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▶ 欠田 俊幸の特許一覧

特開2023-1407多方向の波動によって球面上を自転移動する車輪の回転で発電する波力発電装置
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  • 特開-多方向の波動によって球面上を自転移動する車輪の回転で発電する波力発電装置 図1
  • 特開-多方向の波動によって球面上を自転移動する車輪の回転で発電する波力発電装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001407
(43)【公開日】2023-01-05
(54)【発明の名称】多方向の波動によって球面上を自転移動する車輪の回転で発電する波力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/14 20060101AFI20221223BHJP
【FI】
F03B13/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022181404
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】591184596
【氏名又は名称】欠田 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】欠田 俊幸
(57)【要約】
【課題】一方向の波動だけに限定せず、多方向の波動により発電する可動物体型波力発電装置を提供する。
【解決手段】主浮体と、従浮体と、球面板と、車輪と、発電機を備え、主浮体は車輪を球面板に沿って各方向に自転移動可能に保持し、車輪と発電機は回転が連動するよう連結され、従浮体と球面板は動きが連動するよう連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主浮体と、従浮体と、球面板と、車輪と、発電機を備え、
前記主浮体は前記車輪を前記球面板に沿って自転移動可能に保持し、
前記車輪と前記発電機は回転が連動するよう連結され、
前記従浮体と前記球面板は、動きが連動するよう連結されていることを特徴とする、
多方向の波動によって球面上を自転移動する車輪の回転で発電する波力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動物体型波力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の可動物体型波力発電装置は、一方向の波動によって、平面板が一つの軸周りに揺動する力で発電する方式であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6265720号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方向に限定せず、多方向の波動によって発電する可動物体型波力発電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達する為、多方向の波動によって球面上を自転移動する車輪の回転で発電する波力発電装置は、主浮体と、従浮体と、球面板と、車輪と、発電機を備え、主浮体は車輪を球面板に沿って各方向に自転移動可能に保持し、車輪と発電機は回転が連動するよう連結され、従浮体と球面板は動きが連動するよう連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
多方向の波動による主浮体と従浮体の相対的な上下動及び前後左右への傾きのいずれの動きでも、従浮体に連動する球面板上を、主浮体に保持された車輪が各方向に自転移動することで車輪に連結された発電機が回転して発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】原理図
図2】実施例の球面板のカットモデル
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は簡略化した原理図で、図2はその球面板をドーム状にして車輪数を増やした図であるが、図の煩雑化を避けるため車輪は実際に配置可能な数より少なく記載している。
図は説明用であり、球面板に比べて車輪が大きく、数も少ないが、実際には車輪の回転数を上げるとともに、総発電量を増やす為、より半径が大きな広い球面板上に、小さな車輪をできる限り多く配置する形態が望ましい。
【0009】
球面板については、球面板が前後左右に傾いても、車輪が球面板と接触を保ちつつ自転しながら移動できればよく、正確な球面である必要はなく、環状である必要もない。
球面板は、その内面又は外面のいずれか一方が球面であればよいが、両面を同一中心の球面とし、さらに多層とすることで、各層の内外両面に車輪をより多く配置できる。
【0010】
球面板の保持方法について、図では主浮体に設けた中心柱で回転軸が水平な内側ジンバルを保持し、その内側ジンバルで回転軸が水平面で直交する外側ジンバルを保持し、その外側ジンバルと環状の球面板が一体となって球面板連動アームで従浮体に連結されている。球面板を球の中心周りに前後左右揺動自在に保持する機構ならジンバルに限定しない。
また、ジンバル等によって球の中心で保持しなくとも、球面板の周囲に配置した複数の車輪等で球面板を主浮体に対して球の中心周りに揺動自在に保持することもできる。
【0011】
車輪と発電機については、図では、車輪内部に同軸で連動回転する発電機を組み込んであるが、車輪の回転に連動して発電機が回転すればよく、その形態には限定しない。
単なる連結でも増速機を介した連結でもよく、車輪と発電機が一対一である必要もない。総発電量は各発電機が発電する電力を整流、合成したもので、車輪の数に比例する、全発電機を回す為に必要なトルクは浮体の容積と重量を大きくすれば得ることができる。
【0012】
車輪については、各方向に自転移動可能に保持する形態の一例としてキャスターで保持しているが、この形態には限定しない。
図では車輪と球面板の距離は固定であるが、実施にあたっては各部材の寸法誤差や歪みや車輪の摩耗もあり、車輪をサスペンションで球面板に押し付ける方法が望ましい。
車輪は、球面板上で自転すればよく、球形等他の形状でもよく、この形状に限定しない。
【0013】
原理としては、多方向の波動によって相対運動する二つの浮体に、球面板と車輪がそれぞれ連動して相対運動し、車輪が球面板に沿って自転移動する機構であればよい。
主浮体上に球面板を保持し、その面上を自転移動可能な車輪を従浮体に連結してもよい。浮体配置も図のような横並びには限定せず、一方の浮体が環状で、他方の浮体がその中に浮遊する形でもよく、分割された複数の浮体が他方の浮体を囲む形でもよい。
浮体の外周の形や底面の形も限定しないが、波動を受けて揺れやすい形状が望ましい。
球面板と従浮体の連結方法は、双方の動きが連動すればよく、リンク等によって揺れ幅を増幅することも可能であり、固着する方法には限定しない。
球面板連動アームが伸縮する等の機構によって主浮体と従浮体の間隔を変化させる機能を持たせることで波の周期の変化に対応することもできる。
また、双方の浮体がそれぞれ車輪と球面板の両方を備え、浮体が互いの球面板と連動する交差方式や、その形が順次続く連結方式にすれば浮体数に比して発電効率が向上する。
【0014】
補足として、従来の方式は、一方向の波動しか利用できない問題の他に、設置場所が海岸に限定される、大規模な構造物と油圧システムを必要とする、潮の干満に対応できない、装置が大重量で常に波を受けるのでメンテナンスが容易でない等の問題もある。
本考案は水面に浮遊する方式のため、設置場所を選ばず、油圧を使わないため安価であり、潮の干満に影響されず、メンテナンスも容易である。
【0015】
さらには、浮体に帆を備えれば、多方向の波動の原動力である風力をもその揺動に利用して発電効率を上げることが可能となる。
【符号の説明】
【0016】
1 主浮体
2 従浮体
3 球面板
4 キャスター
5 車輪
6 発電機
7 中心柱
8 内側ジンバル
9 内側ジンバル回転軸
10 外側ジンバル
11 外側ジンバル回転軸
12 球面板連動アーム
図1
図2