(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140681
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230928BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
H01L21/306 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046649
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】根本 脩平
(72)【発明者】
【氏名】正司 和大
(72)【発明者】
【氏名】村元 僚
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043DD13
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE09
5F157AA12
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157BB23
5F157BH18
5F157CE03
5F157CE05
5F157CE07
5F157CE09
5F157CF16
5F157CF22
5F157CF34
5F157CF70
5F157CF74
5F157DB02
5F157DB46
5F157DB51
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】回転している基板に処理液を供給して基板を処理する基板処理装置において、低コストで、跳ね返り液滴を抑制して基板を安定して処理する低コストで、跳ね返り液滴を抑制して基板を安定して処理する。
【解決手段】この発明は、基板の下面中央部を吸着して保持しながら鉛直方向に延びる回転軸まわりに回転可能に設けられる基板保持部と、基板保持部を回転させるための回転駆動力を出力する回転機構と、基板保持部に保持された基板に処理液を供給して基板を処理する処理機構と、回転する基板の外周を囲みながら回転軸まわりに回転可能に設けられ、基板から飛散する処理液の液滴を捕集する回転カップ部と、を備えている。回転機構は、回転駆動力の一部をカップ駆動力としてカップ部に伝達する動力伝達部をさらに有し、回転駆動力によって基板保持部および回転カップ部を同時に回転させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面中央部を吸着して保持しながら鉛直方向に延びる回転軸まわりに回転可能に設けられる基板保持部と、
前記基板保持部を回転させるための回転駆動力を出力する回転機構と、
前記基板保持部に保持された前記基板に処理液を供給して前記基板を処理する処理機構と、
回転する前記基板の外周を囲みながら前記回転軸まわりに回転可能に設けられ、前記基板から飛散する前記処理液の液滴を捕集する回転カップ部と、を備え、
前記回転機構は、前記回転駆動力の一部をカップ駆動力として前記カップ部に伝達する動力伝達部をさらに有し、前記回転駆動力によって前記基板保持部および前記回転カップ部を同時に回転させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記動力伝達部は、前記回転カップ部が前記基板保持部に保持された前記基板と同一方向に回転するように、前記カップ駆動力を前記回転カップ部に伝達する基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記動力伝達部は、前記回転カップ部が前記基板保持部に保持された前記基板と同期して回転するように、前記カップ駆動力を前記回転カップ部に伝達する基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
前記回転カップ部は、前記回転軸まわりに回転可能に設けられる円環形状を有する下カップと、前記下カップと一体的に前記回転軸まわりに回転しながら回転する前記基板から飛散してくる前記液滴を捕集する上カップとを有し、
前記回転機構は、前記回転駆動力を出力する回転駆動部と、前記回転軸まわりに回転可能に前記回転駆動部と前記基板保持部とを連結する回転軸部とを有し、
前記動力伝達部は、
円環形状を有し、外周面を前記下カップの内周面と対向させながら前記回転軸まわりに回転可能に前記回転軸部に取り付けられた回転部材と、
前記回転部材の外周部に沿って前記回転部材に設けられる複数の第1磁石と、
前記下カップの内周部に沿って前記下カップに設けられる複数の第2磁石と
を有し、
前記基板の下方で、前記回転部材の外周面と前記下カップの内周面との間に間隙を設けながら前記第1磁石および前記第2磁石の間での磁力作用により前記カップ駆動力を前記下カップに伝達する基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置であって、
前記処理機構は、
鉛直方向において前記動力伝達部と前記基板との間に配置され、回転する前記基板の下面の周縁部に向けて前記処理液を吐出する下面ノズルと、
鉛直方向において前記動力伝達部よりも下方から前記処理液を供給する処理液供給部と、
前記間隙に挿通されながら前記処理液供給部と前記下面ノズルとを接続し、前記処理液供給部から供給される前記処理液を前記下面ノズルに送る配管と、
を有する基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に処理液を供給して当該基板を処理する基板処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハなどの基板を回転させつつ当該基板に処理液を供給して薬液処理や洗浄処理などを施す基板処理装置が知られている。例えば特許文献1に記載の装置では、回転される基板から飛散する処理液などを捕集して回収するために飛散防止部が設けられている。飛散防止部は、回転される基板の外周を取り囲むように固定的に配置されたスプラッシュガード(「カップ」と称されることもある)を有している。スプラッシュガードの内周面は、基板の外周と対向しており、回転される基板から振り切られた処理液の液滴を捕集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スプラッシュガードによる液滴の捕集時には、液滴がスプラッシュガードの内周面に衝突する。この衝突によって、跳ね返り液滴が発生することがある。跳ね返り液滴が基板上に再付着すると、ウォーターマークは発生する。また、スプラッシュガード外へ跳ね返り液滴の飛散は、周囲雰囲気を汚染する主要因のひとつになってしまう。したがって、上記基板処理装置において基板を良好に処理するためには、跳ね返り液滴の飛散を抑制することが重要である。そこで、これを達成するために、基板の回転とともにスプラッシュガードを回転させることが考えられる。
しかしながら、従来装置に対し、スプラッシュガードを回転させる専用の回転機構を追加すると、装置コストの増大はもちろんのこと、スプラッシュガードおよび基板の回転を同時に制御する必要となる。基板処理を安定して行うことが困難となることがある。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、回転している基板に処理液を供給して基板を処理する基板処理装置において、低コストで、跳ね返り液滴を抑制して基板を安定して処理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板処理装置であって、基板の下面中央部を吸着して保持しながら鉛直方向に延びる回転軸まわりに回転可能に設けられる基板保持部と、基板保持部を回転させるための回転駆動力を出力する回転機構と、前記基板保持部に保持された前記基板に処理液を供給して前記基板を処理する処理機構と、回転する前記基板の外周を囲みながら前記回転軸まわりに回転可能に設けられ、前記基板から飛散する前記処理液の液滴を捕集する回転カップ部と、を備え、前記回転機構は、前記回転駆動力の一部をカップ駆動力として前記カップ部に伝達する動力伝達部をさらに有し、前記回転駆動力によって前記基板保持部および前記回転カップ部を同時に回転させることを特徴としている。
【0007】
このように構成された発明では、基板を保持した基板保持部を回転させるための回転駆動力が回転機構から出力される。この回転駆動力の一部は動力伝達部によりカップ駆動力として前記カップ部に伝達される。したがって、回転駆動力によって、基板保持部および前記回転カップ部が同時に回転する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、低コストで、跳ね返り液滴を抑制して基板を安定して処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態を装備する基板処理システムの概略構成を示す平面図である。
【
図2】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の構成を示す図である。
【
図6】回転カップ部の構造を示す分解組立斜視図である。
【
図7】スピンチャックに保持された基板と回転カップ部との寸法関係を示す図である。
【
図8】回転カップ部および固定カップ部の一部を示す図である。
【
図9】上面保護加熱機構の構成を示す外観斜視図である。
【
図10】
図9に示す上面保護加熱機構の断面図である。
【
図11】処理機構に装備される上面側の処理液吐出ノズルを示す斜視図である。
【
図12】ベベル処理モードおよびプリディスペンスモードにおけるノズル位置を示す図である。
【
図13】処理機構に装備される下面側の処理液吐出ノズルおよび同ノズルを支持するノズル支持部を示す斜視図である。
【
図14】雰囲気分離機構の構成を示す部分断面図である。
【
図15】
図2に示す基板処理装置により基板処理動作の一例として実行されるベベル処理を示すフローチャートである。
【
