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特開2023-140756カード収納シートおよびカード収納ファイル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140756
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】カード収納シートおよびカード収納ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 5/04 20060101AFI20230928BHJP
   B42F 7/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B42F5/04 B
B42F7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046754
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504066427
【氏名又は名称】株式会社サニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 雅章
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017JA06
2C017MA03
2C017MA10
2C017QA13
2C017QA17
(57)【要約】
【課題】収納ポケットに収納されているカードの脱落を確実に防止でき、かつ収納ポケットからカードをスムーズに取り出すことができる、カード収納シートおよびカード収納ファイルを提供する。
【解決手段】カード収納シート3は、収納ポケットPが表面11aに形成され、軟質シートによって構成された第1シート11と、第1シート11の表面11aに重ねられ、第1シート11よりも硬い硬質シートによって構成された第2シート12と、第1および第2シート11,12の一側辺同士を接合し、当該一側辺に沿って延びる接合部13とを含む。収納ポケットPが、一側辺11bに対向し、接合部13から開放側SD2に退避した、カードCを出し入れするための開口14を有している。第1シート11における接合部13と開口14との間の中間領域17に、一側辺11b,12bに沿って直線状に延びる複数の凹所18が形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを収納するカード収納シートであって、
前記カードを収納するための収納ポケットが表面に形成され、軟質シートによって構成された第1シートと、
前記第1シートの前記表面に重ねられ、前記第1シートよりも剛性の高い硬質シートによって構成された第2シートと、
前記第1シートおよび前記第2シートの綴じ側の一側辺同士を接合し、当該綴じ側の一側辺に沿って延びる接合部とを含み、
前記収納ポケットが、綴じ側の一側辺に対向し、前記カードを出し入れするための開口であって、前記接合部から前記綴じ側と反対側に退避した開口を有している、カード収納シート。
【請求項2】
前記第1シートにおける前記接合部と前記開口との間の領域に、前記一側辺に沿って直線状に延びる複数の凹所が形成されている、請求項1に記載のカード収納シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカード収納シートと、
前記カード収納シートを収容するファイル本体とを含む、カード収納ファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カード収納シートおよびカード収納ファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
カードを収納するためのカード収納ファイルの一例として、下記特許文献1は、ファイル表紙を開示している。ファイル表紙は、表紙体と、表紙体に綴じ込まれた複数のポケット台紙とを備えている。ポケット台紙は、カードを収納する袋状の収納部を備えている。袋状の収納部は、ポケット台紙の一面に3つ設けられている。各収納部には、ポケット台紙の基端近く(綴じ側の端部近く)に差込口が形成されており、この差込口を介してカードを出し入れする。カードが収納部に収納された状態では、カードの全域が収納部に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3212274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のファイル表紙では、カードの全域が収納部に収納されるために、収納部からカードを取り出し難い、という問題がある。収納部からカードを取り出し易くするために、差込口をポケット台紙の基端から離して、収納部の収納深さを浅くするということが考えられる。しかし、簡単に取り出すことが可能なように収納部の収納深さを極端に浅くすると、カードを収納部に安定して保持できず、収納部に収納されているカードが収納部から脱落し易くなる、という問題がある。
