(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140644
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20230928BHJP
H10B 63/10 20230101ALI20230928BHJP
H10B 53/00 20230101ALI20230928BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20230928BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230928BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20230928BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L27/108 671A
H01L27/105 449
H01L27/108 621C
H01L27/11502
H01L21/88 M
H01L29/78 618B
H01L29/78 626A
H01L21/285 S
H01L21/285 C
H01L21/28 301B
H01L21/28 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046591
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】側瀬 聡文
(72)【発明者】
【氏名】劉 益民
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB30
4M104BB36
4M104CC01
4M104CC05
4M104DD37
4M104DD43
4M104EE03
4M104FF04
4M104FF18
4M104GG16
4M104HH01
4M104HH02
4M104HH15
5F033JJ19
5F033JJ33
5F033JJ38
5F033KK03
5F033KK08
5F033KK18
5F033KK19
5F033KK21
5F033KK32
5F033KK33
5F033LL09
5F033NN03
5F033NN06
5F033PP06
5F033PP15
5F033QQ09
5F033QQ13
5F033QQ48
5F033RR04
5F033SS11
5F033VV01
5F033VV10
5F033VV16
5F033XX05
5F033XX06
5F033XX09
5F083AD03
5F083AD31
5F083FR02
5F083FZ10
5F083JA02
5F083JA36
5F083JA39
5F083JA40
5F083PR21
5F083PR22
5F083PR33
5F083PR40
5F110BB06
5F110CC09
5F110EE01
5F110EE04
5F110EE14
5F110FF02
5F110GG01
5F110HK07
5F110NN72
(57)【要約】
【課題】好適に動作する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1方向及び第1方向と交差する第2方向に並び、又は、第1方向に並び第2方向に延伸し、第1方向の幅が第1幅である複数の第1導電層と、複数の第1導電層と第1方向又は第2方向に並び、第1方向の幅及び第2方向の幅のうちの小さい方が、第1幅よりも大きい第2幅である第2導電層と、複数の第1導電層の少なくとも一つの、第1方向及び第2方向と交差する第3方向の一端部に接する第3導電層と、第2導電層の第3方向の一端部に接する第4導電層とを備える。複数の第1導電層の少なくとも一つ及び第2導電層は、第1金属と、第1金属と異なる第2金属と、酸素(O)とを含む。複数の第1導電層の少なくとも一つの第1金属の濃度は、第2導電層の第1金属の濃度よりも高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に並び、又は、前記第1方向に並び前記第2方向に延伸し、前記第1方向の幅が第1幅である複数の第1導電層と、
前記複数の第1導電層と前記第1方向又は前記第2方向に並び、前記第1方向の幅及び前記第2方向の幅のうちの小さい方が、前記第1幅よりも大きい第2幅である第2導電層と、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つの、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向の一端部に接する第3導電層と、
前記第2導電層の前記第3方向の一端部に接する第4導電層と
を備え、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つ及び前記第2導電層は、第1金属と、前記第1金属と異なる第2金属と、酸素(O)とを含み、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つの前記第1金属の濃度は、前記第2導電層の前記第1金属の濃度よりも高い
半導体装置。
【請求項2】
前記複数の第1導電層の少なくとも一つは、第1領域と、前記第1領域よりも前記第3導電層に近い第2領域とを備え、
前記第2領域の前記第1金属の濃度は、前記第1領域の前記第1金属の濃度よりも高い
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1方向及び前記第2方向に延伸し、前記複数の第1導電層を含む第1断面において、前記第3導電層は、前記複数の第1導電層の少なくとも一つの外周面を囲い、前記複数の第1導電層の少なくとも一つの外周面に接する
請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1方向及び前記第2方向に延伸し、前記第2導電層を含む第2断面において、前記第4導電層は、前記第2導電層の外周面の少なくとも一部を囲い、前記第2導電層の少なくとも一部の外周面に接する
請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1金属は、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、及び、タングステン(W)の少なくとも1つを含む
請求項1~4のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2金属は、インジウム(In)を含む
請求項1~5のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3導電層及び前記第4導電層は、それぞれ、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、及び、シリコン(Si)の少なくとも1つを含む
請求項1~6のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の第1導電層のうちの一つと前記第3方向に並ぶ第7導電層と、
前記複数の第1導電層のうちの一つ及び前記第7導電層の間に設けられ、前記複数の第1導電層のうちの一つ及び前記第7導電層に接する酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層を囲む第8導電層と
