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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140945
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/18 20060101AFI20230928BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20230928BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230928BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230928BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G08B21/18
G01N21/17 A
G05B23/02 302S
G05B23/02 302Z
G05D1/02 K
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047033
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 紀行
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】土方 武
(72)【発明者】
【氏名】望月 綾子
(72)【発明者】
【氏名】末廣 直人
【テーマコード(参考)】
2G059
3C223
5C086
5C087
5H301
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059EE02
2G059FF01
2G059HH01
2G059KK04
3C223AA01
3C223AA21
3C223BA03
3C223BB08
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB05
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF12
3C223FF35
3C223FF42
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH06
3C223HH07
5C086AA34
5C086BA13
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA08
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087DD08
5C087DD20
5C087EE05
5C087FF04
5C087FF13
5C087FF30
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG19
5C087GG59
5C087GG70
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG09
5H301HH01
(57)【要約】
【課題】建物の検査領域における異常個所の把握を支援すること。
【解決手段】検査装置100は、検査領域を移動する検査装置100であって、自機を移動させる移動機構を駆動する駆動部110と、前記駆動部を制御する駆動制御部154と、検査領域を撮像して画像情報143を取得する情報取得部120と、検査領域における自機の位置情報142を推定する推定部151と、取得した画像情報143と画像情報143に関連付けた位置情報142と検査領域の構造を識別可能な図面情報144とを記憶する記憶部140と、画像情報143と位置情報142と図面情報144とに基づいて、検査領域における異常個所を判断する判断部152と、異常個所を識別可能な異常情報145を通知する通知部153と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査領域を移動する検査装置であって、
自機を移動させる移動機構を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記検査領域を撮像して画像情報を取得する情報取得部と、
前記検査領域における自機の位置情報を推定する推定部と、
取得した前記画像情報と当該画像情報に関連付けた前記位置情報と前記検査領域の構造を識別可能な図面情報とを記憶する記憶部と、
前記画像情報と前記位置情報と前記図面情報とに基づいて、前記検査領域における異常個所を判断する判断部と、
前記異常個所を識別可能な異常情報を通知する通知部と、
を備える、検査装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記情報取得部が取得した前記画像情報と前記記憶部に記憶している過去の前記画像情報とを比較し、比較結果に基づいて前記検査領域における異常個所を判断する
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記検査領域における移動可能領域が識別可能な前記図面情報を記憶し、