【0005】
そのため、カード収納ファイル(ファイル表紙)およびカード収納シート(ポケット台紙)において、収納ポケット(収納部)に収納されているカードの脱落を確実に防止できること、および収納ポケットからカードをスムーズに取り出すことができることの双方の実現が求められている。
【0006】
この発明は、収納ポケットに収納されているカードの脱落を確実に防止でき、かつ収納ポケットからカードをスムーズに取り出すことができる、カード収納シートおよびカード収納ファイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、カードを収納するカード収納シートであって、前記カードを収納するための収納ポケットが表面に形成され、軟質シートによって構成された第1シートと、前記第1シートの前記表面に重ねられ、前記第1シートよりも剛性の高い硬質シートによって構成された第2シートと、前記第1シートおよび前記第2シートの綴じ側の一側辺同士を接合し、当該綴じ側の一側辺に沿って延びる接合部とを含む、カード収納シートを提供する。そして、前記収納ポケットが、綴じ側の一側辺に対向し、前記カードを出し入れするための開口であって、前記接合部から前記綴じ側と反対側に退避した開口を有している。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記第1シートにおける前記接合部と前記開口との間の領域に、前記一側辺に沿って直線状に延びる複数の凹所が形成されている。前記複数の凹所が、連続の穴、連続状のスリットおよびミシン目の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0009】
この発明の一実施形態では、前記収納ポケットが、前記綴じ側の一側辺に沿って複数個並んで設けられていてもよい。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記接合部が、溶着部である。
【0011】
また、この発明は、前記カード収納シートと、前記カード収納シートを収容するファイル本体とを含む、カード収納ファイルを提供する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、収納ポケットに収納されているカードの脱落を確実に防止でき、かつ収納ポケットからカードをスムーズに取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るカード収納ファイルの平面図である。
図2】前記カード収納ファイルに含まれるカード収納シートの斜視図である。
図3】前記カード収納シートの第1シートの正面図である。
図4図3を切断面線IV-IVから見た模式的な断面図である。
図5】前記カード収納ファイルの斜視図である。
図6】前記カード収納ファイルの斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態に係るカード収納シートの平面図である。
図8】本発明のさらに他の実施形態に係るカード収納ファイルの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカード収納ファイル1の平面図である。図1では、カード収納ファイル1を開いた状態を示している。
【0015】
カード収納ファイル1は、カードCを収納(収容)して保持するファイル状のカードホルダーである。カード収納ファイル1は、ファイル本体2と、ファイル本体2の内部に綴じられた複数のカード収納シート3とを備えている。図1の例では、ファイル本体2は、リングファイルであり、B6サイズ(182mm×128mm)の6穴バインダーである。このファイル本体2に、B6サイズ対応のカード収納シート3が複数綴じ込まれている。B6サイズ対応のカード収納シート3のサイズは、182mm×100mmである。
【0016】
