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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140956
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】車両用内装材
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20230928BHJP
   B68G 7/06 20060101ALI20230928BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20230928BHJP
   B60N 2/75 20180101ALI20230928BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B68G7/06 B
B60N3/00 C
B60N2/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047050
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000225728
【氏名又は名称】南条装備工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】應和 孝利
(72)【発明者】
【氏名】芝 直哉
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
3D023
【Fターム(参考)】
3B087DC01
3B087DE03
3B088BA00
3D023BA01
3D023BB08
3D023BC01
3D023BD03
3D023BE03
3D023BE06
(57)【要約】
【課題】指で軽く触れたときに違和感のない柔らかさが感じられるようにする。
【解決手段】車両用内装材1は、基材10と、基材10に積層された発泡材からなるクッション材20と、クッション材20の表側の面を覆う柔軟な樹脂材からなる表皮材30とを備えている。表皮材30の裏面には、クッション材20の表側の面へ向けて突出する多数の突起31が表皮材30の裏面に沿う方向に互いに間隔をあけて形成されている。突起31の中心線は表皮材30の裏面に直交する方向に延びている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に積層された発泡材からなるクッション材と、
前記クッション材の表側の面を覆う柔軟な樹脂材からなる表皮材とを備えた車両用内装材において、
前記表皮材の裏面には、前記クッション材の表側の面へ向けて突出する多数の突起が前記表皮材の裏面に沿う方向に互いに間隔をあけて一体成形され、当該突起の中心線は前記表皮材の裏面に直交する方向に延びており、
前記突起の前記中心線に直交する方向の断面は円形状であり、
前記表皮材における前記突起が形成されていない部分の厚さをtとし、
前記突起の外径をBとし、隣合う前記突起の中心線間距離をPとしたとき、下記式で求められるyが2.5よりも小さいことを特徴とする車両用内装材。
y=-3.62t+3.84B+0.92P-1.04
【請求項2】
請求項1に記載の車両用内装材において、
前記yが1.0以下であることを特徴とする車両用内装材。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用内装材において、
前記Pは、前記B×1.1以上であることを特徴とする車両用内装材。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用内装材において、
前記tは、0.5mm以上2.5mm以下であることを特徴とする車両用内装材。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用内装材において、
前記Bは、0.5mm以上2.5mm以下であることを特徴とする車両用内装材。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の車両用内装材において、
前記突起の高さは、1.6mm以上3.2mm以下であることを特徴とする車両用内装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車室内に設けられる車両用内装材に関し、特に表皮材及びクッション材を備えた構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、基材と、多数のスペーサリブが形成された表皮材と、基材と表皮材との間に介在するクッション材とを備えた車両用アームレストが開示されている。特許文献1の車両用アームレストでは、乗員がアームレスト上面に肘を載せた荷重初期時に、クッションパットのクッション作用が得られ、更に大きな荷重については、スペーサリブを変形させることでソフト感を得るようにしている。
【0003】
