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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140844
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20230928BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230928BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20230928BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/10
H02J50/80
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046884
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】婦木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翼
(72)【発明者】
【氏名】河村 知史
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】複数の受電装置へのトータルでの適正な給電を実現できる無線給電システムを提供する。
【解決手段】無線給電システムは、共用の送電装置30から複数の受電装置40,50への無線給電を行う。送電装置30の設定部36は、複数の受電装置40,50についての無線給電の実行にかかる優先度を設定する。送電装置30のグループ化部35は、協働して特定の機能を発揮する読み取り機24および発信器23に設けられた受電装置40,50を選んでグループ化する。送電装置30の設定部36は、グループ化部35によってグループ化した装置グループについての優先度をグループ単位で設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受電装置についての無線給電の実行にかかる優先度を設定する設定部を有し、同設定部が設定する前記優先度をもとに、共用の送電装置から前記複数の受電装置への無線給電を行う無線給電システムにおいて、
前記複数の受電装置は、所定条件の成立時に協働して特定の機能を発揮する複数の電気機器に設けられた前記受電装置を含み、
前記無線給電システムは、前記複数の電気機器に設けられた前記受電装置を前記複数の受電装置の中から選んでグループ化するグループ化部を備え、
前記設定部は、前記グループ化部によってグループ化した装置グループについての前記優先度をグループ単位で設定する
無線給電システム。
【請求項2】
複数の受電装置についての無線給電の実行にかかる優先度を設定する設定部を有し、同設定部が設定する前記優先度をもとに、共用の送電装置から前記複数の受電装置への無線給電を行う無線給電システムにおいて、
前記複数の受電装置は、協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器に設けられる前記受電装置を含み、
前記無線給電システムは、前記複数の電気機器に設けられた前記受電装置を前記複数の受電装置の中から選んでグループ化した装置グループを予め記憶するグループ記憶部を備え、
前記設定部は、前記装置グループについての前記優先度をグループ単位で設定する
無線給電システム。
【請求項3】
前記設定部は、前記装置グループの前記優先度を、前記装置グループに含まれない前記受電装置の前記優先度と比較して高い優先度に設定する
請求項1または2に記載の無線給電システム。
【請求項4】
前記設定部は、前記装置グループに含まれない前記受電装置の前記優先度と比較して前記装置グループの前記優先度が高くなり易くなるように、前記優先度の設定に用いる設定パラメータに対する重み付けを行う
請求項1または2に記載の無線給電システム。
【請求項5】
前記受電装置は、前記無線給電によって受電した電力を蓄える蓄電部と、前記蓄電部の電力残量に関する情報を記憶する蓄電情報記憶部と、を有し、
前記設定部は、前記蓄電情報記憶部が記憶している前記情報を前記設定パラメータとして用いて、前記複数の受電装置についての前記優先度を設定する
請求項4に記載の無線給電システム。
【請求項6】
前記設定部は、前記蓄電部の電力残量が所定レベル以下であるときには当該蓄電部を有する前記受電装置の前記優先度を前記複数の受電装置の中で最も高くする
請求項5に記載の無線給電システム。
【請求項7】
前記受電装置は、同受電装置が設けられた前記電気機器の役割に関する情報を記憶する役割情報記憶部を有し、
前記設定部は、前記役割情報記憶部が記憶している前記役割に関する情報を前記設定パラメータとして用いて、前記複数の受電装置についての前記優先度を設定する
請求項4~6のいずれか一項に記載の無線給電システム。
【請求項8】
前記設定部は、前記装置グループの前記優先度として、仮に前記装置グループに含まれる前記受電装置についての前記優先度を各別に設定した場合において該設定した優先度の中で最も高くなる優先度を設定する
請求項1~7のいずれか一項に記載の無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共用の送電装置から複数の受電装置に対して無線給電を行う無線給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器への給電を非接触で行う、いわゆる無線給電が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の無線給電システムは、送電装置と受電装置とを有する。この無線給電システムでは、送電装置から電力(詳しくは、送電用の電波)が送られるとともに、この電力が受電装置によって受電される。そして、受電装置によって受電した電力は、同受電装置が搭載される電気機器の電源として利用されたり、同電気機器に内蔵の蓄電池の充電に利用されたりする。
【0003】
また特許文献1には、給電対象の受電装置を複数有する無線給電システムにおいて、個々の受電装置に給電の優先度を定めるとともに、その優先度をもとに各受電装置への無線給電を実行することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-58233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、複数の電気機器によって構成される一連のシステムでは、それら電気機器は連携した状態で作動する。こうしたシステムの各電気機器に、上述の優先度を定めた受電装置を設けると、次のような不都合が生じるおそれがある。すなわち、給電の優先度の高い電気機器の受電装置への給電を優先するあまり、優先度の低い電気機器の受電装置への給電がおろそかになると、連携している電気機器の一部が電力不足によって作動しなくなるおそれがある。この場合、複数の電気機器によって構成される一連のシステムがうまく機能しなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための無線給電システムは、複数の受電装置についての無線給電の実行にかかる優先度を設定する設定部を有し、同設定部が設定する前記優先度をもとに、共用の送電装置から前記複数の受電装置への無線給電を行う無線給電システムにおいて、前記複数の受電装置は、所定条件の成立時に協働して特定の機能を発揮する複数の電気機器に設けられた前記受電装置を含み、前記無線給電システムは、前記複数の電気機器に設けられた前記受電装置を前記複数の受電装置の中から選んでグループ化するグループ化部を備え、前記設定部は、前記グループ化部によってグループ化した装置グループについての前記優先度をグループ単位で設定する。
