(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140652
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ゴルフカートシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A63B 55/60 20150101AFI20230928BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20230928BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20230928BHJP
【FI】
A63B55/60 D
A63B71/06 U
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046600
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宮田 恵司
(72)【発明者】
【氏名】大田 桂一
(72)【発明者】
【氏名】税田 淑貴
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 誠
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 延予
(57)【要約】
【課題】本開示は、ゴルフのプレーの迅速な進行をサポートできるゴルフカートシステム及び方法を提供することができる。
【解決手段】本開示のゴルフカートシステム100は、現在位置検出部11、弾道測定部12、推定部13、ルート生成部14及び表示部16を備える。現在位置検出部11は、ゴルフカートの現在位置を検出する。弾道測定部12は、ボールの弾道を測定する。推定部13は、弾道の測定結果に基づいて、ボールの停止位置を推定する。ルート生成部14は、推定した停止位置に基づいて目的地を決定し、現在位置から目的地までゴルフカートを走行させるルート情報を生成する。表示部16は、ルート情報を表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフカートの現在位置を検出する現在位置検出部と、
ボールの弾道を測定する弾道測定部と、
前記弾道の測定結果に基づいて、ボールの停止位置を推定する推定部と、
推定した停止位置に基づいて目的地を決定し、前記現在位置から前記目的地まで前記ゴルフカートを走行させるルート情報を生成するルート生成部と、
前記ルート情報を表示する表示部と、を備える
ゴルフカートシステム。
【請求項2】
前記推定部は、前記弾道の測定結果に基づいて、ボールの軌跡を推定し、
前記ルート生成部は、推定した停止位置がハザード内の場合、最後に横切ったハザードとの境界となる位置に基づいて目的地を決定する
請求項1に記載のゴルフカートシステム。
【請求項3】
前記ルート生成部は、複数のボールの停止位置に基づいてそれぞれ目的地を決定し、前記現在位置からの距離が近い目的地の順に前記ゴルフカートを走行させるルート情報を生成する
請求項1又は2に記載のゴルフカートシステム。
【請求項4】
前記ルート情報に基づいて、前記ゴルフカートを自動走行させるカート走行部をさらに備える
請求項1~3のいずれか1項に記載のゴルフカートシステム。
【請求項5】
コンピュータが、
ゴルフカートの現在位置を検出し、
ボールの弾道を測定し、
前記弾道の測定結果に基づいて、ボールの停止位置を推定し、
推定した停止位置に基づいて目的地を決定し、前記現在位置から前記目的地まで前記ゴルフカートを走行させるルート情報を生成し、
前記ルート情報を表示する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はゴルフカートシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、プレー中の他のカートとの位置情報を受信し、他のカートと自己のカートとの位置関係によりプレーの進行状況を報知する技術が開示されている。しかしながら、ボールの停止位置を容易に推定することはできない。
【0003】
特許文献2では、ボール内に通信装置を備え、ホール各所に設置された通信装置との通信によりボールの位置をユーザー示す技術が開示されている。しかしながら、池の中に入った場合は通信が遮断される可能性があり、この場合はボールの停止位置を容易に推定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-329705号公報
【特許文献2】特開2019-150421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に係る技術では、ボールの停止位置を容易に推定することができないため、ゴルフのプレーの迅速な進行をサポートすることができないという課題があった。
【0006】
