(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140670
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H01L27/04 T
H01L27/04 U
H01L27/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046631
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】松羽 光則
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AZ08
5F038BE07
5F038CD02
5F038DF04
5F038DF05
5F038DF08
5F038DF17
5F038DT10
5F038DT15
5F038DT17
5F038DT18
5F038DT19
5F038EZ07
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】消費電流を低減可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1動作温度において第1動作を実行したときに第1消費電流を生じる第1回路CIと、第1動作温度に相当する第1温度値と、第1温度値に対応付けられ、第1消費電流に相当する第1電流値とを記憶する記憶回路SCとを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1動作温度において第1動作を実行したときに第1消費電流を生じる第1回路と、
前記第1動作温度に相当する第1温度値と、前記第1温度値に対応付けられ、前記第1消費電流に相当する第1電流値とを記憶する記憶回路と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
前記第1回路は、前記第1動作温度及び第1動作周波数において前記第1動作を実行したときに前記第1消費電流を生じ、
前記記憶回路は、前記第1温度値と、前記第1動作周波数に相当する第1周波数値と、前記第1温度値と前記第1周波数値に対応付けられた前記第1電流値とを記憶する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1回路は、前記第1動作温度、前記第1動作周波数、及び第1動作電圧において前記第1動作を実行したときに前記第1消費電流を生じ、
前記記憶回路は、前記第1温度値と、前記第1周波数値と、前記第1動作電圧に相当する第1電圧値と、前記第1温度値と前記第1周波数値と前記第1電圧値に対応付けられた前記第1電流値とを記憶する、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1回路の温度を検知する温度検知回路をさらに具備し、
前記第1動作温度は、前記温度検知回路により検知された温度である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1回路は、複数のメモリセルを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1回路は、前記複数のメモリセルを制御するコントローラを含む請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1回路は、プロセッサを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1回路及び前記記憶回路は、NAND型フラッシュメモリを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1消費電流は、前記第1回路に前記第1動作を実行させている間の一時刻に、前記第1回路に生じる消費電流である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1消費電流は、前記第1回路に前記第1動作を実行させている間に、前記第1回路に生じる消費電流を複数回測定して得られた複数値の平均である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1消費電流は、前記第1回路に前記第1動作を実行させている間に、前記第1回路に生じる消費電流を複数回測定して得られた複数値から算出した近似値である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1消費電流は、前記第1回路に前記第1動作を実行させている間の一期間に、前記第1回路に生じる消費電流の平均値である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1動作は、書き込み動作、読み出し動作、消去動作、及び演算動作のいずれか1つを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
第1半導体チップ及び第2半導体チップを備え、
前記第1半導体チップは、
第1動作温度において第1動作を実行したときに第1消費電流を生じる第1回路と、
前記第1動作温度に相当する第1温度値と、前記第1温度値に対応付けられ、前記第1消費電流に相当する第1電流値とを記憶する第1記憶回路と、を有し、
前記第2半導体チップは、
前記第1動作温度において前記第1動作を実行したときに第2消費電流を生じる第2回路と、
前記第1温度値と、前記第1温度値に対応付けられ、前記第2消費電流に相当する第2電流値とを記憶する第2記憶回路と、を有する、
半導体装置。
【請求項15】
前記第1回路は、第2回路と同じ回路構成を有する請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1回路は、第2回路と異なる回路構成を有する請求項14に記載の半導体装置。
【請求項17】
第1半導体チップ及び第2半導体チップを有する第1半導体パッケージと、
第3半導体チップ及び第4半導体チップを有する第2半導体パッケージと、
を具備し、
前記第1半導体チップは、
第1動作温度において第1動作を実行したときに第1消費電流を生じる第1回路と、
前記第1動作温度に相当する第1温度値と、前記第1温度値に対応付けられ、前記第1消費電流に相当する第1電流値とを記憶する第1記憶回路と、を有し、
前記第2半導体チップは、
前記第1動作温度において前記第1動作を実行したときに第2消費電流を生じる第2回路と、
前記第1温度値と、前記第1温度値に対応付けられ、前記第2消費電流に相当する第2電流値とを記憶する第2記憶回路と、を有し、
前記第3半導体チップは、
前記第1動作温度において前記第1動作を実行したときに第3消費電流を生じる第3回路と、
前記第1温度値と、前記第1温度値に対応付けられ、前記第3消費電流に相当する第3電流値とを記憶する第3記憶回路と、を有し、
前記第4半導体チップは、
前記第1動作温度において前記第1動作を実行したときに第4消費電流を生じる第4回路と、
前記第1温度値と、前記第1温度値に対応付けられ、前記第4消費電流に相当する第4電流値とを記憶する第4記憶回路と、を有する、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、及び複数の半導体装置を備えた情報処理システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0041453号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消費電流を低減可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1動作温度において第1動作を実行したときに第1消費電流を生じる第1回路と、前記第1動作温度に相当する第1温度値と、前記第1温度値に対応付けられ、前記第1消費電流に相当する第1電流値とを記憶する記憶回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置を備える情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における半導体パッケージの構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される測定条件と消費電流の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態における半導体パッケージ内の半導体チップに測定条件と消費電流を記憶させる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される測定条件と消費電流を示す図である。
【
図6】第1実施形態における半導体チップに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される測定条件と消費電流の一例を示す。
【
図8】第2実施形態における半導体パッケージ内の半導体チップに動作温度と消費電流を記憶させる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される動作温度と消費電流を示す図である。
【
図10】第2実施形態における半導体チップに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。
【
図11】第3実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される測定条件と消費電流の一例を示す図である。
【
図12】第3実施形態における半導体パッケージ内の半導体チップに動作周波数と消費電流を記憶させる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】第3実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される動作周波数と消費電流を示す図である。
【
図14】第3実施形態における半導体チップに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。
【
図15】第4実施形態における半導体パッケージとシステム制御回路の接続構成を示すブロック図である。
【
図16】第4実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される動作周波数及び動作温度と消費電流を示す図である。
【
図17】第4実施形態における半導体チップに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。
【
図18】第4実施形態における読み出し動作の半導体チップの消費電流を算出する方法を示す図である。
【
図19】第4実施形態における半導体チップへの供給電流に相当する動作周波数を算出する方法を示す図である。
【
図20】第5実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される測定条件と消費電流の一例を示す図である。
【
図21】第5実施形態における半導体パッケージ内の半導体チップに測定条件と消費電流を記憶させる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】第5実施形態における半導体チップの記憶回路に記憶される測定条件と消費電流を示す図である。
【
図23】第5実施形態における半導体パッケージに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。
【
図24】第6実施形態における半導体パッケージに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。
【
図25】半導体チップの消費電流とその発生率を示す図である。
【
図26】測定条件において処理を実行した場合の消費電流の一例を示す図である。
【
図27】測定条件において処理を実行した場合の消費電流の他例を示す図である。
【
図28】測定条件において処理を実行した場合の消費電流の他例を示す図である。
【
図29】2つの半導体チップが並列動作しているときの消費電流の合計値を示す図である。
【
図30】消費電流を求める近似及び推定方法を説明するための図である。
【
図31】消費電流を求める近似及び推定方法を説明するための図である。
【
