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特開2023-141009プリント回路基板およびディスク装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141009
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】プリント回路基板およびディスク装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20230928BHJP
   G11B 33/12 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H05K3/34 501E
G11B33/12 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047121
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 和義
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC16
5E319CC22
5E319GG09
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】サイズの異なる電子部品を安定して実装することが可能なプリント回路基板およびこれを備えるディスク装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、プリント回路基板は、基板と、基板の上に設けられ、複数の共用パッドPDを有する共用パッド群PAと、を備えている。共用パッドは、第1領域と、第1領域よりもサイズが小さく、一部が第1領域に重なって位置し、他の一部が第1領域から他の共有パッドの側に突出して位置する第2領域と、第1方向に延在し第1領域および第2領域を規定する第2パッド側縁SX2と、第1方向と交差する第2方向に延び第1領域および第2領域を規定する第4パッド側縁SY4と、を有している。第1パッド側縁は、第1領域を規定する第1側縁SX2aと、第1側縁よりも隣接する他の共用パッドの側に位置し第2領域を規定する第2側縁SX2bと、第1側縁と第2側縁とを繋ぐ傾斜した傾斜側縁SX2cと、を含んでいる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に設けられ、複数の共用パッドを有する共用パッド群と、
を備え、
前記共用パッドは、第1領域と、前記第1領域よりもサイズが小さく、一部が前記第1領域に重なって位置し、他の一部が前記第1領域から他の前記共有パッドの側に突出して位置する第2領域と、第1方向に延在し前記第1領域および第2領域を規定する第1パッド側縁と、前記第1方向と交差する第2方向に延び前記第1領域および第2領域を規定する第2パッド側縁と、を有し、
前記第1パッド側縁は、前記第1領域を規定する第1側縁と、前記第1側縁よりも隣接する他の前記共用パッドの側に位置し前記第2領域を規定する第2側縁と、前記第1側縁と前記第2側縁とを繋ぐ傾斜した傾斜側縁と、を含んでいる、
プリント回路基板。
【請求項2】
前記共用パッドの前記第2パッド側縁は、前記第1領域を規定する第1側縁と、前記第1側縁よりも隣接する他の前記共用パッドの側に位置し前記第2領域を規定する第2側縁と、前記第1側縁と前記第2側縁とを繋ぐ傾斜した傾斜側縁と、を含んでいる、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記傾斜側縁は、直線的に延びている、請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記共用パッドの前記第1領域は矩形状を有し、前記第2領域は前記第1領域よりも小さいサイズの矩形状を有し、前記第2領域の1つの角部および前記角部で交差する2つの前記第2側縁が前記第1領域の1つの角部から他の前記共用パッドの側に突出している、請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記共用パッド群は、4つの前記共用パッドを含み、
2つの前記共用パッドは、前記第1パッド側縁が互いに間隔を置いて対向して配置され、
