(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140896
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】防護扉、及びその防護扉を備えた安全枠、並びに穀物乾燥機及び穀物貯留タンク
(51)【国際特許分類】
F26B 9/06 20060101AFI20230928BHJP
F26B 17/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F26B9/06 E
F26B17/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046950
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000197344
【氏名又は名称】静岡製機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】深谷 基嗣
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB02
3L113AC67
3L113BA03
3L113DA21
(57)【要約】
【課題】穀物乾燥機や穀物貯留タンクの屋根部上方に設けられた安全枠において落下を防止する柵としての機能と、柵内部に出入りするための扉としての機能と、安全枠同士を連結し強度を維持する機能を備える屋根部安全枠用の防護扉を提供する。
【解決手段】安全枠80の出入口84の幅方向Xに延びる少なくとも3本の横ステー部材12と、出入口84の鉛直方向Yに延び、横ステー部材12を支持する少なくとも2本の縦ステー部材14と、を備え、少なくとも2本の横ステー部材12の両端部に、安全枠80の出入口84のたて枠85a,85bとして設けられる開口枠体86に連結する第一及び第二の連結凹部16を有し、いずれか一方の連結凹部16が開口枠体86に着脱自在に取付けられ、開口枠体86を支点として回転可能な状態で防護扉10を支持する開閉軸32を構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物乾燥機又は穀物を貯留する穀物貯留タンクの屋根部上方に設けられた安全枠の出入口に設置される防護扉であって、
前記安全枠の出入口の幅方向に延びる少なくとも3本の横ステー部材と、当該出入口の鉛直方向に延び、少なくとも3本の前記横ステー部材を当該鉛直方向に間隔を空けて支持する少なくとも2本の縦ステー部材と、を備え、
少なくとも2本以上の前記横ステー部材は、その一方の端部に、前記安全枠の前記出入口の一方のたて枠として設けられる開口枠体に連結する第一の連結凹部を有し、且つ、その他方の端部に、前記安全枠の前記出入口の他方のたて枠として設けられる開口枠体に連結する第二の連結凹部を有し、
前記横ステー部材の第一及び第二の前記連結凹部のうちのいずれか一方が、前記安全枠の前記出入口のいずれか一方の前記たて枠としての前記開口枠体に着脱自在に取付けられ、当該開口枠体を支点として回転可能な状態で前記防護扉を支持する開閉軸を構成し、且つ、
前記横ステー部材の第一及び第二の前記連結凹部のうちのもう一方が、前記防護扉の全閉時に前記安全枠の前記出入口のもう一方の前記たて枠としての前記開口枠体に着脱自在に連結されて、前記防護扉の開閉端を構成し、
前記安全枠の出入口の開閉扉であるとともに、全閉時において当該安全枠の一部となり、且つ当該安全枠を連結し強度を維持するように構成された、穀物乾燥機又は穀物貯留タンクの屋根部安全枠用の防護扉。
【請求項2】
前記鉛直方向の最上部に配置された前記横ステー部材は、その両端部に、当該鉛直方向の下方に向かって窪んだ嵌合凹部を有し、前記防護扉の全閉時において、当該嵌合凹部を前記安全枠の出入口周縁を構成する枠体に上方から被せるようにして嵌合させる、請求項1に記載の防護扉。
【請求項3】
前記鉛直方向の最上部に配置された前記横ステー部材は、当該鉛直方向の下方に向かって窪んだ断面コの字状の部材である、請求項1又は2に記載の防護扉。
【請求項4】
前記横ステー部材の開閉軸側の端部において、前記安全枠の前記開口枠体と連結状態の前記連結凹部の開口側を覆うように配設され、前記開口枠体を前記連結凹部内に保持する、枠体保持補助具を更に有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の防護扉。