また、特許文献2には、基材と、基材を覆うように設けられる表皮材とを備え、表皮材の裏面に多数の突起が形成された内装部品が開示されている。突起は、その先端と基端とが表皮材の裏面の面方向にオフセットするように形成されており、これにより、押圧荷重が加えられた時に突起のモーメントを大きくして撓み変形し易くし、クッション性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-345566号公報
【特許文献2】国際公開第2014/184903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば自動車の購入を検討している者が自動車に乗り込んでから内装材に触れることがあるが、このような場合、特許文献1のように肘をいきなり載せるケースは少なく、まずは、指で内装材の表面をなでるように軽く触って内装材の柔らかさや滑らかさ等の質感を確かめる場合がある。
【0006】
ところが、特許文献1では、表皮材の裏面に多数のスペーサリブが形成されているので、表皮材の表面を押圧した時に、スペーサリブが形成されている部分の反力は大きくなる反面、スペーサリブ間の部分の反力は小さくなり、反力分布が不均一になる。特許文献1が想定している肘を載せた時であれば、肘は指よりも鈍感であることから、表皮材の表面における反力分布の不均一を感じることはできず、特に問題とはならないと考えられるが、指で内装材の表面をなでるように軽く触った場合には、上述した反力分布の不均一がポツポツとした感じ(ポツポツ感)として感じ取られ、違和感の原因となることが考えられる。
【0007】
また、特許文献2では、突起の先端と基端とが面方向にオフセットした形状であり、このような形状を成形しようとするとアンダーカットとなって成形が困難である。また、特許文献2の表皮材も多数の突起を有している以上、指で内装材の表面をなでるように軽く触った場合には、ポツポツ感が感じ取られるものと考えられる。
【0008】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、指で軽く触れたときに違和感のない柔らかさが感じられるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、基材と、前記基材に積層された発泡材からなるクッション材と、前記クッション材の表側の面を覆う柔軟な樹脂材からなる表皮材とを備えた車両用内装材を前提とすることができる。前記表皮材の裏面には、前記クッション材の表側の面へ向けて突出する多数の突起が前記表皮材の裏面に沿う方向に互いに間隔をあけて一体成形されている。当該突起の中心線は前記表皮材の裏面に直交する方向に延びている。前記突起の前記中心線に直交する方向の断面を円形状とすることができる。前記表皮材における前記突起が形成されていない部分の厚さをtとし、前記突起の外径をBとし、隣合う前記突起の中心線間距離をPとしたとき、y=-3.62t+3.84B+0.92P-1.04で求められるyが2.5よりも小さい値となる。前記yは1.0以下であってもよい。
【0010】
本開示の他の態様では、隣合う前記突起の中心線間距離Pが、突起の外径B×1.1以上であってもよい。また、表皮材における突起が形成されていない部分の厚さtは、0.5mm以上2.5mm以下であってもよい。また、突起の外径Bは、0.5mm以上2.5mm以下であってもよい。さらに、突起の高さは、1.6mm以上3.2mm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、多数の突起が裏面に一体成形された表皮材の表面に指で軽く触れたときに違和感のない柔らかさを感じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るアームレストを備えたドアトリムを車室内側から見た側面図である。
図2】アームレストを前方から見た斜視図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4】表皮材の表面に指で軽く触れた時の拡大断面図である。
図5】表皮材を裏側から見た図である。
図6】表皮材の拡大断面図である。
図7】突起の接触面積率と表皮材の押込量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用内装材としてのアームレスト1を備えたドアトリム100を示すものである。ドアトリム100は、自動車のドア(図示せず)の車室内側に取り付けられ、該ドアの車室内側を覆うように形成されている。このドアトリム100も車両用内装材である。ドアトリム100の車室内側の上側部分には、トリム上側表皮101が設けられており、このトリム上側表皮101はドアトリム100の上側部分において前後方向に延びている。また、ドアトリム100の車室内側のトリム上側表皮101よりも下側には、トリム下側表皮102が設けられている。ドアトリム100は、フロントドアに設けられるものであってもよいし、リヤドアに設けられるものであってもよい。尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」というものとする。
【0015】