図32】消費電流を求める近似及び推定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、以下に示す実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、及び配置等を下記のものに特定するものではない。
【0008】
機能ブロックは、ハードウェア、コンピュータソフトウェアのいずれかまたは両者を組み合わせたものとして実現することができる。機能ブロックが以下の例のように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。第1実施形態にて本出願の概要を説明し、第2~第5実施形態にて詳細な態様を説明する。
【0010】
1.第1実施形態
第1実施形態の半導体装置、及び半導体装置を備えた情報処理システムについて説明する。第1実施形態では、半導体装置内の半導体チップの各々に実施したテストで得られた消費電流に相当する値を、その消費電流が得られた半導体チップの各々に記憶しておく。半導体チップの各々に記憶された消費電流に相当する値に基づいて、半導体チップの各々に供給する電流が制御される。以下、消費電流に相当する値を、単に消費電流と称する。
【0011】
1.1 第1実施形態の構成
図1は、第1実施形態の半導体装置を備える情報処理システムの構成を示すブロック図である。情報処理システム1は、半導体装置10、システム制御回路20、パワーマネージメント集積回路(PMIC)30、ユーザインタフェース40、及びバッテリー50を備える。
【0012】
半導体装置10は、1つあるいは複数の半導体パッケージを有する。例えば、半導体装置10は、半導体パッケージ11、12、13、及び14を有する。半導体パッケージ11~14の各々は、1つあるいは複数の半導体チップを有する。例えば、半導体パッケージ11~14の各々は、半導体チップCP1、CP2、CP3、及びCP4を有する。
【0013】
半導体チップCP1~CP4は、同一機能を持っていてもよいし、異なる機能を持っていてもよい。半導体チップCP1~CP4の各々は、例えば、半導体記憶装置、メモリコントローラ、プロセッサ、あるいはその他の集積回路を含む。半導体記憶装置は、例えば、NAND型フラッシュメモリ、あるいはSRAM(static random access memory)、DRAM(dynamic random access memory)等を含む。メモリコントローラは、半導体記憶装置を制御する回路である。プロセッサは、演算処理、及び情報処理システム1内の装置の制御等を行う。なお、ここでは、半導体パッケージ11~14の各々は、同じ構成、例えば、半導体チップCP1、CP2、CP3、及びCP4を有するものとして説明するが、半導体パッケージ11~14の各々が有する半導体チップの数は異なっていてもよい。
【0014】
以下に、
図1及び
図2を参照して、半導体パッケージ11~14について説明する。ここでは、半導体パッケージ11を例に取り説明する。なお、以降の説明における「上」及び「下」は、各図面における上方向及び下方向にそれぞれ相当する。
【0015】
図2は、半導体パッケージ11の構成を示す側面図(一部断面を含む)である。半導体パッケージ11は、半導体チップCP1~CP4、半導体基板110、ボンディングワイヤ111、絶縁性フィルム112、絶縁層113、パッド114及び115、ビア116、絶縁層117、ハンダボール118、及びモールド材119を有する。
【0016】
半導体基板110上には、絶縁層113が設けられる。絶縁層113上には、絶縁性フィルム112を介して半導体チップCP1が設けられる。半導体チップCP1上には、絶縁性フィルム112を介して半導体チップCP2が設けられる。同様に、半導体チップCP2上には、絶縁性フィルム112を介して半導体チップCP3が設けられる。半導体チップCP3上には、絶縁性フィルム112を介して半導体チップCP4が設けられる。
【0017】
半導体基板110の上面及び下面には、パッド114及び115がそれぞれ設けられる。パッド114と半導体チップCP1との間、及びパッド114と半導体チップCP2との間には、ボンディングワイヤ111がそれぞれ設けられる。さらに、半導体チップCP2、CP3、CP4間には、ボンディングワイヤ111がそれぞれ設けられる。
【0018】
半導体基板110のパッド115には、絶縁層117が設けられる。半導体基板110の下面に設けられたパッド115及び図示しないパッドにはハンダボール118がそれぞれ設けられる。以上により、ハンダボール118は、パッド115、ビア116、パッド114、及びボンディングワイヤ111を介して、半導体チップCP1~CP4に電気的に接続される。
【0019】
半導体基板110上の半導体チップCP1~CP4、及びボンディングワイヤ111は、モールド材119によって封止されている。
【0020】
以下に、半導体チップCP1~CP4について説明する。
図1に示すように、半導体チップCP1は、第1回路CI、記憶回路SC、及び温度検知回路TDを有する。第1回路CIは、所望の機能を実現する回路である。所望の機能は、例えばデータ記憶、制御処理、及び演算処理等を含む。記憶回路SCは、半導体チップCP1(または、第1回路CI)が持つ特性(または、パラメータ)を記憶する。半導体チップCP1が持つ特性とは、その半導体チップに対する動作テストにおいて得られる(または、生じる)消費電流と、その動作テストの測定条件(または、動作条件)である。なお、第1回路CIと記憶回路SCは、個々に分離されていてもよく、あるいは一体に形成されていてもよい。例えば、第1回路が記憶回路SCを含んでいてもよい。
【0021】
半導体チップCP2~CP4は、半導体チップCP1と同様に、第1回路CI、記憶回路SC、及び温度検知回路TDを有する。なお、半導体チップCP1~CP4中の1つあるいは複数が温度検知回路TDを有さない場合もある。この場合は、同一パッケージ内の他の半導体チップが有する温度検知回路TDにて検知された温度を用いればよい。
【0022】
図3に、半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される測定条件と消費電流の一例を示す。測定条件は、例えば、動作モード、動作温度、動作周波数、及び動作電圧(また、印加電圧)である。
【0023】
半導体チップCP1の記憶回路SCは、テーブル形式により、測定条件とその消費電流を対応付けて(または、関連付けて)記憶する。例えば、半導体チップCP1の記憶回路SCは、
図3に示すように、測定条件C1としての動作モードM1、動作温度T1、動作周波数F1、及び動作電圧V1と、測定条件C1が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I1とを対応付けて記憶する。同様に、測定条件C2としての動作モードM2、動作温度T1、動作周波数F1、及び動作電圧V1と、測定条件C2が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I2とを対応付けて記憶する。測定条件C3としての動作モードM1、動作温度T2、動作周波数F1、及び動作電圧V1と、測定条件C3が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I3とを対応付けて記憶する。
【0024】
なお、
図3に示す測定条件と消費電流は、記憶回路SCに記憶されるテーブルの一部である。また、記憶回路SCには、動作モード、動作温度、動作周波数、動作電圧、及び消費電流にそれぞれ相当する値(または、データ、パラメータ)が記憶されるが、本明細書では単に、動作モード、動作温度、動作周波数、動作電圧、及び消費電流が記憶されると称する。
【0025】
動作モードとしては、複数の動作モードがそれぞれ設定可能である。例えば、複数の動作モードは、書き込み動作、読み出し動作、演算動作(例えば、加算、減算、乗算、除算)、あるいは待機動作を含む。上述した動作モードM1あるいはM2は、書き込み動作、読み出し動作、演算動作、及び待機動作の1つあるいは複数の動作を表す。
【0026】
動作温度としては、複数の動作温度がそれぞれ設定可能である。動作温度は、半導体チップCP1が動作することが予想される環境下の温度である。消費電流の測定では、半導体チップCP1の環境温度が動作温度に設定される。動作温度は、例えば、常温、常温より高い高温、及び常温より低い低温を含む。上述した動作温度T1あるいはT2は、常温、高温、及び低温の1つあるいは複数の温度を表す。
【0027】
動作周波数としては、複数の動作周波数がそれぞれ設定可能である。動作周波数は、半導体チップCP1の動作を制御するクロック信号の周波数である。上述した動作周波数F1は、情報処理システム1にて設定可能な異なるクロック信号の1つあるいは複数のクロック信号を表す。
【0028】
動作電圧としては、複数の動作電圧がそれぞれ設定可能である。動作電圧は、半導体チップCP1に供給されるべき動作規格内の電圧である。上述した動作電圧V1は、異なる動作電圧の1つあるいは複数の動作電圧を表す。
【0029】
半導体チップCP1の記憶回路SCに、測定条件としての動作モード、動作温度、動作周波数、及び動作電圧と、その消費電流とを記憶させる動作については後述する。
【0030】
なお、半導体チップCP2~CP4の各々の記憶回路SCに記憶される測定条件と消費電流についても、半導体チップCP1と同様である。
【0031】
図1に戻り説明を続ける。システム制御回路20は、複数の半導体チップ(または、半導体パッケージ内の半導体チップ)の記憶回路SCから読み出した消費電流に基づいて、複数の半導体チップ(または、半導体パッケージ)に供給する電流の配分を制御する。これにより、半導体チップの動作を停止、あるいは半導体チップの動作性能を適正化する。また、半導体チップに供給する電流に応じて、半導体チップの動作周波数を最適化な周波数に設定する。これにより、複数の半導体チップ(または、半導体パッケージ)で生じる消費電流を低減できると共に、半導体チップの動作性能を向上させることができる。
【0032】
PMIC30は、バッテリー50から供給される電圧を情報処理システム1に最適な動作電圧に変換し、システム制御回路20に供給する。PMIC30は、またバッテリー50の蓄電状態をシステム制御回路20に送信可能である。PMIC30は、システム制御回路20、ユーザインタフェース40、及び半導体装置10への電源の供給及び停止を行う。PMIC30は、またバッテリー50への充電を制御する。
【0033】
ユーザインタフェース40は、情報処理システム1とユーザとの間で情報のやり取りを行うためのインタフェースである。ユーザインタフェース40は、例えば、キー入力装置、あるいはディスプレイ等である。
【0034】
バッテリー50は、外部電源から供給された電気的エネルギーを蓄える装置である。バッテリー50は、情報処理システム1を動作させるための電源電圧を供給する。
【0035】
なお、情報処理システム1が備える半導体パッケージの数は、任意であり、4個より多くてもよく、また少なくてもよい。また、半導体パッケージ11~14の各々が含む半導体チップの数は、任意であり、4個より多くても、また少なくてもよい。
【0036】
1.2 第1実施形態の動作
第1実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の動作について説明する。
【0037】
先ず、半導体チップの記憶回路SCに、測定条件としての動作モード、動作温度、動作周波数、動作電圧と、その消費電流とを記憶させる動作テストについて説明する。ここでは、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCに記憶させる場合を例に取り説明する。
【0038】
図4は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に測定条件と消費電流を記憶させる動作テストの処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