を備える
請求項1~7のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項9】
第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に並び、又は、前記第1方向に並び前記第2方向に延伸し、前記第1方向の幅が第1幅である複数の第1導電層と、
前記複数の第1導電層と前記第1方向又は前記第2方向に並び、前記第1方向の幅及び前記第2方向のうちの小さい方が、前記第1幅よりも大きい第2幅である第2導電層と、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つの、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向の一端部に接する第3導電層と、
前記第2導電層の前記第3方向の一端部に接する第4導電層と
を備え、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つ及び前記第2導電層が、第1金属と、前記第1金属と異なる第2金属と、酸素(O)とを含み、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つの前記第1金属の濃度が、前記第2導電層の前記第1金属の濃度よりも高い
半導体装置の製造方法であって、
第1絶縁層を形成し、
前記第1絶縁層の、前記複数の第1導電層に対応する位置に、複数の第1の開口を形成し、
前記複数の第1の開口の内部に、前記複数の第1導電層を形成し、
前記複数の第1導電層を形成した後で、前記第1絶縁層の、前記第2導電層に対応する位置に、第2の開口を形成し、
前記第2の開口の内部に、前記第2導電層を形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1絶縁層を形成する前に前記第3導電層及び前記第4導電層を形成し、
前記複数の第1の開口は、前記第1絶縁層を貫通して前記第3導電層を露出させ、
前記第2の開口は、前記第1絶縁層を貫通して前記第4導電層を露出させる
請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第3導電層は、前記複数の第1導電層を形成する前に、前記複数の第1の開口のうちの一つの内部に形成し、
前記第4導電層は、前記第2導電層を形成する前に、前記第2の開口の内部に形成する
請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に並び、又は、前記第1方向に並び前記第2方向に延伸し、前記第1方向の幅が第1幅である複数の第1導電層と、
前記複数の第1導電層と前記第1方向又は前記第2方向に並び、前記第1方向の幅及び前記第2方向のうちの小さい方が、前記第1幅よりも大きい第2幅である第2導電層と、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つの、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向の一端部に接する第3導電層と、
前記第2導電層の前記第3方向の一端部に接する第4導電層と
を備え、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つ及び前記第2導電層が、第1金属と、前記第1金属と異なる第2金属と、酸素(O)とを含み、
前記複数の第1導電層の少なくとも一つの前記第1金属の濃度が、前記第2導電層の前記第1金属の濃度よりも高い
半導体装置の製造方法であって、
第1絶縁層を形成し、
前記第1絶縁層の、前記複数の第1導電層に対応する位置及び前記第2導電層に対応する位置に、それぞれ複数の第1の開口及び第2の開口を形成し、
前記複数の第1の開口及び前記第2の開口を形成した後で、前記複数の第1の開口の内部及び前記第2の開口の内部に、それぞれ前記複数の第1導電層及び前記第2導電層を形成する
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1導電層及び前記第2導電層を、スパッタリング法で形成する
請求項9~12のいずれか1項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1導電層及び前記第2導電層を、CVD法で形成する
請求項9~13のいずれか1項記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1金属と、第1金属と異なる第2金属と、酸素(O)とを含む導電層を備える半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-9911号公報
【特許文献2】特開2019-96856号公報
【特許文献3】米国7919365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に動作する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体装置は、第1方向及び第1方向と交差する第2方向に並び、又は、第1方向に並び第2方向に延伸し、第1方向の幅が第1幅である複数の第1導電層と、複数の第1導電層と第1方向又は第2方向に並び、第1方向の幅及び第2方向の幅のうちの小さい方が、第1幅よりも大きい第2幅である第2導電層と、複数の第1導電層の少なくとも一つの、第1方向及び第2方向と交差する第3方向の一端部に接する第3導電層と、第2導電層の第3方向の一端部に接する第4導電層とを備える。複数の第1導電層の少なくとも一つ及び第2導電層は、第1金属と、第1金属と異なる第2金属と、酸素(O)とを含む。複数の第1導電層の少なくとも一つの第1金属の濃度は、第2導電層の第1金属の濃度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(a)は第1実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図であり、(b)及び(c)は第1実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図3】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図4】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図5】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図6】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図7】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図8】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図9】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図10】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図11】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図12】第1実施形態に係る半導体装置について説明するための模式的なエネルギーバンド図である。