他の2つの前記共用パッドは、前記第2パッド側縁が前記2つの前記共用パッドの第2パッド側縁に間隔を置いてそれぞれ対向して配置されている、請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
外面を有する筐体と、
前記筐体内に配置された回転自在なディスク状の記録媒体と、
前記筐体に設けられ、前記記録媒体に対して情報を処理するヘッドと、
前記筐体の外面に対向して設けられた請求項1に記載のプリント回路基板と、
を備えるディスク装置。
【請求項7】
基板と、
前記基板の上に設けられ、第1パッドと、第1方向において前記第1パッドと並んだ第2パッドと、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1パッドと並んだ第3パッドと、を有するパッド群と、を備え、
前記第1パッドおよび前記第2パッドは、それぞれn角形(nは6以上)に形成され、間隔を置いて互いに対向する第1側縁と間隔を置いて互いに対向する第2側縁とをそれぞれ有し、
前記第1側縁同士の間の距離は、前記第2側縁同士の間の距離よりも大きく、
前記第1パッドの前記第2側縁は、前記第1パッドの前記第1側縁よりも前記第2パッドに隣接して位置している、プリント回路基板。
【請求項8】
前記第3パッドは、n角形(nは6以上)に形成され、
前記第1パッドおよび前記第3パッドは、間隔を置いて互いに対向する第1側縁と間隔を置いて互いに対向する第2側縁とをそれぞれ有し、
前記第1側縁同士の間の距離は、前記第2側縁同士の間の距離よりも大きく、
前記第1パッドの前記第2側縁は、前記第1パッドの前記第1側縁よりも前記第3パッドに隣接して位置している、請求項7に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、プリント回路基板およびこれを備えるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置として、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)は、一般に、ディスク状の記録媒体、磁気ヘッド、および磁気ヘッドを移動させるアクチュエータ等を収納した筐体と、筐体の底面に対向して配置されたプリント回路基板(PCB)と、を備えている。プリント回路基板には、複数の半導体素子、コネクタ等の電子部品が実装されている。複数の電子部品は、サイズの異なる部品を含んでいる場合が多い。
通常、プリント回路基板においては、サイズの異なる複数の電子部品を共通サイズのパッドに実装できるようにする場合、寸法の最も大きい電子部品に適合する最大値サイズの共用パッドを用いている。しかしながら、共用パッドを寸法が最大値の矩形状とした場合、大きい電子部品を共用パッドに実装した際、はんだボールが発生しやすく、また、実装ずれが発生する可能性がある。少しの実装ずれであれば機能的に問題がないこともあるが、ずれの検査には時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9277648号明細書
【特許文献2】米国特許第7916495号明細書
【特許文献3】米国特許第11178760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の実施形態の課題は、サイズの異なる電子部品を安定して実装することが可能なプリント回路基板およびこれを備えるディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、プリント回路基板は、絶縁基板と、絶縁基板の上に設けられ、複数の共用パッドを有する共用パッド群と、を備えている。前記共用パッドは、第1領域と、前記第1領域よりもサイズが小さく、一部が前記第1領域に重なって位置し、他の一部が前記第1領域から他の前記共有パッドの側に突出して位置する第2領域と、第1方向に延在し前記第1領域および第2領域を規定する第1パッド側縁と、前記第1方向と交差する第2方向に延び前記第1領域および第2領域を規定する第2パッド側縁と、を有している。前記第1パッド側縁は、前記第1領域を規定する第1側縁と、前記第1側縁よりも隣接する他の前記共用パッドの側に位置し前記第2領域を規定する第2側縁と、前記第1側縁と前記第2側縁とを繋ぐ傾斜した傾斜側縁と、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)の分解斜視図。
