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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140686
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/00 20060101AFI20230928BHJP
   B65H 67/06 20060101ALI20230928BHJP
   D01H 9/04 20060101ALN20230928BHJP
【FI】
B65H63/00 Z
B65H63/00 F
B65H67/06 Z
D01H9/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046654
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】春日 照之
【テーマコード(参考)】
3F112
3F115
4L056
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112CA03
3F112GC00
3F115BA02
3F115CA53
3F115CD08
3F115CF39
4L056BE05
4L056BF02
4L056BF13
4L056BF17
4L056CB04
4L056CB07
4L056EB13
4L056EB14
4L056EC01
(57)【要約】
【課題】操作性を向上させることができる制御システムを提供する。
【解決手段】制御システム1は、搬送装置(処理部)6と、搬送装置6とは異なる位置に設けられ、搬送装置6を制御する設定を管理する機台制御装置(管理部)7と、機台制御装置7よりも搬送装置6に近い位置において操作可能であり、搬送装置6を制御すると共に、設定に関する入力を受け付けて設定を変更する搬送制御装置69と、機台制御装置7において管理される設定を記憶する第1記憶部74と、搬送装置6を制御するための設定を記憶すると共に、搬送制御装置69において当該設定が変更された場合には変更後の設定を記憶する第2記憶部84と、を備え、搬送制御装置69は、第2記憶部84により記憶された変更後の設定を機台制御装置7に出力し、機台制御装置7は、第1記憶部74により記憶された設定を変更後の設定に更新する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージの製造に関する処理を行う処理部と、
前記処理部とは異なる位置に設けられ、前記処理部を制御する設定を管理する管理部と、
前記管理部よりも前記処理部に近い位置において操作可能であり、前記処理部を制御すると共に、前記設定に関する入力を受け付けて前記設定を変更する制御部と、
前記管理部において管理される前記設定を記憶する第1記憶部と、
前記処理部を制御するための前記設定を記憶すると共に、前記制御部において当該設定が変更された場合には変更後の前記設定を記憶する第2記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記設定を変更した場合、前記第2記憶部により記憶された変更後の前記設定を前記管理部に出力し、
前記管理部は、前記制御部から出力された変更後の前記設定を取得した場合、前記第1記憶部により記憶された前記設定を変更後の前記設定に更新する、
制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記処理部に設けられると共に、前記設定に関する入力を受け付けるための操作部を有し、
前記操作部は、
7セグメントディスプレイにより構成された表示部と、
ボタンにより構成された入力部と、を有する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記処理部は、
ボビンから糸を巻き取ることにより前記パッケージを形成する巻取ユニットと、
前記巻取ユニットとの間で前記ボビンを搬送する搬送装置と、
前記ボビンを前記搬送装置に供給する供給装置と、
前記ボビンを前記供給装置に投入する投入装置と、
前記巻取ユニットから前記パッケージを玉揚げする玉揚装置と、
前記玉揚装置により玉揚げされた前記パッケージを搬送するパッケージコンベアと、
前記パッケージを形成するための空気流を形成するためのブロアと、のうち少なくとも2つであり、
少なくとも2つの前記処理部における前記制御部の前記操作部のそれぞれは、互いに同一の構成を有する、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記処理部は、ボビンから糸を巻き取ることにより前記パッケージを形成する複数の巻取ユニットと、前記巻取ユニットとの間で前記ボビンを搬送する搬送装置と、であり、
複数の前記巻取ユニットは、配列方向に沿って配列されることで自動ワインダを構成し、
前記搬送装置は、前記自動ワインダにおける前記配列方向の一端部に配置されており、
前記管理部は、前記自動ワインダにおける前記配列方向の他端部に配置されると共に、複数の前記巻取ユニットのそれぞれ及び前記搬送装置を制御する前記設定を管理する、
請求項1~3の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第1記憶部は、前記管理部に設けられており、
前記第2記憶部は、前記制御部に設けられている、
請求項1~4の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記管理部が前記設定に関する入力を受け付けている場合、前記制御部は、前記管理部に変更後の前記設定を出力することを禁止する、
請求項1~5の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記管理部が前記設定に関する入力を受け付けている場合、前記制御部は、前記設定に関する入力を受け付けることを禁止する、
請求項1~5の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記管理部は、前記設定に関する入力を受け付けて前記設定を変更し、
前記制御部が前記設定に関する入力を受け付けている場合、前記管理部は、前記設定に関する入力を受け付けること禁止する、
請求項1~7の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記制御部が前記設定に関する入力を受け付ける場合、前記管理部が前記設定に関する入力を受け付ける場合よりも設定可能な内容が制限されている、