【0007】
上記構成によれば、所定条件の成立時に協働して特定の機能を発揮する複数の電気機器に設けられた受電装置をグループ化するとともに、グループ化した装置グループの単位で給電の優先度を設定することができる。そして、この優先度をもとに、装置グループを含む全ての受電装置に対する無線給電を実行することができる。これにより、装置グループを構成する全ての受電装置、すなわち協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器に設けられた全ての受電装置に対して、送電装置からの無線給電を同一の優先度で実行することができる。そのため、電気機器の協働によって得られる特定の機能を好適に維持することができる。上記構成によれば、複数の受電装置を有する無線給電システムにおいて、各受電装置へのトータルでの適正な給電を実現できる。
【0008】
前記課題を解決するための無線給電システムは、複数の受電装置についての無線給電の実行にかかる優先度を設定する設定部を有し、同設定部が設定する前記優先度をもとに、共用の送電装置から前記複数の受電装置への無線給電を行う無線給電システムにおいて、前記複数の受電装置は、協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器に設けられる前記受電装置を含み、前記無線給電システムは、前記複数の電気機器に設けられた前記受電装置を前記複数の受電装置の中から選んでグループ化した装置グループを予め記憶するグループ記憶部を備え、前記設定部は、前記装置グループについての前記優先度をグループ単位で設定する。
【0009】
上記構成によれば、複数の受電装置のうちの幾つかをグループ化した装置グループの単位で給電の優先度を定めたうえで、この優先度をもとに複数の受電装置の全てに対する無線給電を実行することができる。これにより、装置グループを構成する全ての受電装置に対して、すなわち協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器に設けられた全ての受電装置に対して、送電装置からの無線給電を同一の優先度で実行することができる。そのため、電気機器の協働によって得られる特定の機能を好適に維持することができる。上記構成によれば、複数の受電装置を有する無線給電システムにおいて、各受電装置へのトータルでの適正な給電を実現できる。
【0010】
上記無線給電システムにおいて、前記設定部は、前記装置グループの前記優先度を、前記装置グループに含まれない前記受電装置の前記優先度と比較して高い優先度に設定することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、装置グループに含まれない受電装置への無線給電よりも、同装置グループに含まれる受電装置への無線給電が優先して実行されるようになる。そのため、連携している電気機器の一部が電力不足によって作動しなくなるといった不都合の発生を好適に抑えることができる。
【0012】
上記無線給電システムにおいて、前記設定部は、前記装置グループに含まれない前記受電装置の前記優先度と比較して前記装置グループの前記優先度が高くなり易くなるように、前記優先度の設定に用いる設定パラメータに対する重み付けを行うことが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、装置グループに含まれない受電装置への無線給電よりも、同装置グループに含まれる受電装置への無線給電が優先して実行されるようになる。そのため、連携している電気機器の一部が電力不足によって作動しなくなるといった不都合の発生を好適に抑えることができる。
【0014】
上記無線給電システムにおいて、前記受電装置は、前記無線給電によって受電した電力を蓄える蓄電部と、前記蓄電部の電力残量に関する情報を記憶する蓄電情報記憶部と、を有し、前記設定部は、前記蓄電情報記憶部が記憶している前記情報を前記設定パラメータとして用いて、前記複数の受電装置についての前記優先度を設定することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、蓄電部の電力残量が少なくなっている受電装置(または装置グループ)を優先して無線給電を実行するといったように、蓄電部の電力残量に応じたかたちで各受電装置への無線給電を実行することができる。
【0016】
上記無線給電システムにおいて、前記設定部は、前記蓄電部の電力残量が所定レベル以下であるときには当該蓄電部を有する前記受電装置の前記優先度を前記複数の受電装置の中で最も高くすることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、特定の受電装置の蓄電部の電力残量が少なくなってしまった場合には、特定の受電装置に対する給電を最優先で実行することができる。したがって、特定の受電装置(あるいは装置グループ)に対応する電気機器が電力不足によって作動不能になるといった不都合の発生を好適に抑えることができる。
【0018】
上記無線給電システムにおいて、前記受電装置は、同受電装置が設けられた前記電気機器の役割に関する情報を記憶する役割情報記憶部を有し、前記設定部は、前記役割情報記憶部が記憶している前記役割に関する情報を前記設定パラメータとして用いて、前記複数の受電装置についての前記優先度を設定することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、比較的重要な役割を担う電気機器を優先して無線給電を実行するといったように、電気機器の役割に応じて、各電気機器に設けられた受電装置への無線給電を実行することができる。
【0020】
上記無線給電システムにおいて、前記設定部は、前記装置グループの前記優先度として、仮に前記装置グループに含まれる前記受電装置についての前記優先度を各別に設定した場合において該設定した優先度の中で最も高くなる優先度を設定することが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、装置グループに含まれる複数の受電装置の中でも給電が最も優先されるべき受電装置の優先度に合わせて、装置グループ全体の優先度を設定することができる。これにより、装置グループの全体に対して十分な電力を供給することができる。そのため、装置グループに対応する電気機器の協働によって得られる特定の機能を好適に維持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の受電装置を有する無線給電システムにおいて各受電装置へのトータルでの適正な給電を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の無線給電システムが適用される製造装置の概略構成を示す略図である。
図2】第1実施形態の無線給電システムの概略構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態における送電装置と読み取り機と各製品との位置関係の一例を示す略図である。
図4】第1実施形態の送電制御処理の実行手順を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態の無線給電システムの概略構成を示す略図である。
図6】第2実施形態の無線給電システムの概略構成を示すブロック図である。
図7】第2実施形態の各算出マップのマップ構造を概念的に示す略図である。
図8】第2実施形態の送電制御処理の実行手順を示すフローチャートである。
図9】変更例の算出マップのマップ構造を概念的に示す略図である。
図10】他の変更例の算出マップのマップ構造を概念的に示す略図である。