図16A】第1実施形態における基板のローディング動作を示す模式図である。
【
図16B】第1実施形態における基板のセンタリング動作を示す模式図である。
【
図16C】第1実施形態における基板のベベル動作を示す模式図である。
【
図16D】第1実施形態における基板の検査動作を示す模式図である。
【
図17A】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の第1変形例を示す図である。
【
図17B】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の第2変形例を示す図である。
【
図17C】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の第3変形例を示す図である。
【
図18】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の第4変形例を示す図である。
【
図19】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の第5変形例を示す図である。
【
図20A】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の第6変形例を示す図である。
【
図20B】本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の第7変形例を示す図である。
【
図21】窒素ガスの吐出流量に対する基板径方向における各位置での気流速度を示すグラフである。
【
図22】基板周縁部における窒素ガスの吐出流量に対する基板径方向における気流速度を示すグラフである。
【
図23】加熱ガスの温度に対する基板径方向における各位置での表面温度変化を示すグラフである。
【
図24】基板の中央と端縁における加熱ガスの温度に対する表面温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明に係る基板処理装置の第1実施形態を装備する基板処理システムの概略構成を示す平面図である。これは基板処理システム100の外観を示すものではなく、基板処理システム100の外壁パネルやその他の一部構成を除外することでその内部構造をわかりやすく示した模式図である。この基板処理システム100は、例えばクリーンルーム内に設置され、一方主面のみに回路パターン等(以下「パターン」と称する)が形成された基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。そして、基板処理システム100に装備される処理ユニット1において本発明に係る基板処理方法が実行される。本明細書では、基板の両主面のうちパターンが形成されているパターン形成面(一方主面)を「表面」と称し、その反対側のパターンが形成されていない他方主面を「裏面」と称する。また、下方に向けられた面を「下面」と称し、上方に向けられた面を「上面」と称する。また、本明細書において「パターン形成面」とは、基板において、任意の領域に凹凸パターン形成されている面を意味する。
【0011】
ここで、本実施形態における「基板」としては、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として半導体ウエハの処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも同様に適用可能である。
【0012】
図1に示すように、基板処理システム100は、基板Wに対して処理を施す基板処理部110と、この基板処理部110に結合されたインデクサ部120とを備えている。インデクサ部120は、基板Wを収容するための容器C(複数の基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard
Mechanical Interface)ポッド、OC(Open Cassette)など)を複数個保持することができる容器保持部121を有している。また、インデクサ部120は、容器保持部121に保持された容器Cにアクセスして、未処理の基板Wを容器Cから取り出したり、処理済みの基板Wを容器Cに収納したりするためのインデクサロボット122を備えている。各容器Cには、複数枚の基板Wがほぼ水平な姿勢で収容されている。
【0013】
インデクサロボット122は、装置筐体に固定されたベース部122aと、ベース部122aに対し鉛直軸まわりに回動可能に設けられた多関節アーム122bと、多関節アーム122bの先端に取り付けられたハンド122cとを備える。ハンド122cはその上面に基板Wを載置して保持することができる構造となっている。このような多関節アームおよび基板保持用のハンドを有するインデクサロボットは公知であるので詳しい説明を省略する。
【0014】
基板処理部110は、インデクサロボット122が基板Wを載置する載置台112と、平面視においてほぼ中央に配置された基板搬送ロボット111と、この基板搬送ロボット111を取り囲むように配置された複数の処理ユニット1とを備えている。具体的には、基板搬送ロボット111が配置された空間に面して複数の処理ユニット1が配置されている。これらの処理ユニット1に対して基板搬送ロボット111は載置台112にランダムにアクセスし、載置台112との間で基板Wを受け渡す。一方、各処理ユニット1は基板Wに対して所定の処理を実行するものであり、本発明に係る基板処理装置に相当するものである。本実施形態では、これらの処理ユニット(基板処理装置)1は同一の機能を有している。このため、複数基板Wの並列処理が可能となっている。なお、基板搬送ロボット111はインデクサロボット122から基板Wを直接受け渡すことが可能であれば、必ずしも載置台112は必要ない。
【0015】
図2は本発明に係る基板処理装置の第1実施形態の構成を示す図である。また、
図3は
図2のA-A線矢視平面図である。
図2、
図3および以下に参照する各図では、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。基板処理装置(処理ユニット)1は、回転機構2、飛散防止機構3、上面保護加熱機構4、処理機構5、雰囲気分離機構6、昇降機構7、センタリング機構8および基板観察機構9を備えている。これら各部2~9は、チャンバ11の内部空間12に収容された状態で、装置全体を制御する制御ユニット10と電気的に接続されている。そして、各部2~9は、制御ユニット10からの指示に応じて動作する。
【0016】
制御ユニット10としては、例えば、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、制御ユニット10においては、プログラムに記述された手順に従って主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、基板処理装置1の各部を制御する。なお、制御ユニット10の詳しい構成および動作については、後で詳述する。また、本実施形態では、各基板処理装置1に対して制御ユニット10を設けているが、1台の制御ユニットにより複数の基板処理装置1を制御するように構成してもよい。また、基板処理システム100全体を制御する制御ユニット(図示省略)により基板処理装置1を制御するように構成してもよい。
【0017】
図2に示すように、チャンバ11の天井壁11aには、ファンフィルタユニット(FFU)13が取り付けられている。このファンフィルタユニット13は、基板処理装置1が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバ11内の処理空間に供給する。ファンフィルタユニット13は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバ11内に送り出すためのファンおよびフィルタ(例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ)を備えており、天井壁11aに設けられた開口11bを介して清浄空気を送り込む。これにより、チャンバ11内の処理空間に清浄空気のダウンフローが形成される。また、ファンフィルタユニット13から供給された清浄空気を均一に分散するために、多数の吹出し孔を穿設したパンチングプレート14が天井壁11aの直下に設けられている。
【0018】
図1および
図3に示すように、基板処理装置1では、チャンバ11の側面にシャッター15が設けられている。シャッター15にはシャッター開閉機構(図示省略)が接続されており、制御ユニット10からの開閉指令に応じてシャッター15を開閉させる。より具体的には、基板処理装置1では、未処理の基板Wをチャンバ11に搬入する際にシャッター開閉機構はシャッター15を開き、基板搬送ロボット111のハンド(
図16A中の符号RH)によって未処理の基板Wがフェースアップ姿勢で回転機構2のスピンチャック(基板保持部)21に搬入される。つまり、基板Wは上面Wfを上方に向けた状態でスピンチャック21上に載置される。そして、当該基板搬入後に基板搬送ロボット111のハンドがチャンバ11から退避すると、シャッター開閉機構はシャッター15を閉じる。そして、チャンバ11の処理空間(後で詳述する密閉空間SPsに相当)内で基板Wの周縁部Wsに対するベベル処理が実行される。また、ベベル処理の終了後においては、シャッター開閉機構がシャッター15を再び開き、基板搬送ロボット111のハンドが処理済の基板Wをスピンチャック21から搬出する。このように、本実施形態では、チャンバ11の内部空間12が常温環境に保たれる。なお、本明細書において「常温」とは、5℃~35℃の温度範囲にあることを意味する。
【0019】
回転機構2は、基板Wを、その表面を上方に向けた状態で、略水平姿勢に保持しつつ回転させるとともに、基板Wと同一方向に飛散防止機構3の一部を同期して回転させる機能を有している。回転機構2は、基板Wおよび飛散防止機構3の回転カップ部31を、主面中心を通る鉛直な回転軸AXまわりに回転させる。なお、回転機構2により一体的に回転する部材や部位などを明示するために、
