(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140609
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】トルクセンサ異常検出装置、トルクセンサ異常検出方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02P 29/024 20160101AFI20230928BHJP
G01L 25/00 20060101ALI20230928BHJP
H02K 11/24 20160101ALN20230928BHJP
【FI】
H02P29/024
G01L25/00 A
H02K11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046526
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】北爪 隼人
(72)【発明者】
【氏名】塩野 裕一
【テーマコード(参考)】
5H501
5H611
【Fターム(参考)】
5H501CC01
5H501CC05
5H501DD01
5H501GG01
5H501GG03
5H501GG05
5H501JJ03
5H501JJ04
5H501JJ12
5H501JJ17
5H501JJ18
5H501KK06
5H501LL01
5H501LL22
5H501LL32
5H501LL35
5H501LL54
5H611AA01
5H611BB01
5H611PP07
5H611QQ08
5H611UA04
5H611UA08
(57)【要約】
【課題】トルクセンサの異常を適切に検出することができるトルクセンサ異常検出装置、トルクセンサ異常検出方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】トルクセンサ異常検出装置は、モータの駆動電流と回転速度とに基づき前記モータの負荷トルクを所定の周期で繰り返し推定する負荷トルク推定部と、前記負荷トルクを検出するトルクセンサが検出した前記負荷トルクの複数の前記周期分の検出結果と、前記負荷トルク推定部が推定した前記負荷トルクの複数の前記周期分の推定結果とに基づき、前記トルクセンサの検出結果が異常であるか否かを判定するトルク検出異常判定部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動電流と回転速度とに基づき前記モータの負荷トルクを所定の周期で繰り返し推定する負荷トルク推定部と、
前記負荷トルクを検出するトルクセンサが検出した前記負荷トルクの複数の前記周期分の検出結果と、前記負荷トルク推定部が推定した前記負荷トルクの複数の前記周期分の推定結果とに基づき、前記トルクセンサの検出結果が異常であるか否かを判定するトルク検出異常判定部と
を備えるトルクセンサ異常検出装置。
【請求項2】
前記トルク検出異常判定部は、複数の前記周期を移動平均の区間とする前記検出結果と前記推定結果との差分の絶対値の移動平均値が所定の閾値以上である場合に、前記トルクセンサの検出結果が異常であると判定する
請求項1に記載のトルクセンサ異常検出装置。
【請求項3】
前記トルク検出異常判定部は、前記検出結果と前記推定結果との差分の絶対値が、複数の前記周期にわたり継続的に所定の閾値以上である場合に、前記トルクセンサの検出結果が異常であると判定する
請求項1に記載のトルクセンサ異常検出装置。
【請求項4】
負荷トルク推定部が、モータの駆動電流と回転速度とに基づき前記モータの負荷トルクを所定の周期で繰り返し推定する負荷トルク推定過程と、
トルク検出異常判定部が、前記負荷トルクを検出するトルクセンサが検出した前記負荷トルクの複数の前記周期分の検出結果と、推定した前記負荷トルクの複数の前記周期分の推定結果とに基づいて、前記トルクセンサの検出結果が異常であるか否かを判定するトルク検出異常判定過程と
を含むトルクセンサ異常検出方法。
【請求項5】
コンピュータを、
モータの駆動電流と回転速度とに基づき前記モータの負荷トルクを所定の周期で繰り返し推定する負荷トルク推定手段と、
前記負荷トルクを検出するトルクセンサが検出した前記負荷トルクの複数の前記周期分の検出結果と、推定した前記負荷トルクの複数の前記周期分の推定結果とに基づいて、前記トルクセンサの検出結果が異常であるか否かを判定するトルク検出異常判定手段と