図11】その他の変更例の算出マップのマップ構造を概念的に示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の無線給電システムについて、図1図4を参照して説明する。
先ず、本実施形態の無線給電システムが適用される製造装置について説明する。
【0025】
図1に示すように、製造装置はベルトコンベア21を有している。このベルトコンベア21により、製品22が間隔を置いて運ばれている。各製品22には、それぞれ発信器23が取り付けられている。発信器23は、これが設けられた製品22に対応する識別信号を出力する。製造装置は、読み取り機24を有している。読み取り機24は、ベルトコンベア21の近傍に設けられている。読み取り機24は、上記製品22(詳しくは、発信器23)から発せられる識別信号を受信する。本実施形態の無線給電システムは、読み取り機24および発信器23の作動のための電力を、それら読み取り機24および発信器23に供給するためのものである。
【0026】
<無線給電システムの概要>
次に、本実施形態の無線給電システムの概要について説明する。
図1および図2に示すように、読み取り機24には受電装置40が設けられている。各製品22の発信器23には受電装置50が設けられている。本実施形態の無線給電システムは、電波(マイクロ波)式の無線給電により、共用の送電装置30から複数の受電装置40,50への給電を行うものである。
【0027】
無線給電の実行に際しては、受電装置40,50は、位置情報を含むビーコン信号を送電装置30に対して所定の時間間隔で送信する。送電装置30は、その送電可能範囲AR1に受電装置40,50が在る場合には、受電装置40,50のビーコン信号を受信する。送電装置30は、受電装置40,50のビーコン信号を受信すると、同ビーコン信号をもとに受電装置40,50の位置を特定する。送電装置30は、特定した位置に向けて電波(電力伝送信号)を送信することで受電装置40,50への無線給電を行う。これにより、送電装置30に対する受電装置40,50の向きや送電装置30と受電装置40,50との距離などに応じて、受電装置40,50への給電が効率よく行われる。
【0028】
本実施形態では、読み取り機24の受電装置40が受電した電力は同読み取り機24の作動のための電力として利用される。また、発信器23の受電装置50が受電した電力は、同発信器23の作動のための電力として利用される。
【0029】
以下、本実施形態の無線給電システムの各構成について詳しく説明する。
<送電装置30>
図2に示すように、送電装置30は、通信部31、送電部32、および制御部33を備えている。
【0030】
通信部31は、通信アンテナ31Aを有している。通信部31は、通信アンテナ31Aの作動制御を通じて、ビーコン信号の受信など、受電装置40,50との間での各種通信を実行する。
【0031】
送電部32は、送電アンテナ32Aを有している。送電部32は、電源25から供給される電力を電力伝送信号に変換するとともに、送電アンテナ32Aの作動を制御することで電力伝送信号を受電装置40,50に送信する。
【0032】
制御部33としては、例えば、マイクロコントロールユニットが用いられる。制御部33は、プロセッサと記憶部34とを備えている。記憶部34は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。制御部33は、通信部31の作動制御や送電部32の作動制御など、送電装置30の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0033】
<読み取り機24>
読み取り機24は、第1通信部41、第2通信部42、受電部43、蓄電池44、制御部45を有している。読み取り機24では、第1通信部41、受電部43、蓄電池44、および制御部45が、受電装置40を構成している。
【0034】
第1通信部41は、第1通信アンテナ41Aを有している。第1通信部41は、第1通信アンテナ41Aの作動制御を通じて、ビーコン信号の送信など、送電装置30との間での各種通信を実行する。
【0035】
第2通信部42は、第2通信アンテナ42Aを有している。第2通信部42は、第2通信アンテナ42Aの作動制御を通じて、製品22の発信器23が発する識別信号を受信する。
【0036】
<受電部43>
受電部43は、受電アンテナ43Aを有している。受電部43は、受電アンテナ43Aの作動を制御することで、送電装置30から送信される電力伝送信号を受信する。受電部43は、整流回路や変圧回路を有している。受電部43は、整流回路や変圧回路を利用して、上記電力伝送信号を直流電力に変換する。本実施形態では、受電部43により変換された直流電力が蓄電池44に供給されることで、同蓄電池44が充電される。
【0037】
蓄電池44は、電力を蓄える二次電池である。本実施形態では、蓄電池44が、読み取り機24の電源として利用される。
制御部45としては、例えば、マイクロコントロールユニットが用いられる。制御部45は、プロセッサと記憶部46とを備えている。記憶部46は、ROMおよびRAMを含む。制御部45は、第1通信部41の作動制御や、第2通信部42の作動制御、受電部43の作動制御など、読み取り機24の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0038】
<検知部47>
制御部45は、その機能部として、検知部47を有する。検知部47は、第2通信部42が受信する識別信号をもとに各製品22の識別情報を検知する。検知部47は、第2通信部42が識別信号を受信すると、同識別信号に含まれる識別情報を抽出するとともに、この識別情報を抽出対象の製品22に紐付けた状態で制御部45の記憶部46に記憶する。
【0039】
本実施形態では、製品22(詳しくは、発信器23)が読み取り機24の検知範囲に進入すると、発信器23から発せられる識別信号が読み取り機24に受信されるようになる。なお本実施形態では、製品22の発信器23が上記検知範囲に進入しているときが、所定条件の成立時に相当する。また本実施形態では、所定条件の成立時に読み取り機24と発信器23とが協働して特定の機能(製品22の識別情報を検知する機能)を発揮するようになっている。本実施形態では、「協働して特定の機能を発揮する状態」は、「協働して実際に特定の機能を発揮している状態」と「協働して特定の機能を発揮することの可能な状態(例えば待機状態)」とを含む。
【0040】
<発信器23>
発信器23は、第1通信部51、第2通信部52、受電部53、蓄電部54および制御部55を有している。発信器23では、第1通信部51、受電部53、蓄電部54および制御部55が、受電装置50を構成している。
【0041】
第1通信部51は、第1通信アンテナ51Aを有している。第1通信部51は、第1通信アンテナ51Aの作動制御を通じて、ビーコン信号の送信など、送電装置30との間での各種通信を実行する。
【0042】
第2通信部52は、第2通信アンテナ52Aを有している。第2通信部52は、第2通信アンテナ52Aの作動制御を通じて、送電装置30に対して識別信号を送信する。
<受電部53>
受電部53は、受電アンテナ53Aを有している。受電部53は、受電アンテナ53Aの作動を制御することで、送電装置30から送信される電力伝送信号を受信する。受電部53は、整流回路や変圧回路を有している。受電部53は、整流回路や変圧回路を利用して、上記電力伝送信号を直流電力に変換する。本実施形態では、受電部53により変換された直流電力が蓄電部54に供給されることで、同蓄電部54が充電される。
【0043】
蓄電部54は、電力を蓄えるキャパシタである。本実施形態では、蓄電部54が、発信器23の電源として利用される。
