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特開2023-141024プローブ、プローブ保持装置およびプローブの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141024
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】プローブ、プローブ保持装置およびプローブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G01R1/067 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047137
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】岸 康貴
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA10
2G011AB01
2G011AB07
2G011AC14
2G011AE01
2G011AF07
(57)【要約】
【課題】カンチレバー構造を有し、プローブの歪みを検出できるプローブ、プローブ保持装置およびプローブの製造方法を提供する。
【解決手段】プローブは、先端部、アーム部、支持部およびガイド部を有する。先端部は、被検査体に接触する接触部を有する。アーム部は、自由端と固定端を連結する接続アームを有するカンチレバー構造であり、自由端が先端部に接続する。支持部は、固定端に接続する。ガイド部は、接触部から見て被検査体が位置する先端方向に向いたアーム部の設置領域に接続し、設置領域よりも先端方向に突出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の検査に使用するプローブであって、
前記被検査体に接触する接触部を有する先端部と、
自由端と固定端を連結する接続アームを有するカンチレバー構造であり、前記自由端が前記先端部に接続するアーム部と、
前記固定端に接続する支持部と、
前記接触部から見て前記被検査体が位置する先端方向に向いた前記アーム部の設置領域に接続し、前記設置領域よりも前記先端方向に突出するガイド部と
を備えるプローブ。
【請求項2】
前記ガイド部が、前記自由端と前記固定端の中間位置に配置されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記先端方向に向いた前記ガイド部の突出面が平面である、請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記設置領域が、前記自由端と前記固定端の間を直線的に延伸する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項5】
前記アーム部が、相互に離間して前記先端方向に沿って配列された第1接続アームと第2接続アームを有し、
前記第2接続アームよりも前記接触部に近接する前記第1接続アームに前記ガイド部が接続されている、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプローブを保持するプローブ保持装置であって、
前記先端方向に前記プローブが貫通するスリットを有する第1ガイド板と、
前記先端方向から見て前記第1ガイド板と重なって配置され、前記先端部の少なくとも前記接触部を含む一部が収納される第1収納空間および前記ガイド部が収納される第2収納空間が前記第1ガイド板と対向する主面に形成された第2ガイド板と
を備え、
前記第2ガイド板の前記主面の前記第1収納空間と前記第2収納空間の形成された領域の残余の領域と前記アーム部の前記設置領域とが当接した状態で前記プローブを保持する、プローブ保持装置。
【請求項7】
前記先端部の前記接触部と前記ガイド部を同時に形成する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の検査に使用するプローブ、プローブ保持装置およびプローブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査体の検査に、カンチレバー構造のプローブが用いられている。カンチレバー構造のプローブは、被検査体に接触する先端部が接続する自由端とプローブが固定される固定端とを連結するアーム部を有する。例えば、プローブは、固定端をプローブ基板に接続した状態で検査に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-303834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プローブの先端部の位置を認識しながら、プローブがプローブ基板に装着される。このため、プローブのアーム部が歪んでいても、プローブ基板に装着する際にプローブの歪みを検出できない。プローブが歪んだ状態でプローブ基板に装着されると、被検査体の検査において、被検査体の電極パッドの中心にプローブの先端部を正確に接触させることができない。電極パッドの中心から偏ってプローブの先端部が被検査体に接触すると、プローブと被検査体との接触強度が低下したり、プローブと被検査体の電極パッドとの間の電気抵抗が増大したりする。その結果、検査の精度が低下するなどの問題が生じる。
【0005】
