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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140794
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0662 20160101AFI20230928BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20230928BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230928BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230928BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20230928BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20230928BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20230928BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20230928BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20230928BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230928BHJP
【FI】
H01M8/0662
H01M8/0606
H01M8/04 J
H01M8/04746
H01M8/04694
H01M8/04313
H01M8/0432
H01M8/04701
H01M8/12 101
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046815
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】濱走 正美
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅士
(72)【発明者】
【氏名】秋田 達也
(72)【発明者】
【氏名】指原 和秀
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AA07
5H127AB23
5H127AC03
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA17
5H127BB02
5H127CC07
5H127DB75
5H127DB79
5H127DB93
5H127DC82
5H127DC83
5H127DC84
5H127GG02
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】菌の増殖を抑制する菌対策運転を適切に行うことができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システムにおいて、制御装置Cは、燃料処理装置2で水蒸気改質により生成された燃料ガスを燃料電池1に供給する運転期間と、改質用水供給部L2を停止させ、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給せず、燃料処理装置2で水蒸気改質を行わない停止期間とを交互に設定し、停止期間を開始する場合、その停止期間において菌の増殖を抑制するための菌対策条件を満たすことができるか否かを判定し、停止期間において菌対策条件を満たすことができると判定した場合、その停止期間において、水循環部L3を動作させる第2処理を行い、停止期間において菌対策条件を満たすことができないと判定した場合、その停止期間において第2処理を行わない。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池に供給する水素を含む燃料ガスを水蒸気改質により生成する燃料処理装置と、
前記燃料電池から排出される熱を回収する電池冷却水として用いられる水を貯える電池冷却水タンクと、
前記水蒸気改質に用いられる改質用水としての水を貯える改質用水タンクと、
前記改質用水として用いられる水に対して不純物除去処理を施す不純物除去装置と、
前記電池冷却水として用いられる水を、前記燃料電池と前記電池冷却水タンクとの間で循環させる電池冷却水循環部と、
前記改質用水として用いられる水を、前記改質用水タンクと前記不純物除去装置とを経由して前記燃料処理装置に供給する改質用水供給部と、
前記電池冷却水タンクと前記改質用水タンクとを接続するタンク接続部と、
前記電池冷却水及び前記改質用水として用いられる水を、前記電池冷却水タンクと前記タンク接続部と前記改質用水タンクと前記不純物除去装置とを順に流す形態で循環させる水循環部と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記改質用水供給部を動作させ、前記改質用水タンクに貯えられている水を前記燃料処理装置に供給する第1処理を行い、前記燃料処理装置で前記水蒸気改質により生成された前記燃料ガスを前記燃料電池に供給する運転期間と、前記改質用水供給部を停止させ、前記改質用水タンクに貯えられている水を前記燃料処理装置に供給せず、前記燃料処理装置で前記水蒸気改質を行わない停止期間とを交互に設定し、