【請求項5】
前記縦ステー部材は、前記横ステー部材の一部を貫通するように配設されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の防護扉。
【請求項6】
前記縦ステー部材は、鉛直方向に直交する断面形状が円形の円柱状部材である、請求項1~5のいずれか一項に記載の防護扉。
【請求項7】
少なくとも2本の前記縦ステー部材相互間の幅方向内側の全部又は一部が、板状又は網状の部材によって構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の防護扉。
【請求項8】
前記鉛直方向の最上部に配置された前記横ステー部材は、前記安全枠の開閉軸側及び開閉端側の少なくとも一方の端部に、前記防護扉の全閉時において前記防護扉と前記安全枠とを固定し、前記防護扉の全閉状態を維持するための固定手段を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の防護扉。
【請求項9】
前記固定手段が、前記横ステー部材の端部及び前記安全枠の出入口周縁を構成する枠体に設けられた貫通孔、及び前記貫通孔に挿通されたボルトを含む、請求項8に記載の防護扉。
【請求項10】
穀物乾燥機又は穀物貯留タンク上部の屋根部に設けられ、当該屋根部内の所定空間を区画する枠体と、請求項1~9のいずれか一項に記載の防護扉と、を備えた安全枠。
【請求項11】
穀物乾燥機と、当該穀物乾燥機の屋根部上方に設けられた請求項10に記載の安全枠と、を備えた、安全枠付き穀物乾燥機。
【請求項12】
穀物貯留タンクと、当該穀物貯留タンクの屋根部上方に設けられた請求項10に記載の安全枠と、を備えた、安全枠付き穀物貯留タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥機又は穀物を貯留する穀物貯留タンクの屋根部安全枠用の防護扉、及びその防護扉を備えた安全枠、並びに穀物乾燥機及び穀物貯留タンクに関する。更に詳しくは、穀物乾燥機又は穀物貯留タンクの屋根部上方に設置される作業者落下防止用の安全枠の出入口に着脱自在に設置することが可能な防護扉、及びその防護扉を備えた安全枠、並びに穀物乾燥機及び穀物貯留タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
穀物乾燥機には、籾や大豆等の穀物を乾燥するために、循環型や平型等の穀物(汎用)乾燥機がある。循環型の穀物乾燥機は、乾燥機本体内に、上部から順次に、穀物を貯める貯留部と、この穀物を乾燥する乾燥部と、この乾燥した穀物を繰出バルブ(ロータリバルブ)の回転により排出し下方の流穀樋に落下させて下部搬送機構により循環する循環機構部(例えば、集穀部)とを設けている。また、乾燥機本体の貯留部の上方には、乾燥機本体の屋根を構成する屋根部が設けられている。
【0003】
このような穀物乾燥機は、乾燥部内に通風部材により仕切られて貯留部と循環機構部とを連絡する流穀路を設け、この流穀路の各側に熱風路と排風路とを設け、穀物を上部の貯留部から乾燥部を経て循環機構部に導いた後に再び上部の貯留部に戻して循環させる間に、乾燥部の流穀路において穀物を熱風により乾燥するものである。
【0004】
穀物乾燥機の屋根部には、屋根張込用ダクトや、チェーンコンベア及びベルトコンベア等の搬送コンベアなどの配管が設けられていることがある。乾燥機の保守点検作業の際には、作業者が屋根部の上に登り、屋根部上方にて各種作業を行うことがある。このため、穀物乾燥機の屋根部上方に、作業者落下防止のため、所定範囲を区画するように安全防護枠(以下、単に「安全枠」ともいう)が設けられることがある。穀物乾燥機の屋根部への昇降は、例えば、地上と屋根部とを繋ぐように設けられた垂直梯子又は梯子によって行われる。
【0005】
