(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140751
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】レンズ検査装置
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G01M11/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046749
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】谷口 慎也
【テーマコード(参考)】
2G086
【Fターム(参考)】
2G086FF01
2G086FF02
2G086FF05
(57)【要約】
【課題】カメラを移動させる駆動部で異物が発生した場合でも、当該異物が落下してレンズに付着することを低減できる技術を提供する。
【解決手段】レンズ検査装置は、レンズ保持部51と、第1カメラ611と、第1駆動部613と、第1アーム615とを有する。レンズ保持部51は、レンズ9を保持する。第1カメラ611は、レンズ保持部51に保持されるレンズ9を撮像する。第1駆動部613は、レンズ保持部51よりも下側に位置し、第1カメラ611を移動させる。第1アーム615は、第1カメラ611と第1駆動部613を連結する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ検査装置であって、
レンズを保持するレンズ保持部と、
前記レンズ保持部に保持される前記レンズを撮像するカメラと、
前記レンズ保持部に保持される前記レンズよりも下側に位置し、前記カメラを移動させるための駆動部と、
前記カメラと前記駆動部を連結する連結部と、
を備える、レンズ検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ検査装置であって、
前記カメラは、前記レンズ保持部よりも上側に離れて位置する、レンズ検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレンズ検査装置であって、
前記レンズ保持部、前記カメラ、前記駆動部および前記連結部を収容可能な収容部と、
前記収容部内において、前記カメラよりも上側から前記カメラよりも下側へ向かう気流を発生させる気流発生部と、
前記駆動部よりも下側に位置し、かつ、前記収容部内のエアを前記収容部外へ排出する排気部と、
をさらに備える、レンズ検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載のレンズ検査装置であって、
前記レンズ保持部は、撮像位置と、前記撮像位置から水平方向に離れた搬出位置との間で移動可能であり、
前記カメラは、前記撮像位置の前記レンズ保持部に保持されている前記レンズを撮像可能であり、
前記収容部は、前記搬出位置の前記レンズ保持部から前記レンズを搬出するための搬出口を有する、レンズ検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載のレンズ検査装置であって、
前記収容部は、
前記カメラ、前記撮像位置の前記レンズ保持部、前記駆動部および前記連結部を収容する第1収容部と、
前記第1収容部と連通し、前記搬出位置の前記レンズ保持部を収容し、前記搬出口を有する第2収容部と、
を有し、
前記気流発生部は、前記第1収容部の上部に位置する、レンズ検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載のレンズ検査装置であって、
前記搬出口は、前記第2収容部の上部に位置する、レンズ検査装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のレンズ検査装置であって、
前記排気部は、前記第2収容部に位置する、レンズ検査装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のレンズ検査装置であって、
前記排気部は、前記第1収容部に位置する第1排気部と、前記第2収容部に位置する第2排気部とを有する、レンズ検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載のレンズ検査装置であって、
前記第2排気部からの排気量は、前記第1排気部からの排気量よりも大きい、レンズ検査装置。
【請求項10】
請求項5から請求項9のいずれか1項に記載のレンズ検査装置であって、
前記第2収容部の上部が、前記第1収容部の上部よりも下側に位置する、レンズ検査装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のレンズ検査装置であって、