前記停止期間を開始する場合、当該停止期間において菌の増殖を抑制するための菌対策条件を満たすことができるか否かを判定し、
前記停止期間において前記菌対策条件を満たすことができると判定した場合、当該停止期間において、前記水循環部を動作させる第2処理を行い、
前記停止期間において前記菌対策条件を満たすことができないと判定した場合、当該停止期間において前記第2処理を行わない、燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記停止期間において前記水循環部によって循環させられる循環水の温度を所定の目標温度以上にできると判定した場合、前記菌対策条件を満たすことができると判定する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記水循環部によって循環させられる前記循環水の量と、前記第2処理の開始前の時点での前記循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度とに基づいて、前記循環水の全体の温度を前記目標温度以上にできるか否かを判定する請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記電池冷却水を加熱する加熱装置を備え、
前記制御装置は、前記水循環部によって循環させられる前記循環水の量と、前記第2処理の開始前の時点での前記循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度と、前記加熱装置が前記電池冷却水に与えることができる熱量とに基づいて、前記循環水の全体の温度を前記目標温度以上にできるか否かを判定する請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記加熱装置が前記電池冷却水を加熱する場合、前記電池冷却水タンクに貯えられる前記電池冷却水の温度が所定の上限温度を超えないことを制約条件とする請求項4に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池と、燃料電池に供給する水素を含む燃料ガスを水蒸気改質により生成する燃料処理装置と、燃料処理装置での水蒸気改質に用いられる改質用水としての水に対して不純物除去処理を施す不純物除去装置を備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池では、例えば燃料処理装置(改質器)で都市ガス等の炭化水素を水蒸気改質して水素を生成し、その水素と空気中の酸素とをセルスタックで反応させて発電させている。燃料処理装置には水蒸気改質反応のための純水(改質用水)が供給されるが、多くのシステムでは発電反応時に生成される水を回収して燃料処理装置での水蒸気改質用の水(改質用水)として利用している。尚、この改質用水に不純物(空気中の硫酸イオン、アンモニアイオン等)が含まれると燃料処理装置の触媒が被毒するため、イオン交換樹脂などの不純物除去装置を設けている。また、改質用水の流路に自然由来のバクテリア(例えばシュードモナス属など)等の菌が増殖し、流路を狭窄させる可能性があることが一般的に知られている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2には、改質用水の流路を流れる水に対して、菌の増殖を抑制するための運転を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-106952号公報
【特許文献2】特願2012-109094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
菌の増殖を抑制するための菌対策運転が、燃料電池の発電停止中にしか行えないシステムもある。例えば、定期的に運転開始と運転停止とを繰り返すSS運転(スタート-ストップ運転)を行う燃料電池システムでは、発電を停止させた後、次の発電の開始までの間に菌対策運転を行う必要がある。そのため、停止から次の起動までの期間が短い場合には、菌対策運転の対象とする水に対して菌の増殖を抑制するのに十分な熱を与えることができず、菌対策運転を適切に完了できない可能性もある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、菌の増殖を抑制する菌対策運転を適切に行うことができる燃料電池システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池システムの特徴構成は、燃料電池と、
前記燃料電池に供給する水素を含む燃料ガスを水蒸気改質により生成する燃料処理装置と、
前記燃料電池から排出される熱を回収する電池冷却水として用いられる水を貯える電池冷却水タンクと、
前記水蒸気改質に用いられる改質用水としての水を貯える改質用水タンクと、
前記改質用水として用いられる水に対して不純物除去処理を施す不純物除去装置と、
前記電池冷却水として用いられる水を、前記燃料電池と前記電池冷却水タンクとの間で循環させる電池冷却水循環部と、
前記改質用水として用いられる水を、前記改質用水タンクと前記不純物除去装置とを経由して前記燃料処理装置に供給する改質用水供給部と、
前記電池冷却水タンクと前記改質用水タンクとを接続するタンク接続部と、