図2図2は、実施形態に係るHDDのプリント回路基板の一部を示す平面図。
図3図3は、前記プリント回路基板に実装される第1電子部品の平面図。
図4図4は、前記プリント回路基板に実装される第2電子部品の平面図。
図5図5は、前記プリント回路基板に前記第1電子部品を実装した際の回路構成を示す回路図。
図6図6は、前記プリント回路基板に前記第2電子部品を実装した際の回路構成を示す回路図。
図7図7は、前記プリント回路基板における共用パッド群を示す平面図。
図8図8は、前記共用パッドの形成プロセスを模式的に示す平面図。
図9図9は、前記共用パッド群に前記第1電子部品を実装した状態と前記第2電子部品を実装した状態とを模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下図面を参照しながら、実施形態に係るディスク装置ついて説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
以下、ディスク装置として、実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るHDDの分解斜視図である。図示のように、HDDは、ほぼ矩形状の筐体10を備えている。筐体10は、上面の開口した矩形箱状のベース12と、複数のねじ13によりベース12にねじ止めされベース12の上端開口を閉塞する内カバー14と、内カバー14に重ねて配置され、周縁部がベース12に溶接される外カバー(トップカバー)16と、を有している。ベース12は、内カバー14と隙間を置いて対向する矩形状の底壁12aと、底壁12aの周縁に沿って立設された側壁12bとを有し、例えば、アルミニウムにより一体に成形されている。側壁12bは、互いに対向する一対の長辺壁と互いに対向する一対の短辺壁とを含んでいる。側壁12bの上端面に、ほぼ矩形枠状の固定リブ12cが突設されている。
【0009】
内カバー14は、例えば、ステンレスにより矩形板状に形成されている。内カバー14は、その周縁部がねじ13によりベース12の側壁12bの上面にねじ止めされ、固定リブ12cの内側に固定されている。外カバー16は、例えば、アルミニウムにより矩形板状に形成されている。外カバー16は、内カバー14よりも僅かに大きな平面寸法に形成されている。外カバー16は、その周縁部が全周に亘って、ベース12の固定リブ12cに溶接され、気密に固定される。
【0010】
内カバー14および外カバー16のそれぞれには、筐体10内と外部とを連通する通気孔36、38が形成されている。筐体10内の空気は、通気孔36、38を通して排気され、更に、これらの通気孔36、38を通して、筐体10内に空気よりも密度の低い低密度ガス(不活性ガス)、例えば、ヘリウムが封入される。外カバー16の外面には、通気孔38を塞ぐように例えばシール(封止体)40が貼付される。
【0011】
筐体10の内には、記録媒体としての複数、例えば、5~10枚の磁気ディスク18、および磁気ディスク18を支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ20が設けられている。スピンドルモータ20は、底壁12a上に配設されている。各磁気ディスク18は、例えば、直径95mm(3.5インチ)に形成され、その上面および/または下面に磁気記録層を有している。各磁気ディスク18は、スピンドルモータ20の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばねによりクランプされ、ハブに固定されている。磁気ディスク18は、ベース12の底壁12aと平行に位置した状態に支持されている。磁気ディスク18は、スピンドルモータ20により所定の回転数で回転される。
なお、本実施形態において、5~10枚の磁気ディスク18が筐体10内に収容されるが、磁気ディスク18の枚数はこれに限られない。また、単一の磁気ディスク18が筐体10内に収容されても良い。
【0012】
