(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140547
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20230928BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/18 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046437
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼我 隆之
(57)【要約】
【課題】電動車両を充電することができ、駐車効率の向上を図ることもできる、機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】機械式駐車装置1は、車両2を収容可能な複数の格納棚3と、車両2を載置して格納棚3に収容する複数のパレット4と、使用していないパレット4を仮置き可能な仮置き棚5と、を備え、複数の格納棚3のうち少なくとも一つは収容された電動車両21を充電可能な充電棚31であり、仮置き棚5の個数は充電棚31の個数と同数であり、パレット4の枚数は格納棚3の個数と同数であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を収容可能な複数の格納棚と、前記車両を載置して前記格納棚に収容する複数のパレットと、を備えた機械式駐車装置であって、
使用していないパレットを仮置き可能な仮置き棚を備え、
前記複数の格納棚のうち少なくとも一つは収容された電動車両を充電可能な充電棚であり、
前記仮置き棚の個数は前記充電棚の個数と同数であり、
前記パレットの枚数は前記複数の格納棚の個数と同数である、
ことを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記パレットの搬送を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記充電棚と前記仮置き棚と前記格納棚を用いて前記パレットを入れ替えながら前記電動車両を充電可能な輪番充電を行うように構成されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記パレットの搬送を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記充電棚と前記仮置き棚と前記格納棚を用いて前記パレットを入れ替えながら前記電動車両を充電可能な輪番充電モードと、前記充電棚に充電しない車両又は前記電動車両以外の車両を収容可能な駐車優先モードと、を切り替え可能に構成されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記充電棚の個数は、前記車両の車高によって分類された群数に基づいて設定されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記充電棚の個数が複数である場合に、前記充電棚は、前記パレットの昇降路に対して同じ片側に配置されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記充電棚は、前記車両を入出庫させる乗降室に近い位置に配置されている、請求項5に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記仮置き棚の個数が複数である場合に、前記仮置き棚は、前記格納棚の設置空間内に分散して配置されている、又は、前記格納棚の設置空間内の一部分に集約して配置されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
前記仮置き棚の個数が複数である場合に、少なくとも一対の前記仮置き棚は同じ高さに配置されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
前記パレットの昇降路に対して少なくとも片側に前記充電棚及び前記仮置き棚が配置されており、前記パレットを旋回させずに、前記格納棚、前記充電棚及び前記仮置き棚に搬送可能に構成されている、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関し、特に、電動車両を充電可能な機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、立体空間を効率的に利用する大規模な機械式駐車装置として、車両をパレットに載置して収容する、エレベータ方式、水平循環方式等の駐車装置が既に開発されている。