ファイル本体2は、表紙カバー4と、綴じ具5とを含む。表紙カバー4は、一組の表表紙6、裏表紙7および背表紙10を含む構成であるが、背表紙10を廃止した構成であってもよい。表紙カバー4として、合成樹脂シート、革(天然皮革、人工皮革)、布等の軟質シート等を例示できる。綴じ具5は、たとえばリング綴じ具である。リング綴じ具は、図1の例では、平テコリングであるが、立てテコリングであってもよいし、テコなしリングであってもよい。また、図1の例では、3連×2の合計6連のリングであるが、それ以外の数のリングであってもよいし、多連リングであってもよい。
【0017】
カード収納シート3は、複数枚(たとえば3枚)のカードC(図4図6参照)を一括して収納するためのカードホルダーである。カード収納シート3は、この実施形態では、1つのファイル本体2に複数(たとえば3つ)収容されている。3つのカード収納シート3の構成は互いに共通しているが、上辺に形成されるインデックスタブ8の位置が互いに異なっている。カード収納シート3は、たとえば長方形状に形成された合成樹脂製のシート状である。カード収納シート3では、複数段(図3の例では3段)の袋状の収納ポケットPが、カード収納シート3の長手方向LDに並んでいる。個々の収納ポケットPは、カード収納シート3において長手方向LDと直交する短手方向SDに長手を有している。
【0018】
図2は、カード収納シート3の斜視図である。カード収納シート3は、前後に重ねられた第1シート11および第2シート12を備えている。第1シート11は軟質シートによって構成されている。第2シート12は、第1シート11よりも剛性の高い硬質シートによって構成されている。図2では、カード収納シート3の構造の理解の簡単化のため、第1シート11を手前側に少し開いた状態を示している。図2に示すように、第2シート12は、第1シート11の表面11aの全域を覆っている。第2シート12が、第1シート11の表面11aの一部のみを覆う構成であってもよい。
【0019】
軟質シートである第1シート11は、軟質合成樹脂を用いて形成されており、硬質シートである第2シート12は、第1シート11よりも硬質の樹脂(剛性の高い樹脂)を用いて形成されている。第2シート12が、剛性の高い硬質合成樹脂を用いて形成されていてもよい。第2シート12に採用される樹脂の剛性が、第1シート11に採用される樹脂に比べて高い。
【0020】
第1シート11および第2シート12は、同一種類の合成樹脂を用いて形成されている。つまり、第1シート11の材質である軟質合成樹脂と、第2シート12の材質である硬質合成樹脂とが同じ種類の合成樹脂である。この合成樹脂の種類の例として、塩ビ、ポリプロピレン等を例示できる。合成樹脂の種類として塩ビが採用される場合、硬質合成樹脂および軟質合成樹脂は、それぞれ硬質PVC(可塑剤無添加あるいは少量添加)および軟質PVC(可塑剤を多く含むPVC)である。硬質PVCは、平均重合度が1000以下のものをいい、より好ましくは、平均重合度が700~800の範囲のものをいう。軟質PVCは、平均重合度がたとえば1000より大きいものをいい、より好ましくは、平均重合度が1300~1800の範囲のものをいう。
【0021】
また、合成樹脂の種類としてポリプロピレンが採用される場合、硬質合成樹脂および軟質合成樹脂は、それぞれ、剛性が高い高剛性ポリプロピレンおよび剛性が低い低剛性ポリプロピレンである。高剛性プロピレンは、たとえば、ホモポリマーのポリプロピレンである。低剛性プロピレンは、たとえば、コポリマーのポリプロピレンであり、より具体的には、ランダムポリマーのポリプロピレンである。
【0022】
また、この実施形態では、第2シート12の厚みが、第1シート11を構成するシート(後述するシート基材21,22)の厚みよりも厚い(図4参照)。この厚みの違いによっても剛性に差異を持たせていてもよい。シート11,12の厚みは、製法を異ならせることによって実現できる。
【0023】
すなわち、この実施形態では、第1シート11および第2シート12をそれぞれ軟質合成樹脂および硬質合成樹脂を用いて形成することと、第2シート12の厚みを第1シート11の厚みよりも厚くすることとの双方によって、第1シート11および第2シート12をそれぞれ軟質シートおよび硬質シートとしている。第2シート12は、第1シート11よりも剛性が高く、第2シート12は第1シート11よりも曲がり難い。
【0024】
なお、第1シート11および第2シート12をそれぞれ軟質シートおよび硬質シートとする構成を、第1シート11および第2シート12の厚みとは無関係に、第1シート11および第2シート12をそれぞれ軟質合成樹脂および硬質合成樹脂を用いて形成することによって実現してもよい。
【0025】