本開示は、そのような課題を鑑みることによって、ゴルフのプレーの迅速な進行をサポートできるゴルフカートシステム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のゴルフカートシステムは、
ゴルフカートの現在位置を検出する現在位置検出部と、
ボールの弾道を測定する弾道測定部と、
前記弾道の測定結果に基づいて、ボールの停止位置を推定する推定部と、
推定したボールの停止位置に基づいて目的地を決定し、前記現在位置から前記目的地まで前記ゴルフカートを走行させるルート情報を生成するルート生成部と、
前記ルート情報を表示する表示部と、を備える。
【0008】
本開示の方法は、
コンピュータが、
ゴルフカートの現在位置を検出し、
ボールの弾道を測定し、
前記弾道の測定結果に基づいて、ボールの停止位置を推定し、
推定したボールの停止位置に基づいて目的地を決定し、前記現在位置から前記目的地まで前記ゴルフカートを走行させるルート情報を生成し、
前記ルート情報を表示する。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、ゴルフのプレーの迅速な進行をサポートできるゴルフカートシステム及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムが利用されるゴルフコースのホールの俯瞰図である。
【
図5】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおける弾道情報の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるボールの停止位置がバンカー内である場合のゴルフカートの目的地の決定方法を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるボールの停止位置が池内である場合のゴルフカートの目的地の決定方法を示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるボールの停止位置が池内であり、打ち出し位置が設定されている場合のゴルフカートの目的地の決定方法を示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるボールの停止位置がフェアウェイ上である場合のゴルフカートの目的地の決定方法を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるゴルフコースにゴルフカートを乗り入れ可の場合のルートの生成方法を示す図である。
【
図11】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるゴルフカートがカート道路を走行する場合のルートの生成方法を示す図である。
【
図12】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるプレイヤに表示する弾道情報及びルート情報の一例を示す図である。
【
図13】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるゴルフコースにゴルフカートを乗り入れ可の場合のルートの生成方法を示す図である。
【
図14】第1の実施形態に係るゴルフカートシステムにおけるゴルフカートがカート道路を走行する場合のルートの生成方法を示す図である。
【
図15】第1の実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、
図1を用いて、第1の実施形態に係るゴルフカートシステム100の構成を説明する。
ゴルフカートシステム100は、ゴルフカートに搭載されるシステムである。ゴルフカートシステム100は、現在位置検出部11、弾道測定部12、推定部13、ルート生成部14、弾道情報生成部15、表示部16、カート走行部17、操作部18、記憶部19、通信部20、撮像部21及び位置情報取得部22(各構成要素とも呼ぶ)を備える。ゴルフカートシステム100の各構成要素は、1又は複数の装置で実現される。
【0013】
現在位置検出部11は、ゴルフコースにおけるゴルフカートの現在位置を検出する。具体的には、現在位置検出部11は、記憶部19に記憶されたゴルフコース位置情報と位置情報取得部22によって取得された位置情報とに基づいて、ゴルフコース内の何れのホールの何れの位置にゴルフカートが位置するか、を検出する。記憶部19に記憶されているゴルフコース位置情報とは、ゴルフコースの各ホールの要素の詳細なレイアウトの情報であるが詳細は後述する。
【0014】
弾道測定部12は、プレイヤによって打たれたボールの弾道を測定する。具体的には、弾道測定部12は、打たれたボールをレーダー等により追尾して弾道を測定する。また、打たれたボールに関して、例えばボールの初速、打ち出し角度やスピンレート等を測定し、それらの情報も測定してもよい。
【0015】