【0003】
また、近年、電気をエネルギー源とする電動モータを動力源とする電気自動車(EV:Electric Vehicle)が普及しつつある。また、電動モータの他に内燃機関(エンジン)を動力源として併せ持つハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)も普及しつつある。以下、本明細書において、「電動車両」とは、電気自動車(EV)及びハイブリッド車(HV)の両方を含むものとする。
【0004】
現在の電動車両は、外部電源から充電可能な二次電池(蓄電池)を有し、二次電池から電動モータに電気を供給して駆動させる方式が一般的である。係る電動車両が普及するにつれ、機械式駐車装置には複数の電動車両が駐車されることとなる。
【0005】
例えば、特許文献1には、電動車両を充電可能な充電用駐車部を少なくとも1箇所備え、前記充電用駐車部に格納可能な充電用パレットを有し、前記充電用パレットは、前記充電用駐車部の数よりも少なくとも1枚以上多い枚数が備えられるとともに、前記充電用パレットを含む全てのパレットの総数は、前記充電用駐車部を含む全ての駐車部の総数に対し、1乃至充電用駐車部の個数分少ないことを特徴とする充電機能を備えた立体駐車設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された駐車装置では、パレットの総数が駐車部の総数に対して少なくとも一個以上の個数が少ないことから、最大限に駐車した場合であっても駐車できる車両の総数が少なくなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は係る問題点に鑑み創案されたものであり、電動車両を充電することができ、駐車効率の向上を図ることもできる、機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、車両を収容可能な複数の格納棚と、前記車両を載置して前記格納棚に収容する複数のパレットと、を備えた機械式駐車装置であって、使用していないパレットを仮置き可能な仮置き棚を備え、前記複数の格納棚のうち少なくとも一つは収容された電動車両を充電可能な充電棚であり、前記仮置き棚の個数は前記充電棚の個数と同数であり、前記パレットの枚数は前記複数の格納棚の個数と同数である、ことを特徴とする機械式駐車装置が提供される。
【0010】
前記機械式駐車装置は、前記パレットの搬送を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記充電棚と前記仮置き棚と前記格納棚を用いて前記パレットを入れ替えながら前記電動車両を充電可能な輪番充電を行うように構成されていてもよい。
【0011】
前記機械式駐車装置は、前記パレットの搬送を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記充電棚と前記仮置き棚と前記格納棚を用いて前記パレットを入れ替えながら前記電動車両を充電可能な輪番充電モードと、前記充電棚に充電しない車両又は前記電動車両以外の車両を収容可能な駐車優先モードと、を切り替え可能に構成されていてもよい。
【0012】
前記充電棚の個数は、前記車両の車高によって分類された群数に基づいて設定されていてもよい。
【0013】
前記充電棚の個数が複数である場合に、前記充電棚は、前記パレットの昇降路に対して同じ片側に配置されていてもよい。
【0014】
前記充電棚は、前記車両を入出庫させる乗降室に近い位置に配置されていてもよい。
【0015】
前記仮置き棚の個数が複数である場合に、前記仮置き棚は、前記格納棚の設置空間内に分散して配置されていてもよいし、前記格納棚の設置空間内の一部分に集約して配置されていてもよい。
【0016】
前記仮置き棚の個数が複数である場合に、少なくとも一対の前記仮置き棚は同じ高さに配置されていてもよい。
【0017】
