(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140572
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】濾過システム及び濾過処理設備
(51)【国際特許分類】
B01D 63/08 20060101AFI20230928BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20230928BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20230928BHJP
【FI】
B01D63/08
B01D63/00 500
C02F1/44 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046473
(22)【出願日】2022-03-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】野口 寛
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 輝武
(72)【発明者】
【氏名】中川 彰利
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA48
4D006HA93
4D006JA19A
4D006JA22A
4D006JA23A
4D006JA23C
4D006JA27A
4D006JA30A
4D006JA31A
4D006JA52Z
4D006JA67C
4D006JA67Z
4D006KE21P
4D006KE23Q
4D006MA03
4D006MC03
4D006MC27
4D006MC29
4D006PB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】濾液を収容する収容空間内で発生する乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができる濾過システムを提供する。
【解決手段】濾過膜の内部に取り込んだ濾液を濾過膜の長手方向に沿って流す複数の濾過膜ユニットと、複数の濾過膜ユニットのそれぞれから排出される濾液を収容する収容空間と、収容空間の上部を収容空間よりも上方の外部空間に連通させる上部連通流路50と、収容空間の下部を収容空間よりも下方の外部空間に連通させる下部連通流路51とを備える濾過システムであって、周壁に貫通孔152を配置した管状部材からなり、上部連通流路50と下部連通流路51とに連通して上部連通流路50と下部連通流路51との間の液の流通を誘導しつつ、貫通孔152を通じて、収容空間内の濾液を自己の内部に取り込む誘導管150を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過膜の内部に取り込んだ濾液を前記濾過膜の長手方向に沿って流す複数の濾過膜ユニットと、複数の前記濾過膜ユニットのそれぞれから排出される濾液を収容する収容空間と、前記収容空間の上部を前記収容空間よりも上方の外部空間に連通させる上部連通流路と、前記収容空間の下部を前記収容空間よりも下方の外部空間に連通させる下部連通流路とを備える濾過システムであって、
周壁に貫通孔を配置した管状部材からなり、前記上部連通流路と前記下部連通流路とに連通して前記上部連通流路と前記下部連通流路との間の液の流通を誘導しつつ、前記貫通孔を通じて、前記収容空間内の濾液を自己の内部に取り込む誘導管を備える
ことを特徴とする濾過システム。
【請求項2】
請求項1に記載の濾過システムであって、
互いに上下方向に沿って対向する前記上部連通流路及び前記下部連通流路の対が、前記収容空間の長手方向に沿って複数配置され、
それぞれの前記対における前記上部連通流路と前記下部連通流路とを個別に連通させる複数の前記誘導管が配置される
ことを特徴とする濾過システム。
【請求項3】
多段に配置される複数の濾過システムを備える濾過処理設備であって、
複数の濾過システムのそれぞれが、請求項1又は2に記載の濾過システムである
ことを特徴とする濾過処理設備。
【請求項4】
請求項3に記載の濾過処理設備であって、
互いに上下方向に隣接する2つの前記濾過システムにおける一方の前記上部連通流路と、他方の前記下部連通流路とが、それぞれの内周面にメスネジ部を備え、且つ、それぞれの内側に挿入される連結管によって互いに連結し、
前記連結管における長さ方向の一端部が、弾性材料からなるOリングを外周面に備え、
前記連結管における長さ方向の他端部が、弾性材料からなるOリングと、これよりも前記一端部の側に配置されたオスネジ部とを外周面に備える
ことを特徴とする濾過処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過システム及び濾過処理設備とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、濾過膜の内部に取り込んだ濾液を濾過膜の長手方向に沿って流す複数の濾過膜ユニットと、複数の濾過膜ユニットのそれぞれから排出される濾液を収容する収容空間と、上部連通流路と、下部連通流路とを備える濾過システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の膜分離装置は、多段に重ねられた複数の膜モジュールを備える。濾過システムとしての膜モジュールは、濾過膜ユニットとしての膜エレメントを複数備えるとともに、集水ケースを備える。集水ケースには、複数の膜エレメントのそれぞれから排出される濾液を収容する収容空間と、上部連通流路たる上部連結部と、下部連通流路たる下部連結部とが配設される。上部連結路は、収容空間の上部を収容空間よりも上方の外部空間に連通させる。また、下部連結路は、収容空間の下部を収容空間よりも下方の外部空間に連通させる。
【0004】
濾過システムにおいて、複数の膜エレメントのそれぞれから収容空間に集められた濾液は、上部連結路から上方に向けて排出された後、より上段の膜モジュールの下部連結路を経由して上段の収容空間に至る。あるいは、下部連結路から下方に向けて排出された後、より下段に配置された膜モジュールの上部連結路を経由して下段の収容空間に至る。このようにして、膜分離装置は、複数の膜モジュールによって濾過処理された濾液を、下段から上段に向けて流しながら集めるか、あるいは、上段から下段に向けて流しながら集める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる構成の膜分離装置においては、個々の膜モジュールの収容空間内で発生する乱流による流路抵抗の増加により、動力源のエネルギー効率を低下させてしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、収容空間内で発生する乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができる濾過システム、及び濾過処理設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の一態様は、濾過膜の内部に取り込んだ濾液を前記濾過膜の長手方向に沿って流す複数の濾過膜ユニットと、複数の前記濾過膜ユニットのそれぞれから排出される濾液を収容する収容空間と、前記収容空間の上部を前記収容空間よりも上方の外部空間に連通させる上部連通流路と、前記収容空間の下部を前記収容空間よりも下方の外部空間に連通させる下部連通流路とを備える濾過システムであって、周壁に貫通孔を配置した管状部材からなり、前記上部連通流路と前記下部連通流路とに連通して前記上部連通流路と前記下部連通流路との間の液の流通を誘導しつつ、前記貫通孔を通じて、前記収容空間内の濾液を自己の内部に取り込む誘導管を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、収容空間内で発生する乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る濾過システムを備える水処理施設の概略構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係る濾過膜ユニットを示す斜視図である。
【
図3】同濾過膜ユニットの吸引側ソケットの縦断面を示す断面図である。
【
図4】同濾過膜ユニットを側方から示す側面図である。
【
