(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140743
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、プログラム、スリーブ印刷版の製造方法、および缶の製造方法
(51)【国際特許分類】
B41M 1/30 20060101AFI20230928BHJP
B41M 1/40 20060101ALI20230928BHJP
H04N 1/405 20060101ALI20230928BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B41M1/30 Z
B41M1/40 Z
H04N1/405 512
H04N1/405
G06T1/00 500A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046737
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】杉山 靖剛
【テーマコード(参考)】
2H113
5B057
5C077
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA03
2H113AA05
2H113BA05
2H113BB24
2H113CA25
2H113DA57
2H113FA42
5B057CA01
5B057CA06
5B057CB01
5B057CB06
5B057CE08
5B057CE14
5C077LL19
5C077MP01
5C077NN05
5C077NN07
5C077NP01
5C077RR02
5C077TT08
(57)【要約】
【課題】見栄えの良い画像を示すラスタデータを生成する技術を提供すること。
【解決手段】処理対象画像に含まれる第1画像と第2画像とを取得する取得部と、前記第1画像の線数と前記第2画像の線数とを異ならせたラスタデータ、または前記第1画像のスクリーン角度と前記第2画像のスクリーン角度とを異ならせたラスタデータを生成する生成部と、を備えた画像処理装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象画像に含まれる第1画像と第2画像とを取得する取得部と、
前記第1画像の線数と前記第2画像の線数とを異ならせたラスタデータ、または前記第1画像のスクリーン角度と前記第2画像のスクリーン角度とを異ならせたラスタデータを生成する生成部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記第1画像の線数を前記第2画像の線数と異ならせ、かつ前記第1画像のスクリーン角度を前記第2画像のスクリーン角度と異ならせたラスタデータを生成可能である請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記第1画像を第1線数で描いた画像を示す第1線数ラスタデータと、前記第2画像を前記第1線数とは異なる第2線数で描いた画像を示す第2線数ラスタデータとを生成し、前記第1線数ラスタデータと前記第2線数ラスタデータとを合成することにより、前記ラスタデータを生成する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記第1画像を第1スクリーン角度で描いた画像を示す第1角度ラスタデータと、前記第2画像を前記第1スクリーン角度とは異なる第2スクリーン角度で描いた画像を示す第2角度ラスタデータとを生成し、前記第1角度ラスタデータと前記第2角度ラスタデータとを合成することにより、前記ラスタデータを生成する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記第1画像または前記第2画像がグラデーション画像の場合には、グラデーション画像における線数を減少させたラスタデータを生成する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
処理対象画像に含まれる第1画像と第2画像とを取得する取得ステップと、
前記第1画像の線数と前記第2画像の線数とを異ならせたラスタデータ、または前記第1画像のスクリーン角度と前記第2画像のスクリーン角度とを異ならせたラスタデータを生成する生成ステップと、
を備えた画像処理方法。
【請求項7】