動作テストでは、複数の測定条件C1、C2、…、Cn(nは1以上の自然数)が半導体チップCP1~CP4にそれぞれ設定され、測定条件C1~Cnにおける半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流がそれぞれ測定される(S1)。例えば、測定条件C1において、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流I1_1~I1_4がそれぞれ測定される。測定条件C2において、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流I2_1~I2_4がそれぞれ測定される。さらに、測定条件Cnにおいて、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流In_1~In_4がそれぞれ測定される。
【0040】
次に、動作テストにて設定された測定条件Cnと、半導体チップCP1~CP4の各々で測定された消費電流In_1~In_4は、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCにそれぞれ記憶される(S2)。
【0041】
図5に、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCに記憶される測定条件Cnと消費電流In_1~In_4を示す。例えば、動作テストにおける測定条件C1と、半導体チップCP1で測定された消費電流I1_1は、半導体チップCP1の記憶回路SCに、
図5に示したようなテーブル形式にて記憶される。すなわち、測定条件C1と消費電流I1_1とが対応付けられて、半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される。測定条件C1と、半導体チップCP2で測定された消費電流I1_2は、半導体チップCP2の記憶回路SCに、
図5に示したようなテーブル形式にて記憶される。すなわち、測定条件C1と消費電流I1_2とが対応付けられて、半導体チップCP2の記憶回路SCに記憶される。同様に、測定条件C1と、半導体チップCP3及びCP4で測定された消費電流I1_3及びI1_4は、半導体チップCP3及びCP4の記憶回路SCに、
図5に示したようなテーブル形式にてそれぞれ記憶される。
【0042】
なお、半導体パッケージ12~14についても、半導体パッケージ11と同様に、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCに、測定条件と消費電流がそれぞれ記憶される。以上により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップの動作テストが終了する。
【0043】
なお、半導体チップには、選別テストも行われ、この選別テストでは、消費電流が、決められた下限値と上限値の間に入るものを良品とする。半導体パッケージ11~14内の半導体チップは選別テストで良品となったものである。半導体チップの記憶回路SCに記憶される測定条件と消費電流には、この選別テストでの測定条件と、その消費電流を用いることも可能である。
【0044】
次に、半導体装置10内の複数の半導体チップに供給する電流を制御する動作について説明する。
図6は、複数の半導体チップに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。この制御は、システム制御回路20により実行される。
【0045】
先ず、システム制御回路20は、情報処理システム1が半導体装置10に提供している動作条件の中から、実行予定の動作条件を選択する(S11)。この動作条件は、前述した測定条件に対応する。
【0046】
次に、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCから、動作条件に対応する消費電流を読み出す(S12)。詳述すると、システム制御回路20は、半導体チップの記憶回路SCから、ステップS11にて設定した動作条件と一致する、あるいは近似する測定条件を見つけ、その測定条件に対応付けられた消費電流を読み出す。
【0047】
次に、システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4に供給する電流を制御する(S13)。詳述すると、情報処理システム1で許容される電流の供給能力内で、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4が適正な動作が実行可能なように、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4に供給する電流を配分する。システム制御回路20が電流を配分するとは、以下のような動作をいう。システム制御回路20が選択した動作条件で半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCから読み出した消費電流によって、半導体チップCP1~CP4が消費する電流は決定される。配分とは、その決定された電流を半導体チップCP1~CP4に供給することであり、各半導体チップが消費しても良い最大電流あるいは平均電流を、半導体チップCP1~CP4に供給することである。以上により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップに供給する電流の制御が終了する。
【0048】
上述により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4で生じる消費電流を低減できる。さらに、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4を効率良く、並行して動作させることができる。これにより、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。
【0049】
1.3 第1実施形態の効果
第1実施形態によれば、消費電流を低減可能な半導体装置を提供できる。
【0050】
以下に、第1実施形態の効果について説明する。例えば、半導体装置を組み込んだ携帯機器等では、バッテリーの蓄電状態に応じて半導体装置の動作性能やユーザインタフェースの性能を変動させる。例えば、バッテリーの蓄電状態が低下すると、半導体装置への供給電流を低減する、あるいは半導体装置の動作周波数を低下させる、あるいはディスプレイの表示画面の輝度を落とす。これにより、携帯機器の消費電流を抑制する。これは、バッテリーの蓄電状態がある状態まで低下した場合に、携帯機器に予め設定された供給電流、動作周波数、あるいは輝度に低下させるものである。このため、携帯機器が含む半導体装置の動作性能が適正化されず、消費電流を効率良く抑制できない場合がある。
【0051】
第1実施形態では、半導体装置(例えば、半導体チップあるいは半導体パッケージ)がその半導体装置の消費電流を記憶する記憶回路SCを備える。記憶回路SCは、動作条件(または、測定条件)と、動作条件が半導体装置に設定された場合に生じる消費電流とを対応付けて記憶する。システム制御回路20は、動作条件に対応した消費電流を記憶回路SCから読み出す。システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、動作条件に応じた適正な電流を半導体装置に供給する。これにより、電流の供給を適正化することができ、半導体装置で生じる消費電流を低減できる。
【0052】
また、第1実施形態の構成によれば、情報処理システム1のバッテリー50に蓄積された電力の消費を抑制することができ、バッテリー50による稼働時間を長くすることができる。これにより、バッテリー50への充電間隔を長くでき、バッテリー50の充電回数を減らすことができる。この結果、バッテリー50の寿命を長くすることが可能である。
【0053】
また、第1実施形態の構成によれば、複数の半導体装置の記憶回路SCから消費電流を読み出し、読み出した消費電流に基づいて、動作条件に応じた適正な電流を複数の半導体装置に供給する。これにより、複数の半導体装置に効率良く電流を配分できるため、複数の半導体装置で生じる消費電流を低減できる。さらに、複数の半導体装置を並行して動作させることができるため、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。
【0054】
また、半導体装置の消費電流の低減により、半導体装置に発生する自己発熱を低下させることができる。半導体装置の温度上昇は、半導体装置及び情報処理システム1における信頼性の低下を招く。このため、半導体装置の温度上昇を抑えることにより、半導体装置及び情報処理システム1の信頼性低下を防ぐことができる。
【0055】
以上述べたように、第1実施形態によれば、消費電流を低減可能な半導体装置を提供できる。
【0056】
2.第2実施形態
第2実施形態の半導体装置、及び半導体装置を備えた情報処理システムについて説明する。半導体装置内の半導体チップで生じる消費電流は、半導体チップの各々において動作温度と固有の相関がある。第2実施形態では、動作温度に応じて変化する半導体チップの各々の消費電流を、その消費電流が生じた半導体チップの各々に記憶しておく。半導体チップの各々に記憶された消費電流に基づいて、半導体チップの各々に供給する電流が制御される。以下、第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0057】
2.1 第2実施形態の構成
第2実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の構成は、
図1及び
図2にて示した第1実施形態と同様である。第2実施形態では、半導体パッケージ11を例に取り説明する。また、動作モードは一定に設定され、さらに動作周波数及び動作電圧はそれぞれ消費電流に影響を与えない範囲内に設定されているものとする。
【0058】
図7に、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される測定条件と消費電流の一例を示す。測定条件C1~C3として、動作温度はT1、T2、及びT3にそれぞれ設定される。動作温度T1は常温である。T2は常温より高い高温である。T3は常温より低い低温である。動作モード、動作周波数、及び動作電圧は、一定あるいは消費電流に影響を与えない範囲内で設定されるため省略している。
【0059】
半導体チップCP1の記憶回路SCは、テーブル形式により、動作温度T1~T3とその消費電流を対応付けて記憶する。例えば、半導体チップCP1の記憶回路SCは、
図7に示すように、測定条件C1としての動作温度T1と、動作温度T1が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I1とを対応付けて記憶する。同様に、測定条件C2としての動作温度T2と、動作温度T2が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I2とを対応付けて記憶する。さらに、測定条件C3としての動作温度T3と、動作温度T3が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I3とを対応付けて記憶する。
【0060】
半導体パッケージ11内の半導体チップCP2~CP4についても、半導体チップCP1と同様である。半導体チップCP2~CP4の各々の記憶装置SCは、テーブル形式により、動作温度T1~T3とその消費電流を対応付けて記憶する。さらに、半導体パッケージ12~14についても、半導体パッケージ11と同様である。半導体パッケージ12~14内の半導体チップCP1~CP4の各々の記憶装置SCは、テーブル形式により、動作温度T1~T3とその消費電流を対応付けて記憶する。
【0061】
2.2 第2実施形態の動作
第2実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の動作について説明する。
【0062】
先ず、半導体チップの記憶回路SCに、測定条件としての動作温度と、その消費電流とを記憶させる動作テストについて説明する。ここでは、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCに記憶させる場合を例に取り説明する。
【0063】
図8は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に動作温度と消費電流を記憶させる動作テストの処理の流れを示すフローチャートである。
【0064】