図5】実施形態に係る濾過システムを示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係る保持体の集水カセットを示す斜視図である。
【
図8】実施形態に係る濾過処理設備を示す斜視図である。
【
図9】同濾過処理設備において多段配置される上側の集水カセット、及び下側の集水カセットと、それらカセットを連結させる連結管とを示す斜視図である。
【
図11】上段に向けて処理済水を移送する上段移送方式における収容空間内の処理済水の流れを説明するための斜視図である。
【
図12】下段に向けて処理済水を移送する下段移送方式における収容空間内の処理済水の流れを説明するための斜視図である。
【
図13】実施例に係る濾過処理設備において互いに上下に積み重ねられる2つの集水カセットの縦断面を、連結管の断面とともに示す断面図である。
【
図14】同連結管の断面を
図10よりも拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図を用いて、本発明を適用した濾過処理設備の一実施形態について説明する。実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、各図において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、各図に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
【0012】
図1は、実施形態に係る濾過処理設備を備える水処理施設の概略構成を示す図である。この水処理施設は、原水タンク1、濾過処理水槽2、処理水タンク3、制御装置4、原水ポンプ5、第1水位センサー6、原水移送管7、処理水移送管8、吸引ポンプ9、第2水位センサー11、第3水位センサー12等を備える。また、水処理施設は、ブロワー13、空気供給管14、架台15、濾過処理設備20、気泡発生装置90等を備える。
【0013】
原水タンク1内には、液体としての原水(処理前水)W1が貯留される。原水タンク1に設置された超音波センサー等からなる第1水位センサーは、原水タンク1内の原水W1の水位(水面の高さ)を検知して、検知結果を水位信号として制御装置4に送信する。原水タンク1内に設置された原水ポンプ5は、原水タンク1内の原水W1を吸引、吐出して、原水移送管7を通じて濾過処理水槽2に送る。原水ポンプ5として、水中ポンプからなるものを例示したが、陸上ポンプからなるものを用いてもよい。
【0014】
濾過処理水槽2は、鉄筋コンクリート製の水槽である。濾過処理水槽2内には、濾過処理設備20と、気泡発生装置90とが設置される。濾過処理設備20及び気泡発生装置90は、架台15によって支持される。架台15は、気泡発生装置90を濾過処理設備20の直下に位置させる態様で支持する。濾過処理設備20及び気泡発生装置90のそれぞれは、濾過処理水槽2内の原水W1に浸かっている。
【0015】
ブロワー13は、吸引口から吸引した気体としての空気を、吐出口を通じて空気供給管14に吐出する。空気供給管14に吐出された空気は、気泡発生装置90に供給される。気泡発生装置90は、空気供給管14から供給される空気を、気泡として上方に向けて放出する。放出された気泡は、濾過処理設備20に搭載される複数の濾過膜に接触しながら原水W1中を上昇する。このとき、気泡は、濾過膜の表面に付着している固形物を濾過膜の表面から離脱させる。この離脱により、濾過膜の目詰まりが抑えられる。
【0016】
濾過処理水槽2に設置された第3水位センサー12は、濾過処理水槽2内の原水W1の水位を検知して、検知結果を水位信号として制御装置4に送信する。
【0017】
吸引ポンプ9は、処理水移送管8と、濾過処理設備20内に搭載された後述の複数の濾過膜とを介して、濾過処理水槽2内の原水W1を吸引する。吸引された原水W1は、濾過膜によって濾過されて処理済水W2となった後、処理水移送管8を通じて処理水タンク3に送られる。処理水タンク3に設定された第2水位センサー11は、処理水タンク3内の処理済水W2の水位を検知して、検知結果を水位信号として制御装置4に送信する。
【0018】
なお、吸引ポンプ9の代わりに、水頭圧を利用して吸引力を発生させるポンプを使用してもよい。吸引の手段は、特に限定されない。
【0019】
処理水タンク3の水位が上限に達しておらず、且つ所定の運転実行条件が成立している場合、制御装置4は、吸引ポンプ9とブロワー13とを作動させて、原水W1の濾過処理を実行する。但し、運転実行条件が成立していても、原水タンク1内の原水W1の水位が下限以下になっている場合、及び濾過処理水槽2内の原水W1の水位が下限以下になっている場合には、制御装置4は、濾過処理の実行を中止する。
【0020】
濾過処理設備20は、実施形態に係る濾過システム(後に詳述される)を複数備える。それぞれの濾過システムは、実施形態に係る濾過膜ユニット(後に詳述される)を複数備える。
【0021】
図2は、実施形態に係る濾過膜ユニット21を示す斜視図である。濾過膜ユニット21は、平板状の濾過膜22を備える。濾過膜22の材質としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVC(ポリ塩化ビニル)等の有機材が挙げられる。また、濾過膜22の材質として、アルミナ、炭化ケイ素などを主成分とするセラミックを用いてもよい。実施形態に係る濾過膜ユニット21の濾過膜22は、セラミック膜からなる。
【0022】
上述の吸引ポンプ(
図1の9)が作動すると、濾過膜22に対して濾過膜22の長手方向に沿った吸引力が付与される。実施形態に係る濾過システムにおいては、濾過膜22に対して濾過膜22の長手方向の一方側(後述の
図4における左右方向の右側)から吸引力が付与される。即ち、濾過膜22の長手方向の一方側は、吸引力が付与される吸引側である。濾過膜22の長手方向の他方側(後述の
図4における左右方向の左側)は、濾過膜22に付与される吸引力を遮蔽する遮蔽側である。
【0023】
濾過膜ユニット21は、上述の濾過膜22に加えて、吸引側ソケット23と、遮蔽側ソケット24とを備える。本発明におけるソケットとしての吸引側ソケット23は、濾過膜22を長手方向の一方側(吸引側)で保持するために濾過膜22おける長手方向の一方側の端部に固定される。遮蔽側ソケット24は、濾過膜22を長手方向の他方側(遮蔽側)で保持するために濾過膜22における長手方向の他方側の端部に固定される。吸引側ソケット23及び遮蔽側ソケット24のそれぞれは、濾過膜22に固定された状態で濾過膜22の短手方向(実施形態では重力方向に沿った上下方向)に延在する。
【0024】
図3は、吸引側ソケット23の縦断面を示す断面図である。吸引側ソケット23は、ソケット本体23aを備える。ソケット本体23aは、濾過膜(
図2の22)の長手方向の一方側の端部を挿入される凹部23dと、凹部23dに連通しつつソケット本体23aの延在方向に延びる流路23eとを備える。
【0025】
ソケット本体23aは、凹部23dの内周面により、濾過膜(
図2の22)の長手方向の一方側の端部におけるおもて面、裏面、及び2つの側面から構成される周面を全周に渡って覆う。凹部23dの内周面が、濾過膜(22)の長手方向の一方側の端部における周面を全域に渡って覆うことで、凹部23d内における前記端部のガタツキが防止される。
【0026】
吸引側ソケット23は、上述のソケット本体23aに加えて、第1突出体23b及び第2突出体23cを備える。第1突出体23b及び第2突出体23cのそれぞれは、濾過膜(
図2の22)の長手方向(
図3における左右方向)においてソケット本体23aよりも外側(
図3における右側)に位置しつつ、ソケット本体23aの延在方向(
図3における上下方向)に沿って並ぶ。
【0027】
第1突出体23b及び第2突出体23cのそれぞれは、濾過膜(22)の長手方向(
図3における左右方向)において、ソケット本体23aにおける一方側(
図3における右側)の端面から一方側に向けて突出する。
【0028】
かかる構成において、第1突出体23b及び第2突出体23cのそれぞれが、不図示の保持体に設けられた挿入孔に挿入されると、濾過膜ユニット(21)の長手方向の一端部が、保持体に対して位置決めされるとともに、保持体に保持される。第1突出体23bの外周面の面積は、ソケット本体23aの外周面の面積に比べて非常に小さな値になる。また、第2突出体23cの外周面の面積も、ソケット本体23aの外周面の面積に比べて非常に小さな値になる。このため、第1突出体23bの外周と前述の挿入孔の内周とのクリアランス、及び第2突出体23cの外周と前述の挿入孔の内周とのクリアランスを、それぞれほぼ無くしても、それらの突出体(23b、23c)のそれぞれを、個別の挿入孔に容易に挿入することが可能である。このようにクリアランスが設定されると、濾過膜ユニット(21)の長手方向における一方側の端部のガタツキが防止される。よって、実施形態に係る濾過膜ユニット(21)によれば、濾過膜ユニットの長手方向における一方側の端部のガタツキに起因する濾過膜(22)の破損の発生を抑えることができる。
