(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140781
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230928BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230928BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230928BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 652C
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652E
H01L29/78 652D
H01L29/78 658F
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046796
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】藤農 佑樹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オン抵抗を低減可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1電極(ドレイン電極)と、第1導電形の第1半導体領域(ドリフト領域1)と、導電部20と、第2導電形の第2半導体領域(ベース領域2)と、第1導電形の第3半導体領域(ソース領域3)と、ゲート電極31と、第2電極(ソース電極)と、を備える。第1半導体領域は、第1電極の上に設けられ、第1電極と電気的に接続されている。導電部は、第1半導体領域の中にそれぞれ絶縁部10を介して設けられ、第2方向D2及び第3方向D3において複数設けられている。第2半導体領域は、第1半導体領域の一部の上に設けられている。第3半導体領域は、第2半導体領域の一部の上に設けられている。第2電極は、第2半導体領域、第3半導体領域及びゲート電極の上に設けられ、第2半導体領域、第3半導体領域及び複数の導電部と電気的に接続されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の中にそれぞれ絶縁部を介して設けられ、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向に垂直であり前記第2方向と交差する第3方向と、において複数設けられた導電部と、
前記第1半導体領域の一部の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域の上にゲート絶縁層を介して設けられたゲート電極と、
前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記ゲート電極の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び複数の前記導電部と電気的に接続された第2電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域のそれぞれは、前記第1方向に垂直な第1面において、前記複数の導電部の1つの周りに複数設けられた、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体領域は、前記第1面において前記第2半導体領域と並ぶ第1領域を含み、
前記複数の導電部の前記1つの周りにおいて、前記第1領域と前記第2半導体領域が交互に設けられた、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の導電部は、前記第2方向において隣り合う一対の前記導電部を含み、
前記ゲート電極は、第1電極部分を含み、
前記第1電極部分の前記第2方向における位置は、前記一対の前記導電部の一方の前記第2方向における位置と、前記一対の前記導電部の他方の前記第2方向における位置と、の間にある、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1電極部分は、前記一対の導電部を結ぶ方向と交差する延在方向に延び、
前記ゲート電極は、前記第1電極部分の前記延在方向における一端と接続された第2電極部分をさらに含み、
前記第2電極部分の前記第2方向における位置は、前記一対の前記導電部の前記一方の前記位置と、前記第1電極部分の前記位置と、の間にある、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1電極部分及び前記第2電極部分は、前記ゲート絶縁層を介して前記第2半導体領域の上に位置する、請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2電極は、前記第1方向に垂直な第1面において前記第1電極部分と複数の前記第2電極部分に囲まれた領域を、前記第1方向に延びる第1延在部分を含み、
前記第1延在部分は、前記第3半導体領域と接する、請求項5又は6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体領域は、