図2では被回転部位にドットを付している。
【0020】
回転機構2は、基板Wより小さい円板状の部材であるスピンチャック21を備えている。スピンチャック21は、その上面が略水平となり、その中心軸が回転軸AXに一致するように設けられている。スピンチャック21の下面には、円筒状の回転軸部22が連結されている。回転軸部22は、その軸線を回転軸AXと一致させた状態で、鉛直方向に延設されている。また、回転軸部22には、回転駆動部(例えば、モータ)23が接続されている。回転駆動部23は、制御ユニット10からの回転指令に応じて回転軸部22をその軸線周りに回転駆動する。したがって、スピンチャック21は、回転軸部22とともに回転軸AXまわりに回転可能である。回転駆動部23と回転軸部22とは、スピンチャック21を回転軸AX中心に回転させる機能を担っており、回転軸部22の下端部および回転駆動部23は筒状のケーシング24内に収容されている。
【0021】
スピンチャック21の中央部には、図示省略の貫通孔が設けられており、回転軸部22の内部空間と連通している。内部空間には、バルブ(図示省略)が介装された配管25を介してポンプ26が接続されている。当該ポンプ26およびバルブは、制御ユニット10に電気的に接続されており、制御ユニット10からの指令に応じて動作する。これによって、負圧と正圧とが選択的にスピンチャック21に付与される。例えば基板Wがスピンチャック21の上面に略水平姿勢で置かれた状態でポンプ26が負圧をスピンチャック21に付与すると、スピンチャック21は基板Wを下方から吸着保持する。一方、ポンプ26が正圧をスピンチャック21に付与すると、基板Wはスピンチャック21の上面から取り外し可能となる。また、ポンプ26の吸引を停止すると、スピンチャック21の上面上で基板Wは水平移動可能となる。
【0022】
スピンチャック21には、回転軸部22の中央部に設けられた配管28を介して窒素ガス供給部29が接続されている。窒素ガス供給部29は、基板処理システム100が設置される工場のユティリティーなどから供給される常温の窒素ガスを制御ユニット10からの窒素ガス供給指令に応じた流量およびタイミングでスピンチャック21に送給し、基板Wの下面Wb側で窒素ガスを中央部から径方向外側に流通させる。なお、本実施形態では、窒素ガスを用いているが、その他の不活性ガスを用いてもよい。この点については、後で説明する中央ノズルから吐出される加熱ガスについても同様である。また、「流量」とは、窒素ガスなどの流体が単位時間当たりに移動する量を意味している。
【0023】
回転機構2は、基板Wと一体的にスピンチャック21を回転させるのみならず、当該回転に同期して回転カップ部31を回転させるために、動力伝達部27を有している。
図4は動力伝達部の構成を示す平面図であり、
図5は
図4のB-B線断面図である。動力伝達部27は、非磁性材料または樹脂で構成される円環部材27aと、円環部材27aに内蔵される磁石27bと、回転カップ部31の一構成である下カップ32に内蔵される磁石27cとを有している。円環部材27aは回転軸部22に取り付けられ、回転軸部22とともに回転軸AXまわりに回転可能となっている。より詳しくは、回転軸部22は、
図2および
図5に示すように、スピンチャック21の直下位置において、径方向外側に張出したフランジ部位22aを有している。そして、フランジ部位22aに対して円環部材27aが同心状に配置されるとともに、図示省略するボルトなどによって連結固定されている。
【0024】
円環部材27aの外周縁部では、
図4および
図5に示すように、複数(本実施形態では36個)の磁石27bが回転軸AXを中心として放射状で、しかも等角度間隔(本実施形態では10゜)で配置されている。本実施形態では、
図4の拡大図に示すように、互いに隣り合う2つの磁石27bの一方では、外側および内側がそれぞれN極およびS極となるように配置され、他方では、外側および内側がそれぞれS極およびN極となるように配置されている。
【0025】
これらの磁石27bと同様に、複数(本実施形態では36個)の磁石27cが回転軸AXを中心として放射状で、しかも等角度間隔(本実施形態では10゜)で配置されている。これらの磁石27cは下カップ32に内蔵される。下カップ32は次に説明する飛散防止機構3の構成部品であり、
図4および
図5に示すように、円環形状を有している。つまり、下カップ32は、円環部材27aの外周面と対向可能な内周面を有している。この内周面の内径は円環部材27aの外径よりも大きい。そして、当該内周面を円環部材27aの外周面から所定間隔(=(上記内径-上記外径)/2)だけ離間対向させながら下カップ32が回転軸部22および円環部材27aと同心状に配置されている。この下カップ32の外周縁上面には、係合ピン35および連結用マグネット36が設けられており、これらにより上カップ33が下カップ32と連結され、この連結体が回転カップ部31として機能する。この点に関しては、後で詳述する。
【0026】
下カップ32は、図面への図示を省略したベアリングによって、上記配置状態のまま、回転軸AXまわりに回転可能に支持されている。この下カップ32の内周縁部において、
図4および
図5に示すように、複数(本実施形態では36個)の磁石27cが回転軸AXを中心として放射状で、しかも等角度間隔(本実施形態では10゜)で配置されている。また、互いに隣り合う2つの磁石27cの配置についても磁石27bと同様である。つまり、一方では、外側および内側がそれぞれN極およびS極となるように配置され、他方では、外側および内側がそれぞれS極およびN極となるように配置されている。
【0027】
このように構成された動力伝達部27では、回転駆動部23により回転軸部22とともに円環部材27aが回転すると、磁石27b、27cの間での磁力作用によって、下カップ32がエアギャップGPa(円環部材27aと下カップ32との隙間)を維持しつつ円環部材27aと同じ方向に回転する。これにより、回転カップ部31が回転軸AXまわりに回転する。つまり、回転カップ部31は基板Wと同一方向でしかも同期して回転する。
【0028】
飛散防止機構3は、スピンチャック21に保持された基板Wの外周を囲みながら回転軸AXまわりに回転可能な回転カップ部31と、回転カップ部31を囲むように固定的に設けられる固定カップ部34と、を有している。回転カップ部31は、下カップ32に上カップ33が連結されることで、回転する基板Wの外周を囲みながら回転軸AXまわりに回転可能に設けられている。
【0029】
図6は回転カップ部の構造を示す分解組立斜視図である。
図7はスピンチャックに保持された基板と回転カップ部との寸法関係を示す図である。
図8は回転カップ部および固定カップ部の一部を示す図である。下カップ32は円環形状を有している。その外径は基板Wの外径よりも大きく、鉛直上方からの平面視においてスピンチャック21で保持された基板Wから径方向にはみ出た状態で下カップ32は回転軸AXまわりに回転自在に配置されている。当該はみ出た領域、つまり下カップ32の上面周縁部321では、周方向に沿って鉛直上方に立設する係合ピン35と平板状の下マグネット36とが交互に取り付けられており、係合ピン35の合計本数は3本であり、下マグネット36の合計個数は3個である。これら係合ピン35および下マグネット36は回転軸AXを中心として放射状で、しかも等角度間隔(本実施形態では60゜)で配置されている。
【0030】
一方、上カップ33は、
図2、
図3、
図6および
図7に示すように、下円環部位331と、上円環部位332と、これらを連結する傾斜部位333とを有している。下円環部位331の外径D331は下カップ32の外径D32と同一であり、
図6に示すように、下円環部位331は下カップ32の周縁部321の鉛直上方に位置している。下円環部位331の下面では、係合ピン35の鉛直上方に相当する領域において、下方に開口した凹部335が係合ピン35の先端部と嵌合可能に設けられている。また、下マグネット36の鉛直上方に相当する領域において、上マグネット37が取り付けられている。このため、
図6に示すように凹部335および上マグネット37がそれぞれ係合ピン35および下マグネット36と対向した状態で、上カップ33は下カップ32に対して係脱可能となっている。なお、凹部と係合ピンとの関係については逆転させてもよい。また、下マグネット36と上マグネット37との組み合わせ以外に、一方をマグネットで他方を強磁性体で構成してもよい。
【0031】
上カップ33は、昇降機構7により鉛直方向において昇降可能となっている。上カップ33が昇降機構7により上方に移動されると、鉛直方向において上カップ33と下カップ32との間に基板Wの搬入出用の搬送空間(
図16A中の符号SPt)が形成される。一方、昇降機構7により上カップ33が下方に移動されると、凹部335が係合ピン35の先端部を被るように嵌合し、下カップ32に対して上カップ33が水平方向に位置決めされる。また、上マグネット37が下マグネット36に近接し、両者間で生じる引力によって、上記位置決めさた上カップ33および下カップ32が互いに結合される。これによって、
図3の部分拡大図および
図8に示すように、水平方向に延びる隙間GPcを形成した状態で、上カップ33および下カップ32が鉛直方向に一体化される。そして、回転カップ部31は隙間GPcを形成したまま回転軸AXまわりに回転自在となっている。
【0032】
回転カップ部31では、
図7に示すように、上円環部位332の外径D332は下円環部位331の外径D331よりも若干小さい。また、下円環部位331および上円環部位332の内周面の径d331、d332を比較すると、下円環部位331の方が上円環部位332よりも大きく、鉛直上方からの平面視で、上円環部位332の内周面が下円環部位331の内周面の内側に位置する。そして、上円環部位332の内周面と下円環部位331の内周面とが上カップ33の全周にわたって傾斜部位333により連結される。このため、傾斜部位333の内周面、つまり基板Wを取り囲む面は、傾斜面334となっている。すなわち、
