(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141072
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】現像剤収容容器、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230928BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G03G15/08 346
G03G21/16 176
G03G15/08 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047205
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】堤 眞洋
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AA05
2H077AA35
2H077BA08
2H077BA09
2H077CA11
2H077GA04
2H171FA02
2H171FA13
2H171GA19
2H171JA07
2H171JA45
2H171JA52
2H171JA59
2H171QA04
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB35
2H171QB36
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC24
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA15
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171WA23
(57)【要約】
【課題】キャップの再利用を可能にするとともに、キャップが充填口から外れることを抑制可能な現像剤収容容器、及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】トナーコンテナは、トナーを収容する容器本体へのトナーの充填に用いられる開口部52と、開口部52の縁部と接触して設けられ、開口部52を塞ぎ、当該縁部と接触する接触部73のうちの第1接触部73Aが接触部73のうち第1接触部73Aとは異なる第2接触部73Bよりも弱い引き抜き力で開口部52の開口方向へ移動可能な可撓性のキャップ53と、開口部52の縁部との間で第1接触部73Aを挟持する抜け防止部材54と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する収容部への前記現像剤の充填に用いられる開口部と、
前記開口部の縁部と接触して設けられ、前記開口部を塞ぎ、当該縁部と接触する接触部のうちの第1接触部が前記接触部のうち前記第1接触部とは異なる第2接触部よりも弱い引き抜き力で前記開口部の開口方向へ移動可能な可撓性のキャップと、
前記開口部の縁部との間で前記第1接触部を挟持する挟持部と、
を備える現像剤収容容器。
【請求項2】
前記接触部の外縁部は、前記開口部の縁部に沿って形成され、
前記キャップは、前記第1接触部の外縁部から前記開口部の外側へ向けて突出する第1把手部を有する、
請求項1に記載の現像剤収容容器。
【請求項3】
前記挟持部は、前記第1把手部の突出基端部における前記第1把手部の突出方向と直交する直交方向の両側で前記収容部に固定される、
請求項2に記載の現像剤収容容器。
【請求項4】
前記挟持部は、前記収容部に不可逆的に固定される、
請求項3に記載の現像剤収容容器。
【請求項5】
前記キャップは、前記接触部の内側が前記開口方向とは逆方向へ凹む形状に形成され、
前記挟持部は、前記直交方向に沿って前記第1把手部をまたいで延在し、前記直交方向の両端が前記収容部に固定される延在部、及び前記延在部における前記収容部に固定される一対の被固定部よりも内側から前記第1接触部を越えて前記接触部の内側へ突出する第2把手部を有し、前記開口方向に直交する平板状に形成される、
請求項4に記載の現像剤収容容器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器から供給される前記現像剤を用いて画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤収容容器、現像剤収容容器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターなどの画像形成装置は、画像を形成する画像形成部に供給されるトナーなどの現像剤を収容するトナーコンテナなどの現像剤収容容器を備える。前記現像剤収容容器は、前記画像形成装置の筐体に着脱可能に設けられる。前記現像剤収容容器は、内部への前記現像剤の充填に用いられる充填口と、当該充填口を塞ぐキャップとを備える。
【0003】