前記第1方向に垂直な第1面において前記第2半導体領域と並ぶ第1領域と、
前記第2半導体領域よりも下方に位置する第2領域と、
を含み、
前記第1領域の第1導電形の不純物濃度は、前記第2領域の第1導電形の不純物濃度よりも高い、請求項1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)などの半導体装置は、電力変換等に用いられる。半導体装置のオン抵抗は、低いことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、オン抵抗を低減可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、導電部と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、ゲート電極と、第2電極と、を備える。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続されている。前記導電部は、前記第1半導体領域の中にそれぞれ絶縁部を介して設けられ、第2方向及び第3方向において複数設けられている。前記第2方向は、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直である。前記第3方向は、前記第1方向に垂直であり、前記第2方向と交差する。前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の一部の上に設けられている。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域の一部の上に設けられている。前記ゲート電極は、前記第2半導体領域の上にゲート絶縁層を介して設けられている。前記第2電極は、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記ゲート電極の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び複数の前記導電部と電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図5(b)は、実施形態に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図9】
図9は、参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
【
図10】
図10は、参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置の動作を示す模式図である。
【
図13】
図13は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置の動作を示す模式図である。
【
図17】
図17は、実施形態の第3変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図18】
図18は、実施形態の第4変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図19】
図19は、実施形態の第4変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
【
図21】
図21は、実施形態の第4変形例に係る別の半導体装置の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n+、n、n-及びp+、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
図1は、実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2及び
図3は、
図1の部分Aの拡大平面図である。
図4は、
図2及び
図3のB1-B2断面図である。
図2は、
図4のC1-C2断面図に相当する。
図3は、
図4のD1-D2断面図に相当する。
実施形態に係る半導体装置は、MOSFETである。
図1~
図4に示すように、実施形態に係る半導体装置100は、n
-形(第1導電形)ドリフト領域1(第1半導体領域)、p形(第2導電形)ベース領域2(第2半導体領域)、n
+形ソース領域3(第3半導体領域)、p
+形コンタクト領域4、n
+形ドレイン領域5、絶縁部10、導電部20、ゲート電極30、ゲート絶縁層35、絶縁層36、ドレイン電極40(第1電極)、ソース電極50(第2電極)、ゲートパッド60、及びゲート配線61を含む。なお、
図2及び
図3では、絶縁層36及びソース電極50が省略されている。
図3では、ゲート電極30がさらに省略されている。
【0009】
実施形態の説明では、ドレイン電極40からn-形ドリフト領域1に向かう方向を「方向D1」(第1方向)とする。方向D1と直交する一方向を「方向D2」(第2方向)とする。方向D1と直交し且つ方向D2と交差する方向を「方向D3」(第3方向)とする。また、ここでは、ドレイン電極40からn-形ドリフト領域1に向かう方向を「上」と呼び、これと反対の方向を「下」と呼ぶ。これらの方向は、ドレイン電極40とn-形ドリフト領域1との相対的な位置関係に基づく方向であり、重力の方向とは無関係である。