筐体10の内には、磁気ディスク18に対して情報の記録、再生を行なう複数の磁気ヘッド32、これらの磁気ヘッド32を磁気ディスク18に対して移動自在に支持したヘッドスタックアッセンブリ(アクチュエータ)22が設けられている。また、筐体10の内には、ヘッドスタックアッセンブリ22を回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと称する)24、磁気ヘッド32が磁気ディスク18の最外周に移動した際、磁気ヘッド32を磁気ディスク18から離間したアンロード位置に保持するランプロード機構25、および変換コネクタ等の電子部品が実装された基板ユニット(配線部材)21が設けられている。基板ユニット21は、フレキシブルプリント配線基板(FPC)で構成されている。このFPCは、VCM24のボイスコイルに電気的に接続されているとともに、ヘッドスタックアッセンブリ22に設けられた配線部材(フレキシャ)を介して磁気ヘッド32に電気的に接続されている。
【0013】
ヘッドスタックアッセンブリ22は、回転自在な軸受ユニット28を有するアクチュエータブロックと、アクチュエータブロックから延出した複数本のアーム30と、各アーム30から延出したサスペンションアッセンブリ34と、を有している。各サスペンションアッセンブリ34の先端部に磁気ヘッド32が支持されている。
【0014】
図1に示すように、制御回路基板(プリント回路基板)50がベース12の底壁12aの外面に対向して配置されている。制御回路基板50は、複数のねじ52により底壁12aにねじ止めされ、底壁12aの外面と隙間を置いて対向している。制御回路基板50は、ほぼ矩形板状に形成され、底壁12aに対向する第1主面S1および反対側の第2主面S2を有している。
制御回路基板50の第1主面S1の上に複数の電子部品52が実装されている。例えば、複数の半導体チップ54a、複数の半導体素子、例えば、コントローラIC(SoC:システム・オン・チップ)56、LSI(大規模集積回路)58、基本クロックの発振源(発振器あるいは振動子)60、基板ユニット21に接続可能な中継コネクタ62が実装されている。第1主面S1の上に、スピンドルモータ15用の接続端子54bが設けられている。更に、制御回路基板50の側縁部に、外部機器を接続可能なインターフェースコネクタ64が実装されている。
【0015】
制御回路基板50をベース12の所定位置に取り付けた状態において、中継コネクタ62は底壁12aに設けられた図示しないコネクタに接続される。このコネクタは、基板ユニット21の変換コネクタに接続されている。また、接続端子54bは、スピンドルモータ20の接続端子に接続される。制御回路基板50の制御部(コントローラIC)は、基板ユニット21を介してVCM24、および磁気ヘッド32の動作を制御するとともに、接続端子54bを介してスピンドルモータ20の動作を制御する。
【0016】
以下、制御回路基板50の回路構成、接続パッドおよび配線を含む回路パターン(導体パターン)、選択的に実装される第1電子部品および第2電子部品について説明する。
図2は、制御回路基板50の一部を模式的に示す平面図、図3は、第1電子部品の一例である発振器の平面図および背面図、図4は、第2電子部品の一例である振動子の平面図および背面図である。
【0017】
図2に示すように、制御回路基板50は、コントローラIC(SoC)56が実装される実装部MM、サイズの異なる第1電子部品および第2電子部品を選択的に実装可能な共用パッド群PA、実装部MMおよび共用パッド群PAに繋がる多数本の配線W、それぞれ配線Wに接続された抵抗Rなどの複数の半導体チップを有している。制御回路基板50は、絶縁基板51aと、絶縁基板51a上に形成された導電層と、導電層に重ねて設けられたソルダーレジスト等のレジスト層51bと、を有している。例えば、銅箔からなる導電層をパターニングすることにより、実装部MM、多数の配線W、および共用パッド群PAを含む回路パターンを形成している。共用パッド群PAは、複数、例えば、4つの共用パッドPDを含んでいる。
なお、制御回路基板50は、複数の絶縁基板と複数の導電層とを積層した多層回路基板を用いてもよい。
【0018】
図3に示すように、第1電子部品の一例として、HDDの基本クロックの発振源60となる2520サイズの発振器60Aを用いている。発振器60Aは、長さL1、幅W1を有する偏平な矩形状のケーシング61aと、ケーシング61aの底面に露出して設けられた複数、例えば、4つの接続端子(電極)CT1と、を有している。一例では、ケーシング61aは、L1=2.5mm、W1=2mmに形成されている。
各接続端子CT1は、例えば、矩形状の金属板で構成されている。4つの接続端子CT1は、ケーシング61aの底面の4つの角部にそれぞれ配置されている。4つの接続端子CT1は、長さ方向および幅方向に互いに離間して位置している。一例では、接続端子CT1は、長さLC1=0.7mm、幅WC1=0.6mmに形成されている。