前記画像形成装置では、当該装置の搬送中に生じる衝撃により前記キャップが前記充填口から外れることがある。これに対し、前記キャップを前記充填口に強固に圧入し、前記現像剤収容容器への前記現像剤の再充填時に、当該キャップに切り込みを入れて当該キャップを取り外す方法が関連技術として知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の関連技術にかかる方法では、前記キャップの再利用が不可能になる。
【0006】
本発明の目的は、キャップの再利用を可能にするとともに、キャップが充填口から外れることを抑制可能な現像剤収容容器、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る現像剤収容容器は、開口部と、キャップと、挟持部とを備える。前記開口部は、現像剤を収容する収容部への前記現像剤の充填に用いられる。前記キャップは、可撓性であって、前記開口部の縁部と接触して設けられ、前記開口部を塞ぎ、当該縁部と接触する接触部のうちの第1接触部が前記接触部のうち前記第1接触部とは異なる第2接触部よりも弱い引き抜き力で前記開口部の開口方向へ移動可能である。前記挟持部は、前記開口部の縁部との間で前記第1接触部を挟持する。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記現像剤収容容器と、画像形成部とを備える。前記画像形成部は、前記現像剤収容容器から供給される前記現像剤を用いて画像を形成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャップの再利用を可能にするとともに、キャップが充填口から外れることを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の画像形成部の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のトナー供給部の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のトナーコンテナの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のトナーコンテナの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のトナーコンテナの構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のトナーコンテナの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のキャップの構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のキャップの構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のキャップの変形例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の抜け防止部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置100の構成]
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。ここで、
図1は画像形成装置100の構成を示す断面図である。また、
図2は画像形成部1の構成を示す断面図である。
【0013】
なお、説明の便宜上、画像形成装置100が使用可能な設置状態(
図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向D1と定義する。また、
図1に示される画像形成装置100の左側の面を正面(前面)として前後方向D2を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置100の正面を基準として左右方向D3を定義する。
【0014】
画像形成装置100は、トナー(本発明の現像剤の一例)を用いて、画像データに基づくカラー画像又はモノクロ画像をシート状の用紙に形成するカラープリンターである。なお、本発明は、ファクス装置、コピー機、及び複合機などに適用されてもよい。
【0015】
図1に示されるように、画像形成装置100は、複数の画像形成部1~4、中間転写ベルト5、光走査装置6、二次転写ローラー7、定着装置8、給紙カセット9、搬送路10、カバー部材11、制御部12、及びトナー供給部13を備える。
【0016】
画像形成装置100は、所謂タンデム型のものである。画像形成部1~4は、中間転写ベルト5のベルト回転方向D4(
図1参照)に沿って並設されている。画像形成部1ではY(イエロー)、画像形成部2ではM(マゼンタ)、画像形成部3ではC(シアン)、画像形成部4ではK(ブラック)に対応するトナー像が形成される。
【0017】