【0010】
図1に示すように、半導体装置100の上面には、ソース電極50、ゲートパッド60、及びゲート配線61が設けられている。ゲートパッド60及びゲート配線61は、ソース電極50から離れており、ソース電極50とは電気的に分離されている。ゲート配線61は、方向D1に垂直な面(第1面)においてソース電極50の周りに設けられている。ゲート配線61は、ゲートパッド60と電気的に接続されている。
【0011】
図4に示すように、ドレイン電極40は、半導体装置100の下面に設けられている。n
+形ドレイン領域5は、ドレイン電極40の上に設けられ、ドレイン電極40と電気的に接続されている。n
-形ドリフト領域1は、n
+形ドレイン領域5の上に設けられている。n
-形ドリフト領域1のn形不純物濃度は、n
+形ドレイン領域5のn形不純物濃度よりも低い。n
-形ドリフト領域1は、n
+形ドレイン領域5を介してドレイン電極40と電気的に接続されている。
【0012】
導電部20は、n
-形ドリフト領域1の中に、絶縁部10を介して設けられている。
図2~
図4に示すように、導電部20は、方向D2及びD3において複数設けられている。複数の絶縁部10は、方向D2及びD3において互いに離れている。p形ベース領域2は、n
-形ドリフト領域1の一部の上に設けられ、導電部20同士の間に位置する。n
+形ソース領域3及びp
+形コンタクト領域4のそれぞれは、p形ベース領域2の一部の上に設けられている。p
+形コンタクト領域4のp形不純物濃度は、p形ベース領域2のp形不純物濃度よりも高い。
【0013】
ゲート電極30は、p形ベース領域2の上に、ゲート絶縁層35を介して設けられている。ゲート電極30は、ゲート配線61と電気的に接続されている。
【0014】
n
-形ドリフト領域1は、より具体的には、
図3及び
図4に示すように、方向D2においてp形ベース領域2と並ぶ第1領域1Rと、p形ベース領域2よりも下方に位置する第2領域2Rと、を含む。図示した例では、ゲート電極30は、第1領域1Rの一部、p形ベース領域2の一部、及びn
+形ソース領域3の一部の上に位置する。例えば、第1領域1Rのn形不純物濃度は、第2領域2Rのn形不純物濃度よりも高い。
【0015】
ゲート電極30は、
図2に示すように、第1電極部分31を含む。複数の導電部20は、方向D2において隣り合う一対の導電部20を含む。第1電極部分31の方向D2における位置は、一対の導電部20の一方の方向D2における位置と、一対の導電部20の他方の方向D2における位置と、の間にある。第1電極部分31は、一対の導電部20を結ぶ方向D2と交差する延在方向に延びている。換言すると、延在方向における第1電極部分31の長さは、方向D2における第1電極部分31の長さよりも長い。
【0016】
図4に示すように、ソース電極50は、n
+形ソース領域3、p
+形コンタクト領域4、及びゲート電極30の上に設けられ、n
+形ソース領域3、p
+形コンタクト領域4、及び導電部20と電気的に接続されている。p形ベース領域2は、p
+形コンタクト領域4を介して、ソース電極50と電気的に接続されている。ゲート電極30は、絶縁層36により、ソース電極50と電気的に分離されている。
【0017】
図示した例では、ソース電極50は、第1延在部分51及び第2延在部分52を含む。第1延在部分51は、絶縁層36を貫通し、方向D1に沿って延びている。第1延在部分51の下端は、n+形ソース領域3及びp+形コンタクト領域4と接している。第2延在部分52は、絶縁層36を貫通し、方向D1に沿って延びている。第2延在部分52の下端は、導電部20と接している。第1延在部分51の一部及び第2延在部分52の一部は、方向D2において、ゲート電極30同士の間に位置する。
【0018】
図5(a)は、実施形態に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図5(b)は、実施形態に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図5(a)及び
図5(b)を参照して、半導体装置100の動作を説明する。なお、
図5(a)では、ゲート電極30が破線で示されている。
【0019】
ソース電極50に対してドレイン電極40に正の電圧が印加された状態で、ゲート電極30に閾値以上の電圧が印加される。これにより、p形ベース領域2にチャネル(反転層)が形成され、半導体装置100がオン状態となる。電子は、
図5(a)及び
図5(b)の矢印a1に示すように、p形ベース領域2のチャネルを通ってソース電極50からドレイン電極40へ流れる。ゲート電極30に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域2のチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0020】