図8に示すように、傾斜部位333は回転する基板Wの外周を囲んで基板Wから飛散する液滴を捕集可能となっており、上カップ33および下カップ32で囲まれた空間が捕集空間SPcとして機能する。
【0033】
しかも、捕集空間SPcを臨む傾斜部位333は、下円環部位331から基板Wの周縁部の上方に向かって傾斜している。このため、
図8に示すように、傾斜部位333に捕集された液滴は傾斜面334に沿って上カップ33の下端部、つまり下円環部位331に流動し、さらに隙間GPcを介して回転カップ部31の外側に排出可能となっている。
【0034】
固定カップ部34は回転カップ部31を取り囲むように設けられ、排出空間SPeを形成する。固定カップ部34は、液受け部位341と、液受け部位341の内側に設けられた排気部位342とを有している。液受け部位341は、隙間GPcの反基板側開口(
図8の左手側開口)を臨むように開口したカップ構造を有している。つまり、液受け部位341の内部空間が排出空間SPeとして機能しており、隙間GPcを介して捕集空間SPcと連通されている。したがって、回転カップ部31により捕集された液滴は気体成分とともに隙間GPcを介して排出空間SPeに案内される。そして、液滴は液受け部位341の底部に集められ、固定カップ部34から排液される。
【0035】
一方、気体成分は排気部位342に集められる。この排気部位342は区画壁343を介して液受け部位341と区画されている。また、区画壁343の上方に気体案内部344が配置されている。気体案内部344は、区画壁343の直上位置から排出空間SPeと排気部位342の内部にそれぞれ延設されることで、区画壁343を上方から覆ってラビリンス構造を有する気体成分の流通経路を形成している。したがって、液受け部位341に流入した流体のうち気体成分が上記流通経路を経由して排気部位342に集められる。この排気部位342は排気機構38と接続されている。このため、制御ユニット10からの指令に応じて排気機構38が作動することで固定カップ部34の圧力が調整され、排気部位342内の気体成分が効率的に排気される。また、排気機構38の精密制御により、排出空間SPeの圧力や流量が調整される。例えば排出空間SPeの圧力が捕集空間SPcの圧力よりも下がる。その結果、捕集空間SPc内の液滴を効率的に排出空間SPeに引き込み、捕集空間SPcからの液滴の移動を促進することができる。
【0036】
図9は上面保護加熱機構の構成を示す外観斜視図である。
図10は
図9に示す上面保護加熱機構の断面図である。上面保護加熱機構4は、スピンチャック21に保持されている基板Wの上面Wfの上方に配置された遮断板41を有している。この遮断板41は水平な姿勢で保持された円板部42を有している。円板部42はヒータ駆動部422により駆動制御されるヒータ421を内蔵している。この円板部42は基板Wよりも若干短い直径を有している。そして、円板部42の下面が基板Wの上面Wfのうち周縁部Wsを除く表面領域を上方から覆うように、円板部42は支持部材43により支持されている。なお、
図9中の符号44は円板部42の周縁部に設けられた切欠部であり、これは処理機構5に含まれる処理液吐出ノズルとの干渉を防止するために設けられている。切欠部44は、径方向外側に向かって開口している。
【0037】
支持部材43の下端部は円板部42の中央部に取り付けられている。支持部材43と円板部42とを上下に貫通するように、円筒状の貫通孔が形成されている。また、当該貫通孔に対し、中央ノズル45が上下に挿通している。この中央ノズル45には、
図2に示すように、配管46を介して窒素ガス供給部47と接続されている。窒素ガス供給部47は、基板処理システム100が設置される工場の用力などから供給される常温の窒素ガスを制御ユニット10からの窒素ガス供給指令に応じた流量およびタイミングで中央ノズル45に供給する。また、本実施形態では、配管46の一部にリボンヒータ48が取り付けられている。リボンヒータ48は制御ユニット10からの加熱指令に応じて発熱して配管46内を流れる窒素ガスを加熱する。
【0038】
こうして加熱された窒素ガス(以下「加熱ガス」という)が中央ノズル45に向けて圧送され、中央ノズル45から吐出される。例えば
図10に示すように、円板部42がスピンチャック21に保持された基板Wに近接した処理位置に位置決めされた状態で加熱ガスが供給されることによって、加熱ガスは基板Wの上面Wfとヒータ内蔵の円板部42とに挟まれた空間SPaの中央部から周縁部に向って流れる。これによって、基板Wの周囲の雰囲気が基板Wの上面Wfに入り込むのを抑制することができる。その結果、上記雰囲気に含まれる液滴が基板Wと円板部42とで挟まれた空間SPaに巻き込まれるのを効果的に防止することができる。また、ヒータ421による加熱と加熱ガスによって上面Wfが全体的に加熱され、基板Wの面内温度を均一化することができる。これによって、基板Wが反るのを抑制し、処理液の着液位置を安定化させることができる。なお、これらの作用効果を得るためには、中央ノズル45に供給する加熱ガスの温度や流量を制御するのが望ましい。この点については、後でシミュレーション結果(
図21~
図24)などに基づき詳述する。
【0039】
図2に示すように、支持部材43の上端部は、基板Wを搬入出する基板搬送方向(
図3の左右方向)と直交する水平方向に延びる梁部材49に固定されている。この梁部材49は昇降機構7と接続されており、制御ユニット10からの指令に応じて昇降機構7により昇降される。例えば
図2では梁部材49が下方に位置決めされることで、支持部材43を介して梁部材49に連結された円板部42が処理位置に位置している。一方、制御ユニット10からの上昇指令を受けて昇降機構7が梁部材49を上昇させると、梁部材49、支持部材43および円板部42が一体的に上昇するとともに、上カップ33も連動して下カップ32から分離して上昇する。これによって、スピンチャック21と、上カップ33および円板部42との間が広がり、スピンチャック21に対する基板Wの搬出入を行うことが可能となる(
図16A参照)。
【0040】
図11は処理機構に装備される上面側の処理液吐出ノズルを示す斜視図であり、斜め下方向から見た図である。
図12は、ベベル処理モードおよびプリディスペンスモードにおけるノズル位置を示す図である。
図13は、処理機構に装備される下面側の処理液吐出ノズルおよび同ノズルを支持するノズル支持部を示す斜視図である。処理機構5は、基板Wの上面側に配置される処理液吐出ノズル51Fと、基板Wの下面側に配置される処理液吐出ノズル51Bと、処理液吐出ノズル51F、51Bに処理液を供給する処理液供給部52とを有している。以下においては、上面側の処理液吐出ノズル51Fと下面側の処理液吐出ノズル51Bとを区別するために、それぞれ「上面ノズル51F」および「下面ノズル51B」と称する。また、
図2において、処理液供給部52が2つ図示されているが、これらは同一である。
【0041】
本実施形態では、3本の上面ノズル51Fが設けられるとともに、それらに対して処理液供給部52が接続されている。また、処理液供給部52はSC1、DHF、機能水(CO2水など)を処理液として供給可能に構成されており、3本の上面ノズル51FからSC1、DHFおよび機能水がそれぞれ独立して吐出可能となっている。
【0042】
各上面ノズル51Fでは、
図11に示すように、先端下面に処理液を吐出する吐出口511が設けられている。そして、
図3中の拡大図に示すように、各吐出口511を基板Wの上面Wfの周縁部を向けた姿勢で複数(本実施形態では3個)の上面ノズル51Fの下方部が円板部42の切欠部44に配置されるとともに、上面ノズル51Fの上方部がノズルホルダ53に対して基板Wの径方向Xに移動自在に取り付けられている。このノズルホルダ53が支持部材54で支持され、さらに当該支持部材54が雰囲気分離機構6の下密閉カップ部材61に固定されている。つまり、上面ノズル51Fおよびノズルホルダ53は、支持部材54を介して下密閉カップ部材61と一体化されており、昇降機構7によって下密閉カップ部材61とともに鉛直方向Zに昇降される。なお、昇降機構7の詳細については、後で説明する。
【0043】
ノズルホルダ53には、
図3および
図12に示すように、上面ノズル51Fを一括して径方向Xに移動させるノズル移動部55が内蔵されている。したがって、制御ユニット10からのポジション指令に応じてノズル移動部55は3本の上面ノズル51Fを一括して方向Xに駆動させる。これによって、
図12の(a)に示すベベル処理位置と、
図12の(b)に示すプリディスペンス位置との間を上面ノズル51Fが往復移動する。このベベル処理位置に位置決めたノズル移動部55の吐出口511は基板Wの上面Wfの周縁部に向いている。そして、制御ユニット10からの供給指令に応じて処理液供給部52が3種類の処理液のうち供給指令に対応する処理液を当該処理液用の上面ノズル51Fに供給すると、当該上面ノズル51Fの吐出口511から上記処理液が基板Wの上面Wfの周縁部に吐出される。
【0044】
一方、プリディスペンス位置に位置決めされた上面ノズル51Fの吐出口511は、上面Wfの周縁部の上方に位置して上カップ33の傾斜面334に向いている。そして、制御ユニット10からの供給指令に応じて処理液供給部52が処理液の全部または一部を対応する上面ノズル51Fに供給すると、当該上面ノズル51Fの吐出口511から上記処理液が上カップ33の傾斜面334に吐出される。これにより、プリディスペンス処理が実行される。なお、ベベル処理およびプリディスペンス処理により使用された処理液の液滴は、
図12に示すように、上カップ33により捕集され、隙間GPcを介して排出空間SPeに排出される。
図12における符号56は、上面ノズル51Fと、ノズル移動部55を内蔵するノズルホルダ53とで構成される構造体を示しており、以下においては、「ノズルヘッド56」と称する。また、ノズルヘッド56に上面ノズル51Fのみを装着しているが、窒素ガスなどの不活性ガスを吐出するガス吐出ノズルを追加装備してもよく、例えば基板Wが1回転する間に周縁部Wsから離脱せずに残存している処理液をガス吐出ノズルからの不活性ガスでバージしてもよい。
