは動画と、費用の見積り等が表示される
【0054】
図10において、設備仕様の欄には、システム名称、システム機能、加工仕様、及び設備情報が表示される。また、同図には、設備の価格、連続稼働時間、タクトタイム、費用内訳、納品物、納品場所等の情報が表示される。
【0055】
設備設計部12によって抽出されたロボットが複数あれば、設置場所の制約や他の付帯設備との連携の有無等を参照し、さらに価格を参照して順位付けを行い、全体として価格が低くなるものを最終的に抽出する。また、複数抽出された設備は、
図10に示す設計結果画面38において、類似のロボットシステムの欄に表示してユーザに提示することができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、ワークの研磨・バリ取り加工を行う際の作動について説明したが、荷受け・荷下ろし、搬送・取出、組立、検査、梱包、又はその他についても、上記と同様の作動で課題を解決することができる。
【0057】
また、上記実施形態においては、設備情報データベース5がサーバ2とは別個に設けられているが、設備情報データベース5をサーバ2内に設けてもよい。また、各種画面において、ユーザの質問に回答する等の対応のため、チャット画面を表示させるボタン等を設けてもよい。
【0058】
以上のとおり、本発明の設計装置1によれば、ユーザは入力部11によって表示される各種画面で求められている情報を入力すれば、ロボットや他の設備について設計の経験がない者であっても、設備の設計を行うことができる。また、設計された設備についての費用の見積も入手することができる。
【0059】
さらに、以上の操作について、入力する情報を変更して繰り返し行うことにより、様々なバリエーションの設備の仕様と費用を知ることができる。これにより、ユーザにおいて新たな気づきが得られ、ユーザが認識していなかった設備についての情報も得ることができるので、ユーザの潜在的なニーズを引き出すことも期待できる。
【符号の説明】
【0060】
1…設計装置
2…サーバ
3…ネットワーク
4…ユーザ端末
5…設備情報データベース
11…入力部
12…設備設計部
13…見積り算出部
21…対象工程選択画面
22…加工内容選択画面
23…次へボタン
24…戻るボタン
25…供給選択画面
26…フロー図
27…供給選択部
28…個数入力部
29…ワーク形状選択画面
30…リング状ワークの情報入力部
31…重量入力部
32…棒状ワークの情報入力部
33…その他ワークの情報入力部
34…サイクルタイム入力画面
35…タクトタイム情報入力画面
36…稼働時間選択画面
37…見積りボタン
38…設計結果画面