半導体装置100がオフ状態に切り替わると、ソース電極50に対してドレイン電極40に印加される正の電圧が増大していく。導電部20の電位は、ソース電極50の電位と実質的に同じである。ドレイン電極40と電気的に接続されたn-形ドリフト領域1と、導電部20と、の間の電位差により、n-形ドリフト領域1と絶縁部10との界面からn-形ドリフト領域1に向けて空乏層が広がる。この空乏層の広がりにより、半導体装置100の耐圧を高めることができる。又は、半導体装置100の耐圧を維持したまま、n-形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を高め、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0021】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
n-形ドリフト領域1、p形ベース領域2、n+形ソース領域3、p+形コンタクト領域4、及びn+形ドレイン領域5は、半導体材料を含む。半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、又はガリウムヒ素を用いることができる。n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
【0022】
絶縁部10、ゲート絶縁層35、及び絶縁層36は、絶縁材料を含む。例えば、絶縁部10、ゲート絶縁層35、及び絶縁層36は、酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸窒化シリコンを含む。導電部20及びゲート電極30は、ポリシリコンを含む。導電部20及びゲート電極30には、n形又はp形の不純物が添加されても良い。ドレイン電極40、ソース電極50、ゲートパッド60、及びゲート配線61は、チタン、タングステン、又はアルミニウムなどの金属を含む。
【0023】
図6(a)~
図8(b)は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
まず、n
+形半導体層5aを含む半導体基板を用意する。n
+形半導体層5aの上に、半導体材料のエピタキシャル成長により、n
-形半導体層1aを形成する。
図6(a)に示すように、反応性イオンエッチング(RIE)により、n
-形半導体層1aに開口OP1を形成する。開口OP1は、方向D2及び方向D3において複数形成される。
【0024】
開口OP1の内面及びn
-形半導体層1aの上面に沿って、熱酸化又は化学気相堆積(CVD)により、絶縁層10aを形成する。CVDにより、絶縁層10aの上に、導電層を形成する。ケミカルドライエッチング(CDE)又はウェットエッチングにより、導電層の上面を後退させる。これにより、開口OP1の内部に、導電層20aが形成される。CDE又はウェットエッチングによって、
図6(b)に示すように、絶縁層10aの上面を後退させ、n
-形半導体層1aの上面を露出させる。
【0025】
熱酸化により、露出したn
-形半導体層1aの上面に絶縁層35aを形成する。CVDにより、絶縁層35aの上に導電層を形成する。RIEにより、この導電層をパターニングし、
図7(a)に示すように導電層30aを形成する。
【0026】
n
-形半導体層1aの上面に、p形不純物及びn形不純物を順次イオン注入し、n形半導体領域1b、p形半導体領域2a、及びn
+形半導体領域3aを形成する。CVDにより、
図7(b)に示すように、導電層30aを覆う絶縁層36aを形成する。
【0027】
RIEにより、絶縁層36aの一部、絶縁層35aの一部、n
+形半導体領域3aの一部、及びp形半導体領域2aの一部を除去し、開口OP2を形成する。開口OP2を通して、p形半導体領域2a及びn
+形半導体領域3aが露出する。開口OP2を通して、p形半導体領域2aにp形不純物をイオン注入し、p
+形半導体領域4aを形成する。
図8(a)に示すように、RIEにより、絶縁層36aの別の一部を除去し、開口OP3を形成する。開口OP3を通して、導電層20aが露出する。
【0028】
CVDにより、開口OP2及びOP3を埋め込むバリアメタル50aを形成する。バリアメタル50aは、例えば、窒化チタン層、チタン層、及びタングステン層の積層構造を有する。スパッタリングにより、バリアメタル50aの上にアルミニウム層50bを形成する。バリアメタル50a及びアルミニウム層50bをパターニングする。n
+形半導体層5aが所定の厚さになるまで、n
+形半導体層5aの下面を研削する。
図8(b)に示すように、スパッタリングにより、n
+形半導体層5aの下面にアルミニウム層40aを形成する。以上により、半導体装置100が製造される。
【0029】
図8(b)に示すn
-形半導体層1aは、
図1~
図4に示すn
-形ドリフト領域1の第2領域2Rに対応する。n形半導体領域1bは、n
-形ドリフト領域1の第1領域1Rに対応する。p形半導体領域2aは、p形ベース領域2に対応する。n
+形半導体領域3aは、n
+形ソース領域3に対応する。p
+形半導体領域4aは、p
+形コンタクト領域4に対応する。n
+形半導体層5aは、n