制御部55としては、例えば、マイクロコントロールユニットが用いられる。制御部55は、プロセッサと記憶部56とを備えている。記憶部56は、ROMおよびRAMを含む。制御部55は、第1通信部51の作動制御や、第2通信部52の作動制御、受電部53の作動制御など、発信器23の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0044】
前記送電装置30の制御部33は、機能部として、グループ化部35と設定部36とを有する。
<グループ化部35>
グループ化部35は、以下の[グループ化条件]が成立しているときに、読み取り機24の受電装置40と複数の製品22の中の一つ(図1に示す例では製品22A)の受電装置50とを選んでグループ化する。
【0045】
[グループ化条件]いずれかの製品22の発信器23がグループ化範囲AR2に進入している。
本実施形態では、上記グループ化範囲AR2として、読み取り機24の検知範囲を含む範囲であって、且つ同検知範囲よりも若干広い範囲が予め定められている。このグループ化範囲AR2は、制御部33の記憶部34に予め記憶されている。本実施形態では、グループ化条件が成立していることをもって、グループ化の対象の製品22の発する識別信号が読み取り機24によって受信される状況、あるいは読み取り機24による同識別信号の受信が開始される直前の状況になっていることが判断される。
【0046】
グループ化部35は、読み取り機24の受電装置40と製品22の受電装置50とをグループ化する際には、それら受電装置40,50が装置グループG1に含まれる旨の情報を制御部33の記憶部34に記憶する。グループ化部35は、グループ化条件が成立していない場合には、上述したグループ化を実行しない。なお、グループ化した状態で、グループ化条件が非成立になった場合には、グループ化が解除される。この場合には、受電装置40,50がいずれも装置グループG1に含まれない旨の情報が制御部33の記憶部34に記憶される。
【0047】
<設定部36>
設定部36は、読み取り機24の受電装置40および各製品22の受電装置50についての無線給電の実行にかかる優先度を設定する部分を構成する。設定部36は、装置グループG1の設定の有無に応じて異なる態様で上記優先度を設定する。
【0048】
<装置グループG1が設定されていない場合>
装置グループG1が設定されていないときには、受電装置40および各受電装置50についての給電の優先度が同一にされる。この場合には、受電装置40の優先度、製品22Aの受電装置50の優先度、製品22Bの受電装置50の優先度、および製品22Cの受電装置50の優先度として同一の値が制御部33の記憶部34に記憶される。そして、この優先度をもとに、送電装置30から各受電装置40,50への無線給電が実行される。
【0049】
図3に、送電装置30と読み取り機24と各製品22との位置関係の一例を示す。図3に示す例では、送電装置30の送電可能範囲AR1に3つの製品22A,22B,22Cが進入している。この場合には、読み取り機24、3つの製品22A,22B,22Cを給電の対象として、送電装置30からの無線給電が実行される。
【0050】
具体的には、ビーコン信号の送受信を通じて、読み取り機24の受電装置40の位置と、各製品22A,22B,22Cの受電装置50の位置とが送電装置30に把握される。この位置をもとに、送電装置30から各受電装置40,50への無線給電を実行する。
【0051】
図3に示す例では、3つの製品22A,22B,22Cの受電装置50はいずれも前記グループ化範囲AR2に進入していない。この場合には、前記グループ化条件が成立しておらず、グループ化がなされないため、装置グループG1は設定されない。本実施形態では、装置グループG1が設定されていないときには、4つの受電装置40,50の優先度が同一に設定される。そして、4つの受電装置40,50の優先度が同一の場合には、送電装置30からの給電能力の総量を「100%」とすると、4つの受電装置40,50に対して、上記総量を均等割りした「25%」分の給電能力を利用する態様で無線給電が実行される。
【0052】
この場合には、読み取り機24による識別信号の受信がなされていないとして、4つの受電装置40,50に対して満遍なく無線給電がなされる。
<装置グループG1が設定されている場合>
装置グループG1が設定されているときには、設定部36は、同装置グループG1についての優先度をグループ単位で設定する。このとき設定部36は、装置グループG1に含まれない受電装置50(製品22Bの受電装置50、製品22Cの受電装置50)についての優先度を発信器23単位で設定する。この場合には、装置グループG1の優先度と、製品22Bの受電装置50の優先度と、製品22Cの受電装置50の優先度とが設定されるとともに制御部33の記憶部34に記憶される。本実施形態では、グループ化部35によってグループ化した装置グループG1の優先度が、グループ化されていない製品22B,22Cの受電装置50の優先度よりも高くされる。また、製品22Bの受電装置50の優先度と製品22Cの受電装置50の優先度とは同一に設定される。そして、この優先度をもとに、送電装置30から各受電装置40,50への無線給電が実行される。
【0053】
図1は、送電装置30と読み取り機24と各製品22との位置関係の一例を示している。図1に示す例では、送電装置30の送電可能範囲AR1に3つの製品22A,22B,22Cが進入している。この場合には、読み取り機24の受電装置40、および3つの製品22A,22B,22Cの受電装置50を給電の対象として、送電装置30からの無線給電が実行される。
【0054】
具体的には、ビーコン信号の送受信を通じて、読み取り機24の受電装置40の位置と各製品22A,22B,22Cの受電装置50の位置とが送電装置30に把握される。この位置をもとに、送電装置30から各製品22(詳しくは、発信器23)への無線給電を実行する。
【0055】
図1に示す例では、3つの製品22A,22B,22Cのうちの一つ(製品22A)の受電装置50がグループ化範囲AR2に進入している。この場合には、グループ化条件が成立しているため、装置グループG1が設定されている。
【0056】
装置グループG1が設定されているときには、同装置グループG1(具体的には、読み取り機24の受電装置40および製品22Aの受電装置50)の優先度が、装置グループG1に含まれない製品22B,22Cの受電装置50の優先度よりも高く設定される。この場合には、装置グループG1に含まれる受電装置40,50に対して、装置グループG1に含まれない受電装置50よりも優先的に、送電装置30からの無線給電がなされる。
【0057】
具体的には、送電装置30からの給電能力の総量を「100%」とすると、装置グループG1に含まれる2つの受電装置40,50に対しては、「80%」分を均等割りした「40%」分の給電能力を利用する態様で無線給電を実行する。一方、装置グループG1に含まれない製品22B,22Cの受電装置50に対しては、残りの「20%」分を均等割りした「10%」分の給電能力を利用する態様で、送電装置30からの無線給電を実行する。
【0058】
この場合には、製品22Aの識別信号の上記読み取り機24による受信がまもなく開始される、あるいは同識別信号を受信中であるとして、識別信号の送受信の対象機器である装置グループG1に対して、送電装置30からの無線給電が優先的に実行される。
【0059】
<送電制御処理>
以下、送電装置30の作動制御にかかる処理(送電制御処理)について、詳しく説明する。図4は、上記送電制御処理の実行手順を示している。なお図4のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として、送電装置30の制御部33により実行される。
【0060】