【0029】
第1突出体23b及び第2突出体23cのそれぞれの構造は、中空(23b-1、23c-1)を有する管状構造である。第1突出体23b及び第2突出体23cにおけるそれぞれの中空(23b-1、23c-1)は、ソケット本体23aの流路23eに連通する。また、第1突出体23b及び第2突出体23cにおけるそれぞれの中空(23b-1、23c-1)は、突出体(23b、23c)の延在方向(
図3の左右方向)の両端のそれぞれが開口している。第1突出体23bの中空23b-1における2つの開口のうち、第1突出体23bの延在方向(
図3の左右方向)の一方側(
図3における右側)の開口は、流路23e内の処理済水(
図1のW
2)を排出するための排出口としての第1出口23b-2である。また、第2突出体23cの中空23c-1における2つの開口のうち、第2突出体23cの延在方向(
図3の左右方向)の一方側(
図3における右側)の開口は、流路23e内の処理済水を排出するための排出口としての第2出口23c-2である。
【0030】
第1突出体23bの中空23b-1は、自己の2つの開口のうち、第1突出体23bの延在方向(
図3の左右方向)の他方側(
図3における左側)の開口23b-3を通じて流路23eと連通する。また、第2突出体23cの中空23c-1は、自己の2つの開口のうち、第2突出体23cの延在方向(
図3の左右方向)の他方側(
図3における左側)の開口23c-3を通じて流路23eと連通する。
【0031】
吸引ポンプ(
図1の9)が作動すると、第1突出体23bの中空23b-1、及び第2突出体23cの中空23c-1のそれぞれに負圧による吸引力が発生する。この吸引力により、ソケット本体23aの流路23e内の処理済水が、第1突出体23bの中空23b-1、及び第2突出体23cの中空23c-1の内部に向けて吸引される。
【0032】
図4は、濾過膜ユニット21を側方から示す側面図である。濾過膜ユニット21の遮蔽側ソケット24は、ソケット本体24aと、2つの突出体24bとを備える。ソケット本体24aは、濾過膜22の長手方向(
図4の左右方向)の他方側(
図4の左側)の端部を挿入される凹部(不図示)を備える。なお、ソケット本体24aは、前述の凹部に連通する流路を備えていない。濾過膜22に付与される吸引力は、遮蔽側ソケット24により、濾過膜22の長手方向の他方側で遮蔽される。
【0033】
遮蔽側ソケット24における2つの突出体24bのそれぞれは、濾過膜22の長手方向(
図4における左右方向)においてソケット本体24aよりも外側(
図4における左側)に位置しつつ、ソケット本体24aの延在方向(
図4における上下方向)に沿って並ぶ。
【0034】
以下、第1突出体23bに設けられる第1出口(
図3の23b-2)と、第2突出体23cに設けられる(
図3の第2出口23c-2)とを、まとめて「吸引側ソケット23の2つの排出口」と言う。排出口の口径を所定値に設定し、且つ濾過膜(22、122)による単位時間あたりの濾過液量を所定値に設定する場合、排出口に通す処理済水の単位時間あたりの流量の条件として、次のような条件を採用する必要がある。即ち、第1比較例に係る濾過膜ユニット121の排出口に対する処理済水の流入量を、実施形態に係る「吸引側ソケット23の2つの排出口」のそれぞれに対する処理済水の流入量の約2倍に設定するという条件である。かかる条件では、排出口(濾液出口)を1つしか備えていない特許文献1に記載の構成に比べて、濾過膜ユニット21における処理済水の流路抵抗を第1比較例に比べて小さくするので、吸引ポンプ(
図1の9)などの吸引動力機の動力をより小さくして、省エネルギー化を図ることができる。
【0035】
第1出口(
図3の23b-2)及び第2出口(
図3の23c-2)のそれぞれについては、
図3に示される態様とは異なり、突出体(23b、23c)の周面における所定位置に配置してもよい(以下、この配置を周面配置と言う)。但し、
図3に示されるように、突出体(23b、23c)の先端面に、第1出口23b-2及び第2出口23c-2のそれぞれを配置(以下、この配置を先端面配置と言う)することがより望ましい。これは、次に説明する理由による。即ち、周面配置では、突出体(23b-2、23c-2)の中空(23b-1、23c-1)内における処理済水の流れを、排出口(第1出口23b-2、第2出口23c-2)に至る直前で約90〔°〕の角度で方向転換させる必要がある。これにより、濾過膜ユニット21の流路抵抗を高めてしまう。これに対し、先端面配置では、突出体(23b-2、23c-2)の中空(23b-1、23c-1)内における処理済水の流れ方向と、排出口(第1出口23b-2、第2出口23c-2)を通るときの処理済水の流れ方向とを同方向にする。このため、周面配置とは異なり、中空(23b-1、23c-1)内で処理済水の流れを大きく方向転換させることがなくなるので、周面配置に比べて、流路抵抗を小さくすることができる。
【0036】
図5は、実施形態に係る濾過システム31を示す斜視図である。濾過システム31は、複数の濾過膜ユニット21と、複数の濾過膜ユニット21を保持する保持体40とを備える。保持体40の形状は枠状であり、保持体40は枠内に複数の濾過膜ユニット21を保持する。また、保持体40は、集水カセット41と、ブラインドカセット60と、第1サイドカバー65と、第2サイドカバー66とを備える。
【0037】
図6は、実施形態に係る濾過システム31を示す分解斜視図である。保持体(
図5の40)は、扁平直方体状の集水カセット41と、平板状の第1サイドカバー65と、扁平直方体状のブラインドカセット60と、平板状の第2サイドカバー66とが枠状に組み合わさって形成されたものである。同図に示される状態とは異なり、複数の濾過膜ユニット21が存在しない状態では、集水カセット41とブラインドカセット60とが相対向する。加えて、前記状態では、第1サイドカバー65と第2サイドカバー66とが、集水カセット41とブラインドカセット60との対向方向と直交する方向に相対向する。
【0038】
集水カセット41及びブラインドカセット60のそれぞれは、自己の長手方向を、第1サイドカバー65と第2サイドカバー66との対向方向に沿わせる態様で配置される。一方、第1サイドカバー65及び第2サイドカバー66のそれぞれは、自己の長手方向を、集水カセット41とブラインドカセット60との対向方向に沿わせる態様で配置される。
【0039】
図7は、保持体(
図5の40)の集水カセット41を示す斜視図である。集水カセット41は、天板42と、底板45と、第1長尺側板43と、第2長尺側板44と、長尺側板(43、44)よりも短尺の第1短尺側板46及び第2短尺側板47とが、扁平直方体状に組み合わさって形成されたものである。天板42と底板45とは、相対向する。水処理施設においては、同図に示されるように、天板42と底板45とを重力方向に沿った上下方向に並べる態様で、集水カセット41が配置される。
【0040】
第1長尺側板43及び第2長尺側板44のそれぞれは、自己の長手方向を、第1短尺側板46及び第2短尺側板47のそれぞれにおける短手方向に沿わせる態様で配置される。一方、第1短尺側板46及び第2短尺側板47のそれぞれは、自己の長手方向を、天板42と底板45との対向方向に沿わせる態様で配置される。
【0041】
第1短尺側板46のおもて面には、前記おもて面から突出する第1固定部48が設けられる。また、第2短尺側板47のおもて面には、前記おもて面から突出する第2固定部49が設けられる。
【0042】
以下、枠状の保持体(
図5の40)の枠構造を、単に「枠」と言う。第1長尺側板43は、第2長尺側板44よりも「枠」の内側に位置する。第1長尺側板43は、濾過膜ユニット(
図6の21)における長手方向の一端部を保持する側板として機能する。
【0043】
第1長尺側板43は、第1突出体(
図3の23b)及び第2突出体(
図3の23c)のうち、何れか一方を挿入される挿入孔と、第1突出体及び第2突出体のうち、前記挿入孔に挿入されない方を挿入される挿入孔とからなる孔対を複数備える。複数の孔対のそれぞれにおいて、2つの挿入孔の距離は、互いに同じである。