+形ドレイン領域5に対応する。絶縁層10aは、絶縁部10に対応する。導電層20aは、導電部20に対応する。導電層30aは、ゲート電極30に対応する。絶縁層35aは、ゲート絶縁層35に対応する。絶縁層36aは、絶縁層36に対応する。アルミニウム層40aは、ドレイン電極40に対応する。パターニングされたバリアメタル50a及びアルミニウム層50bは、ソース電極50、ゲートパッド60、及びゲート配線61に対応する。
【0030】
図9及び
図10は、参考例に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
図9に示す半導体装置100r1では、ゲート電極30r1が、ゲート絶縁層35rを介して半導体領域の中に設けられている。ゲート絶縁層35rは、絶縁部10から離れている。
図10に示す半導体装置100r2では、ゲート電極30r2が、絶縁部10rの中に設けられている。ゲート電極30r2は、コンタクト部37を介して、ゲート配線層38と電気的に接続されている。ゲート配線層38は、第1面に沿って設けられ、半導体領域とソース電極50との間に位置する。
【0031】
半導体装置100r1及び100r2のいずれにおいても、導電部20は、方向D2及びD3において複数設けられている。この構造によれば、導電部20が一方向に延びている場合に比べて、n-形ドリフト領域1の体積が大きくなる。オン状態のときの電流経路が増え、半導体装置100r1及び100r2のオン抵抗を低減できる。
【0032】
一方で、半導体装置100r1では、n-形ドリフト領域1とゲート電極30r1とが対面している面積が大きく、ドレイン電極40とゲート電極30r1との間の容量Cgdが増大する。半導体装置100r2では、ゲート電極30r2が絶縁部10rの中に設けられており、半導体装置100r1に比べて、n-形ドリフト領域1とゲート電極30r2とが対面している面積を小さくできる。しかし、半導体装置100r2では、ゲート電極30r2をゲート配線61と電気的に接続するためのゲート配線層38、ゲート電極30r2とゲート配線層38とを接続するためのコンタクト部37などが必要になる。このため、コンタクト部37の位置ばらつきに対応するためのマージンが必要となり、且つ製造に必要な工程数が増加する。また、ゲート配線層38が方向D1においてソース電極50と対面することで、ゲート電極30r1とソース電極50との間の容量Cgsも増加する。
【0033】
これらの課題について、実施形態に係る半導体装置100では、複数の導電部20が設けられるとともに、ゲート電極30がp形ベース領域2の上にゲート絶縁層35を介して設けられている。方向D2及びD3において複数の導電部20が設けられることで、半導体装置100r1及び100r2と同様に、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。さらに、ゲート電極30をp形ベース領域2の上に設けることで、半導体装置100r1に比べて、n-形ドリフト領域1とゲート電極30とが対面する面積を低減し、容量Cgdを低減できる。ゲート電極30とゲート配線61とを接続するための配線層等が不要であり、半導体装置100r2に比べて、製造に必要な工程数を少なくできる。また、コンタクト部37が不要となるため、コンタクト部37のマージンの分、導電部20、ゲート電極30などをより高密度に設けることができる。さらに、ゲート配線層38が省略されることで、半導体装置100r2に比べて、容量Cgsを低減できる。
【0034】
実施形態によれば、上述した課題の発生を抑えつつ、半導体装置100のオン抵抗を低減可能である。
【0035】
(第1変形例)
図11は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図11では、絶縁層36及びソース電極50が省略されている。
第1変形例に係る半導体装置110では、
図11に示すように、第1面に沿って1つの導電部20の周りに複数のp形ベース領域2及び複数のn
+形ソース領域3が設けられている。第1面に沿って1つの導電部20の周りに、p形ベース領域2と第1領域1Rが交互に設けられている。
【0036】
より具体的には、方向D2において隣り合う導電部20の間に、p形ベース領域2、n+形ソース領域3、及び第1領域1Rが位置する。方向D3において隣り合う別の導電部20の間に、別のp形ベース領域2、別のn+形ソース領域3、及び別の第1領域1Rが位置する。方向D4において隣り合うさらに別の導電部20の間に、さらに別のp形ベース領域2、さらに別のn+形ソース領域3、及びさらに別の第1領域1Rが位置する。方向D4は、方向D1に垂直であり、方向D2及び方向D3と交差する方向である。各p形ベース領域2の上には、ゲート絶縁層35を介して第1電極部分31がそれぞれ設けられている。
【0037】
図11におけるA1-A2断面、B1-B2断面、及びC1-C2断面におけるそれぞれの構造は、
図5に示す断面構造と同様である。
【0038】
図12は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置の動作を示す模式図である。