穀物乾燥機の屋根部上方に設けられる安全枠には、作業者の入出が可能となるように、周囲を囲う安全枠の一部に隙間を設け、当該隙間を出入口として利用することがある。このため、従来、このような安全枠の出入口には、作業者の出入口からの転落等を抑制するため、チェーンを用いた仕切りを設けたり、蝶番やドアノブや連結コイルを利用した開閉可能な据え付け扉を設けたりすることがあった(例えば、特許文献1参照)。また、穀物を貯留するための施設機器として、籾用・玄米用・調整用等の各種の穀物貯留タンクがある。このような穀物貯留タンクの屋根部上方にも、穀物乾燥機と同様の安全枠が設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したようなチェーンを用いた仕切りは、安全枠の出入口となる隙間において、出入口両端の柵同士の連結が不十分となり、安全枠の強度の維持が見込めず、作業者が寄りかかった際などにおいて、十分な安全性の確保が難しいという問題があった。
【0008】
また、蝶番などを利用した据え付け扉は、強度の維持や寄りかかることによる落下はないものの、取付の際の自由度や扉の開閉方向の選択肢が少ないという問題があった。例えば、上述したように、穀物乾燥機の屋根部には屋根張込用ダクトなどの配管が設けられおり、このような配管が扉の開閉時の妨げになることがある。特に、屋根部に設けられた配管が入り組んでいると、安全枠の出入口の設置パターンを複数用意して、配管などの配置状況に応じて、出入口の設置箇所を変更する必要がある。このような場合、蝶番などを利用した扉は、取付作業が煩雑となってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明は、穀物乾燥機又は穀物貯留タンクの屋根部上方に設けられた安全枠において落下を防止する柵としての機能と、柵内部に出入りするための扉としての機能と、安全枠同士を連結し強度を維持する機能を備えた、穀物乾燥機又は穀物貯留タンクの屋根部安全枠用の防護扉を提供する。また、本発明は、このような防護扉を備えた安全枠、並びに穀物乾燥機及び穀物貯留タンクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下に示す穀物乾燥機又は穀物貯留タンクの屋根部安全枠用の防護扉、及びその防護扉を備えた安全枠、並びに穀物乾燥機及び穀物貯留タンクが提供される。
【0011】
[1] 穀物乾燥機又は穀物を貯留する穀物貯留タンクの屋根部上方に設けられた安全枠の出入口に設置される防護扉であって、
前記安全枠の出入口の幅方向に延びる少なくとも3本の横ステー部材と、当該出入口の鉛直方向に延び、少なくとも3本の前記横ステー部材を当該鉛直方向に間隔を空けて支持する少なくとも2本の縦ステー部材と、を備え、
少なくとも2本以上の前記横ステー部材は、その一方の端部に、前記安全枠の前記出入口の一方のたて枠として設けられる開口枠体に連結する第一の連結凹部を有し、且つ、その他方の端部に、前記安全枠の前記出入口の他方のたて枠として設けられる開口枠体に連結する第二の連結凹部を有し、
前記横ステー部材の第一及び第二の前記連結凹部のうちのいずれか一方が、前記安全枠の前記出入口のいずれか一方の前記たて枠としての前記開口枠体に着脱自在に取付けられ、当該開口枠体を支点として回転可能な状態で前記防護扉を支持する開閉軸を構成し、且つ、
前記横ステー部材の第一及び第二の前記連結凹部のうちのもう一方が、前記防護扉の全閉時に前記安全枠の前記出入口のもう一方の前記たて枠としての前記開口枠体に着脱自在に連結されて、前記防護扉の開閉端を構成し、
前記安全枠の出入口の開閉扉であるとともに、全閉時において当該安全枠の一部となり、且つ当該安全枠を連結し強度を維持するように構成された、穀物乾燥機又は穀物貯留タンクの屋根部安全枠用の防護扉。
【0012】
[2] 前記鉛直方向の最上部に配置された前記横ステー部材は、その両端部に、当該鉛直方向の下方に向かって窪んだ嵌合凹部を有し、前記防護扉の全閉時において、当該嵌合凹部を前記安全枠の出入口周縁を構成する枠体に上方から被せるようにして嵌合させる、前記[1]に記載の防護扉。
【0013】
[3] 前記鉛直方向の最上部に配置された前記横ステー部材は、当該鉛直方向の下方に向かって窪んだ断面コの字状の部材である、前記[1]又は[2]に記載の防護扉。
【0014】
[4] 前記横ステー部材の開閉軸側の端部において、前記安全枠の前記開口枠体と連結状態の前記連結凹部の開口側を覆うように配設され、前記開口枠体を前記連結凹部内に保持する、枠体保持補助具を更に有する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の防護扉。