図4に示すように、この処理では先ず、複数の製品22(詳しくは、受電装置50)のいずれかがグループ化範囲AR2に進入しているか否かが判断される(ステップS11)。
【0061】
そして、複数の製品22のいずれかがグループ化範囲AR2に進入している場合には(ステップS11:YES)、グループ化範囲AR2に進入している製品22の受電装置50と読み取り機24の受電装置40とがグループ化される(ステップS12)。これにより、装置グループG1が設定される。その後、装置グループG1についてはグループ単位で給電の優先度が設定される(ステップS13)。また、装置グループG1に含まれない製品22の受電装置50については製品22(詳しくは、受電装置50)毎に給電の優先度が設定される(ステップS14)。その後、上記優先度をもとに、各受電装置40,50に対する送電装置30からの無線給電が実行される(ステップS15)。
【0062】
一方、複数の製品22がいずれもグループ化範囲AR2に進入していない場合には(ステップS11:NO)、読み取り機24の受電装置40と製品22の受電装置50とのグループ化が解除される(ステップS16)。その後、各受電装置40,50について、受電装置単位で、給電の優先度が設定される(ステップS17)。この場合には、各受電装置40,50の優先度が同一に設定される。その後、上記優先度をもとに、各受電装置40,50に対する送電装置30からの無線給電が実行される(ステップS15)。
【0063】
<作用効果>
以下、本実施形態の無線給電システムによる作用効果について説明する。
(1-1)本実施形態の無線給電システムは、共用の送電装置30から複数の受電装置40,50への無線給電を行う。送電装置30の設定部36は、複数の受電装置40,50についての無線給電の実行にかかる優先度を設定する。送電装置30のグループ化部35は、グループ化条件の成立時に、協働して特定の機能を発揮する複数の電気機器(読み取り機24および発信器23)に設けられた受電装置40,50を選んでグループ化する。送電装置30の設定部36は、グループ化部35によってグループ化した装置グループG1についての優先度をグループ単位で設定する。
【0064】
本実施形態によれば、読み取り機24および発信器23の協働によって製品22の識別情報を検知する特定の機能を発揮するときに、それら読み取り機24および発信器23に設けられた受電装置40,50をグループ化することができる。これにより、グループ化した装置グループG1の単位で給電の優先度を設定することができるようになる。
【0065】
本実施形態では、この優先度をもとに、装置グループG1を含む全ての受電装置40,50に対する送電装置30からの無線給電が実行される。そのため、装置グループG1を構成する2つの受電装置40,50、すなわち協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器に設けられた受電装置40,50に対して、送電装置30からの無線給電を同一の優先度で実行することができる。これにより、2つの受電装置40,50の一方への給電が不足することによって読み取り機24および発信器23の一方が作動しなくなるといった不都合の発生を抑えることができる。したがって、読み取り機24と発信器23との協働によって得られる特定の機能を好適に維持することができる。このように本実施形態によれば、複数の受電装置40,50を有する無線給電システムにおいて、各受電装置40,50へのトータルでの適正な給電を実現できる。
【0066】
(1-2)送電装置30の設定部36は、装置グループG1の優先度を、装置グループG1に含まれない受電装置50の優先度と比較して高い優先度に設定する。本実施形態によれば、装置グループG1に含まれない受電装置50への無線給電よりも、同装置グループG1に含まれる受電装置40,50への無線給電が優先して実行されるようになる。そのため、読み取り機24および発信器23の一方が電力不足によって作動しなくなるといった不都合の発生を好適に抑えることができる。
【0067】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の無線給電システムについて、図5図8を参照して説明する。
図5に示すように、本実施形態の無線給電システムは、電波(本実施形態では、マイクロ波)方式の無線給電により、共用の送電装置70から複数の受電装置80への給電を行うものである。
【0068】
本実施形態では、複数の受電装置80のうちの1つ(以下、受電装置80S)はスマートフォン61に設けられている。また、受電装置80(以下、受電装置80R)は、左右分離型のワイヤレスイヤホン62の右耳部62Rに設けられている。さらに、受電装置80(以下、受電装置80L)はワイヤレスイヤホン62の左耳部62Lに設けられている。なお本実施形態では、ワイヤレスイヤホン62の右耳部62Rおよび左耳部62Lが、協働することで特定の機能(詳しくは、ステレオ再生機能)を発揮する複数の電気機器に相当する。また本実施形態では、受電装置80R,80Lが、上記複数の電気機器に設けられる受電装置に相当する。
【0069】
本実施形態の無線給電システムは、基本的に、送電装置70から受電装置80への無線給電を次のように実行する。各受電装置80は、位置情報を含むビーコン信号を、送電装置70に対して所定の時間間隔で送信する。送電装置70は、その送電可能範囲AR1に受電装置80が在る場合には、受電装置80のビーコン信号を受信する。送電装置70は、受電装置80のビーコン信号を受信すると、同ビーコン信号をもとに受電装置80の位置を特定する。送電装置70は、特定した位置に向けて電力伝送信号を送信することで受電装置80への無線給電を行う。これにより、送電装置70に対する受電装置80の向きや送電装置70と受電装置80との距離などに応じて、受電装置80への給電が効率よく行われる。
【0070】
本実施形態では、このようにして送電装置70から送られる電力によって、受電装置80S,80R,80L(詳しくは、内蔵の蓄電池)が充電されるようになっている。
以下、本実施形態の無線給電システムの各構成について詳しく説明する。
【0071】
<送電装置70>
図6に示すように、送電装置70は、通信部71、送電部72、および制御部73を備えている。
【0072】
通信部71は、通信アンテナ71Aを有している。通信部71は、通信アンテナ71Aの作動制御を通じて、ビーコン信号の受信など、各受電装置80との間での各種通信を実行する。
【0073】
送電部72は、送電アンテナ72Aを有している。送電部72は、電源65から供給される電力を電力伝送信号に変換するとともに、送電アンテナ72Aの作動を制御することで電力伝送信号を各受電装置80に送信する。
【0074】
制御部73としては、例えば、マイクロコントロールユニットが用いられる。制御部73は、プロセッサと記憶部74とを備えている。記憶部74は、ROMおよびRAMを含む。制御部73は、通信部71の作動制御や送電部72の作動制御など、送電装置70の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0075】
<受電装置80>
各受電装置80(80S,80R,80L)の構造について図6を参照して説明する。
各受電装置80は基本構造が同一である。そのため、図6における同一構成の部分には同一の符号を付して示すとともに、同部分についての以下での重複する説明は割愛する。
【0076】
図6に示すように、受電装置80は、第1通信部81、第2通信部82、受電部83、蓄電池84、制御部85を有している。
第1通信部81は、第1通信アンテナ81Aを有している。第1通信部81は、第1通信アンテナ81Aの作動制御を通じて、ビーコン信号の送信など、送電装置70との間での各種通信を実行する。
【0077】