本発明は、カンチレバー構造を有し、プローブの歪みを検出できるプローブ、プローブ保持装置およびプローブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプローブは、先端部、アーム部、支持部およびガイド部を備えることを要旨とする。先端部は、被検査体に接触する接触部を有する。アーム部は、自由端と固定端を連結する接続アームを有するカンチレバー構造であり、自由端が先端部に接続する。支持部は、固定端に接続する。ガイド部は、接触部から見て被検査体が位置する先端方向に向いたアーム部の設置領域に接続し、設置領域よりも先端方向に突出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カンチレバー構造を有し、プローブの歪みを検出できるプローブ、プローブ保持装置およびプローブの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るプローブの構成を示す模式図である。
図2図2は、比較例のプローブの構成を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係るプローブを検査する方法を説明するための模式図である。
図4図4は、実施形態に係るプローブのガイド部の位置を説明するための模式図である。
図5A図5Aは、実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための模式的な平面図である(その1)。
図5B図5Bは、実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための模式的な側面図である(その1)。
図6A図6Aは、実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための模式的な平面図である(その2)。
図6B図6Bは、実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための模式的な側面図である(その2)。
図7A図7Aは、実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための模式的な平面図である(その3)。
図7B図7Bは、実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための模式的な側面図である(その3)。
図8A図8Aは、実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための模式的な平面図である(その4)。
図8B図8Bは、実施形態に係るプローブの製造方法を説明するための模式的な側面図である(その4)。
図9図9は、実施形態に係るプローブ保持装置の構成を示す模式図である。
図10A図10Aは、実施形態に係るプローブ保持装置の第1ガイド板の構成を示す模式的な平面図である。
図10B図10Bは、実施形態に係るプローブ保持装置の第2ガイド板の構成を示す模式的な平面図である。
図11A図11Aは、実施形態に係るプローブのガイド部の形状の例を示す模式図である。
図11B図11Bは、実施形態に係るプローブのガイド部の形状の他の例を示す模式図である。
図12A図12Aは、実施形態に係るプローブのガイド部の位置の例を示す模式図である。
図12B図12Bは、実施形態に係るプローブのガイド部の位置の他の例を示す模式図である。
図12C図12Cは、実施形態に係るプローブのガイド部の位置の更に他の例を示す模式図である。
図12D図12Dは、実施形態に係るプローブのガイド部の位置の更に他の例を示す模式図である。
図13図13は、その他の実施形態に係るプローブの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0010】
図1に示す本発明の実施形態に係るプローブ1は、被検査体の検査に使用される。プローブ1は、先端部10、カンチレバー構造のアーム部20、支持部30およびガイド部40を備える。先端部10は、被検査体に接触する接触部11および接触部11に連結する連結部12を有する。先端部10は、連結部12においてアーム部20の自由端201に接続する。支持部30は、アーム部20の固定端202に接続する。支持部30は、例えばプローブ1が装着されるプローブ基板に固定される。ガイド部40は、アーム部20に接続されている。
【0011】
プローブ1を用いた被検査体の検査は、先端部10の接触部11が被検査体に当接した状態で行われる。接触部11の先端が被検査体に当接するように、先端部10がアーム部20に接続されている。支持部30は、例えばプローブ基板を介して、テスタなどの検査装置(図示略)と電気的に接続する。つまり、プローブ1を介して、検査装置と被検査体の間で電気信号が伝搬する。このため、電気信号が伝搬するプローブ1に、金属などの導電性の高い材料を使用してもよい。
【0012】
アーム部20は、それぞれが自由端201と固定端202を連結する複数の接続アームを有する。図1に示すアーム部20は、それぞれが自由端201と固定端202を連結する第1接続アーム211と第2接続アーム212を有する。以下において、アーム部20が有する接続アームのそれぞれを限定しない場合は、接続アーム210と表記する。
【0013】
図1に示すように、先端部10の連結部12から接触部11が延伸する方向をZ方向とする。また、Z方向に垂直な平面をXY平面とする。図1では、Z方向は紙面の上下方向であり、X方向は紙面の左右方向、Y方向は紙面の奥行方向である。以下において、被検査体の検査において先端部10の接触部11から見て被検査体が位置する方向を、「先端方向」とも称する。すなわち、図1の連結部12から接触部11が延伸するZ方向が先端方向である。