請求項1~8の何れか一項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制御システムに関する技術として、例えば特許文献1に記載された自動ワインダが知られている。特許文献1に記載された自動ワインダは、巻取パッケージに関する所定の処理を行う巻取ユニット等の処理部と、当該処理部の作動を制御する制御部と、自動ワインダを総括的に制御又は管理する機台制御装置と、を備えている。また、機台制御装置は、処理部を制御する設定を変更するための操作部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-74524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の制御システムでは、例えば自動ワインダのオペレータ(ユーザ)は、機台制御装置の操作部を介して巻取ユニット等の処理部を制御するための設定を入力する。このとき、ユーザは、処理部により行われている処理の状態を確認し、操作部を介して設定を入力する場合がある。この場合、ユーザが処理部と機台制御装置との間を繰り返し移動する必要があり、ユーザに負担が生じる。このような問題は、処理部と機台制御装置との距離が長い場合に特に顕著となる。よって、操作性を向上させることができる制御システムが求められていた。
【0005】
本発明の一側面は、操作性を向上させることができる制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る制御システムは、パッケージの形成に関する処理を行う処理部と、処理部とは異なる位置に設けられ、処理部を制御する設定を管理する管理部と、管理部よりも処理部に近い位置において操作可能であり、処理部を制御すると共に、設定に関する入力を受け付けて設定を変更する制御部と、管理部において管理される設定を記憶する第1記憶部と、処理部を制御するための設定を記憶すると共に、制御部において当該設定が変更された場合には変更後の設定を記憶する第2記憶部と、を備え、制御部は、設定を変更した場合、第2記憶部により記憶された変更後の設定を管理部に出力し、管理部は、制御部から出力された変更後の設定を取得した場合、第1記憶部により記憶された設定を変更後の設定に更新する。
【0007】
本発明の一側面に係る制御システムでは、処理部とは異なる位置に設けられた管理部により、処理部を制御する設定を管理する。また、管理部よりも処理部に近い位置において操作可能な制御部により、処理部を制御すると共に、設定に関する入力を受け付けて設定を変更する。これにより、例えばユーザが処理部により行われている処理の状態を確認しつつ設定に関する入力を行う場合に、管理部よりも処理部に近い位置において操作可能な制御部を介して処理部の設定に関する入力を行うことができる。これにより、処理部と管理部との間をユーザが移動する負担を軽減できる。また、この制御システムでは、制御部は、設定を変更した場合、第2記憶部により記憶された変更後の設定を管理部に出力し、管理部は、制御部から出力された変更後の設定を取得した場合、第1記憶部により記憶された設定を変更後の設定に更新する。これにより、第1記憶部により記憶された設定と、第2記憶部により記憶された設定とを互いに一致させることができる。したがって、例えばユーザは、処理部を制御する設定に関する入力を行う場合、管理部まで移動することなく制御部を介して設定に関する入力を行うことで、管理部を介して設定に関する入力を行った場合と同様の状態とすることができる。以上より、操作性を向上させることができる。
【0008】
本発明の一側面に係る制御システムでは、制御部は、処理部に設けられると共に、設定に関する入力を受け付けるための操作部を有し、操作部は、7セグメントディスプレイにより構成された表示部と、ボタンにより構成された入力部と、を有してもよい。この場合、簡素に構成された操作部を介して設定に関する入力を行うことができる。
【0009】
本発明の一側面に係る制御システムでは、処理部は、ボビンから糸を巻き取ることによりパッケージを形成する巻取ユニットと、巻取ユニットとの間でボビンを搬送する搬送装置と、ボビンを搬送装置に供給する供給装置と、ボビンを供給装置に投入する投入装置と、巻取ユニットからパッケージを玉揚げする玉揚装置と、玉揚装置により玉揚げされたパッケージを搬送するコンベアと、パッケージを形成するための空気流を形成するためのブロアと、のうち少なくとも2つであり、少なくとも2つの処理部における制御部の操作部のそれぞれは、互いに同一の構成を有してもよい。この場合、各操作部の構成が処理部ごとに同一となるため、操作部の操作性を向上させることができる。また、操作部の製造コストを低減することができる。
【0010】
本発明の一側面に係る制御システムでは、処理部は、ボビンから糸を巻き取ることによりパッケージを形成する複数の巻取ユニットと、巻取ユニットとの間でボビンを搬送する搬送装置と、であり、複数の巻取ユニットは、配列方向に沿って配列されることで自動ワインダを構成し、搬送装置は、自動ワインダにおける配列方向の一端部に配置されており、管理部は、自動ワインダにおける配列方向の他端部に配置されると共に、複数の巻取ユニットのそれぞれ及び搬送装置を制御する設定を管理してもよい。この場合、管理部により複数の巻取ユニット及び搬送装置を制御する設定を管理することができる。
【0011】
本発明の一側面に係る制御システムでは、第1記憶部は、管理部に設けられており、第2記憶部は、制御部に設けられていてもよい。この場合、管理部に設けられた第1記憶部及び制御部に設けられた第2記憶部により設定を記憶することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る制御システムでは、管理部が設定に関する入力を受け付けている場合、制御部は、管理部へ変更後の設定を出力することを禁止してもよい。この場合、管理部が設定に関する入力を受け付けているときに、制御部は、管理部に変更後の設定を出力することができない。これにより、制御部により設定の入力を行うユーザは、離れた箇所に設けられる管理部で設定の変更がされていることを知ることができる。また、管理部で設定の変更をしている際に、第1記憶部に記憶された設定が変更されることがないため、制御部の操作状況を考慮せずに設定を変更することができる。
【0013】