逆に、第1シート11および第2シート12に同じ材質を用い、第2シート12を第1シート11よりも厚くすることによって、第1シート11および第2シート12をそれぞれ軟質シートおよび硬質シートとする構成を実現してもよい。ポリプロピレン製の第1シート11および第2シート12の組み合わせの一例として、第1シート11の厚みを数マイクロメートル~数十μmm程度とし、第2シート12の厚みをコンマ数mm程度としてもよい。この場合、第1シート11は、CPPフィルムであってもよいし、IPPフィルムであってもよい。
【0026】
第1シート11および第2シート12に用いられる合成樹脂として、塩ビおよびポリプロピレン以外に、ポリエチレン、ポリエステル(含:PET)、ポリスチレン等を例示できる。
【0027】
第1シート11は、透明であってもよいし半透明であってもよい。第2シート12は、後述のようにカードCを収納しないので不透明であってもよいが、第1シート11の表面11aを覆うものであるため、透明または半透明であることが好ましい。
【0028】
第1シート11の各辺と、第2シート12の各辺とが揃っている。具体的には、第1シート11の綴じ側SD1(短手方向SDの一方向側)の側辺である一側辺11bと、第2シート12の綴じ側SD1の側辺である一側辺12bとが揃っている。図2の例では、第1シート11の綴じ側と反対側SD2(短手方向SDの他方向側。以下、「開放側SD2」という場合がある)の他側辺11cと、第2シート12の開放側SD2の他側辺12cとが揃っている。第1シート11の他側辺11cと第2シート12の他側辺12cとが揃っていなくてもよい。この場合、第2シート12の他側辺12cが第1シート11の他側辺11cよりも綴じ側SD1に位置していてもよい。
【0029】
カード収納シート3では、第1シート11および第2シート12の一側辺11b,12b同士が接合されている。つまり、カード収納シート3には、第1シート11の一側辺11bと第2シート12の一側辺12bとを接合する接合部13が形成されている。接合部13は、図2の例では、短手方向SDに所定の幅を有しているが、接合部13が線状であってもよい(後述する図8の接合部313と同様の態様であってもよい)。接合部13は、図2の例では、カード収納シート3において長手方向LDの全域に亘って形成されている。接合部13は溶着部であり、第1シート11の一側辺11bと第2シート12の一側辺12bとが、溶着によって接合されている。溶着による接合を採用するため、第1シート11および第2シート12を同じ種類の合成樹脂を用いて形成している。接合部13には、綴じ用穴9が形成されている。綴じ用穴9は、綴じ具5の態様(6連のリング綴じ具)に合わせ、6つ設けられている。接合部13が、長手方向LDの全域に亘るものではなく、一部のみに形成されていてもよい。
【0030】
硬質シートからなる第2シート12には、収納ポケットは形成されない。第2シート12の上辺には、インデックスタブ8(図1を併せて参照)が形成されている。インデックスタブ8が備えられているので、収納ポケットPの収納物を表示したり、分類に用いたりでき、利便性が向上する。すなわち、インデックスタブ8は、目的の収納ポケットPを開くときの見当目安であり、インデックスタブ8を持って開閉する際の利便性効果がある。
【0031】
図3は、カード収納シート3の第1シート11の正面図である。図4は、図3を切断面線IV-IVから見た模式的な断面図である。図3では、第2シート12の大部分を破断して示すことで、第1シート11の正面側を露出して示している。第1シート11には、収納ポケットPが、長手方向LDに沿って複数(3つ)並んでいる。図3に示すように、収納ポケットPは、短手方向SDに長い長方形状をなしている。収納ポケットPは、第1シート11の一側辺11bに対して短手方向SDに対向する開口14を有している。見方を変えると、開口14は、接合部13に対して短手方向SDに対向する開口14を有している。開口14は、接合部13に対し、開放側SD2に退避している。その退避長さL1は、後述する収納領域15の幅L2のたとえば0.2倍以上~0.8倍未満の長さである。退避長さL1が、収納領域15の幅L2の0.8倍未満であるため、収納ポケットPによってカードCを良好に収納(収容)保持できる。退避長さL1が、収納領域15の幅L2の0.5倍未満であればより安定的に収納(収容)保持できる。図3の例では、約0.28倍の長さである(退避長さL1が約24mmであり、幅L2が約87mmである)。
【0032】