【
図13】同半導体装置について説明するための模式的なエネルギーバンド図である。
【
図14】同半導体装置の変形例1について説明するための模式的な断面図である。
【
図15】(a)は、同半導体装置の変形例2について説明するための模式的な断面図であり、(b)は、同半導体装置の変形例2について説明するための模式的な平面図である。
【
図16】同半導体装置の変形例2の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図17】同半導体装置の変形例2の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図18】同半導体装置の変形例3の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図19】同半導体装置の変形例3の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【
図20】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図21】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【
図22】第3実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図23】(a)は、同半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図であり、(b)は、同半導体装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体装置及びその製造方法を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0009】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0010】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0011】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0012】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る半導体装置は、
図1(a)及び
図1(b)に示す様な配線部L10を備える。
図1(a)は、配線部L10の一部の構成を示す模式的なXZ断面図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す構成をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的なXY断面図である。
【0013】
[配線部L10]
配線部L10は、例えば
図1(a)に示す様に、図示しない基板の上方に設けられた絶縁層110と、絶縁層110の上面に設けられた導電層111と、絶縁層110及び導電層111の上面に設けられた絶縁層120と、絶縁層120を貫通して導電層111に接する様に設けられた複数の導電層121及び導電層122と、を備える。絶縁層110及び絶縁層120は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等を含む。
【0014】
導電層111は、例えば、配線部L10の上方に設けられた半導体素子の下部配線として機能する。導電層111は、例えば
図1(a)に示す様に、X方向に延伸する。導電層111は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒素(N)、及び、シリコン(Si)の少なくとも1つを含む。導電層111は、例えば、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、窒化シリコンタングステン(WSiN)、窒化シリコンアルミニウム(AiSiN)、窒化シリコンタンタル(TaSiN)、窒化シリコンチタン(TiSiN)等であっても良い。
【0015】
複数の導電層121は、例えば、半導体素子の下部電極として機能する。複数の導電層121は、例えば
図1(b)に示す様に、X方向及びY方向に並んで設けられる。また、複数の導電層121は、それぞれXY断面において略円形であり、プラグ形状を有していても良い。複数の導電層121のZ方向の下面は、例えば
図1(a)に示す様に、導電層111に接続されている。それぞれの導電層121のX方向の幅は、幅X11である。尚、導電層111及び導電層121の接合の詳細については後述する。
【0016】
導電層122は、例えば、半導体素子と周辺回路とに電気的に接続された配線として機能する。導電層122は、例えば
図1(a)及び(b)に示す様に、X方向に導電層121と並んで設けられる。導電層122のZ方向の下面は、例えば
図1(a)に示す様に、導電層111に接続されている。導電層122のX方向の幅は、幅X12である。導電層122のY方向の幅は、幅Y12である。幅X12及び幅Y12のうち小さい方が、導電層121のX方向の幅X11よりも大きい。尚、導電層111及び導電層122の接合の詳細については後述する。
【0017】
導電層121及び導電層122は、第1金属と、第1金属と異なる第2金属と、酸素(O)とを含む。導電層121の第1金属の濃度は、導電層122の第1金属の濃度よりも高い。
【0018】
第1金属は、例えば、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、及び、タングステン(W)の少なくとも1つを含む。第2金属は、例えば、インジウム(In)を含む。導電層121及び導電層122は、例えば、酸化インジウムスズ(InSnO)等であっても良い。尚、以下、酸化インジウムスズをITO(Indium Tin Oxide)と呼ぶことがある。
【0019】
尚、導電層121及び導電層122における第1金属の濃度が高いほど、第1金属、第2金属、及び酸素(O)を含む材料中の元素結合に生じる歪みが大きくなる場合がある。この第1金属の濃度と、結合の歪みとの関係については後述する。
【0020】
尚、以上の説明においては、
図1(b)に示す様に、複数の導電層121が、X方向及びY方向に並んで設けられる例を示した。しかしながら、複数の導電層121は、XY断面において、
図1(b)に示す例と異なる形状で設けられていても良い。例えば、
図1(c)は、
図1(a)に示す構成をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的なXY断面図であり、
図1(b)とは異なる構成を示す図である。
【0021】
図1(c)に示す様に、複数の導電層121は、X方向に並び、Y方向に延伸して設けられていても良い。この様な場合も、
図1(b)に示す例と同様に、それぞれの導電層121のX方向の幅は幅X11である。また、
図1(b)に示す例と同様に、
図1(c)に示す例においても、幅X12及び幅Y12のうち小さい方が、幅X11よりも大きい。
【0022】
また、以上の説明においては、
図1(a)~(c)において、導電層122が、導電層121とX方向に並ぶ例を図示した。しかしながら、導電層122は、導電層121とY方向に並んでいても良い。