前記充電棚及び前記仮置き棚は、前記パレットの昇降路に対して少なくとも片側に配置されており、前記機械式駐車装置は、前記パレットを旋回させずに、前記格納棚、前記充電棚及び前記仮置き棚に搬送可能に構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明に係る機械式駐車装置によれば、充電棚と同数の仮置き棚を設置し、格納棚と同数のパレットを配置したことにより、電動車両を順番に充電したり、全ての格納棚に車両を駐車したりすることができる。したがって、本発明に係る機械式駐車装置によれば、電動車両を充電することができ、駐車効率の向上を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る機械式駐車装置(輪番充電モード)を示す全体構成図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る機械式駐車装置(駐車優先モード)を示す全体構成図である。
【
図3】第一実施形態に係る機械式駐車装置の変形例を示す全体構成図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
【
図5】本発明の第三実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
【
図6】本発明の第四実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図6を用いて説明する。ここで、
図1は、本発明の第一実施形態に係る機械式駐車装置(輪番充電モード)を示す全体構成図である。
図2は、本発明の第一実施形態に係る機械式駐車装置(駐車優先モード)を示す全体構成図である。
【0021】
本発明の第一実施形態に係る機械式駐車装置1は、
図1に示したように、車両2を収容可能な複数の格納棚3と、車両2を載置して格納棚3に収容する複数のパレット4と、使用していないパレット4を仮置き可能な仮置き棚5と、を備え、複数の格納棚3のうち少なくとも一つは収容された電動車両21を充電可能な充電棚31であり、仮置き棚5の個数は充電棚31の個数と同数であり、パレット4の枚数は格納棚3の個数と同数であることを特徴とする。
【0022】
機械式駐車装置1は、例えば、エレベータ方式の駐車装置である。エレベータ方式の駐車装置は、例えば、ワイヤロープ等により建屋11の天井部から吊り下げられ、昇降装置6により昇降可能に構成されたリフト7を備えている。建屋11内には、リフト7を上下方向に昇降可能に構成された空間である昇降路10が形成されている。なお、説明の便宜上、昇降装置6とリフト7とを繋ぐワイヤの図を省略してある。
【0023】
また、機械式駐車装置1は、車両を入出庫させる空間を形成する乗降室12を備えている。乗降室12の建屋11の正面には図示しない出入口扉が配置されている。また、乗降室12に形成されたピット13には、パレット4の向きを変更する旋回装置8が設置されている。また、機械式駐車装置1は、パレット4の搬送を制御する制御装置9を備えている。制御装置9は、建屋11内に配置されていてもよいし、建屋11外に配置されていてもよい。
【0024】
なお、機械式駐車装置1は、図示した構成に限定されるものではなく、車両2をパレット4に載置して搬送可能な形式であれば、くし型エレベータ方式、水平循環方式等の他の方式の駐車装置であってもよい。
【0025】
車両2は、電動車両21とガソリン等の石油燃料により駆動される車両の両方を含む意味である。また、電動車両21は、電気をエネルギー源とする電動モータを動力源とする電気自動車(EV:Electric Vehicle)及び電動モータの他に内燃機関(エンジン)を動力源として併せ持つハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)の両方を含むものとする。
【0026】
また、車両2は、車高によって、乗用車N、ミドルルーフ車M及びハイルーフ車Hの三つの群に分類される。
図1に示した機械式駐車装置1は、全ての車高(三つの群)の車両2を駐車可能に構成されている。電動車両21は、パレット4に載置されると手動で又は自動的に図示しない充電端子に接続される。
【0027】
パレット4は、車両2を載置する板部材である。パレット4は、リフト7と格納棚3との間で受け渡し可能に構成されている。車両2はパレット4ごと格納棚3に収容される。パレット4には、図示しないが、電動車両21を充電可能な充電端子が配置されている。
【0028】