前記生成ステップは、前記第1画像の線数を前記第2画像の線数と異ならせ、かつ前記第1画像のスクリーン角度を前記第2画像のスクリーン角度と異ならせたラスタデータを生成可能である請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記生成ステップは、前記第1画像を第1線数で描いた画像を示す第1線数ラスタデータと、前記第2画像を前記第1線数とは異なる第2線数で描いた画像を示す第2線数ラスタデータとを生成し、前記第1線数ラスタデータと前記第2線数ラスタデータとを合成することにより、前記ラスタデータを生成する請求項6または請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記生成ステップは、前記第1画像を第1スクリーン角度で描いた画像を示す第1角度ラスタデータと、前記第2画像を前記第1スクリーン角度とは異なる第2スクリーン角度で描いた画像を示す第2角度ラスタデータとを生成し、前記第1角度ラスタデータと前記第2角度ラスタデータとを合成することにより、前記ラスタデータを生成する請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記生成ステップは、前記第1画像または前記第2画像がグラデーション画像の場合には、グラデーション画像における線数を減少させたラスタデータを生成する請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項11】
画像処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
処理対象画像に含まれる第1画像と第2画像とを取得する取得部と、
前記第1画像の線数と前記第2画像の線数とを異ならせたラスタデータ、または前記第1画像のスクリーン角度と前記第2画像のスクリーン角度とを異ならせたラスタデータを生成する生成部と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記生成部は、前記第1画像の線数を前記第2画像の線数と異ならせ、かつ前記第1画像のスクリーン角度を前記第2画像のスクリーン角度と異ならせたラスタデータを生成可能である請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記生成部は、前記第1画像を第1線数で描いた画像を示す第1線数ラスタデータと、前記第2画像を前記第1線数とは異なる第2線数で描いた画像を示す第2線数ラスタデータとを生成し、前記第1線数ラスタデータと前記第2線数ラスタデータとを合成することにより、前記ラスタデータを生成する請求項11または請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記生成部は、前記第1画像を第1スクリーン角度で描いた画像を示す第1角度ラスタデータと、前記第2画像を前記第1スクリーン角度とは異なる第2スクリーン角度で描いた画像を示す第2角度ラスタデータとを生成し、前記第1角度ラスタデータと前記第2角度ラスタデータとを合成することにより、前記ラスタデータを生成する請求項11から請求項13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記生成部は、前記第1画像または前記第2画像がグラデーション画像の場合には、グラデーション画像における線数を減少させたラスタデータを生成する請求項11から請求項14のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項16】
スリーブ印刷版の製造方法であって、
円筒状をなすスリーブ体に画像パターンを形成する画像パターン形成工程を有し、
外周面に前記スリーブ体が装着可能な回転ドラムと、前記回転ドラムに装着された前記スリーブ体に対してレーザ光を照射するレーザ光照射部と、を備えたレーザ加工機を用いて、前記画像パターン形成工程を、同一の前記回転ドラムに前記スリーブ体を装着した状態で行い、
前記画像パターンは、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像処理装置で生成されたラスタデータに基づくものであり、前記ラスタデータに基づいて、前記画像パターン形成工程を実施するスリーブ印刷版の製造方法。
【請求項17】
缶の製造方法であって、
円筒状の筒体の外面に印刷を施す印刷工程を備え、
前記印刷工程では、請求項16に記載の製造方法で製造されたスリーブ印刷版を用いる印刷装置で印刷される缶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、プログラム、スリーブ印刷版の製造方法、および缶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
処理対象画像をラスタイメージ処理した場合、同系色の画像に対しては、線数とスクリーン角度が全く同じ画像となる。例えば、
図12に示されるように、輪切りの果実を示す果実画像と、その背景がグラデーション画像となっている場合であって、2つとも同系色の場合には、果実画像とグラデーション画像とが、線数とスクリーン角度が同じ画像となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、例えばグラデーション部分にモアレやトーンジャンプ(