【0023】
尚、導電層121及び導電層122における第1金属の濃度は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)等によって測定可能である。
【0024】
[製造方法]
次に、
図2~
図11を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図2~
図11は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図であり、
図1(a)に示す部分に対応している。
【0025】
同製造方法においては、例えば
図2に示す様に、図示しない基板の上方に、絶縁層110を形成する。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって行う。
【0026】
次に、例えば
図3に示す様に、絶縁層110の上側部分の導電層111に対応する位置に、X方向に延伸する開口OP1を形成する。この工程は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等によって行う。
【0027】
次に、例えば
図4に示す様に、絶縁層110の上面及び開口OP1の内部に、導電層111´を形成する。導電層111´は、例え導電層111と同様の材料を含む。この工程は、例えば、スパッタリング、又はCVD等によって行う。
【0028】
次に、例えば
図5に示す様に、開口OP1があった部分の外に形成された導電層111´の部分を除去平坦化し、導電層111を形成する。この工程は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Planarization)等によって行う。
【0029】
次に、例えば
図6に示す様に、絶縁層110及び導電層111の上に、絶縁層120を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0030】
次に、例えば
図7に示す様に、絶縁層120において導電層121に対応する位置に、複数の開口OP2を形成する。開口OP2は、Z方向に延伸し、絶縁層120を貫通して導電層111を露出させる開口である。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0031】
次に、例えば
図8に示す様に、絶縁層120の上面及び開口OP2の内部に、導電層121´を形成する。導電層121´は、例えば導電層121と同様の材料を含む。この工程は、例えば、スパッタリング、又はCVD等によって行う。尚、導電層121´を形成するこの工程の詳細については後述する。
【0032】
次に、例えば
図9に示す様に、開口OP2があった部分の外に形成された導電層121´の部分を除去平坦化し、複数の導電層121を形成する。この工程は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Planarization)等によって行う。
【0033】
次に、例えば
図10に示す様に、絶縁層120において導電層122に対応する位置に、開口OP3を形成する。開口OP3は、Z方向に延伸し、絶縁層120を貫通して導電層111を露出させる開口である。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0034】
次に、例えば
図11に示す様に、絶縁層120の上面及び開口OP3の内部に、導電層122´を形成する。導電層122´は、例えば導電層122と同様の材料を含む。この工程は、例えば、スパッタリング、又はCVD等によって行う。尚、導電層122´を形成するこの工程の詳細については後述する。
【0035】
次に、開口OP3があった部分の外に形成された導電層122´の部分を除去平坦化し、導電層122を形成し、
図1を参照して説明した構造を形成する。この工程は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Planarization)等によって行う。
【0036】
[導電層121´及び導電層122´を形成する工程]
導電層121´を形成する工程(
図8)、及び、導電層122´を形成する工程(
図11)の詳細について説明する。尚、ここでは、導電層121´及び導電層122´がITOを含む例、即ち、第1金属がスズ(Sn)であり、第2金属がインジウム(In)である例について説明する。
【0037】
まず、導電層121´及び導電層122´を形成する各工程を、スパッタリングによって行う場合の例について説明する。この様な場合、スパッタリングターゲットには、それぞれ酸化インジウムスズ(InSnO)を用いる。
【0038】
導電層121´を形成する際のスパッタリングターゲット中のSn濃度を、導電層122´を形成する際のスパッタリングターゲット中のSn濃度よりも高くする。これにより、導電層121´中のSn濃度を、導電層122´中のSn濃度よりも高くできる。
【0039】
尚、Sn濃度の異なる複数のスパッタリングターゲットを同時に用いて成膜し、それぞれスパッタリング条件(例えば印加電圧)を調整することでも、導電層121´中のSn濃度を、導電層122´中のSn濃度よりも高くできる。
【0040】
次に、導電層121´及び導電層122´を形成する各工程を、CVDによって行う場合の例について説明する。この様な場合、CVDに用いるソースガスとして、少なくともIn化合物ガスと、Sn化合物ガスとを用いる。
【0041】
導電層121´を形成する際のSn化合物ガス流量を、導電層122´を形成する際のSn化合物ガス流量よりも高くする。これにより、導電層121´中のSn濃度を、導電層122´中のSn濃度よりも高くすることができる。
【0042】
尚、以上の説明においては、導電層121´及び導電層122´が含む第1金属がスズ(Sn)であり、第2金属がインジウム(In)である例について説明した。しかしながら、第1金属及び第2金属が、スズ(Sn)及びインジウム(In)以外の元素を含む場合においても、同様の工程を用いることができる。
【0043】
例えば、導電層121´及び導電層122´を形成する工程をスパッタリングによって行う場合、導電層121´を形成する際のスパッタリングターゲット中の第1金属の濃度を、導電層122´を形成する際のスパッタリングターゲット中の第1金属の濃度よりも高くすれば良い。
【0044】
また、例えば、導電層121´及び導電層122´を形成する工程をCVDによって行う場合、導電層121´を形成する際の第1金属を含む化合物ガスの流量を、導電層122´を形成する際の第1金属を含む化合物ガスの流量よりも高くすれば良い。
【0045】
[導電層111及び導電層121、並びに、導電層111及び導電層122の接合]
次に、
図12及び
図13を参照して、導電層111及び導電層121、並びに、導電層111及び導電層122の接合について説明する。尚、
図12及び
図13には、導電層111が窒化チタン(TiN)を含み、導電層121及び導電層122がITOを含む場合の例を示している。
【0046】
[導電層111と導電層121との接合]
図12は、導電層111と導電層121との接合部近傍における、模式的なエネルギーバンド図である。
図12は、
図1中の点線BD1に沿った構成のバンドギャップエネルギーを図示している。点線BD1は、導電層111及び導電層121を通って、Z方向に延伸している。
