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特開2023-140811電子機器、トレーニング支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140811
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】電子機器、トレーニング支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20230928BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A63B69/00 C
A63B71/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046842
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】東 侑之介
(57)【要約】
【課題】運動について、ユーザの特徴に合わせたコーチングを行う。
【解決手段】電子機器100は、制御部110を備え、制御部110が、複数の被験体を各被験体の特徴情報に基づいて複数のクラスに分類し、ユーザの特徴情報に基づいてユーザが属するクラスであるユーザクラスを決定し、ユーザクラスに属する被験体による運動に関する指標である運動指標の値である運動指標値に基づいて、前記運動指標値の改善のし易さを示す改善容易度と、前記被験体が運動の目標を達成したときの前記運動指標値である最終到達値と、のうちの少なくとも何れか一方を含むコーチング用パラメータを取得し、ユーザの運動指標値であるユーザ指標値を取得し、コーチング用パラメータとユーザ指標値とに基づいて、ユーザの運動に関するアドバイスを提示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、
前記制御部が、
複数の被験体を各被験体の特徴情報に基づいて複数のクラスに分類し、
ユーザの特徴情報に基づいて前記ユーザが属する前記クラスであるユーザクラスを決定し、
前記ユーザクラスに属する前記被験体による運動に関する指標である運動指標の値である運動指標値に基づいて、前記運動指標値の改善のし易さを示す改善容易度と、前記被験体が運動の目標を達成したときの前記運動指標値である最終到達値と、のうちの少なくとも何れか一方を含むコーチング用パラメータを取得し、
前記ユーザの前記運動指標値であるユーザ指標値を取得し、
前記コーチング用パラメータと前記ユーザ指標値とに基づいて、前記ユーザの運動に関するアドバイスを提示する、
電子機器。
【請求項2】
前記特徴情報は、身体的特徴の情報と、趣向の情報と、を含む、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部が、
前記被験体の前記趣向の情報に基づく分類と、
前記被験体の前記身体的特徴の情報に基づく分類と、
を組み合わせることによって、前記被験体を前記複数のクラスに分類する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記コーチング用パラメータは、前記改善容易度と前記最終到達値の両方を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部が、
前記最終到達値に達していない前記ユーザ指標値の前記運動指標を指導対象として、前記アドバイスを提示する、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部が、
前記改善容易度が最大となる前記運動指標を対象として、前記アドバイスを提示する、
請求項4又は5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部が、
前記改善容易度が閾値以上となる前記運動指標のうち、前記運動指標値と前記最終到達値との差が最大となる前記運動指標を対象として、前記アドバイスを提示する、
請求項4又は5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記改善容易度は、トレーニング回数と前記運動指標値との関係を線形回帰することによって得られる回帰直線の傾きに基づいて算出される、
請求項4から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
電子機器の制御部が、
複数の被験体を各被験体の特徴情報に基づいて複数のクラスに分類し、
ユーザの特徴情報に基づいて前記ユーザが属する前記クラスであるユーザクラスを決定し、
前記ユーザクラスに属する前記被験体による運動に関する指標である運動指標の値である運動指標値に基づいて、前記運動指標値の改善のし易さを示す改善容易度と、前記被験体が運動の目標を達成したときの前記運動指標値である最終到達値と、のうちの少なくとも何れか一方を含むコーチング用パラメータを取得し、
前記ユーザの前記運動指標値であるユーザ指標値を取得し、
前記コーチング用パラメータと前記ユーザ指標値とに基づいて、前記ユーザの運動に関するアドバイスを提示する、
トレーニング支援方法。
【請求項10】
コンピュータが、
複数の被験体を各被験体の特徴情報に基づいて複数のクラスに分類し、