アームレスト1は、ドアトリム100の上下方向中間部に取り付けられ、車室内側へ膨出するとともに、前後方向に長い形状を有している。図3に示すように、この実施形態では、アームレスト1が基材10とクッション材20と表皮材30とを有している。アームレスト1の位置、大きさ、形状は任意に設定することができ、自動車の大きさや乗員の位置に応じて変えることができる。
【0016】
基材10は、クッション材20及び表皮材30を構成する材料よりも硬い樹脂材(硬質樹脂材)からなり、アームレスト1の形状を維持可能な剛性を有するとともに、アームレスト1のドアトリム100への高い取付剛性を確保することができるように構成されている。基材10は、車室内外方向に延びる上板部11と、上板部11の車室内側から下方へ延びる縦板部12とを有しており、上板部11と縦板部12とは例えば射出成形法等によって一体成形されている。上板部11の車室外側の端部には、上方へ突出して前後方向に延びる側壁部11aが形成されている。この側壁部11aの上端部には、車室外側へ突出して前後方向に延びるフランジ部11bが形成されている。
【0017】
上板部11の車室内側は下方へ湾曲しながら延びている。上板部11の車室内側の端部には、車室内側へ突出して前後方向に延びる横壁部11cが形成されている。横壁部11cの車室内側の端部に上記縦板部12の上端部が連続している。縦板部12は、下側へ行くほど車室外側に位置するように傾斜乃至湾曲しながら延びている。
【0018】
基材10の側壁部11aと横壁部11cの間には、クッション材20が車幅方向及び前後方向に連続して設けられている。クッション材20は基材10に積層された状態になっている。クッション材20は、アームレスト1の上面から車室内側の角部に亘って設けられ、乗員がアームレスト1に手を置いたときに触れやすい部分をカバーするようになっている。
【0019】
クッション材20は、例えば弾性を有する発泡材等で構成されている。クッション材20の裏面は、上板部11の上面に配置されるとともに、側壁部11aの内面及び横壁部11cの内面にも配置されている。基材10とクッション材20とは一体成形してもよいし、別々に成形した後、配置するようにしてもよい。基材10とクッション材20とは接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。
【0020】
表皮材30は、クッション材20の表側の面の全体を覆うように形成された柔軟な樹脂材からなる部材である。表皮材30を構成する樹脂材の硬度は、60以上70以下の範囲で設定されている。上記樹脂材の硬度は、デュロメータ硬さ試験(タイプA)で求められる硬度である。表皮材30は、基材10及びクッション材20に一体成形するようにしてもよいし、基材10及びクッション材20とは別に成形した後、基材10及びクッション材20を被覆するように設けてもよい。
【0021】
表皮材30の車室外側の端部は、基材10のフランジ部11bに沿って延びた後、フランジ部11bの裏側に沿って延びて側壁部11aの外面に周り込むように形成されている。この表皮材30の車室外側の端部は、フランジ部11bの裏側及び側壁部11aの外面に接合されている。
【0022】
表皮材30の車室内側は下方へ湾曲しながら、基材10の縦板部12に沿って当該縦板部12の下端部まで延びている。表皮材30の下端部は、縦板部12の下端部を覆うように車室外側へ屈曲した後、上方へ折り曲げられて縦板部12の裏面に接合されている。
【0023】
図3図5に示すように、表皮材30の裏面には、クッション材20の表側の面へ向けて突出する多数の突起31が表皮材30の裏面に沿う方向に互いに間隔をあけて一体成形されている。図3に示すように、突起31は、表皮材30におけるクッション材20を覆う部分にのみ設けられており、縦板部12を覆う部分には設けられていない。従って、表皮材30における縦板部12を覆う部分は、当該縦板部12に対して直接接着されている。また、多数の突起31は、前後方向及び左右方向(車幅方向)に互いに間隔をあけて配置されている。突起31の形状は、円柱状であってもよいし、角柱状であってもよいが、図6に示すように、突起31の中心線200は表皮材30の裏面に直交する方向に延びている。突起31は全て同じ形状であってもよいし、一部の突起31が他の突起31とは異なる形状であってもよい。
【0024】
図4にも示すように、突起31は、表皮材30の裏面に一体成形されていることから、表皮材30を構成する樹脂材と同じ樹脂材で構成されている。これにより、突起31と表皮材30との相対的な位置がずれることはないとともに、突起31と突起31との相対的な位置もずれることはない。尚、突起31は表皮材30とは別体であってもよい。
【0025】
また、突起31は、クッション材20に向けて突出して当該クッション材20に接触している。これにより、図3に示すように、表皮材30に対して乗員等が接触していない状態、即ち無負荷状態のときに、表皮材30の裏面とクッション材20の表側の面との間に空隙部Sが形成される。無負荷状態で、突起31の突出方向先端部のみがクッション材20に埋め込まれており、突起31の基端部及び中間部はクッション材20に埋め込まれていない。
【0026】