本発明の一側面に係る制御システムでは、管理部が設定に関する入力を受け付けている場合、制御部は、設定に関する入力を受け付けることを禁止してもよい。この場合、管理部が設定に関する入力を受け付けているときに、制御部は、設定に関する入力を受け付けることができない。これにより、制御部により設定の入力を行うユーザは、離れた箇所に設けられる管理部で設定の変更がされていることを知ることができる。また、管理部で設定の変更をしている際に、第1記憶部に記憶された設定が変更されることがないため、制御部の操作状況を考慮せずに設定を変更することができる。
【0014】
本発明の一側面に係る制御システムでは、管理部は、設定に関する入力を受け付けて設定を変更してもよい。制御部が設定に関する入力を受け付けている場合、管理部は、設定に関する入力を受け付けること禁止してもよい。この場合、制御部が設定に関する入力を受け付けているときに、管理部は、設定に関する入力を受け付けることができない。これにより、管理部により設定の入力を行うユーザは、離れた箇所に設けられる制御部で設定の変更がされていることを知ることができる。また、制御部で設定の変更をしている際に、第2記憶部により記憶された設定が変更されることがないため、管理部の操作状況を考慮せずに設定を変更することができる。
【0015】
本発明の一側面に係る制御システムでは、制御部が設定に関する入力を受け付ける場合、管理部が設定に関する入力を受け付ける場合よりも設定可能な内容が制限されていてもよい。これにより、例えば、管理部よりも設定可能な内容が制限された制御部を介して、設定に関する入力を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、制御システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、自動ワインダの正面図である。
図3図3は、搬送装置の平面図である。
図4図4は、巻取ユニット、搬送装置、及び供給装置の正面図である。
図5図5は、操作部の正面図である。
図6図6は、制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図7図7(a)~(c)は、操作部の操作の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1に示される制御システム1は、糸Yを巻き取ることでパッケージPを形成する。制御システム1は、ボビン供給装置(処理部)4と、自動ワインダ5と、搬送装置(処理部)6と、機台制御装置(管理部)7と、を備える。一例として、ボビン供給装置4、搬送装置6、自動ワインダ5、及び機台制御装置7のそれぞれは、この順に一の方向(図1では左右方向)に配列されている。以下では、ボビン供給装置4、自動ワインダ5、搬送装置6、及び機台制御装置7が配列された方向を単に「一の方向」と称することがある。ボビン供給装置4は、搬送装置6における一の方向の一端部(図1では右側)に設けられている。搬送装置6は、自動ワインダ5における一の方向の一端部(図1では右側)に設けられている。機台制御装置7は、自動ワインダ5における一の方向の他端部(図1では左側)に設けられている。
【0020】
ボビン供給装置4は、精紡機(不図示)等から供給される給糸ボビンB(ボビン)を搬送装置6に供給する。また、ボビン供給装置4は、搬送装置6から供給される空のボビン管E(ボビン)を精紡機等に供給する。自動ワインダ5は、ボビン供給装置4から搬送装置6を介して搬送された給糸ボビンBの糸Yを巻き取ることで、パッケージPを形成する。搬送装置6は、ボビン供給装置4から自動ワインダ5に給糸ボビンBを搬送すると共に、自動ワインダ5からボビン供給装置4に空のボビン管Eを搬送する。
【0021】
[ボビン供給装置4の構成]
ボビン供給装置4は、精紡機(不図示)等、前工程において形成された給糸ボビンBを搬送装置6に供給する。すなわち、ボビン供給装置4は、パッケージPの製造に関する処理を行う。ボビン供給装置4は、供給装置41と、投入装置42と、を有する。
【0022】
供給装置41は、給糸ボビンBを搬送装置6に供給する。供給装置41は、投入装置42から供給された給糸ボビンBの向きを所定の向きに揃える給糸ボビン整列装置(不図示)を含んでいる。供給装置41は、供給された給糸ボビンBを搬送装置6の搬送経路上に供給する。投入装置42は、精紡機等において形成された給糸ボビンBを受け取る。投入装置42は、給糸ボビンBを一時的に貯留することが可能である。投入装置42は、給糸ボビンBを供給装置41に受け渡す。
【0023】
ボビン供給装置4は、機台制御装置7に接続された供給制御装置(制御部)49を有する。供給制御装置49は、機台制御装置7からの指示等に基づいて、供給装置41の各部の動作を制御する。
【0024】
[自動ワインダ5の構成]
図2に示されるように、自動ワインダ5は、給糸ボビンBから糸Yを巻き取ることによりパッケージPを形成する複数の巻取ユニット(処理部)50と、巻取ユニット50からパッケージPを玉揚げする玉揚装置51と、玉揚装置51により玉揚げされたパッケージPを搬送するパッケージコンベア52と、パッケージPを形成するための空気流を形成するブロア53と、を備える。
【0025】
複数の巻取ユニット50は、配列方向Dに沿って配列されることで自動ワインダ5を構成する。本実施形態では、当該配列方向Dは、一の方向と一致している。一例として、72台の巻取ユニット50が配列方向Dに配列されることで自動ワインダ5が構成されていてもよい。この場合、機台制御装置7から搬送装置6までの一の方向の距離は、一例として、25m以上となる。巻取ユニット50は、パッケージPの製造に関する処理を行う。より具体的には、巻取ユニット50は、搬送装置6から供給された給糸ボビンBから糸Yを巻き取ってパッケージPを形成する。巻取ユニット50は、給糸装置54と、テンション付与装置55と、糸継装置56と、ヤーンクリアラ57と、巻取装置58と、を糸道の上流側(図2における下側)から下流側(図2における上側)に向かって順に備える。さらに、巻取ユニット50は、ユニット制御装置(制御部)59を備えている。
【0026】
給糸装置54は、搬送装置6から搬送された給糸ボビンBを支持すると共に給糸ボビンBの糸Yの解舒を補助する。給糸装置54は、糸Yが全て解舒された後の空のボビン管Eを搬送装置6に供給する。テンション付与装置55は、給糸装置54から巻取装置58に向かって走行する糸Yに所定のテンションを付与する。糸継装置56は、糸欠陥が検出されて糸Yがカットされた等、何らかの理由で分断された糸Yの端同士を繋ぐ装置である。
【0027】