ユーザの特徴情報に基づいて前記ユーザが属する前記クラスであるユーザクラスを決定し、
前記ユーザクラスに属する前記被験体による運動に関する指標である運動指標の値である運動指標値に基づいて、前記運動指標値の改善のし易さを示す改善容易度と、前記被験体が運動の目標を達成したときの前記運動指標値である最終到達値と、のうちの少なくとも何れか一方を含むコーチング用パラメータを取得し、
前記ユーザの前記運動指標値であるユーザ指標値を取得し、
前記コーチング用パラメータと前記ユーザ指標値とに基づいて、前記ユーザの運動に関するアドバイスを提示する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、トレーニング支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運動を行っている際の各種指標値を算出して、その善し悪しを測定するサービスやコーチング技術が開発されている。例えば、特許文献1には、ゴルフプレイヤーのショットの型毎に各種指標値を取得し、適切なトレーニングを提案する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2001/010518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、各種指標値に基づいてプレイヤーの特性を示すプロファイルを生成し、平均的なプレイヤーの正常なプロファイルと比較することによって適切なトレーニングを提案している。しかし、この提案には指標値の時間的な変化や目標値が考慮されておらず、長期的なコーチングを適切に行う上では依然として改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、運動について、ユーザの特徴に合わせたコーチングを行うことができる電子機器、トレーニング支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、
制御部を備え、
前記制御部が、
複数の被験体を各被験体の特徴情報に基づいて複数のクラスに分類し、
ユーザの特徴情報に基づいて前記ユーザが属する前記クラスであるユーザクラスを決定し、
前記ユーザクラスに属する前記被験体による運動に関する指標である運動指標の値である運動指標値に基づいて、前記運動指標値の改善のし易さを示す改善容易度と、前記被験体が運動の目標を達成したときの前記運動指標値である最終到達値と、のうちの少なくとも何れか一方を含むコーチング用パラメータを取得し、
前記ユーザの前記運動指標値であるユーザ指標値を取得し、
前記コーチング用パラメータと前記ユーザ指標値とに基づいて、前記ユーザの運動に関するアドバイスを提示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運動について、ユーザの特徴に合わせたコーチングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係るユーザデータの一例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る選手データベースの一例を示す図である。
図4】実施の形態1に係るコーチング用パラメータ生成処理のフローチャートである。
図5】クラス分けされた選手データベースの一例を示す図である。
図6】実施の形態1に係るコーチング用パラメータ生成処理により生成されたコーチング用パラメータの一例を示す図である。
図7】運動指標値と最終到達値との差の絶対値で回帰直線を求めることを説明する図である。
図8】実施の形態1に係るコーチング事前処理のフローチャートである。
図9】実施の形態1に係るコーチング処理のフローチャートである。
図10】実施の形態1に係るアドバイス内容の一例を説明する図である。
図11】変形例に係るコーチング処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る電子機器等について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る電子機器100は、ユーザの運動データ(ユーザの動きを示す、加速度データ、角速度データ、位置データ等)を取得して、トレーニングを支援する装置である。
【0011】
実施の形態1に係る電子機器100は、図1に示すように、制御部110、記憶部120、データ取得部130、出力部140、操作入力部150、通信部160を備える。
【0012】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される。制御部110は、記憶部120に記憶されているプログラムにより、後述するコーチング処理等を実行する。
【0013】
記憶部120は、制御部110が実行するプログラムや、必要なデータを記憶する。記憶部120は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含み得るが、これらに限られるものではない。なお、記憶部120は、制御部110の内部に設けられていてもよい。
【0014】