前記電池冷却水及び前記改質用水として用いられる水を、前記電池冷却水タンクと前記タンク接続部と前記改質用水タンクと前記不純物除去装置とを順に流す形態で循環させる水循環部と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記改質用水供給部を動作させ、前記改質用水タンクに貯えられている水を前記燃料処理装置に供給する第1処理を行い、前記燃料処理装置で前記水蒸気改質により生成された前記燃料ガスを前記燃料電池に供給する運転期間と、前記改質用水供給部を停止させ、前記改質用水タンクに貯えられている水を前記燃料処理装置に供給せず、前記燃料処理装置で前記水蒸気改質を行わない停止期間とを交互に設定し、
前記停止期間を開始する場合、当該停止期間において菌の増殖を抑制するための菌対策条件を満たすことができるか否かを判定し、
前記停止期間において前記菌対策条件を満たすことができると判定した場合、当該停止期間において、前記水循環部を動作させる第2処理を行い、
前記停止期間において前記菌対策条件を満たすことができないと判定した場合、当該停止期間において前記第2処理を行わない点にある。
ここで、前記制御装置は、前記停止期間において前記水循環部によって循環させられる循環水の温度を所定の目標温度以上にできると判定した場合、前記菌対策条件を満たすことができると判定してもよい。
【0008】
上記特徴構成によれば、停止期間において菌対策条件を満たすことができると判定された場合には第2処理が実行される。その結果、電池冷却水タンクに貯えられている電池冷却水及び改質用水タンクに貯えられている水が、水循環部によって循環させられる循環水として、改質用水タンクと不純物除去装置と電池冷却水タンクとタンク接続部とを順に流れて循環する。つまり、少なくとも電池冷却水タンクに貯えられていた電池冷却水が保有していた熱が、第2処理において水循環部によって循環させられる循環水の全体に伝達されてその循環水が昇温され、その循環水での菌の増殖が抑制されることが期待される。
また、停止期間において菌対策条件を満たすことができないと判定された場合には、その停止期間において第2処理は行われない。その結果、循環水の昇温が不十分な状態で第2処理が終了することを回避できる。
従って、菌の増殖を抑制する菌対策運転を適切に行うことができる燃料電池システムを提供できる。
【0009】
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記制御装置は、前記水循環部によって循環させられる前記循環水の量と、前記第2処理の開始前の時点での前記循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度とに基づいて、前記循環水の全体の温度を前記目標温度以上にできるか否かを判定する点にある。
【0010】
停止期間において水循環部を動作させる第2処理を行った場合、循環水が循環により適切に混合されるとすると、混合された後の循環水の全体の温度は、循環水の量と、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度とによって決まると考えてよい。
そこで本特徴構成では、制御装置は、循環水の量と、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度とに基づいて、混合された後の循環水の全体の温度を予測することで、その温度が目標温度以上になるか否かを判定できる。
【0011】
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記電池冷却水を加熱する加熱装置を備え、
前記制御装置は、前記水循環部によって循環させられる前記循環水の量と、前記第2処理の開始前の時点での前記循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度と、前記加熱装置が前記電池冷却水に与えることができる熱量とに基づいて、前記循環水の全体の温度を前記目標温度以上にできるか否かを判定する点にある。
ここで、前記制御装置は、前記加熱装置が前記電池冷却水を加熱する場合、前記電池冷却水タンクに貯えられる前記電池冷却水の温度が所定の上限温度を超えないことを制約条件としてもよい。
【0012】
停止期間において加熱装置で電池冷却水を加熱すると共に水循環部を動作させる第2処理を行った場合、循環水が循環により適切に混合されるとすると、混合された後の循環水の全体の温度は、循環水の量と、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度と、加熱装置が前記電池冷却水に与えることができる熱量とによって決まると考えてよい。
そこで本特徴構成では、制御装置は、循環水の量と、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度と、加熱装置が電池冷却水に与えることができる熱量とに基づいて、混合された後の循環水の全体の温度を予測することで、その温度が目標温度以上になるか否かを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】燃料電池システムの構成を示す図である。
図2】燃料電池システムの構成を示す図である。
図3】燃料電池システムの構成を示す図である。
図4】菌対策運転を説明するフローチャートである。
図5】第2処理の開始前の時点での水の温度と、第2処理によって均一化された水の温度とを説明する図である。