ヤーンクリアラ57は、給糸装置54と巻取装置58との間において、給糸装置54から巻取装置58に向かって走行する糸Yの状態を監視し、糸欠陥を検出する。ヤーンクリアラ57は、設定されたクリアリング条件に基づいて、検出された糸欠陥を除去すべきか否かを判定する。糸欠陥を除去すべきと判定された場合には、当該糸欠陥を除去すべくカッタによって糸Yがカット(切断)される。カッタは、ヤーンクリアラ57に付設されている。但し、カッタは、ヤーンクリアラ57とは別に設けられていてもよい。巻取装置58は、給糸装置54によって支持された給糸ボビンBから糸Yを解舒し、解舒した糸Yを巻き取ってパッケージPを形成する。
【0028】
ユニット制御装置59は、機台制御装置7に接続されている。ユニット制御装置59は、巻取ユニット50ごとに設けられている。ユニット制御装置59は、ユニットコントローラ59Aを有する。ユニットコントローラ59Aは、機台制御装置7からの指示等に基づいて、巻取ユニット50の各部の動作を制御する。ユニットコントローラ59Aは、ヤーンクリアラ57によって検出した検出結果に基づき、給糸ボビンBから巻き取っている糸Yに関する情報を認識する。巻き取られた糸Yの長さに関する情報は、巻取装置58もしくは、別途設けられる専用の糸長センサ(不図示)で測定し、ユニットコントローラ59Aに送られる。ユニットコントローラ59Aに送られた糸Yの長さに関する情報は、ユニットコントローラ59Aによってヤーンクリアラ57に送られる。ユニットコントローラ59Aは、複数の巻取ユニット50ごとに設けられていてもよい。
【0029】
玉揚装置51は、各巻取ユニット50で形成されたパッケージPを玉揚げする。本実施形態では、玉揚装置51は、複数の巻取ユニット50に対して1台が設けられている。玉揚装置51は、玉揚げしたパッケージPを、機台後方に設けられたパッケージコンベア52に供給する。パッケージコンベア52は、玉揚装置51から供給されたパッケージPを所定の位置に搬送する。
【0030】
ブロア53は、例えば、巻取ユニット50の各部において吸引空気流又は旋回空気流等を形成する。ブロア53は、例えば、糸継装置56においてカットされた糸Yの糸端を吸引するための吸引空気流を形成する。また、ブロア53は、例えば、糸継装置56においてカットされた糸Yの糸継ぎを行うための旋回空気流を形成する。ブロア53は、上述した気流を発生させるための吸引源を含んでもよい。
【0031】
[搬送装置6の構成]
図3に示されるように、搬送装置6は、パッケージPの製造に関する処理を行う。より具体的には、搬送装置6は、ボビン供給装置4から自動ワインダ5に給糸ボビンBを搬送し、自動ワインダ5からボビン供給装置4に空のボビン管Eを搬送する。搬送装置6は、給糸ボビンBを自動ワインダ5に搬送するための経路L1と、自動ワインダ5において糸Yが巻き取られた後の空のボビン管Eをボビン供給装置4に搬送するための経路L2と、経路L1及び経路L2を互いに連結するバイパス経路L3,L4と、を含む。バイパス経路L3は、バイパス経路L4よりも自動ワインダ5(図1参照)側(図3では左側)に設けられている。なお、経路L1は空のボビン管Eを搬送し、経路L2は給糸ボビンBを搬送してもよい。
【0032】
搬送装置6は、残糸量確認センサ61と、糸端準備装置62と、糸有無確認センサ63と、残糸除去装置64と、搬送制御装置(制御部)69と、を有する。
【0033】
残糸量確認センサ61は、経路L1に沿って搬送されるボビン(給糸ボビンB又は空のボビン管E)の残糸量を検出する。経路L1に沿って搬送されるボビンが、糸Yがある(残っている)給糸ボビンBである場合、糸端準備装置62は、自動ワインダ5において糸端を捕捉できるように、給糸ボビンBに対して糸端の処理を行う。経路L1に沿って搬送されるボビンに糸Yがない(残っていない)空のボビン管Eである場合、糸端準備装置62は、給糸ボビンBに対して糸端の処理を行わない。糸端準備装置62により糸端の処理が行われた給糸ボビンBは、経路L1に沿って自動ワインダ5に搬送される。経路L1に沿って搬送されるボビンが残糸量確認センサ61により糸Yが残っていない空のボビン管Eであると検出された場合、当該空のボビン管Eは、バイパス経路L3を介して経路L1から経路L2に搬送される。
【0034】
糸有無確認センサ63は、経路L2に沿って搬送されるボビンに糸Yが残っているか否かを検出する。経路L2に沿って搬送されるボビンが、糸Yがある給糸ボビンBである場合、糸Yが残っている給糸ボビンBは、経路L2からバイパス経路L4を介して残糸除去装置64に搬送される。残糸除去装置64は、バイパス経路L4に沿って搬送された当該給糸ボビンBから、糸Yを除去することで空のボビン管Eにする。残糸除去装置64により糸Yが除去された空のボビン管Eは、バイパス経路L4から経路L1に搬送される。搬送制御装置69は、機台制御装置7に接続されている。搬送制御装置69は、機台制御装置7からの指示等に基づいて、搬送装置6の各部の動作を制御する。なお、残糸除去装置64は、経路L2における糸有無確認センサ63の下流であって、バイパス経路L4の上流に設けられていてもよい。
【0035】
上述したように、ボビン供給装置4、搬送装置6、及び複数の巻取ユニット50のぞれぞれは、パッケージPの製造に関する処理を行う。パッケージPの製造に関する処理とは、一例として、給糸ボビンBからパッケージPを製造する一連の処理である。
【0036】
[機台制御装置7の構成]
図1に示されるように、機台制御装置7は、巻取ユニット50、搬送装置6、及びボビン供給装置4のそれぞれ(以下では、単に「処理部」と称することがある)とは異なる位置に設けられ、処理部を制御する設定を管理する。なお、「設定を管理する」には、処理部を制御する設定を記憶すること、ユーザによる設定に関する入力を受け付けること、記憶された設定を変更後の設定に更新すること、変更後の設定を処理部に出力すること、及び処理部を制御する設定を行うこと、が含まれる。
【0037】
機台制御装置7は、巻取ユニット50、搬送装置6、及び供給装置41のそれぞれを制御する制御部70と、操作部71と、を有する。制御部70は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、EEPROM[Electrically Erasable Programmable Read Only Memory]、通信装置、記憶装置等を有する電子制御ユニットによって構成されている。本実施形態では、制御部70は、巻取ユニット50のユニット制御装置59、搬送装置6の搬送制御装置69、及びボビン供給装置4の供給制御装置49のそれぞれに接続されている。