また、記憶部120は、ユーザデータ121、選手データベース122を記憶する。ユーザデータ121は、ユーザの身体的特徴及び趣向並びに運動指標値である。このうち、身体的特徴及び趣向は、操作入力部150から予めユーザによって入力され、運動指標値は、ユーザが運動する際にデータ取得部130で取得される。運動指標値とは、運動したときの体の動き等を表す加速度、角速度、位置等のセンサ値並びにセンサ値及び身体的特徴(身長、体重等)から算出される各種指標値(ストライド身長比、腰の回転度等)である。なお、ユーザデータ121は、図2に示すように、ユーザID(Identification)やクラス(後述するコーチング事前処理により身体的特徴及び趣向に基づいて取得されるユーザクラス)等、上述のデータ(身体的特徴及び趣向並びに運動指標値)以外のデータを含んでいてもよい。図2では、コーチング事前処理が実行される前なので、クラスは「未取得」となっている。
【0015】
選手データベース122は、選手(訓練された運動選手だけでなく一般の人も含む任意の被験体)の身体的特徴及び趣向並びに運動指標値の履歴が保存されているデータベースである。これらは予め多数の選手(被験体)から身体的特徴及び趣向並びに各トレーニング時における運動指標値を取得することによって構築されたデータベースである。なお、選手データベース122は、図3に示すように、選手(被験体)のユーザID等、上述のデータ(身体的特徴及び趣向並びに運動指標値の履歴)以外のデータを含んでいてもよい。
【0016】
データ取得部130は、ユーザが運動時に身に付けているウェアラブル機器から無線又は有線によるデータ通信により運動指標値を取得する。なお、このウェアラブル機器は、加速度センサ、角速度センサ等を備えており、ユーザが運動している間の運動指標値を時刻情報とともに記憶部に蓄積する機能や、蓄積されている運動指標値を電子機器100に送信する機能を有している。
【0017】
例えば、電子機器100が操作入力部150を介してユーザから後述するコーチング処理の実行の指示を受け付けると、データ取得部130は、ウェアラブル機器と通信して、運動指標値を取得する。なお、データ取得部130が加速度センサ、ジャイロセンサ等の各種センサを備えて、直接運動指標値を取得してもよく、この場合は、データ取得部130は、ウェアラブル機器から運動指標値を取得する必要はない。
【0018】
出力部140は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスや、スピーカやイヤホン端子等の音声出力デバイスを備える。出力部140は、必ずしも表示デバイスと音声出力デバイスの両方を備える必要はなく、ユーザにメッセージを伝える何らかのデバイスを少なくとも1つ備えていればよい。
【0019】
操作入力部150は、タッチパネル、キーボード、マウス等、ユーザの操作入力(タッチ、ドラッグ、クリック、キー入力等)を受け付けるユーザインタフェースである。
【0020】
通信部160は、無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)等に対応したネットワークインタフェースである。電子機器100は、通信部160を介してインターネットや他の電子機器やサーバ等にアクセスすることができる。
【0021】
ユーザデータ121は、図2に示すように、ユーザの身体的特徴、ユーザの趣向、ユーザの運動時の運動指標値を含む。ここで、身体的特徴とは、性別、身長、体重、足の長さ等、ユーザの身体の特徴を表す各種の値である。また、ユーザの趣向とは、ユーザがランニング等の運動において目指している目標等である。
【0022】
運動指標値は、運動時のセンサの値から算出されるもので、図2では、指標Rとしてストライド身長比(ランニング時のストライド長÷身長)、指標Rとして腰の回転度(ランニング時の腰の回転角度の最大値÷360度)、指標Rとして着地衝撃体重比(ランニング時の足の着地衝撃÷体重)が示されている。
【0023】
なお、実際には、ランニング時にはこれらの運動指標値は足が着地する度に算出されるので、これらの値を全てユーザデータ121に保存するようにしてもよい。本実施の形態では、1回のランニングで得られる各運動指標値の代表値(例えば平均値だが、中間値や最頻値でも良い)を保存するものとする。また、複数回ランニングを行った場合は、直近のランニングで得られた各運動指標値の代表値が保存され、それより前の値は捨てられるものとするが、過去の所定の回数分についての各運動指標値の代表値も運動指標値の履歴としてユーザデータ121に保存されるようになっていてもよい。
【0024】
選手データベース122は、図3に示すように、多数の選手の身体的特徴及び趣向並びに運動指標値の履歴が保存されているデータベースである。これらのうち、身体的特徴及び趣向は、ユーザデータ121と同様である。なお、上述したように、選手データベース122における選手とは、訓練された運動選手だけでなく、一般の人も含む任意の被験体である。
【0025】
また、選手データベース122に保存される運動指標値の履歴は、選手がトレーニングを繰り返す毎に各トレーニングにおける運動指標値が記録されたデータである。基本的には、トレーニングを開始した第1回目から、趣向に記載された目標が達成されたときまでの回数分の運動指標値が記録されている。ただし、ユーザデータ121と同様、運動指標値は各トレーニングにおいて複数(例えば足が着地する度に)算出されるので、1回のトレーニングで得られる運動指標値の代表値(例えば平均値)が、運動指標毎に保存される。図3では、選手Pの趣向は「マラソンタイム短縮(上級レベル)」で、この目標が達成されたのが第8回目のトレーニングであり、その際に指標Rは1.21になり、指標Rは0.31になっていることが示されている。