図6】第2処理の開始前の時点での水の温度と、第2処理によって均一化された水の温度とを説明する図である。
図7】第2処理の開始前の時点での水の温度と、第2処理によって均一化された水の温度とを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下に、図面を参照して本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
図1図3は、燃料電池システムの構成を示す図である。詳細は後述するが、図1は、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給する第1処理が行われている状態を示す図である。また、図1に示す状態では、燃料処理装置2で生成された燃料ガスが燃料電池1に供給され、燃料電池1で発電も行われている。図2は、改質用水タンク4に貯えられている水を改質用水タンク4と不純物除去装置としてのイオン交換樹脂部5と電池冷却水タンク3とタンク接続部12とを順に流して循環させる第2処理が行われている状態を示す図である。図3は、第2処理及び加熱処理が行われている状態を示す図である。図1図3では、水などの流体が流れている箇所を太線で示している。
【0015】
イオン交換樹脂部5は、改質用水に含まれる可能性がある不純物(例えば空気中の硫酸イオン、アンモニアイオン等)を除去するために設けられている。尚、イオン交換樹脂部5を含む改質用水の流路に自然由来のバクテリア(例えばシュードモナス属など)等の菌が増殖し、流路を狭窄させる可能性がある。そのため、本実施形態の燃料電池システムでは、改質用水の流路を流れる水に対して、菌の増殖を抑制するための菌対策運転を行おうとしている。
【0016】
燃料電池システムは、燃料電池1と、燃料処理装置2と、電池冷却水タンク3と、改質用水タンク4と、イオン交換樹脂部5と、電池冷却水循環部L1と、改質用水供給部L2と、タンク接続部12と、水循環部L3と、制御装置Cとを備える。加えて、本実施形態の燃料電池システムは加熱装置23を備える。
【0017】
燃料電池1は、例えば固体高分子型燃料電池、固体酸化物形燃料電池などであり、水素などの燃料ガスが供給されるアノードと、酸素が供給されるカソードとを有する。
【0018】
燃料処理装置2は、燃料電池1に供給する水素を含む燃料ガスを水蒸気改質により生成する。例えば、燃料処理装置2には、メタン等の炭化水素ガスと、水(水蒸気)とが供給され、その炭化水素ガスの水蒸気改質により水素を含む燃料ガスが生成される。燃料処理装置2で生成された燃料ガスは、燃料ガス供給路17を介して燃料電池1に供給される。
【0019】
燃料電池1から排出される熱は、電池冷却水により回収される。例えば、冷却水循環路6には、電池冷却水が燃料電池1と電池冷却水タンク3との間を循環するように冷却水ポンプ7によって流される。つまり、冷却水循環路6及び冷却水ポンプ7は、電池冷却水として用いられる水を、燃料電池1と電池冷却水タンク3との間で循環させる電池冷却水循環部L1として機能する。また、電池冷却水タンク3は、燃料電池1から排出される熱を回収する電池冷却水を貯える。冷却水ポンプ7の動作は制御装置Cが制御する。
【0020】
加えて、冷却水循環路6の途中の、燃料電池1から熱を回収した電池冷却水が電池冷却水タンク3に至る間には熱交換部18が設けられる。この熱交換部18には、湯水を貯える貯湯タンク21から取り出された湯水が流入し、その湯水は熱交換部18で熱交換をした後で貯湯タンク21へと戻る。つまり、湯水が貯湯タンク21と熱交換部18とを順に流れる形態で湯水循環路19を通って循環する。湯水循環路19では湯水ポンプ20によって湯水が流される。従って、燃料電池1から排出された熱は、先ず冷却水循環路6を流れる電池冷却水に渡され、その後、熱交換部18において湯水に渡された後、貯湯タンク21で蓄熱される。尚、燃料電池1から排出された熱の全てが貯湯タンク21で蓄熱されるのではなく、一部は電池冷却水タンク3でも貯えられる。例えば、電池冷却水タンク3に貯えられる電池冷却水の温度は60℃~70℃などの温度になる場合もある。湯水ポンプ20の動作は制御装置Cが制御する。
【0021】
冷却水循環路6の途中の、熱交換部18と電池冷却水タンク3との間には加熱装置23が設けられる。加熱装置23は、電気ヒーター等で発生した熱を用いて電池冷却水を加熱できる。加熱装置23の動作は制御装置Cが制御する。
【0022】
改質用水タンク4は、燃料処理装置2での水蒸気改質に用いられる改質用水としての水を貯える。また、改質用水タンク4には、燃料電池1から水回収路16を介して回収した回収水が流入する。電池冷却水タンク3と改質用水タンク4とはタンク接続部12で接続される。つまり、電池冷却水タンク3に貯えられている水(電池冷却水)が改質用水タンク4に流入する。
【0023】
改質用水タンク4から出た水(改質用水)は、改質用水流路8aを通ってイオン交換樹脂部5に供給される。イオン交換樹脂部5は、例えばイオン化して水に溶存している塩類やアンモニアなどのイオン性物質を除去する装置である。改質用水流路8(8a、8b)は、イオン交換樹脂部5と開閉弁11と改質用水ポンプ10とを通って燃料処理装置2に至る。開閉弁11及び改質用水ポンプ10の動作は制御装置Cが制御する。
【0024】
つまり、改質用水流路8と開閉弁11と改質用水ポンプ10とは、改質用水として用いられる水を、改質用水タンク4とイオン交換樹脂部5とを経由して燃料処理装置2に供給する改質用水供給部L2として機能する。