【0014】
複数の接続アーム210のうち接触部11に最近接の接続アーム210の、先端方向に向いた領域をアーム部20の設置領域200と称する。アーム部20の設置領域200に、先端方向に突出するガイド部40が接続する。プローブ1では、アーム部20は、相互に離間して先端方向に沿って配列された第1接続アーム211と第2接続アーム212を有する。そして、第2接続アーム212よりも接触部11に近接する第1接続アーム211にガイド部40が接続されている。アーム部20が複数の接続アーム210を有する場合、接触部11に最近接の接続アーム210にガイド部40が接続される。
【0015】
図1に示すプローブ1の詳細を説明する前に、図2に示す比較例のプローブ(以下、「比較プローブ1M」と称する。)について説明する。比較プローブ1Mは、図1に示すプローブ1と同様に、先端部10、アーム部20、支持部30を有する。図1に示すプローブ1と比較プローブ1Mの相違点は、比較プローブ1Mはガイド部40を有さないことである。ガイド部40を有さない比較プローブ1Mを被検査体の検査に使用する場合に、例えば以下のように問題が生じる。
【0016】
被検査体の電極パッドと比較プローブ1Mの先端部10の位置合わせをするために、比較プローブ1Mの先端部10の位置を測定し、先端部10の位置を基準にして比較プローブ1Mをプローブ基板に装着する。そして、比較プローブ1Mをプローブ基板に装着した後に先端部10の位置を測定し、電極パッドの位置からの先端部10のずれ量を調査し、検査での精度を保障する。しかし、比較プローブ1Mの先端部10の位置しか測定しないため、アーム部20の歪みを検出できない。
【0017】
プローブ基板に歪んだ状態の比較プローブ1Mが装着されていると、比較プローブ1Mの先端部10の接触部11を、被検査体の電極パッドの中心に正確に接触させることができない。接触部11が電極パッドの中心に接触していないと、比較プローブ1Mと被検査体との接触強度が低下するなどの問題が生じる。その結果、被検査体の検査の精度が低下して、測定値が不正確になったり良品が不良品として判定されたりする。
【0018】
これに対し、図1に示すプローブ1では、先端部10の接触部11の位置とガイド部40の位置をそれぞれ測定することができる。したがって、接触部11とガイド部40の相対的な位置関係から、プローブ1全体としてのXYZ座標のずれ量を数値化できる。このため、プローブ1によれば、アーム部20の歪みを検出できる。
【0019】
なお、Z方向に向いたガイド部40の突出面400が、平面であってもよい。ガイド部40の突出面400が平面であると、図3に示すように、突出面400の面法線方向からガイド部40に光Lを照射することにより、突出面400からの反射光によってプローブ1の状態を検査できる。すなわち、突出面400から光Lが正反射しないプローブ1は、姿勢不良や反り、ねじれが生じている不良プローブである。つまり、ガイド部40の突出面400が平面であるプローブ1によれば、光Lの反射光を用いて不良プローブを検出することができる。
【0020】
上記のように、ガイド部40を有するプローブ1について、接触部11とガイド部40の相対的な位置関係や突出面400からの反射光などによって不良プローブを検出できる。被検査体の検査の前に不良プローブを検出して廃棄することにより、検査の精度の低下を抑制できる。また、プローブ基板に装着する前に不良プローブを除外することにより、プローブ基板に装着したプローブ1の交換工程を低減することができる。
【0021】
ガイド部40は、アーム部20の任意の位置に配置することができる。例えば、ガイド部40をアーム部20の中央付近に配置してよい。すなわち、ガイド部40を自由端201と固定端202の中間位置に配置してもよい。ガイド部40を接続アーム210の中央位置に配置するのは、以下の理由による。
【0022】
図4に示すように、被検査体2の検査時に先端部10の接触部11が被検査体2と接触すると、アーム部20がZ方向に湾曲する。アーム部20が弾性変形することにより、接触部11が被検査体2に印加する押圧Fが生じる。つまり、アーム部20は弾力性を有するバネとして機能する。ところが、ガイド部40を配置した位置ではアーム部20の弾力性が低下するため、アーム部20のバネとして機能する部分が短くなる。その結果、アーム部20に発生する応力が増大する。特に、被検査体2の検査時にはアーム部20の固定端202に近い端部位置P1で大きな応力が発生するため、ガイド部40を配置する位置は固定端202から離れている方が好ましい。一方、ガイド部40を自由端201に近い位置に配置すると、アーム部20がZ方向に湾曲した際に被検査体2にガイド部40が接触しやすい。
【0023】
これに対し、アーム部20の中央付近の中央位置P0は、固定端202に近い端部位置P1よりも発生する応力が小さい。したがって、中央位置P0にガイド部40を配置することにより、ガイド部40に起因する応力への影響を小さくできる。また、自由端201から離れた位置に配置したガイド部40は、被検査体2と接触しにくい。したがって、自由端201と固定端202の中間位置にガイド部40を配置することにより、アーム部20に発生する応力に対するガイド部40の影響を低減し、かつ、被検査体2とガイド部40の接触を防止することができる。
【0024】