【0015】
[5] 前記縦ステー部材は、前記横ステー部材の一部を貫通するように配設されている、前記[1]~[4]のいずれかに記載の防護扉。
【0016】
[6] 前記縦ステー部材は、鉛直方向に直交する断面形状が円形の円柱状部材である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の防護扉。
【0017】
[7] 少なくとも2本の前記縦ステー部材相互間の幅方向内側の全部又は一部が、板状又は網状の部材によって構成されている、前記[1]~[6]のいずれかに記載の防護扉。
【0018】
[8] 前記鉛直方向の最上部に配置された前記横ステー部材は、前記安全枠の開閉軸側及び開閉端側の少なくとも一方の端部に、前記防護扉の全閉時において前記防護扉と前記安全枠とを固定し、前記防護扉の全閉状態を維持するための固定手段を有する、前記[1]~[7]のいずれかに記載の防護扉。
【0019】
[9] 前記固定手段が、前記横ステー部材の端部及び前記安全枠の出入口周縁を構成する枠体に設けられた貫通孔、及び前記貫通孔に挿通されたボルトを含む、前記[8]に記載の防護扉。
【0020】
[10] 穀物乾燥機又は穀物貯留タンク上部の屋根部に設けられ、当該屋根部内の所定空間を区画する枠体と、前記[1]~[9]のいずれかに記載の防護扉と、を備えた安全枠。
【0021】
[11] 穀物乾燥機と、当該穀物乾燥機の屋根部上方に設けられた前記[10]に記載の安全枠と、を備えた、安全枠付き穀物乾燥機。
【0022】
[12] 穀物貯留タンクと、当該穀物貯留タンクの屋根部上方に設けられた前記[10]に記載の安全枠と、を備えた、安全枠付き穀物貯留タンク。
【発明の効果】
【0023】
本発明の穀物乾燥機又は穀物貯留タンクの屋根部安全枠用の防護扉は、穀物乾燥機などの屋根部上方に設けられた安全枠において落下を防止する柵としての機能と、柵内部に出入りするための扉としての機能と、安全枠同士を連結し強度を維持する機能を備える、という効果を奏するものである。
【0024】
特に、本発明の穀物乾燥機又は穀物貯留タンクの屋根部安全枠用の防護扉は、作業者落下防止用の安全枠の出入口に着脱自在に設置することが可能であり、取付の際の自由度に優れ、且つ、開閉方向の選択肢が豊富である。このため、穀物乾燥機などの屋根部上部の障害物を避けるように、防護扉の開閉・設置のバリエーションに複数対応することができる。また、防護扉の開閉に際し、工具等の道具の使用を要しないため、屋根部安全枠内での作業者の安全性及び利便性の向上を有効に図ることができる。
【0025】
また、安全枠並びに安全枠付き穀物乾燥機及び穀物貯留タンクは、上述した防護扉を備えたものであり、安全枠内での作業者の安全性及び利便性の向上を有効に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の防護扉の一の実施形態を備えた穀物乾燥機の正面から右側面に亘る斜め上方から見た概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す穀物乾燥機の正面から左側面に亘る斜め上方から見た概略斜視図である。
【
図3】
図1に示す穀物乾燥機の右側面から見た概略立面図である。
【
図4】穀物乾燥機の屋根部上方に設けられた安全枠を拡大した拡大立面図である。
【
図5】本発明の防護扉の一の実施形態を模式的に示す立面図である。
【
図8】
図5に示す防護扉の安全枠への設置方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0028】
本発明の防護扉の一の実施形態は、
図1~
図4に示すような、穀物乾燥機100の屋根部92上方に設けられた安全枠80の出入口84に設置される防護扉10である。ここで、
図1は、本実施形態の防護扉10を備えた穀物乾燥機100の正面から右側面に亘る斜め上方から見た概略斜視図である。
図2は、
図1に示す穀物乾燥機100の正面から左側面に亘る斜め上方から見た概略斜視図であり、
図3は、
図1に示す穀物乾燥機100の右側面から見た概略立面図である。また、
図4は、穀物乾燥機100の屋根部92上方に設けられた安全枠80を拡大した拡大立面図である。