【0038】
操作部71は、ユーザによる設定に関する入力を受け付ける。操作部71は、表示部72と、入力部73と、を有する。本実施形態では、表示部72は、処理部を制御する設定に関する情報を表示する。より具体的には、表示部72は、処理部の設定項目に関する情報と、処理部に対して入力を行う設定値に関する情報と、を表示する。入力部73では、ユーザによる当該設定に関する入力が行われる。なお、表示部72がタッチパネルである場合には、表示部72を入力部73としてもよい。
【0039】
[操作部]
上述したように、ボビン供給装置4は、供給制御装置49を有する。巻取ユニット50は、ユニット制御装置59を有する。搬送装置6は、搬送制御装置69を有する。供給制御装置49、ユニット制御装置59、及び搬送制御装置69のそれぞれ(以下では、単に「制御部」と称することがある)は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、通信装置、記憶装置等を有する電子制御ユニットによって構成されている。制御部は、処理部に設けられると共に、ユーザによる操作を受け付けるための操作部を有する。これにより、制御部は、操作部を介して機台制御装置7よりも処理部に近い位置において操作可能である。
【0040】
図4に示されるように、搬送制御装置69は、操作部81を有する。ユニット制御装置59は、操作部82を有する。供給制御装置49は、操作部83を有する。操作部81,82,83のそれぞれ(以下では、単に「操作部」と称することがある)は、例えば処理部の筐体等のユーザによる操作が可能な位置に取り付けられている。処理部における制御部の操作部は、互いに同一の構成を有する。
【0041】
以下、図5を用いて、操作部の構成について詳細に説明する。図5の例では、搬送制御装置69における操作部81の構成について説明し、操作部81と同一の構成を有する操作部82,83の説明については省略する。操作部81は、ユーザによる設定に関する入力を受け付ける。
【0042】
図5に示されるように、操作部81は、カバー91と、表示部92と、入力部93と、を有する。カバー91は、操作部81の電子部品等を覆っている。表示部92は、カバー91から露出している。本実施形態では、表示部92は、処理部を制御する設定に関する情報を表示する。より具体的には、表示部92は、処理部の設定項目に関する情報と、処理部の設定値に関する情報と、を表示する。表示部92は、3桁の数字及びアルファベットを表示可能ないわゆる7セグメントディスプレイにより構成されている。表示部92により表示される文字、記号等は、特に限定されない。
【0043】
入力部93では、ユーザによる当該設定に関する入力が行われる。入力部93は、複数のボタンにより構成されている。本実施形態では、入力部93は、表示部92と離間する位置に配置された中央ボタン94と、中央ボタン94及び表示部92の間(図5では中央ボタン94の上側)に配置された上ボタン95と、中央ボタン94に対して上ボタン95の反対側(図5では中央ボタン94の下側)に配置された下ボタン96と、を有する。また、入力部93は、上ボタン95及び下ボタン96の対向方向と直交する方向に、中央ボタン94と挟んで対向配置された右ボタン97及び左ボタン98を有する。
【0044】
[搬送装置6及び機台制御装置7の構成]
続いて、搬送装置6及び機台制御装置7の構成について詳細に説明する。ここで、処理部(巻取ユニット50、搬送装置6、及び供給装置41のそれぞれ)は、一部共通した構成を有する。よって、以下では、処理部の一つである搬送装置6について説明する。図6に示されるように、機台制御装置7と搬送装置6とは、互いに通信可能に接続されている。なお、処理部が実施する処理内容によって、処理部の構成は、一部異なる場合がある。
【0045】
搬送装置6は、機能的には、上述した操作部81を有する搬送制御装置69と、第2記憶部84と、通信部85と、を有する。搬送制御装置69は、機台制御装置7よりも搬送装置6に近い位置において操作可能であり、搬送装置6を制御すると共に、搬送装置6を制御する設定に関する入力を受け付けて当該設定を変更する。第2記憶部84は、搬送装置6に設けられており、搬送装置6を制御するための設定を記憶する。通信部85は、機台制御装置7の通信部75と通信を行う。
【0046】
搬送装置6を制御するための設定は、例えば、ロータリーカッタトレー回転量と、ビータ動作時間と、サーチャ刃前進量と、サーチャ刃下降長さと、サーチャ刃接触速度と、サーチャ刃待機時間と、天穴レバー動作開始時間と、を含む。
【0047】
ロータリーカッタトレー回転量とは、給糸ボビンBのボトム(底部)に巻かれた糸Yを除去するために給糸ボビンBが配置されるトレー(不図示)を回転させる量である。ビータ動作時間とは、給糸ボビンBの毛羽絡みをほどくためにブラシ(不図示)を給糸ボビンBに当てる時間である。サーチャ刃前進量とは、給糸ボビンBの糸層表面に巻かれたバックワインドを切断するためにサーチャ刃(給糸ボビンBの糸層表面から糸端を引き剥がすための刃)を給糸ボビンBに向かって前進させる距離である。サーチャ刃下降長さとは、給糸ボビンBのバックワインドを切断するためにサーチャ刃を給糸ボビンBに向かって下降させる際の下降距離である。
【0048】
サーチャ刃接触速度とは、給糸ボビンBのバックワインドを切断するためにサーチャ刃を給糸ボビンBに向かって当てる際の速度である。サーチャ刃待機時間とは、給糸ボビンBのバックワインドを切断した後に、トレーを回転させながらブラスト(糸Yが走行する空間に異物等を除去するためにエアを吹き付けること)する時間である。換言すれば、サーチャ刃待機時間は、給糸ボビンBのトップ(上部)に糸Yを巻き付ける時間に相当する。天穴レバー動作開始時間とは、所定の吸引装置(不図示)により給糸ボビンBの糸端を吸い上げた後に、天穴レバー(不図示)を用いて糸端を給糸ボビンBに押し当てる動作を開始する時間(タイミング)である。
【0049】
機台制御装置7は、機能的には、上述した操作部71を有する制御部70と、操作部71と、第1記憶部74と、通信部75と、を有する。制御部70は、搬送装置6を制御すると共に、搬送装置6を制御する設定に関する入力を受け付けて当該設定を変更する。第1記憶部74は、機台制御装置7に設けられており、機台制御装置7において管理される設定を記憶する。通信部75は、搬送装置6と通信を行う。
【0050】
[機台制御装置7及び搬送装置6の処理]