推定部13は、弾道の測定結果に基づいて、打たれたボールの弾道から軌跡を推定し、さらに打たれたボールの停止位置を推定する。具体的には、推定部13は、記憶部19に記憶されたゴルフコース位置情報と、弾道の測定結果とから、プレー中のホールにおけるボールの軌跡を推定し、プレー中のホールにおけるボールの停止位置を推定する。
【0016】
ルート生成部14は、打たれたボールの停止位置に基づいて目的地を決定し、現在位置から目的地までゴルフカートを走行させる走行ルート情報を生成する。
【0017】
弾道情報生成部15は、打たれたボールの軌跡と打たれたボールの停止位置との少なくとも1つを記憶部19に記憶されたゴルフコースの各ホールを示す俯瞰図に重畳した弾道情報を生成する。
【0018】
表示部16は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、各種情報を表示する。詳細には、表示部16は、現在プレー中のホールの俯瞰図、さらにその俯瞰図に重畳して弾道情報や走行ルート情報を表示する。
図4に、ゴルフコースのとあるホールの俯瞰図の一例を示す。
図5に、ホールの俯瞰図に弾道情報を重畳した図の一例を示す。また、
図10に、ホールの俯瞰図に走行ルート情報を重畳した図の一例を示す。
【0019】
カート走行部17は、走行ルート情報に基づいて、ゴルフカートを自動走行させる。操作部18は、ゴルフカートに搭載されたディスプレイのタッチパネルやリモコン等の操作装置からプレイヤの操作入力情報を取得する。
【0020】
記憶部19は、ハードディスクやメモリ等の記憶装置に各種情報を記憶する。記憶部19は、ゴルフコース位置情報やゴルフコースの俯瞰図情報を記憶する。ゴルフコース位置情報は、ゴルフコースの各ホールにおけるティーグラウンド、グリーン、フェアウェイ、ラフ、バンカー、池、樹木等の位置情報をベースに、それらの位置情報に基づいたゴルフコースの各ホールの俯瞰図情報を記憶している。
【0021】
通信部20は、プレイヤが用いる端末など他の装置と通信する。通信方式には、無線LANやBluetooth(登録商標)などの無線通信方式や有線LANなどの有線通信方式が用いられる。
【0022】
撮像部21は、プレイヤ等の画像または映像を撮像する。
位置情報取得部22は、GPS(Global Positioning System)等によって位置情報を取得する。
【0023】
続いて、
図2及び
図3を用いて、第1の実施形態に係るゴルフカートシステム100の動作の一例を説明する。
【0024】
ゴルフカートシステム100が以下の動作を開始する前、所定のプレイヤはクラブを構え、ボールを打つ準備をする。この際、ゴルフカートシステム100が搭載されるゴルフカートは、例えば当該プレイヤの後方などプレイヤの近傍に停止している。
【0025】
図2に示すように、ステップS101では、ゴルフカートシステム100の現在位置検出部11は、ゴルフコースにおけるゴルフカートの現在位置を検出する。具体的には、現在位置検出部11は、記憶部19に記憶されたゴルフコース位置情報と位置情報取得部22から取得された位置情報とに基づいて、ゴルフコースのホールにおけるゴルフカートの現在位置を検出する。
【0026】
次に、ステップS102では、弾道測定部12は、プレイヤのボールを打つ位置を後述する弾道の測定の初期設定として設定する。
例えば、プレイヤがティーグラウンドにおいてボールを打つ場合、すなわち、プレイヤが1打目にボールを打つ場合、弾道測定部12は、ティーグラウンドの位置情報をプレイヤがボールを打つ場所として設定する。弾道測定部12は、ティーグラウンドのティーマークの位置に基づいてプレイヤがボールを打つ場所として設定する。
【0027】
また、弾道測定部12は、撮像部21から取得されたプレイヤおよびボールの撮像画像を解析し、解析結果とゴルフカートの現在位置情報とからプレイヤのボールを打つ位置を検出し、プレイヤのボールを打つ位置をプレイヤがボールを打つ場所として設定してもよい。
【0028】
また、プレイヤがフェアウェイ、ラフ、バンカー等においてボールを打つ場合、すなわち、プレイヤがホールにおいて2打目以降にボールを打つ場合、前に打たれたボールの停止位置をプレイヤがボールを打つ場所として設定してもよい。
【0029】
次に、ステップS103では、弾道測定部12は、プレイヤによってボールが打たれたか否かを判定する。弾道測定部12は、プレイヤによってボールが打たれていないと判定した場合(ステップS103のNO)、ステップS103の処理に戻る。一方で、弾道測定部12は、プレイヤによってボールが打たれたと判定した場合(ステップS103のYES)、ステップS104の処理に進む。
【0030】
ステップS104では、弾道測定部12は、プレイヤによって打たれたボールの弾道を測定する。具体的には、弾道測定部12は、例えば、打たれたボールをレーダー等により追尾して弾道を測定する。
【0031】