図13参照)が発生し、見栄えが良くない画像となる。また、
図12、
図13のようにグラデーション画像と果実画像がある場合、グラデーションにおいてトーンジャンプさせないために線数を減少させると、果実画像が荒くなり、見栄えが良くない画像となる。このように複数の画像が含まれる処理対象画像に対し、線数とスクリーン角度を同じようにしてラスタイメージ処理を行うと見栄えが良くない画像となることがあった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、1つの画像内の第1画像および第2画像において、線数またはスクリーン角度を異ならせることが可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、処理対象画像に含まれる第1画像と第2画像とを取得する取得部と、前記第1画像の線数と前記第2画像の線数とを異ならせたラスタデータ、または前記第1画像のスクリーン角度と前記第2画像のスクリーン角度とを異ならせたラスタデータを生成する生成部と、を備えた画像処理装置である。
【0007】
本発明の一態様は、処理対象画像に含まれる第1画像と第2画像とを取得する取得ステップと、前記第1画像の線数と前記第2画像の線数とを異ならせたラスタデータ、または前記第1画像のスクリーン角度と前記第2画像のスクリーン角度とを異ならせたラスタデータを生成する生成ステップと、を備えた画像処理方法である。
【0008】
本発明の一態様は、画像処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、処理対象画像に含まれる第1画像と第2画像とを取得する取得部と、前記第1画像の線数と前記第2画像の線数とを異ならせたラスタデータ、または前記第1画像のスクリーン角度と前記第2画像のスクリーン角度とを異ならせたラスタデータを生成する生成部と、して機能させることを特徴とするプログラムである。
【0009】
本発明の一態様は、スリーブ印刷版の製造方法であって、円筒状をなすスリーブ体に画像パターンを形成する画像パターン形成工程を有し、外周面に前記スリーブ体が装着可能な回転ドラムと、前記回転ドラムに装着された前記スリーブ体に対してレーザ光を照射するレーザ光照射部と、を備えたレーザ加工機を用いて、前記画像パターン形成工程を、同一の前記回転ドラムに前記スリーブ体を装着した状態で行い、前記画像パターンは、上記画像処理装置で生成された間引き後画像データに基づくものであり、前記間引き後画像データに基づいて、前記画像パターン形成工程を実施するスリーブ印刷版の製造方法である。
【0010】
本発明の一態様は、缶の製造方法であって、円筒状の筒体の外面に印刷を施す印刷工程を備え、前記印刷工程では、上記製造方法で製造されたスリーブ印刷版を用いる印刷装置で印刷される缶の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】画像処理装置の機能構成を表す機能ブロック図である。
【
図6】スリーブ印刷版を軸線方向から見た説明図である。
【
図7】スリーブ印刷版の製造方法を実施するレーザ加工装置の概略図である。
【
図8】スリーブ印刷版が使用される印刷装置の概略図である。
【
図9】スリーブ印刷版が装着されるシリンダの概略図である。
【
図10】スリーブ印刷版を装着する状態を示す説明図である。
【
図11】スリーブ印刷版を装着する状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置100の機能構成を表す機能ブロック図である。画像処理装置100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリなどの記憶装置や補助記憶装置などを備え、画像処理プログラムを実行することによって通信部110、操作表示部115、制御部120、および画像データ記憶部140を備える装置として機能する。なお、通信部110、操作表示部115、制御部120、および画像データ記憶部140の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0013】
画像処理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。画像処理プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0014】