図12は、半導体装置110がオン状態のときの様子を示す。半導体装置110では、方向D2~D4のそれぞれにおいて、隣り合う導電部20の間に、p形ベース領域2が設けられている。このため、オン状態では、矢印a2で示すように、方向D2~D4のそれぞれに沿って、p形ベース領域2から第1領域1Rへ電子が流れる。第1変形例によれば、半導体装置100に比べて、単位面積あたりに形成されるチャネルの面積(チャネル密度)が大きく、半導体装置110のオン抵抗を低減できる。
【0039】
(第2変形例)
図13及び
図14は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図13及び
図14では、絶縁層36及びソース電極50が省略されている。
図14では、ゲート電極30が破線で示されている。
第2変形例に係る半導体装置120では、半導体装置110と比べて、
図13に示すように、ゲート電極30が第2電極部分32をさらに含む。第2電極部分32は、第1電極部分31の延在方向における一端と接続されている。第2電極部分32は、方向D1から見たときに、第1電極部分31の一端から導電部20に向けて延びている。第1電極部分31は、ゲート絶縁層35を介して、p形ベース領域2の一部、n
+形ソース領域3の一部、及び第1領域1Rの一部の上に位置する。第2電極部分32は、ゲート絶縁層35を介して、p形ベース領域2の別の一部、n
+形ソース領域3の別の一部、及び第1領域1Rの別の一部の上に位置する。
【0040】
図15は、
図14の一部を拡大した平面図である。
具体例として、
図14に示すように、複数の導電部20は、導電部20-1~20-3を含む。複数の第1電極部分31は、第1電極部分31-1~31-3を含む。複数の第2電極部分32は、第2電極部分32-1~32-9を含む。複数の第1領域1Rは、第1領域1Ra~1Rcを含む。
【0041】
導電部20-1と導電部20-2は、方向D2において隣り合っている。第1電極部分31-1の方向D2における位置は、導電部20-1の方向D2における位置と、導電部20-2の方向D2における位置と、の間にある。第1電極部分31-1は、導電部20-1と導電部20-2とを結ぶ方向と交差する延在方向に延びている。第2電極部分32-1~32-4のそれぞれは、第1電極部分31-1の延在方向の両端に接続されている。第2電極部分32-1及び32-2の方向D2における位置は、第1電極部分31-1の方向D2における位置と、導電部20-1の方向D2における位置と、の間にある。第2電極部分32-3及び32-4の方向D2における位置は、第1電極部分31-1の方向D2における位置と、導電部20-2の方向D2における位置と、の間にある。第1領域1Raの方向D2における位置は、第1電極部分31-1の方向D2における位置と、導電部20-2の方向D2における位置と、の間にある。
【0042】
同様に、導電部20-2と導電部20-3は、方向D3において隣り合っている。第1電極部分31-2の方向D3における位置は、導電部20-2の方向D3における位置と、導電部20-3の方向D3における位置と、の間にある。第1電極部分31-2は、導電部20-2と導電部20-3とを結ぶ方向と交差する延在方向に延びている。第2電極部分32-4~32-7のそれぞれは、第1電極部分31-2の延在方向の両端に接続されている。第1領域1Rbの方向D3における位置は、第1電極部分31-2の方向D3における位置と、導電部20-3の方向D2における位置と、の間にある。導電部20-1と導電部20-3は、方向D4において隣り合っている。第1電極部分31-3の方向D4における位置は、導電部20-1の方向D4における位置と、導電部20-3の方向D4における位置と、の間にある。第1電極部分31-3は、導電部20-1と導電部20-3とを結ぶ方向と交差する延在方向に延びている。第2電極部分32-2、32-6、32-8、及び32-9のそれぞれは、第1電極部分31-3の延在方向の両端に接続されている。第1領域1Rcの方向D4における位置は、第1電極部分31-3の方向D4における位置と、導電部20-1の方向D4における位置と、の間にある。
【0043】
図16は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置の動作を示す模式図である。
図16は、半導体装置120がオン状態のときの様子を示す。半導体装置120がオン状態のとき、第1電極部分31及び第2電極部分32によってp形ベース領域2にチャネルが形成される。オン状態では、矢印a3で示すように、第2電極部分32によって形成されたチャネルを通ってp形ベース領域2から第1領域1Rへ電子が流れる。第2変形例によれば、半導体装置110に比べて、さらにチャネル密度が大きく、半導体装置120のオン抵抗をさらに低減できる。
【0044】
なお、第1変形例によれば、第2電極部分32が設けられていないため、半導体装置120に比べて、p+形コンタクト領域4の面積を大きくできる。半導体装置においてアバランシェ降伏が発生した際、多量のキャリアが生成される。正孔は、p形ベース領域2及びp+形コンタクト領域4を通って、ソース電極50に排出される。p+形コンタクト領域4の面積が大きいと、正孔に対する電気抵抗を低減できる。例えば、p形ベース領域2の電位の変動を抑制し、n-形ドリフト領域1、p形ベース領域2、及びn+形ソース領域3からなる寄生トランジスタの動作を抑制できる。このため、第1変形例によれば、半導体装置120に比べて、半導体装置110のアバランシェ耐量を向上できる。