次に、ステップS105では、推定部13は、弾道の測定結果に基づいて、プレー中のホールにおけるボールの軌跡を推定し、プレー中のホールにおけるボールの停止位置を推定する。具体的には、推定部13は、記憶部19に記憶されたゴルフコース位置情報と、現在位置検出部11が検出している現在位置とを参照し、何れのホールの何れの位置からボールが打たれ、弾道測定部12により測定された弾道でボールが飛翔した結果をそのホール上でのボールの軌跡として推定し、さらに、記憶部19に記憶されたゴルフコース位置情報と、現在位置検出部11が検出している現在位置とを参照し、何れのホールの何れの位置からボールが打たれ、弾道測定部12により測定された弾道でボールが飛翔した結果、ボールの最終的な停止位置を推定する。
【0032】
次に、ステップS106では、推定部13は、他のプレイヤがゴルフカートの現在位置でボールを打つか否かを判定する。例えば、推定部13は、操作部18からプレイヤによる操作入力情報を取得し、操作入力情報に基づいて当該判定を行う。弾道測定部12は、他のプレイヤが現在位置でボールを打たないと判定された場合(ステップS106のNO)、ステップS107の処理に進む。一方、推定部13は、他のプレイヤが現在位置でボールを打つと判定された場合(ステップS106のYES)、ステップS102の処理に戻り、ステップS102~ステップS105の処理を繰り返す。この処理が意味するのは、ティーグラウンドでは他のプレイヤもほぼ同じ位置から打つため、繰り返しの処理を行うことを意味している。
【0033】
次に、ステップS107では、弾道情報生成部15は、推定部13が推定したボールの軌跡及び停止位置を、記憶部19に記憶されたゴルフコース位置情報のプレー中のホールの俯瞰図に重畳した情報(以下、弾道情報)を生成し、表示部16は、生成された弾道情報を表示する。ここで、弾道測定部12は、同一のホールで複数のプレイヤがプレーする場合、複数のプレイヤごとに打たれたボールの軌跡及び停止位置をプレー中のコースの俯瞰図に重畳した弾道情報を生成する。さらに表示部16は、弾道情報生成部15で生成された各プレイヤの弾道情報を表示してもよい。詳細には、表示部16は、弾道情報生成部15で生成された各プレイヤが打ったボールの弾道およびボールの停止位置の各々をプレー中のホールの俯瞰図、例えば
図5に示すように重畳して表示する。
【0034】
次に、ステップS108では、ルート生成部14は、記憶部19に記憶されたゴルフコース位置情報を参照し、打たれたボールの停止位置の位置情報に基づいて目的地を決定し、現在位置から目的地までゴルフカートを走行させるルートを生成する。ルート生成部14は、同一のホールで複数のプレイヤがプレーする場合、複数のプレイヤごとにボールの停止位置に基づいて目的地を決定し、現在位置からの距離が近い目的地の順にゴルフカートを走行させるルート情報を生成する。
【0035】
具体的には、ルート生成部14は、ゴルフコースにゴルフカートを乗り入れ可の場合、次のように打たれたボールの停止位置に基づいて目的地を決定する。ルート生成部14は、打たれたボールの停止位置がフェアウェイまたはラフである場合、ボールの停止位置から所定距離でゴルフカートの現在位置からの走行距離が最短になる位置をゴルフカートの目的地として決定する。また、打たれたボールの停止位置がバンカー内である場合、バンカーの外周線から所定距離でゴルフカートの走行距離が最短になる位置をゴルフカートの目的地として決定する。ルート生成部14は、打たれたボールの停止位置が池内である場合、池の外周線から所定距離でゴルフカートの走行距離が最短になる位置をゴルフカートの目的地として決定する。ルート生成部14は、打たれたボールの停止位置がグリーンから所定範囲内である場合、ボールの停止位置に基づいて目的地として決定しない。
【0036】
また、ルート生成部14は、ゴルフカートがカート道路を走行する場合、次のように打たれたボールの停止位置に基づいて目的地を決定する。ルート生成部14は、カート道路とボールの停止位置との距離が最短になるカート道路上の位置を目的地として決定する。
【0037】
同一のホールで複数のプレイヤがプレーする場合、弾道測定部12は、複数のプレイヤごとに打たれたボールの弾道を測定する。推定部13は、複数のプレイヤごとに打たれたボールの停止位置及び軌跡が推定する。ルート生成部14は、複数のプレイヤごとにボールの停止位置に基づいて目的地を決定し、現在位置からの距離が近い目的地の順にゴルフカートを走行させるルート情報を生成する。
【0038】
次に、表示部16は、生成されたルート情報を表示する(ステップS109)。ルート情報を
図10に示すような俯瞰図で示す場合は、ボールの停止位置を表示してもよい。またルート情報は、単にカートの進む方向を示すのみでもよい。
【0039】
次に、ステップS110では、カート走行部17は、プレイヤ等からゴルフカートの走行指示があるか否かを判定する。ここで、カート走行部17は、操作部18からプレイヤによって入力された操作入力情報として走行指示を取得する。プレイヤによる操作入力は、例えばリモコン等によって行われる。