例えば、充電端子は、パレット4の左側又は右側の何れか一方に配置されている。パレット4を充電棚31に格納する場合には、格納棚3に配置された充電装置14に充電端子を接続できるように、旋回装置8によりパレット4の向きが調整される。なお、充電端子は、全てのパレット4に配置されている必要はなく、電動車両21の利用量を勘案し、複数のパレット4の一部にのみ配置されていてもよい。
【0029】
格納棚3は、リフト7に載置されたパレット4を昇降させる昇降路10の両側に多段に配置されている。格納棚3は、建屋11内に配置された柱部材に設置された横行レールを備えている。なお、本実施形態において、説明の便宜上、横行レールの図を省略してある。
【0030】
図1に示した実施形態では、昇降路の左右両側に各6個(合計12個)の格納棚3が配置されている。例えば、これらの格納棚3のうち下2段の格納棚3nは乗用車N用の格納棚3であり、中2段の格納棚3mはミドルルーフ車M用の格納棚3であり、上2段の格納棚3hはハイルーフ車H用の格納棚3である。格納棚3の上下方向の間隔は、格納する車両2の車高に応じて設定されている。
【0031】
乗用車N用の4個の格納棚のうち少なくとも一つは充電装置14を備えた充電棚31である。ここでは、図の左下に位置する格納棚3が充電棚31に設定されている。ミドルルーフ車M用の4個の格納棚のうち少なくとも一つは充電装置14を備えた充電棚31である。ここでは、図の左下に位置する格納棚3が充電棚31に設定されている。ハイルーフ車H用の4個の格納棚のうち少なくとも一つは充電装置14を備えた充電棚31である。ここでは、図の左下に位置する格納棚3が充電棚31に設定されている。
【0032】
このように、充電棚31の個数は、車両2の車高によって分類された群数に基づいて設定されている。すなわち、本実施形態では、乗用車N・ミドルルーフ車M・ハイルーフ車Hの三つの群に分類されていることから、それぞれの群に少なくとも一つの充電棚31が配置されるように三つの充電棚31が設置されている。
【0033】
また、各群に配置された充電棚31は、各群に配置された格納棚3のうち、車両2を入出庫させる乗降室12に最も近い位置に配置されている。また、図示したように、充電棚31の個数が複数(ここでは3個)である場合に、充電棚31は、パレット4の昇降路10に対して同じ片側に配置されている。
【0034】
充電装置14は、それぞれ分電盤15を介して電源16に接続されている。分電盤15は、充電装置14に供給する電力量や充電時間等の制御を行う。図示したように、乗用車N用・ミドルルーフ車M用・ハイルーフ車H用の充電棚31を全て同じ片側(図の左側)に配置し、各群内で最も下段に配置することにより、配線経路を短縮化及び単純化することができ、配線工事に要する工数を低減することができる。
【0035】
仮置き棚5は、使用しないパレット4を一時的に格納しておく棚である。仮置き棚5は車両2を格納しない棚であるため、上方に配置された格納棚3に接近した位置に配置される。仮置き棚5の個数は、例えば、車両2の車高によって分類された群数に基づいて設定される。具体的には、乗用車N用・ミドルルーフ車M用・ハイルーフ車H用の三つの仮置き棚5が配置される。
【0036】
乗用車N用の仮置き棚5nは、乗用車N用の格納棚3の近い位置に配置され、例えば、最下段の右側の格納棚3の下方に配置される。ミドルルーフ車M用の仮置き棚5mは、ミドルルーフ車M用の格納棚3の近い位置に配置され、例えば、上から二段目の右側の格納棚3の下方に配置される。ハイルーフ車H用の仮置き棚5hは、ハイルーフ車H用の格納棚3の近い位置に配置され、例えば、上から二段目の左側の格納棚3の下方に配置される。
【0037】
このように、複数の仮置き棚5n,5m,5hは、格納棚3の設置空間内に分散して配置されている。なお、ミドルルーフ車M用の仮置き棚5m及びハイルーフ車H用の仮置き棚5hは位置を入れ替えてもよい。また、図示したように、ミドルルーフ車M用の仮置き棚5mとハイルーフ車H用の仮置き棚5hとは同じ高さに配置される。ミドルルーフ車M用の格納棚3とハイルーフ車H用の格納棚3との境界部分の同じ高さに一対の仮置き棚5m,5hを配置することにより、無駄な空間を低減することができるとともにパレット4の移動距離又は移動時間を短縮することができる。
【0038】
制御装置9は、上述した格納棚3、充電棚31及び仮置き棚5を用いてパレット4を入れ替える操作を制御する機器である。例えば、制御装置9は、充電棚31と仮置き棚5と格納棚3を用いてパレット4を入れ替えながら電動車両21を充電可能な輪番充電モードと、充電棚31に充電しない車両2又は電動車両以外の車両2を収容可能な駐車優先モードと、を切り替え可能に構成されている。