【0019】
図4に示すように、第2電子部品の一例として、HDDの基本クロックの発振源60となる2016サイズの振動子60Bを用いている。振動子60Bは、長さL2、幅W2を有する偏平な矩形状のケーシング61bと、ケーシング61bの底面に露出して設けられた複数、例えば、4つの接続端子(電極)CT2と、を有している。一例では、ケーシング61bは、L2=2mm、W2=1.6mmに形成されている。
各接続端子CT2は、例えば、矩形状の金属板で構成されている。4つの接続端子CT1は、ケーシング61bの底面の4つの角部にそれぞれ配置されている。4つの接続端子CT1は、長さ方向および幅方向に互いに離間して位置している。一例では、接続端子CT2は、長さLC2=0.5mm、幅WC2=0.5mmに形成されている。
以上のように、第1電子部品と第2電子部品とはサイズが異なり、本実施形態では、第1電子部品の方が第2電子部品よりもサイズが大きい。第1電子部品のケーシングおよび端子は、第2電子部品のケーシングおよび端子よりも、それぞれ大きいサイズを有している。すなわち、電子部品および接続端子の寸法は、L1>L2、W1>W2>、LC1>LC2、WC1>WC2の関係にある。
【0020】
上述した発振器60Aおよび振動子60Bは、機種に応じて、制御回路基板50の共用パッド群PAに選択的に実装される。
図5は、共用パッド群PAに発振器60Aを実装した場合の制御回路基板50の回路構成図、図6は、共用パッド群PAに振動子60Bを実装した場合の制御回路基板50の回路構成図である。図5および図6において、回路上は発振器60A/振動子60Bが別々の位置に図示されているが、実機では、同じ場所(共用パッド群PA)に実装される。
【0021】
図5に示すように、発振器60Aが共用パッド群PAに実装されている場合、発振器60Aの▽out(Clock out)は、配線、抵抗R等を介してSoC56に接続され、GNDは、配線を介して制御回路のGNDに接続される。発振器60AのVccおよびOE(Output Enable)は、それぞれ配線、抵抗R等を介して電源Vに接続される。
図5において、破線で示された配線、半導体素子は、未実装、あるいは、未接続の状態となっている。
【0022】
図6に示すように、振動子60Bが共用パッド群PAに実装されている場合、振動子60Bの入出力(in およびout)は、それぞれ配線、抵抗R等を介してSoC56に接続される。また、振動子60Bの入出力(in およびout)は、それぞれ配線、キャパシタC等を介して制御回路のGNDに接続される。
図6において、破線で示された配線、半導体素子は、未実装、あるいは、未接続の状態となっている。
【0023】
共用パッド群PAの構成を詳細に説明する。
上述したように、共用パッド群PAは、サイズの異なる電子部品、ここでは、発振器60Aおよび振動子60Bのいずれをも実装可能な構成を有している。
図7は、共用パッド群PAを拡大して示す平面図、図8は、共用パッドの形成プロセスを模式的に示す平面図である。
図7に示すように、制御回路基板50は、絶縁基板51a、絶縁基板51a上に形成された導電層をパターニングすることにより形成された共用パッド群PA、および絶縁基板51aの上に形成され導電層を覆ったレジスト層51bを有している。
本実施形態では、共用パッド群PAは、例えば、4つの共用パッドPD(第1パッドPD1、第2パッドPD2、第3パッドPD3、第4パッドPD4)を有している。なお、第1、第2、第3、第4パッドを共用パッドPDと称する場合もある。図において、第1方向X、第1方向と直交する第2方向Yを定義する。4つの共用パッドPDのうち、第1パッドPD1と第2パッドPD2とは第1方向に並んで配置され、互いに間隔を置いて対向している。第1パッドPD1と第3パッドPD3とは第2方向Yに並んで配置され、互いに間隔を置いて対向している。第3パッドPD3と第4パッドPD4とは、第1方向Xに並んで配置され、互いに間隔を置いて対向している。第2パッドPD2と第4パッドPD4とは、第2方向Yに並んで位置し、互いに間隔を置いて対向している。
4つの共用パッドPDは、互いに同一寸法、互いに対称の多角形、例えば、八角形に形成されている。共用パッドPDは、レジスト層51bに覆われることなく、制御回路基板50の第1主面S1に露出している。