前記駆動制御部は、前記移動可能領域を移動するように前記駆動部を制御し、
前記判断部は、前記移動可能領域において移動不能となった領域を前記検査領域の異常個所と判断する
請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
充電可能なバッテリをさらに備え、
前記図面情報は、前記検査領域における充電器の位置を示す充電位置情報をさらに含み、
前記駆動制御部は、前記バッテリを充電するために前記充電器へ移動するように前記駆動部を制御する
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
検査領域を移動させる移動機構を駆動する駆動部と、前記検査領域を撮像して画像情報を取得する撮像部と、を備える検査装置が実行する検査方法であって、
前記検査領域における位置情報を推定する推定ステップと、
取得した前記画像情報と当該画像情報に関連付けた前記位置情報と前記検査領域の構造を識別可能な図面情報とを記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記画像情報と前記位置情報と前記図面情報とに基づいて、前記検査領域における異常個所を判断する判断ステップと、
前記異常個所を識別可能な異常情報を通知する通知ステップと、
を含む、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間が入れないスペースの点検には、ロボットを用いることが知られている。特許文献1には、自走型探査及び作業ロボットを用いて、害虫用の餌器を設置、検査又は回収し、ホスト側で餌の状態を自動計測して餌の映像と減量の割合を操作者に報告する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3985203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の床下や屋根裏等の人間が入れないスペースでは、害虫の存在を検査することは可能であったが、小動物、害虫等による被害を把握するのは困難であった。このため、人間が入れないスペースの検査においては、異常個所を把握したいとの要望がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、建物の検査領域における異常個所の把握を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る検査装置は、検査領域を移動する検査装置であって、自機を移動させる移動機構を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する駆動制御部と、前記検査領域を撮像して画像情報を取得する情報取得部と、前記検査領域における自機の位置情報を推定する推定部と、取得した前記画像情報と当該画像情報に関連付けた前記位置情報と前記検査領域の構造を識別可能な図面情報とを記憶する記憶部と、前記画像情報と前記位置情報と前記図面情報とに基づいて、前記検査領域における異常個所を判断する判断部と、前記異常個所を識別可能な異常情報を通知する通知部と、を備える。
【0007】
本発明に係る検査方法は、検査領域を移動させる移動機構を駆動する駆動部と、前記検査領域を撮像して画像情報を取得する撮像部と、を備える検査装置が実行する検査方法であって、前記検査領域における位置情報を推定する推定ステップと、取得した前記画像情報と当該画像情報に関連付けた前記位置情報と前記検査領域の構造を識別可能な図面情報とを記憶部に記憶する記憶ステップと、前記画像情報と前記位置情報と前記図面情報とに基づいて、前記検査領域における異常個所を判断する判断ステップと、前記異常個所を識別可能な異常情報を通知する通知ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、建物の検査領域における異常個所の把握を支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る検査システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る検査装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る電子機器の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る検査領域の図面情報の一例を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る検査装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る検査装置の動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る検査装置及び検査方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
[実施形態]
(検査システム)