【0045】
(第3変形例)
図17は、実施形態の第3変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図17では、絶縁層36及びソース電極50が省略され、ゲート電極30が破線で示されている。
図11~
図16に示す例では、複数の第1電極部分31が正六角形状に配置されている。また、1つの第1電極部分31と一対の第2電極部分32とが、その第1電極部分31の延在方向において並んでいる。第1電極部分31同士の位置関係及び第1電極部分31と第2電極部分32の位置関係は、これらの図に示す例に限定されない。例えば、
図17に示す第3変形例に係る半導体装置130のように、方向D2~D4にそれぞれ延びる各第1電極部分31の端部が、互いにずれていても良い。1つの第1電極部分31と一対の第2電極部分32とが、その第1電極部分31の延在方向において、僅かにずれて並んでいても良い。
図17に示すように、方向D2~D4の2つ以上に沿って電流を流すことができれば、ゲート電極30の具体的な形状は、適宜変更可能である。
【0046】
(第4変形例)
図18及び
図19は、実施形態の第4変形例に係る半導体装置の一部を示す平面図である。
図20は、
図18及び
図19のA1-A2断面図である。
図18は、
図20のB1-B2断面図に相当する。
図19は、
図20のC1-C2断面図に相当する。
図18及び
図19では、絶縁層36及びソース電極50が省略されている。
図19では、ゲート電極30がさらに省略されている。
第4変形例に係る半導体装置140では、
図18及び
図19に示すように、導電部20の配列方向である方向D2及びD3が互いに直交する。また、半導体装置140では、半導体装置100~130と比べて、p形ベース領域2、n
+形ソース領域3、絶縁部10、ゲート電極30などのX-Y面における形状が異なる。ゲート電極30の複数の第1電極部分31は、格子状に設けられている。
【0047】
配列方向及び形状を除き、半導体装置140における各構成要素の位置関係は、半導体装置100~130と実質的に同じである。例えば、
図18~
図20に示すように、隣り合う導電部20の間には、p形ベース領域2、n
+形ソース領域3、及び第1領域1Rが設けられ、第1電極部分31がこれらの上に位置する。第1電極部分31は方向D2又はD3に沿って延び、第2電極部分32は第1電極部分31の一端から導電部20に向けて延びている。X-Y面において、1つの導電部20の周りに、p形ベース領域2と第1領域1Rが交互に設けられている。
【0048】
図21は、実施形態の第4変形例に係る別の半導体装置の一部を示す平面図である。
図21では、絶縁層36及びソース電極50が省略されている。
矩形状の絶縁部10、格子状の複数の第1電極部分31等を有する半導体装置について、
図21に示すように、方向D3が方向D2に対して垂直でなくても良い。
図21に示す半導体装置150では、方向D3において隣り合う導電部20について、各導電部20の方向D2における位置が互いに異なる。方向D3において隣り合う第1電極部分31について、各第1電極部分31の方向D2における位置が互いに異なる。
【0049】
図18~
図21に示すように、半導体装置の各構成要素の具体的な形状、配列方向などは、適宜変更可能である。いずれの形態においても、複数の導電部20を互いに交差する2方向に配列し、ゲート電極30をp形ベース領域2の上に設けることで、容量Cgdの増加又は製造工程数の増加を抑えつつ、半導体装置のオン抵抗を低減可能である。
【0050】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1:n-形ドリフト領域、 1a:n-形半導体層、 1b:n形半導体領域、 1R,1Ra~1Rc:第1領域、 2:p形ベース領域、 2a:p形半導体領域、 2R:第2領域、 3:n+形ソース領域、 3a:n+形半導体領域、 4:p+形コンタクト領域、 4a:p+形半導体領域、 5:n+形ドレイン領域、 5a:n+形半導体層、 10:絶縁部、 10a:絶縁層、 10r:絶縁部、 20,20-1~20-9:導電部、 20a:導電層、 30:ゲート電極、 30a:導電層、 30r:ゲート電極、 30r1:ゲート電極、 30r2:ゲート電極、 31,31-1~31-3:第1電極部分、 32,32-1~32-9:第2電極部分、 35:ゲート絶縁層、 35a:絶縁層、 35r:ゲート絶縁層、 36:絶縁層、 36a:絶縁層、 37:コンタクト部、 38:ゲート配線層、 40:ドレイン電極、 40a:アルミニウム層、 50:ソース電極、 50a:バリアメタル、 50b:アルミニウム層、 51:第1延在部分、 52:第2延在部分、 60:ゲートパッド、 61:ゲート配線、 100,100r1,100r2,110~150:半導体装置、 OP1~OP3:開口