続いて、ユーザが処理部の設定を変更するに際し、機台制御装置7及び処理部が実行する一連の処理について説明する。上述したように、処理部は、機能的には、同様の構成を有する。よって、処理部の一つである搬送装置6について説明する。
【0051】
まず、ユーザが機台制御装置7の操作部71を介して搬送装置6の設定を変更する例について説明する。搬送装置6は、機台制御装置7により管理された設定に基づいて制御されている。第1記憶部74及び第2記憶部84は、搬送装置6を制御するための当該設定を記憶している。
【0052】
まず、ユーザは、操作部71を介して設定に関する入力を行う。これにより、制御部70は、搬送装置6を制御する設定を変更する。同時に、搬送制御装置69は、ユーザが操作部81を介して設定に関する入力を行うことができない状態となる。すなわち、機台制御装置7が設定に関する入力を受け付けている場合、搬送制御装置69は、設定に関する入力を受け付けることを禁止する。
【0053】
制御部70において設定が変更された場合、第1記憶部74は、変更後の設定を記憶する。このとき、第1記憶部74は、変更後の設定を記憶すると共に、変更前の設定に関する情報を消去してもよい。この場合、第2記憶部84における変更前の設定を変更後の設定に更新するまで、第1記憶部74は、第1記憶部74における変更前の設定に関する情報を記憶していてもよい。続いて、制御部70は、設定を変更した場合、第1記憶部74により記憶された変更後の設定を通信部75を介して搬送装置6に出力する。
【0054】
続いて、搬送装置6は、制御部70から出力された変更後の設定を通信部85を介して取得した場合、第2記憶部84により記憶された設定を変更後の設定に更新する。これにより、第2記憶部84により記憶された設定を第1記憶部74により記憶された設定と一致させることができる。このとき、搬送制御装置69は、設定に関する入力を受け付けることを禁止した状態を解除する(すなわち、設定に関する入力を受け付けることができる状態とする)。また、設定に関する入力がキャンセルされた場合も、搬送制御装置69は、設定に関する入力を受け付けることを禁止した状態を解除する。以上のような処理を経て、機台制御装置7の操作部71を介して搬送装置6の設定が変更される。
【0055】
次に、ユーザが搬送装置6の操作部81を介して搬送装置6の設定を変更する例について説明する。搬送装置6は、機台制御装置7により管理された設定に基づいて制御されている。第1記憶部74及び第2記憶部84は、搬送装置6を制御するための当該設定を記憶している。
【0056】
まず、ユーザは、機台制御装置7よりも搬送装置6に近い位置において搬送制御装置69の操作部81を介して設定に関する入力を行う。まず、ユーザは、入力部93の中央ボタン94を長押しする。これにより、表示部92は、搬送装置6の設定項目に関する情報を表示する。同時に、機台制御装置7は、ユーザが操作部71を介して設定に関する入力を行うことができない状態とする。すなわち、搬送制御装置69が設定に関する入力を受け付けている場合、機台制御装置7は、設定に関する入力を受け付けることを禁止する。
【0057】
図7(a)の例では、表示部92は、ロータリーカッタトレー回転量に関する設定項目を意味する「C01」の文字が表示されている。右ボタン97及び左ボタン98が押下されると、表示部92は、他の設定項目に関する情報である文字(例えば、C02~C09等)を表示する。ユーザは、右ボタン97及び左ボタン98を押下することで、設定の変更を行う設定項目を選択した上で、中央ボタン94を押下する。これにより、表示部92は、選択した設定項目に関する搬送装置6の設定値を示す情報を表示する。
【0058】
図7(a)において、表示部92に「C01」の文字が表示されている状態で、右ボタン97を1回押下する。これにより、表示部92に給糸ボビンBにブラシを当てる時間の長さに関する設定項目を意味する「C02」の文字を表示させた状態とすることができる。この状態で、中央ボタン94を押下することで、給糸ボビンBにブラシを当てる時間の長さに関する設定項目を、後の動作で設定値を変更する設定項目として決定する。
【0059】
図7(b)の例では、表示部92には、給糸ボビンBにブラシを当てる時間の長さに関する設定値を意味する「0.30」の文字が表示されている。上ボタン95及び下ボタン96が押下されると、図7(c)に示されるように、表示部92は、他の設定値に関する情報である文字(図7(c)の例では、0.35)を表示する。ユーザは、上ボタン95及び下ボタン96を押下することで、上記で選択した設定項目の設定値を変更する。
【0060】
本実施形態では、ユーザが上ボタン95及び下ボタン96を押下することで設定値を変更すると、変更された設定値に基づいて搬送装置6が処理を行う。これにより、ユーザは、各設定値に基づく搬送装置6の動作を確認しながら設定値を変更できる。なお、ユーザが上ボタン95及び下ボタン96を押下することで設定値を変更すると共に、第2記憶部84は、第2記憶部84が記憶している設定を更新してもよい。この場合、ユーザにより設定値の変更がキャンセルされると、第2記憶部84は、第2記憶部84に記憶された設定を、第1記憶部74に記憶された設定に更新してもよい。つまり、第2記憶部84に記憶された設定を変更前の設定に戻すことができる。
【0061】
続いて、ユーザは、変更後の設定値を表示部92により表示させた状態で、中央ボタン94を長押しする。これにより、搬送制御装置69は、搬送装置6を制御する設定を変更する。なお、中央ボタン94の長押しが実行されるまで、第2記憶部84は、変更前の設定を記憶しておいてもよい。つまり、第2記憶部84は、ユーザにより設定値の変更がキャンセルされた場合、第2記憶部84のみにより変更前の設定に戻すことができる。
【0062】
以上、ユーザが搬送装置6に対して設定に関する入力を行う際の操作部81の操作の一例を説明した。しかし、操作部81の操作の内容は、上述したものに限定されず、適宜変更することができる。
【0063】
搬送制御装置69において設定が変更された場合、第2記憶部84は、変更後の設定を記憶する。このとき、第2記憶部84は、変更後の設定を記憶すると共に、変更前の設定に関する情報を消去してもよい。この場合、第1記憶部74における変更前の設定を変更後の設定に更新するまで、第2記憶部84は、第2記憶部84における変更前の設定に関する情報を記憶していてもよい。続いて、搬送制御装置69は、設定を変更した場合、第2記憶部84により記憶された変更後の設定を通信部85を介して機台制御装置7に出力する。
【0064】