通信部110は、ネットワークインタフェースである。通信部110はLAN(Local Area Network)やインターネットなどを介して他装置と通信する。例えば、通信部110は、他装置から画像データを受信したり、他装置に画像処理済みの画像データを送信する。操作表示部115は、画像処理装置100の操作者による操作入力を受け付けたり、操作者に対し各種情報を表示する。各種情報の表示は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)などにより行われる。
【0015】
画像データ記憶部140は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。画像データ記憶部140は、処理対象画像を示すラスタイメージ処理前の画像データや画像処理装置により生成されたラスタイメージ処理後の画像データを記憶する。
【0016】
図1における制御部120は画像処理装置100の各部の動作を制御する。制御部120は、例えばCPU等のプロセッサ、およびRAMを備えた装置により実行される。制御部120は、画像処理プログラムを実行することによって、取得部121、および生成部122として機能する。
【0017】
取得部121は、処理対象画像に含まれる第1画像と第2画像とを取得する。取得部121は、例えば操作表示部115に表示された処理対象画像に対し、操作者によってマウスなどのポインティングディバイスにより表示された処理対象画像に対して指定された2つの領域に対応する画像を第1画像および第2画像として取得する。
【0018】
生成部122は、第1画像の線数と第2画像の線数とを異ならせたラスタデータ、または第1画像のスクリーン角度と前記第2画像のスクリーン角度とを異ならせたラスタデータを生成する。また、生成部122は、第1画像の線数を第2画像の線数と異ならせ、かつ第1画像のスクリーン角度を第2画像のスクリーン角度と異ならせたラスタデータを生成可能である。
【0019】
生成部122は、線数角度変更部123、FM処理部124、ラスタイメージ処理部125、および合成部126で構成される。線数角度変更部123は、第1画像の線数と第2画像の線数とが異なるように線数を変更する。線数角度変更部123は、第1画像のスクリーン角度と第2画像のスクリーン角度とが異なるようにスクリーン角度を変更する。
【0020】
線数の変更方法として、例えばある色にデフォルトで定められている線数を一方の画像(例えば第1画像)の線数とし、デフォルトで定められている線数とは異なる線数を他方の画像(例えば第2画像)の線数とする方法がある。なお、例えば線数を増やしたり、減らしたりするために、操作者により線数を指定可能としてもよい。
【0021】
スクリーン角度の変更方法として、例えばある色にデフォルトで定められているスクリーン角度を一方の画像(例えば第1画像)のスクリーン角度とし、デフォルトで定められているスクリーン角度とは異なるスクリーン角度を他方の画像(例えば第2画像)のスクリーン角度とする方法がある。なお、操作者によりスクリーン角度を指定可能としてもよい。
【0022】
線数とスクリーン角度は、いずれか一方のみを変更してもよいし、両方を変更してもよい。いずれか一方のみ、または両方を変更するか否かは、予め操作者により設定されていてもよい。また、処理対象画像において第1画像と第2画像の線数が異なる場合には、線数角度変更部123は線数を変更しなくてもよい。処理対象画像において第1画像と第2画像のスクリーン角度が異なる場合には、線数角度変更部123はスクリーン角度を変更しなくてもよい。
【0023】
FM処理部124は、ラスタデータに対し、FMスクリーニング処理を行う。具体的に、FM処理部124は、例えば操作者により指定された領域(例えばグラデーションが描かれた領域)に対してFMスクリーニング処理を行う。ラスタイメージ処理部125は、処理対象画像を示すデータからラスタデータを生成したり、第1画像や第2画像を示すラスタデータを生成する。合成部126は、2つのラスタデータを合成し、1つのラスタデータを生成する。合成部126により合成され、生成された1つのラスタデータを、以下の説明では「処理済みラスタデータ」ともいう。
【0024】
図2は、処理概要を説明するための図である。
図2には、処理対象画像、第1画像、第2画像、および合成画像の一例が示されている。取得部121は、上述したように操作者により指定された2つの領域に対応する画像を第1画像および第2画像として取得する。操作者は、
図2に示されるように、一部グラデーションが含まれる背景画像と、果実の画像を指定したものとする。なお、
図2では、背景画像を第1画像とし、果実画像を第2画像としているが、背景画像を第2画像とし、果実画像を第1画像としてもよい。
【0025】