前記レンズ保持部に保持される前記レンズを照明する照明部、
をさらに備え、
前記駆動部は、前記照明部を移動させる、レンズ検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、レンズ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラで撮影された画像に基づいて、レンズを検査する場合がある。例えば、特許文献1では、眼内レンズ(500)を2台のCCDカメラ(50A,50B)でZ方向およびY方向から撮像し、得られた画像に基づいて、眼内レンズ(500)の寸法および光学的特性が測定される。
【0003】
特許文献1では、X軸モータ(45a,47a)、Y軸モータ(45b,47b)およびZ軸モータが備えられており、これらの駆動によって、CCDカメラ(50A,50B)をX,Y,Z方向へ移動させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カメラが検査対象のレンズよりも上方に配置されている場合、カメラを移動させる駆動部で異物が発生すると、当該異物が落下して検査対象であるレンズに付着する可能性があった。異物が検査対象のレンズに付着すると、当該レンズが汚染されることにより、検査を適切に行うことが困難となるおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、カメラを移動させる駆動部で異物が発生した場合でも、当該異物が落下してレンズに付着することを低減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1態様は、レンズ検査装置であって、レンズを保持するレンズ保持部と、前記レンズ保持部に保持される前記レンズを撮像するカメラと、前記レンズ保持部に保持される前記レンズよりも下側に位置し、前記カメラを移動させるための駆動部と、前記カメラと前記駆動部を連結する連結部とを備える。
【0008】
第2態様は、第1態様のレンズ検査装置であって、前記カメラは、前記レンズ保持部よりも上側に離れて位置する。
【0009】
第3態様は、第1態様または第2態様のレンズ検査装置であって、前記レンズ保持部、前記カメラ、前記駆動部および前記連結部を収容可能な収容部と、前記収容部内において、前記カメラよりも上側から前記カメラよりも下側へ向かう気流を発生させる気流発生部と、前記駆動部よりも下側に位置し、かつ、前記収容部内のエアを前記収容部外へ排出する排気部とをさらに備える。
【0010】
第4態様は、第3態様のレンズ検査装置であって、前記レンズ保持部は、撮像位置と、前記撮像位置から水平方向に離れた搬出位置との間で移動可能であり、前記カメラは、前記撮像位置の前記レンズ保持部に保持されている前記レンズを撮像可能であり、前記収容部は、前記搬出位置の前記レンズ保持部から前記レンズを搬出するための搬出口を有する。
【0011】
第5態様は、第4態様のレンズ検査装置であって、前記収容部は、前記カメラ、前記撮像位置の前記レンズ保持部、前記駆動部および前記連結部を収容する第1収容部と、前記第1収容部と連通し、前記搬出位置の前記レンズ保持部を収容し、前記搬出口を有する第2収容部と、を有し、前記気流発生部は、前記第1収容部の上部に位置する。
【0012】
第6態様は、第5態様のレンズ検査装置であって、前記搬出口は、前記第2収容部の上部に位置する。
【0013】
第7態様は、第5態様または第6態様のレンズ検査装置であって、前記排気部は、前記第2収容部に位置する。
【0014】
第8態様は、第5態様から第7態様のいずれか1つのレンズ検査装置であって、前記排気部は、前記第1収容部に位置する第1排気部と、前記第2収容部に位置する第2排気部とを有する。
【0015】
第9態様は、第8態様のレンズ検査装置であって、前記第2排気部からの排気量は、前記第1排気部からの排気量よりも大きい。
【0016】
第10態様は、第5態様から第9態様のいずれか1つのレンズ検査装置であって、前記第2収容部の上部が、前記第1収容部の上部よりも下側に位置する。
【0017】
第11態様は、第1態様から第10態様のいずれか1つのレンズ検査装置であって、前記レンズ保持部に保持される前記レンズを照明する照明部、をさらに備え、前記駆動部は、前記照明部を移動させる。
【発明の効果】
【0018】
第1態様から第11態様のレンズ検査装置によれば、カメラを移動させる駆動部がレンズよりも下側に位置するため、駆動部で発生した異物が落下してレンズに付着することが低減される。したがって、レンズの汚染を低減できる。
【0019】