第2通信部82は、第2通信アンテナ82Aを有している。第2通信部82は、第2通信アンテナ82Aの作動制御を通じて、他の電気機器との間での各種通信を実行する。第2通信部82は、ブルートゥース(登録商標)規格に準拠した無線通信モジュールである。
【0078】
例えばスマートフォン61においては、第2通信部82を利用して他の電気機器(例えばスマートウォッチなど)とペアリングすることで、同スマートフォン61と他の電気機器とが連携する。また、ワイヤレスイヤホン62においては、第2通信アンテナ82Aを利用した右耳部62Rと左耳部62Lとの間での無線通信を通じて、それら右耳部62Rおよび左耳部62Lが連携する。
【0079】
<受電部83>
受電部83は、受電アンテナ83Aを有している。受電部83は、受電アンテナ83Aの作動を制御することで、送電装置70から送信される電力伝送信号を受信する。受電部83は、整流回路や変圧回路を有している。受電部83は、整流回路や変圧回路を利用して、上記電力伝送信号を直流電力に変換する。本実施形態では、受電部83により変換された直流電力が蓄電池84に供給されることで、同蓄電池84が充電される。
【0080】
蓄電池84は、電力を蓄える二次電池である。本実施形態では、蓄電池84が、搭載された機器の電源として利用される。
制御部85としては、例えば、マイクロコントロールユニットが用いられる。制御部85は、プロセッサと記憶部86とを備えている。記憶部86は、ROMおよびRAMを含む。制御部85は、第1通信部81の作動制御や、第2通信部82の作動制御、受電部83の作動制御など、受電装置80の作動制御にかかる各種制御を実行する。
【0081】
<設定部75>
送電装置70の制御部73は、機能部として、設定部75を有している。設定部75は、各受電装置80についての給電の優先度を設定する部分を構成している。設定部75は、各受電装置80の送電装置70からの距離と、各受電装置80の蓄電残量SOCと、各受電装置80のグループ情報とに基づいて、各受電装置80の優先度を設定する。
【0082】
<送電装置70からの距離>
送電装置70は、受電装置80から発せられるビーコン信号をもとに、受電装置80の位置や受電装置80までの距離を特定している。設定部75は、このようにして特定している距離を、各受電装置80の優先度の設定パラメータの一つとして用いる。
【0083】
<蓄電残量SOC>
各受電装置80は、蓄電池84の蓄電残量、いわゆるSOC(State Of Charge)を算出している。蓄電残量SOCは、受電部83による受電電力や、蓄電池84の電圧、受電装置80の消費電力などをもとに、受電装置80の制御部85によって算出されるとともに同制御部85の記憶部86に記憶されている。前記設定部75は、各受電装置80の記憶部86に記憶されている蓄電残量SOCを、それら受電装置80の優先度の設定パラメータの一つとして用いる。なお本実施形態では、蓄電残量SOCが、蓄電部の電力残量に関する情報に相当する。本実施形態では、制御部85の記憶部86が蓄電情報記憶部に相当する。
【0084】
<グループ情報>
本実施形態では、装置グループG2が予め設定されている。装置グループG2は、ワイヤレスイヤホン62の右耳部62Rに設けられた受電装置80Rと左耳部62Lに設けられた受電装置80Lとによって構成されている。なお本実施形態では、装置グループG2が、協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器(右耳部62Rおよび左耳部62L)に設けられた受電装置80R,80Lを複数の受電装置80の中から選んでグループ化した装置グループに相当する。
【0085】
本実施形態では、受電装置80Rが装置グループG2に含まれる旨の情報(グループ情報)が、受電装置80Rの記憶部86に予め記憶されている。また、受電装置80Lが装置グループG2に含まれる旨のグループ情報が、受電装置80Lの記憶部86に予め記憶されている。前記設定部75は、各受電装置80の記憶部86に記憶されているグループ情報を、各受電装置80の優先度の設定に用いる。なお本実施形態では、制御部85の記憶部86がグループ記憶部に相当する。
【0086】
設定部75は、各受電装置80の優先度を以下の考えのもとに設定する。
設定部75は、各受電装置80についての蓄電残量SOCおよびグループ情報が同一であると仮定した場合に、送電装置70からの距離が近い受電装置80ほど上記優先度が高くなるように、各受電装置80の優先度を設定する。
【0087】
設定部75は、各受電装置80についての上記距離およびグループ情報が同一であると仮定した場合に、蓄電残量SOCが少ない受電装置80ほど上記優先度が高くなるように、各受電装置80の優先度を設定する。
【0088】
設定部75は、各受電装置80についての上記距離および蓄電残量SOCが同一であると仮定した場合に、装置グループG2の優先度が受電装置80Sの優先度よりも高くなるように、各受電装置80の優先度を設定する。
【0089】
設定部75は、具体的には、各受電装置80の優先度を以下のように設定する。
本実施形態では、各受電装置80の送電装置70からの距離をもとに点数P1を算出するための算出マップM1が定められている。この算出マップM1は、送電装置70の記憶部74に予め記憶されている。設定部75は、受電装置80の送電装置70からの距離をもとに、算出マップM1から、点数P1を求める。この点数P1は、各受電装置80について各別に求められる。
【0090】
図7に、算出マップM1のマップ構造を概念的に示す。図7に示すように、点数P1としては、受電装置80の送電装置70からの距離が近いときほど高い点数が算出される。
また本実施形態では、各受電装置80の蓄電残量SOCをもとに点数P2を算出するための算出マップM2が定められている。この算出マップM2は、送電装置70の記憶部74に予め記憶されている。設定部75は、各受電装置80から蓄電残量SOCを取得するとともに、同蓄電残量SOCをもとに算出マップM2から点数P2を求める。点数P2は、各受電装置80について各別に求められる。
【0091】
図7に、算出マップM2のマップ構造を概念的に示す。図7に示すように、点数P2としては、蓄電残量SOCが少ないときほど高い点数が算出される。
さらに本実施形態では、各受電装置80のグループ情報をもとに点数P3を算出するための算出マップM3が定められている。この算出マップM3は、送電装置70の記憶部74に予め記憶されている。設定部75は、各受電装置80からグループ情報を取得するとともに、同グループ情報をもとに算出マップM3から点数P3を求める。点数P3は、各受電装置80について各別に求められる。
【0092】
図7に、算出マップM3のマップ構造を概念的に示す。図7に示すように、装置グループG2に含まれる受電装置80R,80Lの点数P3としては、比較的高い点数(本実施形態では、2点)が算出される。一方、装置グループG2に含まれない受電装置80Sの点数P3としては、低い点数(本実施形態では、0点)が算出される。
【0093】
設定部75は、点数P1,P2,P3を加算した加算値PT(=P1+P2+P3)をもとに各受電装置80の優先度を設定する。
具体的には、先ず、装置グループG2に含まれる2つの受電装置80R,80Lについての加算値PTを比較する。そして、それら加算値PTの大きいほうの値を、装置グループG2についての加算値PT(G)として採用する。
【0094】
本実施形態では、この加算値PT(G)をもとに装置グループG2の優先度が設定される。本実施形態では、装置グループG2についての上記優先度がグループ単位で設定される。また本実施形態では、装置グループG2の優先度として、仮に装置グループG2に含まれる受電装置80についての優先度を各別に設定した場合において該設定した優先度の中で最も高くなる優先度が設定される。
【0095】