【0025】
また、改質用水流路8はイオン交換樹脂部5の下流側の分岐部9で、水帰還路13に分岐する。水帰還路13の側に流入した改質用水は、開閉弁15と水ポンプ14とを通って電池冷却水タンク3に流入する。開閉弁15及び水ポンプ14の動作は制御装置Cが制御する。
【0026】
つまり、改質用水流路8aと水帰還路13と開閉弁15と水ポンプ14とタンク接続部12とは、電池冷却水及び改質用水として用いられる水を、電池冷却水タンク3とタンク接続部12と改質用水タンク4とイオン交換樹脂部5とを順に流す形態で循環させる水循環部L3として機能する。
【0027】
電池冷却水タンク3には、電池冷却水タンク3に貯えられている電池冷却水の温度を測定する温度センサT1が設けられている。改質用水タンク4には、改質用水タンク4に貯えられている改質用水の温度を測定する温度センサT2が設けられている。改質用水タンク4とイオン交換樹脂部5との間の改質用水流路8aには、イオン交換樹脂部5に流入する改質用水の温度を測定する温度センサT3が設けられている。また、外気温を測定する外気温度センサ22が設けられている。温度センサT1,T2,T3、及び、外気温度センサ22の測定結果は制御装置Cに伝達される。
【0028】
図1に示すように、改質用水供給部L2を動作させ、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給する第1処理が行われている場合、開閉弁11が開かれ、改質用水ポンプ10が動作し、開閉弁15が閉じられ、水ポンプ14は停止している。そのため、改質用水タンク4から流出した改質用水は、分岐部9から燃料処理装置2の方へと流れるが、水帰還路13には流れない。つまり、第1処理は、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給する必要がある間に、改質用水供給部L2を動作させて、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給する処理である。
【0029】
図2に示すように、第2処理が行われている間、上記改質用水供給部L2を停止させ、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給しない。そして、第2処理が行われている間、電池冷却水タンク3に貯えられている水及び改質用水タンク4に貯えられている水を改質用水タンク4とイオン交換樹脂部5と電池冷却水タンク3とタンク接続部12とを順に流して循環させる。つまり、第2処理は、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給する必要がない間に、水循環部L3を動作させて、電池冷却水タンク3に貯えられている水及び改質用水タンク4に貯えられている水を改質用水タンク4とイオン交換樹脂部5と電池冷却水タンク3とタンク接続部12とを順に流して循環させる処理である。本実施形態では、第1処理及び第2処理は同時に行われない。
【0030】
第2処理について補足すると、第2処理の開始前の時点では、電池冷却水タンク3に貯えられている水の温度は例えば60℃~70℃等と高く、改質用水タンク4に貯えられている水の温度は例えば外気温度と同等になっている。つまり、第2処理の開始前の時点では、水循環部L3によって循環させられる循環水の流路途中の複数の箇所の温度には高低分布が存在している。そのため、水の温度が所定の目標温度以上になった場合に水中の菌が死滅するとした場合、循環水の温度がその目標温度以上の部分では菌が死滅するが、循環水の温度が目標温度未満の部分では菌が死滅しない。但し、水ポンプ14を動作させて一定期間経過すると循環水の全体の温度が均一になるため、循環水の全体の温度が均一になった状態でその循環水の温度が目標温度以上になるならば、循環水全体について菌が死滅すると考えてもよい。
【0031】
制御装置Cは、後述する図5及び図6に示すように、第2処理によって温度が均一化された場合の循環水の全体の温度が何度になるのか、即ち、予測均一化温度を、水循環部L3によって循環させられる循環水の量と、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度とに基づいて予測できる。以下の説明では、制御装置Cが予測する、第2処理によって温度が均一化された場合に予測される循環水の温度のことを「予測均一化温度」と表記する場合がある。
【0032】
但し、第2処理が行われる場合、水ポンプ14を設定出力で動作させて循環水を循環させている間にその温度の均一化が徐々に進行するため、循環水の温度の均一化が完了するには所定の期間を要する。制御装置Cは、第2処理が行われる場合に、循環水の温度が均一になるのに要する期間について情報を記憶している。以下の説明では、制御装置Cが記憶している、第2処理によって循環水の温度が均一になるのに要する期間のことを「均一化必要期間」と表記する場合がある。
【0033】
例えば、制御装置Cは、温度センサT1、T2、T3等で測定される循環水の現在の温度、外気温度センサ22で測定される現在の外気温度などと、均一化必要期間との関係を示すテーブルを記憶している。そして、制御装置Cは、温度センサT1、T2、T3、及び、外気温度センサ22の測定結果から、均一化必要期間を決定することができる。
【0034】