【0044】
図6に示されるように、孔対の2つの挿入孔のそれぞれは、第1長尺側板43の短手方向(
図6の上下方向)に沿って並ぶ。第1突出体23b及び第2突出体23cのうち、何れか一方は、孔対の2つの挿入孔の何れか一方に挿入され、他方の突出体は、他方の挿入孔に挿入される。
【0045】
図2に示されるように、遮蔽側ソケット24の2つの突出体24bのそれぞれの形状は、正方体状又は直方体状である。2つの突出体24bは、濾過膜ユニット(
図6の21)の長手方向の他端部をブラインドカセット(
図6の60)に位置決めしつつ、前記他端部をブラインドカセットに保持させるためのものである。
【0046】
吸引側ソケット23において、ソケット本体23aと一体形成される2つの突出体(23b、23c)のそれぞれの形状は、管状である。
以下、各部材において、平板状の濾過膜22の厚み方向に沿った方向の長さを幅と言う。濾過膜22の濾過性能を効率よく引き出すためには、吸引側ソケット23の2つの突出体(23b、23c)の内径を、濾過膜22の幅と同じにすることが望ましい。すると、
図2に示されるように、2つの突出体(23b23c)のそれぞれの管周壁が、ソケット本体23aから幅方向に出っ張る。即ち、2つの突出体(23b、23c)の外径が、ソケット本体23aの幅よりも大きくなる。
【0047】
かかる構成では、濾過システム(
図5の31)の小型化が困難になる。具体的には、濾過システムの小型化を図るためには、複数の濾過膜ユニット(
図6の21)の並び方向における配設ピッチを、できるだけ小さくすることが望ましい。そして、前述の配設ピッチの狭小化は、吸引側ソケット23の2つの突出体(23b、23c)のそれぞれの外径によって制約を受ける。
【0048】
前述の配設ピッチの狭小化が、突出体(23b、23c)の外径によって制約を受ける理由は、次の通りである。即ち、第1長尺側板(
図7の43)に複数設けられる孔対のそれぞれは、2つの挿入孔のうち、第1長尺側板(43)の短手方向の一方側に位置する挿入孔を、第1長尺側板(43)の長手方向に沿って並べる。加えて、複数の孔対のそれぞれは、2つの挿入孔のうち、第1長尺側板(43)の短手方向の他方側に位置する挿入孔も、第1長尺側板(43)の長手方向に沿って並べる。以下、前記長手方向に沿って互いに隣り合う2つの挿入孔を、「2つの隣設挿入孔」と言う。濾過システム(
図5の31)の小型化により、複数の濾過膜ユニット(
図6の21)の配設ピッチ(第1長尺側板43の長手方向に沿った配設ピッチ)が小さくなるにつれて、「2つの隣設挿入孔」の距離が短くなる。この距離が過剰に短くなると、第1長尺側板(43)の孔間部分(「2つの隣設挿入孔」の間の部分)の孔間長さが過剰に小さくなって、孔間部分において必要な強度が得られなくなる。第1長尺側板(43)の前述の孔間部分において、最低限の強度が得られる孔間長さ(狭小限界値)は、第1長尺側板(43)の材質及び厚みが同じであれば一定である。一方で、複数の濾過膜ユニット21の配設ピッチが同じであっても、突出体(23b、23c)の外径が異なれば、前述の孔間長さが異なる。突出体(23b、23c)の外径が大きくなるほど、孔間長さが小さくなる(孔間部分の強度が低くなる)。よって、挿入孔の配設ピッチの狭小化が、突出体(23b、23c)の外径によって制約を受けることになる。
【0049】
そこで、実施形態に係る濾過膜ユニット21の吸引側ソケット(23)においては、2つの突出体(23b、23c)のそれぞれが、
図3に示される態様で配置される。具体的には、ソケット本体23aの延在方向の中心(一点鎖線L1によって示される位置)から第1突出体23bまでの距離αと、前記中心から第2突出体23cまでの距離βとを互いに異ならせる(α<β)態様である。かかる構成では、第1長尺側板(43)の孔間部分の孔間長さを狭小限界値まで狭小化しつつ、距離αと距離βとを互いに同じにする場合に比べて、複数の濾過膜ユニット(21)の配設ピッチを小さくするという効果を奏することができる。
【0050】
前述の効果を奏することができる理由は、以下に説明する通りである。即ち、
図7に示される第1長尺側板43に設けられる複数の孔対は、2つの種類のものが存在する。複数の孔対のうち第1種類に分類されるのが第1種孔対43cであり、第2種類に分類されるのが第2種孔対43fである。第1種孔対43cと、第2種孔対43fとは、第1長尺側板43の長手方向(
図7では上下方向)に沿って交互に配置される。第1種孔対43cにおける2つの挿入孔(43a、43b)の距離と、第2種孔対43fにおける2つの挿入孔(43d、43e)の距離とは、互いに同じである。第1種孔対43cの2つの挿入孔(43a、43b)のうち、第1長尺側板43の短手方向の一方側(
図7では上側)に位置する挿入孔43aは、第1長尺側板43の面内において第1長尺側板43の短手方向に沿った所定の第1位置に配置される。この第1位置は、
図7において一点鎖線L2によって示される。第2種孔対43fの2つの挿入孔(43d、43e)のうち、第1長尺側板43の短手方向の一方側(
図7では上側)に位置する挿入孔43dは、第1長尺側板43の面内において第1長尺側板43の短手方向に沿った所定の第2位置に配置される。この第2位置は、
図7において一点鎖線L3で示される。第1長尺側板43の短手方向において、前述の第1位置と第2位置とは、互いに異なる。
【0051】
第1種孔対43cに対しては、所定の第1姿勢をとる濾過膜ユニット(21)の2つの突出体(23b、23c)が挿入される。これに対し、第2種孔対43fに対しては、所定の第2姿勢をとる濾過膜ユニット(21)の2つの突出体(23b、23c)が挿入される。第1姿勢をとる濾過膜ユニット(21)と、第2姿勢をとる濾過膜ユニット(21)とは、吸引側ソケット(23)の延在方向の中心と、遮蔽側ソケット(24)の延在方向の中心とを通る軸線(
図2の一点鎖線L4)を基準にした点対称の位置(180°回転した位置)にある。
【0052】
以下、各部材において、第1長尺側板43の短手方向に沿った位置ずれを、単に位置ずれと言う。第1種孔対43cの2つの挿入孔(43a、43b)のうち、上述の第1位置(一点鎖線l2)に配置される挿入孔43aと、第2種孔対43fの2つの挿入孔(43d、43e)のうち、上述の第2位置(一点鎖線L2)に配置される挿入孔43eとは、互いに位置ずれしている。互いに隣り合う2つの濾過膜ユニット(21)の一方は、吸引側ソケット(23)の2つの突出体(23b、23c)を第1種孔対43cの2つの挿入孔(43a、43b)に挿入している。他方の濾過膜ユニット(21)は、吸引側ソケット(23)の2つの突出体(23b、23c)を第2種孔対の2つの挿入孔(43d、43e)に挿入している。
【0053】
かかる構成では、第1長尺側板43の長手方向において、「2つの隣設挿入孔」のうち、一方側に位置する隣設挿入孔の他方側の端を、他方側に位置する隣設挿入孔の一方側の端よりも他方側に位置させつつ、第1長尺側板43の孔間部分を確保することが可能である。より詳しくは、
図7においては、第1長尺側板43の長手方向が、
図7の左右方向に概ね沿っている(厳密には、前記長手方向は
図7の左右方向から僅かに傾いている)ので、以下、第1長尺側板43の長手方向を、
図7の左右方向として説明する。例えば、第1長尺側板43に設けられる複数の孔対のうち、図中の左右方向の最も左側に位置する第1種孔対43cの挿入孔43aと、これに対して左右方向の右側で隣り合っている第2種孔対43fの挿入孔43dとを「2つの隣設挿入孔」として着目してみる。第1種孔対43cの挿入孔43aは、第2種孔対43fの挿入孔43dよりも図中の左右方向の左側に位置する。つまり、第1種孔対43cの挿入孔43aを、「2つの隣設挿入孔」のうち、第1長尺側板43の長手方向の他方側に位置する隣設挿入孔とし、第2種孔対43fの挿入孔43dを、前記長手方向の一方側に位置する隣設挿入孔とする例について着目している。この例では、第2種孔対43fの挿入孔43dの左側(他方側)の端を、第1種孔対43cの挿入孔43aの右側(一方側)の端よりも左側に位置させている。このような位置関係を保ちつつ、第1長尺側板43においては、挿入孔43aと挿入孔43dとの間の孔間部分が確保されている。挿入孔43aと挿入孔43dとの位置ずれ量が大きくなるほど、前述の孔間部分の孔間長さが大きくなる。このため、吸引側ソケット(23)の2つの突出体(23b、23c)を大径化させたり、複数の濾過膜ユニット(21)の配設ピッチを狭小化させたりしても、前述の位置ずれ量をより大きくすることで、孔間長さを狭小限界値と同等以上にすることが可能である。