第1画像、第2画像が取得されると、線数角度変更部123は、第1画像の線数と第2画像の線数とを異ならせるように線数を変更する。また、線数角度変更部123は、第1画像のスクリーン角度と第2画像のスクリーン角度とが異なるようにスクリーン角度を変更する。上述したように線数とスクリーン角度は、いずれか一方のみを変更してもよいし、両方を変更してもよい。
【0026】
ラスタイメージ処理部125は、第1画像を示すラスタデータと第2画像を示すラスタデータと生成する。例えば、線数角度変更部123により、第1画像の線数を第1線数に変更され、第2画像の線数を第1線数とは異なる第2線数に変更されたとする。この場合、ラスタイメージ処理部125は、第1画像を第1線数で描いた画像を示す第1線数ラスタデータと、第2画像を第2線数で描いた画像を示す第2線数ラスタデータとを生成する。合成部126は、第1線数ラスタデータと第2線数ラスタデータとを合成することにより、処理済みラスタデータを生成し、画像データ記憶部140に記憶する。
【0027】
また、線数角度変更部123により、第1画像のスクリーン角度を第1スクリーン角度に変更され、第2画像のスクリーン角度を第1スクリーン角度とは異なる第2スクリーン角度に変更されたとする。この場合、ラスタイメージ処理部125は、第1画像を第1スクリーン角度で描いた画像を示す第1角度ラスタデータと、第2画像を第2スクリーン角度で描いた画像を示す第2角度ラスタデータとを生成する。合成部126は、第1角度ラスタデータと第2角度ラスタデータとを合成することにより、処理済みラスタデータを生成し、画像データ記憶部140に記憶する。
【0028】
線数とスクリーン角度の両方が変更された場合、例えば線数角度変更部123により、第1画像の線数を第1線数に変更され、第2画像の線数を第1線数とは異なる第2線数に変更され、第1画像のスクリーン角度を第1スクリーン角度に変更され、第2画像のスクリーン角度を第1スクリーン角度とは異なる第2スクリーン角度に変更されたとする。
【0029】
この場合、ラスタイメージ処理部125は、第1画像を第1線数と第1スクリーン角度で描いた画像を示す第1ラスタデータと、第2画像を第2線数と第2スクリーン角度で描いた画像を示す第2ラスタデータとを生成する。合成部126は、第1ラスタデータと第2ラスタデータとを合成することにより、処理済みラスタデータを生成し、画像データ記憶部140に記憶する。
【0030】
図3は、合成画像の拡大図である。処理対象画像における線数は、120線で、スクリーン角度は70度であったとする。第1画像(背景画像)は、線数が80線で、スクリーン角度が45度で生成した場合の画像を示す。第2画像(果実画像)は、線数が120線で、スクリーン角度が75度のAMスクリーンで生成した場合の画像を示す。このように、グラデーション画像に対し、もともとの処理対象画像の線数であった120線よりも線数を減少させることで、トーンジャンプなどを抑制できる。スクリーン角度を変更することでモアレを抑制することができる。よって、本実施形態によれば、線数またはスクリーン角度を異ならせること可能な技術を提供することができる。これにより、見栄えの良い画像を示すラスタデータを生成することができる。
【0031】
以上説明した画像処理装置100による処理の流れをフローチャートを用いて説明する。
図4は、画像処理装置100により行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0032】
図4において、画像処理装置100は、第1画像と第2画像とを取得する(ステップS101)。線数角度変更部123は、第1画像の線数と第2画像の線数とを異ならせように変更する。線数角度変更部123は、第1画像の線数をaに変更し(ステップS102)、第2画像の線数をb(≠a)に変更する(ステップS103)。
【0033】
線数角度変更部123は、第1画像の角度と第2画像のスクリーン角度とを異ならせように変更する。線数角度変更部123は、第1画像のスクリーン角度と第2画像のスクリーン角度とを異ならせように変更する。線数角度変更部123は、第1画像のスクリーン角度をsに変更し(ステップS104)、第2画像のスクリーン角度をt(≠s)に変更する(ステップS105)。
【0034】
第1画像と第2画像の線数とスクリーン角度とが変更されたことで、ラスタイメージ処理部125は、変更された線数とスクリーン角度とで第1画像を示すラスタデータと第2画像を示すラスタデータとを生成する(ステップS106)。このとき、操作者からFMスクリーニング処理を行う指示が入力されている場合には、FM処理部124によりFMスクリーニング処理を行う。また、グラデーション画像である場合には、もともとの処理対象画像の線数よりもグラデーション画像における線数を減少させたラスタデータを生成してもよい。
【0035】