そして、制御装置Cは、第2処理によって温度が均一化された場合の循環水の温度が最終的に何度になるのかという情報(予測均一化温度)と、循環水の温度を均一化するのに要する期間についての情報(均一化必要期間)とに基づいて、後述する菌対策条件を満たすことができるか否かを判定する。
【0035】
図4は、菌対策運転を説明するフローチャートである。制御装置Cは、このフローチャートを設定タイミングで繰り返し実行する。
【0036】
本実施形態の燃料電池システムは、例えば負荷の多少などに基づいて定期的に運転実施と運転停止とを繰り返すSS運転(スタート-ストップ運転)を行う。そのため、制御装置Cは、運転期間と停止期間とを交互に設定する。運転期間は、改質用水供給部L2を動作させ、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給する第1処理を行い、燃料処理装置2で水蒸気改質により生成された燃料ガスを燃料電池1に供給する期間、即ち、燃料電池1の発電運転を実施する期間である。停止期間は、改質用水供給部L2を停止させ、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給せず、燃料処理装置2で水蒸気改質を行わない期間、即ち、燃料電池1の発電運転を停止する期間である。
【0037】
工程#10において制御装置Cは、菌対策運転の開始タイミングであるか否かを判定する。例えば、制御装置Cは、燃料電池1の発電運転を停止して、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給する必要がなくなった場合、例えば、改質用水ポンプ10を停止させ且つ開閉弁11を閉じた場合に、菌対策運転の開始タイミングになったと判定する。そして、制御装置Cは、菌対策運転の開始タイミングであると判定した場合には工程#11に移行し、菌対策運転の開始タイミングではないと判定した場合にはこのフローチャートを終了する。
【0038】
工程#11において制御装置Cは、停止期間を開始する場合、その停止期間において菌の増殖を抑制するための菌対策条件を満たすことができるか否かを判定する。具体的には、制御装置Cは、第2処理によって温度が均一化された場合の循環水の温度が最終的に何度になるのかを示す予測均一化温度と、循環水の温度を均一化するのに要する期間を示す均一化必要期間とを決定する。また、制御装置Cは、停止期間を開始する場合、その停止期間の長さを予め決定している。
【0039】
決定された予測均一化温度が、菌が死滅する温度の目安となる目標温度以上になる場合、均一化必要期間の経過後には循環水の温度は予測均一化温度になるため(即ち、目標温度以上になるため)、均一化必要期間の経過後には循環水の流路に生息している菌は死滅すると思われる。そこで、制御装置Cは、予測均一化温度が目標温度以上であり、且つ、均一化必要期間が停止期間以下である場合に、菌対策条件を満たすことができると判定する。但し、均一化必要期間よりも停止期間が短い場合、停止期間が経過した時点では循環水の少なくとも一部の温度は予測均一化温度に到達していないため、循環水の流路に生息している菌を死滅させることはできない。
【0040】
制御装置Cは、菌対策条件を満たすことができると判定した場合は工程#12に移行して、その停止期間において、水循環部L3を動作させる第2処理を行う。それに対して、制御装置Cは、菌対策条件を満たすことができないと判定した場合には、その停止期間において第2処理を行わず、このフローチャートを終了する。
【0041】
図5及び図6は、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、第2処理によって均一化された循環水の全体の温度とを説明する図である。この例では、菌を死滅させるに必要な循環水の目標温度は40℃であるとする。また、計算の簡略化のため、電池冷却水タンク3に貯えられている水(1L)及び改質用水タンク4に貯えられている水(2L)のみを考慮し、他の水帰還路13などに存在する水の量については考慮しない。
【0042】
図5に示す例では、外気温度が25℃であるため、改質用水タンク4に貯えられている水(2L)の温度も25℃になっており、蓄熱量は0kWになる。また、電池冷却水タンク3に貯えられている水(1L)は70℃になっているため、その70℃と外気温度の25℃との差分に対応する蓄熱量は約3.1kWになる。この状態で第2処理を行った場合、循環する水(3L)の温度は40℃で均一化される。つまり、予測均一化温度(40℃)は目標温度(40℃)以上になっている。従って、工程#11において制御装置Cは、予測均一化温度は目標温度以上であるので、均一化必要期間が停止期間以下であれば、菌対策条件を満たすことができると判定して工程#12に移行する。それに対して、工程#11において制御装置Cは、予測均一化温度は目標温度以上であるが、均一化必要期間が停止期間より長ければ、菌対策条件を満たすことができないと判定して、第2処理を行わずにこのフローチャートを終了する。
【0043】
図6に示す例では、外気温度が20℃であるため、改質用水タンク4に貯えられている水(2L)の温度も20℃になっており、蓄熱量は0kWになる。また、電池冷却水タンク3に貯えられている水(1L)は70℃になっているため、その70℃と外気温度の20℃との差分に対応する蓄熱量は約3.5kWになる。この状態で第2処理を行った場合、循環する水(3L)の温度は35℃で均一化される。つまり、予測均一化温度(35℃)は目標温度(40℃)以上になっていない。従って、工程#11において制御装置Cは、予測均一化温度は目標温度以上ではないので、菌対策条件を満たすことができないと判定して、第2処理を行わずにこのフローチャートを終了する。