【0026】
なお、図2及び図3では、ユーザの趣向の例として「マラソンタイム短縮(上級レベル)」が示されている。ユーザデータ121や選手データベース122に記録される趣向については、ユーザや選手が自由に設定できるようにしてもよいが、自由度を高くしすぎると、同じ趣向を持つユーザや選手の人数が非常に少なくなってしまう。そこで、本実施の形態では、予め設定された複数の趣向の中から、ユーザや選手が自分に合ったものを選択することとする。
【0027】
予め設定される趣向の例としては、例えば次のようなものが考えられる。
‐マラソンタイム短縮(上級レベル):目安 フルマラソンを3時間以内で完走
‐マラソンタイム短縮(中級レベル):目安 フルマラソンを5時間以内で完走
‐マラソンタイム短縮(初級レベル):目安 フルマラソンを7時間以内で完走
‐短距離走タイム短縮(上級レベル):目安 100mを12秒以内
‐短距離走タイム短縮(中級レベル):目安 100mを14秒以内
‐疲れずに一定のペースで走れるようになりたい
‐美しいフォームで走れるようになりたい
【0028】
また、選手データベース122には、各選手が趣向に記載された目標を何回目のトレーニングで達成したかを記録する必要があるが、これらの趣向のうち、明確な数値目標があるもの(例えば「マラソンタイム短縮」)については、その数値(例えば「3時間以内に完走」)をクリアすれば目標達成と判定されることになる。数値目標がないものについても、その目標に応じて内部的に数値目標が設定され、それが達成された時に目標達成と判定される。例えば、趣向が「美しいフォームで走れるようになりたい」であるなら、美しいフォームで走っている人の運動指標値に基づいて、フォームに関連する運動指標値毎に内部的に数値目標が設定され、その値との差分が所定の値以下(例えば「差分が3%以下」等)になったら目標達成と判定される。
【0029】
次に、本実施の形態におけるコーチング用パラメータ生成処理について、図4を参照して説明する。このコーチング用パラメータ生成処理は、選手データベース122に保存されている選手を特徴情報(その選手の身体的特徴の情報及び趣向の情報)に基づいてクラス分けし、クラス毎に、各運動指標の改善容易度及び最終到達値を算出する処理である。
【0030】
基本的には、電子機器100の生産工場等において出荷前の動作確認を行う際に、記憶部120に選手データベース122が格納された後に、コーチング用パラメータ生成処理が実行される。また、電子機器100の最初の起動時や、ユーザが操作入力部150を介して電子機器100にコーチング用パラメータ生成処理の実行を指示すると、コーチング用パラメータ生成処理が実行されるようにしてもよい。また、選手データベース122に保存されているデータが追加されたり更新されたりすると、コーチング用パラメータ生成処理が自動的に実行されるようになっていてもよい。
【0031】
コーチング用パラメータ生成処理が実行されると、まず制御部110は、選手データベース122内の各選手のデータを各選手の趣向に基づいてクラス分けする(ステップS101)。これは、趣向が同じ選手を同じクラスに分類する処理である。
【0032】
次に、制御部110は、各クラス内の各選手のデータを、各選手の身体的特徴に基づいてクラスタリングすることにより、さらに細分化したクラス分けをする(ステップS102)。このクラス分けの手法は任意であるが、例えば、身体的特徴を多次元ベクトルで表し、それをk-means法等のクラスタリング手法によりクラスタリングすることによって行う。
【0033】
これにより、選手データベース122内の各選手のデータは図5に示すように、同じ趣向及び類似する身体的特徴を持つ複数の選手が、同一のクラスCにまとまることになる。なお、ステップS101とステップS102の実行の順番は逆でもよい。すなわち、まず選手データベース122内の各選手を身体的特徴に基づいてクラスタリングし、さらに、趣向に基づいてクラス分けしてもよい。
【0034】
図4に戻り、次に制御部110は、変数iを1に初期化する(ステップS103)。なお、この変数iは、ステップS102でクラスタリングされたクラスの1つ1つにおいてステップS104及びステップS105を実行するために便宜上用いる変数である。ステップS104及びステップS105の処理を全てのクラスについて行うことができるのであれば、変数iを用いずに行ってもよい。
【0035】
そして制御部110は、クラスCの各選手P(1≦j≦クラスC内の選手数n)について、各指標R(1≦k≦運動指標の種類数m)の改善容易度と最終到達値を取得する(ステップS104)。
【0036】
改善容易度とは、その運動指標の改善のしやすさを表す値である。例えば、選手Pがトレーニングした回数をx、そのときの指標Rの値をyとしてグラフを描き、選手Pが目標を達成したときのトレーニング回数をxとすると、xの値として1からxまでの範囲で指標Rの値の線形回帰を行って得られる回帰直線の傾きの絶対値が指標Rの改善容易度である。この回帰直線の傾きの絶対値が大きければ、その運動指標の回数毎の変化量が大きくなり、ユーザはその運動指標の改善を実感できると考えられるからである。また、トレーニング回数xの時点での指標Rの値が最終到達値である。