合成部126は、第1画像を示すラスタデータと、第2画像を示すラスタデータとを合成する(ステップS107)。合成部126は、合成することで生成された処理済みラスタデータを画像データ記憶部140に記憶する(ステップS108)。なお、処理済みラスタデータを出力先は、画像データ記憶部140の他に、後述のレーザ加工装置が挙げられる。
【0036】
以上説明した構成において、操作者による操作表示部115の操作により第1画像または第2画像を背景画像やグラデーション画像として指定可能としてもよい。背景画像やグラデーション画像と指定された画像に対し、線数角度変更部123は、指定された画像の例えば線数を減少させる。また、操作者による操作表示部115の操作により第1画像または第2画像の線数の増加を指定できるようにしてもよい。線数の増加が指定された画像に対し、線数角度変更部123は、指定された画像の例えば線数を増加させる。
【0037】
なお、複数の色で印刷する場合には、各色ごとに処理済みラスタデータが出力される。そして、レーザ加工装置において、色ごとにスリーブ印刷版が製造される。
【0038】
このようにして出力された処理済みラスタデータは、レーザ加工装置50で後述する第2画像データとして用いられる。レーザ加工装置50の説明に先立ち、まずレーザ加工装置50により加工されるスリーブ印刷版30について説明する。
【0039】
スリーブ印刷版30は、
図5及び
図6に示すように、軸線Oに沿って延びる円筒状をなすスリーブ体31と、スリーブ体31の外周側に配設された版材32と、を備えている。
【0040】
スリーブ体31は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で形成されており、外径が100mm以上300mm以下、軸線O方向長さが50mm以上600mm以下、肉厚が0.1mm以上1.0mm以下とされている。
版材32は、例えばレーザ光による彫刻が可能な感光性樹脂からなり、肉厚が0.5mm以上1.0mm以下の円筒状をなしている。この版材32の外周面には、画像パターンを有する凸版33が刻設されている。本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、2つの凸版33が180°対向位置に形成されている。
【0041】
そして、スリーブ印刷版30の軸線O方向一端側(
図5において左側)部分には、後述するオフセット印刷装置80のシリンダ21に立設されたガイドピン24と係合することによって、シリンダ21との周方向相対位置、軸線O方向相対位置を案内する位置決め用切欠部34が形成されている。
本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、4つの位置決め用切欠部34a,34b,34c,34dが、周方向に90°間隔で形成されている。
【0042】
位置決め用切欠部34a,34cは、凸版33が形成されていない非画像部の中間位置にそれぞれ形成され、互いに180°対向位置に配設されている。
位置決め用切欠部34b,34dは、凸版33が形成された画像部の中間位置にそれぞれ形成され、互いに180°対向位置に配設されている。なお、この位置決め用切欠部34B,34においては、その開口端(軸線O方向一端側部分)にブリッジ部35が形成されている。
すなわち、位置決め用切欠部34a,34b,34c、34dは、90°間隔で軸対称に配置されているのである。
【0043】
次に、本実施形態であるスリーブ印刷版30を製造する際に用いられるレーザ加工装置50について、
図7を参照にして説明する。
【0044】
このレーザ加工装置50は、
図7に示すように、円筒状をなすスリーブ素体40が装着される円筒面51Aを有する回転ドラム51及びこの回転ドラム51を回転可能に支持する軸支部52を有するスリーブ素体支持部53と、回転ドラム51を軸線Nを中心に回動させる回転駆動部55と、回転ドラム51に装着されたスリーブ素体40に対してレーザ光を照射するレーザ光照射部60と、このレーザ光照射部60を回転ドラム51の軸線Nに平行な方向に移動させる直動部65と、これら回転ドラム51、直動部65及びレーザ光照射部60の動作を制御する制御部70と、を備えている。
【0045】
直動部65は、回転ドラム51の軸線Nに平行な方向に延在するガイドバー66と、このガイドバー66に沿って移動する支持部材67と、支持部材67の位置情報(軸線N方向位置情報Z)を得る軸線方向位置センサ68と、を備えている。
そして、レーザ光照射部60は、直動部65の支持部材67に支持され、軸線Nに平行な方向に移動可能な構成とされている。また、このレーザ光照射部60には、レーザ光の出力を調整する出力調整器61が設けられている。なお、本実施形態においては、レーザ光照射部60は炭酸ガスレーザで構成されている。
【0046】