図4に示すように、第1シート11は、内側シート基材21および外側シート基材22という2枚のシート基材21,22を前後に重ね合わせて構成されている。内側シート基材21と、外側シート基材22とを部分的に溶着することで、内側シート基材21と外側シート基材22との間に収納ポケットPが区画形成される。外側シート基材22の綴じ側SD1の一側辺22bと、内側シート基材21とによって、収納ポケットPの開口14が区画される。
【0033】
外側シート基材22は、短手方向SDの長さが内側シート基材21よりも短い。外側シート基材22の開放側SD2の他側辺22cの位置が、内側シート基材21における開放側SD2の他側辺21cの位置と揃っている。内側シート基材21の他側辺21cおよび外側シート基材22の他側辺22cによって構成された袋状の側辺が、第1シート11の他側辺11cである。2枚のシート基材21,22は、互いに分離した2枚のシート材を用いて構成されていてもよいし、1枚のシート材を折り畳むことにより構成されていてもよい。
【0034】
図3に示すように、第1シート11(内側シート基材21)には、接合部13と開口14との間の中間領域17に、長手方向LDに沿って延びる複数の凹所18が形成されている。図3の例では、複数の凹所18は、長手方向LDに沿って連続状に延びる穴であり、各穴は、長手方向LDに長い長穴である。
【0035】
図4に示すように、収納ポケットPにカードCが収容された状態において、カードCの先端(図4の左端)は接合部13の近くに達しており、カードCの後端(図4の右端)は、収納ポケットPの底部、すなわち、第1シート11の他側辺11cに達している。すなわち、第1シート11の表面11aにおいて、接合部13と他側辺11cとの間にカードCを収納するための収納領域15が形成されている。収納領域15は、平面視で、収納ポケットPと、後述する中間領域17とを足し合わせた領域である。
【0036】
この実施形態では、カードCは、ISO/IEC7810の「ID-1」の規格を満たすカードを採用している。この規格を満たすカードCのサイズは、幅85.6mm×高さ54.0mm×厚さ0.76mmである。収納ポケットPの深さ(短手方向SDの長さ)が約62mmである。そのため、収納ポケットPに上記のサイズのカードCが収納された状態では、図4に示すように、カードCの先端部C1が開口14から約24mmはみ出る(図5も併せて参照)。
【0037】
カード収納ファイル1は閉じられた状態で保管される。第1シート11の表面11aにおいてカードCの先端部C1が開口14からはみ出しているが、カード収納ファイル1が閉じられた状態では、図4および図5に示すように、第1シート11の表面11a側が第2シート12によって覆われている。そのため、カードCの綴じ側SD1への移動が、第2シート12によって阻止される。したがって、収納ポケットPからのカードCの脱落が効果的に抑制または防止される。
【0038】
図5および図6は、カード収納ファイル1の斜視図である。カードCを収納したい使用者は、複数のカード収納シート3の複数の収納ポケットPのうち任意の収納ポケットPにカードCを収納しておく。カード収納ファイル1に収納されているカードCを取り出す場合について、図5および図6を参照しながら説明する。
【0039】
使用者は、カード収納ファイル1を開いて、たとえばインデックスタブ8を参考にして、取り出したいカードCが収納されているカード収納シート3の頁を開ける。図5では、複数のカード収納シート3のうち、一番手前側に配置されているカード収納シート3を開ける場合を例に挙げる。この場合、図5に示すように、使用者は、まず、カード収納シート3のうち第2シート12を摘んで手前側にめくる(開く)。このとき、第2シート12がめくられることに伴って、図6に示すように、第1シート11が綴じ側SD1に引っ張られ、第1シート11における接合部13と開口14との間の中間領域17が湾曲するようになる。前述のように、中間領域17には、複数の凹所18が形成されており、この複数の凹所18に沿って中間領域17が湾曲する。その結果、収納ポケットPからはみ出ているカードCの先端部C1が、カード収納シート3から浮き上がるようになる。なお、第1シート11の剛性が低く十分に柔らかい場合には、複数の凹所18以外で曲がってもよい。
【0040】
収納ポケットPに収納されているカードCを取り出す場合、カード収納シート3から浮き上がったカードCの先端部C1を使用者が摘み、この状態からカードCを綴じ側SD1に引き抜くことにより、収納ポケットPからカードCが取り出される。
【0041】