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクセンサ異常検出装置、トルクセンサ異常検出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている車両用操舵制御装置では、トルクセンサによるトルク検出値とトルク推定手段によるトルク推定値との比較によりトルクセンサの異常の有無が判定される。この装置では、トルクセンサの検出値とトルク推定手段の推定値が常時比較され、比較値(差分の絶対値)が予め決めた閾値を超えた場合に異常と判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている装置では、以下のような場合にトルク異常を誤判定してしまうことがあるという課題がある。すなわち、例えば、信号ノイズによる瞬時のトルク差であっても閾値を超えると異常と判定されてしまう場合がある。あるいは、例えば、負荷トルク推定の演算処理に要する遅延によって生じるトルク差が閾値を超えると異常と判定されてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、トルクセンサの異常を適切に検出することができるトルクセンサ異常検出装置、トルクセンサ異常検出方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るトルクセンサ異常検出装置は、モータの駆動電流と回転速度とに基づき前記モータの負荷トルクを所定の周期で繰り返し推定する負荷トルク推定部と、前記負荷トルクを検出するトルクセンサが検出した前記負荷トルクの複数の前記周期分の検出結果と、前記負荷トルク推定部が推定した前記負荷トルクの複数の前記周期分の推定結果とに基づき、前記トルクセンサの検出結果が異常であるか否かを判定するトルク検出異常判定部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係るトルクセンサ異常検出方法は、負荷トルク推定部が、モータの駆動電流と回転速度とに基づき前記モータの負荷トルクを所定の周期で繰り返し推定する負荷トルク推定過程と、トルク検出異常判定部が、前記負荷トルクを検出するトルクセンサが検出した前記負荷トルクの複数の前記周期分の検出結果と、推定した前記負荷トルクの複数の前記周期分の推定結果とに基づいて、前記トルクセンサの検出結果が異常であるか否かを判定するトルク検出異常判定過程とを含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、モータの駆動電流と回転速度とに基づき前記モータの負荷トルクを所定の周期で繰り返し推定する負荷トルク推定手段と、前記負荷トルクを検出するトルクセンサが検出した前記負荷トルクの複数の前記周期分の検出結果と、推定した前記負荷トルクの複数の前記周期分の推定結果とに基づいて、前記トルクセンサの検出結果が異常であるか否かを判定するトルク検出異常判定手段ととして機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のトルクセンサ異常検出装置、トルクセンサ異常検出方法およびプログラムによれば、トルクセンサの異常を適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置を備えるモータシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置を備えるモータシステムの構成例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置を備えるモータシステムの構成例を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置の動作例を示す模式図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置の動作例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明のトルクセンサ異常検出装置、トルクセンサ異常検出方法およびプログラムの実施形態について説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0012】
<1.第1実施形態>
図1から
図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態(第1および第2実施形態)に係るトルクセンサ異常検出装置を備えるモータシステムの構成例を示すブロック図である。
図2は、本発明の実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置を備えるモータシステムの構成例を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置を備えるモータシステムの構成例を示す断面図である。
【0014】
図1に示すモータシステム1は、モータ11と、モータ駆動部12と、制御部13と、電流検出部14と、エンコーダ15と、回転軸16aおよび16bと、減速機17と、トルクセンサ18とを備える。モータ11は、例えば、サーボモータである。モータ11は、AC(交流)モータ、DC(直流)モータ、ステッピングモータ等とすることができる。モータ駆動部12は、外部の直流電源または交流電源を電源としてモータ11に通電する電流や印加する電圧を制御する。
【0015】
電流検出部14は、モータ駆動部12からモータ11に流れるモータ11の駆動電流を検出し、検出結果を制御部13へ出力する。エンコーダ15は、モータ11の回転軸16aの回転角(回転位置)と回転速度を検出し、検出結果を制御部13へ出力する。
【0016】