【0040】
カート走行部17は、プレイヤ等からゴルフカートの走行指示があると判定した場合(ステップS110のYES)、ステップS111の処理に進む。ステップS111では、カート走行部17は、生成されたルート情報に基づいて、ゴルフカートを走行する。一方、カート走行部17は、プレイヤ等からゴルフカートの走行指示がないと判定した場合(ステップS110のNO)、ステップS110の処理に戻る。なお、カートの走行に関して自動走行でない場合は、ボールの停止位置を目的地としたナビゲーション表示に従ってプレイヤの操作による走行となる。
【0041】
続いて、
図4-
図11を用いて、プレイヤの1打目後のゴルフカートシステム100におけるルート生成動作(前述のステップS108参照)の具体例を説明する。以下の一例では、ゴルフコースの同一のホールで、プレイヤA、プレイヤBおよびプレイヤCがプレーする。
【0042】
図4は、ゴルフコースの所定のホールの俯瞰図を示す。
図4に示す俯瞰図は、所定のホールの構成要素(ティーグラウンド、フェアウェイ、グリーン、バンカー、池、樹木、アウトオブバウンズ等)のレイアウトを模式的に示している。各構成要素はプレイヤが容易に理解可能なようにデフォルメされた表示となっている。例えばバンカーは多数の点、池はハッチングで示されている。ゴルフカートが走行するカート道路は、符号Lで示されている。アウトオブバウンズ(OB)との境界線は、符号Hで示されている。
【0043】
図5は、プレイヤA~プレイヤCごとの1打目後のボールの軌跡及び停止位置を所定のホールの俯瞰図に重畳した弾道情報を示す。
図5に示すように、ゴルフカートの現在位置は、位置Pで示される。プレイヤAによって打たれたボールの停止位置は、フェアウェイ上の位置A1で示される。プレイヤBによって打たれたボールの停止位置は、バンカー内の位置B1で示される。プレイヤCによって打たれたボールの停止位置は、池内の位置C1で示される。また、プレイヤA~プレイヤCによって打たれたボールの軌跡はそれぞれ点線で示される。
【0044】
ゴルフカートシステム100のルート生成部14は、プレイヤの1打目後において以下のように、プレイヤA~プレイヤCごとに、打たれたボールの停止位置に基づいて目的地を決定し、現在位置から目的地までゴルフカートを走行させるルートを生成する。また、バンカーや池等のハザードに入った場合の目的地の設定は、ボールの軌跡が最後に横切ったハザードの境界となる位置に基づいて定めることになる。
【0045】
具体的には、ルート生成部14は、ゴルフコースにゴルフカートを乗り入れ可の場合の場合、
図6-
図10に示すように、プレイヤA~プレイヤCごとに、ゴルフカートの目的地を決定し、現在位置から各目的地までゴルフカートを走行させるルートを生成する。
【0046】
図6に示すように、プレイヤBのボールの停止位置B1はバンカー内にあると推定される。その場合、目的地をバンカー内のB1に設定するわけにいかないことから、ルート生成部14は、バンカーの外周線から所定距離でゴルフカートの走行距離が最短になる位置をプレイヤBの目的地B1´´として決定する。ここで、交点B1´は、ゴルフカートの走行経路とバンカーの外周線との交点を示す。
【0047】
また、
図7に示すように、プレイヤCのボールの停止位置C1は池内にあると推定される。その場合、目的地を池内のC1に設定することはできないことから、ルート生成部14は、池の外周線から所定距離でゴルフカートの走行距離が最短になる位置をプレイヤCの目的地C1´´として決定する。ここで、交点C1´は、ゴルフカートの走行経路と池の外周線との交点を示す。他の例として、
図8に示すように、ルート生成部14は、打ち直し位置C1´が予め決められている場合、打ち直し位置C1´から所定距離でゴルフカートの走行距離が最短になる位置をプレイヤCの目的地C1´´を決定する。
【0048】
また、
図9に示すように、ボールの停止位置A1はフェアウェイにあると推定される。その場合、ルート生成部14は、ボールの停止位置A1から所定距離でゴルフカートの走行距離が最短になる位置をプレイヤAの目的地A1´´として決定する。
【0049】
なお、プレイヤのボールの停止位置がハザードに入ったと推定される場合がある。その場合、ルート生成部14は、ハザードの境界を横切った地点に基づいて目的地を決定する。ドロップ等によりリプレイの位置はむろんルールに従って行われるが、その際はハザードの境界を横切った位置が明確であれば、ルールに基づいた処理が迅速に行うことができることから、プレーの遅延時間を短くすることが可能となる。また、プレイヤのボールの停止位置がホールのエリアから逸脱したと推定される場合がある。その場合、打ち直しとなるので、ゴルフカートシステム100は、プレイヤに対して音等の報知手段により報知してもよい。
【0050】
次に、ルート生成部14は、カート乗り入れ可の場合、