以上により、この実施形態によれば、第1シート11の表面11a側に、硬質シートからなる第2シート12が重ねられている。この第2シート12の一側辺12bが、接合部13を介して、第1シート11の一側辺11bに接合されている。そして、収納ポケットPの開口14が、接合部13から開放側SD2に退避している。そのため、第1シート11の表面11aにおいて接合部13と開口14との間に形成された収納領域15にカードCが収納された状態で(すなわち収納ポケットPにカードCが収納された状態で)、カードCの一部が収納ポケットPからはみ出ている。カード収納ファイル1が閉じられた状態(すなわち第2シート12が第1シート11に対し閉じられた状態)で、第1シート11の表面11a側を覆う第2シート12が第1シート11に接するので、収納ポケットPからのカードCの脱落を効果的に防止できる。そして、カード収納シート3のうち第2シート12がめくられることに伴って、軟質シートからなる第1シート11が綴じ側SD1に引っ張られ、第1シート11における接合部13と開口14との間の中間領域17が湾曲することにより、収納ポケットPからはみ出ているカードCの先端部C1がカード収納シート3から浮き上がる。これにより、収納ポケットPからカードCをスムーズに取り出すことができる。ゆえに、収納ポケットPに収納されているカードCの脱落を確実に防止でき、かつ収納ポケットPからカードCをスムーズに取り出すことができる。
【0042】
また、中間領域17に、一側辺11bに沿って直線状に延びる複数の凹所18が形成されているので、カード収納シート3のうち第1シート11がめくられた状態で、複数の凹所18に沿って中間領域17をより大きく湾曲させることができる。これにより、先端部C1をカード収納シート3から、より一層浮き上がらせることができ、ゆえに、収納ポケットPからカードCの取り出しを、より一層スムーズにできる。
【0043】
B6サイズ対応のカード収納シート3のサイズは、182mm×100mmである。このような小さなサイズのカード収納シート3に収納ポケットPを設けようとすると、個々の収納領域15の幅L2は小さくならざるを得ない。この場合、収納領域15の幅L2は、「ID-1」の規格を満たすカードCの幅寸法(幅85.6mm)よりも僅かにのみ大きいサイズである。しかし、このような狭い収納領域15にカードCを収容する場合であっても、収納ポケットPに収納されているカードCの脱落を確実に防止でき、かつ収納ポケットPからカードCをスムーズに取り出すことができる。そのため、収納領域15を幅L2の方向に小型化でき、ゆえに、カード収納シート3の小型化を実現できる。
【0044】
図7は、本発明の他の実施形態に係るカード収納シート3の平面図である。前述の実施形態では、B6サイズ対応のカード収納シート3に、長手方向LDに並ぶ複数の収納ポケットPを設けるとして説明した。これに代えて、図7に示すように、カード収納シート3を長手方向LDに分割し、個々の収納ポケットPに対応する分割体200を設けるようにしてもよい。但し、この場合は、綴じ用穴9の態様を、図7に示すような態様に変更し、綴じ具5として、それに合うようなリング綴じ具を採用する必要がある。
【0045】
綴じ具5は、リング綴じ具に限られず、それ以外の綴じ具であってもよい。それ以外の綴じ具5として、Z金具、レター金具、PF金具等を例示できる。
【0046】
また、綴じ具を廃止し、複数のカード収納シートの綴じ側SD1の端部がファイル本体に固定されていてもよい。すなわち、カード収納ファイルが、固定式やブック式と呼ばれる型式のものであってもよい。図8は、本発明のさらに他の実施形態に係るカード収納ファイル301の要部の断面図である。図8に示す実施形態が、図1図6に示す実施形態と相違する点は、表紙カバー304への複数のカード収納シート303の連結を、綴じ具5を介してでなく、直接固定することにより実現する点である。図8において、図1図6に示す実施形態と同等の構成には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0047】
カード収納ファイル301は、いわゆる固定式ファイルであり、合成樹脂製の表紙カバー(ファイル本体)304と、表紙カバー304内に収容された(綴じられた)複数のカード収納シート303とを備えている。カード収納ファイル301は、たとえば、布製や革製、合成樹脂製のブックカバー(図示せず)に挿し込まれた状態で使用される。この場合、ブックカバーに挿し込まれる関係上、表紙カバー304のサイズは、図1等に示す表紙カバー4のサイズよりも一回り小さい。表紙カバー304は、一組の表表紙306、裏表紙307および背表紙310を含む構成である。
【0048】