突起31の突出方向先端部は、先端に近づくほど細くなるように形成された、いわゆる先細形状とされている。これにより、突起31の突出方向先端部がクッション材20に対して食い込みやすくなり、突起31のアンカー効果が高まる。突起31の先端部は、先細形状にすることなく、基端部や中間部と同じ断面形状にしてもよい。
【0027】
図5は、表皮材30を裏側から見た図であり、各突起31の中心線200に直交する方向の断面は円形状である。隣合う突起31、31の中心線200、200間距離はP(単位:mm)とする。Pは、突起31のピッチと呼ぶこともできる。表皮材30に形成されている多数の突起31のピッチは同じに設定されている。また、図6は表皮材30の突起31が形成された部分を拡大して示す断面図であり、突起31の突出方向の寸法をA(単位:mm)とし、突起31の外径をB(単位:mm)とする。寸法Aは、表皮材30の裏面における突起31が形成されていない部分から突起31の先端部までの寸法である。また、表皮材30における突起31が形成されていない部分の厚さをt(単位:mm)とする。
【0028】
表皮材30におけるクッション材20を覆う部分の裏面の面積をS1とし、クッション材20の表側の面における突起31の先端部が接触する部分の合計の面積をS2としたとき、面積S1に対する面積S2の占める割合R(R=S1/S2)が6%以上に設定されている。面積S2は、突起31の数が多いほど広くなる。また、例えば、ピッチPを一定にして突起31の外径Bを大きくすればするほど上記割合Rは大きくなり、一方、ピッチPを一定にして突起31の外径Bを小さくすればするほど上記割合Rは小さくなる。また、突起31の外径Bを一定にしてピッチPを小さくすればするほど上記割合Rは大きくなり、突起31の外径Bを一定にしてピッチPを大きくすればするほど上記割合Rは小さくなる。つまり、上記割合Rが6%以上となるように、ピッチPと突起31の外径Bを設定している。割合Rは、突起31の接触面積率と呼ぶこともできる。
【0029】
図7は、横軸を突起31の接触面積率(%)とし、縦軸を表皮材30の押込量(単位:mm)とした場合の両者の関係を示すグラフである。押込量は、直径15mmの円形の硬質板を用いて0.6Nの力を表皮材30の表面に直交する方向に裏側へ向けて作用させた時の当該表皮材30の表面の変位量に相当する。表皮材30を構成する樹脂材の硬度は、デュロメータ硬さ試験(タイプA)で測定した時に60である。また、表皮材30の厚さtは1.6mmである。突起31の外径Bは、1.0mmであり、突起31の突出方向の寸法Aは2.5mmである。ピッチPを6mmにすると接触面積率は2.5%になり、この場合は押込量が0.7mmを超えるとともに、官能評価では指にポツポツ感じた。ピッチPを4mmにすると接触面積率は6%になり、この場合は押込量が0.6mm未満になり、官能評価では指にポツポツ感じにくくなる。ピッチPを3mmにすると接触面積率は10%になり、官能評価では指にポツポツ感じにくくなる。また、ピッチPを2mmにすると接触面積率は20%になり、この場合には指にポツポツ感じなくなる。設定可能な接触面積率は100%未満であり、例えば90%以下、80%以下にすることができる。
【0030】
すなわち、上記割合Rを6%以上とすることで、表皮材30の表面に指で軽く触れたときに、6%未満の場合に比べて指にポツポツ感を感じにくくなる。具体的には、表皮材30の表面における指が接触する範囲を直径15mmとし、指による押し付け力を150g以上500g以下の範囲とし、かつ、指を表皮材30の表面に沿う方向に滑らせる時の速度を5mm/秒としたときに、複数人による官能評価で指にポツポツ感を感じにくくなる。また、上記割合Rを10%以上とすることでポツポツ感をより一層感じ難くなる。ポツポツ感とは、表皮材30の表面から指に作用する反力分布が不均一であることによって感じられるものであり、突起31が形成された部分で反力が強く、それ以外の部分で反力が弱いことによって生じる。
【0031】
上記割合Rが6%未満になると、複数人による官能評価で指にポツポツ感を感じ易くなる。また、上記割合Rが2.5%程度になると、ポツポツ感がより一層強く感じられるようになる。
【0032】
また、本実施形態のドアトリム100は、下記式(1)で求められるyが2.5よりも小さくなるように、厚さt、外径B、ピッチPが設定されている。尚、この場合、上記割合Rが6%以上であってもよい。
【0033】
y=-3.62t+3.84B+0.92P-1.04 ・・・(1)
この場合、ピッチPは、外径B×1.1以上である。また、厚さtは、0.5mm以上2.5mm以下である。また、外径Bは、0.5mm以上2.5mm以下である。さらに、突起31の高さAは、1.6mm以上3.2mm以下である。
【0034】
また、上記yは1.0以下とすることができる。上記yが1.0以下であると、ポツポツ感がより一層感じ難くなる。上記yが1.0以下である場合、厚さtは、0.8mm以上2.0mm以下である。また、外径Bは、0.6mm以上1.2mm以下である。ピッチPは、上述と同様に、外径B×1.1以上である。
【0035】
