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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140997
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】表面処理用治具
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/08 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
C25D17/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047104
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野澤 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】黒川 知哉
(72)【発明者】
【氏名】土井 嵩志
(57)【要約】
【課題】膜厚の低下を抑制することができる表面処理用治具を提供すること。
【解決手段】本発明に係る表面処理用治具は、ボトム、シェルおよびポートからなるアキュムレータの外装体に接続し、該外装体を支持した状態で表面処理を行うための表面処理用治具であって、アキュムレータを支持する支持部と、支持部に連なるフック部と、を備え、支持部は、フック部側が先細な形状をなす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトム、シェルおよびポートからなるアキュムレータの外装体に接続し、該外装体を支持した状態で表面処理を行うための表面処理用治具であって、
前記アキュムレータを支持する支持部と、
前記支持部に連なるフック部と、
を備え、
前記支持部は、前記フック部側が先細な形状をなす、
ことを特徴とする表面処理用治具。
【請求項2】
前記支持部は、
前記フック部側に設けられる頭部と、
前記頭部の前記フック部側と反対側に設けられる底部と、
前記頭部および前記底部の間に設けられる中間部と、
を有し、
前記底部の高さは、前記頭部および前記中間部の高さの和よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の表面処理用治具。
【請求項3】
前記中間部は、錐台状をなす、
ことを特徴とする請求項2に記載の表面処理用治具。
【請求項4】
前記支持部は、
前記フック部側に設けられる頭部と、
前記頭部の前記フック部側と反対側に設けられる底部と、
を有し、
前記底部の高さは、前記頭部の高さよりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の表面処理用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアキュムレータの表面処理を行うための表面処理用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アキュムレータにおいて、気密性および伸縮性を有する流体分離膜または流体密封膜としてベローズが用いられている。ベローズは、ボトム、シェルおよびポートからなる外装体によって形成される内部空間に設けられる。外装体は、耐食性を高めるため、表面処理が施される。表面処理では、例えば、ポートを治具に取り付け、該治具を吊って塗料を吹き付けることによって、外装体の表面に金属皮膜を形成させる。例えば、塗装に用いる治具として、被処理物を支持する柱状の支持部を有する治具が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-136023号公報
【特許文献2】特開昭57-165065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載の治具を用いる場合、外装体の治具接続側において皮膜の膜厚が、他の箇所よりも低下する場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、膜厚の低下を抑制することができる表面処理用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表面処理用治具は、ボトム、シェルおよびポートからなるアキュムレータの外装体に接続し、該外装体を支持した状態で表面処理を行うための表面処理用治具であって、前記アキュムレータを支持する支持部と、前記支持部に連なるフック部と、を備え、前記支持部は、前記フック部側が先細な形状をなす、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る表面処理用治具は、上記発明において、前