動作テストでは、例えば、複数の動作温度T1、T2、及びT3が半導体チップCP1~CP4にそれぞれ設定され、動作温度T1~T3における半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流がそれぞれ測定される(S21)。例えば、動作温度T1において、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流I1_1~I1_4がそれぞれ測定される。動作温度T2において、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流I2_1~I2_4がそれぞれ測定される。さらに、動作温度T3において、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流I3_1~I3_4がそれぞれ測定される。
【0065】
次に、動作テストにて設定された動作温度T1、T2、及びT3と、半導体チップCP1~CP4の各々で測定された消費電流は、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCにそれぞれ記憶される(S22)。
【0066】
図9に、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCに記憶される動作温度と消費電流を示す。例えば、動作テストにおける動作温度T1と、半導体チップCP1で測定された消費電流I1_1は、半導体チップCP1の記憶回路SCに、
図9に示すようなテーブル形式にて記憶される。すなわち、動作温度T1と消費電流I1_1とが対応付けられて、半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される。動作温度T1と、半導体チップCP2で測定された消費電流I1_2は、半導体チップCP2の記憶回路SCに、
図9に示すようなテーブル形式にて記憶される。すなわち、動作温度T1と消費電流I1_2とが対応付けられて、半導体チップCP2の記憶回路SCに記憶される。同様に、動作温度T1と、半導体チップCP3及びCP4で測定された消費電流I1_3及びI1_4は、半導体チップCP3及びCP4の記憶回路SCにテーブル形式にてそれぞれ記憶される。
【0067】
同様に、動作テストにおける動作温度T2と、半導体チップCP1~CP4で測定された消費電流I2_1~I2_4は、半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCに、テーブル形式にてそれぞれ記憶される。
【0068】
さらに、動作テストにおける動作温度T3と、半導体チップCP1~CP4で測定された消費電流I3_1~I3_4は、半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCに、テーブル形式にてそれぞれ記憶される。
【0069】
なお、半導体パッケージ12~14についても、半導体パッケージ11と同様に、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCに、動作温度と消費電流とが対応付けられてそれぞれ記憶される。以上により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップの動作テストが終了する。
【0070】
次に、半導体装置10内の複数の半導体チップに供給する電流を制御する動作について説明する。
図10は、複数の半導体チップに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。この制御は、システム制御回路20により実行される。
【0071】
先ず、システム制御回路20は、情報処理システム1が半導体装置10に提供している動作条件の中から、実行予定の動作温度を選択する(S23)。この動作温度は、前述した測定条件として設定した動作温度に対応する。
【0072】
次に、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCから、動作温度に対応する消費電流を読み出す(S24)。詳述すると、システム制御回路20は、半導体チップの記憶回路SCから、ステップS23にて設定した動作温度と一致する、あるいは近似する動作温度を見つけ、その動作温度に対応付けられた消費電流を読み出す。
【0073】
次に、システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4に供給する電流を制御する(S25)。詳述すると、情報処理システム1で許容される電流の供給能力内で、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4が適正な動作が実行可能なように、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4に供給する電流を配分する。以上により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップに供給する電流の制御が終了する。
【0074】
上述により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4で生じる消費電流を低減できる。さらに、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4を効率良く、並行して動作させることが可能である。これにより、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。
【0075】
2.3 第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、消費電流を低減可能な半導体装置を提供できる。
【0076】
以下に、第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態では、半導体装置(例えば、半導体チップあるいは半導体パッケージ)がその半導体装置の消費電流を記憶する記憶回路SCを備える。記憶回路SCは、動作温度と、動作温度が半導体装置に設定された場合に生じる消費電流とを対応付けて記憶する。システム制御回路20は、動作温度に対応した消費電流を記憶回路SCから読み出す。システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、動作温度に応じた適正な電流を半導体装置に供給する。これにより、電流の供給を適正化することができ、半導体装置で生じる消費電流を低減できる。
【0077】
また、第2実施形態の構成によれば、複数の半導体装置の記憶回路SCから消費電流を読み出し、読み出した消費電流に基づいて、動作温度に応じた適正な電流を複数の半導体装置に供給する。これにより、複数の半導体装置に効率良く電流を配分できるため、複数の半導体装置で生じる消費電流を低減できる。さらに、複数の半導体装置を並行して動作させることができるため、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。その他の効果は、前述した第1実施形態と同様である。
【0078】
3.第3実施形態
第3実施形態の半導体装置、及び半導体装置を備えた情報処理システムについて説明する。半導体装置内の半導体チップで生じる消費電流は、動作周波数(または、動作速度)と正の相関がある。第3実施形態では、動作周波数に応じて変化する半導体チップの各々の消費電流を、その消費電流が生じた半導体チップの各々に記憶しておく。半導体チップの各々に記憶された消費電流に基づいて、半導体チップの各々に供給する電流が制御される。以下、第3実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0079】
3.1 第3実施形態の構成
第3実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の構成は、
図1及び
図2にて示した第1実施形態と同様である。第3実施形態では、半導体パッケージ11を例に取り説明する。また、動作モードは一定に設定され、さらに動作温度及び動作電圧はそれぞれ消費電流に影響を与えない範囲内に設定されるものとする。
【0080】
図11に、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される測定条件と消費電流の一例を示す。例えば、測定条件C1~C3として、動作周波数はF1、F2、及びF3にそれぞれ設定される。動作モード、動作温度、及び動作電圧は、一定あるいは消費電流に大きな影響を与えない範囲内で設定されるため省略している。
【0081】
半導体チップCP1の記憶回路SCは、テーブル形式により、動作周波数F1~F3とその消費電流を対応付けて記憶する。例えば、半導体チップCP1の記憶回路SCは、
図11に示すように、測定条件C1としての動作周波数F1と、動作周波数F1が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I1とを対応付けて記憶する。同様に、測定条件C2としての動作周波数F2と、動作周波数F2が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I2とを対応付けて記憶する。さらに、測定条件C3としての動作周波数F3と、動作周波数F3が半導体チップCP1に設定された場合に得られる消費電流I3とを対応付けて記憶する。
【0082】
半導体パッケージ11内の半導体チップCP2~CP4についても、半導体チップCP1と同様である。半導体チップCP2~CP4の各々の記憶装置SCは、テーブル形式により、動作周波数F1~F3とその消費電流を対応付けて記憶する。さらに、半導体パッケージ12~14についても、半導体パッケージ11と同様である。半導体パッケージ12~14内の半導体チップCP1~CP4の各々の記憶装置SCは、テーブル形式により、動作周波数F1~F3とその消費電流を対応付けて記憶する。
【0083】
3.2 第3実施形態の動作
第3実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の動作について説明する。
【0084】
先ず、半導体チップの記憶回路SCに、測定条件としての動作周波数と、その消費電流とを記憶させる動作テストについて説明する。ここでは、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCに記憶させる場合を例に取り説明する。
【0085】
図12は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に動作周波数と消費電流を記憶させる動作テストの処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
動作テストでは、例えば、複数の動作周波数F1、F2、及びF3が半導体チップCP1~CP4にそれぞれ設定され、動作周波数F1~F3における半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流がそれぞれ測定される(S31)。例えば、動作周波数F1において、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流I1_1~I1_4がそれぞれ測定される。動作周波数F2において、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流I2_1~I2_4がそれぞれ測定される。さらに、動作周波数F3において、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流I3_1~I3_4がそれぞれ測定される。
【0087】
次に、動作テストにて設定された動作周波数F1~F3と、半導体チップCP1~CP4の各々で測定された消費電流は、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCにそれぞれ記憶される(S32)。
【0088】
図13に、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCに記憶される動作周波数と消費電流を示す。例えば、動作テストにおける動作周波数F1と、半導体チップCP1で測定された消費電流I1_1は、半導体チップCP1の記憶回路SCに、