【0044】
工程#12において制御装置Cは、水循環部L3を動作させて、循環水を改質用水タンク4とイオン交換樹脂部5と電池冷却水タンク3とタンク接続部12とを順に流して循環させる第2処理を開始する。具体的には、制御装置Cは、水循環部L3としての開閉弁15を開き且つ水ポンプ14を動作させることで、循環水を図2に太線で描いている経路で循環させる。その結果、図5に示したように、水循環部L3によって循環させられる循環水の全体の温度が目標温度の40℃になる。
【0045】
その後、工程#13において制御装置Cは、菌対策運転の終了タイミングであるか否かを判定し、終了タイミングになった場合には工程#14に移行して第2処理を終了する。例えば、制御装置Cは、温度センサT1,T2,T3で測定される水の温度が全て目標温度以上になった場合に、菌対策運転の終了タイミングになったと判定できる。或いは、制御装置Cは、温度センサT1,T2,T3で測定される水の温度が全て目標温度以上になった後、所定時間経過した場合に、菌対策運転の終了タイミングになったと判定できる。
【0046】
以上のように、停止期間において菌対策条件を満たすことができると判定された場合には第2処理が実行される。その結果、電池冷却水タンク3に貯えられている電池冷却水及び改質用水タンク4に貯えられている水が、水循環部L3によって循環させられる循環水として、改質用水タンク4とイオン交換樹脂部5と電池冷却水タンク3とタンク接続部12とを順に流れて循環する。つまり、少なくとも電池冷却水タンク3に貯えられていた電池冷却水が保有していた熱が、第2処理において水循環部L3によって循環させられる循環水の全体に伝達されてその循環水が昇温され、その循環水での菌の増殖が抑制されることが期待される。また、停止期間において菌対策条件を満たすことができないと判定された場合には、その停止期間において第2処理は行われない。その結果、循環水の昇温が不十分な状態で第2処理が終了することを回避できる。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態の燃料電池システムは、第2処理の内容が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の燃料電池システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0048】
上記第1実施形態の図6で示した例では、制御装置Cは、第2処理によって温度が均一化された場合に予測される循環水の温度(予測均一化温度)が目標温度以上ではないので、菌対策条件を満たすことができないと判定していた。但し、制御装置Cは、加熱装置23を用いて電池冷却水を加熱する加熱処理を行うこともできる。例えば、図3に示すように、加熱処理では、冷却水ポンプ7が動作して冷却水循環路6を電池冷却水が循環し、加熱装置23が動作して電池冷却水が加熱される。つまり、加熱処理によって、電池冷却水タンク3に貯えられる電池冷却水に熱が与えられて昇温される。その場合、制御装置Cは、第2処理によって温度が均一化された場合に予測される循環水の全体の温度(予測均一化温度)を、水循環部L3によって循環させられる循環水の量と、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度と、加熱装置23が電池冷却水に与えることができる熱量とに基づいて予測できる。
【0049】
図7は、加熱処理を行った場合での、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、第2処理によって均一化された循環水の全体の温度とを説明する図である。図示するように、制御装置Cは、加熱処理として、加熱装置23を動作させ、冷却水ポンプ7を動作させることで、70℃から80℃へと昇温された電池冷却水を電池冷却水タンク3に供給する。その結果、電池冷却水タンク3に貯えられている水(1L)は80℃になっているため、その80℃と外気温度の20℃との差分に対応する蓄熱量は約4.2kWになる。この状態で第2処理を行った場合、循環する水(3L)の温度は40℃で均一化され、菌対策運転に必要な水の温度(40℃)を満たす。つまり、制御装置Cは、第2処理を行った場合での循環水の温度は40℃にするためには、電池冷却水タンク3に貯えられている水を80℃にする必要があると決定し、温度センサT1で測定される電池冷却水の温度が80℃になるまで加熱処理を実行する。
【0050】
但し、イオン交換樹脂部5に流入する循環水の温度に所定の上限温度が定められている場合、電池冷却水タンク3に貯えられる水がイオン交換樹脂部5に流入し得ることを考慮すると、電池冷却水タンク3に貯えられる水の温度がその上限温度を超えないことが求められる。他には、燃料電池1に流入する電池冷却水の温度に所定の上限温度が定められている場合、電池冷却水タンク3に貯えられる水の温度がその上限温度を超えないことが求められる。このような場合、制御装置Cは、加熱装置23が電池冷却水を加熱する場合に、電池冷却水タンク3に貯えられる電池冷却水の温度が所定の上限温度を超えないことを制約条件とする。例えば、上限温度は80℃などである。図7に示す場合、この制約条件は満たされている。