図2に示されるように、画像形成部1は、感光体ドラム21と、感光体ドラム21に対応して設けられた帯電装置22、現像装置23、一次転写ローラー24、及びクリーニング装置25を備える。また、画像形成部2~4も、画像形成部1と同様に構成されている。以下、画像形成部1の構成についてのみ説明を行う。
【0018】
感光体ドラム21は、静電潜像及びトナー像を担持する像担持体である。感光体ドラム21は、回転方向D5(
図2参照)に回転可能に設けられている。
【0019】
帯電装置22は、帯電ローラー22Aを有する。帯電装置22は、帯電ローラー22Aを用いて、不図示の電源から供給される電力により感光体ドラム21を所定電位に帯電させる。帯電装置22によって帯電された感光体ドラム21の表面には、光走査装置6によって画像データに基づくレーザー光が照射される。これにより、感光体ドラム21の表面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0020】
現像装置23は、現像ローラー23Aを有する。現像装置23は、現像ローラー23Aを用いて、感光体ドラム21に形成された静電潜像をトナーにより現像する。なお、現像装置23による静電潜像の現像には、トナーとともに滑材又は研磨剤などの外添材が用いられる。
【0021】
一次転写ローラー24は、現像装置23によって現像された感光体ドラム21上のトナー像を中間転写ベルト5に転写する。
【0022】
クリーニング装置25は、一次転写ローラー24より感光体ドラム21の回転方向D5の下流側に設けられ、感光体ドラム21の表面を清掃する。クリーニング装置25は、クリーニングローラー又はクリーニングブレード等のクリーニング部材25Aを有する。
【0023】
中間転写ベルト5は、画像形成部1~4に設けられる感光体ドラム21各々の上方を走行し、感光体ドラム21各々に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される被転写部材である。
【0024】
光走査装置6は、画像形成部1~4に設けられる感光体ドラム21各々へ向けて画像データに基づくレーザー光を射出する。
【0025】
二次転写ローラー7は、中間転写ベルト5上のトナー像を、給紙カセット9から搬送路10を通って搬送される用紙に転写する。
【0026】
定着装置8は、二次転写ローラー7によって用紙に転写されたトナー像を当該用紙に定着させる。定着装置8でトナー像が定着された用紙は、画像形成装置100の上部に設けられたカバー部材11の上面に排出される。
【0027】
給紙カセット9は、画像が形成される用紙を収容する。
【0028】
搬送路10は、給紙カセット9からカバー部材11の上面へ至る用紙の移動通路である。搬送路10は、画像形成装置100の筐体内部に形成される。
【0029】
カバー部材11は、トナー供給部13を覆う。カバー部材11は、トナー供給部13の上側に設けられる。カバー部材11は、画像形成部3によって画像が形成された用紙が排出される排紙トレイを兼ねている。カバー部材11は、左右方向D3に延在する回転軸11A(
図1参照)によって前方端が回動可能に支持されている。これにより、画像形成装置100のユーザーは、カバー部材11を開閉することが可能である。カバー部材11は、装着部37~40(
図1参照)に装着されたトナーコンテナ31~34(
図1参照)の交換時に開閉される。
【0030】
制御部12は、画像形成装置100を統括的に制御する。制御部12は、CPU、ROM、及びRAMを備える。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性又は不揮発性の記憶装置である。制御部12では、前記CPUにより前記ROMに予め格納された各種の制御プログラムが実行される。これにより、制御部12は、画像形成装置100を統括的に制御する。
【0031】
[トナー供給部13の構成]
次に、
図1及び
図3を参照しつつ、トナー供給部13の構成について説明する。ここで、
図3はトナー供給部13の構成を示す斜視図である。なお、
図3には、トナーコンテナ34(
図1参照)が装着部40から取り外された状態が示されている。
【0032】
トナー供給部13は、画像形成部1~4の現像装置23各々にトナーを供給する。
【0033】
図1及び
図3に示されるように、トナー供給部13は、トナーコンテナ31~34、及びコンテナ支持部35を備える。
【0034】
トナーコンテナ31は、画像形成部1に供給されるY(イエロー)のトナーを収容する。画像形成部1は、トナーコンテナ31から供給されるトナーを用いて画像を形成する。
【0035】
トナーコンテナ32は、画像形成部2に供給されるM(マゼンタ)のトナーを収容する。画像形成部2は、トナーコンテナ32から供給されるトナーを用いて画像を形成する。
【0036】
トナーコンテナ33は、画像形成部3に供給されるC(シアン)のトナーを収容する。画像形成部3は、トナーコンテナ33から供給されるトナーを用いて画像を形成する。
【0037】