減速機17は、回転軸16aの回転速度を減速して、回転軸16bを回転させ、負荷2を駆動する。トルクセンサ18は、回転軸16bに掛かるトルク(以下、負荷トルクという)を検出し、負荷トルクの検出結果(以下、トルクセンサ検出値ともいう)を制御部13へ出力する。負荷2は、モータ11が駆動する対象物である。
【0017】
制御部13は、電流検出部14、エンコーダ15、トルクセンサ18等のセンサからの信号を入力し、外部の図示していないコントローラ等からの指令に基づきモータ駆動部12を制御する。制御部13が、本発明のトルクセンサ異常検出装置の一構成例である。制御部13は、例えば、プロセッサ、メモリ、タイマー、周辺回路等を含むマイクロコンピュータ等を用いて構成される。制御部13は、例えば、ハードウェアとプログラムやファームウェア等のソフトウェアとの組み合わせからなる機能的構成として次の各部を備える。すなわち、制御部13は、機能的構成として、モータ制御部131、負荷トルク推定部132、トルク検出異常判定部133および力制御部134を備える。
【0018】
モータ制御部131は、電流検出部14が検出したモータ11の駆動電流とエンコーダ15が検出したモータ11の回転角および回転速度を入力する。また、モータ制御部131は、外部のコントローラ等からの指令に基づきモータ駆動部12を制御して、モータ11の位置(回転角)、速度(回転速度)、駆動電流等をフィードバック制御する。また、モータ制御部131は、トルク検出異常判定部133が後述するようにしてトルクセンサの異常を検出した場合、トルクセンサ18の異常に対応した制御を実行する。トルクセンサ18の異常が検出された場合、モータ制御部131は、例えば、モータ11を停止したり、外部のコントローラに異常を通知したり、トルクセンサ18の検出結果に代えて負荷トルク推定部132の推定結果を用いてモータ駆動部12を制御したりする。また、モータ制御部131は、後述する力制御部134の出力に基づきモータ駆動部12を制御する。
【0019】
負荷トルク推定部132は、電流検出部14が検出した駆動電流と、エンコーダ15が検出した回転速度とに応じて、負荷トルクを所定の周期(以下、トルク推定周期ともいう)で繰り返し推定する。負荷トルク推定部132は、例えば、電流と回転速度を要素として負荷トルクとの対応関係を示すテーブルを用いて負荷トルクを推定することができる。あるいは、負荷トルク推定部132は、電流と回転速度とモータ11の印加電圧とを要素として負荷トルクとの対応関係を示すテーブルを用いて負荷トルクを推定することができる。負荷トルク推定部132は、負荷トルクの推定結果である負荷トルク推定値をトルク検出異常判定部133へ出力する。
【0020】
トルク検出異常判定部133は、トルクセンサ18が検出した負荷トルクの検出結果と、負荷トルク推定部132が推定した負荷トルクの推定結果とを入力する。トルク検出異常判定部133は、入力した負荷トルクの検出結果と推定結果に基づき、トルクセンサの検出結果が異常であるか否かを判定する。その際、トルク検出異常判定部133は、1つの検出結果と1つの推定結果とに基づき異常の有無を判定するのではなく、負荷トルク推定部132が負荷トルクを推定するトルク推定周期の複数周期分の検出結果と複数周期分の推定結果とに基づき、トルクセンサ18の検出結果が異常であるか否かを判定する。すなわち、トルク検出異常判定部133は、トルクセンサ18が検出した負荷トルクの複数のトルク推定周期分の検出結果と、負荷トルク推定部132が推定した負荷トルクの複数のトルク推定周期分の推定結果とに基づき、トルクセンサ18の検出結果が異常であるか否かを判定する。トルク検出異常判定部133は、トルクセンサ18で異常が検出された場合、その旨を示す信号をモータ制御部131へ出力する。
【0021】
なお、第1実施形態では、トルク検出異常判定部133は、複数のトルク推定周期を移動平均の区間とするトルクセンサ18の検出結果と負荷トルク推定部132の推定結果との差分の絶対値(以下、トルク差ともいう)の移動平均値が所定の閾値以上である場合に、トルクセンサ18の検出結果が異常であると判定する。移動平均は、時系列データにおいて、ある一定区間ごとの平均値を、区間をずらしながらもとめる演算である。所定の閾値は、例えばモータ11の動作の態様に応じて経験則に基づき決定することができる。
【0022】
また、力制御部134は、トルクセンサ18による負荷トルクの検出結果を入力し、負荷トルクが所定の上限値を超えた場合に、その旨を示す信号をモータ制御部131へ出力する。信号を受けたモータ制御部131は、例えば駆動電流を制限する制御を実行する。
【0023】
図2および
図3は、モータシステム1の構成例を示す。
図2に示す例では、モータシステム1は、分割可能に組み立てられた筐体1aと筐体1bと筐体1cとを備える。また、
図3に示すように、モータシステム1は、筐体1a内に減速機17と、トルクセンサ18を備える。また、モータシステム1は、筐体1b内にモータ11を備える。また、モータシステム1は、筐体1c内にモータ駆動部12と、制御部13と、電流検出部14と、エンコーダ15とを備える。
【0024】
次に、
図4と
図5を参照して、制御部13の動作例について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置(制御部13)の動作例を示すフローチャートである。