図10に示すように、現在位置からプレイヤA~プレイヤCの各目的地までゴルフカートを走行させるルートを生成する。
図10では、ルート生成部14は、プレイヤAの目的地A1´´、プレイヤBの目的地B1´´、プレイヤCの目的地C1´´を含むルートを生成する。ここで、目的地は、ゴルフカートの現在位置から目的地C1´´、目的地B1´´、目的地A1´´の順に距離が近い。したがって、ルート生成部14は、目的地C1´´、目的地B1´´、目的地A1´´の順にゴルフカートを走行させるルートを生成する。
【0051】
また、ルート生成部14は、ゴルフカートがカート道路を走行する場合、
図11に示すようにゴルフカートを走行させるルートを生成する。
図11では、ルート生成部14は、カート道路とボール停止位置A1との距離が最短になる位置を目的地A1´´として決定する。また、ルート生成部14は、カート道路とボール停止位置B1との距離が最短になる位置を目的地B1´´として決定する。ルート生成部14は、打ち直し位置C1´が予め決められている場合、カート道路と打ち直し位置C1´との距離が最短となる位置を目的地C1´´として決定する。ここで、目的地は、ゴルフカートの現在位置から目的地C1´´、目的地B1´´、目的地A1´´の順に距離が近い。したがって、ルート生成部14は、目的地C1´´、目的地B1´´、目的地A1´´の順にゴルフカートを走行させるルートを生成する。
【0052】
続いて、
図12を用いて、プレイヤの1打目後のゴルフカートシステム100におけるルート情報及び弾道情報の表示動作の具体例を説明する。以下の一例では、ゴルフコースの同一のホールで、プレイヤA、プレイヤBおよびプレイヤCがプレーする。
【0053】
ゴルフカートシステム100は、通信部20を介してプレイヤAの用いる端末と通信してプレイヤAのボール停止位置A1の位置情報を送信する。プレイヤAの用いる端末は、当該端末の表示画面に
図12に示すプレイヤAのボール停止位置A1を表示する。この端末は、自らの位置情報を取得する位置情報取得部を備え、当該端末の表示画面にプレー中のホールの俯瞰図及びボールの停止位置に加えて、自らの位置を示すアイコンを自らの位置情報に基づいて表示してもよい。なお、プレイヤAが用いる端末は、スマートフォンに本発明に係るアプリケーションがインストールされた物であるか、もしくは専用の物であってもよい。
【0054】
図12では、表示画面には、ゴルフカートの現在位置からプレイヤAに対応する目的地A1´´までのルート情報が表示される。また、表示画面には、プレイヤAによって打たれたボールの停止位置A1をゴルフコースの俯瞰図に重畳した弾道情報が表示される。プレイヤAは、カート道路上からでは、ボールを肉眼では見つけられていない場合もある。そのため、プレイヤAの自位置(端末の位置)とボール停止位置とをプレー中のホールの俯瞰図上に表示することで、ボールの停止位置までの案内を容易にし、ボール捜索にかかる時間し、迅速なプレーを提供することができる。なお、端末の表示は、拡張現実(AR)でボールの停止位置を表示してもよい。
【0055】
続いて、
図13-
図14を用いて、プレイヤの2打目後のゴルフカートシステム100におけるルート生成動作(前述のステップS108参照)の具体例を説明する。以下の一例では、ゴルフコースの同一のホールで、プレイヤA、プレイヤBおよびプレイヤCがプレーする。
【0056】
ゴルフカートシステム100のルート生成部14は、プレイヤの2打目後において、
図13-
図14に示すように、プレイヤA~プレイヤCごとに、打たれたボールの停止位置または、弾道の軌跡が最後にハザードを横切った位置に基づいて目的地を決定し、現在位置から目的地までゴルフカートを走行させるルートを生成する。
【0057】
ルート生成部14は、プレイヤの2打目後において、ゴルフコースにゴルフカートを乗り入れ可の場合の場合、
図13に示すように、ゴルフカートを走行させるルートを生成する。
図13では、プレイヤCによって打たれたボールの停止位置は、位置C2で示される。プレイヤBによって打たれたボールの停止位置は、位置B2で示される。プレイヤAによって打たれたボールの停止位置は、位置A2で示される。また、プレイヤA~プレイヤCによって打たれたボールの軌跡はそれぞれ点線で示される。ここで、ゴルフカートの現在位置は、1打目のプレイヤAの目的地に対応する。
【0058】
カート乗り入れ可の場合であってもグリーン内またはグリーン付近にはゴルフカートの乗り入れができない。したがって、ルート生成部14は、グリーンから所定の範囲以内でゴルフカートが走行しないように目的地を決定する。ここで、プレイヤAによって打たれたボールの停止位置A2とプレイヤBによって打たれたボールの停止位置B2とはグリーン付近にある。そのため、ルート生成部14は、ボールの停止位置A2およびボールの停止位置B2を目的地とした場合、グリーンから所定の範囲以内でゴルフカートが走行しないようなルートを設定できない。したがって、ルート生成部14は、走行可能なルートで現在位置から最短距離にあるボールの停止位置C2に基づいて目的地C2´´を決定する。ルート生成部14は、現在位置から目的地C2´´までゴルフカートを走行させるルートを生成する。