続いて、機台制御装置7は、搬送制御装置69から出力された変更後の設定を通信部75を介して取得した場合、第1記憶部74により記憶された設定を変更後の設定に更新する。これにより、第1記憶部74により記憶された設定を第2記憶部84により記憶された設定と一致させることができる。このとき、機台制御装置7は、設定に関する入力を受け付けることを禁止した状態を解除する(すなわち、設定に関する入力を受け付けることができる状態とする)。また、設定に関する入力がキャンセルされた場合も、機台制御装置7は、設定に関する入力を受け付けることを禁止した状態を解除する。以上のような処理を経て、搬送装置6の操作部81を介して搬送装置6の設定が変更される。
【0065】
以上、機台制御装置7及び処理部が実行する一連の処理について、処理部の一つである搬送装置6を例に挙げて説明した。しかし、他の処理部である巻取ユニット50及び供給装置41についても、同様の処理を実行してもよい。
【0066】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係る制御システム1では、搬送装置6とは異なる位置に設けられた機台制御装置7により、搬送装置6を制御する設定を管理する。また、機台制御装置7よりも搬送装置6に近い位置において操作可能な搬送制御装置69により、搬送装置6を制御すると共に、設定に関する入力を受け付けて設定を変更する。これにより、例えばユーザが搬送装置6により行われている処理の状態を確認しつつ設定に関する入力を行う場合に、機台制御装置7よりも搬送装置6に近い位置において操作可能な搬送制御装置69を介して搬送装置6の設定に関する入力を行うことができる。これにより、搬送装置6と機台制御装置7との間をユーザが移動する負担を軽減できる。
【0067】
また、この制御システム1では、搬送制御装置69は、設定を変更した場合、第2記憶部84により記憶された変更後の設定を機台制御装置7に出力し、機台制御装置7は、搬送制御装置69から出力された変更後の設定を取得した場合、第1記憶部74により記憶された設定を変更後の設定に更新する。これにより、第1記憶部74により記憶された設定と、第2記憶部84により記憶された設定とを互いに一致させることができる。したがって、例えばユーザは、搬送装置6を制御する設定に関する入力を行う場合、機台制御装置7まで移動することなく搬送制御装置69を介して設定に関する入力を行うことで、機台制御装置7を介して設定に関する入力を行った場合と同様の状態とすることができる。以上より、操作性を向上させることができる。
【0068】
本実施形態に係る制御システム1では、搬送制御装置69は、搬送装置6に設けられると共に、設定に関する入力を受け付けるための操作部81を有する。操作部81は、7セグメントディスプレイにより構成された表示部92と、ボタンにより構成された入力部93と、を有する。この場合、簡素に構成された操作部81を介して設定に関する入力を行うことができる。
【0069】
本実施形態に係る制御システム1では、処理部は、給糸ボビンBから糸Yを巻き取ることによりパッケージPを形成する巻取ユニット50と、巻取ユニット50との間で給糸ボビンBを搬送する搬送装置6と、給糸ボビンBを搬送装置6に供給する供給装置41と、である。搬送装置6の搬送制御装置69の操作部81、巻取ユニット50のユニット制御装置59の操作部82、及びボビン供給装置4の供給制御装置49の操作部83のそれぞれは、互いに同一の構成を有している。この場合、各操作部の構成が処理部ごとに同一となるため、操作部の操作性を向上させることができる。また、操作部の製造コストを低減することができる。
【0070】
本実施形態に係る制御システム1では、処理部は、給糸ボビンBから糸Yを巻き取ることによりパッケージPを形成する複数の巻取ユニット50と、巻取ユニット50との間で給糸ボビンBを搬送する搬送装置6と、給糸ボビンBを搬送装置6に供給する供給装置41と、である。複数の巻取ユニット50は、配列方向Dに沿って配列されることで自動ワインダ5を構成する。搬送装置6は、自動ワインダ5における配列方向Dの一端部に配置されている。機台制御装置7は、自動ワインダ5における配列方向Dの他端部に配置されると共に、複数の巻取ユニット50のそれぞれ、搬送装置6、及び供給装置41を制御する設定を管理する。この場合、機台制御装置7により複数の巻取ユニット50、搬送装置6、及び供給装置41を制御する設定を管理することができる。
【0071】
本実施形態に係る制御システム1では、第1記憶部74は、機台制御装置7に設けられている。第2記憶部84は、搬送制御装置69に設けられている。この場合、機台制御装置7に設けられた第1記憶部74及び搬送制御装置69に設けられた第2記憶部84により設定を記憶することができる。
【0072】
本実施形態に係る制御システム1では、機台制御装置7は、設定に関する入力を受け付けて設定を変更する。機台制御装置7が設定に関する入力を受け付けている場合、搬送制御装置69は、設定に関する入力を受け付けることを禁止する。この場合、機台制御装置7が設定に関する入力を受け付けているときに、搬送制御装置69は、設定に関する入力を受け付けることができない。これにより、搬送制御装置69により設定の入力を行うユーザは、離れた箇所に設けられる機台制御装置7で設定の変更がされていることを知ることができる。また、機台制御装置7で設定の変更をしている際に、第1記憶部74に記憶された設定が変更されることがないため、搬送制御装置69の操作状況を考慮せずに設定を変更することができる。
【0073】
本実施形態に係る制御システム1では、機台制御装置7は、設定に関する入力を受け付けて設定を変更する。搬送制御装置69が設定に関する入力を受け付けている場合、機台制御装置7は、設定に関する入力を受け付けること禁止する。この場合、搬送制御装置69が設定に関する入力を受け付けているときに、機台制御装置7は、設定に関する入力を受け付けることができない。これにより、機台制御装置7により設定の入力を行うユーザは、離れた箇所に設けられる搬送制御装置69で設定の変更がされていることを知ることができる。また、搬送制御装置69で設定の変更をしている際に、第2記憶部84により記憶された設定が変更されることがないため、機台制御装置7の操作状況を考慮せずに設定を変更することができる。
【0074】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0075】