【0045】
本実施形態では、基板Wの下面Wbの周縁部に向けて処理液を吐出するために、下面ノズル51Bおよびノズル支持部57がスピンチャック21に保持された基板Wの下方に設けられている。ノズル支持部57は、
図13に示すように、鉛直方向に延設された薄肉の円筒部位571と、円筒部位571の上端部において径方向外側に折り広げられた円環形状を有するフランジ部位572とを有している。円筒部位571は、円環部材27aと下カップ32との間に形成されたエアギャップGPaに遊挿自在な形状を有している。そして、
図2に示すように、円筒部位571がエアギャップGPaに遊挿されるとともにフランジ部位572がスピンチャック21に保持された基板Wと下カップ32との間に位置するように、ノズル支持部57は固定配置されている。フランジ部位572の上面周縁部に対し、3つの下面ノズル51Bが取り付けられている。各下面ノズル51Bは、基板Wの下面Wbの周縁部に向けて開口した吐出口511を有しており、配管58を介して処理液供給部52から供給される処理液を吐出可能となっている。
【0046】
これら上面ノズル51Fおよび下面ノズル51Bから吐出される処理液により、基板Wの周縁部に対するベベル処理が実行される。また、基板Wの下面側では、周縁部Wsの近傍までフランジ部位572が延設される。このため、配管28を介して下面側に供給された窒素ガスが、
図8に示すように、フランジ部位572に沿って捕集空間SPcに流れる。その結果、捕集空間SPcから液滴が基板Wに逆流するのを効果的に抑制する。
【0047】
図14は雰囲気分離機構の構成を示す部分断面図である。雰囲気分離機構6は、下密閉カップ部材61と、上密閉カップ部材62とを有している。下密閉カップ部材61および上密閉カップ部材62はともに上下に開口した筒形状を有している。そして、それらの内径は回転カップ部31の外径よりも大きく、雰囲気分離機構6は、スピンチャック21、スピンチャック21に保持された基板W、回転カップ部31および上面保護加熱機構4を上方からすっぽりと囲むように配置されている、より詳しくは、
図2に示すように、上密閉カップ部材62は、その上方開口が天井壁11aの開口11bを下方から覆うように、パンチングプレート14の直下位置に固定配置されている。このため、チャンバ11内に導入された清浄空気のダウンフローは、上密閉カップ部材62の内部を通過するものと、上密閉カップ部材62の外側を通過するものとに分けられる。
【0048】
また、上密閉カップ部材62の下端部は、内側に折り込まれた円環形状を有するフランジ部621を有している。このフランジ部621の上面にオーリング63が取り付けられている。上密閉カップ部材62の内側において、下密閉カップ部材61が鉛直方向に移動自在に配置されている。
【0049】
下密閉カップ部材61の上端部は、外側に折り広げられた円環形状を有するフランジ部611を有している。このフランジ部611は、鉛直上方からの平面視で、フランジ部621と重なり合っている。このため、下密閉カップ部材61が下降すると、
図3および
図14に示すように、下密閉カップ部材61のフランジ部611がオーリング63を介して上密閉カップ部材62のフランジ部621で係止される。これにより、下密閉カップ部材61は下限位置に位置決めされる。この下限位置では、鉛直方向において上密閉カップ部材62と下密閉カップ部材61とが繋がり、上密閉カップ部材62の内部に導入されたダウンフローがスピンチャック21に保持された基板Wに向けて案内される。
【0050】
下密閉カップ部材61の下端部は、外側に折り込まれた円環形状を有するフランジ部612を有している。このフランジ部612は、鉛直上方からの平面視で、固定カップ部34の上端部(液受け部位341の上端部)と重なり合っている。したがって、上記下限位置では、
図3中の拡大図および
図14に示すように、下密閉カップ部材61のフランジ部612がオーリング64を介して固定カップ部34で係止される。これにより、鉛直方向において下密閉カップ部材61と固定カップ部34が繋がり、上密閉カップ部材62、下密閉カップ部材61および固定カップ部34により密閉空間SPsが形成される。この密閉空間SPs内において、基板Wに対するベベル処理が実行可能となっている。つまり、下密閉カップ部材61が下限位置に位置決めされることで、密閉空間SPsが密閉空間SPsの外側空間SPoから分離される(雰囲気分離)。したがって、外側雰囲気の影響を受けることなく、ベベル処理を安定して行うことができる。また、ベベル処理を行うために処理液を用いるが、処理液が密閉空間SPsから外側空間SPoに漏れるのを確実に防止することができる。よって、外側空間SPoに配置する部品の選定・設計の自由度が高くなる。
【0051】
下密閉カップ部材61は鉛直上方にも移動可能に構成されている。また、鉛直方向における下密閉カップ部材61の中間部には、上記したように、支持部材54を介してノズルヘッド56(=上面ノズル51F+ノズルホルダ53)が固定されている。また、これ以外にも、
図2および
図3に示すように、梁部材49を介して上面保護加熱機構4が下密閉カップ部材61の中間部に固定されている。つまり、
図3に示すように、下密閉カップ部材61は、周方向において互いに異なる3箇所で梁部材49の一方端部、梁部材49の他方端部および支持部材54とそれぞれ接続されている。そして、昇降機構7が梁部材49の一方端部、梁部材49の他方端部および支持部材54を昇降させることで、それに伴って下密閉カップ部材61も昇降する。
【0052】
この下密閉カップ部材61の内周面では、
図2、
図3および
図14に示すように、内側に向けて突起部613が上カップ33と係合可能な係合部位として複数本(4本)突設されている。各突起部613は上カップ33の上円環部位332の下方空間まで延設されている。また、各突起部613は、下密閉カップ部材61が下限位置に位置決めされた状態で上カップ33の上円環部位332から下方に離れるように取り付けられている。そして、下密閉カップ部材61の上昇によって各突起部613が下方から上円環部位332に係合可能となっている。この係合後においても、下密閉カップ部材61がさらに上昇することで上カップ33を下カップ32から離脱させることが可能となっている。
【0053】
本実施形態では、昇降機構7により下密閉カップ部材61が上面保護加熱機構4およびノズルヘッド56とともに上昇し始めた後で、上カップ33も一緒に上昇する。これによって、上カップ33、上面保護加熱機構4およびノズルヘッド56がスピンチャック21から上方に離れる。下密閉カップ部材61の退避位置(後で説明する
図16Aにおける位置)への移動によって、基板搬送ロボット111のハンド(
図16A中の符号RH)がスピンチャック21にアクセスするための搬送空間(
図16A中の符号SPt)が形成される。そして、当該搬送空間を介してスピンチャック21への基板Wのローディングおよびスピンチャック21からの基板Wのアンローディングが実行可能となっている。このように、本実施形態では、昇降機構7による下密閉カップ部材61の最小限の上昇によってスピンチャック21に対する基板Wのアクセスを行うことが可能となっている。
【0054】
昇降機構7は2つの昇降駆動部71、72を有している。昇降駆動部71では、
図3に示すように、第1昇降モータ711が設けられている。第1昇降モータ711は、制御ユニット10からの駆動指令に応じて作動して回転力を発生する。この第1昇降モータ711に対し、2つの昇降部712、713が連結されている。昇降部712、713は、第1昇降モータ711から上記回転力を同時に受ける。そして、昇降部712は、第1昇降モータ711の回転量に応じて梁部材49の一方端部を支持する支持部材491を鉛直方向Zに昇降させる。また、昇降部713は、第1昇降モータ711の回転量に応じてノズルヘッド56を支持する支持部材54を鉛直方向Zに昇降させる。
【0055】
昇降駆動部72は、
図3に示すように、第2昇降モータ721と昇降部722とを有している。第2昇降モータ721は、制御ユニット10からの駆動指令に応じて作動して回転力を発生し、昇降部722に与える。昇降部722は、第2昇降モータ721の回転量に応じて梁部材49の他方端部を支持する支持部材492を鉛直方向に昇降させる。
【0056】
昇降駆動部71、72は、下密閉カップ部材61の側面に対し、その周方向において互いに異なる3箇所にそれぞれ固定される支持部材491、492、54を同期して鉛直方向に移動させる。したがって、上面保護加熱機構4、ノズルヘッド56および下密閉カップ部材61の昇降を安定して行うことができる。また、下密閉カップ部材61の昇降に伴って上カップ33も安定して昇降させることができる。
【0057】
センタリング機構8は、スピンチャック21にローディングされた基板Wの端面に対して近接および離間可能な当接部材81と、当接部材81を水平方向に移動させるためのセンタリング駆動部82とを有している。本実施形態では、回転軸AXを中心として放射状の3つの当接部材81が等角度間隔で配置されており、そのうちの1つのみが
図2に図示されている。このセンタリング機構8は、ポンプ26による吸引を停止している間(つまりスピンチャック21の上面上で基板Wが水平移動可能となっている間)に、制御ユニット10からのセンタリング指令に応じてセンタリング駆動部82が当接部材81を基板Wに近接させる(センタリング処理)。このセンタリング処理によりスピンチャック21に対する基板Wの偏心が解消され、基板Wの中心がスピンチャック21の中心と一致する。
【0058】
基板観察機構9は、基板Wの周縁部を観察するための観察ヘッド91を有している。この観察ヘッド91は、基板Wの周縁部に対して近接および離間可能に構成されている。観察ヘッド91には、観察ヘッド駆動部92が接続されている。そして、観察ヘッド91により基板Wの周縁部を観察する際には、制御ユニット10から観察指令に応じて観察ヘッド駆動部92が観察ヘッド91を基板Wに近接させる(観察処理)。そして、観察ヘッド91を用いて基板Wの周縁部が撮像される。撮像された画像は制御ユニット10に送られる。この画像に基づいてベベル処理が良好に行われたか否かを制御ユニット10が検査する。