【0037】
例えば、図5での例で説明すると、指標Rについては、図5のグラフ210に示すように、回帰直線211が得られ、この回帰直線211の傾きの絶対値が指標Rの改善容易度となる。また、トレーニング回数xの時点での指標Rの値212が指標Rの最終到達値である。同様に、指標Rについては、グラフ220に示すように回帰直線221が得られ、この回帰直線221の傾きの絶対値が指標Rの改善容易度となる。また、トレーニング回数xの時点での指標Rの値222が指標Rの最終到達値である。
【0038】
図4のステップS104では、このようにして、クラスCに属する各選手P(1≦j≦クラスC内の選手数n)について、各指標R(1≦k≦運動指標の種類数m)の改善容易度と最終到達値を取得する。
【0039】
そして、制御部110は、各指標R(1≦k≦運動指標の種類数m)の改善容易度と最終到達値について、クラスCに属する全選手P(1≦j≦クラスC内の選手数n)で平均をとって代表値を算出し、記憶部120に記録する(ステップS105)。なお、平均の代わりに中央値や最頻値を求めて代表値としてもよい。
【0040】
そして、制御部110は、変数iの値に1を加算し(ステップS106)、変数iの値がステップS102でクラスタリングされたクラスの数より大きいか否かを判定する(ステップS107)。変数iの値がクラスの数以下なら(ステップS107;No)、制御部110は、ステップS104に戻る。
【0041】
変数iの値がクラスの数より大きければ(ステップS107;Yes)、制御部110は、コーチング用パラメータ生成処理を終了する。このコーチング用パラメータ生成処理により、記憶部120には、図6に示すような、各クラスCにおけるコーチング用パラメータ(改善容易度及び最終到達値)が記録される。
【0042】
なお、運動指標の種類によっては、図7に示すように、運動指標の値が最終到達値を上回ったり下回ったりしながら最終到達値に近づく場合もある。このような場合に単純に線形回帰を行って回帰直線を求めると、グラフ230に示すように運動指標値の変化をあまり近似できない回帰直線231が得られてしまう。この場合には、グラフ240に示すように、各運動指標値と最終到達値との差の絶対値のグラフを描いて回帰直線241を求め、この回帰直線241の傾きの絶対値を改善容易度とする。なお、運動指標の種類によって、回帰直線の求め方を変更するのは煩雑なため、全ての運動指標について、このように運動指標値と最終到達値との差の絶対値のグラフを描いて回帰直線を求めることにしてもよい。
【0043】
また、トレーニング回数と運動指標値(又は運動指標値と最終到達値との差)との関係を示すグラフを近似する際には、線形回帰よりも非線形回帰を用いた方がより精度の高い近似ができる場合が多いと考えられる。しかし、線形回帰を用いた方が(回帰直線の傾きを改善容易度として算出可能なため)改善容易度を算出しやすい。そこで、本実施の形態においては、近似の精度は気にせずに、常に線形回帰を用いることとする。
【0044】
次に、本実施の形態におけるコーチング事前処理について、図8を参照して説明する。このコーチング事前処理は、ユーザが所属するクラスを、ユーザの特徴情報(ユーザの身体的特徴の情報及び趣向の情報)に基づいて求め、そのクラスに属する人のためのコーチング用パラメータ(各運動指標の改善容易度及び最終到達値)を取得する処理である。また、このコーチング事前処理は、ユーザが操作入力部150を介して電子機器100にコーチング事前処理の実行を指示すると実行が開始される。ただし、コーチング事前処理が実行されていない段階で後述するコーチング処理の実行が指示された場合には、コーチング処理の実行に先だってコーチング事前処理が実行される。
【0045】
コーチング事前処理の実行が開始されると、まず制御部110は、ユーザの趣向及び身体的特徴を取得する(ステップS201)。例えば、制御部110は、出力部140の表示デバイスに趣向の一覧リストや、身体的特徴の入力欄を表示し、ユーザにより操作入力部150から入力された趣向及び身体的特徴を取得する。その際、制御部110は、取得した趣向及び身体的特徴を記憶部120にユーザデータ121として保存してもよい。また、ステップS201を実行する時点で既にユーザデータ121として、趣向及び身体的特徴が保存済みであった場合には、制御部110は、ステップS201で、ユーザデータ121として記憶部120に保存されている趣向及び身体的特徴を取得してもよい。
【0046】
次に制御部110は、コーチング用パラメータ生成処理によりクラス分けされた選手データベース122の中から、ユーザの趣向及び身体的特徴に最も合致するクラス(ユーザクラス)を検索する(ステップS202)。
【0047】
そして、制御部110は、検索されたクラス(ユーザクラス)での各運動指標の改善容易度及び最終到達値をコーチング用パラメータとして取得し(ステップS203)、コーチング事前処理を終了する。
【0048】
