(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140999
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】試験装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/17 20060101AFI20230928BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01T1/17 E
G01T1/17 A
G01T1/17 B
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047107
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】710002462
【氏名又は名称】セイコー・イージーアンドジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】板津 英輔
【テーマコード(参考)】
2G036
2G188
【Fターム(参考)】
2G036AA19
2G036BA46
2G036CA10
2G188EE01
2G188EE13
2G188EE14
2G188EE17
2G188EE25
2G188FF01
2G188FF28
(57)【要約】
【課題】入力パルス信号を計数するマルチチャネルアナライザー等の測定器を試験することを図る。
【解決手段】試験装置は、それぞれに異なる周波数でパルス信号を発生する複数のパルス発生器と、複数のパルス発生器のそれぞれに対応して設けられる複数のパルス信号カウンタと、複数のパルス信号カウンタがそれぞれに計数した計数値を集計する計数集計部と、複数のパルス発生器がそれぞれに発生したパルス信号を合成することにより入力パルス信号を生成するパルス合成器と、複数のパルス信号カウンタが行うパルス信号の計数の開始及び終了と、測定器が行うパルス信号の計数の開始及び終了と、を同期させる制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パルス信号を計数する測定器を試験する試験装置において、
それぞれに異なる周波数でパルス信号を発生する複数のパルス発生器と、
前記複数のパルス発生器のそれぞれに対応して設けられる複数のパルス信号カウンタと、
前記複数のパルス信号カウンタがそれぞれに計数した計数値を集計する計数集計部と、
前記複数のパルス発生器がそれぞれに発生したパルス信号を合成することにより前記入力パルス信号を生成するパルス合成器と、
前記複数のパルス信号カウンタが行うパルス信号の計数の開始及び終了と、前記測定器が行うパルス信号の計数の開始及び終了と、を同期させる制御部と、
を備える試験装置。
【請求項2】
前記パルス信号の計数の開始から終了までの実測定時間と前記計数集計部の集計値とから算出される実計数率と、前記測定器の不感時間が補正された補正測定時間と前記測定器の計数値とから算出される測定計数率と、の関係を示すデータを出力する出力部、
をさらに備える請求項1に記載の試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射能測定装置において、マルチチャネルアナライザーは、放射線検出器から出力されるパルス信号を対象にして、波高値に応じて設定された複数のチャンネル毎の計数値を算出する。例えば放射線のエネルギーに応じた波高値を有するパルス信号が放射線検出器から出力されると、マルチチャネルアナライザーは、放射線検出器から出力されるパルス信号の波高分布として、エネルギースペクトルを作成する。
【0003】
一般にマルチチャネルアナライザーは、あるパルス信号を検出した後に次のパルス信号を検出することができるようになるまでの不感時間(デッドタイム(dead time))を有する(例えば、非特許文献1参照)。このため、マルチチャネルアナライザーは、測定の際の不感時間を考慮して有効な測定時間(ライブタイム)への補正を行うライブタイム補正機能を有している(例えば、特許文献1参照)。また、ランダムパルス信号の発生装置として例えば非特許文献2に記載されるポアソンパルス列発生装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「放射能測定法シリーズ No.7 ゲルマニウム半導体検出器によるγ線スペクトロメトリー」、原子力規制庁監視情報課、令和2年9月