【0059】
ルート生成部14は、ゴルフカートがカート道路を走行する場合、
図14に示すように、ゴルフカートを走行させるルートを生成する。
図14では、プレイヤCによって打たれたボールの停止位置は、位置C2で示される。プレイヤBによって打たれたボールの停止位置は、位置B2で示される。プレイヤAによって打たれたボールの停止位置は、位置A2で示される。また、プレイヤA~プレイヤCによって打たれたボールの軌跡はそれぞれ点線で示される。ここで、ゴルフカートの現在位置は、1打目のプレイヤAの目的地に対応する。
【0060】
ゴルフカートの現在位置からの距離は、ボールの停止位置B2の方がボールの停止位置C2よりも近い。一方で、カート道路を通る場合のゴルフカートの走行距離は、ボールの停止位置C2に基づく目的地C2´´の方が、ボールの停止位置B2に基づく目的地B2´´よりも短い。
【0061】
ルート生成部14は、カート道路走行の場合、カートの走行距離が短くなるような目的地の順で、目的地の順番を決定する。つまり、ルート生成部14は、ボールの停止位置C2に対応する目的地C2´´を先にカートを走行させるルートを生成する。
【0062】
上述したように、第1の実施形態に係るゴルフカートシステム100は、プレイヤによって打たれたボールの停止位置付近を目的地として、目的地まで現在位置からゴルフカートを走行させるルートを生成し、生成されたルートを表示する。したがって、ゴルフカートシステム100は、プレイヤはルートの表示を見ることで、次にボールを打つ際にゴルフカートをどこに移動すればよいか把握できるため、ゴルフのプレーの迅速な進行をサポートできる。
【0063】
ゴルフカートシステム100は、プレイヤによって打たれたボールの軌跡と停止位置との少なくとも1つとをゴルフコースの俯瞰図に重畳した弾道情報を生成し、表示する。したがって、ゴルフカートシステム100は、ロストボールを防ぎ、かつプレイヤがボールを見つける時間を改善し、ゴルフのプレーの迅速な進行をサポートできる。
【0064】
ゴルフカートシステム100は、ルート情報に基づいて、ゴルフカートを自動走行させる。ゴルフカートシステム100は、プレー中のプレイヤの操作を減らすことで、ゴルフのプレーの迅速な進行をサポートできる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0066】
続いて、
図15を用いて、ゴルフカートシステム100に係るコンピュータ1000のハードウェア構成例を説明する。
図15においてコンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002とを有している。プロセッサ1001は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ1001は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ1002は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1002は、プロセッサ1001から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1001は、図示されていないI/Oインターフェースを介してメモリ1002にアクセスしてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態における各装置は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。上述の実施形態における各装置の機能(処理)を、コンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリ1002に実施形態における方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、メモリ1002に格納されたプログラムをプロセッサ1001で実行することにより実現してもよい。
【0068】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random Access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0069】
11 現在位置検出部
12 弾道測定部
13 推定部
14 ルート生成部
15 弾道情報生成部
16 表示部
17 カート走行部
18 操作部
19 記憶部
20 通信部
21 撮像部
22 位置情報取得部
100 ゴルフカートシステム
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