制御部70は、位置決め用切欠部形成位置及び形状と切断位置及び形状を示す第1画像データ及び凸版33の画像パターンの位置及び形状を示す第2画像データを記憶する記憶手段71と、第1画像データに基づいて、切断及び位置決め用切欠部を形成する際のレーザ光のエネルギー密度と第2画像データに基づいて凸版33の画像パターンを形成する際のレーザ光のエネルギー密度とを、それぞれ調整するエネルギー密度調整部72と、を備えている。
そして、第1画像データ及び第2画像データに基づいて、回転ドラム51、直動部65及びレーザ光照射部60の動作を制御し、スリーブ素体40の切断、位置決め用切欠部34の形成、凸版33の形成を行う。上述したように、第2画像データは、画像処理装置100から出力された間引き後画像データである。第2画像データの取得方法として、例えばレーザ加工装置50に通信手段を設け、この通信手段によって画像処理装置100と通信可能に構成することでレーザ加工装置50が間引き後画像データを取得する方法が挙げられる。
【0047】
次に、このような構成とされたレーザ加工装置50を用いたスリーブ印刷版30の製造方法について説明する。
まず、回転ドラム51の円筒面51Aにスリーブ素体40を装着する。このとき、スリーブ素体40の一端を回転ドラム51に嵌め込み、この状態でエア噴出機構によってエア孔からエアを噴出する。すると、このエアによってスリーブ素体40が拡径され、回転ドラム51にスリーブ素体40が装着される。このとき、スリーブ素体40の軸線Oと回転ドラム51の軸線Nが一致することになる。
【0048】
次に、位置決め用切欠部形成位置及び形状と切断位置及び形状を示す第1画像データと、凸版33の画像パターンの位置及び形状を示す第2画像データと、を記憶手段71に記憶させる。
そして、制御部70において、これら第1画像データ及び第2画像データに基づいて、回転ドラム51、直動部65及びレーザ光照射部60の動作を制御する。
【0049】
レーザ光照射部60からスリーブ素体40に向けてレーザ光を照射しながら、回転ドラム51を回転駆動部55によって回転させるとともに直動部65によって軸線N方向に移動させることにより、スリーブ素体40の外周面全体をレーザ光照射部60によって走査させる。
【0050】
ここで、第1画像データに該当する箇所では、エネルギー密度調整部72から出力調整器61に指令信号が発信されてレーザ光の出力が高く設定され、スリーブ素体40の肉厚全体が除去されることになる。これにより、スリーブ素体40の切断及び位置決め用切欠部34の形成が行われる。
一方、第2画像データに該当する箇所では、エネルギー密度調整部72から出力調整器61に指令信号が発信されてレーザ光の出力が低く設定され、スリーブ素体40の肉厚の一部が除去されることになる。これにより、スリーブ素体40に凸版33の画像パターンが形成される。
【0051】
このように、レーザ光の出力を調整することでレーザ光のエネルギー密度が調整され、スリーブ素体40の外周面全体をレーザ光照射部60によって1回走査させることによって、スリーブ素体40の切断、位置決め用切欠部34の形成及び凸版33の画像パターンの形成が行われる。
以上のようにして、本実施形態であるスリーブ印刷版30が製造される。
【0052】
次に、本実施形態であるスリーブ印刷版30を使用するオフセット印刷装置80について説明する。オフセット印刷装置80の概略を
図8に示す。このオフセット印刷装置80は、円筒状をなす缶の外周面に印刷を施す缶の印刷装置である。
オフセット印刷装置80は、複数配置されたインク付着機構81と、缶移動機構91とで概略構成されている。
【0053】
インク付着機構81は、インクを供給するインカーユニット84と、このインカーユニット84に接触してインクを写し取った後、缶胴90の外周面に接触して該インクを印刷する(付着させる)ブランケット83を複数枚備えるブランケットホイール82とから構成される。
インカーユニット84は、インク源85と、インク源85に接触してインクを受けるダクティングロール86と、このダクティングロール86に接続して複数のローラからなるインキ練りロール87と、このインキ練りロール87に接続するインキ付けロール88と、このインキ付けロール88に接続する版胴20とからなり、版胴20の外周面には缶胴90に転写する画像パターンを備えたスリーブ印刷版30が配設されている。ブランケットホイール82の外周面には、ブランケット83が複数枚備えられており、このブランケット83は、版胴20の外周面に配設されたスリーブ印刷版30の凸版33に接触するとともに、缶胴90に接触する構成とされている。
【0054】
缶移動機構91は、缶胴90を取り入れる缶シュータ92と、この缶シュータ92から供給された缶胴90を回転自在に保持するマンドレル93と、このマンドレル93に装着された缶胴90を、順次、インク付着機構81方向に回転移動させるマンドレルターレット94とで構成されている。
【0055】