【0039】
輪番充電モードは、充電が必要な電動車両21を充電可能な状態で充電棚31に格納する運転モードである。例えば、乗用車Nは、乗用車N用の格納棚3n、乗用車N用の充電棚31及び乗用車N用の仮置き棚5nの間でパレット4を入れ替えながら所定の棚に格納される。
【0040】
このとき、
図1に示したように、格納棚3の少なくとも一つは車両2を駐車しない空棚となるように制御される。空棚を設定することにより、充電が必要な電動車両21を所定のタイミングで充電棚31に移動させて電動車両21を順番に充電させることができる。
【0041】
車両2がミドルルーフ車Mの場合も同様に、ミドルルーフ車M用の格納棚3m、ミドルルーフ車M用の充電棚31及びミドルルーフ車M用の仮置き棚5mの間でパレット4を入れ替えながら所定の棚に格納される。また、車両2がハイルーフ車Hの場合も同様に、ハイルーフ車H用の格納棚3h、ハイルーフ車H用の充電棚31及びハイルーフ車H用の仮置き棚5hの間でパレット4を入れ替えながら所定の棚に格納される。
【0042】
輪番充電モードでは、電動車両21を入れ替えながら輪番充電する必要があることから、車高に基づいて設定された群ごとに充電棚31及び仮置き棚5が配置されている。したがって、仮置き棚5の個数は充電棚31の個数と同数に設定される。
【0043】
駐車優先モードは、車両2を充電する必要がない場合に、
図2に示したように、格納棚3の全てを利用して車両2を機械式駐車装置1に格納する運転モードである。「車両2を充電する必要がない場合」とは、車両2が電動車両21ではない場合、車両2が電動車両21であっても充電する必要がない場合の両方を含む意味である。
【0044】
駐車優先モードでは輪番充電する必要がないため、各格納棚3に所定の車高を有する車両2が順番に格納される。したがって、パレット4の枚数は格納棚3の個数と同数に設定される。例えば、
図1及び
図2に示した実施形態では、12個の格納棚3を有しているため、パレット4の枚数は12枚に設定される。なお、駐車優先モードでは輪番充電することはできないが充電棚31に格納した電動車両21を充電することは可能である。
【0045】
上述した本実施形態に係る機械式駐車装置1によれば、充電棚31と同数の仮置き棚5を設置し、格納棚3と同数のパレット4を配置したことにより、電動車両21を順番に充電する輪番充電モードと、格納棚3に駐車可能な台数を増やした駐車優先モードとの二通りの使い方をすることができる。したがって、本実施形態に係る機械式駐車装置1によれば、電動車両21を充電することができ、駐車効率の向上を図ることもできる。
【0046】
また、全ての車両2を格納する直前の満車に満たない格納状態までは「輪番充電モード」にて作動し、最後の1台を格納するときに「駐車優先モード」に自動的に切り替わる構成としてもよい。このとき、最後の1台は充電棚31に格納することが好ましい。機械式駐車装置1が満車となるまでは一般に多くの時間を要するが、この時間を利用し、多くの電動車両21を満遍なく充電しておき、最後の1台についても充電棚31で充電することで多くの車両を少ない設備で充電することができ、充電設備の効率化と駐車台数の効率化の双方の向上を図ることができる。
【0047】
ここで、
図3は、第一実施形態に係る機械式駐車装置の変形例を示す全体構成図である。なお、
図3では、説明の便宜上、輪番充電モードで使用する場合を図示してある。
【0048】
図3に示した機械式駐車装置1は、乗用車Nのみを駐車可能な機械式駐車装置を想定したものである。すなわち、車高に基づいて設定される群数は一つである。この変形例では、群数が一つであることから、充電棚31及び仮置き棚5の個数は1個である。また、格納棚3は10個であることから、パレット4の枚数も10枚に設定される。
【0049】
このように、機械式駐車装置1に駐車可能な車両2の群数が変動した場合であっても、仮置き棚5の個数は充電棚31の個数と同数に設定され、パレット4の枚数は格納棚3の個数と同数に設定される。なお、図示しないが、群数が二つの場合には、充電棚31及び仮置き棚5は2個に設定され、パレット4の枚数は格納棚3の個数と同数に設定される。
【0050】
次に、本発明の他の実施形態に係る機械式駐車装置1について、
図4~
図6を参照しつつ説明する。ここで、