第2態様のレンズ検査装置によれば、レンズを上側から撮影できる。また、カメラがレンズよりも上側に位置していても、駆動部がレンズよりも下側に位置するため、駆動部で発生した異物がレンズに付着することを低減できる。
【0020】
第3態様のレンズ検査装置によれば、排気部によって、駆動部で発生した異物を収容部外へ排出できる。
【0021】
第5態様のレンズ検査装置によれば、駆動部で発生した異物が上昇してレンズに付着することを低減できる。
【0022】
第6態様のレンズ検査装置によれば、第2収容部の上部の搬出口を介して、搬出位置のレンズ保持部からレンズを搬出できる。
【0023】
第7態様のレンズ検査装置によれば、第2収容部で排気できる。これにより、第1収容部から第2収容部へ向けて気流を発生させることができるため、第2収容部におけるエア溜まりを低減できる。
【0024】
第8態様のレンズ検査装置によれば、第1収容部および第2収容部からエアを排出できる。
【0025】
第9態様のレンズ検査装置によれば、第2収容部におけるエア溜まりを低減できる。
【0026】
第10態様のレンズ検査装置によれば、第1収容部で発生した気流が、第2収容部の排気部に向かうことによって、第2収容部の上部付近におけるエア溜まりを低減できる。
【0027】
第11態様のレンズ検査装置によれば、撮像条件に合わせてレンズを照明できる。また、照明部を移動させることで駆動部から異物が発生した場合でも、当該異物がレンズに付着することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係るレンズ検査装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示されるレンズ検査装置の収容部内を示す側面図である。
【
図3】
図1に示されるレンズ検査装置の収容部内を概略的に示す平面図である。
【
図4】
図1に示されるレンズ検査装置の収容部内に形成される気流を概念的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0030】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係るレンズ検査装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示されるレンズ検査装置1の収容部3内を示す側面図である。
図3は、
図1に示されるレンズ検査装置1の収容部3内を概略的に示す平面図である。
【0031】
図1およびそれ以降の各図には、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸をそれぞれ示す矢印が図示されている場合がある。X軸、Y軸およびZ軸は、好ましくは直交する。また、各矢印の先端が向く方を+(プラス)側とし、+側の反対側を-(マイナス)側とする。また、以下の説明では、Z軸に沿う方向を鉛直方向とし、X軸およびY軸に沿う各方向を、水平面と平行な水平方向とする。また、+Z側を「上側」とし、-Z側を「下側」として説明する。ただし、これらの各方向は、装置構成の位置関係を限定するものではない。
【0032】
レンズ検査装置1は、検査対象であるレンズ9を、第1カメラ611および第2カメラ621によって得られる画像に基づいて検査する装置である。レンズ9は、例えば眼内レンズまたはコンタクトレンズなど、目に装着されるものである。ただし、レンズ9は、目に装着されるレンズ以外のもの(例えば、光学機器等(カメラなど)に用いることが可能なレンズ)であってもよい。
【0033】
図1および
図2に示されるように、レンズ検査装置1は、収容部3と、検査部5と、ファンフィルターユニット7と、制御部8とを備える。
【0034】
収容部3は、筐体であって、内部に検査部5を収容可能である。収容部3は、第1収容部31と、第2収容部33とを有する。第1収容部31および第2収容部33は、略直方体状である。第2収容部33は、第1収容部31の+X側に隣接して位置する。第1収容部31の内部は、第2収容部33の内部と連通している。第2収容部33の上部33uは、第1収容部31の上部31uよりも下側に位置する。
【0035】
図2に示されるように、第2収容部33は、レンズ9を投入および搬出するための投入・搬出口331と、シャッター333とを有する。投入・搬出口331は、第2収容部33の上部33uに位置する。シャッター333は、投入・搬出口331を開閉する。収容部3内にレンズ9を投入する際、または、収容部3からレンズ9を搬出する際、シャッター333が開けられる。また、収容部3内でレンズ9を検査する際、シャッター333が閉じられる。
【0036】