図1を用いて、実施形態に係る検査システムについて説明する。図1は、実施形態に係る検査システムの構成例を示す図である。図1に示すように、検査システム10は、検査装置100と、電子機器200と、を備える。検査装置100と電子機器200とは、ネットワーク2000を介して相互に通信可能になっている。ネットワーク2000は、有線または無線のネットワークを含む。なお、検査システム10は、複数の検査装置100を備える構成としてもよい。
【0012】
検査装置100は、例えば、建物の検査領域1000に設置され、当該検査領域1000の内部を自律移動して検査を行うロボット、ドローン等を含む。建物は、例えば、住宅、ビル、店舗、工場、倉庫等を含む。検査装置100は、移動機構101を有するロボットである。移動機構101は、例えば、無限軌道、車輪、脚部等を含む。検査領域1000は、例えば、人間が入れない建物の内部の床下、屋根裏等の領域を含む。検査領域1000は、例えば、雨漏り、虫食い等の被害が発生しても人間が気付きにくい建物の領域を含む。検査領域1000は、建物において検査対象となる領域、空間等を含む。本実施形態では、検査装置100は、床下、屋根裏等に設置可能な小型のロボットである場合の一例について説明する。検査装置100は、例えば、定期的な建物のメンテナンスに用いられることができる。
【0013】
電子機器200は、検査装置100が送信した各種情報を管理する装置を含む。電子機器200は、例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、作業者が頭部に装着して使用するHMD(Head Mounted Display)装置等によって実現することができる。電子機器200は、検査装置100から受信した異常情報を通知する機能を有する。電子機器200は、検査装置100に点検の開始を指示するための情報を送信する機能を有する。
【0014】
(検査装置)
図2は、実施形態に係る検査装置100の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、検査装置100は、駆動部110と、情報取得部120と、通信部130と、記憶部140と、制御部150と、を備える。制御部150は、駆動部110、情報取得部120、通信部130、記憶部140等と電気的に接続されている。以下の説明では、検査装置100を「自機」と表記する場合がある。
【0015】
駆動部110は、検査領域1000内で自機を移動させる移動機構101を駆動する。すなわち、駆動部110は、検査領域1000を移動させる移動機構101を駆動する。移動機構101は、例えば、検査装置100を移動させる無限軌道(キャタピラ)等の機構を含む。駆動部110は、制御部150から出力された動作指令等に応じて移動機構101を駆動させる。その結果、検査装置100は、移動機構101の駆動によって検査領域1000内を移動する。
【0016】
情報取得部120は、検査装置100の周囲の情報を取得する。情報取得部120は、位置センサ、カメラ部(画像センサ)、距離センサ、マイク等を備え、周囲の情報として、現在の位置情報、周囲の三次元形状、周囲の画像、音声等を取得する。位置センサとしては、GPS(Global Positioning System)受信機等の絶対座標の位置を取得するセンサや、周囲の障害物との間の距離を検出するレーザレーダ(例えば、LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)、赤外線照射部と受光センサとを含む赤外線センサ、およびToF(Time of Flight)センサなどが例示される。カメラ部(画像センサ)としては、CMOSイメージセンサおよびCCDなどが例示される。カメラ部は、例えば、検査装置100が移動する実空間の全天周を撮像可能なカメラを含む。検査領域1000が暗所である場合、カメラ部は、暗視対応の360°カメラを用いる。これにより、検査装置100は、複数のカメラを備えるよりも、装置を小型化することができる。情報取得部120は、取得した周囲の情報を制御部150に供給する。
【0017】
情報取得部120は、検査装置100の状態を識別可能な状態情報を取得する。情報取得部120は、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ等の状態センサを用いることができる。情報取得部120は、検査装置100の角度、角速度、加速度等の情報を制御部150に供給する。情報取得部120は、駆動部110が駆動した駆動量を検出するエンコーダを備え、駆動量を示す情報を制御部150に供給する。これにより、制御部150は、情報取得部120から取得した情報に基づいて、検査装置100の移動方向、状態等を推定する。
【0018】
通信部130は、無線通信を行う無線通信部である。具体的には、通信部130は、電子機器200と通信可能に接続されている。すなわち、検査装置100は、通信部130を用いて、検査装置100の外部の電子機器200と無線通信を行う。通信部130は、電子機器200等から受信した各種情報を制御部150に供給する。通信部130は、制御部150が指示した情報を送信先に送信する。
【0019】
記憶部140は、各種の情報を記憶する。記憶部140は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、またはハードディスク、ソリッドステートドライブなどの記憶装置で実現することができる。記憶部140は、プログラム141、位置情報142、画像情報143、図面情報144、異常情報145等の各種情報を記憶できる。