【非特許文献2】小柳孝巳、中嶋新一、山田茂、「ポアソンパルス列発生装置」、計測自動制御学会論文集、第17巻、第7号、昭和56年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチチャネルアナライザーの不感時間に関する試験方法として、周期的に発生する周期的パルス信号とランダムに発生するランダムパルス信号とを合成した試験用パルス信号又はランダムパルス信号のみからなる試験用パルス信号をマルチチャネルアナライザーに入力し、実際の測定時間(リアルタイム)に対する、マルチチャネルアナライザーの計数値と、試験用パルス信号の入力数とを比較する方法が考えられる。そして、そのランダムパルス信号を得るための方法として、非特許文献2に記載された方法や実際の放射性同位元素(RI)を用いる方法がある。しかし、非特許文献2に記載された方法では、発生するパルス信号の間隔には下限が存在し、パルス信号の間隔がゼロにならないので、時間的に重複する複数のパルス信号を発生することができない。また、放射性同位元素を用いる方法は、放射性同位元素から発生したパルス信号の個数を正確に数えることが難しい。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、入力パルス信号を計数するマルチチャネルアナライザー等の測定器を試験することができる試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、入力パルス信号を計数する測定器を試験する試験装置において、それぞれに異なる周波数でパルス信号を発生する複数のパルス発生器と、前記複数のパルス発生器のそれぞれに対応して設けられる複数のパルス信号カウンタと、前記複数のパルス信号カウンタがそれぞれに計数した計数値を集計する計数集計部と、前記複数のパルス発生器がそれぞれに発生したパルス信号を合成することにより前記入力パルス信号を生成するパルス合成器と、前記複数のパルス信号カウンタが行うパルス信号の計数の開始及び終了と、前記測定器が行うパルス信号の計数の開始及び終了と、を同期させる制御部と、を備える試験装置である。
本発明の一態様は、上記した試験装置において、前記パルス信号の計数の開始から終了までの実測定時間と前記計数集計部の集計値とから算出される実計数率と、前記測定器の不感時間が補正された補正測定時間と前記測定器の計数値とから算出される測定計数率と、の関係を示すデータを出力する出力部、をさらに備える試験装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入力パルス信号を計数するマルチチャネルアナライザー等の測定器を試験することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る試験装置の構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る試験方法の手順を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施の形態に係る試験結果の例を示すグラフ図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る試験装置の変形例1を示す構成図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る試験装置の変形例2を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る試験装置について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による試験装置1は、例えば
図1に示すように、複数(n個)のパルス発生器2(2-1,2-2,・・・,2-n、nは2以上の整数)と、複数(n個)のパルス発生器2のそれぞれに対応して設けられる複数(n個)のパルス信号カウンタ3(3-1,3-2,・・・,3-n)と、パルス合成器4と、計数集計部5と、制御部6と、出力部7と、入力部8と、を備えて構成されている。
【0012】
試験装置1は、入力パルス信号を計数する測定器を試験するための試験装置である。
図1には、入力パルス信号を計数する測定器の一例として、マルチチャネルアナライザー(MCA)100が試験装置1に接続されている。試験装置1は、入力パルス信号Bをマルチチャネルアナライザー100に入力する。マルチチャネルアナライザー100は、入力パルス信号Bを計数し、その計数結果に基づいた測定情報Hを出力する。マルチチャネルアナライザー100は、試験装置1から出力される測定制御信号Eに従って、入力パルス信号Bの計数の開始及び終了を行う。
【0013】
試験装置1において、パルス発生器2は、周波数fでパルス信号Aを発生する。パルス発生器2が発生したパルス信号Aは、対応するパルス信号カウンタ3に入力される。例えば、パルス発生器2-1は、周波数f1でパルス信号A-1を発生する。パルス発生器2-1が発生したパルス信号A-1は、パルス信号カウンタ3-1に入力される。例えば、パルス発生器2-2は、周波数f2でパルス信号A-2を発生する。パルス発生器2-2が発生したパルス信号A-2は、パルス信号カウンタ3-2に入力される。例えば、パルス発生器2-nは、周波数fnでパルス信号A-nを発生する。パルス発生器2-nが発生したパルス信号A-nは、パルス信号カウンタ3-nに入力される。
【0014】
複数(n個)のパルス発生器2-1,2-2,・・・,2-nがそれぞれに発生するパルス信号A-1,A-2,・・・,A-nの周波数f1,f2,・・・,fnは、予め設定される。周波数f1,f2,・・・,fnは、固定であってもよく、試験毎に異なってもよい。例えば、同じマルチチャネルアナライザー100に対して、周波数f1,f2,・・・,fnが異なる試験を複数回行ってもよい。
なお、周波数fは、単位時間内のパルス信号Aの個数が一定であり且つパルス信号Aの間隔がランダム等の任意の間隔であってもよい。