【0054】
よって、濾過システム31によれば、複数の濾過膜ユニット21の位置ずれ(第1長尺側板43の短手方向に沿った位置ずれ)を引き起こすことなく、複数の濾過膜ユニット21の配設ピッチを狭小化させて、濾過システム31の小型化を図ることができる。加えて、濾過システム31によれば、吸引側ソケット(23)の2つの突出体(23b、23c)を大径化させて、濾過膜22の濾過性能を向上させることもできる。
【0055】
図6に示されるブラインドカセット60は、複数の濾過膜ユニット21との対向面に、複数の遮蔽側挿入孔(不図示)を備える。それらの遮蔽側挿入孔は、濾過膜ユニット21の遮蔽側ソケット24の突出体24bを挿入するための挿入孔である。遮蔽側ソケット24の2つの突出体24bのそれぞれが、前記対向面に設けられた遮蔽側挿入孔に挿入されることで、濾過膜ユニット21の長手方向における他方側の端部がブラインドカセット60に対して位置決めされる。加えて、濾過膜ユニット21の長手方向における他方側の端部が、ブラインドカセット60に保持される。
【0056】
なお、ブラインドカセット60における複数の濾過膜ユニット21との対向面に複数の遮蔽側挿入孔を配置し、濾過膜ユニット21の遮蔽側ソケット24に2つの突出体24bを設けた例について説明したが、遮蔽側挿入孔、及び突出体24bの付設を省略してもよい。この場合、例えば、次のようなゴム製部材を用いることで、複数の濾過膜ユニット21のそれぞれにおける長手方向の他方側(遮蔽側)の端部を保持することが可能である。即ち、ブラインドカセット60の長手方向に沿って延びるベース板と、ベース板の表面から突出しつつ、ブラインドカセット60の長手方向に沿って所定の配設ピッチで並ぶ複数の仕切板とを備えるゴム製部材である。このゴム製部材における互いに隣り合う2つの仕切板に、濾過膜ユニット21の遮蔽側ソケット24を挟み込ませればよい。
【0057】
また、濾過膜22の形状が平板状である例について説明したが、濾過膜22の形状は平板状に限られず、例えば波板状などでもよい。
【0058】
濾過膜ユニット21に対しては、濾過膜ユニット21の周囲に存在する原水(W
1)の流れ、気泡発生装置90から放出される気泡などにより、応力が加えられる。この応力により、濾過膜ユニット21には、濾過膜22の短手方向を、集水カセット41及びブラインドカセット60のそれぞれの短手方向(
図6では上下方向)から傾けようとする力(スキュー力)が加えられる。このスキュー力により、濾過膜22の全域のうち、吸引側ソケット23の第1突出体23bに近い領域、吸引側ソケットの第2突出体23cに近い領域、及び遮蔽側ソケット24の2つの突出体24bに近い領域には、大きな力が加わる。以下、前述の4つの領域をまとめて突出体近傍領域という。
【0059】
図3に示されるように、吸引側ソケット23の第1突出体23bは、濾過膜(22)の短手方向(
図3における上下方向)において、第2突出体23cよりも一方側(同図の上側)にずれた位置に配置される(以下、このずれの量を「第1ずれ量」と言う)。更に、第1突出体23bは、前記短手方向において、ソケット本体23aの一方側(
図3における上側)の端よりも、ソケット本体23aの中心の側にずれた位置に配置される(以下、このずれの量を「第2ずれ量」と言う)。
【0060】
以下、遮蔽側ソケット24に設けられる2つの突出体24bのうち、濾過膜(22)の短手方向(同図の上下方向)において一方側(同図の上側)に位置する方を、「一方側の突出体24b」と言う。また、2つの突出体24bのうち、前記短手方向において他方側(同図の下側)に位置する方を、「他方側の突出体24b」と言う。「一方側の突出体24b」は、ソケット本体(24a)の延在方向における一方側の端(同図における上端)よりも他方側(同図における下側)にずれた位置に存在する(以下、このずれの量を「第3ずれ量」と言う)。また、「他方側の突出体24b」は、ソケット本体(24a)の延在方向における他方側の端(同図における下端)よりも一方側(同図における上側)にずれた位置に存在する(以下、このずれの量を「第4ずれ量」と言う。
【0061】
図3に示される例とは異なる比較例を、
図3に示される例との比較対象として検討を行う。比較例においては、吸引側ソケット23の第1突出体23bが、濾過膜(22)の短手方向における一方側の端(同図における上端)に位置する。また、吸引側ソケット23の第2突出体23cは、濾過膜(22)の短手方向における他方側の端(同図における下端)に位置する。
【0062】
比較例の遮蔽側ソケット24においては、「一方側の突出体24b」が、濾過膜(22)の短手方向における一方側の端(同図における上端)に位置する。また、「他方側の突出体24b」が、濾過膜(22)の短手方向における他方側の端(同図における下端)に位置する。
【0063】
つまり、比較例においては、「第1ずれ量」、「第2ずれ量」、「第3ずれ量」、及び「第4ずれ量」が何れも、ゼロになっている。かかる構成の比較例においては、吸引側ソケット23の第1突出体24bと第2突出体24cとの距離が、実施形態に係る濾過膜ユニット21における同距離よりも長くなる。加えて、比較例においては、遮蔽側ソケット24の「一方側の突出体24b」と「他方側の突出体24b」との距離が、実施形態に係る濾過膜ユニット21における同距離よりも長くなる。このため、比較例においては、テコの原理により、濾過膜22の突出体近傍領域に加わる力が、実施形態に係る濾過膜ユニット21よりも大きくなることから、濾過膜22の破損が発生し易くなる。換言すれば、実施形態に係る濾過膜ユニット21は、濾過膜22の短手方向において、各突出体をソケットの端に配置しないことにより、スキュー力に起因する濾過膜22の破損を抑えることができる。
【0064】
実施形態に係る濾過膜ユニット21において、濾過膜22の破損を効率よく抑えるためには、「第1ずれ量」、「第2ずれ量」、「第3ずれ量」、及び「第4ずれ量」をできる限り大きくすることが望ましい。但し、吸引側ソケット23において、「第1ずれ量」や「第2ずれ量」を過剰に大きくすると、第1突出体23bからの集水量と、第2突出体23cからの集水量との均一化を図ることが困難になる。前述の均一化を図るためには、「第1ずれ量」、及び「第2ずれ量」のそれぞれを、吸引側ソケット23のソケット本体23aの延在方向の長さの1/10以下にすることが望ましい。より望ましくは、吸引側ソケット23のソケット本体23aの延在方向の長さの1/4から1/3の範囲を採用するのがよい。遮蔽側ソケット24における「第3ずれ量」、及び「第4ずれ量」も同様である。
【0065】
濾過膜(22)の短手方向において、第1突出体23bは、ソケット本体23aの中心よりも一方側(
図3では上側)にずれた位置に配置され、第2突出体23cは、前記中心よりも他方側(
図3では下側)にずれた位置に配置される。かかる構成では、第1突出体23b及び第2突出体23cの両方が、前記中心よりも一方側及び他方側のうちの何れかにずれた位置に配置されることによる濾過膜ユニット(21)の突出体非配置側の振れが防止される。よって、実施形態に係る濾過膜ユニット(21)によれば、前述の振れに起因する濾過膜(22)の破損の発生を防止することができる。
【0066】
濾過膜22の長手方向の両側のうち、片側だけを吸引側とするいわゆる片引き方式を採用した濾過システム(31)について説明したが、両側のそれぞれを吸引側とするいわゆる両引き方式を採用してもよい。この場合、両側のそれぞれのソケットとして、同様の構成の吸引側ソケット23を設ければよい。
【0067】
図8は、実施形態に係る濾過処理設備20を示す斜視図である。濾過処理設備20は、3つの濾過システム31を備える。3つの濾過システム31は、第1長尺側板(43)の短手方向に沿って並ぶ。同図においては、前記短手方向が上下方向に沿っているので、濾過処理設備20の構造は、3つの濾過システム31を上下方向に積み重ねた3段構造になっている。
【0068】
図9は、第1長尺側板(43)の短手方向の一方側(同図では上側)に配置された濾過システム(31)の集水カセット41と、前記短手方向の他方側(同図では下側)に配置された濾過システム(31)の集水カセット41と、連結管70とを示す斜視図である。連結管70は、2つの集水カセット41を連結させる役割を担う。
図9に示される2つの集水カセット41のそれぞれの天板42には、3つの天板開口42aが天板42の長手方向に沿って所定間隔で並ぶ態様で配置される。天板開口42aは、第1長尺側板43の短手方向(同図では上下方向)の一方側(同図では上側)を向く。