【0020】
プログラム141は、検査装置100の各種動作に関する処理、検査方法に関する処理等を実現するための機能をそれぞれ提供できる。位置情報142は、検査領域1000における検査装置100の位置を識別可能な情報を有する。記憶部140は、複数の位置情報142を時系列順に記憶できる。画像情報143は、検査領域1000を撮像した画像を示す情報を有する。画像は、静止画像または動画像を含む。記憶部140は、情報取得部120が取得した画像情報143と取得したときの位置情報142とを関連付けて記憶できる。図面情報144は、検査領域1000の構造、移動可能な領域等を識別可能な情報を有する。図面情報144は、建物における検査領域1000の間取り図、マップ、設計図等の情報を有する。図面情報144は、検査領域1000における充電器の位置を示す充電位置情報を有する。異常情報145は、検査装置100が判断した検査領域1000における異常を識別可能な情報を有する。
【0021】
制御部150は、演算処理装置である。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部140に記憶されたプログラム141がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部150は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部150は、ソフトウェアと、ハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0022】
制御部150は、推定部151と、判断部152と、通知部153と、駆動制御部154との各機能部を備える。各機能部は、制御部150がプログラム141を実行することで実現される。
【0023】
推定部151は、検査領域1000における検査装置100の位置情報142を推定する。例えば、推定部151は、情報取得部120が取得した周囲の情報、駆動部110が駆動した駆動量、検査装置100の状態を識別可能な状態情報等に基づいて、図面情報144が示す検査領域1000における自機の現在位置を推定する。推定部151は、登録または検出された開始位置と移動に関する情報に基づいて、自機の位置情報142を推定する。移動に関する情報は、例えば、移動方向、移動量、移動軌跡等を含む。推定部151は、推定した位置情報142を記憶部140に記憶する。
【0024】
判断部152は、画像情報143と画像情報143に関連付けた位置情報142と検査領域1000の構造を識別可能な図面情報144とに基づいて、検査領域1000における異常個所を判断する。判断部152は、例えば、同一の位置を示す位置情報142が関連付けられた今回の画像情報143と過去の画像情報143とを比較し、比較結果に基づいて検査領域1000の異常個所を判断する。判断部152は、画像情報143が示す画像の中で異なる箇所、領域等が存在する場合、位置情報142が示す位置または当該位置から推測した位置が検査領域1000の異常個所と判断する。例えば、建物は、害獣や害虫によって構造物に変形、劣化、破損、変色等の不具合が発生する。判断部152は、例えば、機械学習を用いて、画像情報143が示す画像から構造物の変化(劣化)や破損、障害物の有無等を検出した場合に、検出した箇所を検査領域1000の異常個所と判断する。判断部152は、検査領域1000における移動可能領域において、検査装置100が移動不能になった場合に検査領域1000の異常個所と判断する。移動可能領域は、例えば、検査領域1000において、検査装置100が移動可能な領域(経路)であり、当該移動可能領域を示す情報が図面情報144に含まれている。検査装置100が移動不能になるとは、移動可能なはずの移動可能領域が、障害物の存在によって移動できなくなることを意味する。判断部152は、異常個所と判断した判断結果を識別可能な判断情報を生成して記憶部140に記憶する。判断情報は、例えば、判断結果、異常個所と判定した検査領域1000における自機の現在位置、当該現在位置からの画像等の情報を含む。
【0025】
通知部153は、検査領域1000における異常個所を識別可能な異常情報145として通知する。通知部153は、例えば、判断部152の判断情報と、判断に用いた位置情報142及び画像情報143等に基づいて、異常個所の位置、画像等を示す異常情報145を生成する。通知部153は、通信部130を介して、異常情報145を電子機器200に送信する。これにより、電子機器200は、検査装置100から受信した異常情報145を出力することで、異常情報145を作業者、管理者等に通知する。
【0026】
駆動制御部154は、検査装置100が検査経路に沿って移動するように、駆動部110の駆動を制御する。検査経路は、図面情報144が示す検査領域1000において、検査の開始位置から開始終了までの検査装置100の移動経路、巡回経路等である。検査経路は、検査領域1000の全体を巡回して検査可能なように設定されている。駆動制御部154は、検査経路を示す情報を図面情報144から取得したり、検査装置100の外部やデータベース等から取得したりする。駆動制御部154は、検査装置100が検査領域1000の移動可能領域を移動するように、駆動部110を制御する。駆動制御部154は、判断部152が検査領域1000の異常を判定している場合に、バッテリ160の残量が判定用残量よりも低下すると、バッテリ160を充電するために充電装置へ移動するように前記駆動部を制御する。