【0029】
防護扉10は、安全枠80の出入口84の幅方向Xに延びる少なくとも3本の横ステー部材12と、出入口84の鉛直方向に延び、少なくとも3本の横ステー部材12を鉛直方向Yに間隔を空けて支持する少なくとも2本の縦ステー部材14と、を備えている。
【0030】
本実施形態の防護扉10は、穀物乾燥機100の屋根部92上方に設けられた安全枠80において落下を防止する柵としての機能と、柵内部に出入りするための扉としての機能と、安全枠80同士を連結し強度を維持する機能を備えるものである。以下、本実施形態の防護扉10のより詳細な構成について、
図1~
図8を参照しつつ説明する。
図5は、本発明の防護扉の一の実施形態を模式的に示す立面図である。
図6は、
図5に示す防護扉の側面図である。
図7は、
図5に示す防護扉の上面図である。
図8は、
図5に示す防護扉の安全枠への設置方法を説明するための説明図である。
【0031】
防護扉10は、少なくとも3本の横ステー部材12(12a,12b,12c)と、少なくとも2本の縦ステー部材14(14a,14b)と、を備えている。少なくとも3本の横ステー部材12a,12b,12cは、鉛直方向Yに間隔を空けて配置され、鉛直方向Yに延びる少なくとも2本の縦ステー部材14a,14bによって支持されている。このように構成された防護扉10は、その全閉時において安全枠80における落下防止柵としての十分な機能を有するものとなる。
【0032】
また、少なくとも3本の横ステー部材12a,12b,12cのうちの、少なくとも2本以上の横ステー部材12b,12cは、その一方の端部に、第一の連結凹部16(16a)を有している。そして、第一の連結凹部16aは、安全枠80の出入口84の一方のたて枠85aとして設けられる開口枠体86(86a)に連結するように構成されている。
【0033】
更に、少なくとも3本の横ステー部材12a,12b,12cのうちの、少なくとも2本以上の横ステー部材12b,12cは、その他方の端部に、第二の連結凹部16(16b)を有している。そして、第二の連結凹部16bは、安全枠80の出入口84の他方のたて枠85bとして設けられる開口枠体86(86b)に連結するように構成されている。
【0034】
本実施形態の防護扉10において、上述した横ステー部材12b,12cの第一及び第二の連結凹部16a,16bのうちのいずれか一方が、安全枠80の出入口84のいずれか一方のたて枠85aとしての開口枠体86aに着脱自在に取付けられ、当該開口枠体86aを支点として回転可能な状態で防護扉10を支持する開閉軸32を構成する。例えば、
図1~
図4に示す穀物乾燥機100においては、横ステー部材12b,12cの第一の連結凹部16aが開口枠体86aに取付けられることで、防護扉10における開閉軸32を構成している。
【0035】
一方で、横ステー部材12b,12cの第一及び第二の連結凹部16a,16bのうちのもう一方が、防護扉10の全閉時に安全枠80の出入口84のもう一方のたて枠85bとしての開口枠体86bに着脱自在に連結されて、防護扉10の開閉端34を構成する。例えば、
図1~
図4に示す穀物乾燥機100においては、横ステー部材12b,12cの第二の連結凹部16bが開口枠体86bに着脱自在(例えば、開閉自在)に連結されて、防護扉10における開閉端34を構成している。このように、本実施形態の防護扉10は、安全枠80の出入口84に対して開閉可能な状態で設置することができ、柵内部に出入りするための扉としての十分な機能、及び安全枠80同士を連結し強度を維持する十分な機能を有するものとなる。例えば、本実施形態の防護扉10は、作業者が寄りかかる、押す、踏むなど想定される動作に対して、曲がる、揺れる、外れることなどを有効に防止することができる。
【0036】