また、ガイド部40と先端部10をある程度離間して配置することにより、ガイド部40の位置と接触部11の位置の関係からアーム部20の歪みや反りなどを検出しやすい。更に、プローブ1をプローブ基板に装着する際に支持部30をプローブ基板に押し付けるため、ガイド部40は支持部30からある程度離間して配置されていることが好ましい。このように、プローブ1をプローブ基板に実装する場合の操作面からも、自由端201と固定端202の中間位置にガイド部40を配置することが好ましい。
【0025】
ガイド部40の高さは、例えば10μm程度である。ここでガイド部40の「高さ」は、設置領域200の表面からガイド部40の突出面400までのZ方向の長さである。ガイド部40の高さが高すぎると、ガイド部40が被検査体に接触しやすくなる。一方、ガイド部40の高さが低すぎると、ガイド部40の位置を測定しにくい。また、ガイド部40のサイズが大きくなるにつれて検査時にプローブ1に発生する応力が大きくなるため、ガイド部40のサイズが大きすぎると、所定の押圧でプローブ1の接触部11を被検査体に接触させることが阻害される。したがって、ガイド部40の位置が測定しやすく、かつ、被検査体の検査に影響を及ぼさないサイズに設定されたガイド部40が、接続アーム210に接続される。
【0026】
以下に、図5Aおよび図5Bから図8Aおよび図8Bを参照して、プローブ1の製造方法を説明する。なお、以下に述べるプローブ1の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法によりプローブ1を製造可能である。図5Aから図8Aは、ガイド部40がアーム部20から延伸する先端方向(Z方向)からみた平面図である。図5Bから図8Bは、先端方向(Z方向)およびアーム部20の延伸方向(X方向)にそれぞれ垂直な方向(Y方向)からみた側面図である。
【0027】
まず、図5Aおよび図5Bに示すように、基板60の表面600に成膜した犠牲層を選択的に除去して、接触部11およびガイド部40の位置にそれぞれ対応する位置に犠牲層の接触部領域711およびガイド領域740を形成する。例えば、フォトリソグラフィ技術を用いた犠牲層のパターニングにより、接触部領域711およびガイド領域740を形成する。犠牲層は、例えば銅メッキなどにより形成される。
【0028】
次に、図6Aおよび図6Bに示すように、接触部領域711の上面および側面に接触部11を形成し、ガイド領域740の上面および側面にガイド部40を形成する。ガイド部40は、ガイド領域740の上面に形成された領域とガイド領域740の側面に形成された領域が連続する。このように、接触部11とガイド部40は同時に形成される。接触部11およびガイド部40は、例えば基板60の表面600に成膜した金属膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングして形成してもよい。接触部11とガイド部40の材料は、例えばロジウムなどである。
【0029】
次いで、図7Aおよび図7Bに示すように、接触部11とガイド部40を除いたプローブ1の残りの部分(以下、「本体部分100」と称する。)を形成する。つまり、接触部11とガイド部40が、本体部分100に同時に接続される。接触部11の接触部領域711の側面に形成された部分は、本体部分100に埋め込まれる。ガイド部40のガイド領域740の側面に形成された領域の少なくとも一部が、本体部分100に埋め込まれる。本体部分100の材料は、例えばニッケルなどである。
【0030】
その後、図8Aおよび図8Bに示すように、犠牲層を除去した後、基板60からプローブ1を剥離する。以上により、プローブ1が完成する。
【0031】
上記に説明した製造方法によれば、先端部10の接触部11とガイド部40が同一工程で同時に形成される。接触部11と同時にガイド部40を形成することにより、先端部10とガイド部40の相対的な位置関係の精度を高くできる。プローブ1の製造工程における接触部11とガイド部40の位置ずれがないため、例えば先端部10を観察しなくも精度よくプローブ1の位置を検出することも可能である。
【0032】
プローブ1は、例えば図9に示すプローブ保持装置50により保持されてもよい。プローブ保持装置50は、Z方向にプローブ1が貫通するスリット511を有する第1ガイド板51と、Z方向から見て第1ガイド板51と重なって配置された第2ガイド板52を有する。第2ガイド板52の第1ガイド板51と対向する主面520に、先端部10の少なくとも接触部11を含む一部が収納される第1収納空間521、および、ガイド部40が収納される第2収納空間522が形成されている。スリット511は、第1ガイド板51を板厚方向に貫通する。第1収納空間521および第2収納空間522は、第2ガイド板52を板厚方向に貫通する。第1ガイド板51と第2ガイド板52が重なった状態で、第1収納空間521および第2収納空間522は、スリット511と連通する。
【0033】
プローブ保持装置50は、第2ガイド板52の主面520にアーム部20の設置領域200が対向した状態でプローブ1を保持する。例えば、第2ガイド板52の主面520の第1収納空間521および第2収納空間522が形成された領域の残余の領域に、設置領域200のガイド部40が配置された領域を除いた領域が当接する。また、プローブ1の支持部30の一部が第1ガイド板51の外側に露出してもよい。
【0034】