【0027】
制御部150は、情報取得部120が取得した画像情報143と撮像した位置を示す位置情報142とを、通信部130を介して電子機器200に定期的に送信する機能を提供できる。制御部150は、情報取得部120が画像情報143を取得する場合に、照明部180を点灯させる機能を提供できる。
【0028】
バッテリ160は、充電可能な電池を含む。バッテリ160は、例えば、Qi(ワイヤレス給電の国際標準規格)に対応したバッテリを含む。バッテリ160は、蓄電された電力を検査装置100において電力を必要とする各部等に供給する。検査装置100は、バッテリ160から供給される電力によって駆動部110、情報取得部120、通信部130、制御部150等が作動する。
【0029】
充電部170は、バッテリ160の充電動作を制御する。充電部170は、充電用コイルを用いて非接触で、Qiに対応した充電器300から電力を受け取り、当該電力をバッテリ160に充電できる。充電部170は、不図示のコネクタを介して外部電源からバッテリ160に充電できる。
【0030】
本実施形態では、検査装置100は、照明部180と、スピーカ190と、をさらに備える。照明部180及びスピーカ190は、制御部150と電気的に接続されている。なお、照明部180及びスピーカ190は、検査装置100の構成から削除してもよいが、検査装置100が備えることで、検査領域1000に存在する小動物や害虫等の排除に用いることができる。
【0031】
照明部180は、検査装置100の周囲、所望の方向等を照明可能な照明器具を用いることができる。照明部180は、例えば、LEDライト、電球等の照明器具を含む。照明部180は、制御部150によって点灯、消灯が制御される。スピーカ190は、音、音声等を検査装置100の外部に向けて出力可能なように設けられ、制御部150によって制御される。
【0032】
以上、本実施形態に係る検査装置100の機能構成例について説明した。なお、図2を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る検査装置100の機能構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る検査装置100の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0033】
(電子機器)
図3は、実施形態に係る電子機器200の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、電子機器200は、通信部210と、表示部220と、記憶部230と、制御部240と、を備える。制御部240は、通信部210、表示部220、記憶部230等と電気的に接続されている。なお、図3に示す一例では、本実施形態とは関係がない電子機器200の構成を省略している。
【0034】
通信部210は、無線通信を行う無線通信部である。具体的には、通信部210は、検査装置100と通信可能に接続されている。すなわち、電子機器200は、通信部210を用いて、検査装置100と無線通信を行う。通信部210は、検査装置100から受信した各種情報を制御部240に供給する。通信部210は、制御部240が指示した情報を送信先に送信する。
【0035】
表示部220は、検査装置100から受信した情報等を表示する。表示部220は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ(organic electroluminescent display)、タッチパネル等の表示デバイスで実現することができる。表示部220は、検査装置100から受信した異常情報145を表示することで、検査装置100が検出した検査領域1000の異常を通知できる。
【0036】
記憶部230は、各種の情報を記憶する。記憶部140は、例えば、RAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、またはハードディスク、ソリッドステートドライブなどの記憶装置で実現することができる。記憶部230は、検査装置100から受信した異常情報145等の情報を記憶できる。
【0037】
制御部240は、演算処理装置である。演算処理装置は、例えば、CPU、MPU等によって、記憶部230に記憶されたプログラムが実行されることにより実現される。また、制御部240は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。制御部240は、ソフトウェアと、ハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。制御部240は、検査装置100から受信した異常情報145を表示するように、表示部220の駆動を制御する。制御部240は、検査装置100を操作するための画面を表示部220に表示させ、当該画面の操作に応じて検査装置100をリモート操作するための処理を実行する。