【0015】
パルス信号カウンタ3は、パルス発生器2が発生したパルス信号Aを計数し、その計数値Cを出力する。例えば、パルス信号カウンタ3-1は、パルス発生器2-1が発生したパルス信号A-1を計数し、その計数値C-1を出力する。例えば、パルス信号カウンタ3-2は、パルス発生器2-2が発生したパルス信号A-2を計数し、その計数値C-2を出力する。例えば、パルス信号カウンタ3-nは、パルス発生器2-nが発生したパルス信号A-nを計数し、その計数値C-nを出力する。
【0016】
パルス信号カウンタ3は、制御部6から出力される測定制御信号Eに従って、パルス信号Aの計数の開始、終了及びリセットを行う。例えば、パルス信号カウンタ3-1は、測定制御信号Eに従って、パルス信号A-1の計数の開始、終了及びリセットを行う。例えば、パルス信号カウンタ3-2は、測定制御信号Eに従って、パルス信号A-2の計数の開始、終了及びリセットを行う。例えば、パルス信号カウンタ3-nは、測定制御信号Eに従って、パルス信号A-nの計数の開始、終了及びリセットを行う。
【0017】
計数集計部5は、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nがそれぞれに計数した計数値C-1,C-2,・・・,C-nを集計し、その集計値Dを出力する。集計値Dは、例えば、計数値C-1,C-2,・・・,C-nが合算された結果の合計値である。計数集計部5は、制御部6から出力される出力制御信号Gににより初期化が指示されると、集計値Dをクリアする。
【0018】
パルス合成器4は、複数(n個)のパルス発生器2-1,2-2,・・・,2-nがそれぞれに発生したパルス信号A-1,A-2,・・・,A-nを合成することにより入力パルス信号Bを生成する。入力パルス信号Bは、例えば、パルス信号A-1,A-2,・・・,A-nが加え合わされた結果の一つの波形信号である。パルス合成器4が生成した入力パルス信号Bは、試験装置1から出力され、マルチチャネルアナライザー100に入力される。
なお、パルス合成器4は、時間的に重なった2個以上のパルス信号Aが加え合わされた結果として生成されたパルス信号については削除することにより入力パルス信号Bに含めない(マルチチャネルアナライザー100に入力しない)ようにしてもよい。
【0019】
制御部6は、試験装置1が行う試験の制御を行う。制御部6には、作業者が入力操作する入力部8から指示信号Jが入力される。指示信号Jは、例えば、試験のスタート又はストップや、実測定時間のプリセットや、試験のクリアなどを指示する信号である。制御部6は、指示信号Jに基づいて測定制御信号Eを出力する。測定制御信号Eは、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nが行うパルス信号の計数の開始及び終了と、マルチチャネルアナライザー100が行うパルス信号の計数の開始及び終了と、を同期させるための信号である。複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nとマルチチャネルアナライザー100とに対して、同じ測定制御信号Eが入力される。これにより、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nとマルチチャネルアナライザー100とは、測定制御信号Eがパルス信号の計数の開始を示すと、パルス信号の計数を開始する。また、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nとマルチチャネルアナライザー100とは、測定制御信号Eがパルス信号の計数の終了を示すと、パルス信号の計数を終了する。
【0020】
制御部6は、タイマTIMを備える。タイマTIMは、実測定時間を計時する。制御部6は、指示信号Jで指定された実測定時間をタイマTIMにセットする。制御部6は、指示信号Jにより試験のスタートが指示されると、タイマTIMの計時をスタートさせると同時に、測定制御信号Eによりパルス信号の計数の開始を指示する。制御部6は、タイマTIMにより実測定時間の計時が完了すると、測定制御信号Eによりパルス信号の計数の終了を指示する。
【0021】
例えば、測定制御信号Eは、タイマTIMにより実測定時間の計時が開始されると、各パルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nへの各パルス信号A-1,A-2,・・・,A-nの入力ゲートをオープンにする。また、測定制御信号Eは、タイマTIMにより実測定時間の計時が完了すると、各パルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nへの各パルス信号A-1,A-2,・・・,A-nの入力ゲートをクローズにする。なお、指示信号Jによって試験に用いるパルス発生器2(周波数f)が指示された場合、制御部6は、試験に用いるパルス発生器2(周波数f)に対応するパルス信号カウンタ3のみに対して、測定制御信号Eによりパルス信号Aの入力ゲートをオープンにする。
【0022】