【0051】
このように、制御装置Cは、第2処理によって温度が均一化された場合に予測される循環水の全体の温度(予測均一化温度)を、水循環部L3によって循環させられる循環水の量と、第2処理の開始前の時点での循環水の流路途中の複数の箇所での温度と、外気温度と、加熱装置23が電池冷却水に与えることができる熱量とに基づいて予測できる。そして、上記工程#11において制御装置Cは、上記実施形態と同様に、菌対策条件を満たすことができるか否かを判定する。
【0052】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では燃料電池システムの構成について具体的に説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、加熱装置23が冷却水循環路6の途中に設けられる例を説明したが、加熱装置23が電池冷却水タンク3などの他の場所に設けられてもよい。また、加熱装置23は、電気ヒーター等で発生した熱を用いて上記循環水を加熱するものに限らず、別の熱媒体と循環水との熱交換により循環水を加熱するようなものでもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、不純物除去装置としてのイオン交換樹脂部5を例示したが、微生物や油分などの有機物を除去する活性炭などの吸着材を備える不純物除去装置を用いてもよい。
【0055】
<2>
上記実施形態において、制御装置Cは、第2処理を実行するための、燃料処理装置2に改質用水タンク4に貯えられている水を供給する必要がない期間のうち、外気温度が高くなる時間帯に第2処理を実行してもよい。例えば、制御装置Cは、第2処理を実行するための、燃料処理装置2に改質用水タンク4に貯えられている水を供給する必要がない期間のうち、外気温度が所定温度以上になると予測される時間帯にある場合に、上述した菌対策運転の開始タイミングであると判定してもよい。
【0056】
外気温度が相対的に高い時間帯では、改質用水タンク4に貯えられている改質用水の温度も高くなっていると想定される。つまり、図5で示したように外気温度が相対的に高い時間帯に第2処理において水循環部L3によって循環させられる循環水を所定の温度まで昇温するために必要な熱量は、図6で示したように外気温度が相対的に低い場合に必要となる熱量よりも少なくなる点で好ましい。従って、停止期間が均一化必要期間よりも長い場合、その停止期間のどこかのタイミングで第2処理を行えばよい。例えば、停止期間の外気温度を予測し、外気温度が最も高くなると予測されるタイミングを含む時間帯に第2処理を行えばよい。外気温度が高くなる時間帯に第2処理を実行することで、循環水の昇温を容易に行うことができる。
【0057】
<3>
上記実施形態では、制御装置Cが、温度センサT1,T2,T3で測定される水の温度が目標温度以上になった場合などに、菌対策運転の終了タイミングになったと判定する例を説明したが、別のタイミングを菌対策運転の終了タイミングとしてもよい。例えば、制御装置Cは、第1処理を開始すべきタイミングになった場合、即ち、燃料電池1を発電運転させるために、改質用水タンク4に貯えられている水を燃料処理装置2に供給することが必要になったタイミングを、菌対策運転の終了タイミングとしてもよい。つまり、制御装置Cは、第1処理を開始するべきタイミングになるまで、第2処理を継続して実施してもよい。
【0058】
尚、制御装置Cは、温度センサT3で測定される循環水の温度が上述した上限温度に達した場合、第2処理を終了してもよい。例えば、イオン交換樹脂部5の使用温度の上限値が設定されている場合、循環水の温度はその上限値以下にする必要がある。そのため、制御装置Cは、温度センサT3で測定される循環水の温度が上昇してイオン交換樹脂部5の使用温度の上限値に達した場合には、第2処理を終了してもよい。但し、イオン交換樹脂部5の使用温度の上限値は上記目標温度よりも高い温度である。
【0059】
<4>
上記実施形態では、加熱処理を行った後で第2処理を行う例を説明したが、加熱処理と第2処理とを同時に行ってもよい。例えば、制御装置Cは、加熱処理を行って冷却水循環路6を循環する電池冷却水を加熱しながら、水循環部L3で循環水を循環させてもよい。そして、制御装置Cは、例えば温度センサT3で測定される循環水の温度が40℃(菌の増殖を抑制するための目標温度)になった場合に第2処理を終了するタイミングであると判定してもよい。
【0060】
<5>
上記実施形態では、水の温度や熱量などについて具体的な数値を挙げて説明したが、それらの数値は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。
【0061】
<6>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、菌の増殖を抑制する菌対策運転を適切に行うことができる燃料電池システムに利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 :燃料電池
2 :燃料処理装置
3 :電池冷却水タンク
4 :改質用水タンク
5 :イオン交換樹脂部(不純物除去装置)
12 :タンク接続部
23 :加熱装置
C :制御装置
L1 :電池冷却水循環部
L2 :改質用水供給部
L3 :水循環部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7