【0059】
制御ユニット10は、演算処理部10A、記憶部10B、読取部10C、画像処理部10D、駆動制御部10E、通信部10Fおよび排気制御部10Gを有している。記憶部10Bは、ハードディスクドライブなどで構成されており、上記基板処理装置1によりベベル処理を実行するためのプログラムを記憶している。当該プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体RM(例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等)に記憶されており、読取部10Cにより記録媒体RMから読み出され、記憶部10Bに保存される。また、当該プログラムの提供は、記録媒体RMに限定されるものではなく、例えば当該プログラムが電気通信回線を介して提供されるように構成してもよい。画像処理部10Dは、基板観察機構9により撮像された画像に種々の処理を施す。駆動制御部10Eは、基板処理装置1の各駆動部を制御する。通信部10Fは、基板処理システム100の各部を統合して制御する制御部などと通信を行う。排気制御部10Gは排気機構38を制御する。
【0060】
また、制御ユニット10には、各種情報を表示する表示部10H(例えばディスプレイなど)や操作者からの入力を受け付ける入力部10J(例えば、キーボードおよびマウスなど)が接続されている。
【0061】
演算処理部10Aは、CPU(= Central Processing Unit)やRAM(=Random
Access Memory)等を有するコンピュータにより構成されており、記憶部10Bに記憶されているプログラムにしたがって基板処理装置1の各部を以下のように制御し、ベベル処理を実行する。以下、
図15、
図16Aないし
図16Dを参照しつつ基板処理装置1によるベベル処理について説明する。
【0062】
図15は
図2に示す基板処理装置により基板処理動作の一例として実行されるベベル処理を示すフローチャートである。また、
図16Aないし
図16Dはベベル処理中の装置各部を示す模式図である。なお、
図16Aにおいて一体的に上昇する構成を明示するために当該構成にドットを参考的に付し、
図16Cにおいて一体的に回転する構成を明示するために当該構成にドットを参考的に付している。
【0063】
基板処理装置1により基板Wにベベル処理を施す際には、演算処理部10Aは、昇降駆動部71、72により下密閉カップ部材61、ノズルヘッド56、梁部材49、支持部材43および円板部42を一体的に上昇させる。この下密閉カップ部材61の上昇途中で、突起部613が上カップ33の上円環部位332と係合し、それ以降、下密閉カップ部材61、ノズルヘッド56、梁部材49、支持部材43および円板部42と一緒に上カップ33が上昇して退避位置に位置決めされる。これにより、スピンチャック21の上方に基板搬送ロボット111のハンドRHが進入するのに十分な搬送空間SPtが形成される。そして、搬送空間SPtの形成完了を確認すると、演算処理部10Aは、通信部10Fを介して基板搬送ロボット111に基板Wのローディングリスエストを行い、
図16Aに示すように未処理の基板Wが基板処理装置1に搬入されてスピンチャック21の上面に載置されるのを待つ。そして、スピンチャック21上に基板Wが載置される(ステップS1)。なお、この時点では、ポンプ26は停止しており、スピンチャック21の上面上で基板Wは水平移動可能となっている。
【0064】
基板Wのローディングが完了すると、基板搬送ロボット111が基板処理装置1から退避する。それに続いて、演算処理部10Aは、3つの当接部材81(
図16Bでは、2本のみを図示)が基板Wに近接するように、センタリング駆動部82を制御する。これによりスピンチャック21に対する基板Wの偏心が解消され、基板Wの中心がスピンチャック21の中心と一致する(ステップS2)。こうしてセンタリング処理が完了すると、演算処理部10Aは、3つの当接部材81が基板Wから離間するようにセンタリング駆動部82を制御するとともに、ポンプ26を作動させて負圧をスピンチャック21に付与する。これにより、スピンチャック21は基板Wを下方から吸着保持する。
【0065】
次に、演算処理部10Aは、昇降駆動部71、72に下降指令を与える。これに応じて、昇降駆動部71、72が下密閉カップ部材61、ノズルヘッド56、梁部材49、支持部材43および円板部42を一体的に下降させる。この下降途中で、下密閉カップ部材61の突起部613により下方から支持されている上カップ33が下カップ32に連結される。つまり、
図6に示すように、凹部335が係合ピン35の先端部を被るように嵌合し、下カップ32に対して上カップ33が水平方向に位置決めされるとともに、上マグネット37と下マグネット36との間で生じる引力によって、上カップ33および下カップ32が互いに結合して回転カップ部31が形成される。
【0066】
回転カップ部31の形成後に、下密閉カップ部材61、ノズルヘッド56、梁部材49、支持部材43および円板部42が一体的にさらに下降し、下密閉カップ部材61のフランジ部611、612がそれぞれ上密閉カップ部材62のフランジ部621および固定カップ部34で係止される。これにより、下密閉カップ部材61が下限位置(
図2および
図16Cでの位置)に位置決めされる(ステップS3)。上記係止後においては、上密閉カップ部材62のフランジ部621とおよび下密閉カップ部材61のフランジ部611がオーリング63を介して密着されるとともに、下密閉カップ部材61のフランジ部612および固定カップ部34がオーリング63を介して密着される。その結果、
図2に示すように、鉛直方向において下密閉カップ部材61と固定カップ部34が繋がり、上密閉カップ部材62、下密閉カップ部材61および固定カップ部34により密閉空間SPsが形成され、密閉空間SPsが外側雰囲気(外側空間SPo)から分離される(雰囲気分離)。
【0067】
この雰囲気分離状態で、円板部42の下面が基板Wの上面Wfのうち周縁部Wsを除く表面領域を上方から覆っている。また、上面ノズル51Fが、円板部42の切欠部44内で吐出口511を基板Wの上面Wfの周縁部を向けた姿勢に位置決めされている。こうして基板Wへの処理液の供給準備が完了すると、演算処理部10Aは、回転駆動部23に回転指令を与え、基板Wを保持するスピンチャック21および回転カップ部31の回転を開始する(ステップS4)。基板Wおよび回転カップ部31の回転速度は、例えば1800回転/分に設定される。また、演算処理部10Aはヒータ駆動部422を駆動制御してヒータ421を所望温度、例えば185℃まで昇温させる。
【0068】
次に、演算処理部10Aは、窒素ガス供給部47に窒素ガス供給指令を与える。これにより、
図16Cの矢印F1に示すように、窒素ガス供給部47から中央ノズル45に向けて窒素ガスの供給が開始される(ステップS5)。この窒素ガスは、配管46を通過する間、リボンヒータ48により加熱され、所望温度(例えば100℃)に昇温された後で、中央ノズル45から基板Wと円板部42とで挟まれた空間SPa(
図10)に向けて吐出される。これにより、基板Wの上面Wfが全面的に加熱される。また、基板Wの加熱はヒータ421によっても行われる。このため、時間の経過によって基板Wの周縁部Wsの温度が上昇し、ベベル処理に適した温度、例えば90℃に達する。また、周縁部Ws以外の温度も、ほぼ等しい温度にまで上昇する。すなわち、本実施形態では、基板Wの上面Wfの面内温度は、ほぼ均一である。したがって、基板Wが反るのを効果的に抑制することができる。
【0069】
これに続いて、演算処理部10Aは、処理液供給部52を制御して上面ノズル51Fおよび下面ノズル51Bに処理液を供給する(同図中の矢印F2、F3)。つまり、上面ノズル51Fから基板Wの上面周縁部に当たるように処理液の液流が吐出されるとともに、下面ノズル51Bから基板Wの下面周縁部に当たるように処理液の液流が吐出される。これによって、基板Wの周縁部Wsに対するベベル処理が実行される(ステップS6)。そして、演算処理部10Aは、基板Wのベベル処理に要する処理時間の経過などを検出すると、処理液供給部52に供給停止指令を与え、処理液の吐出を停止する。
【0070】
それに続いて、演算処理部10Aは、窒素ガス供給部47に供給停止指令を与え、窒素ガス供給部47から中央ノズル45に向けて窒素ガスの供給を停止する(ステップS7)。また、演算処理部10Aは、回転駆動部23に回転停止指令を与え、スピンチャック21および回転カップ部31の回転を停止させる(ステップS8)。
【0071】
次のステップS9で、演算処理部10Aは基板Wの周縁部Wsを観察してベベル処理の結果を検査する。より具体的には、演算処理部10Aは、基板Wのローディング時と同様にして、上カップ33を退避位置に位置決めし、搬送空間SPtを形成する。そして、演算処理部10Aは、観察ヘッド駆動部92を制御して観察ヘッド91を基板Wに近接させる。そして、観察ヘッド91により周縁部Wsが撮像されると、演算処理部10Aは、観察ヘッド駆動部92を制御して観察ヘッド91を基板Wから退避させる。これと並行して、演算処理部10Aは、撮像された周縁部Wsの画像に基づき、演算処理部10Aは、ベベル処理が良好に行われたか否かを検査する。
【0072】
検査後、演算処理部10Aは、通信部10Fを介して基板搬送ロボット111に基板Wのアンローディングリスエストを行い、処理済の基板Wが基板処理装置1から搬出される(ステップS10)。なお、これら一連の工程は繰り返して実行される。
【0073】