【0038】
以上、本実施形態に係る電子機器200の機能構成例について説明した。なお、図3を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る電子機器200の機能構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る電子機器200の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0039】
(検査領域の図面情報)
図4は、実施形態に係る検査領域1000の図面情報144の一例を説明するための図である。図4に示す一例では、検査領域1000は、建物の屋根裏、天井裏等の検査対象の領域である。図面情報144は、検査領域1000のマップを示す情報を含む。検査領域1000は、移動可能領域1100と、移動不能領域1200とを、有する。移動可能領域1100は、検査装置100が移動可能な領域である。移動不能領域1200は、検査装置100が移動不能な壁、梁等が存在する領域である。図面情報144は、検査領域1000における充電器300の位置を示す充電位置情報を含む。図面情報144は、検査領域1000における検査装置100の検査経路を示す経路情報が関連付けられている。経路情報は、例えば、検査領域1000の開始位置から終了位置までの経路を示す情報を含む。経路情報は、検査装置100を移動させる日時等を示す情報を含んでもよい。図面情報144は、検査領域1000における位置と、画像情報143に関連付けられた位置情報142とを関連付けることができる。すなわち、図面情報144は、位置情報142と画像情報143とを関連付けて記憶部140に記憶することができる。
【0040】
(検査装置の処理手順)
図5は、実施形態に係る検査装置100が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図5に示す処理手順は、検査装置100の制御部150がプログラム141を実行することによって実現される。図5に示す処理手順は、例えば、定期的または電子機器200からの指示に応じて実行される。定期的は、例えば、月に一回等を含む。この場合、検査装置100は、検査の日時、間隔等の検査予定情報を記憶部140に記憶しておき、検査予定情報に基づいて処理手順を実行するか否かを判定することで、無人で定期的な検査を行うことができる。
【0041】
図5に示すように、検査装置100の制御部150は、検査領域1000の検査経路を移動するように、駆動部110の制御を開始する(ステップS101)。例えば、制御部150は、検査領域1000に対応する図面情報144の経路情報が示す検査経路を移動機構101が移動するように、駆動部110を駆動させる。これにより、検査装置100は、検査経路の移動を開始し、検査領域1000を巡回する。制御部150は、ステップS101の処理が終了すると、処理をステップS102に進める。
【0042】
制御部150は、自機の位置情報142を推定する(ステップS102)。例えば、制御部150は、情報取得部120が取得した周囲の情報、駆動部110が駆動した駆動量、検査装置100の状態(移動方向)、過去の位置情報142等に基づいて、図面情報144が示す検査領域1000における自機の現在位置を示す位置情報142を推定する。ステップS102は、推定ステップの一例である。制御部150は、推定した位置情報142を記憶部140に記憶すると、処理をステップS103に進める。
【0043】
制御部150は、画像情報143を取得する(ステップS103)。例えば、制御部150は、情報取得部120から画像情報143を取得し、画像情報143をステップS102で推定した位置情報142と図面情報144に関連付けて記憶部140に記憶する。ステップS103は、記憶ステップの一例である。制御部150は、ステップS103の処理が終了すると、処理をステップS104に進める。
【0044】
制御部150は、位置情報142と画像情報143と図面情報144とに基づいて、検査領域1000における異常個所を判断する(ステップS104)。例えば、制御部150は、同一の位置を示す位置情報142が関連付けられた今回の画像情報143と過去の画像情報143とを比較し、今回の画像情報143が過去の画像情報143と一致していない箇所を有する場合に、当該箇所を検査領域1000の異常個所と判断する。例えば、制御部150は、機械学習モデルに今回の画像情報143を入力し、機械学習モデルが出力した画像情報143の判定結果に基づいて、検査領域1000の異常個所を判断する。機械学習モデルは、例えば、画像情報143に構造物の変形、劣化、破損等の異常の有無を機械学習したモデルであり、入力された画像における異常の有無を示す情報を出力する。例えば、制御部150は、検査装置100が移動可能領域1100で移動不能になった場合、移動方向に障害物が存在する場合等の位置を、検査領域1000の異常個所と判断する。ステップS104は、判断ステップの一例である。制御部150は、ステップS104の処理が終了すると、処理をステップS105に進める。
【0045】