図12の紙面縦方向は、電子のポテンシャルを表し、下へ向かうほど電子のポテンシャルは低くなる様図示している。
【0047】
図12に示す様に、ITOは、n型半導体である酸化インジウム(InO)中のインジウム(In)の一部を、第1金属M1、ここではスズ(Sn)が置換することで、伝導体にキャリア電子が生じる材料である。ITOは、含有するスズ(Sn)の濃度が高いほど、キャリア電子密度が高くなる。
【0048】
また、
図12に示す様に、導電層121がITOであり、導電層111が窒化チタン(TiN)を含み、窒化チタンがITOと接している場合、それらの接合界面はn型のショットキー接合となる。
【0049】
ここで、導電層121中の第1金属、ここではスズ(Sn)の濃度は、比較的高い。この様な場合、
図12に示す様に、導電層111に対する導電層121のバリア幅D1は比較的小さく、接合部近傍のITOのバンドの曲がりが急峻となる。この様な場合、導電層111と導電層121との界面抵抗率は、比較的小さくなる。
【0050】
[導電層111と導電層122との接合]
図13は、導電層111と導電層122との接合部近傍における、模式的なエネルギーバンド図である。
図13は、
図1中の点線BD2に沿った構成のバンドギャップエネルギーを図示している。点線BD2は、導電層111及び導電層122を通って、Z方向に延伸している。
図13の紙面縦方向は、電子のポテンシャルを表し、下へ向かうほど電子のポテンシャルは低くなる様図示している。
【0051】
図13に示す様に、導電層122がITOであり、導電層111が窒化チタン(TiN)を含み、窒化チタンがITOと接している場合、
図12に示した例と同様に、それらの接合界面はn型のショットキー接合となる。
【0052】
ここで、導電層122中の第1金属M1、ここではスズ(Sn)の濃度は、比較的低い。例えば、導電層122中のスズ(Sn)の濃度は、導電層121中のスズ(Sn)の濃度よりも低い。この様な場合、
図13に示す様に、導電層111に対する導電層122のバリア幅D2はバリア幅D1より大きく、接合部近傍のITOのバンドの曲がりが緩やかになる。この様な場合、導電層111と導電層122との界面抵抗率は、比較的高くなる。
【0053】
尚、以上の説明においては、導電層121及び導電層122が含む第1金属がスズ(Sn)であり、第2金属がインジウム(In)である例について説明した。しかしながら、第1金属及び第2金属が、スズ(Sn)及びインジウム(In)以外の元素である場合においても、同様である。
【0054】
例えば、導電層121中の第1金属M1の濃度が比較的高い場合、導電層111に対する導電層121のバリア幅は比較的小さく、導電層111と導電層121との界面抵抗率は、比較的小さくなる。また、例えば、導電層122中の第1金属M1の濃度が比較的低い場合、導電層111に対する導電層122のバリア幅は比較的大きく、導電層111と導電層122との界面抵抗率は、比較的大きくなる。
【0055】
[第1金属の濃度と結合の歪み]
次に、導電層121及び導電層122における第1金属の濃度が高いほど、第1金属、第2金属、及び酸素(O)を含む材料中の元素結合に生じる歪みが大きくなる例について説明する。ここでは、導電層121及び導電層122がITOを含む場合の例を示す。
【0056】
ITOが含むスズ(Sn)の濃度が比較的高い場合は、酸化インジウム(InO)の結合に生じる歪みが大きくなる。この様な歪みの総量は、形成されたITOの体積が大きいほど大きくなる。この様に結合の歪みが大きい場合、ITOへの熱処理によるストレスマイグレーションや、ITO中の電気伝導によるエレクトロマイグレーションといった、不良が発生しやすくなってしまう。
【0057】
尚、以上の説明はITOに関するものであったが、その他の第1金属、第2金属、及び、酸素(O)を含む材料の場合も同様である。例えば、第1金属の濃度が大きいほど、第1金属、第2金属、及び、酸素(O)を含む材料中の結合の歪みは大きくなる。
【0058】
[効果]
【0059】
本実施形態に係る半導体装置は、導電層121の様な幅X11が比較的小さい配線において、第1金属の濃度が高い。また、導電層122の様な幅X12及び幅Y12が比較的大きい配線において、第1金属の濃度が低い。
【0060】
この様な構成では、導電層121と導電層111とのコンタクトの様に、コンタクト面積が比較的小さく、コンタクト抵抗が大きくなりやすい場合において、導電層121の第1金属の濃度を高くすることで、界面抵抗率を比較的小さくできる。よって、導電層121と導電層111との接合の様に比較的コンタクト面積が小さい場合においても、コンタクト抵抗を低くでき、良好な導通を確保できる。
【0061】
また、この様な構成では、導電層122と導電層111とのコンタクトの様に、コンタクト面積が比較的大きい場合において、導電層122の第1金属の濃度を低くすることで、材料中の結合の歪みを小さく抑えることができる。よって、体積が比較的大きい導電層122中においても、歪みの総量を比較的小さくし、ストレスマイグレーションや、エレクトロマイグレーション等の不良の発生を抑えることができる。また、この様に歪みの総量を比較的小さく抑えることで、導電層122と導電層111との密着強度を高め、特にCMP工程におけるパターン剥がれ等を抑止し、プロセス信頼性を高めることができる。
【0062】
[第1実施形態の変形例1]
次に、
図14を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の変形例1について説明する。
図14は、本変形例に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的な断面図である。
【0063】
第1実施形態の変形例1に係る半導体装置は、例えば、
図14に示す様な配線部L11を備える。
【0064】
[配線部L11]
配線部L11には、第1実施形態の配線部L10の様な導電層111は設けられない。しかしながら、配線部L11には、絶縁層110の上面に複数の導電層111a及び導電層111bが設けられる。
【0065】
複数の導電層111aは、例えば、複数の半導体素子の複数の下部配線として機能する。複数の導電層111aは、例えば、複数の導電層121と対応する位置にX方向に並び、Y方向に延伸して設けられる。複数の導電層111aは、複数の導電層121のZ方向下面にそれぞれ接続される。複数の導電層111aは、例えば、導電層111と同様の材料を含む。
【0066】
導電層111bは、例えば、ダミーパターン、又は、半導体素子に電気的に接続される周辺回路中の配線として機能する。導電層111bは、例えば、導電層122と対応する位置に設けられる。導電層111bは、導電層122のZ方向下面に接続される。導電層111bは、例えば、導電層111と同様の材料を含む。
【0067】
尚、以上の説明においては、複数の導電層111aが、X方向に並び、Y方向に延伸して設けられる例を示した。しかしながら、複数の導電層111aは、X方向及びY方向に並んで設けられていても良い。
[第1実施形態の変形例2]
次に、
図15~
図17を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の変形例2について説明する。
【0068】
[配線部L12]
第1実施形態の変形例2に係る半導体装置は、例えば、
図15(a)及び