図2に示されるように、検査部5は、レンズ保持部51と、ステージ53と、ステージ駆動部55と、架台57とを有する。また、検査部5は、第1カメラ611と、第1駆動部613と、第1アーム615と、第1照明部617とを有する。さらに、検査部5は、第2カメラ621と、第2駆動部623と、第2アーム625と、第2照明部627とを有する。
【0037】
レンズ保持部51は、検査対象であるレンズ9を保持する。レンズ保持部51は、透明性を有する。レンズ保持部51は、支持フレーム511を介して、略直方体状であるステージ53の上面に取り付けられている。
図2に示されるように、レンズ検査装置1は、透過照明部513を備える。透過照明部513は、レンズ保持部51の下側に位置する。透過照明部513は、レンズ保持部51に保持されているレンズ9を-Z側から照明する。
【0038】
ステージ駆動部55は、架台57の上面に設けられた、X軸方向に延びるガイドレール(不図示)に沿って、ステージ53をX軸方向に往復移動させる。ステージ駆動部55は、ステージ53を、第1収容部31と第2収容部33との間を、移動させることによって、レンズ保持部51を撮像位置P1と、投入・搬出位置P2との間で移動させる。
【0039】
また、ステージ53は、ステージ駆動部55によって、Y方向に移動可能であるとともに、軸まわりのθ方向に回転可能である。ステージ53がY方向に移動およびθ方向に回転することによって、レンズ保持部51に保持されたレンズ9のY方向における位置、または、θ方向の向きが適宜調整される。
【0040】
図2に示されるように、第1カメラ611および第2カメラ621は、撮像位置P1のレンズ保持部51に保持されているレンズ9を撮像可能である。
【0041】
投入・搬出口331は、投入・搬出位置P2のレンズ保持部51の直上に位置する。検査前のレンズ9は、投入・搬出口331を介して、投入・搬出位置P2のレンズ保持部51に設置される。また、検査が完了したレンズ9は、投入・搬出口331を介して、投入・搬出位置P2のレンズ保持部51から収容部3外に搬出される。レンズ9の投入および搬出は、搬送ロボットなどの機械によって行われてもよいし、手作業で行われてもよい。
【0042】
第1カメラ611は、撮像位置P1のレンズ保持部51から+Z方向に離れて位置する。第1カメラ611は、レンズ9の上面(+Z側面)を撮像する。第1カメラ611は、撮像した画像を制御部8へ送信する。
【0043】
第1カメラ611は、Z方向に延びる第1アーム615を介して、第1駆動部613に連結されている。第1アーム615は、第1カメラ611と第1駆動部613を連結する連結部である。
【0044】
第1駆動部613は、第1カメラ611を移動させる。詳細には、第1駆動部613は、第1アーム615をZ方向に移動させることにより、第1カメラ611をZ方向に移動させる。第1カメラ611をZ方向に移動させることによって、レンズ保持部51に保持されているレンズ9に合わせて、第1カメラ611の焦点位置が適宜調整される。
【0045】
第2カメラ621は、撮像位置P1のレンズ保持部51から-X方向に離れて位置する。また、第2カメラ621は、撮像位置P1のレンズ保持部51から+Z方向に離れて位置する。第2カメラ621は、レンズ9の側面(-X側面)を撮像する。第2カメラ621は、撮像した画像を制御部8へ送信する。
【0046】
第2カメラ621は、第2アーム625を介して第2駆動部623に連結されている。第2アーム625は、第2カメラ621と第2駆動部623を連結する連結部である。第2駆動部623は、第2アーム625を移動させることによって、第2カメラ621を移動させる。
【0047】
第2アーム625は、第2駆動部623から+Z方向に延びている。より詳細には、第2アーム625は、第2駆動部623から+Z方向および-X方向に延びている。
【0048】
第2駆動部623は、第2アーム625を移動させることによって、第2カメラ621を移動させる。例えば、第2駆動部623は、Y方向と平行な所定軸を中心として、第2アーム625を所定の角度だけ回転させる。これにより、第2カメラ621の煽り角(第2カメラ621の光軸OAと、水平軸との成す角度α)が調整される。また、第2駆動部623は、第2カメラ621を、接離方向に移動させる。接離方向は、第2カメラ621がレンズ保持部51に接近する方向、および、レンズ保持部51から離れる方向である。接離方向は、例えば第2カメラ621の光軸OAに沿う方向である。
図2に示される例では、接離方向は、+X方向に向かって-Z側へ傾いている。また、
図3に示されるように、第2駆動部623は、第2アーム625をY方向に移動させる。
【0049】