このように、本実施形態の防護扉10は、作業者落下防止用の安全枠80の出入口84に着脱自在に設置することが可能であり、取付の際の自由度に優れ、且つ、開閉方向の選択肢が豊富である。このため、穀物乾燥機100の屋根部92上部の障害物を避けるように、防護扉10の開閉・設置のバリエーションに複数対応することができる。また、防護扉10の開閉に際し、工具等の道具の使用を要しないため、屋根部92に設置された安全枠80内での作業者の安全性及び利便性の向上を有効に図ることができる。例えば、本実施形態の防護扉10は、開閉端34側の連結凹部16bの連結を解除することで出入口84を解放し、作業者が通る間隔を簡単に確保することができる。一方で、防護扉10の開閉軸32側の連結凹部16aについては、安全枠80の作業者が行う動作で容易に解除されないように、安全枠80の使用時において、出入口84の開口枠体86aとの比較的に持続性を有する連結を実現する。なお、本実施形態の防護扉10は、穀物乾燥機100上部の屋根部92に設けられるものに限定されず、例えば、図示は省略するが、籾用・玄米用・調整用等の各種の穀物貯留タンク上部の屋根部に設けられたものであってもよい。
【0037】
防護扉10を構成する横ステー部材12は、防護扉10の全閉時において安全枠80の出入口84の両端の開口枠体86a,86bと連結し、安全枠80同士を連結するものである。このため、横ステー部材12が3本未満であると、安全枠80同士を連結した際の十分な強度が得られないことがある。
【0038】
また、少なくとも2本以上の横ステー部材12(12b,12c)は、それぞれの両端部に連結凹部16を有しており、これらの連結凹部16が、安全枠80の出入口84に対する実質的な連結部位となっている。このため、連結凹部16を有する横ステー部材12が2本未満であると、出入口84との連結が不十分となり、例えば、防護扉10を鉛直方向Yに若干引き上げて扉の開閉を行う際に、防護扉10が倒れてしまうことがある。
【0039】
防護扉10を構成する縦ステー部材14は、鉛直方向Yに間隔を空けて配置された横ステー部材12を支持し、防護扉10の形状を安定させるためのものである。このため、縦ステー部材14が2本未満であると、防護扉10の形状が安定しないことがある。
【0040】
横ステー部材12は、例えば、開口部を下向きにした断面コの字状のチャンネル材によって構成されたものを挙げることができる。そして、少なくとも2本以上の横ステー部材12には、その両端部の一部に切欠きを設けて第一及び第二の連結凹部16a,16bが形成されていることが好ましい。また、横ステー部材12の一部に、縦ステー部材14が貫通可能な孔部が形成されていることが好ましい。このような孔部を貫通するように縦ステー部材14を配置することで、少なくとも3本の横ステー部材12a,12b,12cを鉛直方向Yに間隔を空けて固定することができる。
【0041】
鉛直方向Yの最上部に配置された横ステー部材12aは、その両端部に、当該鉛直方向Yの下方に向かって窪んだ嵌合凹部を有し、防護扉10の全閉時において、当該嵌合凹部を安全枠80の出入口周縁を構成する枠体82aに上方から被せるようにして嵌合させるように構成されていてもよい。このように構成することによって、防護扉10の全閉時において、防護扉10のぐらつきや、不用意に扉を開いてしまうことなどを有効に抑制することができる。このため、特に、最上部に配置された横ステー部材12aは、鉛直方向の下方に向かって窪んだ断面コの字状の部材(例えば、上述したチャンネル材)などによって構成されたものであることが好ましい。
【0042】
また、本実施形態の防護扉10は、横ステー部材12の開閉軸32側の端部に、安全枠80の出入口84の開口枠体86aを保持するための枠体保持補助具20を更に有していることが好ましい。枠体保持補助具20は、横ステー部材12の開閉軸32側の端部において、安全枠80の開口枠体86aと連結状態の連結凹部16aの開口側を覆うように配設され、開口枠体86aを連結凹部16a内に保持する。枠体保持補助具20は、横ステー部材12b,12cと開口枠体86aを支点として回転可能な状態で防護扉10を支持するための補助具であり、第一の連結凹部16aと相補形状の凹部を有する金具などを挙げることができる。枠体保持補助具20の凹部と、横ステー部材12b,12cの第一の連結凹部16aとを嵌め合わせるように配設し、ボルト28などの固定具により固定することができる。
【0043】
例えば、
図8において、枠体保持補助具20の凹部が、横ステー部材12b,12cの第一の連結凹部16aと重なり合うように配置されることで、安全枠80の出入口84の一方のたて枠85aとして設けられる開口枠体86aが、防護扉10の開閉軸32となる。なお、枠体保持補助具20は、ボルト28などの固定具により着脱可能に構成されて、例えば、横ステー部材12b,12cの第二の連結凹部16bと重なり合うように配置する箇所を変更することもできる。このように構成することによって、防護扉10の開閉軸32を、出入口84の他方のたて枠85bとして設けられる開口枠体86b側に切り替えることもでき、枠体保持補助具20の配設する箇所に応じて、防護扉10の右開き・左開きの仕様を容易に変更することができる。