また、制御部6は、指示信号Jにより試験のストップが指示されると、試験を強制的に終了する。また、制御部6は、指示信号Jにより試験のクリアが指示されると、試験装置1のリセットを行う。
【0023】
出力部7は、試験結果を出力する。試験結果は、例えば、計数集計部5から出力される集計値Dや、集計値Dとマルチチャネルアナライザー100の測定情報Hとに基づいたデータなどである。出力部7は、制御部6から出力される出力制御信号Gに従って、試験結果を出力する。制御部6は、出力制御信号Gによって、試験開始の際に初期化を出力部7に指示する。これにより、出力部7は、試験結果の初期化(データのクリア等)を行う。制御部6は、出力制御信号Gによって、試験終了の際に試験結果の出力を出力部7に指示する。制御部6は、例えば実測定時間の計時が完了した時や試験の強制終了時などに、出力制御信号Gによって試験結果の出力を出力部7に指示する。これにより、出力部7は、試験結果を出力する。
【0024】
出力部7は、例えば、実計数率(ICR)を算出する。ICRは、計数集計部5の集計値Dを実測定時間(リアルタイム)で除算した結果の商である。出力部7は、計数集計部5の集計値Dを実測定時間で除算することによりICRを算出する。実測定時間は、出力制御信号Gによって、制御部6から出力部7へ通知される。
【0025】
出力部7は、例えば、ICRとOCRとの関係を示すデータを試験結果として出力する。OCRは、マルチチャネルアナライザー100が計数した結果である入力パルス信号Bの計数値を、マルチチャネルアナライザー100がライブタイム補正機能により不感時間を補正した補正測定時間(ライブタイム)で除算した結果の商である。マルチチャネルアナライザー100は、入力パルス信号Bの計数結果に基づいたOCRを、測定情報Hに含めて出力する。
【0026】
なお、出力部7が以下に示す出力内容を示す情報を出力するように構成してもよい。
(出力内容)
・計数集計部5が出力する集計値D
・それぞれのパルス信号カウンタ個別の計数値C-1,C-2,・・・,C-n
・タイマTIMが計測している経過時間
・計数集計部5が出力する集計値やパルス信号カウンタ個別の計数値をタイマTIMの経過時間で除した計数率
・それぞれのパルス発生器2-1,2-2,・・・,2-nの周波数f1,f2,・・・,fn
また、出力部7は、表示装置を備え、出力する情報を表示装置で表示してもよい。
【0027】
なお、パーソナルコンピュータ(図示せず)を試験装置1及びマルチチャネルアナライザー100に接続し、パーソナルコンピュータによって、計数集計部5の集計値Dやマルチチャネルアナライザー100の測定情報Hを収集したり、その収集されたデータを解析したりしてもよい。
【0028】
図2を参照して本実施形態に係る試験装置1の動作を説明する。
図2は、本実施形態に係る試験方法の手順を示すフローチャートである。試験装置1において、複数(n個)のパルス発生器2-1,2-2,・・・,2-nは、それぞれの周波数f1,f2,・・・,fnでそれぞれにパルス信号A-1,A-2,・・・,A-nを発生している。周波数f1,f2,・・・,fnは、例えば、入力パルス信号Bにおいて複数のパルス信号が短時間内に重畳するように、予め設定される。パルス信号Aの周波数fの決定方法(パルス発生周波数の決定方法)については後述する。
【0029】
(ステップS1) 制御部6は、試験の開始の際に、出力制御信号Gによって初期化を計数集計部5及び出力部7に指示する。これにより、計数集計部5は集計値Dをクリアし、出力部7は試験結果の初期化(データのクリア等)を行う。
【0030】
(ステップS2) 制御部6は、測定制御信号Eによって、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nとマルチチャネルアナライザー100とに対して、パルス信号の計数の開始を指示する。これにより、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nとマルチチャネルアナライザー100とが、パルス信号の計数を開始する。
【0031】
(ステップS3) 制御部6は、所定の測定時間を計時し、測定時間が終了すると、ステップS4に進む。
【0032】
(ステップS4) 制御部6は、測定制御信号Eによって、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nとマルチチャネルアナライザー100とに対して、パルス信号の計数の終了を指示する。これにより、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nとマルチチャネルアナライザー100とが、パルス信号の計数を終了する。マルチチャネルアナライザー100は、入力パルス信号Bの計数結果に基づいた測定情報Hを出力する。
【0033】
(ステップS5) 計数集計部5は、複数(n個)のパルス信号カウンタ3-1,3-2,・・・,3-nがそれぞれに計数した計数値C-1,C-2,・・・,C-nを集計し、その集計値Dを出力する。
【0034】
(ステップS6) 制御部6は、出力制御信号Gによって試験結果の出力を出力部7に指示する。これにより、出力部7は試験結果を出力する。例えば、出力部7は、計数集計部5の集計値Dを出力する。例えば、出力部7は、計数集計部5の集計値Dと、マルチチャネルアナライザー100の測定情報Hとに基づいた試験結果を出力する。