図13に示すようなテーブル形式にて記憶される。すなわち、動作周波数F1と消費電流I1_1とが対応付けられて、半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される。動作周波数F1と、半導体チップCP2で測定された消費電流I1_2は、半導体チップCP2の記憶回路SCに、
図13に示すようなテーブル形式にて記憶される。すなわち、動作周波数F1と消費電流I1_2とが対応付けられて、半導体チップCP2の記憶回路SCに記憶される。同様に、動作周波数F1と、半導体チップCP3及びCP4で測定された消費電流I1_3及びI1_4は、半導体チップCP3及びCP4の記憶回路SCにテーブル形式にてそれぞれ記憶される。
【0089】
同様に、動作テストにおける動作周波数F2と、半導体チップCP1~CP4で測定された消費電流I2_1~I2_4は、半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCに、テーブル形式にてそれぞれ記憶される。
【0090】
さらに、動作テストにおける動作周波数F3と、半導体チップCP1~CP4で測定された消費電流I3_1~I3_4は、半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCに、テーブル形式にてそれぞれ記憶される。
【0091】
なお、半導体パッケージ12~14についても、半導体パッケージ11と同様に、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCに、動作周波数と消費電流とが対応付けられてそれぞれ記憶される。以上により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップの動作テストが終了する。
【0092】
次に、半導体装置10内の複数の半導体チップに供給する電流を制御する動作について説明する。
図14は、複数の半導体チップに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。この制御は、システム制御回路20により実行される。
【0093】
先ず、システム制御回路20は、情報処理システム1が半導体装置10に提供している動作条件の中から、実行予定の動作周波数を選択する(S33)。この動作周波数は、前述した測定条件として設定した動作周波数に対応する。
【0094】
次に、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCから、動作周波数に対応する消費電流を読み出す(S34)。詳述すると、システム制御回路20は、半導体チップの記憶回路SCから、ステップS33にて設定した動作周波数と一致する、あるいは近似する動作周波数を見つけ、その動作周波数に対応付けられた消費電流を読み出す。
【0095】
次に、システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4に供給する電流を制御する(S35)。詳述すると、情報処理システム1で許容される電流の供給能力内で、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4が適正な動作が実行可能なように、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4に供給する電流を配分する。以上により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップに供給する電流の制御が終了する。
【0096】
上述により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4で生じる消費電流を低減できる。さらに、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4を効率良く、並行して動作させることが可能である。これにより、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。
【0097】
3.3 第3実施形態の効果
第3実施形態によれば、消費電流を低減可能な半導体装置を提供できる。
【0098】
以下に、第3実施形態の効果について説明する。第3実施形態では、半導体装置(例えば、半導体チップあるいは半導体パッケージ)がその半導体装置の消費電流を記憶する記憶回路SCを備える。記憶回路SCは、動作周波数と、動作周波数が半導体装置に設定された場合に生じる消費電流とを対応付けて記憶する。システム制御回路20は、動作周波数に対応した消費電流を記憶回路SCから読み出す。システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、動作周波数に応じた適正な電流を半導体装置に供給する。これにより、電流の供給を適正化することができ、半導体装置で生じる消費電流を低減できる。
【0099】
また、第3実施形態の構成によれば、複数の半導体装置の記憶回路SCから消費電流を読み出し、読み出した消費電流に基づいて、動作周波数に応じた適正な電流を複数の半導体装置に供給する。これにより、複数の半導体装置に効率良く電流を配分できるため、複数の半導体装置で生じる消費電流を低減できる。さらに、複数の半導体装置を並行して動作させることができるため、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。その他の効果は、前述した第1実施形態と同様である。
【0100】
4.第4実施形態
第4実施形態の半導体装置、及び半導体装置を備えた情報処理システムについて説明する。第4実施形態では、複数の半導体チップへの供給電流を制御する動作を、より詳細に説明する。以下、第4実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0101】
4.1 第4実施形態の構成
第4実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の構成は、
図1及び
図2にて示した第1実施形態と同様である。第4実施形態では、半導体パッケージ11を例に取り説明する。また、測定条件(または、動作条件)として、動作モードは読み出し動作に設定され、動作温度はaあるいはbに、動作周波数はAあるいはBに、動作電圧は消費電流に影響を与えない範囲内にそれぞれ設定されるものとする。
【0102】
図15は、第4実施形態の半導体パッケージ11とシステム制御回路20の接続構成を示すブロック図である。半導体装置10内の半導体パッケージ11とシステム制御回路20は、チップセレクト信号CSo及びCSe、コマンドCMDa及びCMDb、及びデータ信号DATa及びDATbを送受信する信号線にて接続される。
【0103】
チップセレクト信号CSo及びCSeは、半導体チップを選択する信号である。システム制御回路20は、奇数番目の半導体チップCP1及びCP3にチップセレクト信号CSoを出力し、半導体チップCP1及びCP3を選択する。システム制御回路20は、偶数番目の半導体チップCP2及びCP4にチップセレクト信号CSeを出力し、半導体チップCP2及びCP4を選択する。
【0104】
コマンドCMDa及びCMDbは、半導体チップに動作モードあるいは処理を命ずる信号である。コマンドCMDaは、システム制御回路20から半導体チップCP1及びCP2に出力され、半導体チップCP1及びCP2に動作モードあるいは処理を実行させる。コマンドCMDbは、システム制御回路20から半導体チップCP3及びCP4に出力され、半導体チップCP3及びCP4に動作モードあるいは処理を実行させる。
【0105】
データ信号DATa及びDATbは、値、データあるいは情報を含む信号であり、例えば、消費電流に相当する値、あるいは温度に相当する値を含む信号である。データ信号DATa<7:0>は、システム制御回路20と半導体チップCP1及びCP2との間で送受信される値、データあるいは情報であり、例えば、半導体チップCP1あるいはCP2の記憶回路SCに記憶された消費電流に相当する値、または半導体チップCP1あるいはCP2の温度検知回路TDで検知された温度に相当する値を含む。データ信号DATb<7:0>は、システム制御回路20と半導体チップCP3及びCP4との間で送受信される値、データあるいは情報であり、例えば、半導体チップCP3あるいはCP4の記憶回路SCに記憶された消費電流に相当する値、または半導体チップCP3あるいはCP4の温度検知回路TDで検知された温度に相当する値を含む。
【0106】
また、半導体チップCP1~CP4の各々の記憶回路SCは、動作条件としての動作周波数及び動作温度と、消費電流を記憶している。
図16に、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される動作周波数及び動作温度と消費電流を示す。
【0107】
例えば、半導体チップCP1の記憶回路SCは、動作周波数A、B及び動作温度a、bと、これら動作条件で得られた消費電流iとをそれぞれ対応付けて記憶する。詳述すると、記憶回路SCは、動作周波数A及び動作温度aと、これらで得られた消費電流i(A,a)とを対応付けて記憶する。同様に、記憶回路SCは、動作周波数B及び動作温度aと、これらで得られた消費電流i(B,a)とを対応付けて記憶する。記憶回路SCは、動作周波数A及び動作温度bと、これらで得られた消費電流i(A,b)とを対応付けて記憶する。さらに、記憶回路SCは、動作周波数B及び動作温度bと、これらで得られた消費電流i(B,b)とを対応付けて記憶する。
【0108】
半導体パッケージ11内の半導体チップCP2~CP4についても、半導体チップCP1と同様である。半導体チップCP2~CP4の各々の記憶装置SCは、動作周波数A、B及び動作温度a、bと、これら動作条件で得られた消費電流iとをそれぞれ対応付けて記憶する。さらに、半導体パッケージ12~14についても、半導体パッケージ11と同様である。半導体パッケージ12~14内の半導体チップCP1~CP4の各々の記憶装置SCは、動作周波数A、B及び動作温度a、bと、これら動作条件で得られた消費電流iとをそれぞれ対応付けて記憶する。
【0109】
また、半導体チップCP1~CP4の各々の温度検知回路TDは、半導体チップCP1~CP4の各々の温度を検知し、検知した温度をシステム制御回路20に送信する。
【0110】
4.2 第4実施形態の動作
第4実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の動作について説明する。以下に、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に対して動作周波数及び供給電流を制御する動作を説明する。
【0111】
半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCには、
図16に示したように、動作周波数A、B及び動作温度a、bと、消費電流iとが記憶されている。また、実行予定の(あるいは、現在実行中の)動作条件は、動作温度C、及び動作周波数cとする。
【0112】
図17は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に対して動作周波数及び供給電流を制御する動作を示すフローチャートである。この制御は、システム制御回路20により実行される。
【0113】
先ず、システム制御回路20は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4を並行して動作させた場合に許容可能な消費電流の合計値iTTLを決定する(S41)。
【0114】
次に、システム制御回路20は、半導体チップCP1~CP4に搭載された温度検知回路TDから、半導体チップCP1~CP4の各々の温度(以下、検知温度)を取得する(S42)。検知温度は、測定条件として設定した動作温度に対応する。
【0115】
次に、システム制御回路20は、温度検知回路TDから得た検知温度(即ち、動作温度)を用いて、半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCから、動作温度に対応する消費電流を読み出す(S43)。詳述すると、システム制御回路20は、半導体チップの記憶回路SCから、ステップS42にて取得した検知温度と一致する、あるいは近似する動作温度を見つけ、その動作温度に対応付けられた消費電流を読み出す。
【0116】