上記実施形態では、機台制御装置7が設定に関する入力を受け付けている場合、搬送制御装置69は、設定に関する入力を受け付けることを禁止する形態を一例に説明した。しかし、機台制御装置7が設定に関する入力を受け付けている場合、搬送制御装置69は、設定に関する入力を受け付けるが、機台制御装置7に変更後の設定を出力することを禁止してもよい。この場合でも、機台制御装置7が設定に関する入力を受け付けているときに、搬送制御装置69は、機台制御装置7に変更後の設定を出力することができない。これにより、搬送制御装置69により設定の入力を行うユーザは、離れた箇所に設けられる機台制御装置7で設定の変更がされていることを知ることができる。また、機台制御装置7で設定の変更をしている際に、第1記憶部74に記憶された設定が変更されることがないため、搬送制御装置69の操作状況を考慮せずに設定を変更することができる。また、例えば、機台制御装置7が管理する設定を変更することなく、搬送装置6の設定を一時的に変更することで変更後の設定に基づいて搬送装置6を動作させたい場合がある。この場合、搬送制御装置69が機台制御装置7に変更後の設定を出力することを禁止することで、機台制御装置7が管理する設定を変更することなく、搬送装置6の設定を一時的に変更できる。
【0076】
上記実施形態では、処理部は、複数の巻取ユニット50と、搬送装置6と、供給装置41と、である形態を一例に説明した。しかし、処理部は、巻取ユニット50と、搬送装置6と、供給装置41と、投入装置42と、玉揚装置51と、パッケージコンベア52と、ブロア53と、のいずれかであってもよい。また、処理部が上記のうちいずれか2つ以上の装置である場合、操作部の操作性の向上、及び、操作部の製造コストの低減という観点から、処理部における制御部の操作部のそれぞれは、同一の構成を有していることが好ましい。
【0077】
処理部の制御部が設定を変更することで、機台制御装置7が第1記憶部74により記憶された設定を変更後の設定に更新した場合、機台制御装置7は、例えば表示部72を介して、処理部の制御部により当該設定が変更されたことをユーザに対して報知してもよい。例えば、表示部72は、処理部の制御部により変更された設定項目のみを表示してもよく、全ての設定項目のうち処理部の制御部により変更された設定項目を他の設定項目と区別して(一例として、文字や背景を色分けして)表示してもよい。また、例えば、表示部72は、全ての設定項目に対して変更前の設定及び変更後の設定の双方を表示してもよく、設定項目の表示の傍(一例として、設定の変更を行ったユーザの表示欄)に処理部の制御部により変更されたことを示す情報を表示してもよい。さらに、処理部の制御部が設定を変更した後、次にユーザが機台制御装置7の操作部71を介して操作を行ったとき、表示部72は、処理部の制御部により設定が変更されたことを通知する画面(例えばポップアップ等)を表示してもよい。
【0078】
処理部の制御部が設定に関する入力を受け付ける場合、機台制御装置7の制御部70が設定に関する入力を受け付ける場合よりも設定可能な内容が制限されていてもよい。例えば、処理部の制御部が受付可能な設定項目は、機台制御装置7の制御部70が受付可能な設定項目よりも少なくてもよい。また、例えば、処理部の制御部が受付可能な設定項目に関する設定値の範囲は、機台制御装置7の制御部70が受付可能な設定項目に関する設定値の範囲よりも狭くてもよい。これにより、例えば、機台制御装置7よりも設定可能な内容が制限された搬送制御装置69を介して、設定に関する入力を行うことができる。
【0079】
上記実施形態では、第1記憶部74は、機台制御装置7に設けられており、第2記憶部84は、搬送制御装置69に設けられている形態を一例に説明した。しかし、第1記憶部74及び第2記憶部84が設けられている位置は、特に限定されない。また、第1記憶部74及び第2記憶部84は、同一のハードウェアにより実現されてもよく、異なるハードウェアにより実現されてもよい。
【0080】
上記実施形態では、処理部の制御部が設定に関する入力を受け付けることにより、処理部の複数の設定項目のうち、一の設定項目に関する設定値が変更される形態を一例に説明した。しかし、処理部の複数の設定項目からなる設定項目群(いわゆるロット)における一の設定項目に関する設定値が変更されてもよい。
【0081】
この場合、第1記憶部74及び第2記憶部84は、一例として、搬送装置6の複数の設定項目及び当該設定項目に関する設定値をロットとして記憶している。また、処理部の一つである搬送装置6は、ボビンをボビン供給装置4及び自動ワインダ5の間で搬送するための複数(例えば2つ)の搬送経路を有する。2つの搬送経路には、同一の(設定項目及び当該設定項目に関する設定値の)ロットが設定されている。
【0082】
同一のロットが設定された2つの搬送経路のうち、一方の搬送経路に関し、搬送装置6の搬送制御装置69が一の設定項目に関する設定値を変更した場合、他方の搬送経路に関し、搬送装置6の搬送制御装置69が当該一の設定項目に関する設定値を変更後の設定値に変更してもよい。つまり、同一のロットが設定されている処理部の設定項目を一度に変更することができる。
【0083】
上記実施形態では、搬送制御装置69が搬送装置6に設けられている形態を一例に説明した。しかし、搬送制御装置69は、機台制御装置7よりも搬送装置6に近い位置において操作可能であればよく、例えば、搬送装置6に対して通信可能に構成されたタブレット等の通信機器であってもよい。この場合でも、ユーザは、機台制御装置7よりも搬送装置6に近い位置で当該通信機器を操作することにより、搬送装置6を制御する設定を変更することができる。供給制御装置49及びユニット制御装置59等についても同様である。
【0084】
上記実施形態では、処理部の一つが自動ワインダ5である形態を一例に説明した。しかし、処理部は、例えば、他の繊維機械(例えば空気紡績機等)を含んでもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…制御システム、4…ボビン供給装置(処理部)、5…自動ワインダ、6…搬送装置(処理部)、7…機台制御装置(管理部)、41…供給装置、42…投入装置、50…巻取ユニット(処理部)、51…玉揚装置、52…パッケージコンベア、53…ブロア、49…供給制御装置(制御部)、59…ユニット制御装置(制御部)、69…搬送制御装置(制御部)、74…第1記憶部、81,82,83…操作部、84…第2記憶部、92…表示部、93…入力部、B…給糸ボビン、D…配列方向、P…パッケージ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7