制御部150は、異常個所と判断したか否かを判定する(ステップS105)。例えば、制御部150は、ステップS104で検査領域1000における異常個所を判断している場合に、異常個所と判断したと判定する。制御部150は、異常個所と判断していないと判定した場合(ステップS105でNo)、処理を後述するステップS108に進める。また、制御部150は、異常個所と判断したと判定した場合(ステップS105でYes)、処理をステップS106に進める。
【0046】
制御部150は、異常個所を識別可能な異常情報145を生成する(ステップS106)。例えば、制御部150は、位置情報142と画像情報143と図面情報144とに基づいて、検査領域1000における異常個所の位置、画像等を含む異常情報145を生成する。制御部150は、ステップS106の処理が終了すると、処理をステップS107に進める。
【0047】
制御部150は、異常情報145の通知処理を実行する(ステップS107)。例えば、通知処理は、異常情報145を送信して電子機器200に出力させる処理、異常情報145を記憶部140に記憶する処理等を含む。制御部150は、通知処理を実行することで、異常情報145が示す異常個所の位置、画像等を電子機器200で通知することができる。ステップS107は、通知ステップの一例である。制御部150は、ステップS107の処理が終了すると、処理をステップS108に進める。
【0048】
制御部150は、バッテリ160の残量が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS108)。例えば、制御部150は、バッテリ160の残量と判定用の閾値を比較する。判定用の閾値は、例えば、充電が必要と判定するために設定された閾値である。制御部150は、バッテリ160の残量が閾値以下ではないと判定した場合(ステップS108でNo)、処理を後述するステップS110に進める。また、制御部150は、バッテリ160の残量が閾値以下であると判定した場合(ステップS108でYes)、処理をステップS109に進める。
【0049】
制御部150は、充電器300への充電移動処理を実行する(ステップS109)。充電移動処理は、例えば、検査装置100の現在位置から充電器300の位置までの経路を算出し、当該経路を移動するように駆動部110を駆動させる処理、検査を中断することを電子機器200等に通知する処理、取得した画像情報143を電子機器200に送信する処理、バッテリ160の残量が再開残量になった場合に検査を再開する処理等を含む。制御部150は、充電移動処理を実行することで、バッテリ160の残量がなくなる前にバッテリ160を充電することができる。制御部150は、ステップS109の処理が終了すると、処理をステップS110に進める。
【0050】
制御部150は、検査領域1000の検査が終了したか否かを判定する(ステップS110)。例えば、制御部150は、位置情報142の現在位置が図面情報144の検査経路の終了位置と一致している場合に、検査領域1000の検査が終了したと判定する。制御部150は、検査領域1000の検査が終了していないと判定した場合(ステップS110でNo)、処理を既に説明したステップS102に戻し、処理を継続する。また、制御部150は、検査領域1000の検査が終了したと判定した場合(ステップS110でYes)、処理をステップS111に進める。
【0051】
制御部150は、検査終了処理を実行する(ステップS111)。検査終了処理は、例えば、検査装置100を停止位置に移動させて駆動部110の駆動を終了させる処理、検査結果情報を電子機器200に送信する処理、取得した画像情報143を電子機器200に送信する処理等を含む。制御部150は、検査終了処理を実行することで、検査装置100を停止位置に移動させて停止状態または待機状態へ移行させることができる。制御部150は、ステップS111の処理が終了すると、図5に示す処理手順を終了させる。
【0052】
(検査装置の動作例)
図6は、実施形態に係る検査装置100の動作の一例を説明するための図である。図6に示す場面C1では、検査装置100は、検査経路を方向Dに移動しながら情報取得部120によって画像情報143を取得している。検査装置100は、取得した画像情報143を用いて検査領域1000における異常個所ではないと判断している。検査装置100は、取得した画像情報143を位置情報142に関連付けて記憶部140に記憶する。
【0053】
その後、場面C2では、検査領域1000の移動可能領域1100において、場面C1と同一の検査経路上に、障害物500が出現している。この場合、検査装置100は、検査経路を移動しながら情報取得部120によって画像情報143を取得している。検査装置100は、取得した画像情報143と過去の画像情報143とを比較すると、画像に異なる領域が存在するため、検査領域1000の異常個所と判断する。検査装置100は、異常個所を示す画像情報143、当該画像情報143に関連付けた位置情報142を有する異常情報145を生成し、当該異常情報145を電子機器200に送信する。そして、電子機器200は、受信した異常情報145を表示部220に表示することで、作業者、管理者等に通知する。
【0054】