第1駆動部613および第2駆動部623は、アクチュエータであって、モータまたはピストンなどの駆動源と、駆動源の運動を所望方向の運動に変換する変換機構と、移動方向を規定するガイド部材とで構成される。変換機構は、例えば、ボールねじおよびラック・アンド・ピニオンなどで構成される。第1駆動部613および第2駆動部623が動作すると、部材の摺動(例えば、モータの軸受における摺動、変換機構またはガイド部材における摺動等)によって、異物(ゴミ)が発生する場合がある。
【0050】
図2に示されるように、第1駆動部613および第2駆動部623は、レンズ保持部51の上端よりも下側に位置する。すなわち、レンズ保持部51がレンズ9を保持した状態で、第1駆動部613および第2駆動部623は、レンズ9よりも下側に位置する。このため、第1駆動部613および第2駆動部623において異物が発生した場合でも、当該異物が落下してレンズ9に付着することを低減できる。したがって、レンズ9の汚染を低減できる。
【0051】
図2に示されるように、第1照明部617は、撮像位置P1のレンズ保持部51から+Z方向に離れて位置する。第1照明部617は、撮像位置P1のレンズ保持部51に保持されているレンズ9を、+Z側から照明する。
【0052】
第1照明部617は、第1カメラ611に連結されている。すなわち、第1照明部617は、第1カメラ611および第1アーム615を介して第1駆動部613に連結されている。このため、第1照明部617は、第1駆動部613の駆動によって、第1カメラ611とともに移動する。
【0053】
図2に示されるように、第2照明部627は、撮像位置P1のレンズ保持部51から、+Z方向および-X方向に離れて位置する。第2照明部627は、撮像位置P1のレンズ保持部51に保持されているレンズ9を、-X側から照明する。
【0054】
第2照明部627は、第2カメラ621に連結されている。すなわち、第2照明部627は、第2カメラ621および第2アーム625を介して、第2駆動部623に連結されている。このため、第2照明部627は、第2駆動部623の駆動によって、第2カメラ621とともに移動する。
【0055】
なお、レンズ検査装置1において、第1カメラ611を移動させる第1駆動部613によって、第1照明部617を移動させることは必須ではない。例えば、第1駆動部613とは別の照明駆動部によって第1照明部617を移動させてもよい。第2カメラ621についても、第2駆動部623とは別の照明駆動部によって移動させてもよい。照明駆動部を設ける場合、当該照明駆動部は、好ましくは、撮像位置P1のレンズ保持部51よりも下側に配置される。これにより、照明駆動部で異物が発生しても、異物がレンズ9に付着することを低減できる。
【0056】
図1および
図2に示されるように、ファンフィルターユニット(以下、「FFU」と称する。)7は、第1収容部31の上部31uに位置する。FFU7は、収容部3外から取り込まれたエアをフィルターで浄化するとともに、浄化されたエアを収容部3内に供給する。FFU7は、収容部3内にダウンフローを形成する。具体的には、FFU7は、第1カメラ611よりも上側から第1カメラ611よりも下側へ向かう気流を発生させる。FFU7は、気流発生部の一例である。FFU7がダウンフローを形成することによって、第1駆動部613および第2駆動部623で異物が発生した場合でも、当該異物の上昇を抑制できるため、レンズ9の汚染を低減できる。また、ダウンフローによって、ステージ53から発生し得る異物の上昇を抑制できるため、レンズ9の汚染を低減できる。
【0057】
図1に示されるように、レンズ検査装置1は、第1排気部35および第2排気部37を有する。第1排気部35および第2排気部37は、収容部3内のエアを収容部3外に排出する。第1排気部35は、第1収容部31の下部に位置する。第2排気部37は、第2収容部33の下部に位置する。第1排気部35および第2排気部37は、第1駆動部613および第2駆動部623よりも下側に位置する。
【0058】
第1排気部35は、X方向に等間隔で形成された複数の排気口351を有する。複数の排気口351は、第1収容部31における-Y側の側部、+Y側の側部、および-X側の側部にそれぞれ位置する。各排気口351は、第1収容部31を貫通する貫通穴である。
【0059】
第2排気部37は、複数の排気口371と、複数の排気口373とを有する。複数の排気口371は、第2収容部33における-Y側の側部および+Y側の側部にそれぞれ位置する。また、複数の排気口373は、第2収容部33における+X側の側部に位置する。各排気口371および各排気口373は、第2収容部33を貫通する貫通穴である。
【0060】
図4は、
図1に示されるレンズ検査装置1の収容部3内に形成される気流を概念的に示す側面図である。