トナーコンテナ34は、画像形成部4に供給されるK(ブラック)のトナーを収容する。画像形成部4は、トナーコンテナ34から供給されるトナーを用いて画像を形成する。
【0038】
図1に示されるように、トナーコンテナ34は、トナーコンテナ31~33よりも前後方向D2におけるサイズが大きい。トナーコンテナ31~33は、収容するトナーの色が異なる点を除けば、共通の構成を備える。以下、トナーコンテナ31~33を総称して、トナーコンテナ30と呼称することがある。トナーコンテナ30は、本発明の現像剤収容容器の一例である。
【0039】
コンテナ支持部35は、トナーコンテナ31~34を支持する。
図3に示されるように、コンテナ支持部35は、装着部37~40を備える。装着部37には、トナーコンテナ31が取り外し可能に装着される(
図1参照)。装着部38には、トナーコンテナ32が取り外し可能に装着される(
図1参照)。装着部39には、トナーコンテナ33が取り外し可能に装着される(
図1参照)。装着部40には、トナーコンテナ34が取り外し可能に装着される(
図1参照)。以下、トナーコンテナ30が装着される装着部37~39を総称して、装着部36と呼称することがある。
【0040】
[トナーコンテナ30の構成]
次に、
図4~
図9を参照しつつ、トナーコンテナ30の構成について説明する。ここで、
図4はトナーコンテナ31の構成を示す斜視図である。また、
図5はキャップ53及び抜け防止部材54の構成を示す平面図である。また、
図6は
図5におけるVI-VI矢視断面図である。また、
図7は
図5におけるVII-VII矢視断面図である。また、
図8はキャップ53の構成を示す平面図である。また、
図9は
図8におけるIX-IX矢視断面図である。
【0041】
図4に示されるように、トナーコンテナ30は、容器本体51、開口部52、及びキャップ53を備える。
【0042】
容器本体51は、トナーを収容する。
図4に示されるように、容器本体51は、トナーコンテナ30の画像形成装置100への装着方向D6に直交する方向に長尺な四角柱状に形成される。装着方向D6は、鉛直下方向である。容器本体51は、左右方向D3に長尺である。容器本体51の内部には、トナーを収容するトナー収容空間が形成される。容器本体51は、本発明の収容部の一例である。
【0043】
容器本体51は、装着方向D6の下流側を向く底面を形成する底面部と、装着方向D6の上流側を向く上面51A(
図4参照)を形成する上面部とを有する。また、容器本体51は、装着方向D6と直交する方向を向く側面を形成する側壁部を有する。前記トナー収容空間は、前記底面部、前記上面部、及び前記側壁部によって囲まれた空間である。
【0044】
容器本体51では、内部に収容されたトナーが容器本体51の長手方向に沿って容器本体51の左端部へ向けて搬送される。具体的に、容器本体51の内部には、当該内部に収容されたトナーを容器本体51の左端部へ向けて搬送する搬送スクリューが設けられている。前記搬送スクリューは、容器本体51の長手方向(左右方向D3)に長尺な回転軸を有する。前記回転軸は、容器本体51の前記側壁部によって回転可能に支持される。前記搬送スクリューには、不図示の動力伝達機構を介して、画像形成装置100の本体側に設けられたモーターの駆動力が伝達される。前記搬送スクリューは、前記動力伝達機構を介して伝達される前記モーターの駆動力を受けて回転する。これにより、容器本体51の内部に収容されたトナーが容器本体51の左端部へ向けて搬送される。
【0045】
容器本体51の前記底面部の左端部には、下方へ向けて開口する排出口(不図示)が設けられている。前記搬送スクリューによって容器本体51の左端部へ搬送されたトナーは、前記排出口から容器本体51の外部へ排出される。
【0046】
開口部52は、容器本体51へのトナーの充填に用いられる。
図4に示されるように、開口部52は、容器本体51の上面51Aに設けられる。開口部52は、容器本体51の内部と外部とを連通する充填口を形成する。前記充填口は、円形に形成され、上方向に開口する(
図6参照)。前記充填口は、真円形であってもよいし、楕円形であってもよい。なお、前記充填口は、多角形に形成されていてもよい。
【0047】
キャップ53は、可撓性を有しており、開口部52を塞ぐ。キャップ53は、可撓性を有する樹脂材料などにより形成される。キャップ53は、開口部52に圧入される。
【0048】
図8及び
図9に示されるように、キャップ53は、筒状部71、底部72、接触部73、及び第1把手部74を備える。筒状部71は、開口部52に嵌挿可能に形成される。具体的に、筒状部71は、開口部52の開口方向D7(
図6参照)に沿って長尺な円筒状に形成される。底部72は、開口方向D7に直交する平板状に形成され、筒状部71の下端部を閉塞する。