【0044】
防護扉10は、出入口84の開口枠体86aに対して、横ステー部材12b,12cの連結凹部16を安全枠80内の内側から連結させた場合は、内開きの扉となる。逆に、出入口84の開口枠体86aに対して、横ステー部材12b,12cの連結凹部16を安全枠80内の外側から連結させた場合は、外開きの扉となる。このように、防護扉10は、出入口84の開口枠体86aとの連結向きを変えることで、内開き用と外開き用の2種の開閉バリエーションを実現することができる。
【0045】
また、鉛直方向Yの最上部に配置された横ステー部材12aは、安全枠80の開閉軸32側及び開閉端34側の少なくとも一方の端部に、防護扉10の全閉時において防護扉10と安全枠80とを固定し、防護扉10の全閉状態を維持するための固定手段22を有していてもよい。このような固定手段22としては、例えば、横ステー部材12aの端部及び安全枠80の出入口周縁を構成する枠体82aに設けられた貫通孔24、この貫通孔24に挿通されたボルト26を含むものを挙げることができる。更に、この固定手段22は、図示は省略するが、ボルト26と螺合するナットを更に含むものであってもよい。
【0046】
縦ステー部材14は、横ステー部材12を支持することが可能なものであれば、その形状などについては特に制限はない。例えば、縦ステー部材14は、鉛直方向に直交する断面形状が円形の円柱状部材であってもよく、金属によって形成されるパイプ材などを用いることができる。
【0047】
また、本実施形態の防護扉10は、少なくとも2本の縦ステー部材14相互間の幅方向内側の全部又は一部が、板状又は網状の部材によって構成されていてもよい。即ち、防護扉10は、複数の縦ステー部材14より幅方向内側の少なくとも一部が、板状や網状の部材で構成されたものであってもよい。
【0048】
次に、本発明の安全枠の一の実施形態について説明する。本実施形態の安全枠は、
図1~
図4に示すような、穀物乾燥機100上部の屋根部92に設けられ、当該屋根部内の所定空間を区画する枠体(
図1~
図4における安全枠80)と、これまでに説明した防護扉10と、を備えたものである。本実施形態の安全枠は、これまでに説明した防護扉10を備えたものであり、安全枠80内での作業者の安全性及び利便性の向上を有効に図ることができる。なお、本実施形態の安全枠は、穀物乾燥機100上部の屋根部92に設けられるものに限定されず、例えば、図示は省略するが、籾用・玄米用・調整用等の各種の穀物貯留タンク上部の屋根部に設けられたものであってもよい。
【0049】
安全枠80を構成する枠体については特に制限はなく、穀物乾燥機100上部の屋根部92内の所定の空間を区画し、その周縁の一部に、防護扉10を設置するための出入口84を有するものであればよい。例えば、安全枠80を構成する枠体としては、穀物乾燥機100の屋根部92の設置面に立設した複数の支柱と、隣り合う支柱間に横架した横架材とを有するものを挙げることができる。そして、安全枠80の出入口84においては、横架材が途切れており、出入口84の一方及び他方のたて枠85a,85bとして、鉛直方向Yに延びる開口枠体86a,86bが設けられている。このようなる開口枠体86a,86bに対して、これまでに説明した防護扉10が設置される。
【0050】
出入口84の一方及び他方のたて枠85a,85bを構成する開口枠体86a,86bは、鉛直方向に直交する断面形状が円形の円柱状部材であることが好ましい。開口枠体86a,86bを円柱状部材とすることで、防護扉10の横ステー部材12b,12cの第一の連結凹部16aとの連結により構成される開閉軸32にて、防護扉10の開閉をより円滑に行うことができる。
【0051】
また、
図1~