記支持部は、前記フック部側に設けられる頭部と、前記頭部の前記フック部側と反対側に設けられる底部と、前記頭部および前記底部の間に設けられる中間部と、を有し、前記底部の高さは、前記頭部および前記中間部の高さの和よりも小さい、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る表面処理用治具は、上記発明において、前記中間部は、錐台状をなす、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る表面処理用治具は、上記発明において、前記支持部は、前記フック部側に設けられる頭部と、前記頭部の前記フック部側と反対側に設けられる底部と、を有し、前記底部の高さは、前記頭部の高さよりも小さい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外装体の膜厚の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施の形態にかかる表面処理の被処理物であるアキュムレータの構成を示す断面図である。
図2図2は、図1に示すアキュムレータの外装体に表面処理用治具を示す図である。
図3図3は、図2に示す表面処理用治具の構成を説明するための図である。
図4図4は、表面処理方法を説明するための図である。
図5図5は、表面処理時の金属イオンの付着態様について説明する図(その1)である。
図6図6は、従来の表面処理用治具の構成の一例を説明するための図である。
図7図7は、表面処理時の金属イオンの付着態様について説明する図(その2)である。
図8図8は、表面処理後の外装体の膜厚測定位置を示す図(その1)である。
図9図9は、表面処理後の外装体の膜厚測定位置を示す図(その2)である。
図10図10は、図8に示す測定位置の膜厚測定結果における最小値を示す図である。
図11図11は、図8に示す測定位置の膜厚測定結果における最大値を示す図である。
図12図12は、図9に示す測定位置の膜厚測定結果における最小値を示す図である。
図13図13は、図9に示す測定位置の膜厚測定結果における最大値を示す図である。
図14図14は、変形例1にかかる表面処理用治具の構成を説明するための図である。
図15図15は、変形例2にかかる表面処理用治具の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚さと幅との関係、それぞれの部分の厚さの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0013】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態にかかるアキュムレータの構成を示す断面図である。図1に示すアキュムレータ1は、ボトム11と、シェル12と、ポート13と、ボトム11、シェル12およびポート13によって形成される内部空間に収容されるベローズ14と、キャップ本体部15と、キャップ弾性部16と、ガイドベローズ17とを備える。ボトム11、シェル12およびポート13は、アキュムレータ1の外装体を構成する。
ここで、ボトム11およびポート13は、例えば、冷間加工材を用いて形成される。シェル12は、例えば、熱間加工材を用いて形成される。
【0014】
アキュムレータ1では、ボトム11、シェル12およびポート13によって形成される空間がベローズ14によって分割される。具体的には、ベローズ14の外部と内部とで互いに異なる空間が形成される。ベローズ14の内部空間は、ボトム11の孔11aを経て外部と連通する。ベローズ14の外部の空間は、ポート13の孔13aを経て外部と連通する。図1では、孔11a、13aの中心軸が、アキュムレータ1の中心軸Nと一致する例を示している。
また、ボトム11、シェル12およびポート13は、それぞれの連結部分において溶接されて固着している。
【0015】
アキュムレータ1は、外装体とベローズ14とによって形成される空間(ベローズ外部空間)、および、ベローズ14の内部空間それぞれに、液体(作動油)または気体(例えば窒素ガス)が封入される。例えば、ベローズ外部空間に液体が導入され、内部空間に気体が封入される。
【0016】
ポート13は、筒状に延び、シェル12内への液体の導入口である導入部131と、導入部131の一端に連なり、シェル12の内壁面に係止する係止部132とを有する。導入部131の外周面には、ライン等の接続部材と螺合するための凹凸形状が形成される。
【0017】
ベローズ14は、筒状をなす。ベローズ14の側面部は、凹凸形状を繰り返してなる蛇腹状をなし、外部からの荷重によって伸縮する。また、ベローズ14は、外周側に設けられるガイドベローズ17によって、シェル12とベローズ14との間の間隔が維持され、円滑に伸縮動作を行うことが可能となる。ベローズ14は、例えばステンレス(SUS304)を用いて形成される。また、ガイドベローズ17は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)や、ポリアミドを用いて形成される。