【0035】
図3は、本実施形態に係る試験結果の例を示すグラフ図である。
図3において、横軸は実計数率(ICR)であり、縦軸は測定計数率(OCR)である。
【0036】
ICRは、計数集計部5の集計値Dを実測定時間(リアルタイム)で除算した結果の商である。出力部7は、計数集計部5の集計値Dを実測定時間で除算することによりICRを算出する。制御部6は、出力制御信号Gによって、ステップS3で計時した所定の測定時間を実測定時間として出力部7へ通知する。
【0037】
OCRは、マルチチャネルアナライザー100が計数した結果である入力パルス信号Bの計数値を、マルチチャネルアナライザー100がライブタイム補正機能により不感時間を補正した補正測定時間(ライブタイム)で除算した結果の商である。マルチチャネルアナライザー100は、入力パルス信号Bの計数結果に基づいたOCRを、測定情報Hに含めて出力する。
【0038】
出力部7は、ICRとOCRとの関係を示すグラフWを生成して試験結果として出力する。出力部7は、同じマルチチャネルアナライザー100に対して行われた周波数f1,f2,・・・,fnが異なる複数回の試験によって得られたICR及びOCRを使用して、ICRとOCRとの関係を示すグラフWを生成する。このグラフWによって、マルチチャネルアナライザー100のOCRや不感時間やライブタイム補正機能の性能などを評価することができる。
【0039】
[変形例1]
図4は、本実施形態に係る試験装置1の変形例1を示す構成図である。
図4において
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図1の試験装置1では制御部6がタイマTIMを備えたが、
図4に示される試験装置1aでは計数集計部5aがタイマTIMを備える。制御部6aは、測定制御信号Eによってパルス信号の計数の開始を指示する。計数集計部5aは、測定制御信号Eがパルス信号の計数の開始を示すと、タイマTIMの計時をスタートさせる。タイマTIMにセットする実測定時間は、制御部6aから測定制御信号Eによって事前に指示される。計数集計部5aは、タイマTIMにより実測定時間の計時が完了すると、集計値Dを求める。
【0040】
[変形例2]
図5は、本実施形態に係る試験装置1の変形例2を示す構成図である。
図5において
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図1の試験装置1では入力部8を備え、入力部8が指示信号Jを出力したが、
図5に示される試験装置1bではマルチチャネルアナライザー100bが指示信号Jbを出力する。指示信号Jbは、指示信号Jと同様に、例えば、試験のスタート又はストップや、実測定時間のプリセットや、試験のクリアなどを指示する信号である。マルチチャネルアナライザー100bからの指示信号Jbは、制御部6bに入力される。制御部6bは、マルチチャネルアナライザー100bからの指示信号Jbに基づいて測定制御信号Eを出力する。
【0041】
[パルス発生周波数の決定方法]
複数(n個)のパルス発生器2-1,2-2,・・・,2-nは、それぞれの周波数f1,f2,・・・,fnでそれぞれにパルス信号A-1,A-2,・・・,A-nを発生する。周波数f1,f2,・・・,fnの関係は、次式で表される。
f1=F、Fは定数。
f2=f1+δ
f3=f1+2δ
f4=f1+3δ
fn=f1+(n-1)δ
【0042】
δは次式で表される。
δ=k×P×F(Hz)
Pは、試験が行われる対象の測定器(例えばマルチチャネルアナライザー100)が認識可能な最も短い「パルス信号の間隔(秒)(連続する2個のパルス信号の間の時間)」(パルスペア分解能)である・
Fは、例えば「100/n」Hzから「5/n」MHzまでの範囲で任意に決定すればよい。
kは、実測定時間に応じて、例えば「1/100」から100までの範囲で任意に決定すればよい。例えば、「k=1」にしてもよい。
【0043】
例えば、「P=1μs」且つ「F=1000Hz」である場合において「k=1」であるときは、「δ=0.001Hz」である。したがって、
f1=1000Hz
f2=1000.001Hz
f3=1000.002Hz
f4=1000.003Hz
fn=1000Hz+(n-1)×0.001Hz
となる。
【0044】
上述したように本実施形態によれば、入力パルス信号を計数するマルチチャネルアナライザー等の測定器を試験することができる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、マルチチャネルアナライザーを試験したが、マルチチャネルアナライザー以外の測定器を試験対象にしてもよい。例えば、粒子測定器や異物検査装置等、多数の事象を電気信号のパルス(パルス信号)として計数する測定器の試験に適用可能である。
【0046】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
1,1a,1b…試験装置、2…パルス発生器、3…パルス信号カウンタ、4…パルス合成器、5…計数集計部、6,6a,6b…制御部、7…出力部、8…入力部