図6に示されるように、開口部52に圧入されたキャップ53の底部72は、開口部52よりも容器本体51の内側で開口部52の外側へ膨出する。接触部73は、開口方向D7に直交する平板状であって、筒状部71の上端部から筒状部71の外側へ向けてつば状に形成される。接触部73の外縁部は、筒状部71の外周部に沿って形成される。つまり、接触部73の外縁部は、開口部52の縁部52A(
図6参照)に沿って形成される。接触部73は、開口部52の縁部52Aと接触する。第1把手部74は、接触部73の外縁部から筒状部71の外側へ向けて突出して設けられる。第1把手部74は、トナーコンテナ30へのトナーの再充填のためにキャップ53が開口部52から取り外される際に、再充填作業を行う作業者の手によって掴まれる部分である。
【0049】
ところで、従来の画像形成装置では、当該装置の搬送中に生じる衝撃によりキャップ53が開口部52から外れることがある。これに対し、キャップ53を開口部52に強固に圧入し、トナーコンテナ30へのトナーの再充填時に、キャップ53に切り込みを入れてキャップ53を取り外す方法が関連技術として知られている。
【0050】
しかしながら、上述の関連技術にかかる方法では、キャップ53の再利用が不可能になる。
【0051】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、以下に説明するように、キャップ53の再利用を可能にするとともに、キャップ53が開口部52から外れることを抑制することが可能である。
【0052】
具体的に、キャップ53は、接触部73のうちの第1接触部73Aが、接触部73のうち第1接触部73Aとは異なる第2接触部73Bよりも弱い引き抜き力で、開口部52の開口方向D7へ移動可能である。前記引き抜き力は、開口方向D7への力である。
図8に示されるように、第1接触部73Aは、第2接触部73Bよりも狭い領域である。
【0053】
例えば、筒状部71は、第1接触部73Aに対応する部分の厚みX1(
図9参照)が、第2接触部73Bに対応する部分の厚みX2(
図9参照)よりも薄くなるように形成されている。筒状部71における第1接触部73Aに対応する部分は、筒状部71のうち第1接触部73Aの内縁部と底部72の外縁部との間で延在する部分である。筒状部71における第2接触部73Bに対応する部分は、筒状部71のうち第2接触部73Bの内縁部と底部72の外縁部との間で延在する部分である。なお、筒状部71における第1接触部73Aに対応する部分と第2接触部73Bに対応する部分との境界部の厚みは、厚みX1から厚みX2へ徐々に変化すればよい。
【0054】
また、底部72は、第1接触部73Aに対応する部分の厚みX3(
図9参照)が、第2接触部73Bに対応する部分の厚みX4(
図9参照)よりも薄くなるように形成されている。底部72における第1接触部73Aに対応する部分は、底部72の外縁部のうち、第1接触部73Aの内縁部と対向する部分である。底部72における第2接触部73Bに対応する部分は、底部72の外縁部のうち、第2接触部73Bの内縁部と対向する部分である。なお、底部72における第1接触部73Aに対応する部分と第2接触部73Bに対応する部分との境界部の厚みは、厚みX3から厚みX4へ徐々に変化すればよい。
【0055】
なお、キャップ53において、第1接触部73Aを第2接触部73Bよりも弱い前記引き抜き力で開口方向D7へ移動可能にする手法は、上述の手法に限られない。例えば、
図10に示されるように、底部72における第1接触部73Aに対応する部分の開口部52の外側への膨出量が、底部72における第2接触部73Bに対応する部分の開口部52の外側への膨出量よりも少なくなるように、筒状部71の外周形状が設定されてもよい。なお、
図10は、開口部52に圧入されたキャップ53の底部72を下側から見た図である。
【0056】
また、筒状部71における第2接触部73Bに対応する部分に対して、例えば加熱処理などの、筒状部71における第1接触部73Aに対応する部分よりも剛性を高くすることが可能な処理を、キャップ53の製造後に実施してもよい。また、筒状部71における第1接触部73Aに対応する部分を意図的に劣化させることにより、当該部分の剛性を筒状部71における第2接触部73Bに対応する部分よりも低くしてもよい。
【0057】
また、筒状部71における第1接触部73Aに対応する部分の外周面に潤滑剤を塗布するなどして、当該外周面を筒状部71における第2接触部73Bに対応する部分の外周面よりも滑りやすくなるようにしてもよい。
【0058】
ここで、
図5に示されるように、第1把手部74は、第1接触部73Aの外縁部から開口部52の外側へ向けて突出して設けられる。これにより、前記作業者は、第1接触部73Aに対して、容易に前記引き抜き力を加えることが可能である。
【0059】
図5に示されるように、トナーコンテナ30は、抜け防止部材54を備える。
【0060】
抜け防止部材54は、開口部52の縁部52Aとの間で第1接触部73Aを挟持する。抜け防止部材54は、本発明の挟持部の一例である。
【0061】
図5~
図7に示されるように、抜け防止部材54は、開口方向D7に直交する平板状に形成される。