図5は、本発明の第1実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置(制御部13)の動作例を示す模式図である。
図4に示す処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0025】
なお、負荷トルク推定部132は、
図4に示す処理の繰り返し周期と同期して、あるいは、非同期で、繰り返し負荷トルクを推定する。トルク推定周期は、
図4に示す処理の繰り返し周期と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、制御部13は、トルクセンサ18の検出結果を、
図4に示す処理の繰り返し周期と同期して、あるいは、非同期で取得する。また、トルク推定周期と、トルクセンサ18の検出結果を取得する周期は、同期していてもよいし、非同期であってもよい。
【0026】
図4に示す処理が開始されると、トルク検出異常判定部133が、トルクセンサ検出値から負荷トルク推定値を減じた値の絶対値であるトルク差を算出する(ステップS11)。
次に、トルク検出異常判定部133は、トルク差の移動平均演算処理を実行する(ステップS12)。
次に、トルク検出異常判定部133は、移動平均値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS13)。移動平均値が所定の閾値以上である場合(ステップS13:YES)、トルク検出異常判定部133は、トルクセンサ18で異常が検出された旨を出力し(ステップS14)、
図4に示す処理を終了する。
一方、移動平均値が所定の閾値以上でない場合(ステップS13:NO)、トルク検出異常判定部133は、
図4に示す処理を終了する。
【0027】
図5は、横軸を時間軸として、トルク差と閾値の関係の時間変化の例と、トルク推定周期と、トルク検出異常判定部133の検出結果と対応関係の例を模式的に示す。
図5に示す例では、トルク推定周期の2周期が移動平均の区間である。また、連続するトルク推定周期T0、T1、T2、…で表している。なお、トルク推定周期と移動平均の区間の開始時刻は、
図5に示す例では一致しているが、一致していなくてもよい。
【0028】
図5に示すトルク差の例は、トルク推定周期T2においてノイズまたは推定演算の遅延の影響によってパルス状に変化し、閾値を超えている(トルク差D1)。また、
図5に示すトルク差の例は、トルク推定周期T8以降に漸増し、トルク推定周期T9以降で所定の上限値で一定となっている(トルク差D2)。この場合、破線で示すトルク差移動平均値は、トルク推定周期T1以前は閾値を大きく下回る値で一定となっている。そして、トルク差移動平均値は、トルク差D1に応じてトルク推定周期T2とトルク推定周期T3で一旦上昇するが、閾値は超えない。また、トルク推定周期T4以降は、再度、閾値を大きく下回る値で一定となる。また、トルク推定周期T8以降、トルク差移動平均値は、トルク差D2に応じて上昇し、トルク推定周期T9で閾値を超えている。この場合、トルク検出異常判定部133は、トルク推定周期T9またはT10で、検出結果を正常から異常に変化させる。
【0029】
以上のように、第1実施形態によれば、移動平均を用いたトルク検出異常判定部133を設けることで、ノイズによる影響および負荷トルク推定の遅延による影響によるトルクセンサ18の異常の誤判定を防止することができる。よって、第1実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置、トルクセンサ異常検出方法およびプログラムによれば、トルクセンサの異常を適切に検出することができる。
【0030】
また、第1実施形態によれば、トルクセンサ異常検出装置によってトルクセンサの異常を適切に検出することができるので、当該トルクセンサ異常検出装置を備えた装置の効率的運用に寄与することができる。このため、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、及び目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能となる。
【0031】
<2.第2実施形態>
以上、本発明の第1実施形態について説明した。次に、
図6および
図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態は、第1実施形態と比較して
図1に示すトルク検出異常判定部133の動作が一部異なる。第2実施形態において、トルク検出異常判定部133は、トルクセンサ18の検出結果と負荷トルク推定部132の推定結果との差分の絶対値が、複数のトルクセンサ計算周期にわたり継続的に所定の閾値以上である場合に、トルクセンサ18の検出結果が異常であると判定する。他の構成および動作については第1実施形態と同一である。
【0032】
図6は、本発明の第2実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置(制御部13)の動作例を示すフローチャートである。