なお、半導体チップから検知温度と消費電流を得るには、チップセレクト信号CSoあるいはCSeで半導体チップを選択する。さらに、コマンドCMDaあるいはCMDbで、選択した半導体チップに検知温度の出力、及び消費電流の出力を実行させる。これにより、データ信号DATaあるいはDATbから、検知温度と消費電流を得ることができる。
【0117】
ここで、半導体チップCP1~CP4の記憶回路SCに記憶されている動作温度が検知温度と一致する場合は、その動作温度に対応する消費電流を、実行予定の読み出し動作の消費電流i(C,c)として用いることができる。しかし、記憶回路SCに記憶されている動作温度が検知温度と一致しない場合は、検知温度と近似する動作温度に対応する消費電流を読み出す。そして、読み出した消費電流を用いて、実行予定の読み出し動作における半導体チップCP1~CP4の消費電流i(C,c)を、近似法により以下の手順で算出する(S44)。
【0118】
図18に、実行予定の読み出し動作における半導体チップCP1の消費電流i(C,c)を算出する方法を示す。具体的には、システム制御回路20は、半導体チップCP1の記憶回路SCから、動作周波数A及び動作温度aに対応する消費電流i(A,a)と、動作周波数B及び動作温度aに対応する消費電流i(B,a)を読み出す。そして、システム制御回路20は、消費電流i(A,a)と消費電流i(B,a)から消費電流i(C,a)を得る。
【0119】
また、システム制御回路20は、半導体チップCP1の記憶回路SCから、動作周波数A及び動作温度bに対応する消費電流i(A,b)と、動作周波数B及び動作温度bに対応する消費電流i(B,b)を読み出す。そして、システム制御回路20は、消費電流i(A,b)と消費電流i(B,b)から消費電流i(C,b)を得る。
【0120】
さらに、システム制御回路20は、消費電流i(A,b)と消費電流i(A,a)から消費電流i(A,c)を得る。システム制御回路20は、消費電流i(B,b)と消費電流i(B,a)から消費電流i(B,c)を得る。そして、システム制御回路20は、消費電流i(C,b)と消費電流i(C,a)から消費電流i(C,c)を得る。
【0121】
このような、消費電流を得る処理を、システム制御回路20は、半導体チップCP2~CP4に対して実施し、半導体チップCP2~CP4の各々の消費電流i(A,c)、i(B,c)、及びi(C,c)を得る。
【0122】
次に、システム制御回路20は、半導体チップCP1~CP4の各々の消費電流i(A,c)、i(B,c)、及びi(C,c)に基づいて、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に対して動作周波数を設定する(S45)。
【0123】
さらに、システム制御回路20は、半導体チップCP1~CP4に設定した動作周波数に応じて、半導体チップCP1~CP4に供給する電流を制御する(S46)。
【0124】
以下に、半導体チップCP1の消費電流i(A,c)、i(B,c)、及びi(C,c)に基づいて、半導体チップCP1に対する動作周波数と供給電流を求める動作を説明する。例えば、半導体チップCP1に動作周波数Dが設定される場合、半導体チップCP1には供給電流i(D,c)が供給される。動作周波数Dと供給電流i(D,c)は、以下の手順で算出される。
【0125】
図19に、半導体チップCP1の消費電流に基づいて動作周波数と供給電流を算出する方法を示す。
図19において横軸が動作周波数を表し、縦軸が消費電流を表す。
【0126】
動作温度cのときの動作周波数A、B、Cと、消費電流i(A,c)、i(B,c)、i(C,c)との関係は、
図19のように表される。例えば、半導体チップCP1の動作周波数をDあるいはEに設定した場合、この場合の半導体チップCP1への供給電流i(D,c)あるいはi(E,c)は、
図19に示すグラフから求めることができる。以下に詳述する。
【0127】
消費電流i(B,c)、i(C,c)、i(A,c)を結ぶ直線(以下、推定線)を描く。動作周波数をCとAの間のDに設定した場合、消費電流i(C,c)とi(A,c)との間の推定線上に、動作周波数Dに対応した供給電流i(D,c)がプロットされる。一方、動作周波数をCとBの間のEに設定した場合、消費電流i(C,c)とi(B,c)との間の推定線上に、動作周波数Eに対応した供給電流i(E,c)がプロットされる。
【0128】
システム制御回路20は、情報処理システム1が設定可能な動作周波数として動作周波数DあるいはEを半導体チップCP1に設定し、動作周波数DあるいはEに応じた供給電流i(D,c)あるいはi(E,c)を半導体チップCP1に供給する。
【0129】
上述の動作を、システム制御回路20は、半導体チップCP1~CP4の各々に対して実施する。すなわち、システム制御回路20は、半導体チップCP1~CP4の各々に対する動作周波数DあるいはEと、供給電流i(D,c)あるいはi(E,c)を、
図19に示したグラフから求める。システム制御回路20は、情報処理システム1が設定可能な動作周波数として動作周波数DあるいはEを半導体チップCP1~CP4に設定し、動作周波数DあるいはEに応じた供給電流i(D,c)あるいはi(E,c)を半導体チップCP1~CP4に供給する。ここで、供給電流を半導体チップCP1~CP4に供給するとき、システム制御回路20は、半導体チップCP1~CP4への供給電流の合計値が、ステップS41で決定した合計値iTTLに収まるように、半導体チップCP1~CP4に供給する電流を配分する。
【0130】
以上により、半導体チップCP1~CP4への動作周波数の設定と供給電流の制御が終了する。
【0131】
なお、上述では半導体チップCP1~CP4に供給する電流を制御したが、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4が同一の機能を有する場合、半導体チップの記憶回路SCに記憶された動作周波数、動作温度、及び消費電流の中から、同一の動作周波数において消費電流が一番小さい1つあるいは複数の半導体チップのみに電流を供給してもよい。
【0132】
また、半導体チップ毎に動作周波数を設定変更することにより、半導体チップには自己発熱による温度変化が起きる。このため、システム制御回路20は、ある時間間隔で半導体チップから温度と消費電流を取得する。そして、取得した消費電流に基づいて、半導体チップへの動作周波数の設定と供給電流の制御を逐次実行することも可能である。
【0133】
また、半導体パッケージ12~14内の半導体チップCP1~CP4に対して動作周波数及び供給電流を制御する動作についても、半導体パッケージ11と同様である。半導体パッケージ12~14の各々の半導体チップCP1~CP4に対しても、上述と同様に、半導体チップCP1~CP4に対して動作周波数を設定する動作を実行し、さらに半導体チップCP1~CP4に設定した動作周波数に応じて、半導体チップCP1~CP4に供給する電流を制御する動作を実行する。
【0134】
以上により、半導体パッケージ11~14内の半導体チップCP1~CP4を効率良く、並行して動作させることが可能である。これにより、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。
【0135】
4.3 第4実施形態の効果
第4実施形態によれば、消費電流を低減可能な半導体装置を提供できる。
【0136】
以下に、第4実施形態の効果について説明する。第4実施形態では、半導体装置(例えば、半導体チップあるいは半導体パッケージ)がその半導体装置の消費電流を記憶する記憶回路SCを備える。記憶回路SCは、動作周波数及び動作温度と、動作周波数及び動作周波数が半導体装置に設定された場合に生じる消費電流とを対応付けて記憶する。システム制御回路20は、温度検知回路TDから検知温度を取得し、検知温度(即ち、動作温度)に対応した消費電流を記憶回路SCから読み出す。システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、半導体装置の動作周波数を適正な周波数に設定する。言い換えると、読み出した消費電流に基づいて、半導体装置の処理速度(または、動作速度)を適正な速度に設定する。これにより、半導体装置の動作性能を向上させることができる。さらに、設定した動作周波数に応じて、適正な電流を半導体装置に供給する。これにより、電流の供給を適正化することができ、半導体装置で生じる消費電流を低減できる。
【0137】
また、第4実施形態の構成によれば、複数の半導体装置の記憶回路SCから消費電流を読み出し、読み出した消費電流に基づいて、複数の半導体装置の動作周波数を適正な周波数に設定する。言い換えると、読み出した消費電流に基づいて、複数の半導体装置の処理速度を適正な速度に設定する。これにより、複数の半導体装置の動作性能を向上させることができる。さらに、設定した動作周波数に応じて、適正な電流を複数の半導体装置に供給する。これにより、複数の半導体装置に効率良く電流を配分できるため、複数の半導体装置で生じる消費電流を低減できる。その他の効果は、前述した第1実施形態と同様である。
【0138】
5.第5実施形態
第5実施形態の半導体装置、及び半導体装置を備えた情報処理システムについて説明する。前述の第1実施形態では、半導体チップの各々に供給する電流が制御されたが、第5実施形態では、半導体パッケージの各々の消費電流に基づいて、半導体パッケージに供給する電流が制御される。半導体パッケージの各々における消費電流は、1つの半導体パッケージが含む複数の半導体チップの消費電流を合計した電流である。以下、第5実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0139】
5.1 第5実施形態の構成
第5実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の構成は、
図1及び
図2にて示した第1実施形態と同様である。
【0140】
半導体パッケージ11~14の各々内の半導体チップに、測定条件とその消費電流が記憶される。例えば、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに、測定条件とその消費電流が記憶される。同様に、半導体パッケージ12~14の各々内の半導体チップCP1の記憶回路SCに、測定条件とその消費電流が記憶される。なお、測定条件とその消費電流が記憶される半導体チップは、半導体チップCP1~CP4のいずれか1つでもよいし、あるいは複数でもよい。
【0141】
図20に、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される測定条件と消費電流の一例を示す。測定条件は、例えば、動作モード、動作温度、動作周波数、及び動作電圧である。
【0142】
半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCは、テーブル形式により、測定条件とその消費電流を対応付けて記憶する。例えば、半導体チップCP1の記憶回路SCは、
図20に示すように、測定条件C1としての動作モードM1、動作温度T1、動作周波数F1、及び動作電圧V1と、測定条件C1が半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に設定された場合に得られる消費電流I1とを対応付けて記憶する。同様に、測定条件C2としての動作モードM2、動作温度T1、動作周波数F1、及び動作電圧V1と、測定条件C2が半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に設定された場合に得られる消費電流I2とを対応付けて記憶する。測定条件C3としての動作モードM1、動作温度T2、動作周波数F1、及び動作電圧V1と、測定条件C3が半導体パッケージ11内の半導体チップCP1~CP4に設定された場合に得られる消費電流I3とを対応付けて記憶する。
【0143】
なお、
図20に示す測定条件と消費電流は、記憶回路SCに記憶されるテーブルの一部である。
【0144】
5.2 第5実施形態の動作
第5実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の動作について説明する。
【0145】
先ず、半導体パッケージ11~14の各々の半導体チップCP1の記憶回路SCに、測定条件としての動作モード、動作温度、動作周波数、動作電圧と、その消費電流とを記憶させる動作テストについて説明する。ここでは、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶させる場合を例に取り説明する。