【0062】
抜け防止部材54は、第1把手部74の突出基端部における第1把手部74の突出方向D8(
図5参照)と直交する直交方向D9(
図5参照)の両側で、容器本体51に固定される(
図5参照)。
【0063】
例えば、容器本体51の上面51Aにおける開口部52の周囲には、開口部52の周方向に沿って離間する一対の支持台51Bが設けられている。支持台51B各々は、上面51Aから四角柱状に隆起する形状に形成される。一対の支持台51Bの間には、第1把手部74を配置可能なスペースが設けられている。第1把手部74は、一対の支持台51Bの間に配置される。一対の支持台51Bの上面は、接触部73及び第1把手部74と面一になるように形成される。抜け防止部材54は、第1把手部74を挟む一対の支持台51Bに固定される。
【0064】
例えば、抜け防止部材54は、容器本体51の一対の支持台51Bに不可逆的に固定される。ここで、「不可逆的に固定する」とは、抜け防止部材54及び一対の支持台51Bを、固定前の状態に戻すことができない態様で固定することである。例えば、抜け防止部材54は、一対の支持台51Bに熱溶着される。なお、抜け防止部材54は、一対の支持台51Bに接着剤で固定されてもよい。
【0065】
抜け防止部材54を第1把手部74の突出基端部における直交方向D9の両側で容器本体51に固定することにより、抜け防止部材54を他の位置で固定する構成と比較して、抜け防止部材54のサイズを小さくすることが可能である。
【0066】
また、抜け防止部材54が容器本体51に不可逆的に固定されると、抜け防止部材54又は支持台51Bを破壊することなく、抜け防止部材54を取り外すことが著しく困難となる。つまり、抜け防止部材54又は支持台51Bを破壊することなく、トナーコンテナ30へのトナーの再充填を実現することが著しく困難となる。これにより、トナーコンテナ30の外面に、トナーが再充填された痕跡(抜け防止部材54又は支持台51Bの破壊跡)を残すことが可能となる。なお、抜け防止部材54は、容器本体51に可逆的に固定されてもよい。例えば、抜け防止部材54は、支持台51Bにビス止めされてもよい。
【0067】
ここで、
図5に示されるように、トナーコンテナ30は、複数組の一対の支持台51Bを備える。これにより、トナーコンテナ30の外面に、トナーが再充填された痕跡を複数回分残すことが可能となる。なお、トナーコンテナ30は、一組の一対の支持台51Bを備えていてもよい。
【0068】
また、
図6に示されるように、キャップ53は、接触部73の内側が開口方向D7とは逆方向へ凹む形状に形成されている。加えて、抜け防止部材54は、
図5に示される延在部81及び第2把手部82を備える。延在部81は、直交方向D9に沿って第1把手部74をまたいで延在し、直交方向D9における両端が容器本体51に固定される。第2把手部82は、延在部81における容器本体51に固定される一対の被固定部よりも内側から第1接触部73Aを越えて接触部73の内側へ突出する。また、抜け防止部材54は、開口方向D7に直交する平板状に形成される。これにより、前記作業者は、第2把手部82を開口方向D7に持ち上げることにより、一対の前記被固定部を抜け防止部材54における他の部分から切り離すことが可能である。なお、抜け防止部材54は、延在部81及び第2把手部82を備えていなくてもよい。
【0069】
なお、容器本体51は、一対の支持台51Bを備えていなくてもよい。この場合、抜け防止部材54は、容器本体51の上面51Aに固定されてもよい。例えば、
図11に示されるように、抜け防止部材54は、延在部81における直交方向D9の端部各々を支持し、上面51Aに固定される一対の脚部83を備えていてもよい。
【0070】
このように、トナーコンテナ30では、キャップ53の第1接触部73Aが第2接触部73Bよりも弱い前記引き抜き力で開口方向D7へ移動可能に構成されている。また、トナーコンテナ30では、抜け防止部材54により、第1接触部73Aの開口方向D7への移動が規制される。これにより、キャップ53を開口部52に強固に圧入した場合であっても、キャップ53を破壊することなくキャップ53を開口部52から取り外すことが可能である。また、開口部52からキャップ53が外れることも抑制可能である。従って、キャップ53の再利用を可能にするとともに、キャップ53が開口部52から外れることを抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 画像形成部
2 画像形成部
3 画像形成部
4 画像形成部
5 中間転写ベルト
6 光走査装置
7 二次転写ローラー
8 定着装置
9 給紙カセット
10 搬送路
11 カバー部材
12 制御部
13 トナー供給部
30 トナーコンテナ
51 容器本体
52 開口部
53 キャップ
54 抜け防止部材
73 接触部
73A 第1接触部
73B 第2接触部
74 第1把手部
81 延在部
82 第2把手部
100 画像形成装置