図7は、本発明の第2実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置(制御部13)の動作例を示す模式図である。
【0033】
図6に示す処理は、所定の周期で繰り返し実行される。なお、第1実施形態と同様に、負荷トルク推定部132は、
図6に示す処理の繰り返し周期と同期して、あるいは、非同期で、繰り返し負荷トルクを推定する。トルク推定周期は、
図6に示す処理の繰り返し周期と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、制御部13は、トルクセンサ18の検出結果を、
図6に示す処理の繰り返し周期と同期して、あるいは、非同期で取得する。また、トルク推定周期と、トルクセンサ18の検出結果を取得する周期は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
図6に示す処理が開始されると、トルク検出異常判定部133が、トルクセンサ検出値から負荷トルク推定値を減じた値の絶対値であるトルク差を算出する(ステップS21)。
次に、トルク検出異常判定部133は、トルク差が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS22)。
トルク差が閾値以上である場合(ステップS22:YES)、トルク検出異常判定部133は、所定のタイマーを初期化した後、起動して、カウントダウンを開始する(ステップS23)。ただし、ステップS23では、カウントダウンがすでに開始されていた場合はカウントダウンを継続する。
次に、トルク検出異常判定部133は、タイマー起動時から所定の判定時間以上、継続的にトルク差が閾値以上であったか否かを判定する(ステップS24)。
タイマー起動時から判定時間以上、継続的にトルク差が閾値以上であった場合(ステップS24:YES)、トルク検出異常判定部133は、トルクセンサ18で異常が検出された旨を出力し(ステップS25)、
図6に示す処理を終了する。
一方、トルク差が閾値以上でない場合(ステップS22:NO)、または、タイマー起動時から判定時間が経過する前にトルク差が閾値以上でなくなった場合(ステップS24:NO)、トルク検出異常判定部133は、
図4に示す処理を終了する。
【0035】
図7は、
図5と同様にして、横軸を時間軸として、トルク差と閾値の関係の時間変化の例と、トルク推定周期と、トルク検出異常判定部133の検出結果と対応関係の例を模式的に示す。
図7に示すトルク差の例は、
図5に示すトルク差の例と同一である。
図7に示す例では、トルク推定周期の3周期分が判定時間である。なお、トルク推定周期と判定時間の開始時刻は、
図7に示す例では一致しているが、一致していなくてもよい。
【0036】
図7に示すでは、閾値を超えるトルク差D1に応じてトルク推定周期T2でタイマーが起動されるが、判定時間が経過する前にトルク差が閾値を下回っているので、トルク検出異常判定部133は、検出結果を正常のまま変化させていない。また、トルク推定周期T9でトルク差D2が閾値以上となったところでタイマーが再び起動される。この場合、判定時間が経過するまでトルク差が閾値を超えているので、トルク検出異常判定部133は、トルク推定周期T12で検出結果を正常から異常に変化させる。
【0037】
以上のように、第2実施形態では、トルク検出異常判定部133が、トルク差が予め決められた閾値を超えてからタイマーを起動させ、設定した判定時間以上、継続的に閾値以上である場合にトルク検出の異常と判断する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ノイズによる影響および負荷トルク推定の遅延による影響にトルクセンサ18の異常の誤判定を防止することができる。よって、第2実施形態に係るトルクセンサ異常検出装置、トルクセンサ異常検出方法およびプログラムによれば、トルクセンサの異常を適切に検出することができる。
【0038】
また、第2実施形態によれば、トルクセンサ異常検出装置によってトルクセンサの異常を適切に検出することができるので、当該トルクセンサ異常検出装置を備えた装置の効率的運用に寄与することができる。このため、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、及び目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能となる。
【0039】
以上、本発明の実施形態の変形例について説明した。なお、上述した実施形態におけるトルクセンサ異常検出装置の全部又は一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0040】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1…モータシステム、11…モータ、12…モータ駆動部、13…制御部(トルクセンサ異常検出装置)、14…電流検出部、15…エンコーダ、16a、16b…回転軸、17…減速機、18…トルクセンサ、131…モータ制御部、132…負荷トルク推定部、133…トルク検出異常判定部、134…力制御部