その後、装置グループG2についての加算値PT(G)と、受電装置80Sについての加算値PT(S)とが比較される。そして、加算値PTが大きいほうの受電装置80の優先度が高く設定されるとともに、加算値PTが小さいほうの受電装置80の優先度が低く設定される。
【0096】
例えば、装置グループG2の加算値PT(G)が受電装置80Sの加算値PT(S)よりも大きい場合には、装置グループG2の優先度が受電装置80Sの優先度よりも高く設定される。この場合には、装置グループG2に含まれる受電装置80R,80Lに対して、装置グループG2に含まれない受電装置80Sよりも優先的に、送電装置70からの無線給電がなされる。具体的には、送電装置70からの給電能力の総量を「100%」とすると、装置グループG2に含まれる2つの受電装置80R,80Lに対しては、「80%」分を均等割りした「40%」分の給電能力を利用する態様で無線給電を実行する。また、装置グループG2に含まれない受電装置80Sに対しては、残りの「20%」分の給電能力を利用する態様で、送電装置70からの無線給電を実行する。
【0097】
一方、装置グループG2の加算値PT(G)が受電装置80Sの加算値PT(S)よりも小さい場合には、装置グループG2の優先度は受電装置80Sの優先度よりも低く設定される。この場合には、装置グループG2に含まれない受電装置80Sに対して、装置グループG2に含まれる受電装置80R,80Lよりも優先的に、送電装置70からの無線給電がなされる。具体的には、送電装置70からの給電能力の総量を「100%」とすると、装置グループG2に含まれない受電装置80Sに対しては、「80%」分の給電能力を利用する態様で、送電装置70からの無線給電を実行する。また、装置グループG2に含まれる2つの受電装置80R,80Lに対しては、残りの「20%」分を均等割りした「10%」分の給電能力を利用する態様で無線給電を実行する。
【0098】
他方、装置グループG2の加算値PT(G)と受電装置80Sの加算値PT(S)とが等しい場合には、装置グループG2の優先度と受電装置80Sの優先度とが同一に設定される。この場合には、装置グループG2に含まれる受電装置80R,80Lと装置グループG2に含まれない受電装置80Sとが同一の優先度のもとで、送電装置70からの無線給電がなされる。具体的には、3つの受電装置80R,80L,80Sに対して、前記総量(100%)を均等割りした「33%」分の給電能力を利用する態様で無線給電が実行される。
【0099】
<送電制御処理>
以下、送電装置70の作動制御にかかる処理(送電制御処理)について、詳しく説明する。図8は、上記送電制御処理の実行手順を示している。なお図8のフローチャートに示される一連の処理は、所定周期毎の処理として、送電装置70の制御部73により実行される。
【0100】
図8に示すように、この処理では先ず、送電装置70からの距離と蓄電残量SOCとグループ情報とに基づいて、算出マップM1,M2,M3から、各受電装置80についての加算値PTが算出される(ステップS21)。
【0101】
その後、受電装置80Rの加算値PTと受電装置80Lの加算値PTとが比較されるとともに、それら加算値PTの大きいほうの値が装置グループG2についての加算値PT(G)に定められる(ステップS22)。
【0102】
その後、装置グループG2の加算値PT(G)と受電装置80Sの加算値PT(S)とが比較されるとともに、その比較結果をもとに、装置グループG2の優先度と受電装置80Sの優先度とが設定される(ステップS23)。
【0103】
その後、上記優先度をもとに、各受電装置80R,80L,80Sに対する送電装置70からの無線給電が実行される(ステップS24)。
<作用効果>
本実施形態によれば、以下に記載する作用効果が得られる。
【0104】
(2-1)本実施形態の無線給電システムは、共用の送電装置70から複数の受電装置80への無線給電を行う。送電装置70の設定部75は、複数の受電装置80についての無線給電の実行にかかる優先度を設定する。複数の受電装置80は、協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器(前記右耳部62Rおよび左耳部62L)に設けられる受電装置80R,80Lを含む。受電装置80Rが装置グループG2に含まれる旨のグループ情報が受電装置80Rの記憶部86に予め記憶されている。また受電装置80Lが装置グループG2に含まれる旨のグループ情報が、受電装置80Lの記憶部86に予め記憶されている。送電装置70の設定部75は、装置グループG2の無線給電の実行にかかる優先度をグループ単位で設定する。
【0105】
本実施形態によれば、複数の受電装置80のうちの幾つかをグループ化した装置グループG2の単位で給電の優先度を定めたうえで、この優先度をもとに複数の受電装置80の全てに対する無線給電を実行することができる。そのため、協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器(ワイヤレスイヤホン62の右耳部62Rおよび左耳部62L)に設けられた受電装置80R,80Lに対して、送電装置70からの無線給電を同一の優先度で実行することができる。これにより、受電装置80R,80Lの一方への給電が不足することによって右耳部62Rおよび左耳部62Lの一方が作動しなくなるといった不都合の発生を抑えることができる。したがって、右耳部62Rと左耳部62Lとの協働によって得られる特定の機能(ステレオ再生機能)を好適に維持することができる。このように本実施形態によれば、複数の受電装置80を有する無線給電システムにおいて、各受電装置80へのトータルでの適正な給電を実現できる。
【0106】
(2-2)各受電装置80のグループ情報をもとに、予め定められた算出マップM3から、点数P3を求めるようにした。点数P3は、各受電装置80について各別に求められる。これにより、装置グループG2に含まれない受電装置80Sの優先度と比較して装置グループG2の優先度が高くなり易くなるように、受電装置80の優先度の設定に用いる設定パラメータ(前記距離や蓄電残量SOC)に対する重み付けを行うことができる。そのため、装置グループG2に含まれない受電装置80Sへの無線給電よりも、同装置グループG2に含まれる受電装置80R,80Lへの無線給電が優先して実行されるようになる。したがって、連携しているワイヤレスイヤホン62の右耳部62Rおよび左耳部62Lの一方が電力不足によって作動しなくなるといった不都合の発生を好適に抑えることができる。
【0107】
(2-3)受電装置80は、蓄電池84と、蓄電残量SOCを記憶する記憶部86とを有する。送電装置70の設定部75は、蓄電残量SOCを設定パラメータとして用いて、複数の受電装置80S,80R,80Lについての給電の優先度を設定する。これにより、蓄電残量SOCが少なくなっている受電装置80(本実施形態では、受電装置80Sまたは装置グループG2)を優先して、無線給電を実行することができる。このように本実施形態によれば、蓄電残量SOCに応じたかたちで各受電装置80への無線給電を実行することができる。
【0108】
(2-4)送電装置70の設定部75は、仮に装置グループG2に含まれる受電装置80についての優先度を各別に設定した場合において該設定した優先度の中で最も高くなる優先度を、装置グループG2の優先度として設定する。これにより、装置グループG2に含まれる受電装置80R,80Lの中でも給電が最も優先されるべき受電装置80の優先度に合わせて、装置グループG2全体の優先度を設定することができる。そのため、装置グループG2の全体に対して十分な電力を供給することができる。したがって、装置グループG2に対応する電気機器(右耳部62Rおよび左耳部62L)の協働によって得られるステレオ再生機能を好適に維持することができる。