図15(b)に示す様な配線部L12を備えていても良い。
図15(a)は、配線部L12の一部の構成を示す模式的なXZ断面図である。
図15(b)は、
図15(a)に示す構成をB-B´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的なXY断面図である。
【0069】
配線部L12には、第1実施形態の配線部L10の様な導電層111は設けられない。しかしながら、配線部L12には、例えば
図15(a)及び15(b)に示す様に、導電層121の外周面に接する導電層112aが設けられる。また、配線部L12には、導電層122の外周面に接する導電層112bが設けられる。
【0070】
複数の導電層112aは、例えば、導電層121から酸素(O)が抜けるのを防止する層、及びCMP工程における密着層として機能する。複数の導電層112aは、それぞれ複数の導電層121のXY断面における外周面及び導電層121のZ方向の下端面を覆う。複数の導電層112aは、複数の導電層121に対応してX方向及びY方向に並んで設けられる。複数の導電層112aは、例えば、導電層111と同様の材料を含む。導電層112aは、例えば、窒化チタン(TiN)であり、導電層111は、例えば、タングステン(W)である。
【0071】
導電層112bは、例えば、導電層122から酸素(O)が抜けるのを防止する層、及びCMP工程における密着層として機能する。導電層112bは、導電層122のXY断面における外周面及び導電層122のZ方向の下端面を覆う様に設けられる。導電層112bは、例えば、導電層111と同様の材料を含む。
【0072】
尚、以上の説明においては、複数の導電層112aが、X方向及びY方向に並んで設けられる複数の導電層121に対応して設けられる例を示した。しかしながら、複数の導電層112aは、X方向に並び、Y方向に延伸して設けられる複数の導電層121に対応し、導電層121のX方向の両端面及びZ方向の下端面を覆っていても良い。
【0073】
[配線部L13]
第1実施形態の変形例2に係る半導体装置は、例えば、
図16に示す様な配線部L13を備えていても良い。
図16は、配線部L13の一部の構成を示す模式的なXZ断面図である。
【0074】
配線部L13には、第1実施形態の配線部L10の様な導電層111は設けられない。しかしながら、配線部L13には、導電層121の外周面に接する前述した導電層112aが設けられる。また、配線部L13には、導電層122のZ方向の下端面に接する、前述した導電層111bが設けられる。
【0075】
[配線部L14]
第1実施形態の変形例2に係る半導体装置は、例えば、
図17に示す様な配線部L14を備えていても良い。
図17は、配線部L14の一部の構成を示す模式的なXZ断面図である。
【0076】
配線部L14には、第1実施形態の配線部L10の様な導電層111は設けられない。しかしながら、配線部L14には、複数の導電層121のZ方向の下端面に接する、前述した複数の導電層111aが設けられる。また、配線部L14には、導電層122の外周面に接する、前述した導電層112bが設けられる。
【0077】
[第1実施形態の変形例3]
次に、
図18及び
図19を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の変形例3について説明する。
【0078】
[配線部L15]
第1実施形態の変形例3に係る半導体装置は、例えば、
図18に示す様な配線部L15を備えていても良い。
図18は、配線部L15の一部の構成を示す模式的なXZ断面図である。
【0079】
配線部L15において、導電層121は、第1部分121aと、第1部分121aよりも導電層111に近い第2部分121bと、を備える。第2部分121bの第1金属の濃度は、第1部分121aの第1金属の濃度よりも高い。
【0080】
[配線部L16]
第1実施形態の変形例3に係る半導体装置は、例えば、
図19に示す様な配線部L16を備えていても良い。
図19は、配線部L16の一部の構成を示す模式的なXZ断面図である。
【0081】
配線部L16において、導電層121は、第1領域R11と、第1領域R11よりも導電層111に近い第2領域R12と、を備える。第2領域R12の第1金属の濃度は、第1領域R11の第1金属の濃度よりも高い。尚、配線部L16においては、導電層121において、導電層111に近くなるほど第1金属の濃度が高くなるよう、第1金属の濃度勾配を形成しても良い。
【0082】
[第1実施形態の変形例3の効果]
導電層121と導電層111との界面抵抗率を効率的に低減させるためには、特に導電層121のうち、導電層111に近い部分のキャリア密度を高めることが望ましい。よって、
図18及び
図19を参照して説明した構造の様に、導電層121のうち導電層111に近い部分の第1金属濃度を高めることで、効果的に界面抵抗率を低減できる。また、導電層121のうち、導電層111に近い部分のみ第1金属濃度を高めることで、導電層121全体としては、第1金属の濃度を低く抑えることができる。この様な場合、界面抵抗率を下げつつ、前述した様な第1金属濃度の増加に伴う結合の歪みも抑えることができ、ストレスマイグレーションや、エレクトロマイグレーション等の不良の発生を抑えることができる。
【0083】
[第2実施形態]
次に、
図1、
図20、及び、
図21を用いて、第2実施形態に係る半導体装置とその製造方法について説明する。尚、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0084】
[構成]
第2実施形態に係る半導体装置は、例えば、第1実施形態と同様の
図1(a)及び
図1(b)に示す様な配線部L10を備える。しかしながら、第2実施形態に係る半導体装置は、第1実施形態と異なる製造方法を用いて製造される。
【0085】
[製造方法]
次に、
図20及び
図21を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図20及び
図21は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明するための模式的な断面図であり、
図1(a)に示す部分に対応している。
【0086】
同製造方法においては、まず、例えば
図2~
図6を参照して説明した工程と同様の工程を行う。
【0087】
次に、例えば
図20に示す様に、絶縁層120において複数の導電層121及び導電層122に対応する位置に、それぞれ複数の開口OP4及び開口OP5を形成する。複数の開口OP4及び開口OP5は、Z方向に延伸し、絶縁層120を貫通して導電層111を露出させる開口である。尚、開口OP5のX方向の幅及びY方向の幅のうち小さい方が、開口OP4のX方向の幅よりも大きくなるよう形成する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0088】
次に、例えば
図21に示す様に、絶縁層120の上面及び複数の開口OP4及び開口OP5の内部に、導電層130を形成する。導電層130は、例えば導電層121及び導電層122と同様の材料を含む。この工程は、例えば、スパッタリング、又はCVD等によって行う。尚、この工程において、導電層121に対応する位置に形成された領域R21の第1金属の濃度が、導電層122に対応する位置に形成された領域R22の第1金属の濃度よりも高くなる様に形成する。尚、導電層130を形成するこの工程の詳細については後述する。