図4は、本発明の第二実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
図5は、本発明の第三実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。
図6は、本発明の第四実施形態に係る機械式駐車装置を示す全体構成図である。なお、
図4~
図6では、説明の便宜上、輪番充電モードで使用する場合を図示してある。
【0051】
図4に示した第二実施形態に係る機械式駐車装置1は、上述した第一実施形態に示した仮置き棚5の位置を変更したものである。具体的には、仮置き棚5を格納棚3の設置空間内の一箇所に集約して配置したものである。例えば、図示したように、乗用車N用の仮置き棚5n、ミドルルーフ車M用の仮置き棚5m及びハイルーフ車Hの仮置き棚5hは、図の下段の右側の空間に集約されて一箇所に配置される。
【0052】
仮置き棚5は、例えば、
図1に示したように、格納棚3の設置空間内に分散して配置してもよいし、
図4に示したように、格納棚3の設置空間内の一箇所に集約して配置してもよい。仮置き棚5の配置は、機械式駐車装置1の建屋11の大きさや必要な収容台数等の条件により柔軟に設定することができる。
【0053】
なお、
図4の仮置き棚5を集約した空間を利用して車両2を格納するようにしてもよい。ただし、仮置き棚5を集約した空間を格納棚3として利用するには、仮置き棚5の横行レールの間隔を車両2の長さよりも広く設定する必要があり、機械装置全体の寸法が大きくなるという点に留意する必要がある。
【0054】
図5に示した第三実施形態に係る機械式駐車装置1は、乗用車N用、ミドルルーフ車M用及びハイルーフ車H用の充電棚31を乗降室12に近い位置に集約して配置したものである。例えば、図示したように、図の左側の下から三段目までの格納棚3が充電棚31に設定される。
【0055】
このように、充電棚31を乗降室12に近い位置に集約することにより、配線工事の工数を削減することができる。また、充電棚31を昇降路10に対して片側に集約することにより、配線工事の工数をより削減することができる。
【0056】
なお、第三実施形態では、仮置き棚5を図の右側の下から三段目の位置に集約しているが、この構成は単なる例示であり、仮置き棚5は別の位置に配置されていてもよい。
【0057】
図6に示した第四実施形態に係る機械式駐車装置1は、旋回装置8を省略したものである。具体的には、パレット4の昇降路10に対して両側に充電棚31及び仮置き棚5が配置されており、昇降路10の左側に配置された格納棚3、充電棚31及び仮置き棚5には、この向きに適したパレット4のみが循環するように構成され、昇降路10の右側に配置された格納棚3、充電棚31及び仮置き棚5には、この向きに適したパレット4のみが循環するように構成されている。
【0058】
第四実施形態に係る機械式駐車装置1では、図の片側の格納棚、充電棚31及び仮置き棚5で輪番充電モードと駐車優先モードとを切り替えて使用可能に構成されていることから、例えば、パレット4を左側の棚から右側の棚に移動させる際に向きを変えるために旋回させる必要がなく、旋回装置8を省略することができる。したがって、機械式駐車装置1のコストダウンを図ることができるとともに、パレット4の移動時間を短縮することもできる。
【0059】
なお、ここでは、昇降路10の両側に格納棚3、充電棚31及び仮置き棚5を配置した場合を図示しているが、建屋11の幅が狭い場合には昇降路10の片側にのみ格納棚3、充電棚31及び仮置き棚5を配置するようにしてもよい。
【0060】
また、第四実施形態に係る機械式駐車装置1においても、仮置き棚5の個数は充電棚31の個数と同数に設定されており、パレット4の枚数は格納棚3の個数と同数に設定されている。
【0061】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
1 機械式駐車装置
2 車両
3 格納棚
3h ハイルーフ車H用の格納棚
3m ミドルルーフ車M用の格納棚
3n 乗用車N用の格納棚
4 パレット
5 仮置き棚
5h ハイルーフ車H用の仮置き棚
5m ミドルルーフ車M用の仮置き棚
5n 乗用車N用の仮置き棚
6 昇降装置
7 リフト
8 旋回装置
9 制御装置
10 昇降路
11 建屋
12 乗降室
13 ピット
14 充電装置
15 分電盤
16 電源
21 電動車両
31 充電棚