コーチング事前処理により、ユーザ用のコーチング用パラメータを取得することができる。次に、本実施の形態のコーチング処理について、図9を参照して説明する。このコーチング処理は、ユーザがトレーニングしたときの運動指標値(ユーザ指標値)に基づいて、ユーザが改善しやすい運動指標とアドバイスを提示する処理である。また、このコーチング処理は、ユーザが操作入力部150を介して電子機器100にコーチング処理の実行を指示すると実行が開始される。
【0049】
コーチング処理の実行が開始されると、まず制御部110は、ユーザが運動した際の運動指標値(ユーザ指標値)を取得する(ステップS301)。例えば、制御部110は、データ取得部130を介してウェアラブル機器に蓄積されている運動指標値を取得する。また、データ取得部130が各種センサを備えている場合には、この時点でユーザに運動をしてもらい、運動指標値を取得する。
【0050】
次に、制御部110は、ユーザのコーチング用パラメータとして、ユーザが所属するクラスにおける各運動指標の改善容易度及び最終到達値を取得する(ステップS302)。これは、上述のコーチング事前処理で取得されているものを用いればよい。
【0051】
そして、制御部110は、各運動指標のうち、ユーザの運動指標値が最終到達値に達していない運動指標を抽出する(ステップS303)。なお、値が単調増加(又は単調減少)して最終到達値に達する運動指標の場合は、ユーザの運動指標値が最終到達値以上(単調減少の場合は最終到達値以下)になったら、制御部110は、ユーザの運動指標値が最終到達値に達したと判断する。図7のグラフ230に示すようにユーザの運動指標値が増加したり減少したりしながら最終到達値に近づいていく運動指標の場合には、運動指標値と最終到達値との差が到達閾値(例えば最終到達値の5%)以下になったら、制御部110は、ユーザの運動指標値が最終到達値に達したと判断する。
【0052】
次に、制御部110は、抽出した運動指標のうち、改善容易度が最大の運動指標を抽出する(ステップS304)。そして、制御部110は、抽出した運動指標を指導対象とし、出力部140でアドバイスを提示し(ステップS305)、コーチング処理を終了する。
【0053】
例えば、運動指標が指標Rと指標Rで、ユーザデータ121が図2示す内容で、コーチング用パラメータが図6に示す内容であった場合、ステップS304では最終到達値に達していない運動指標として指標Rと指標Rが抽出される。そして、ステップS305では、改善容易度が指標Rより大きな指標Rが抽出される。そして、ステップS306で、指標Rを指導対象としたアドバイスが提示される。
【0054】
ステップS306で提示されるアドバイスの内容は、改善させる運動指標と対応付けて図10に示すように記憶部120に記憶されており、制御部110は、指導対象として抽出された運動指標に対応するアドバイスを選択し、出力部140から提示する。例えば、指導対象が「ストライド身長比」なら制御部110は「腕振りを大きくし、足を半歩分遠くに着地する意識を持つことで改善が見込まれます。」というアドバイスを選択する。また、指導対象が「腰の回転度」なら、「足をスイングするタイミングで、腰を大きく素早く回すことを意識することで改善が見込まれます。」というアドバイスを選択する。また、指導対象が「着地衝撃体重比」なら「足の接地時に腹の下で着地し、やわらかく足を置く意識で改善が見込まれます。」というアドバイスを選択する。
【0055】
アドバイスの提示の仕方としては、出力部140の表示デバイスに文字で表示してもよいし、出力部140の音声出力デバイスから音声で出力してもよいし、文字と音声を両方とも出力してもよい。
【0056】
また、アドバイスの内容としては、上述のような運動指標に対応した固定メッセージに限らず、運動指標値等をアドバイスの内容に含めてもよい。例えば、上述の例では指標Rはストライド身長比で、ユーザのストライド身長比は0.63で、ユーザが属するクラスのストライド身長比の最終到達値は1.21なので、「ストライド身長比の改善を意識して走ってみましょう。現在のあなたのストライド身長比は0.63ですが、目標を達成した人たちはストライド身長比を1.21まで改善させていますよ。腕振りを大きくし、足を半歩分遠くに着地する意識を持つことで改善が見込まれます。」のようなアドバイスを提示してもよい。
【0057】
また、ユーザが属するクラスに応じてアドバイスの内容を変更してもよい。すなわち、記憶部120に記憶されているアドバイスの内容は、改善させる運動指標だけでなく、身体的特徴や趣向と対応付けてあってもよい。
【0058】
また、上述の実施の形態1では、コーチング用パラメータ生成処理により、選手データベースの内容を予めクラス分けしてからコーチング事前処理を行っていたが、コーチング事前処理を行う際に、ユーザの趣向に適合する選手のデータだけを用いてコーチング用パラメータ生成処理を行ってもよい。このようにすることにより、クラス分けするデータ量を削減させることができる。
【0059】
上述のコーチング処理では、改善容易度が最大の運動指標が指導対象として抽出されるので、アドバイスに従ってトレーニングすることにより、ユーザはかなり短時間で当該運動指標値を改善することができ、運動に対するモチベーションを向上させることができる。
【0060】
(変形例)
上述の実施の形態1では、運動指標のうち、改善容易度が最大のものを指導対象としたが、指導対象とする運動指標はこれに限定されるわけではない。ここでは、改善容易度がある閾値を超えている運動指標のうち、ユーザの現在の運動指標値と最終到達値との差が最大の運動指標を指導対象とする変形例について説明する。