版胴20は、
図10及び
図11に示すように、円柱状をなし、印刷装置80のシャフト部95に片持ち状態で回転自在に支持されるシリンダ21を有しており、このシリンダ21の外周側に、本実施形態であるスリーブ印刷版30が嵌着される。ここで、スリーブ印刷版30の内径とシリンダ21の外径とは略同一に設定されている。なお、シリンダ21の外周面にはエア孔22が複数形成されており、シリンダ21の端面に形成された導入孔23からエアを供給してエア孔22から噴出させることにより、スリーブ印刷版30の内径を押し広げてシリンダ21への着脱を行うように構成されている。すなわち、スリーブ印刷版30が元の内径に戻ろうとする収縮力によってシリンダ21の外周面にスリーブ印刷版30が強く密着することにより、スリーブ印刷版30とシリンダ21とが固定されているのである。
【0056】
そして、シリンダ21には、その外周面のシャフト部95側に、径方向外方に向けて突出したガイドピン24が設けられており、ガイドピン24にスリーブ印刷版30の位置決め用切欠部34が係合され、スリーブ印刷版30とシリンダ21との周方向位置及び軸線O方向位置が決定される構成とされている。
ここで、本実施形態では、
図9に示すように、ガイドピン24は、シリンダ21の外周面に穿設されたピン孔25に着脱可能に装着されている。シリンダ21には、2つのピン孔25a,25bが周方向に90°間隔で形成されており、この2つのピン孔25a,25bに選択的にガイドピン24を装着する構成とされている。
【0057】
ここで、スリーブ印刷版30の非画像部の中間位置に形成された位置決め用切欠部34a,34cを使用する場合には、
図10に示すように、ピン孔25aに装着されたガイドピン24を使用する。
一方、スリーブ印刷版30の画像部の中間位置に形成された位置決め用切欠部34b,34dを使用する場合には、
図11に示すように、ピン孔25bに装着されたガイドピン24を使用する。
すなわち、ガイドピン24は、スリーブ印刷版30に形成された複数の位置決め用切欠部34a、34b、34c、34dに対応するように、周方向位置が変更可能とされているのである。
【0058】
このようにしてスリーブ印刷版30が配設されたオフセット印刷装置80においては、各々のインカーユニット84のインク源85から各々異なった色のインクが、ダクティングロール86、インキ練りロール87、インキ付けロール88を介して、版胴20の外周面に配設された凸版33に付着させられ、これら各色のインクが、回転するブランケットホイール82上のブランケット83にパターンとして乗せられ、このパターンがマンドレル93に保持された缶胴90に接触しながら印刷される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、線数またはスクリーン角度を異ならせることが可能な技術を手供することができる。これにより、見栄えの良い画像を示すラスタデータを生成することができる。
【0060】
本実施形態によれば、従来技術と異なり、画像内の第1画像や第2画像における線数やスクリーン角度を異ならせることができる。これにより、例えば同系色のみで構成された画像において、モアレやトーンジャンプなどを抑制することが可能となるので、見栄えの良い画像を示すラスタデータを生成することができる。
【0061】
また、同系色であっても画像ごとに線数やスクリーン角度を異ならせることができるという従来にはなかった処理を提供することができるので、印刷業界の発展に寄与することができる。
【0062】
以上説明した実施形態では、画像処理装置100が生成したラスタデータを用いて凸版印刷を行う例について説明したが、ラスタデータを用いて印刷を行う印刷装置であれば本実施形態を適用可能である。例えば、版に凹凸がほとんど存在しない平板を用いる平版印刷装置や、インクジェットプリンタや、電子写真方式のプリンタにも本実施形態を適用できる。
【0063】
また、本実施形態では、スリーブ印刷版30として、4つの位置決め用切欠部34a,34b,34c,34dが設けられたスリーブ印刷版を用いたが、位置決め用切欠部は4つに限るものではなく、1つ以上であればよい。
【0064】
上述した実施形態における画像処理装置100の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
30 スリーブ印刷版
31 スリーブ体
32 版材
33 凸版
50 レーザ加工装置
60 レーザ光照射部
61 出力調整器
70 制御部
71 記憶手段
80 オフセット印刷装置
90 缶胴
100 画像処理装置
110 通信部
115 操作表示部
120 制御部
121 取得部
122 生成部
123 線数角度変更部
124 FM処理部
125 ラスタイメージ処理部
126 合成部
140 画像データ記憶部