図4においては、安全枠80を構成する枠体において、出入口84が1つの場合の例を示しているが、屋根部92内の所定の空間を区画する周縁に、複数個の出入口84を設け、それぞれの出入口84に対して個々に防護扉10を設置してもよい。それぞれの防護扉10については、その使用状況や使用頻度に応じ、防護扉10の固定手段22により、一時的に閉鎖してもよい。例えば、使用頻度の低い防護扉10などについては、これまでに説明した固定手段22などを用いて安全枠80と固定し、全閉状態を一時的に維持してもよい。安全枠80は、例えば、穀物乾燥機100の屋根部92の正面側及び背面側にそれぞれ1つずつ、また、左右の側面側にそれぞれ1つずつ、合計4つの出入口84を有していてもよい。更に、安全枠80は、正面側、背面側、及び左右の側面側のそれぞれに、内開き用と外開き用の2種の防護扉10を設置できるように、合計8つの出入口84を有していてもよい。
【0052】
例えば、穀物乾燥機100の屋根部92には屋根張込用ダクトなどの配管が設けられており、このような配管が防護扉10の開閉時の妨げになることがある。このため、予め安全枠80に複数個の出入口84を設け、配管などの配置状況に応じて、使用する出入口84を適宜選択し、その他の出入口84を防護扉10により一時的に閉鎖してよい。これまでに説明したように、防護扉10は安全枠80同士を連結し強度を維持する十分な機能を有するため、安全枠80に複数個の出入口84を設けた場合であっても、安全枠80の強度を良好に維持することができる。一時的に閉鎖した防護扉10については、固定手段22の解除により簡単に開閉を再開できるため、屋根部92内における作業状況などに応じて、適宜、扉としての機能を復活させて使用することができる。
【0053】
次に、本発明の安全枠付き穀物乾燥機の一の実施形態について説明する。本実施形態の安全枠付き穀物乾燥機は、
図1~
図4に示すような、穀物乾燥機100と、穀物乾燥機100の屋根部92上方に設けられた安全枠80と、を備えたものである。安全枠80は、その出入口84に防護扉10が設置されている。本実施形態の安全枠付き穀物乾燥機は、安全枠80の出入口84に、これまでに説明した防護扉10が設置されたものであり、安全枠80内での作業者の安全性及び利便性の向上を有効に図ることができる。
【0054】
穀物乾燥機100の構成については特に制限はない。例えば、穀物乾燥機100は、穀物乾燥機100の乾燥機本体内に、上部から順次に、穀物を貯める貯留部90と、この穀物を乾燥する乾燥部(図示省略)と、この乾燥した穀物を繰出バルブ(ロータリバルブ)の回転により排出し下方の流穀樋に落下させて下部搬送機構により循環する集穀部などの循環機構部(図示省略)とを設けたものを挙げることができる。
【0055】
次に、本発明の安全枠付き穀物貯留タンクの一の実施形態について説明する。本実施形態の安全枠付き穀物貯留タンクは、図示は省略するが、穀物を貯留する穀物貯留タンクと、その屋根部上方に設けられた安全枠と、を備えたものである。安全枠は、その出入口に防護扉が設置されている。本実施形態の安全枠付き穀物貯留タンクは、安全枠の出入口に、これまでに説明した防護扉が設置されたものであり、安全枠内での作業者の安全性及び利便性の向上を有効に図ることができる。穀物貯留タンクは、籾用・玄米用・調整用等の各種の穀物貯留タンクを例示することができる。
【0056】
なお、本発明の安全枠、並びに安全枠付き穀物乾燥機及び穀物貯留タンクは、これまでに説明した着脱自在に構成された防護扉10を備えたものである限りにおいて、これまでに説明した実施形態に限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の防護扉は、穀物乾燥機や穀物貯留タンクの屋根部上方に設けられた屋根部安全枠の出入口の防護扉として利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
10:防護扉
12,12a,12b,12c:横ステー部材
14,14a,14b:縦ステー部材
16:連結凹部
16a:連結凹部(第一の連結凹部)
16b:連結凹部(第二の連結凹部)
20:枠体保持補助具
22:固定手段
24:貫通孔
26:ボルト
28:ボルト
32:開閉軸
34:開閉端
80:安全枠
82:枠体
82a:枠体(出入口周縁を構成する枠体)
84:出入口
85a:たて枠(一方のたて枠)
85b:たて枠(他方のたて枠)
86,86a,86b:開口枠体
90:貯留部
92:屋根部
100:穀物乾燥機