【0069】
集水カセット41の内部には、筒状の第1連結ソケット50が3つ配設される。これらの第1連結ソケット50は、天板42の裏面に固定されて天板開口42aに連通する。
【0070】
3つの集水カセット41のそれぞれの底板45には、3つの底板開口45aが底板45の長手方向に沿って所定間隔で並ぶ態様で配置される。底板開口45aは、第1長尺側板43の短手方向の他方側(同図では下側)を向く。
【0071】
3つの天板開口42aにおける1つと、3つの底板開口45aにおける1つとは、第1長尺側板43の短手方向に沿って相対向する。また、3つの天板開口42aにおける他の1つと、3つの底板開口45aにおける他の1つとは、前記短手方向に沿って相対向する。更に、また、3つの天板開口42aにおける最後の1つと、3つの底板開口45aにおける最後の1つとは、前記短手方向に沿って相対向する。
【0072】
集水カセット41の内部には、筒状の第2連結ソケット51が3つ配設される。これらの第2連結ソケット51は、底板45の裏面に固定されて底板開口45aに連通する。
【0073】
同図の下側に配置される集水カセット41と、同図の上側に配置される集水カセット41とは、3つの連結管70によって連結される。連結管70は、管長さ方向を第1長尺側板43の短手方向(同図では上下方向)に沿わせる態様で配置される。連結管70における前記短手方向の一方側の端部、及び他方側の端部のそれぞれには、管周面の全周に渡って延在するリング状凹部(不図示)が配置され、それぞれのリング状凹部にはOリング71が嵌め込まれる。
【0074】
連結管70の前記短手方向の一方側(同図では上側)の端部は、同図の上側の集水カセット41の第2連結ソケット51に挿入される。また、連結管70の前記短手方向の他方側(同図では下側)の端部は、同図の上側の集水カセット41の第1連結ソケット50に挿入される。同図の上側の集水カセット41の収容空間と、同図の下側の集水カセット41の収容空間とは、3つの連結管70を通じて互いに連通する。
【0075】
なお、3段重ねで積み重ねられる3つの集水カセット41のうち、最下段の集水カセット41においては、3つの第2連結ソケット51のそれぞれに連結管70が挿入されるのではなく、それぞれの第2連結ソケット51に封止プラグ(不図示)が挿入される。これにより、最下段の集水カセット41の収容空間に発生する吸引力を、第2連結ソケット51を通じて外部に漏らしてしまうことが防止される。
【0076】
また、3段重ねで積み重ねられる3つの集水カセット41のうち、最上段の集水カセット41においては、3つの第1連結ソケット50に連結管70が挿入されるのではなく、集水用分岐管が挿入される。これらの集水用分岐管は、1本の処理水移送管(
図1の8)に連結される。
【0077】
同図の下側の集水カセット41の収容空間には、この集水カセット41の第1長尺側板43によって保持される複数の濾過膜ユニット(不図示)の濾過膜を透過した処理済水が流入する。また、同図の上側の集水カセット41の収容空間には、この集水カセット41の第1長尺側板43によって保持される複数の濾過膜ユニット(不図示)の濾過膜を透過した処理済水が流入する。同図の下側の集水カセット41の収容空間に存在する処理済水は、連結管70の内部に発生する吸引力により、連結管70を通じて上側の集水カセット41の収容空間の中に吸引される。
【0078】
つまり、
図8に示される3つの濾過システム31のそれぞれにおいては、複数の濾過膜22のそれぞれを透過した処理済水が集水カセット41に集水される。そして、3つの濾過システム31のそれぞれの集水カセット41においては、より下側に位置する集水カセット41の収容空間の中の処理済水が、より上側に位置する集水カセット41の収容空間の中に吸引される。この結果、3つの集水カセット41のそれぞれの収容空間の中に集水された処理済水は、最終的に最上段の集水カセット41の収容空間に集水された後、処理水タンク(
図1の3)に移送される。
【0079】
図9に示される連結管70においては、上述のように、管長さ方向が、第1長尺側板43の短手方向に沿っている。連結管70の前記短手方向の一方側(同図では上側)の端部に嵌め込まれたOリング71は、第2連結ソケット51に挿入された前記端部の第2連結ソケット51からの抜けを回避するとともに、前記端部と第2連結ソケット51との密閉性を向上させる。前述の抜けをより確実に回避したり、前述の密閉性をより高めたりするために、前記短手方向に並ぶ複数のOリング71を前記端部に嵌め込んでもよい。
【0080】
連結管70の前記短手方向の他方側(同図では下側)の端部に嵌め込まれたOリング71は、第1連結ソケット50に挿入された前記端部の第1連結ソケット50からの抜けを回避するとともに、前記端部と第1連結ソケット50との密閉性を向上させる。前述の抜けをより確実に回避したり、前述の密閉性をより高めたりするために、前記短手方向に並ぶ複数のOリング71を前記端部に嵌め込んでもよい。
【0081】
天板開口42a、底板開口45a、第1連結ソケット50、第2連結ソケット51、及び連結管70の数は、3つに限定されない。1つ以上であればよい。
【0082】
複数の濾過システム(31)を多段方式で積み重ねた濾過処理設備(20)について説明したが、複数の濾過システム(31)を水平方式に連結させる多連方式と、多段方式とを併用してもよい。
【0083】
集水カセット41の収容空間に対しては、他の濾過システムから送られてくる濾液が略上下方向に沿って送り込まれる。この一方で、収容空間に連通する複数の濾過膜ユニットからの濾液が略水平方向に沿って送り込まれる。収容空間内においては、そのような上下方向の流れと、水平方向の流れとが相まったり、流入してくる濾液が下流側の流路に向けてスムーズに移動せずに拡散したりして、乱流を発生させ易い。乱流によって流路抵抗が増加すると、その分だけ余計な動力が必要になることから、エネルギー効率が低下してしまう。
【0084】
そこで、実施形態に係る濾過処理設備(20)は、個々の収容空間内に誘導管を備える。
図10は、誘導管150を示す斜視図である。誘導管150は、周壁に複数の貫通孔152を配置した管状部材としての円筒からなる。この誘導管150は、上部連通流路たる第1連結ソケット50と、下部連通流路たる第2連結ソケット51とに連通して第1連結ソケット50と第2連結ソケット51との間の処理済水の流通を誘導する。加えて、誘導管150は、複数の貫通孔152を通じて、集水カセット(41)の収容空間内の処理済水を自己の管内に取り込む。
【0085】
図11は、上段に向けて処理済水を移送する上段移送方式における収容空間内の処理済水の流れを説明するための斜視図である。上段移送方式では、下段の収容空間から送られてくる処理済水が、第2連結ソケット51を通じて誘導管150に流入する。流入した処理済水は、誘導管150によって形成される流路によって第1連結ソケット50に向けて誘導される。このため、多くの処理済水は、第2連結ソケット51から第1連結ソケット50に向けてスムーズに流れる。この流れは、第1連結ソケット50に向かう吸引力として、誘導管150の周囲に存在する処理済水に働く。これにより、誘導管150の周囲に存在する処理済水は、図示のように斜め上方に向けて貫通孔152内に吸引される。
【0086】
図12は、下段に向けて処理済水を移送する下段移送方式における収容空間内の処理済水の流れを説明するための斜視図である。下段移送方式では、上段の収容空間から送られてくる処理済水が、第1連結ソケット50を通じて誘導管150に流入する。流入した処理済水は、誘導管150によって形成される流路によって第2連結ソケット51に向けて誘導される。このため、多くの処理済水は、第1連結ソケット50から第2連結ソケット51に向けてスムーズに流れる。この流れは、第2連結ソケット51に向かう吸引力として、誘導管150の周囲に存在する処理済水に働く。これにより、誘導管150の周囲に存在する処理済水は、図示のように斜め下方に向けて貫通孔152内に吸引される。
【0087】
以上のように、誘導管150は、第1連結ソケット50又は第2連結ソケット51を介して誘導管150内に流入する処理済水だけではなく、誘導管150の周囲に存在する処理済水についても、望ましい方向に移動するように誘導する。かかる構成では、誘導管150によって収容空間内の処理済水の流れを好ましい方向に誘導することで、収容空間内のにおける乱流の発生を抑えて、乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができる。