【0018】
キャップ本体部15は、板状をなし、ベローズ14のボトム11側とは反対側の開口を覆うとともに、ベローズ14の端部が溶接されて当該開口を密閉する。キャップ本体部15は、アキュムレータ1内の圧力状態(低圧または高圧)への耐久性を有する材料を用いて構成される。キャップ本体部15は、例えば、金属、具体的には熱間圧延軟鋼板(Steel Plate Hot Commercial:SPHC)を用いて形成される。なお、キャップ本体部15は、使用状態に応じた耐熱性を有することが好ましい。
【0019】
キャップ弾性部16は、板状をなし、キャップ本体部15のベローズ14側とは反対側に設けられる。キャップ弾性部16は、ポート13とキャップ本体部15との間に位置し、シェル12とベローズ14との間の液体(作動油)を封止する。キャップ弾性部16は、例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)を用いて形成される。
【0020】
キャップ本体部15およびキャップ弾性部16は、キャップ本体部15の接着面にリン酸処理を施すことによって表面処理を実施した後、接着面に接着剤を塗布する等してキャップ弾性部16をキャップ本体部15に接着してなる。
【0021】
アキュムレータ1では、ポート13の孔13aを介して液体を供給/吸引することによってアキュムレータ1に接続するラインの圧力が変化すると、ポート13の孔13aから液体が流入し、キャップ本体部15およびキャップ弾性部16が押し上げられる。なお、ベローズ14とシェル12との間の空間の圧力は、常にベローズ14内部の圧力と同じである。
【0022】
また、アキュムレータ1に接続するラインの油圧の増大により孔13aから作動油が流入した場合、ベローズ14は、この作動油によってアキュムレータ1の封入圧力以上の圧力なると収縮する。これに対し、ラインの油圧が下がってベローズ14が収縮状態から伸長する(戻る)と、作動油が孔13aから外部に放出される。この孔13aからの液体の放出によって、アキュムレータ1による加圧状態が制御される。
【0023】
ここで、アキュムレータ1の外装体には、表面処理が施される。具体的には、表面処理用治具によって外装体を支持し、この治具を吊り下げた状態で皮膜を形成させる。本実施の形態では、亜鉛ニッケルめっき処理を施す例について説明する。
【0024】
図2は、図1に示すアキュムレータの外装体に表面処理用治具を示す図である。図3は、図2に示す表面処理用治具の構成を説明するための図である。表面処理では、アキュムレータ1のポート13に表面処理用治具100を取り付ける。この際、ポート13と表面処理用治具100とは、例えば螺合によって接続する。
【0025】
表面処理用治具100は、ポート13を支持する支持部110と、支持部110のポート13が接続する側と反対側に設けられるリング状のフック部120とを有する。
支持部110は、フック部120側と反対側に位置する底部111と、フック部120に連なる頭部112と、底部111および頭部112の間に設けられる中間部113とを有する。支持部110には、底部111から頭部112まで延びる有底の穴部130が形成される。この穴部130の内壁には、ポート13と螺合する凹凸形状をなす螺合部130aが形成される。
【0026】
中間部113は、中空円錐台状をなし、一端部が底部111に連なり、他端部が頭部112に連なる。頭部112は、外周のなす径D112が、底部111の径D111よりも小さい。底部111の高さH111は、頭部112の高さH112および中間部113の高さH113との和(H112+H113)よりも小さい。例えば、底部111の径が27mm、底部111の高さH111が2mm、中間部113の外表面と底部111の側面とがなす角度θは20°である。なお、角度θは、20°に限らず鋭角であればよい。
【0027】
また、表面処理治具100とポート13との間には、パッキン114が設けられる。パッキン114は、弾性材料を用いて形成され、表面処理治具100とポート13との間を液密にする。この際、底部111の高さH111は、このパッキン114が外側にはみ出ない程度の値に設定される。パッキン114が外側にはみ出ていると、後述する皮膜が形成されなくなる場合がある。
【0028】