【0146】
図21は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1に、測定条件と消費電流を記憶させる動作テストの処理の流れを示すフローチャートである。
【0147】
動作テストでは、複数の測定条件C1、C2、…、Cnが半導体パッケージ11~14にそれぞれ設定され、測定条件C1~Cnにおける半導体パッケージ11~14の各々の消費電流がそれぞれ測定される(S51)。例えば、測定条件C1において、半導体パッケージ11~14の各々の消費電流I1_1~I1_4がそれぞれ測定される。測定条件C2において、半導体パッケージ11~14の各々の消費電流I2_1~I2_4がそれぞれ測定される。さらに、測定条件Cnにおいて、半導体パッケージ11~14の各々の消費電流In_1~In_4がそれぞれ測定される。
【0148】
次に、動作テストにて設定された測定条件C1と、半導体パッケージ11~14の各々で測定された消費電流I1_1~I1_4は、半導体パッケージ11~14の各々の半導体チップCP1の記憶回路SCにそれぞれ記憶される(S52)。
【0149】
図22に、半導体パッケージ11~14の各々の半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される測定条件Cnと消費電流In_1~In_4を示す。例えば、動作テストにおける測定条件C1と、半導体パッケージ11で測定された消費電流I1_1は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに、
図22に示すようなテーブル形式にて記憶される。すなわち、測定条件C1と消費電流I1_1とが対応付けられて、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される。測定条件C1と、半導体パッケージ12で測定された消費電流I1_2は、半導体パッケージ12内の半導体チップCP1の記憶回路SCに、
図22に示すようなテーブル形式にて記憶される。すなわち、測定条件C1と消費電流I1_2とが対応付けられて、半導体パッケージ12内の半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶される。同様に、測定条件C1と、半導体パッケージ13及び14で測定された消費電流I1_3及びI1_4は、半導体パッケージ13及び14の各々の半導体チップCP1の記憶回路SCに、
図22に示すようなテーブル形式にてそれぞれ記憶される。以上により、半導体パッケージ11~14の動作テストが終了する。
【0150】
次に、半導体装置10内の複数の半導体パッケージに供給する電流を制御する動作について説明する。
図23は、複数の半導体パッケージに供給する電流を制御する動作を示すフローチャートである。この制御は、システム制御回路20により実行される。
【0151】
先ず、システム制御回路20は、情報処理システム1が半導体装置10に提供している動作条件の中から、実行予定の動作条件を選択する(S53)。この動作条件は、前述した測定条件に対応する。
【0152】
次に、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14の各々の半導体チップCP1の記憶回路SCから、動作条件に対応する消費電流を読み出す(S54)。詳述すると、システム制御回路20は、半導体チップCP1の記憶回路SCから、ステップS53にて設定した動作条件と一致する、あるいは近似する測定条件を見つけ、その測定条件に対応付けられた消費電流を読み出す。
【0153】
次に、システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージ11~14に供給する電流を制御する(S55)。詳述すると、情報処理システム1で許容される電流の供給能力内で、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージ11~14が適正な動作が実行可能なように、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14に供給する電流を配分する。システム制御回路20が電流を配分するとは、以下のような動作をいう。システム制御回路20が選択した動作条件で半導体パッケージ11~14の半導体チップCP1の記憶回路SCから読み出した消費電流によって、半導体パッケージ11~14が消費する電流は決定される。配分とは、その決定された電流を半導体パッケージ11~14に供給することであり、各半導体パッケージが消費しても良い最大電流あるいは平均電流を、半導体パッケージ11~14に供給することである。以上により、半導体パッケージ11~14に供給する電流の制御が終了する。
【0154】
上述により、半導体パッケージ11~14で生じる消費電流を低減できる。さらに、半導体パッケージ11~14を効率良く、並行して動作させることができる。これにより、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。
【0155】
5.3 第5実施形態の効果
第5実施形態によれば、消費電流を低減可能な半導体装置を提供できる。
【0156】
以下に、第5実施形態の効果について説明する。第5実施形態では、半導体パッケージがその半導体パッケージの消費電流を記憶する記憶回路SCを備える。記憶回路SCは、動作条件(または、測定条件)と、動作条件が半導体装置に設定された場合に生じる消費電流とを対応付けて記憶する。システム制御回路20は、動作条件に対応した消費電流を記憶回路SCから読み出す。システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、動作条件に応じた適正な電流を半導体パッケージに供給する。これにより、電流の供給を適正化することができ、半導体パッケージで生じる消費電流を低減できる。
【0157】
また、第5実施形態の構成によれば、複数の半導体パッケージの各々の記憶回路SCから消費電流を読み出し、読み出した消費電流に基づいて、動作条件に応じた適正な電流を複数の半導体パッケージに供給する。これにより、複数の半導体パッケージに効率良く電流を配分できるため、複数の半導体パッケージで生じる消費電流を低減できる。さらに、複数の半導体パッケージを並行して動作させることができるため、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。その他の効果は、前述した第1実施形態と同様である。
【0158】
6.第6実施形態
第6実施形態の半導体装置、及び半導体装置を備えた情報処理システムについて説明する。前述の第4実施形態では、半導体チップの各々に供給する電流が制御されたが、第6実施形態では、半導体パッケージの各々の消費電流に基づいて、半導体パッケージに供給する電流が制御される。以下、第6実施形態では、主に第1及び第4実施形態と異なる点について説明する。
【0159】
6.1 第6実施形態の構成
第6実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の構成は、
図1及び
図2にて示した第1実施形態、及び
図15にて示した第4実施形態と同様である。
【0160】
半導体パッケージ11~14の各々内の半導体チップに、測定条件とその消費電流が記憶される。例えば、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCに、
図16に示したように、測定条件としての動作周波数及び動作温度と、その消費電流が記憶される。同様に、半導体パッケージ12~14の各々内の半導体チップCP1の記憶回路SCに、測定条件としての動作周波数及び動作温度と、その消費電流が記憶される。なお、測定条件とその消費電流が記憶される半導体チップは、半導体チップCP1~CP4のいずれか1つでもよいし、あるいは複数でもよい。
【0161】
6.2 第6実施形態の動作
第6実施形態の半導体装置を備える情報処理システム1の動作について説明する。以下に、半導体装置10内の半導体パッケージ11~14に対して動作周波数及び供給電流を制御する動作を説明する。
【0162】
半導体パッケージ11~14の各々の半導体チップCP1の記憶回路SCには、
図16に示したように、動作周波数A、B及び動作温度a、bと、消費電流iとが記憶されている。また、実行予定の動作条件は、動作温度C、及び動作周波数cとする。
【0163】
図24は、半導体パッケージ11~14に対して動作周波数及び供給電流を制御する動作を示すフローチャートである。この制御は、システム制御回路20により実行される。
【0164】
先ず、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14を並行して動作させた場合に許容可能な消費電流の合計値iTTLを決定する(S61)。
【0165】
次に、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14の各々の半導体チップCP1に搭載された温度検知回路TDから、半導体パッケージ11~14の各々の検知温度を取得する(S62)。検知温度は、測定条件として設定した動作温度に対応する。
【0166】
次に、システム制御回路20は、温度検知回路TDから得た検知温度(即ち、動作温度)を用いて、半導体チップCP1の記憶回路SCから、動作温度に対応する消費電流を読み出す(S63)。詳述すると、システム制御回路20は、半導体チップCP1の記憶回路SCから、ステップS62にて取得した検知温度と一致する、あるいは近似する動作温度を見つけ、その動作温度に対応付けられた消費電流を読み出す。
【0167】
ここで、半導体チップCP1の記憶回路SCに記憶されている動作温度が検知温度と一致する場合は、その動作温度に対応する消費電流を、実行予定の読み出し動作の消費電流i(C,c)として用いることができる。しかし、記憶回路SCに記憶されている動作温度が検知温度と一致しない場合は、検知温度と近似する動作温度に対応する消費電流を読み出す。そして、読み出した消費電流を用いて、実行予定の読み出し動作における半導体パッケージ11~14の消費電流i(C,c)を、近似法により以下の手順で算出する(S64)。
【0168】
システム制御回路20は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCから、動作周波数A及び動作温度aに対応する消費電流i(A,a)と、動作周波数B及び動作温度aに対応する消費電流i(B,a)を読み出す。そして、システム制御回路20は、
図18に示したように、消費電流i(A,a)と消費電流i(B,a)から消費電流i(C,a)を得る。
【0169】
また、システム制御回路20は、半導体パッケージ11内の半導体チップCP1の記憶回路SCから、動作周波数A及び動作温度bに対応する消費電流i(A,b)と、動作周波数B及び動作温度bに対応する消費電流i(B,b)を読み出す。そして、システム制御回路20は、
図18に示したように、消費電流i(A,b)と消費電流i(B,b)から消費電流i(C,b)を得る。
【0170】
さらに、
図18に示したように、システム制御回路20は、消費電流i(A,b)と消費電流i(A,a)から消費電流i(A,c)を得る。システム制御回路20は、消費電流i(B,b)と消費電流i(B,a)から消費電流i(B,c)を得る。そして、システム制御回路20は、消費電流i(C,b)と消費電流i(C,a)から消費電流i(C,c)を得る。
【0171】
このような、消費電流を得る動作を、システム制御回路20は、半導体パッケージ12~14に対して実施し、半導体パッケージ11~14の各々の消費電流i(A,c)、i(B,c)、及びi(C,c)を得る。
【0172】
次に、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14の各々の消費電流i(A,c)、i(B,c)、及びi(C,c)に基づいて、半導体パッケージ11~14に対して動作周波数を設定する(S65)。
【0173】
さらに、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14に設定した動作周波数に応じて、半導体パッケージ11~14に供給する電流を制御する(S66)。