設置領域200を有する第1接続アーム211は、直線状のストレート形状である。言い換えると、設置領域200は、自由端201と固定端202の間を直線的に延伸する。このため、先端部10が第1収納空間521に収納され、ガイド部40が第2収納空間522に収納され、第2ガイド板52の主面520と設置領域200が当接したプローブ1の安定した姿勢で、プローブ保持装置50はプローブ1を保持する。例えば、プローブ1をプローブ保持装置50に保持した状態で、プローブ1の姿勢を安定させて運搬することができる。
【0035】
また、接触部11と同時にガイド部40を形成することにより、先端部10とガイド部40の相対的な位置関係の精度を高くできる。このため、プローブ1をプローブ保持装置50に収納する際に、先端部10を第1収納空間521に収納するのと同時に第2ガイド板52の第2収納空間522にガイド部40を収納することが容易である。
【0036】
複数のプローブ1を保持するプローブ保持装置50が、第1ガイド板51と第2ガイド板52を1枚ずつ有する構成であってもよい。つまり、第1ガイド板51が複数のスリット511を有し、第2ガイド板52が第1収納空間521および第2収納空間522を複数有してもよい。先端方向からみた第1ガイド板51と第2ガイド板52の平面図を、図10A図10Bに示す。図10Aは、プローブ1の2つ分に相当するスリット511が形成された第1ガイド板51を示す。図10Bは、プローブ1の2つ分に相当する第1収納空間521および第2収納空間522が形成された第2ガイド板52を示す。
【0037】
第1ガイド板51の材料に、例えば樹脂フィルムなどの柔軟性を有するフィルムが好適に使用される。機械的な硬度の低い材料の第1ガイド板51をプローブ保持装置50に使用することにより、プローブ1を第1ガイド板51のスリット511に挿入する場合に、プローブ1が第1ガイド板51に接触して破損することを抑制できる。或いは、第1ガイド板51の材料に強化プラスチックやセラミックを使用してもよい。
【0038】
第2ガイド板52の材料に、例えばセラミックなどを使用してもよい。第2ガイド板52が撓まない程度の機械的強度を有する材料を第2ガイド板52に使用することにより、プローブ保持装置50によってプローブ1を安定して保持することができる。例えば、第2ガイド板52の材料に、第1ガイド板51の材料よりも硬い材料を使用してもよい。
【0039】
以上に説明したように、実施形態に係るプローブ1は、接触部11から見て被検査体が位置する先端方向に向いた接続アーム210の設置領域200に接続し、設置領域200よりも先端方向に突出するガイド部40を有する。プローブ1によれば、接触部11の位置とガイド部40の位置から、プローブ1の歪みを検出できる。また、プローブ保持装置50によれば、歪みの検出が容易なプローブ1を、安定して保持および運搬することができる。
【0040】
<変形例>
上記では、Z方向と接続アーム210の延伸するX方向にそれぞれ垂直なY方向(以下、接続アーム210の「幅方向」とも称する。)からみた形状が矩形状であるガイド部40を示した。しかし、ガイド部40の形状は、ガイド部40の位置が測定できる形状であればどのような形状であってもよい。例えば、図11Aに示すように、アーム部20の幅方向からみたガイド部40の形状が、台形状であってもよい。あるいは、図11Bに示すように、アーム部20の幅方向からみたガイド部40の形状が、矩形状の部分の上に台形状の部分を乗せた形状であってもよい。ガイド部40の設置領域200に接続する部分よりも突出した部分を小さくすることにより、第2ガイド板52の第2収納空間522にガイド部40を収納しやすい。
【0041】
また、接続アーム210の幅方向において、ガイド部40の接続アーム210に接続する位置を任意に設定可能である。図12A図12Dは、ガイド部40が接続する第1接続アーム211の幅方向に沿った、ガイド部40および第1接続アーム211の断面図である。図12Aは、第1接続アーム211の幅方向の中央付近に配置したガイド部40の例である。図12Bは、第1接続アーム211の幅方向の端部付近に配置したガイド部40の例である。図12Cは、第1接続アーム211との接続部分が第1接続アーム211を貫通するガイド部40の例である。図12Dは、第1接続アーム211を貫通した部分が第1接続アーム211の設置領域200に対向する領域を越えているガイド部40の例である。
【0042】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0043】
例えば、上記では接続アーム210が直線形状である場合を説明したが、図13に示すように第2接続アーム212が湾曲形状であってもよい。第2接続アーム212の湾曲の程度や材料の選択などによりアーム部20の弾性率を設定して、接触部11で被検査体に印加する押圧を調整することができる。また、アーム部20の接続アーム210の本数が2本である場合を例示的に説明したが、アーム部20の有する接続アーム210が3本以上であってもよい。
【0044】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0045】
1…プローブ
10…先端部
11…接触部
12…連結部
20…アーム部
30…支持部
40…ガイド部
50…プローブ保持装置
51…第1ガイド板
52…第2ガイド板
200…設置領域
201…自由端
202…固定端
211…第1接続アーム
212…第2接続アーム
400…突出面
511…スリット
521…第1収納空間
522…第2収納空間
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13