図4に示されるように、第2収容部33の上部33uは、第1収容部31の上部31uよりも下側に位置する。このため、第1収容部31でダウンフローを形成しただけでは、第2収容部33の上部33u付近にエアフローが形成され難い。これに対して、レンズ検査装置1は、第2収容部33に第2排気部37を有するため、
図4に示されるように、FFU7によって第1収容部31側で発生した気流を、第2収容部33側へ誘導し、第2排気部37から良好に排出できる。したがって、第2収容部33におけるエア溜まりを抑制できる。
【0061】
第2排気部37が有する排気口371,373の開口面積を、第1排気部35が有する排気口351の開口面積よりも大きくしてもよい。これにより、第2排気部37は、第1排気部35よりも多くのエアを排出することが可能である。この場合、
図4に示されるように、第1収容部31側から第2収容部33側へエアフローを良好に誘導できるため、第2収容部33の上部33u付近におけるエア溜まりを低減できる。
【0062】
複数の排気口373を設けることにより、FFU7から離れた第2収容部33の+X側の下部においても、エアを良好に排出可能である。また、排気口373の開口面積を、排気口371の開口面積よりも大きくしてもよい。これにより、排気口373から排気量(単位時間当たりのエアの排出量)を、排気口371からの排気量よりも大きくすることができる。したがって、第2収容部33内の+X側の側部におけるエア溜まりを有効に低減できる。
【0063】
制御部8は、記憶装置と、処理回路と、入力装置と、出力装置とを有する。記憶装置は、たとえば、ハードディスクドライブ(HDD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)で構成される。処理回路は、例えば、記憶装置に格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)で構成される。入力装置は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネルまたは各種スイッチなどの、情報を入力可能な装置で構成される。出力装置は、たとえばディスプレイ、液晶表示装置またはランプなどの、情報を出力可能な装置で構成される。
【0064】
制御部8は、レンズ検査装置1が備える各駆動部を制御する。例えば、制御部8は、第1駆動部613を制御することにより、第1カメラ611を移動させる。また、制御部8は、第2駆動部623を制御することにより、第2カメラ621を移動させる。さらに、制御部8は、ステージ駆動部55を制御することにより、ステージ53およびレンズ保持部51を移動させる。また、制御部8は、シャッター333の開閉制御、FFU7の制御を行う。
【0065】
制御部8は、第1カメラ611および第2カメラ621が取得する画像に基づいて、第1駆動部613および第2駆動部623を制御することにより、第1カメラ611および第2カメラ621の位置を調整してもよい。また、制御部8は、第1カメラ611および第2カメラ621が取得する画像に基づいて、レンズ9の外観検査を行う。外観検査は、例えば、第1カメラ611および第2カメラ621によって取得される画像と、予め用意される欠陥の無いレンズ9の画像(いわゆる良品画像)との比較処理によって、レンズ9上の傷や異物等の欠陥を検出するものであってもよい。また、外観検査は、第1カメラ611および第2カメラ621によって取得される画像中の各画素に関して、画素値や輝度値等を算出し、これらの値に関する所定の条件に基づきレンズ9中の欠陥を検出するものであってもよい。また、外観検査は、制御部8が第1カメラ611および第2カメラ621によって取得される画像を出力装置に表示し、作業者が表示された画像を目視するものであってもよい。
【0066】
制御部8は、第1カメラ611および第2カメラ621が取得する画像に基づいて、レンズ9の寸法を計測してもよい。例えば、レンズ9が眼内レンズの場合、特許文献1に記載されているように、光学部径、全長、有効光学部径、光学部中心、支持部角度、サジッタ、ボールトハイト、及び光学部中心厚さ等が計測されてもよい。
【0067】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 レンズ検査装置
3 収容部
7 ファンフィルターユニット(気流発生部)
9 レンズ
31 第1収容部
33 第2収容部
35 第1排気部
37 第2排気部
51 レンズ保持部
53 ステージ
55 ステージ駆動部
331 投入・搬出口
611 第1カメラ
613 第1駆動部
615 第1アーム(連結部)
617 第1照明部
621 第2カメラ
623 第2駆動部
625 第2アーム(連結部)
627 第2照明部