【0089】
次に、複数の開口OP4及び開口OP5があった部分の外に形成された導電層130の部分を除去平坦化し、導電層121及び導電層122を形成して、
図1を参照して説明した構造を形成する。この工程は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Planarization)等によって行う。
【0090】
[導電層130を形成する工程]
導電層130を形成する工程について説明する。尚、ここでは、導電層130を形成する工程を、スパッタリングによって行う場合について説明する。
【0091】
スパッタリングにおいて、第1金属と、第2金属と、酸素(O)と、を含むスパッタリングターゲットを用いる場合、元素ごとのスパッタリング効率の差異によって、スパッタリングターゲットの組成と、成膜された膜の組成と、が異なる場合がある。元素ごとのスパッタリング効率は、例えば元素ごとに、被成膜部に衝突する粒子数と、衝突によりはじき出される粒子数と、の差分として表す。この様なスパッタリング効率は、被成膜部の形状、成膜された膜の密度、及び、構成元素の原子量等によって変化する。
【0092】
図20に示す様な、幅の小さい開口OP4と、幅の広い開口OP5と、に対し、スパッタリングによって導電層130を同時に埋め込む様な場合が、被成膜部の形状が異なる場合にあたる。この様な場合、開口部の幅によってスパッタリング効率が異なる条件(例えばスパッタリング時の基板バイアス電圧が高い条件等)によって成膜することで、幅の小さい開口OP4に埋め込まれた領域R21における第1金属の濃度を高く、幅の大きい開口OP5に埋め込まれた領域R22における第1金属の濃度を低くすることができる。
【0093】
[第3実施形態]
次に、
図22及び
図23を用いて、第3実施形態に係る半導体装置について説明する。
図22は、メモリセルアレイMCAの一部の構成を示す模式的な回路図である。
図23(a)は、本実施形態に係る半導体装置の一部の構成を示す模式的なXZ断面図である。
図23(b)は、
図23(a)に示す構成をC-C´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的なXY断面図である。
【0094】
[回路構成]
第3実施形態に係る半導体装置は、例えば、
図22に示す様なメモリセルアレイMCA及び周辺回路PCを備える。
【0095】
メモリセルアレイMCAは、複数のビット線BLと、複数のワード線WLと、複数のプレート線PLと、これら複数のビット線BL、複数のワード線WL、及び、複数のプレート線PLに接続された複数のメモリセルMCと、を備える。1のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCは、それぞれ、お互いに異なるビット線BLに接続されている。また、1のビット線BLに接続された複数のメモリセルMCは、それぞれ、お互いに異なるワード線WLに接続されている。
【0096】
メモリセルMCは、それぞれ、ビット線BLとプレート線PLとの間に直列に接続された選択トランジスタST及びキャパシタCapを備える。
【0097】
選択トランジスタSTは、チャネル領域として機能する半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタSTのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。
【0098】
キャパシタCapは、一対の電極、及び、メモリ部を含む絶縁膜を備えるキャパシタである。
【0099】
周辺回路PCは、例えば、動作電圧を生成して電圧供給線に出力する電圧生成回路、所望の電圧供給線をメモリセルアレイMCA内の各配線(ビット線BL、ワード線WL、及び、プレート線PL)と導通させるデコード回路、ビット線BLの電流又は電圧を検知するセンスアンプ回路等を備える。
【0100】
[構造]
次に、選択トランジスタSTを構成するトランジスタ構造Trと、キャパシタCapを構成するキャパシタ構造CPと、選択トランジスタST及びキャパシタCapとの間に設けられ、それらを接続する配線部L20について、
図23を参照して説明する。
【0101】
[トランジスタ構造Tr]
トランジスタ構造Trは、導電層221と、導電層221の上方に設けられた絶縁層203と、導電層221の上方に設けられた導電層251と、導電層221と導電層251との間に設けられ、導電層221及び導電層251に接続された半導体層242と、半導体層の外周面に設けられた絶縁層241と、絶縁層241の外周面の一部に設けられた導電層231と、導電層251の上面に設けられた導電層260aと、を備える。絶縁層203は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含む。
【0102】
導電層221は、例えば、選択トランジスタST(
図22)のドレイン電極として機能する。導電層221は、例えば、前述した導電層121と同様の、第1金属、第2金属、及び酸素(O)を含む。導電層221は、XY断面において略円形であり、プラグ形状を有していても良い。導電層221のZ方向下面は、導電層210aに接続されている。導電層221のX方向の幅は、幅X31である。
【0103】
導電層231は、例えば、選択トランジスタST(
図22)のゲート電極として機能する。導電層231は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含む。
【0104】
絶縁層241は、例えば、選択トランジスタST(
図22)のゲート絶縁膜として機能する。絶縁層241は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等を含む。
【0105】
半導体層242は、例えば、選択トランジスタST(
図22)のチャネル領域として機能する。半導体層242は、例えば、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)のうち少なくとも一つの元素と、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む半導体であっても良いし、その他の酸化物半導体であっても良い。
【0106】
導電層251は、例えば、選択トランジスタST(
図22)のソース電極として機能する。導電層251は、例えば、導電層221と同様に、第1金属、第2金属、及び酸素(O)を含む。導電層251のX方向の幅は、導電層221のX方向の幅と同程度である。
【0107】
尚、導電層251とX方向に並ぶ位置に、導電層252が設けられていても良い。導電層252は、例えば、導電層251と同様に、第1金属、第2金属、及び酸素(O)を含む。導電層252の第1金属の濃度は、導電層251の第1金属の濃度よりも高くても良いし、同程度でも良い。導電層252のX方向の幅は、後述する導電層222のX方向の幅と同程度である。
【0108】
導電層260aは、例えば、メモリセルアレイMCAのビット線BL(
図22)として機能する。導電層260aは、Y方向に延伸し、Y方向に並ぶ複数の導電層251のZ方向の上面に接続されていても良い。導電層260aは、例えば、窒化チタン(TiN)等の前述した導電層111と同様の材料を含む。
【0109】