以上のように、本実施形態では、飛散防止機構3の上方に雰囲気分離機構6が設けられ、処理液でベベル処理を行う密閉空間SPsと、外側空間SPoとを分離する、いわゆる雰囲気分離を行っている。これにより、処理液により処理する範囲が制限され、乱流の発生箇所を減少させることができ、ベベル処理を安定化させることができる。また、チャンバ11内であるものの、外側空間SPoにおいては耐薬品性を有しない部品を採用することができる。このような作用効果を得るために、本実施形態では、雰囲気分離機構6が天井壁11aに近接して固定された上密閉カップ部材62と、上密閉カップ部材62と飛散防止機構3との間で昇降可能な下密閉カップ部材61とで構成されている。したがって、次のような作用効果も得られる。
【0074】
雰囲気分離を行うために、従来では飛散防止機構を構成するカップ部材をチャンバの天井と当接させる技術が提案されている(例えば特許第6282904号)。この従来技術では、基板Wの搬入出を行う際にカップ部材全体を下降させる必要がある。これに対し、本実施形態では、
図16Aに示すように、基板Wの搬入出処理に必要な最小限の距離だけ下密閉カップ部材61を上昇させればよく、下密閉カップ部材61の移動量を抑制することができる。この点については、
図16Bに示すセンタリング処理を行う時や
図16Dに示す観察処理を行う時についても、下密閉カップ部材61を上昇させることで対応することができる。これらのことから、従来装置よりも基板処理装置1のタクトタイムを短縮することができる(作用効果A)。
【0075】
また、上記実施形態では、下密閉カップ部材61のみを昇降させるため、カップ部材全体を昇降させる従来装置よりも昇降機構に加わる負荷を小さくすることができる。また、
図3に示すように、下密閉カップ部材61を周方向において互いに異なる3箇所で支持しながら下密閉カップ部材61を昇降させている。したがって、下密閉カップ部材61を安定して昇降させることができる。また、下密閉カップ部材61を介して上カップ33、上面保護加熱機構4、ノズルヘッド56および下密閉カップ部材61も昇降しており、これらの昇降も安定的、かつ低コストで行うことができる(作用効果B)。
【0076】
また、本実施形態では、
図2に示すように、天井壁11aの直下に設けられたパンチングプレート14に上密閉カップ部材62の上方開口を近接させることで、ファンフィルタユニット13から送られてくる清浄空気が、密閉空間SPsに送る分と、外側空間SPoに送る分とに分離される。これによって、それぞれの空間に送られる清浄空気の風量が制御される。したがって、密閉空間SPsを所望の圧力値に設定することができるとともに、外側空間SPoとの圧力差も高精度に調整することができる。しかも、処理液雰囲気エリアとして機能する密閉空間SPsの容積を縮小することができ、基板処理装置1が設置される工場の用力の使用を削減することができる(作用効果C)。
【0077】
ここで、清浄空気の風量制御については、種々の方式を採用することができる。例えば
図17Aに示すように、上密閉カップ部材62の上方開口と対向する吹出し孔141の内径を、それ以外の吹出し孔142の内径よりも大きくすることで、密閉空間SPsへの風量を外側空間SPoへの風量よりも多くするように制御してもよい。密閉空間SPsおよびその外側空間の圧力精度を高めるため、例えば
図17Bに示すように、密閉空間SPsのためのファンフィルタユニット13Aと、外側空間SPoのためのファンフィルタユニット13Bとを個別に設けてもよい。さらに、例えば
図17Cに示すように、パンチングプレート14の代わりに、ファンフィルタユニット13から送風される清浄空気が第1配管16aを介して密閉空間SPsに供給され、第2配管16bを介して外側空間SPoに供給されるように構成してもよい。そして、第1配管16aおよび第2配管16bにそれぞれダンパー17a、17bを介装し、制御ユニット10からの開度指令に応じてダンパー制御部18がダンパー17a、17bの開度をそれぞれ独立して制御することで、密閉空間SPsおよびその外側空間への供給量調整により圧力を制御するように構成してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、
図8に示すように、基板Wから飛散してくる液滴を回転カップ部31の内部、つまり捕集空間SPc内で捕集する。このとき、回転カップ部31の傾斜面334に付着した液滴に対し、カップ回転に伴い発生する遠心力が作用する。また、ベベル処理中に供給されて基板Wの上面および下面に沿って径方向外側に流れる窒素ガス等により形成される気流の影響を受ける。これらにより、液滴に対して傾斜面334に沿った下向きベクトル応力が作用する。当該応力を受けた液滴が傾斜面334に沿って上カップ33と下カップ32との隙間GPcに移動させられる。そして、隙間GPcの入口に到達した液滴は窒素ガスなどの気体成分とともに隙間GPcを介して固定カップ部34の排出空間SPeに移動される。したがって、回転カップ部31に付着した液滴は隙間GPcを経由して速やかに回転カップ部31から排出される。特に、隙間GPcは遠心力の方向および気流の流れと平行であるため、液滴を円滑に捕集空間SPcから排出空間SPeに排出することができる。このため、基板Wから飛散してくる液滴と、回転カップ部31に付着している液滴との衝突が減少し、跳ね返り液滴の発生を抑制することができる。その結果、ベベル処理を良好に行うことができる(作用効果D)。なお、本実施形態では、上カップ33の傾斜面334を、縦断面において傾斜角が一定である円錐台面に仕上げているが、例えば
図18に示すように径方向外側(同図の左手側)に張り出した面に仕上げてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、下カップ32に対する上カップ33の連結は、
図6に示すように、凹部335に対する係合ピン35の係合と、上マグネット37と下マグネット36との間で生じる引力とで行われる。したがって、回転中においても、上カップ33と下カップ32とはしっかりと連結され、ベベル処理を安定的に行うことができる(作用効果E)。もちろん、上カップ33と下カップ32との連結がこれに限定されるものではなく、例えば係合のみにより上カップ33と下カップ32とを連結してもよい。
【0080】
また、本実施形態では、基板Wを回転させるために回転駆動部23から出力された回転駆動力の一部がカップ駆動力として動力伝達部27を介して下カップ32に与えられる。このように単一の回転駆動部23によって基板Wと回転カップ部31の両方を駆動することができ、装置構成を簡素化することができる。しかも、基板Wと回転カップ部31とを同一方向に同期して回転することができる。そのため、回転している基板Wの周縁部から回転カップ部31を見ると、回転カップ部31は相対的に静止しているため、基板Wから飛散した処理液の液滴が回転カップ部31に衝突した際に生じる液滴の跳ね返りがさらに良好に抑えられる(作用効果F)。
【0081】
この動力伝達部27は、磁石27b、27cの間での磁力作用を利用している。このため、
図4および
図5に示すように、円環部材27aと下カップ32との間でエアギャップGPa(円環部材27aと下カップ32との隙間)を維持しつつカップ駆動力を下カップ32に伝達することができる。そして、
図2に示すように、当該エアギャップGPaにノズル支持部57のフランジ部位572を遊挿し、当該ノズル支持部57を固定配置している。しかも、エアギャップGPaを配管経路としても利用している。つまり、ノズル支持部57に支持された下面ノズル51Bに接続される配管はエアギャップGPaを経由して処理液供給部52に接続されている。したがって、当該配管長さが大幅に短縮され、基板処理装置1の各部レイアウトの自由度および許容度を高めることができる(作用効果G)。
【0082】
また、本実施形態では、
図7および
図8に示すように、上カップ33の傾斜部位333が基板Wの周縁部Wsの上方に延設されている。つまり、鉛直上方からの平面視で、上円環部位332および傾斜部位333の一部は、スピンチャック21に保持された基板Wの周縁部Wsを全周にわたって覆う庇部位として機能する。しかも、本実施形態では、
図12(a)に示すように、上面ノズル51Fは、その吐出口511を鉛直方向において上記庇部位よりも低いベベル処理位置に位置した状態で、吐出口511から処理液を吐出し、基板Wの周縁部Wsに着液させる。したがって、次のような作用効果が得られる。
【0083】
回転カップ部31による液滴の捕集時には、液滴が上カップ33の傾斜面334に衝突し、その一部が上方に舞い上がることがある。また、基板Wの周縁部に処理液が供給された際、処理液の液滴の一部が上方に飛散することもある。このように上方に飛散した液滴が基板W上に再付着すると、ウォーターマークは発生する。しかしながら、本実施形態では、上記した庇部位が上方に飛散した液滴を捕集して基板Wへの再付着を効果的に防止する。したがって、基板Wをさらに良好にベベル処理することができる。また、
図12(b)に示すプリディスペンス処理においても同様の作用効果が得られる(作用効果H)。
【0084】
このプリディスペンス処理は、上面ノズル51Fをノズル移動部55により基板Wの径方向Xに微小距離だけ移動させることで実行可能となっている。したがって、プリディスペンス処理のために、上面ノズル51Fを回転カップ部31から離れた位置に移動させる必要はなく、回転カップ部31内でプリディスペンス処理を実行可能となっている。その結果、従来装置よりも基板処理装置1のタクトタイムを短縮することができる(作用効果I)。
【0085】
ここで、プリディスペンス処理を行う際の上面ノズル51Fの移動方向は径方向Xに限定されるものではなく、任意である。例えば
図19に示すように、上面ノズル51Fを構成するノズル本体512のうち吐出口511から離れた一方端部513に回動軸AX51が設けられている。この回動軸AX51は鉛直方向Zと平行に延びている。このため、ノズル移動部55が上面ノズル51Fを回動軸AX51まわりに移動させることで、吐出口511から吐出される処理液の着液位置を変更することができる。より具体的には、回動軸AX51まわりに上面ノズル51Fを回動させることでベベル処理位置とプリディスペンス処理とを切り替えるように構成してもよい。
【0086】