【0109】
<変更例>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0110】
・第1実施形態において、読み取り機24と一つの受電装置50とをグループ化して装置グループG1を設定することに限らず、読み取り機24と複数の受電装置50とをグループ化して装置グループを設定するようにしてもよい。
【0111】
・第1実施形態にかかる無線給電システムは、読み取り機24を複数有する無線給電システムにも適用することができる。この場合には、複数の読み取り機24と複数の受電装置50とをグループ化して装置グループを設定することもできる。
【0112】
・第1実施形態において、各受電装置50に対する無線給電を常時実行するなど、各受電装置50の作動のための電力が確保されるのであれば、受電装置50の蓄電部54を省略してもよい。
【0113】
・第1実施形態において、協働して特定の機能を発揮する複数の電気機器としては、読み取り機24および発信器23を採用することに限らず、電子ペーパータグとリーダライターとの組み合わせを採用する等、任意の電気機器を採用することができる。
【0114】
・第2実施形態において、各受電装置80の優先度の設定に利用する値として、点数P1~P3の加算値PTを算出することに代えて、点数P1~P3の乗算値(=P1×P2×P3)を算出するようにしてもよい。
【0115】
・第2実施形態において、蓄電部の電力残量に関する情報としては、蓄電残量SOCの他、受電装置80の消費電力や、受電装置80に対応する電気機器(スマートフォン61、またはワイヤレスイヤホン62)の動作頻度などを採用することができる。こうした構成によれば、受電装置80の消費電力や電気機器の動作頻度をもとに、蓄電池84の電力残量の推移を予測することができる。そして、この予測結果をもとに、蓄電池84の電力残量が少なくなる可能性の高い受電装置80(または装置グループ)を優先して無線給電を実行することができる。
【0116】
・第2実施形態において、受電装置80に対応する電気機器の動作頻度をもとに点数P4を算出するための算出マップM4を定めるようにしてもよい。算出マップM4は、送電装置70の記憶部74に予め記憶される。図9に、算出マップM4のマップ構造を概念的に示す。図9に一例を示すように、点数P4は、電気機器の動作頻度が高いときほど高い点数にすればよい。ここで、電気機器の動作頻度が高いときほど、同電気機器の作動継続時間は短くなる。上記構成によれば、そうした電気機器の作動継続時間に応じたかたちで、同電気機器に設けられる受電装置80の優先度を設定することができる。
【0117】
・第2実施形態において、受電装置80に対応する電気機器の動作モードをもとに点数P5を算出するための算出マップM5を定めるようにしてもよい。算出マップM5は、送電装置70の記憶部74に予め記憶される。図10に、算出マップM5のマップ構造を概念的に示す。図10に一例を示すように、点数P5は、電気機器の動作モードが消費電力の多い動作モードのときほど高い点数にすればよい。ここで、電気機器の動作モードが消費電力の多い動作モードのときほど、同電気機器の作動継続時間は短くなる。上記構成によれば、そうした電気機器の作動継続時間に応じたかたちで、同電気機器に設けられる受電装置80の優先度を設定することができる。
【0118】
・協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器としては、リレー伝送方式で音声信号を伝送するタイプのワイヤレスイヤホン62の他、左右独立受信方式で音声信号を伝送するタイプのワイヤレスイヤホンを採用することができる。また、協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器としては、ワイヤレスイヤホン62の右耳部62Rと左耳部62Lとの組み合わせの他、スマートフォンとウェアラブルウォッチとの組み合わせなどを採用することができる。スマートフォンとウェアラブルウォッチとの組み合わせにおいては、電子マネー決済機能や健康管理機能などが、特定の機能にあたる。
【0119】
・第2実施形態にかかる無線給電システムは、協働することで特定の機能を発揮する複数の電気機器を有する装置であれば、各種の製造装置や検査装置など、任意の装置に適用することができる。
【0120】
この場合、受電装置80に対応する電気機器の役割にかかる役割情報をもとに点数P6を算出するための算出マップM6を定めるようにしてもよい。算出マップM6は、送電装置70の記憶部74に予め記憶される。図11に、算出マップM6のマップ構造を概念的に示す。図11に一例を示すように、点数P6は、重要な役割を担う電気機器ほど高い点数にすればよい。図11に示す例では、重要度の高いセキュリティ機能を担う電気機器(例えばセンサ)の点数としては高い点数(5点)が設定される。一方、比較的重要度の低い照明機能を担う電気機器(例えばLED)の点数としては低い点数(0点)が設定される。上記構成によれば、比較的重要な役割を担う電気機器を優先して無線給電を実行するといったように、電気機器の役割に応じて、各電気機器に設けられた受電装置への無線給電を実行することができる。なお上記構成においては、送電装置70の記憶部74が、役割情報記憶部に相当する。
【0121】
・第2実施形態において、蓄電残量SOCが所定レベル(例えば、10%)以下であるときに、各受電装置80の加算値PTによることなく、同蓄電残量SOCに対応する受電装置80の優先度を、全ての受電装置80の中で最も高くするようにしてもよい。上記構成によれば、特定の受電装置の蓄電池の電力残量が少なくなってしまった場合に、特定の受電装置に対する給電を最優先で実行することができる。したがって、特定の受電装置(あるいは装置グループ)に対応する電気機器が電力不足によって作動不能になるといった不都合の発生を好適に抑えることができる。
【0122】
・第2実施形態において、加算値PTが最も大きい受電装置80(あるいは装置グループ)のみに、「100%」分の給電能力を利用する態様で無線給電を実行するようにしてもよい。こうした構成によれば、優先度の高い受電装置80(または装置グループ)から順番に、無線給電を実行することができる。
【0123】
・第2実施形態にかかる無線給電システムは、装置グループが複数定められる無線給電システムにも、適用することができる。
・各実施形態において、複数の受電装置に対して無線給電を行うための共用の送電装置を、複数台の送電装置によって構成するようにしてもよい。
【0124】
・各実施形態において、送電装置から受電装置への電力の供給を、電波(マイクロ波など)方式の無線給電を通じて行うことの他、電磁誘導方式の無線給電を通じて行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
21…ベルトコンベア
22…製品
23…発信器
24…読み取り機
25…電源
30,70…送電装置
31,71…通信部
31A,71A…通信アンテナ
32,72…送電部
32A,72A…送電アンテナ
33,73…制御部
34,74…記憶部
35…グループ化部
36,75…設定部
40,50,80,80S,80R,80L…受電装置
41,51,81…第1通信部
41A,51A,81A…第1通信アンテナ
42,52,82…第2通信部
42A,52A,82A…第2通信アンテナ
43,53,83…受電部
43A,53A,83A…受電アンテナ
44,54,84…蓄電池
45,55,85…制御部
46,56,86…記憶部
47…検知部
61…スマートフォン
62…ワイヤレスイヤホン
62R…右耳部
62L…左耳部
65…電源
図1
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図11