実施形態に係る検査装置100は、検査領域1000を移動して撮像した画像情報143と位置情報142と図面情報144とに基づいて、検査領域1000における異常個所を判断すると、当該異常個所を通知できる。これにより、検査装置100は、人間が入れない検査領域1000における異常個所を通知することで、目の行き届かない場所の異常個所を把握させることができる。その結果、検査装置100は、検査領域1000における異常個所の把握を支援することで、被害の拡大を抑制することができる。
【0055】
検査装置100は、情報取得部120が取得した画像情報143と記憶部140に記憶している過去の画像情報143とを比較し、比較結果に基づいて検査領域1000における異常個所を判断できる。これにより、検査装置100は、検査領域1000における構造物等の変化を異常個所として判断することができる。その結果、検査装置100は、雨漏りや虫食いなどの発生を早急に把握させることができるので、被害を早急に解消することができる。
【0056】
検査装置100は、検査領域1000の移動可能領域1100において移動不能となった領域を検査領域の異常個所と判断できる。これにより、検査装置100は、検査領域1000の間取りと相違する箇所を異常個所として判断することができる。その結果、検査装置100は、構造物の破損、変形などの発生を早急に把握させることができるので、被害の拡大の防止に貢献することができる。
【0057】
検査装置100は、バッテリ160を充電するために充電器300へ移動するように駆動部110を制御できる。これにより、検査装置100は、バッテリ160を充電することで、人間が入ることが困難な検査領域1000であっても、常時点検することができる。その結果、検査装置100は、検査領域1000における異常個所を初期段階で把握できるので、被害の防止に貢献することができる。
【0058】
実施形態に係る検査方法は、検査装置100が検査領域1000を移動して撮像した画像情報143と位置情報142と図面情報144とに基づいて、検査領域1000における異常個所を判断すると、当該異常個所を通知できる。これにより、検査方法は、人間が入れない検査領域1000における異常個所を通知することで、目の行き届かない場所の異常個所を把握させることができる。その結果、検査方法は、検査領域1000における異常個所の把握を支援することで、被害の拡大を抑制することができる。
【0059】
[実施形態の変形例]
上記の検査装置100は、検査領域1000の異常個所と判断した場合、当該異常個所を照明部180で照明するように構成してもよい。これにより、検査装置100は、照明した異常個所を新たに撮像できるので、異常個所の鮮明な画像情報143を通知することができる。また、検査装置100は、異常個所の画像に対して物体認識処理を実行し、物体が小動物、害虫等である場合、照明部180で異常個所を照明したり、警告音をスピーカ190から出力したりしてもよい。これにより、検査装置100は、小動物や害虫を追い払うことができる。
【0060】
上記の検査装置100は、図面情報144が示す検査領域1000の間取り図と実際の構造との相違を異常個所として判断することで、完成した建物の細部まで確認することができる。建物の細部は、例えば、柱の篏合、断熱材の貼り付け具合、配線用孔、設計図にない障害物、設計図と異なる構造物等を含む。これにより、検査装置100は、検査領域1000における設計図と実際の構造との相違を通知できるので、建物の完成精度の向上に貢献することができる。
【0061】
上記の検査装置100は、検査領域1000の異常個所を通知する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、検査装置100は、検査領域1000の異常個所を示す異常情報145を図面情報144に関連付けたり、反映したりすることができる。
【0062】
上記の検査装置100は、例えば、図面情報144が示す予め設定された複数のチェックポイントの各々で異常個所の判断を行う構成としてもよい。これにより、検査装置100は、複数のチェックポイントにおける異常個所の判断結果を一覧として通知することができる。
【0063】
上記の実施形態では、検査装置100は、建物の検査領域1000を検査する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、検査装置100は、旅客機、旅客船等の狭小領域を検査領域1000として検査を行ってもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0065】
10 検査システム
100 検査装置
101 移動機構
110 駆動部
120 情報取得部
130 通信部
140 記憶部
141 プログラム
142 位置情報
143 画像情報
144 図面情報
145 異常情報
150 制御部
151 推定部
152 判断部
153 通知部
154 駆動制御部
160 バッテリ
170 充電部
200 電子機器
210 通信部
220 表示部
230 記憶部
240 制御部
300 充電器
1000 検査領域
1100 移動可能領域
1200 移動不能領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6