【0061】
変形例に係る電子機器100の機能構成、コーチング用パラメータ生成処理及びコーチング事前処理は、実施の形態1と同様である。変形例に係るコーチング処理について、図11を参照して説明する。このコーチング処理は、上述の図9を参照して説明した実施の形態1に係るコーチング処理と同様、ユーザが操作入力部150を介して電子機器100にコーチング処理の実行を指示すると実行が開始される。また、変形例に係るコーチング処理のうち、ステップS301,S302,S305については、上述した実施の形態1に係るコーチング処理と同様なので、以下では実施の形態1と異なるステップS323及びステップS324について説明する。
【0062】
ステップS323では、制御部110は、ユーザの運動指標値が最終到達値に達していない運動指標であって、かつ、改善容易度がある閾値以上の運動指標を抽出する。
【0063】
そして、ステップS324では、制御部110は、抽出した運動指標のうち、最終到達値との差の絶対値が最大の運動指標を抽出する。なお、差ではなく、比に基づいて抽出しても良い。すなわち、ステップS324で制御部110は、抽出した運動指標のうち、最終到達値との比(比が1未満の場合は比の逆数)が最大の運動指標を抽出してもよい。
【0064】
この変形例に係るコーチング処理では、改善容易度が高いだけでなく、最終到達値との差(又は比)が最大の運動指標が指導対象として抽出されるので、アドバイスに従ってトレーニングすることにより、ユーザは運動指標値が目に見えて改善されるのを実感でき、運動に対するモチベーションを向上させることができる。
【0065】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態1及び変形例ではトレーニングする運動の種類としては基本的にランニングを対象として説明した。しかし、運動の種類はランニングに限られない。センサ等により、運動指標値を取得できるものであれば、電子機器100は、任意の運動(例えば、ウォーキング、スイミング、ゴルフ、テニス、ダンス等)に適用させることが可能である。また、この場合、扱う運動指標の種類やアドバイスの内容は、コーチング対象とする運動に応じて変更することができる。このようにすることにより、電子機器100は、ランニングに限らず、様々な運動を対象として、ユーザのトレーニングを支援することができる。
【0066】
また、アドバイスの内容は文章に限定されるわけではない。指導対象の運動指標の値の改善につながる模範的な体の動き等をアニメーション表示してもよい。また、模範的な動作を行ったときの音(例えばゴルフ、テニス等のスイング音)を出力するようにしてもよい。また、模範的な動作を行っている選手の姿を録画したものを再生するようにしてもよい。また、文章、アニメーション、音、録画のうちのいずれか2つ以上の組合せによってアドバイスを提示してもよい。
【0067】
また、上述の実施の形態及び変形例では、コーチング用パラメータの改善容易度を、回帰直線の傾きの絶対値として求めているが、異なる運動指標の回帰直線の傾きの絶対値をそのまま比較すると適切な比較が行えない場合もある。そこで、運動指標毎に傾き補正値を予め用意しておき、コーチング処理のステップS304又はステップS323において各運動指標の改善容易度を算出する際には、各運動指標の傾きを傾き補正値で補正する(例えば、傾きに傾き補正値を乗算した値を改善容易度とする)ようにしてもよい。
【0068】
同様に、最終到達値についても、異なる運動指標の最終到達値をそのまま比較すると適切な比較が行えない場合があるので、運動指標毎に最終到達値補正値を予め用意しておいてもよい。そして、コーチング処理のステップS324において運動指標値と最終到達値との差(又は比)を算出する際には、最終到達値補正値で補正する(例えば、運動指標値と最終到達値との差に最終到達値補正値を乗算した値を算出し、この値が最大の運動指標を抽出する)ようにしてもよい。
【0069】
(効果等)
上述のコーチング処理により、電子機器100は、ユーザの身体的特徴や趣向を考慮したコーチングを行うことができる。これにより、電子機器100は、体格や性別等によっても左右されうる運動指標の改善方法の多様性に対応したコーチングを実施することができる。また、ユーザの趣向も考慮したコーチングを実施できるとともに、改善しやすい運動指標を重点的に改善するようなアドバイスを提示することにより、ユーザのモチベーション向上、飽き防止にもつなげることができる。
【0070】
改善容易度は、例えば、トレーニング回数と運動指標値との関係を線形回帰することによって得られる回帰直線の傾きの絶対値として算出される。このため、非線形回帰を用いるよりも容易に算出でき、また、今後のトレーニング回数が少なくても最終到達値に達しやすい運動指標を抽出することができる。
【0071】
なお、電子機器100は、タブレット、スマートフォン、PC等のコンピュータによっても実現することができる。具体的には、上記実施の形態では、電子機器100が実行するコーチング処理等のプログラムが、記憶部120に予め記憶されているものとして説明した。しかし、これらのプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical disc)、メモリカード、USBメモリ等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各処理を実行することができるコンピュータを構成してもよい。