尚、突起31の先端部は、テーパ形状となっている。角度αは、例えば110°以上120°以下の範囲で設定されている。突起31の先端部は、無負荷状態のときに、ほぼ全体がクッション材20に接触している。突起31の先端部は、中心線200に直交する平坦面であってもよく、この場合も図7に示すような関係が得られる。
【0036】
また、多数の突起31同士の間隔(隣合うもの同士の間隔)は、表皮材30が上述した荷重(指が軽く触れた時の荷重)よりも大きな荷重を受けてクッション材20に接近する方向に変位した際に表皮材30の裏面における突起31の間の部分にクッション材20が接触するように設定されている。すなわち、突起31のピッチPが狭く、突起31が密集していると、大きな荷重を受けた表皮材30がクッション材20に接近する方向に変位した際に表皮材30の裏面における突起31の間の部分にクッション材20が接触しないことが考えられるが、この実施形態では、表皮材30がクッション材20に接近する方向に変位した際に表皮材30の裏面における突起31の間の部分にクッション材20が確実に接触するように、突起31の間隔を設定している。これにより、表皮材30の裏面をクッション材20によって直接支持してクッション性を持たせることができる。
【0037】
また、指が表皮材30に接触した初期段階では、指のつぶれが進行していき、ある程度荷重が高まってから徐々に表皮材30が変位し、そのときの荷重が極めて低くても、表皮材30が大きく変位するように、表皮材30の変位量を設定することも可能である。
【0038】
これを実現するための構成として、例えば、低荷重で容易に変形可能な柔軟性を有する表皮材30に、クッション材20に接触する多数の突起31を設け、無負荷状態で表皮材30とクッション材20との間に空隙部Sを設ける構成を挙げることができる。表皮材30の表面に指を軽く置くと、突起31によって表皮材30がクッション材20に支持されているので、荷重が極めて低い初期段階では、クッション材20の反発力によって表皮材30の変形が抑制されて指の腹がつぶれていく。この初期段階の荷重は、指に力を入れずに表皮材30に単に置いたときのような極めて低い荷重である。
【0039】
そして、指に少しだけ力を加えると、表皮材30に作用する荷重が徐々に高まる。このとき、表皮材30とクッション材20との間には空隙部Sがあり、表皮材30が突起31のみによってクッション材20に対して狭い範囲に支持された状態になっているので、指からの荷重が低かったとしても、突起31がクッション材20に容易に埋まり、表皮材30がクッション材20に近づく方向に変位する。突起31がクッション材20に完全に埋まるまでは、表皮材30とクッション材20との間に空隙部Sがあるので、表皮材30の変位に要する荷重は極めて低くなる。よって、低荷重が作用したときの表皮材30の変位量を大きくすることが可能になり、乗員は表皮材30を柔らかく感じる。表皮材30が変位するときには突起31がクッション材20に次第に埋まっていくので、突起31が表皮材30とクッション材20との間で突っ張るように作用することはなく、よって、良好なソフト感が得られる。また、無負荷状態のときに突起31がクッション材20に接触しているので、乗員の指が表皮材30に触れた瞬間からクッション材20による微小な反力が作用することになり、空洞感は生じない。
【0040】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、突起31の中心線200が表皮材30の裏面に直交する方向に延びているので、表皮材30に突起31を一体成形する際にアンダーカットが形成されず、成形が容易になる。
【0041】
また、この実施形態に係るアームレスト1によれば、柔軟性を有する表皮材30とクッション材20との間に多数の突起31を設け、無負荷状態で表皮材30とクッション材20との間に空隙部Sを設けたので、空洞感が生じないようにしながら、乗員の指が軽く触れたときのような極めて低い荷重の作用時に良好なソフト感を得ることができる。
【0042】
特に、表皮材30の表面に指で軽く触れたときに、表皮材30の裏面の6%以上の範囲で突起31の先端部がクッション材20に接触することになるので、6%未満の場合に比べて指にポツポツ感を感じにくくなり、指で軽く触れたときに違和感のない柔らかさが感じられる。
【0043】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0044】
また、上記実施形態では、本発明をアームレスト1に適用した場合について説明したが、これに限らず、乗員が指で触れる各種内装材に適用することができ、例えばドアトリム100の車室内側に適用することや、コンソールボックスのリッド、インストルメントパネル等に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明に係る車両用内装材は、例えばドアトリムを構成する部材として使用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 アームレスト(車両用内装材)
10 基材
20 クッション材
30 表皮材
31 突起
S 空隙部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7