図4は、表面処理方法を説明するための図である。表面処理では、陽極140、支持部材150、電解液を用いて外装体の表面に金属皮膜を形成させる。具体的には、アキュムレータ1を取り付けた表面処理用治具100のフック部120を支持部材150に掛け、電解液中に浸漬させる。陽極140および支持部材150は電源に接続されており、この支持部材150に接続する表面処理用治具100およびアキュムレータ1は陰極の一部を構成する。本実施の形態において、陽極140は亜鉛からなり、電解液は亜鉛イオンを含む。通電によって陽極140から陰極側に亜鉛イオンが移動し、陰極側で還元反応が起こることによって、外装体に亜鉛皮膜が形成される。
【0029】
図5は、表面処理時の金属イオンの付着態様について説明する図(その1)である。なお、図5では、パッキン114の図示を省略する。表面処理用治具100は、底部111から頭部112にかけて先細な形状をなしているため、表面処理用治具100の表面および、支持部110に連なる外装体表面では、電流差がなくなり、陽イオンが付着しやすくなる。
【0030】
図6は、従来の表面処理用治具の構成の一例を説明するための図である。図6に示す表面処理用治具200は、ポート13を支持する円柱状の支持部210と、支持部210のポート13が接続する側と反対側に設けられるリング状のフック部220とを有する。支持部210には、有底の穴部230が形成される。この穴部230の内壁には、ポート13と螺合する凹凸形状をなす螺合部が形成される。なお、支持部210は、一様な径を有して延び、その径D210が底部111の径と同等である。
【0031】
図7は、表面処理時の金属イオンの付着態様について説明する図(その2)である。図6に示す表面処理用治具200を用いて表面処理を行った場合、表面処理用治具200の表面と、支持部210に連なる外装体表面とがなす角部では、高電流部分と低電流部分とが発生し、低電流部分に陽イオンが付着しないことがあった。図7では、ハッチングで示す陽イオンが陰イオンと結合できない。このため、この角部では、金属皮膜が形成されなかったり、皮膜の膜厚が薄くなったりする場合があった。
【0032】
ここで、図3に示す表面処理用治具100を用いて表面処理を行い、膜厚を測定した結果について説明する。図8および図9は、表面処理後の外装体の膜厚測定位置を示す図である。表面処理後の外装体では、シェル12とポート13との連結部分において、均等に配置した四つの測定位置(位置P11~P14)を設定するとともに、シェル12の側面において周方向に均等に配置した四つの測定位置(位置P21~P24)を設定した。各位置の測定結果として、当該位置において二点の膜厚を測定した平均をその位置の膜厚としている。位置P11~P14は、シェル12とポート13との溶接部から3mm以内の位置が設定される。
また、本試験では、電圧および処理時間を変えて表面処理を行った。具体的には、(1)7V、25分、(2)7V、30分、(3)7V、35分、(4)8V、40分の四つのパターンで亜鉛めっき処理を行った。
【0033】
図10は、図8に示す測定位置の膜厚測定結果における最小値を示す図である。図11は、図8に示す測定位置の膜厚測定結果における最大値を示す図である。また、図12は、図9に示す測定位置の膜厚測定結果における最小値を示す図である。図13は、図9に示す測定位置の膜厚測定結果における最大値を示す図である。なお、縦軸は膜厚と示し、単位はμmである。図10図13では、測定条件ごとに、各測定位置における膜厚の平均値をプロットし、最大値および最小値をエラーバーで表示している。
【0034】
図10および図11に示すように、シェル12とポート13との連結部分では、(1)~(4)の各パターンにおいて膜厚が5μm以上となっており(図10参照)、最大値と最小値との差も10μm以下である。一方、図12および図13に示すように、シェル12の側面部には、(1)~(4)の各パターンにおいて膜厚が5μm以上となっている。表面処理用治具100を用いて表面処理を行えば、シェル12とポート13との連結部分の皮膜も十分な膜厚を有し、治具近傍に形成された皮膜の膜厚を確保できるといえる。
【0035】
本実施の形態では、表面処理用治具100において、フック部120側に行くにしたがって先細形状をなす、ポート13を支持する支持部110を備える構成としたので、外装体表面における電流差を抑制して、外装体表面の皮膜形成を確実なものとした。本実施の形態によれば、治具を用いて表面処理を行う際の、外装体の膜厚の低下を抑制することができる。
【0036】
(変形例1)
次に、本発明の表面処理用治具の変形例1について、図14を参照して説明する。図14は、変形例1にかかる表面処理用治具の構成を説明するための図である。なお、実施の形態にかかる表面処理用治具100と同じ部分には同じ符号が付してある。
【0037】
表面処理用治具100Aは、ポート13を支持する支持部110Aと、支持部110Aのポート13が接続する側と反対側に設けられるリング状のフック部120とを有する。