【0072】
さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の各処理を実行できるように構成してもよい。
【0073】
また、制御部110は、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ、マルチコアプロセッサ等の任意のプロセッサ単体で構成されるものの他、これら任意のプロセッサと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられて構成されてもよい。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0075】
(付記1)
制御部を備え、
前記制御部が、
複数の被験体を各被験体の特徴情報に基づいて複数のクラスに分類し、
ユーザの特徴情報に基づいて前記ユーザが属する前記クラスであるユーザクラスを決定し、
前記ユーザクラスに属する前記被験体による運動に関する指標である運動指標の値である運動指標値に基づいて、前記運動指標値の改善のし易さを示す改善容易度と、前記被験体が運動の目標を達成したときの前記運動指標値である最終到達値と、のうちの少なくとも何れか一方を含むコーチング用パラメータを取得し、
前記ユーザの前記運動指標値であるユーザ指標値を取得し、
前記コーチング用パラメータと前記ユーザ指標値とに基づいて、前記ユーザの運動に関するアドバイスを提示する、
電子機器。
【0076】
(付記2)
前記特徴情報は、身体的特徴の情報と、趣向の情報と、を含む、
付記1に記載の電子機器。
【0077】
(付記3)
前記制御部が、
前記被験体の前記趣向の情報に基づく分類と、
前記被験体の前記身体的特徴の情報に基づく分類と、
を組み合わせることによって、前記被験体を前記複数のクラスに分類する、
付記2に記載の電子機器。
【0078】
(付記4)
前記コーチング用パラメータは、前記改善容易度と前記最終到達値の両方を含む、
付記1から3のいずれか1つに記載の電子機器。
【0079】
(付記5)
前記制御部が、
前記最終到達値に達していない前記ユーザ指標値の前記運動指標を指導対象として、前記アドバイスを提示する、
付記4に記載の電子機器。
【0080】
(付記6)
前記制御部が、
前記改善容易度が最大となる前記運動指標を対象として、前記アドバイスを提示する、
付記4又は5に記載の電子機器。
【0081】
(付記7)
前記制御部が、
前記改善容易度が閾値以上となる前記運動指標のうち、前記運動指標値と前記最終到達値との差が最大となる前記運動指標を対象として、前記アドバイスを提示する、
付記4又は5に記載の電子機器。
【0082】
(付記8)
前記改善容易度は、トレーニング回数と前記運動指標値との関係を線形回帰することによって得られる回帰直線の傾きに基づいて算出される、
付記4から7のいずれか1つに記載の電子機器。
【0083】
(付記9)
電子機器の制御部が、
複数の被験体を各被験体の特徴情報に基づいて複数のクラスに分類し、
ユーザの特徴情報に基づいて前記ユーザが属する前記クラスであるユーザクラスを決定し、
前記ユーザクラスに属する前記被験体による運動に関する指標である運動指標の値である運動指標値に基づいて、前記運動指標値の改善のし易さを示す改善容易度と、前記被験体が運動の目標を達成したときの前記運動指標値である最終到達値と、のうちの少なくとも何れか一方を含むコーチング用パラメータを取得し、
前記ユーザの前記運動指標値であるユーザ指標値を取得し、
前記コーチング用パラメータと前記ユーザ指標値とに基づいて、前記ユーザの運動に関するアドバイスを提示する、
トレーニング支援方法。
【0084】
(付記10)
コンピュータが、
複数の被験体を各被験体の特徴情報に基づいて複数のクラスに分類し、
ユーザの特徴情報に基づいて前記ユーザが属する前記クラスであるユーザクラスを決定し、
前記ユーザクラスに属する前記被験体による運動に関する指標である運動指標の値である運動指標値に基づいて、前記運動指標値の改善のし易さを示す改善容易度と、前記被験体が運動の目標を達成したときの前記運動指標値である最終到達値と、のうちの少なくとも何れか一方を含むコーチング用パラメータを取得し、
前記ユーザの前記運動指標値であるユーザ指標値を取得し、
前記コーチング用パラメータと前記ユーザ指標値とに基づいて、前記ユーザの運動に関するアドバイスを提示する、
プログラム。
【符号の説明】
【0085】
100…電子機器、110…制御部、120…記憶部、121…ユーザデータ、122…選手データベース、130…データ取得部、140…出力部、150…操作入力部、160…通信部、210,220,230,240…グラフ、211,221,231,241…回帰直線、212,222…最終到達値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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