【0174】
以下に、半導体パッケージ11の消費電流i(A,c)、i(B,c)、及びi(C,c)に基づいて、半導体パッケージ11に対する動作周波数と供給電流を求める動作を説明する。例えば、半導体パッケージ11に動作周波数Dが設定される場合、半導体パッケージ11には供給電流i(D,c)が供給される。動作周波数Dと供給電流i(D,c)は、以下の手順で算出される。
【0175】
前述したように、動作温度cのときの動作周波数A、B、Cと、消費電流i(A,c)、i(B,c)、i(C,c)との関係は、
図19のように表される。例えば、半導体パッケージ11の動作周波数をDあるいはEに設定した場合、この場合の半導体パッケージ11への供給電流i(D,c)あるいはi(E,c)は、
図19に示すグラフから求めることができる。以下に詳述する。
【0176】
消費電流i(B,c)、i(C,c)、i(A,c)を結ぶ直線(以下、推定線)を描く。動作周波数をCとAの間のDに設定した場合、消費電流i(C,c)とi(A,c)との間の推定線上に、動作周波数Dに対応した供給電流i(D,c)がプロットされる。一方、動作周波数をCとBの間のEに設定した場合、消費電流i(C,c)とi(B,c)との間の推定線上に、動作周波数Eに対応した供給電流i(E,c)がプロットされる。
【0177】
システム制御回路20は、情報処理システム1が設定可能な動作周波数として動作周波数DあるいはEを半導体パッケージ11に設定し、動作周波数DあるいはEに応じた供給電流i(D,c)あるいはi(E,c)を半導体パッケージ11に供給する。
【0178】
上述の動作を、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14の各々に対して実行する。すなわち、システム制御回路20は、半導体パッケージ12~14の各々に対する動作周波数DあるいはEと、供給電流i(D,c)あるいはi(E,c)を、
図19に示したグラフから求める。システム制御回路20は、情報処理システム1が設定可能な動作周波数として動作周波数DあるいはEを半導体パッケージ11~14に設定し、動作周波数DあるいはEに応じた供給電流i(D,c)あるいはi(E,c)を半導体パッケージ11~14に供給する。ここで、供給電流を半導体パッケージ11~14に供給するとき、システム制御回路20は、半導体パッケージ11~14への供給電流の合計値が、ステップS61で決定した合計値iTTLに収まるように、半導体パッケージ11~14に供給する電流を配分する。
【0179】
以上により、半導体パッケージ11~14への動作周波数の設定と供給電流の制御が終了する。
【0180】
なお、半導体パッケージ毎に動作周波数を設定変更することにより、半導体パッケージには自己発熱による温度変化が起きる。このため、システム制御回路20は、ある時間間隔で半導体パッケージの半導体チップから温度と消費電流を取得する。そして、取得した消費電流に基づいて、半導体パッケージへの動作周波数の設定と供給電流の制御を逐次実行することも可能である。
【0181】
以上により、半導体パッケージ11~14を効率良く、並行して動作させることが可能である。これにより、情報処理システム1の動作性能を向上させることができる。
【0182】
6.3 第6実施形態の効果
第6実施形態によれば、消費電流を低減可能な半導体装置を提供できる。
【0183】
以下に、第6実施形態の効果について説明する。第6実施形態では、半導体パッケージがその半導体パッケージの消費電流を記憶する記憶回路SCを備える。記憶回路SCは、動作周波数及び動作温度と、動作周波数及び動作周波数が半導体装置に設定された場合に生じる消費電流とを対応付けて記憶する。システム制御回路20は、温度検知回路TDから検知温度を取得し、検知温度(即ち、動作温度)に対応した消費電流を記憶回路SCから読み出す。システム制御回路20は、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージの動作周波数を適正な周波数に設定する。言い換えると、読み出した消費電流に基づいて、半導体パッケージの処理速度(または、動作速度)を適正な速度に設定する。これにより、半導体パッケージの動作性能を向上させることができる。さらに、設定した動作周波数に応じて、適正な電流を半導体パッケージにする。これにより、電流の供給を適正化することができ、半導体パッケージで生じる消費電流を低減できる。
【0184】
また、第6実施形態の構成によれば、複数の半導体パッケージの記憶回路SCから消費電流を読み出し、読み出した消費電流に基づいて、複数の半導体パッケージの動作周波数を適正な周波数に設定する。言い換えると、読み出した消費電流に基づいて、複数の半導体パッケージの処理速度を適正な速度に設定する。これにより、複数の半導体パッケージの動作性能を向上させることができる。さらに、設定した動作周波数に応じて、適正な電流を複数の半導体パッケージに供給する。これにより、複数の半導体パッケージに効率良く電流を配分できるため、複数の半導体パッケージで生じる消費電流を低減できる。その他の効果は、前述した第1実施形態と同様である。
【0185】
7.消費電流を得る方法
半導体装置の製造工程では、シリコンウェハに電子回路を形成したシリコンウェハの状態、あるいはシリコンウェハから個片化された半導体チップを半導体パッケージに封入した状態が形成される。選別テストは、シリコンウェハあるいは半導体パッケージの状態にある半導体チップに対し、複数の測定条件の下で半導体テスタを用いて行われる。
【0186】
この選別テストでは、ある測定条件に複数の半導体チップが設定され、半導体チップの各々に生じる消費電流が測定される。
図25に、半導体チップの消費電流とその発生率を示す。
図25に示すように、消費電流が決められた下限値と上限値の間に入るものが良品とされる。
【0187】
前述したように、このような選別テストにおける測定条件及びその消費電流を、実施形態において半導体チップの記憶回路SCに記憶させる測定条件及び消費電流として利用できる。さらに、他の動作テストを実行し、そのテストで得られた測定条件と消費電流を、記憶回路SCに記憶させる測定条件及び消費電流として利用することも可能である。
【0188】
以下に、前述した実施形態にて述べた半導体チップの消費電流を得る方法について説明する。
【0189】
図26、
図27及び
図28に、ある測定条件において処理(例えば、読み出し動作)を実行した場合の消費電流を示す。消費電流は、ある測定条件における処理中の1回の測定によって得てもよいし、あるいは、
図26に示すように、処理を繰り返しながらの複数回(例えば、1、2、及び3回目)の測定によって得てもよい。
【0190】
また、
図27に示すように、消費電流は、ある測定条件における1つの処理中の複数回(例えば、1、2、及び3回目)の測定によって得てもよい。この測定では、処理の開始(システム制御回路20からのコマンド発行時)から測定するまでの時間を変えて、消費電流を測定する。この場合、3回の測定で得られた複数値の平均を、消費電流として利用することができる。または、測定で得られた消費電流が最大になる点(
図27の3回目)を、最大消費電流として利用することもできる。
【0191】
また、
図28に示すように、消費電流は、1つの処理中における電流波形による一定期間の平均電流の測定によって得てもよい。これにより、測定によって得られた消費電流の精度を高めることができる。
【0192】
これらの測定方法は、テストに要する時間とそれに伴うコスト、及びテストに用いる半導体テスタの性能などから決められる。
【0193】
次に、複数の半導体チップを含む半導体パッケージの消費電流について説明する。複数の半導体チップが封入された半導体パッケージでは、半導体パッケージ内の複数の半導体チップを並列動作させる場合や、いくつかの半導体チップを待機させる場合には、消費電流は、動作している半導体チップの各々の消費電流の合計値となる。
図29に、2つの半導体チップX及びYが並列動作しているときの消費電流の合計値を示す。
【0194】
半導体パッケージの場合は、半導体パッケージ内の複数の半導体チップの中の1つの半導体チップの記憶回路SCに、測定条件と消費電流を記憶する。または、半導体パッケージ内の複数の半導体チップの各々の記憶回路SCに、測定条件と消費電流をそれぞれ記憶してもよい。半導体チップの各々の記憶回路SCに測定条件と消費電流が記憶されている場合、システム制御回路20は、各記憶回路SCから測定条件と消費電流を読み出し、読み出した消費電流を合計して、半導体パッケージの消費電流として利用する。
【0195】
また、半導体チップの記憶回路SCに記憶された測定条件(または、動作条件)と消費電流から所望の消費電流を得ることができない場合、システム制御回路20は、以下のような近似及び推定法により消費電流を得ることも可能である。ここでは、システム制御回路20の負荷を軽減するために、記憶回路SCから読み出した消費電流、すなわちテスト時に測定によって得た消費電流を直線近似で内挿する方法を述べる。
【0196】
半導体チップの電気特性(例えば、動作周波数あるいは動作温度に対する消費電流)は、
図30に破線で示されるような、プロファイル及び傾向を取ることが半導体チップの初期評価で分かっている。半導体チップの選別テストにおける測定値(黒点)から、半導体チップの電気特性は、初期評価特性(破線)から推測して一点鎖線hで示されると推定できる。ここで、動作条件としての動作周波数(A)における消費電流は、選別テスト時の測定値(B)と(C)から直線で内挿すると、点(D)(白丸)の値を得ることができる。実際には、該当する半導体チップの動作周波数(A)における消費電流は点(E)(黒四角)であり、一点鎖線h上にあることが期待される。点(D)と点(E)の値の差異が情報処理システムとして許容できれば、この近似で求めた点(D)の消費電流を用いる。
【0197】
一方、
図31及び
図32に示すように、点(D)と点(E)との乖離が大きく、情報処理システムとして差異が許容できない場合は、動作周波数(F)における消費電流(G)を測定しておき、以下のように消費電流を求める。これは、初期評価段階で
図32に破線で示すような電気特性を示す場合で説明する。半導体チップの電気特性は、初期評価で得られた破線には必ずしも一致しないが、ほぼ同じ傾向を示し、一点鎖線hで示されるような電気特性となる。半導体チップの選別テストで動作周波数(F)における消費電流(G)を測定しておく。動作周波数(A)における消費電流は、測定値(B)と(G)から直線で内挿すると、点(D´)を得ることができる。点(E)で示される実際の消費電流と、推定される点(D´)との乖離は、点(E)と点(D)との乖離に比べて小さくなり、情報処理システムとして許容できる範囲となる。したがって、この近似で求めた点(D´)の消費電流を用いる。
【0198】
上述したように、ある動作周波数に対する消費電流を得る方法としては、テスト時の動作周波数と消費電流の測定値を用いて、動作周波数と消費電流との相関関係を求める。そして、求めた相関関係から、ある動作周波数に対する消費電流を近似及び推定する。
【0199】
また、同様に、ある動作温度に対する消費電流を得る方法としては、テスト時の動作温度と消費電流の測定値を用いて、動作温度と消費電流との相関関係を求める。そして、求めた相関関係から、ある動作温度に対する消費電流を近似及び推定する。
【0200】
8.その他変形例等
前述の第2、第3実施形態では、それぞれ動作温度及び動作周波数に基づいて、供給電流を制御したが、動作温度あるいは動作周波数に換えて、動作電圧とその消費電流を記憶回路SCに記憶しておき、記憶回路SCから読み出した消費電流に基づいて、半導体チップあるいは半導体パッケージに供給する電流を制御してもよい。
【0201】
上記実施形態で説明したフローチャートは、その処理の順番を可能な限り入れ替えることができる。
【0202】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0203】
1…情報処理システム、10…半導体装置、11~14…半導体パッケージ、20…システム制御回路、30…パワーマネージメント集積回路、40…ユーザインタフェース、50…バッテリー、110…半導体基板、111…ボンディングワイヤ、112…絶縁性フィルム、113…絶縁層、114…パッド、115…パッド、116…ビア、117…絶縁層、118…ハンダボール、119…モールド材、CP1~CP4…半導体チップ。