【0088】
次に、濾過処理設備(20)の実施例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、実施例に係る濾過処理設備(20)の構成は、実施形態と同様である。
【0089】
実施例に係る濾過処理設備(20)の濾過システム(31)が、上下を反転させる姿勢になったとする。このように濾過システム(31)の姿勢が上下反転しても、集水カセット(41)の第1長尺側板(43)の平面上における各挿入孔の2次元レイアウトが上下反転前と同じになるように、各挿入孔が配置されている。また、集水カセット(41)においては、上下反転前に天板(42)として機能していた板材が、上下反転後に底板(45)として機能し、上下反転前に底板(45)として機能していた板材が、上下反転後に天板(42)として機能する。集水カセット(41)の長手方向の一端から他端までの領域において、上下反転前の天板(42)の3つの天板開口(42a)の相対位置と、上下反転後の天板(42)の3つの天板開口(42a)との相対位置とは、互いに同じである。このため、集水カセット41の長手方向の一端から他端までの領域において、上下反転前の底板(45)の3つの底板開口(45a)の相対位置と、上下反転後の底板(45)の3つの底板開口(45a)との相対位置とは、互いに同じである。よって、実施例に係る濾過処理設備(20)においては、濾過システム(31)の上下姿勢に気を使うことなく、濾過システム(31)を取り扱うことができる。
【0090】
図13は、実施例に係る濾過処理設備(20)において互いに上下に積み重ねられる2つの集水カセット41の縦断面を、連結管70の断面とともに示す断面図である。
図14は、連結管70の断面を
図10よりも拡大して示す断面図である。
【0091】
図14に示されるように、集水カセット41の天板42に固定される3つの第1連結ソケット50のそれぞれは、内周面にメスネジ部50aを備える。このメスネジ部50aは、管材からなる第1連結ソケット50の管長さ方向の全域のうち、上側に偏った領域に設けられる。また、集水カセット41の底板45に固定される3つの第2連結ソケット51のそれぞれは、内周面にメスネジ部51aを備える。このメスネジ部51aは、管材からなる第2連結ソケット51の管長さ方向の全域のうち、下側に偏った領域に設けられる。
【0092】
集水カセット41の姿勢が上下反転すると、上下反転前に天板42として機能していた板材が、底板45として機能し、且つ上下反転前に第1連結ソケット50として機能していた管材が、第2連結ソケット51として機能する。連結管70は、
図14に示されるように、オスネジ部70aを外周面に備える。このオスネジ部70aは、連結管70の管長さ方向の全域のうち、一方側に偏った領域に設けられる。連結管70は、連結管70の管長さ方向の両端部のうち、オスネジ部70aを備える方の端部を、もう一方の端部よりも下側に位置させる態様で用いられる。
【0093】
図13において、3つの連結管70のそれぞれは、自己のオスネジ部70aを、2つの集水カセット41のうち、下側に位置する集水カセット41の第1連結ソケット50のメスネジ部50aに螺号させながら、この第1連結ソケット50に挿入される。前述の螺号により、連結管70の第1連結ソケット50内からの抜けを回避することができる。また、保守点検作業のために、上側の集水カセット41と下側の集水カセット41とを分離する場合に、3つの連結管70のそれぞれを、下側の集水カセット41に保持させた状態を確実に維持することが可能なので、保守点検の作業性を向上させることができる。
【0094】
濾過処理設備(20)において、3段重ねで段積みされる3つの濾過システム(31)のうち、最下段の濾過システム(31)の集水カセット41における第2連結ソケット51には、連結管70が挿入されない。その代わりに、その第2連結ソケット51には、外周面にオスネジ部を具備する封止プラグ(不図示)が挿入される。このとき、封止プラグは、自己のオスネジ部を第2連結ソケット51のメスネジ部51aに螺号させながら、第2連結ソケット51内に挿入される。このようにして第2連結ソケット51内に挿入された封止プラグは、前述の螺号により、第2連結ソケット51内からの抜けが回避される。
【0095】
濾過処理設備(20)における3つの濾過システム(31)のうち、最上段の濾過システム(31)の集水カセット41における第1連結ソケット50には、連結管70が挿入されない。その代わりに、その第1連結ソケット50には、上述の集水用分岐管が挿入される。この集水用分岐管の外周面にはオスネジ部が設けられる。集水用分岐管は、自己のオスネジ部を第1連結ソケット50のメスネジ部に螺号させながら、第1連結ソケット50内に挿入される。このようにして第1連結ソケット50内に挿入された集水用分岐管は、前述の螺号により、第1連結ソケット50内からの抜けが回避される。
【0096】
本発明は上述の実施形態、及び実施例に限られず、本発明の構成を適用し得る範囲内で、実施形態及び実施例とは異なる構成を採用することもできる。本発明は、以下に説明する態様毎に特有の作用効果を奏する。
【0097】
〔第1態様〕
第1態様は、濾過膜(例えば濾過膜22)の内部に取り込んだ濾液を前記濾過膜の長手方向に沿って流す複数の濾過膜ユニット(例えば濾過膜ユニット21)と、複数の前記濾過膜ユニットのそれぞれから排出される濾液を収容する収容空間と、前記収容空間の上部を前記収容空間よりも上方の外部空間に連通させる上部連通流路(例えば第1連結ソケット50)と、前記収容空間の下部を前記収容空間よりも下方の外部空間に連通させる下部連通流路(例えば第2連結ソケット51)とを備える濾過システム(例えば濾過システム31)であって、周壁に複数の貫通孔(例えば貫通孔152)を配置した管状部材(例えば円筒)からなり、前記上部連通流路と前記下部連通流路とに連通して前記上部連通流路と前記下部連通流路との間の液の流通を誘導しつつ、複数の前記貫通孔を通じて、前記収容空間内の濾液を自己の内部に取り込む誘導管(例えば誘導管150)を備えることを特徴とするものである。
【0098】
かかる構成によれば、誘導管によって収容空間内の濾液の流れを好ましい方向に誘導することで、収容空間内のにおける乱流の発生を抑えて、乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができる。
【0099】
〔第2態様〕
第2態様は、第1態様の構成を備える濾過システムであって、互いに上下方向に沿って対向する前記上部連通流路及び前記下部連通流路の対が、前記収容空間の長手方向に沿って複数配置され、それぞれの前記対における前記上部連通流路と前記下部連通流路とを個別に連通させる複数の前記誘導管が配置されることを特徴とするものである。
【0100】
かかる構成によれば、収容空間の長手方向における互いに異なる位置にて濾液の挙動を好ましい方向に誘導することで、乱流の発生をより良好に抑えることができる。
【0101】
〔第3態様〕
第3態様は、多段に配置される複数の濾過システムを備える濾過処理設備(例えば濾過処理設備20)であって、複数の濾過システムのそれぞれが、第1態様又は第2態様の濾過システムであることを特徴とするものである。
できる。
【0102】
かかる構成によれば、誘導管によって収容空間内の濾液の流れを好ましい方向に誘導することで、収容空間内のにおける乱流の発生を抑えて、乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができる。
【0103】
〔第4態様〕
第4態様は、第3態様の構成を備える濾過処理設備であって、互いに上下方向に隣接する2つの前記濾過システムにおける一方の前記上部連通流路と、他方の前記下部連通流路とが、それぞれの内周面にメスネジ部を備え、且つ、それぞれの内側に挿入される連結管によって互いに連結し、前記連結管における長さ方向の一端部が、弾性材料からなるOリングを外周面に備え、前記連結管における長さ方向の他端部が、弾性材料からなるOリングと、これよりも前記一端部の側に配置されたオスネジ部とを外周面に備えることを特徴とするものである。
【0104】
かかる構成によれば、メスネジ部とオスネジ部との螺号により、連結管の上部連通流路又は下部連通流路からの抜けを回避することができる。特に、連結管のオスネジ部と、下側の濾過システムの下部連通流路のメスネジ部とを螺号させれば、保守点検作業のために、2つの濾過システムを分離する場合に、連結管を下側の濾過システムに自然に残すことが可能なので、保守点検の作業性を向上させることができる。