尚、導電層260aとX方向に並ぶ位置に、導電層260bが設けられていても良い。導電層260bのZ方向の下面は、導電層252に接続されていても良い。導電層260bは、例えば、窒化チタン(TiN)等の前述した導電層111と同様の材料を含む。
【0110】
[配線部L20]
配線部L20は、例えば
図23(a)に示す様に、絶縁層201及び絶縁層202と、絶縁層201中に設けられた導電層210a及び導電層210bと、絶縁層201、導電層210a、及び、導電層210bの上面に設けられた絶縁層202と、絶縁層202を貫通して導電層210aに接する様に設けられた前述した導電層221と、絶縁層202を貫通して導電層210bに接する様に設けられた導電層222と、を備える。絶縁層201及び絶縁層202は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等を含む。
【0111】
導電層210aは、例えば、導電層221とキャパシタ構造CPとを接続する配線として機能する。導電層210aは、例えば、窒化チタン(TiN)等の前述した導電層111と同様の材料を含む。
【0112】
導電層210bは、例えば、ダミーパターン及び周辺回路の下部配線として機能する。導電層210bは、例えば、窒化チタン(TiN)等の前述した導電層111と同様の材料を含む。
【0113】
導電層222は、例えば、ダミーパターンまたは周辺回路の配線として機能する。導電層222は、例えば
図23(a)及び
図23(b)に示す様に、X方向に導電層221と並んで設けられる。導電層222のZ方向の下面は、導電層210bに接続されている。導電層222のX方向の幅は、幅X32である。導電層222のY方向の幅は、幅Y32である。幅X32及び幅Y32のうち小さい方が、導電層221のX方向の幅X31よりも大きい。
【0114】
導電層221及び導電層222は、第1実施形態と同様の、第1金属と、第2金属と、酸素(O)とを含む。導電層221の第1金属の濃度は、導電層222の第1金属の濃度よりも高い。
【0115】
[キャパシタ構造CP]
キャパシタ構造CPは、例えば
図23(a)に示す様に、絶縁層200と、絶縁層200中に設けられた導電層301と、導電層301の上面、並びにX方向及びY方向の側面に設けられた絶縁層302と、絶縁層302の上面、並びにX方向及びY方向の側面に設けられた導電層303と、を備える。絶縁層200は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等を含む。
【0116】
導電層301は、キャパシタCap(
図22)の一方の電極として機能する。導電層301は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含む。導電層301は、図示しないプレート線PL(
図22)に電気的に接続されている。
【0117】
絶縁層302は、キャパシタ構造CPの電極間の絶縁層として機能する。絶縁層302は、例えば、酸化シリコン(SiO2)等を含む。絶縁層302は、例えば、アルミナ(Al2O3)又はその他の絶縁性の金属酸化物であっても良い。
【0118】
導電層303は、例えば、キャパシタCap(
図22)の他方の電極として機能する。導電層303は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含む。導電層303は、導電層210aのZ方向下側の端面に接続されている。
【0119】
[第3実施形態の効果]
近年、より移動度の高い酸化物半導体を用いた半導体装置の開発が進んでいる。移動度の高い酸化物半導体は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び、亜鉛(Zn)を含む。
【0120】
酸化物半導体を用いた半導体装置の特性は、酸化物半導体中に含まれる酸素欠損の量によって変動することが知られている。この様な酸化物半導体にコンタクトする電極材料として、一般的な金属材料を用いた場合、界面での酸化還元反応が生じる。この酸化還元反応によって、酸化物半導体中の酸素欠損量が増大し、トランジスタ特性が変動してしまう場合があった。
【0121】
この様な酸素欠損量の増大を防ぐため、本実施形態においては、
図23(a)に示す様に、酸化物半導体である半導体層242にコンタクトする導電層221及び導電層251には、第1金属、第2金属、及び、酸素(O)を含む酸化物導電体を用いている。これにより、半導体層242中の酸素欠損が増大することを抑制している。
【0122】
しかしながら、例えば、導電層221及び導電層251にそれぞれコンタクトする導電層210a及び導電層260aに、一般的な金属材料を採用すると、界面で酸化還元反応が生じ、界面抵抗率が増大してしまう場合があった。
【0123】
よって、本実施形態に係る半導体装置は、導電層221及び導電層251の様に比較的幅が小さい場合は第1金属の濃度が高く、導電層222の様に比較的幅が大きい場合は第1金属の濃度を低くしている。
【0124】
この様な構成では、導電層221と導電層210aとのコンタクト、及び、導電層251と導電層260aとのコンタクトの様に、コンタクト面積が比較的小さく、コンタクト抵抗が大きくなりやすい場合においても、界面抵抗率を比較的小さくできる。よって、これら比較的面積の小さい接合においても、コンタクト抵抗を比較的小さくすることができる。
【0125】
また、この様な構成では、導電層222と導電層210bとのコンタクトの様に、コンタクト面積が比較的大きい場合においても、導電層222の第1金属の濃度を低くすることで、材料中の結合の歪みを小さく抑えることができる。よって、体積が比較的大きい導電層222中においても、歪みの総量を比較的小さくし、ストレスマイグレーションや、エレクトロマイグレーション等の不良の発生を抑えることができる。また、この様に歪みの総量を比較的小さく抑えることで、導電層222と導電層210bとの密着強度を高め、特にCMP工程におけるパターン剥がれ等を抑止し、プロセス信頼性を高めることができる。
【0126】
尚、以上の説明では、選択トランジスタSTに、キャパシタCapが接続される例について説明した。この様な例において、キャパシタCapの形状、構造等は、適宜調整可能である。
【0127】
また、以上の説明では、選択トランジスタSTに接続されるメモリ部として、キャパシタCapが採用される例について説明した。しかしながら、メモリ部は、キャパシタCapでなくても良い。例えば、メモリ部は、強誘電体、強磁性体、GeSbTe等のカルコゲン材料又はその他の材料を含み、これら材料の特性を利用してデータを記録するものであっても良い。例えば、以上において説明したいずれかの構造において、キャパシタCapを形成する電極間の絶縁層に、これら材料のいずれかを含ませても良い。
【0128】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第3実施形態に係る半導体装置について説明した。しかしながら、これらの実施形態に係る半導体装置はあくまでも例示であり、具体的な構成、動作等は適宜調整可能である。
【0129】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
110…絶縁層、111…導電層、120…絶縁層、121…導電層、122…導電層、BL…ビット線、WL…ワード線、PL…プレート線、Cap…キャパシタ、ST…選択トランジスタ。