カード収納シート303が、図2等に示すカード収納シート3と相違する点は、所定幅を有する接合部13に代えて線状の接合部313を有する点、および、接合部でなく軟質シートからなる第1シート11が表紙カバー304に接合される点である。図8の例では、カード収納シート303が裏表紙307に接合されているが、カード収納シート303が表表紙306に接合されていてもよいし、背表紙310に接合されていてもよい。第1シート11の一側辺11bが、表紙カバー304に接合されている。図8の例では、各カード収納シート303の表紙カバー304への接合が溶着により行われる。
【0049】
各カード収納シート303において、接合部313は、カード収納シート3の綴じ側SD1の端部から、開放側SD2に少しずれた位置に配置されている。接合部313は、第1シート11の近接位置(綴じ側SD1の端部から開放側SD2にずれた位置)と第2シート12の一側辺12bとを接合する。接合部313は、カード収納シート303において長手方向LDの全域に亘って形成されているが、長手方向LDの全域に亘るものではなく、一部のみに形成されていてもよい。
【0050】
軟質シートからなる第1シート11の一側辺11bを表紙カバー304に接合するため、複数のカード収納シート303を重ねて表紙カバー304内に収容した状態において、互いに密着して収容できる。これにより、カード収納ファイル301が過度に膨らむことを抑制または防止できる。
【0051】
なお、各カード収納シート303の表紙カバー304への接合が、溶着でなく、かしめ、接着(接着剤を用いた接合)、縫合、ステープラ等のその他の接合方法によって実現されてもよい。
【0052】
また、カード収納ファイル301を、ブックカバー(図示せず)に挿し込まれた状態で使用するものとして説明したが、カード収納ファイル301が、単体で、固定式のカード収納ファイルとして使用、流通等されてもよい。
【0053】
また、カード収納ファイル301がブックカバー(図示せず)に挿し込まれることにより使用される場合、表表紙306および裏表紙307の一方(すなわち、差し込まれない側の表紙)を廃止してもよい。
【0054】
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、凹所18は、長穴には限られない。複数の凹所18が穴でなく、連続状のスリットやミシン目によって構成されていてもよい。さらに、第1シート11の剛性が低く十分に柔らかい場合には、第1シート11において凹所18を廃止してもよい。
【0055】
また、たとえば、接合部13,313が溶着部でなくてもよい。接合部13が第1および第2シート11,12の接合を、かしめ、接着(接着剤を用いた接合)、縫合、ステープラ等のその他の接合方法によって実現していてもよい。この場合、第1シート11および第2シート12を、互いに同じ種類の合成樹脂を用いて形成してもよいが、異なる種類の合成樹脂を用いて形成してもよい。
【0056】
また、1つのカード収納シート3,303に含まれる収納ポケットPの数は、3つでなく、2つであってもよいし、4つ以上であってもよいし、1つであってもよい。また、1つのカード収納ファイル1,301に含まれるカード収納シート3,303の数も、3つでなく、2つであってもよいし、4つ以上であってもよいし、1つであってもよい。
【0057】
カード収納ファイル1,301のサイズは、B6サイズに限られず、他のサイズであってもよいのは言うまでもない。この場合、カード収納シート3,303のサイズは、カード収納ファイル1,301に収容可能な最大サイズを超えない。
【0058】
また、複数のカード収納シート3,303において第2シート12を半透明とする場合、カード収納シート3,303毎に、第2シート12の色を互いに異ならせてもよい。この場合、第2シート12の色によって、収納物(カードC)を分類できる。
【0059】
また、収納ポケットPには、カードCだけでなく、カード以外の収納物(たとえば、通帳、お薬手帳、メモ帳等の帳面)が収容されてもよい。
【0060】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,301:カード収納ファイル
2 :ファイル本体
3,303:カード収納シート
11 :第1シート
11a :表面
11b :一側辺
12 :第2シート
12b :一側辺
13,313:接合部
14 :開口
17 :中間領域(領域)
18 :凹所
304 :表紙カバー(ファイル本体)
C :カード
P :収納ポケット
SD1 :綴じ側
SD2 :開放側(綴じ側と反対側)
図1
図2
図3
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図6
図7
図8