【0024】
図7および図8(a)に示すように、各共用パッドPDは、発振器60Aの端子(電極)CT1に対応した寸法、すなわち、端子CT1を実装可能な大きさの、ほぼ矩形状の第1領域AR1と、振動子60Bの端子(電極)CT2に対応した寸法、すなわち、端子CT2を実装可能な大きさの、ほぼ矩形状の第2領域AR2と、を含んでいる。第2領域AR2は、その大部分が第1領域AR1に重なって位置し、一部、ここでは、角部が第1領域AR1の角部から第1方向Xおよび第2方向Yに突出している。
【0025】
図7に示すように、共用パッドPDの各々、例えば、第1パッドPD1は、それぞれ第1方向Xに延び互いに間隔をおいて対向する第1パッド側縁SX1および第2パッド側縁SX2と、それぞれ第2方向Yに延び互いに間隔を置いて対向する第3パッド側縁SY3および第4パッド側縁SY4と、を有している。第1パッド側縁SX1および第3パッド側縁SY3は、それぞれほぼ直線状に形成され互いに直交している。第1パッド側縁SX1および第3パッド側縁SY3は、共用パッド群PAの外形角部に位置している。
第2パッド側縁SX2および第4パッド側縁SY4は、それぞれ中途部で屈曲した直線状に形成され、互いに直交している。第2パッド側縁SX2および第4パッド側縁SY4は、共用パッド群PAの中央部に位置する角部を形成している。
【0026】
第2パッド側縁SX2は、第1側縁SX2a、傾斜側縁SX2c、第2側縁SX2bを含んでいる。第1側縁SX2aは、第3パッド側縁SY3と直交し、第1領域AR1を規定している。第2側縁SX2bは、第4パッド側縁SY4と直交し、第2領域AR2を規定している。第2側縁SX2bは、第1側縁SX2aよりも所定距離だけ、第2方向Yに隣接する第3パッドPD3の側に突出、つまり、変位して位置している。
図7図8(b)、図8(c)に示すように、第1パッドPD1の第2パッド側縁SX2において、第1領域AR1と第2領域AR2とが繋がる角部は、斜めに切り欠かれている。すなわち、第1領域AR1を規定する第1側縁SX2aと第2領域AR2を規定する第2側縁SX2bとは、第1方向Xおよび第2方向Yに対して傾斜した傾斜側縁SX2cを介して繋がっている。
【0027】
図7に示すように、第4パッド側縁SY4は、第1側縁SY4a、傾斜側縁SY4c、第2側縁SY4bを含んでいる。第1側縁SY4aは、第1パッド側縁SX1と直交し、第1領域AR1を規定している。第2側縁SY4bは、第2パッド側縁SX2と直交し、第2領域AR2を規定している。第2側縁SY4bは、第1側縁SY4aよりも所定距離だけ、第1方向Xに隣接する第2パッドPD2の側に突出、つまり、変位して位置している。
図7図8(b)、図8(c)に示すように、第1パッドPD1の第4パッド側縁SY4において、第1領域AR1と第2領域AR2とが繋がる角部は、斜めに切り欠かれている。すなわち、第1領域AR1を規定する第1側縁SY4aと第2領域AR2を規定する第2側縁SY4bとは、第1方向Xおよび第2方向Yに対して傾斜した傾斜側縁SY4cを介して繋がっている。
【0028】
第2、第3、第4パッドPD2、PD3、PD4は、それぞれ第1パッドPD1と同一寸法、同一形状に形成されている。第1パッドPD1と第2パッドPD2とは、第2方向Yに延びる中心軸線に対して線対称に形成および配置されている。第3パッドPD3および第4パッドPD4は、第1パッドPD1および第2パッドPD2に対して、第1方向Xに延びる中心軸線に関して線対称に形成および配置されている。
【0029】
図7に示すように、第1パッドPD1の第2パッド側縁SX2は、第3パッドPD3の第2パッド側縁SX2と所定の間隔を置いてほぼ平行に対向している。互いに対向する第1側縁SX2a同士の間の距離(間隔)は、互いに対向する第2側縁SX2b同士の間の距離(間隔)よりも大きい。第2パッド側縁SX2において、第2側縁SX2bの方が、第1側縁SX2aよりも第3パッドPD3に接近している。
【0030】
第1パッドPD1の第4パッド側縁SY4は、第2パッドPD2の第4パッド側縁SY4と所定の間隔を置いてほぼ平行に対向している。互いに対向する第1側縁SY4a同士の間の距離(間隔)は、互いに対向する第2側縁SY4b同士の間の距離(間隔)よりも大きい。第4パッド側縁SY4において、第2側縁SY4bの方が、第1側縁SY4aよりも第2パッドPD2に接近している。