支持部110Aは、フック部120側と反対側に位置する底部111Aと、フック部120に連なる頭部112と、底部111Aおよび頭部112の間に設けられる中間部113Aとを有する。支持部110Aには、底部111Aから頭部112まで延びる有底の穴部130が形成される。この穴部130の内壁には、ポート13と螺合する凹凸形状をなす螺合部130aが形成される。
【0038】
中間部113Aは、中空円錐台状をなし、一端部が底部111Aに連なり、他端部が頭部112に連なる。頭部112は、外周のなす径D112が、底部111Aの径D111Aよりも小さい。底部111Aの高さH111Aは、頭部112の高さH112および中間部113Aの高さH113Aとの和(H112+H113A)よりも小さい。かつ、高さH111Aは、底部111の高さH111はよりも大きい。例えば、底部111Aの径は27mm、底部111Aの高さH111Aが10mm、中間部113Aの外表面と底部111Aの側面とがなす角度θは45°である。
【0039】
表面処理用治具100Aは、底部111Aから頭部112にかけて先細な形状をなしているため、実施の形態と同様に、表面処理用治具100Aの表面および、支持部110Aに連なる外装体表面では、電流差がなくなったことによって陽イオンが付着する。
【0040】
本変形例1では、実施の形態の同様に、表面処理用治具100Aにおいて、フック部120側に行くにしたがって先細形状をなす、ポート13を支持する支持部110Aを備える構成としたので、外装体表面における電流差を抑制して、外装体表面の皮膜形成を確実なものとした。本変形例1によれば、治具を用いて表面処理を行う際の、外装体の膜厚の低下を抑制することができる。
【0041】
(変形例2)
次に、本発明の表面処理用治具の変形例2について、図15を参照して説明する。図15は、変形例2にかかる表面処理用治具の構成を説明するための図である。なお、実施の形態にかかる表面処理用治具100と同じ部分には同じ符号が付してある。
【0042】
表面処理用治具100Bは、ポート13を支持する支持部110Bと、支持部110Bのポート13が接続する側と反対側に設けられるリング状のフック部120とを有する。
支持部110Bは、フック部120側と反対側に位置する底部111と、一端部が底部111に連なり、他端部がフック部120に連なる頭部112Aとを有する。支持部110Bには、底部111から頭部112Aまで延びる有底の穴部130が形成される。この穴部130の内壁には、ポート13と螺合する凹凸形状をなす螺合部130aが形成される。支持部110Bは、底部111および頭部112Aからなり、フック部120側の径が反対側の径よりも小さい段付き形状をなす中空円柱状をなす。
【0043】
頭部112Aは、外周のなす径D112Aが、底部111の径D111よりも小さい。底部111の高さH111は、頭部112の高さH112Aの高さよりも小さい。例えば、頭部112Aの高さH112Aが24mmである。
【0044】
表面処理用治具100Bは、底部111から頭部112Aにかけて先細な形状をなし、かつ底部111の高さが電流差を抑制する高さH111に設定されているため、表面処理用治具100Bの支持部110Bに連なる外装体表面では、陽イオンが陰イオンと結合する。
【0045】
本変形例2では、実施の形態の同様に、表面処理用治具100Bにおいて、フック部120側が先細形状をなす、ポート13を支持する支持部110Bを備える構成としたので、外装体表面における電流差を抑制して、外装体表面の皮膜形成を確実なものとした。本変形例2によれば、治具を用いて表面処理を行う際の、外装体の膜厚の低下を抑制することができる。
【0046】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、実施の形態や変形例では、中間部が、外周側面が傾斜面をなす錐台状である例について説明したが、中間部が、頭部の径よりも小さい径で延びる中空円柱状をなし、支持部全体として中央部が凹んだ形状をなすものであってもよい。
【0047】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0048】
以上説明したように、本発明に係る表面処理用治具は、表面処理した皮膜の膜厚の低下を抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0049】
1 アキュムレータ
11 ボトム
12 シェル
13 ポート
14 ベローズ
15 キャップ本体部
16 キャップ弾性部
17 ガイドベローズ
100、100A、100B 表面処理用治具
110、110A 支持部
111、111A 底部
112、112A 頭部
113、113A 中間部
114 パッキン
120 フック部
130 穴部
140 陽極
150 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15