また、本実施形態では、ノズル移動部55は、ベベル処理位置とプリディスペンス処理とを切り替えるのみならず、基板Wの径方向Xにおいて、吐出口511の位置を変更させることで処理液の着液位置を変更可能となっている。つまり、演算処理部10Aがノズル移動部55を制御することで処理液を所望の周縁部Wsに着液させる。このため、基板Wの周縁部Wsにおいてベベル処理される幅(径方向Xにおける基板Wの端面から着液位置までの長さ)を変更可能となっている。なお、このような機能は、
図19に示す実施形態においても同様である。
【0087】
また、本実施形態では、基板Wの上面Wfを上方から覆うように円板部42が設けられている。そこで、
図9に示すように、円板部42に切欠部44が設けられ、上面ノズル51Fが比較的広い範囲にわたって移動可能となっており、上記したベベル処理位置およびプリディスペンス処理の切替機能と、ベベル処理幅の変更機構とを効果的に達成させることが可能となっている(作用効果J)。
【0088】
ここで、切欠部44は密閉空間SPsにおける乱流発生の主要因のひとつになる。しかしながら、本実施形態では、
図3、
図9、
図12に示すように、上面ノズル51Fの下端部が切欠部44に入り込んで部分的に塞いでいる。これにより、切欠部44での乱流発生を抑制することができる(作用効果K)。
【0089】
また、乱流発生をより効果的に抑制するためには、
図20Aに示すように、吐出口511の位置や上面ノズル51Fの姿勢を維持したまま、各上面ノズル51Fにアタッチメント514を取り付けてもよい。また、
図20Bに示すように、吐出口511の位置や上面ノズル51Fの姿勢を維持したまま、全上面ノズル51Fに対して単一のアタッチメント515を取り付けてもよい。これらによって、各アタッチメント付上面ノズル51Fが切欠部44に占める割合が増え、切欠部44をほぼ塞ぐことができる。その結果、切欠部44での乱流発生をさらに効果的に抑制することができる。
【0090】
また、上記実施形態では、上面保護加熱機構4を設け、基板Wの面内温度の均一性を図っている。より具体的には、次に説明するシミュレーション結果に基づき中央ノズル45に供給する加熱ガスの流量や温度を制御している。
【0091】
図10に示すように、鉛直方向においてスピンチャック21に保持された基板Wに対して円板部42を近接させた状態で回転する基板Wに向けて中央ノズル45から種々の流量で窒素ガス(加熱ガス)を吐出した場合について、気流解析を行った。ここでは、ヒータ421およびリボンヒータ48を停止させた状態で、しかも、具体的な解析条件は、
・基板Wと円板部42との離間距離=2mm
・基板Wの回転数=1800rpm
・窒素ガスの吐出流量=0、50、75、100、130L/min
・中央ノズル45の口径=60mmφ
に設定した。そして、当該解析条件下での基板Wの径方向Xにおける各位置での気流速度をプロットしたグラフが、
図21に示されている。
図21からわかるように、基板Wの径方向Xにおける気流速度は、中央ノズル45から吐出される窒素ガスの流量に応じて変化する。特に、基板Wの周縁部Ws(ここでは、基板中心から147mm)での気流速度がゼロを下回る、つまり基板Wの周囲(捕集空間SPc)から基板中心に向かう気流が発生すると、液滴の巻込みが生じてしまう。そこで、基板Wの周縁部Ws(ここでは、基板中心から147mm)での気流速度をガス流量毎に抜き出し、プロットしたグラフが、
図22に示されている。
図22からわかるように、液滴の巻込みを防止するためには、中央ノズル45から約57L/min以上で窒素ガスを吐出する必要がある。
【0092】
一方、中央ノズル45から吐出される窒素ガスの流量が増大するにしたがって気流速度は上昇する。したがって、過剰な流量で窒素ガスを中央ノズル45に供給すると、基板Wの上面Wfに沿った気流速度が高くなり、基板Wの上面Wfに形成されているパターンに悪影響を及ぼすことがある。また、本実施形態では、
図8に示すように、捕集空間SPcで捕集した液滴および気体成分が隙間GPcを介して排出空間SPeに排出される。このため、基板Wから捕集空間SPcに流れ込む窒素ガスの流量が排気機構38により排出空間SPeから排気される排気流量よりも過剰となると、逆流の渦が発生することがある。窒素ガスの流量を上げると、基板Wと回転カップ部31との間を流れる排気風速が落ちる。このことは気流解析から判明している。この主要因のひとつは、隙間GPcが狭く、窒素ガスの流量が上げると、圧損が生じて排出できない排気が逆流となって基板Wの上面端部においても逆流の渦が発生することがある。そこで、これらが発生しない範囲で、中央ノズル45から吐出する窒素ガス流量の最大値を設定するのが望ましく、上記排気流量の0.3倍程度に設定している。
【0093】
次に、加熱ガスの温度について説明する。
図10に示すように、鉛直方向においてスピンチャック21に保持された基板Wに対してヒータ内蔵の円板部42を近接させた状態で回転する基板Wに向けて中央ノズル45から種々の温度の加熱ガスを吐出した場合について、気流解析を行った。ここでの具体的な解析条件は、
・ヒータ421の温度=185℃
・加熱ガスの温度=27℃、80℃、130℃
・基板Wと円板部42との離間距離=2mm
・基板Wの回転数=1800rpm
・加熱ガスの吐出流量=80L/min
・中央ノズル45の口径=60mmφ
に設定した。
【0094】
そして、当該解析条件下での基板Wの径方向Xにおける各位置での基板Wの表面温度をプロットしたグラフが、
図23に示されている。
図23からわかるように、基板Wにおける面内温度の均一性は、加熱ガスの温度上昇に伴って向上してピークを示し、更なる温度上昇で若干低下する傾向にある。そこで、基板Wの中心位置(r=0mm)およびエッジ位置(r=150mm)での、加熱ガスの吐出温度の変化に伴う基板Wの表面温度の変化をプロットしたグラフが、
図24である。このグラフからわかるように、中央ノズル45から吐出される加熱ガスの温度を約100℃に設定することで基板Wの表面温度を均一化することができる。また、基板Wの反りを抑えつつベベル処理を良好に行うためには、表面温度差を20℃以内の範囲に抑えるのが望ましい。この点から本実施形態では、
図24中の1点鎖線(+20℃)と点線(r=0mm)とから加熱ガスの吐出温度の上限値を130℃とし、2点鎖線(-20℃)と点線(r=0mm)とから加熱ガスの吐出温度の下限値を65℃としている。つまり、演算処理部10Aは、加熱ガスの温度が65℃から130℃の吐出温度範囲に設定する。
【0095】
上記した実施形態において、スピンチャック21が本発明の「基板保持部」の一例に相当している。円環部材27a、磁石27b、27cがそれぞれ本発明の「回転部材」、「第1磁石」、「第2磁石」の一例に相当している。配管58が本発明の「配管」の一例に相当している。
【0096】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、3種類の処理液を用いて基板Wの周縁部Wsに対してベベル処理を施しているが、処理液の種類はこれに限定されるものではない。
【0097】
また、上記実施形態では、雰囲気分離機構6が設けられているが、雰囲気分離機構6を有さない基板処理装置にも本発明を適用することができる。
【0098】
また、上記実施形態では、互いに分離可能な上カップ33および下カップ32を、処理時において相互に連結することで上カップ33および下カップ32を一体化される、いわゆる分割構造の回転カップ部31により液滴を捕集する基板処理装置1に本発明を適用している。ただし、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、予め上カップおよび下カップが一体化された回転カップ部によって液滴を捕集する基板処理装置にも本発明を適用することができる。
【0099】
また、上記実施形態では、飛散防止機構3が回転カップ部31と固定カップ部34とを有する基板処理装置1に本発明を適用しているが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば飛散防止機構3がスピンチャック21に保持された基板Wの外周を囲むように固定配置されたカップで基板Wからの液滴を捕集するように構成された基板処理装置にも適用することができる。
【0100】
また、上記実施形態では、基板Wの周縁部Wsに対して処理液を供給することで周縁部Wsをベベル処理する基板処理装置1に本発明を適用しているが、基板Wに処理液を供給して基板を処理しながら飛散防止機構3で基板Wから飛散する液滴を捕集して排出する基板処理装置全般に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
この発明は、基板に処理液を供給して当該基板を処理する基板処理技術全般に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1…基板処理装置
2…回転機構
5…処理機構
21…スピンチャック(基板保持部)
27a…円環部材(回転部材)
27b…(第1)磁石
27c…(第2)磁石
31…回転カップ部
32…下カップ
33…上カップ
51B…下面ノズル
58…配管
AX…回転軸
W…基板
Ws…周縁部
X…径方向
Z…鉛直方向
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
基板の下面中央部を吸着して保持しながら鉛直方向に延びる回転軸まわりに回転可能に設けられる基板保持部と、
前記基板保持部を回転させるための回転駆動力を出力する回転機構と、
前記基板保持部に保持された前記基板に処理液を供給して前記基板を処理する処理機構と、
回転する前記基板の外周を囲みながら前記回転軸まわりに回転可能に設けられ、前記基板から飛散する前記処理液の液滴を捕集する回転カップ部と、を備え、
前記回転機構は、前記回転駆動力の一部をカップ駆動力として前記回転カップ部に伝達する動力伝達部をさらに有し、前記回転駆動力によって前記基板保持部および前記回転カップ部を同時に回転させることを特徴とする基板処理装置。