【0105】
20・・・濾過処理設備、 21・・・濾過膜ユニット、 22・・・濾過膜、 23・・・吸引側ソケット(ソケット)、 23a・・・ソケット本体、 23b・・・第1突出体、 23b-1・・・中空、 23b-2・・・第1出口、 23c・・・第2突出体、 23c-1・・・中空、 23c-2・・・第2出口、 23d・・・凹部、 23e・・・流路、 31・・・濾過システム
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過膜の内部に取り込んだ濾液を前記濾過膜の長手方向に沿って流す複数の濾過膜ユニットと、複数の前記濾過膜ユニットのそれぞれから排出される濾液を収容する収容空間と、前記収容空間の上部を前記収容空間よりも上方の外部空間に連通させる上部連通流路と、前記収容空間の下部を前記収容空間よりも下方の外部空間に連通させる下部連通流路とを備える濾過システムであって、
前記収容空間内で上下方向に延びるように配置されるとともに周壁に貫通孔が形成された管状部材からなり、前記上部連通流路と前記下部連通流路とに連通して前記上部連通流路と前記下部連通流路との間の液の流通を誘導しつつ、前記貫通孔を通じて、外側の前記収容空間の濾液を前記管状部材の内部に取り込む誘導管を備える
ことを特徴とする濾過システム。
【請求項2】
請求項1に記載の濾過システムであって、
前記誘導管の軸方向端部は、前記収容空間の上面および下面にそれぞれ形成されて内面に向かって突出する連結ソケットにそれぞれ嵌め込まれている
ことを特徴とする濾過システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の濾過システムであって、
互いに上下方向に沿って対向する前記上部連通流路及び前記下部連通流路の対が、前記収容空間の長手方向に沿って複数配置され、
それぞれの前記対における前記上部連通流路と前記下部連通流路とを個別に連通させる複数の前記誘導管が配置される
ことを特徴とする濾過システム。
【請求項4】
多段に配置される複数の濾過システムを備える濾過処理設備であって、
複数の濾過システムのそれぞれが、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の濾過システムである
ことを特徴とする濾過処理設備。
【請求項5】
請求項4に記載の濾過処理設備であって、
互いに上下方向に隣接する2つの前記濾過システムにおける一方の前記上部連通流路と、他方の前記下部連通流路とが、それぞれの内周面にメスネジ部を備え、且つ、それぞれの内側に挿入される連結管によって互いに連結し、
前記連結管における長さ方向の一端部が、弾性材料からなるOリングを外周面に備え、
前記連結管における長さ方向の他端部が、弾性材料からなるOリングと、これよりも前記一端部の側に配置されたオスネジ部とを外周面に備える
ことを特徴とする濾過処理設備。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、濾過システム及び濾過処理設備に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一態様は、濾過膜の内部に取り込んだ濾液を前記濾過膜の長手方向に沿って流す複数の濾過膜ユニットと、複数の前記濾過膜ユニットのそれぞれから排出される濾液を収容する収容空間と、前記収容空間の上部を前記収容空間よりも上方の外部空間に連通させる上部連通流路と、前記収容空間の下部を前記収容空間よりも下方の外部空間に連通させる下部連通流路とを備える濾過システムであって、前記収容空間内で上下方向に延びるように配置されるとともに周壁に貫通孔が形成された管状部材からなり、前記上部連通流路と前記下部連通流路とに連通して前記上部連通流路と前記下部連通流路との間の液の流通を誘導しつつ、前記貫通孔を通じて、外側の前記収容空間の濾液を前記管状部材の内部に取り込む誘導管を備える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
濾過膜ユニット21は、上述の濾過膜22に加えて、吸引側ソケット23と、遮蔽側ソケット24とを備える。本発明におけるソケットとしての吸引側ソケット23は、濾過膜22を長手方向の一方側(吸引側)で保持するために濾過膜22における長手方向の一方側の端部に固定される。遮蔽側ソケット24は、濾過膜22を長手方向の他方側(遮蔽側)で保持するために濾過膜22における長手方向の他方側の端部に固定される。吸引側ソケット23及び遮蔽側ソケット24のそれぞれは、濾過膜22に固定された状態で濾過膜22の短手方向(実施形態では重力方向に沿った上下方向)に延在する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
以上のように、誘導管150は、第1連結ソケット50又は第2連結ソケット51を介して誘導管150内に流入する処理済水だけではなく、誘導管150の周囲に存在する処理済水についても、望ましい方向に移動するように誘導する。かかる構成では、誘導管150によって収容空間内の処理済水の流れを好ましい方向に誘導することで、収容空間内における乱流の発生を抑えて、乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
図13において、3つの連結管70のそれぞれは、自己のオスネジ部70aを、2つの集水カセット41のうち、下側に位置する集水カセット41の第1連結ソケット50のメスネジ部50aに螺
合させながら、この第1連結ソケット50に挿入される。前述の螺
合により、連結管70の第1連結ソケット50内からの抜けを回避することができる。また、保守点検作業のために、上側の集水カセット41と下側の集水カセット41とを分離する場合に、3つの連結管70のそれぞれを、下側の集水カセット41に保持させた状態を確実に維持することが可能なので、保守点検の作業性を向上させることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
濾過処理設備(20)において、3段重ねで段積みされる3つの濾過システム(31)のうち、最下段の濾過システム(31)の集水カセット41における第2連結ソケット51には、連結管70が挿入されない。その代わりに、その第2連結ソケット51には、外周面にオスネジ部を具備する封止プラグ(不図示)が挿入される。このとき、封止プラグは、自己のオスネジ部を第2連結ソケット51のメスネジ部51aに螺合させながら、第2連結ソケット51内に挿入される。このようにして第2連結ソケット51内に挿入された封止プラグは、前述の螺合により、第2連結ソケット51内からの抜けが回避される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
濾過処理設備(20)における3つの濾過システム(31)のうち、最上段の濾過システム(31)の集水カセット41における第1連結ソケット50には、連結管70が挿入されない。その代わりに、その第1連結ソケット50には、上述の集水用分岐管が挿入される。この集水用分岐管の外周面にはオスネジ部が設けられる。集水用分岐管は、自己のオスネジ部を第1連結ソケット50のメスネジ部に螺合させながら、第1連結ソケット50内に挿入される。このようにして第1連結ソケット50内に挿入された集水用分岐管は、前述の螺合により、第1連結ソケット50内からの抜けが回避される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
かかる構成によれば、誘導管によって収容空間内の濾液の流れを好ましい方向に誘導することで、収容空間内における乱流の発生を抑えて、乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
かかる構成によれば、誘導管によって収容空間内の濾液の流れを好ましい方向に誘導することで、収容空間内における乱流の発生を抑えて、乱流に起因するエネルギー効率の低下を抑えることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
かかる構成によれば、メスネジ部とオスネジ部との螺合により、連結管の上部連通流路又は下部連通流路からの抜けを回避することができる。特に、連結管のオスネジ部と、下側の濾過システムの下部連通流路のメスネジ部とを螺合させれば、保守点検作業のために、2つの濾過システムを分離する場合に、連結管を下側の濾過システムに自然に残すことが可能なので、保守点検の作業性を向上させることができる。