なお、本実施形態において、共有パッドの第2パッド側縁SX2同士の間の間隔は、第4パッド側縁SY4同士の間の間隔よりも狭く設定されている。これらの間隔は、同一でもよく、共用パッド群PAに実装する電子部品に応じて種々変形可能である。
【0031】
図9は、共用パッド群PAに電子部品を実装した状態を示す平面図である。
図9(a)に示すように、共用パッド群PAに振動子60Bが実装された場合、振動子60Bの4つの端子(電極)CT2は、4つの共用パッドPD1~PD4の第2領域AR2にそれぞれハンダによりハンダ付される。予め共用パッドPD1~PD4に設けられているハンダ層を溶融することにより端子CT2が共用パッドPD1~PD4にハンダ接合される。
ハンダ接合時、振動子60Bの各端子CT2は、共用パッドPD1~PD4の第2領域AR2の第2側縁SX2b、SY4bに誘導され、位置ずれなく所望の位置にハンダ付される。
【0032】
図9(b)に示すように、共用パッド群PAに発振器60Aが実装された場合、発振器60Aの4つの端子(電極)CT1は、4つの共用パッドPD1~PD4の第1領域AR1にそれぞれハンダによりハンダ付される。予め共用パッドPD1~PD4に設けられているハンダ層を溶融することにより端子CT1が共用パッドPD1~PD4にハンダ接合される。
ハンダ接合時、発振器60Aの各端子CT1は、共用パッドPD1~PD4の第1領域AR1の第1側縁SX2a、SY4aに誘導され、位置ずれなく所望の位置にハンダ付される。
【0033】
以上のように構成された本実施形態に係る制御回路基板およびHDDによれば、サイズの異なる複数の電子部品を共用パッド群に実装可能な構成とすることにより、複数機種のHDDに対して共通の制御回路基板50を適用可能となる。制御回路基板に、第1電子部品専用のパッド群、および、第2電子部品専用のパッド群の両方を設ける必要がなく、パッド群の数を削減し、制御回路基板の小型化、設計コストの低減を図ることができる。
共用パッドPDをサイズの異なる電子部品のそれぞれの端子(電極)に適合した形状とすることで、はんだボールの発生や実装ずれを抑制し、はんだ付け不具合を削減することができる。特に、大きいサイズの電子部品についても、共用パッドPDの側縁により端子を所定位置に誘導することができ、電子部品の実装ずれを低減することが可能となる。これにより、電子部品の実装の信頼性が向上するとともに、実装ずれの検査時間の短縮を図ることが可能となる。
更に、共用パッドの第1領域と第2領域とを繋ぐ側縁の部分を傾斜した側縁とすることにより、第2領域へのハンダ濡れ性が向上し、小さい電子部品をも安定して実装することができる。
以上のことから、本実施形態によれば、サイズの異なる電子部品を安定して実装することが可能なプリント回路基板およびこれを備えるディスク装置が得られる。
【0034】
本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、共用パッドの第1領域および第2領域は、それぞれ矩形状に限らず、端子(電極)の形状に応じて種々変更可能である。第1領域の側縁と第2領域の側縁とを繋ぐ傾斜側縁は、直線状に限らず、湾曲していても良い。
共用パッドのサイズ(L、W)は、上述した実施形態に限定されることなく、実装する電子部品の端子のサイズに応じて、種々変更可能である。共用パッド群PAにおける共用パッドPDの数は、4つに限らず、実装する電子部品の端子数に応じて、増減可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…筐体、12…ベース、12a…底壁、14…内カバー、16…外カバー、
18…磁気ディスク、21…基板ユニット、22…ヘッドスタックアッセンブリ、
32…磁気ヘッド、50…制御回路基板(プリント回路基板)、
52…電子部品、56…コントローラIC(SoC)、
60A…発振器(第1電子部品)、60B…振動子(第2電子部品)、
CT1、CT2…端子(電極)、PA…共用パッド群、PD…共用パッド、
PD1…第1パッド、PD2…第2パッド、PD3…第3パッド、PD4…第4パッド、
AR1…第1領域、AR2…第2領域、SX1…第1パッド側縁、
SX2…第2パッド側縁、SY3…第3パッド側縁、SY4…第4パッド側縁、
SX2a、SY4a…第1側縁、SX2b、SY4b…第2側縁、
SX2c、SY4c…傾斜側縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9