(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141073
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ケーソン隔壁内監視システム、及びケーソン隔壁内への中詰材の投入管理方法
(51)【国際特許分類】
E02D 23/02 20060101AFI20230928BHJP
G01L 1/24 20060101ALI20230928BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E02D23/02 E
G01L1/24 A
G01L5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047206
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 広人
(72)【発明者】
【氏名】琴浦 毅
(72)【発明者】
【氏名】塚本 高文
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA06
2F051AB03
2F051BA01
(57)【要約】
【課題】ケーソン据付工事において、水圧計、距離計等を用いる場合に比べて、中詰材の投入量を正確に把握する。
【解決手段】空間Sに投入された水W及び中詰材Rは、空間Sに設置された光ファイバーセンサ1を押圧する。その結果、光ファイバーセンサ1は、水Wに接している部分、及び中詰材Rに接している部分に圧力を受ける。そして、監視装置2には、光ファイバーセンサ1が受けた圧力の大きさと、その圧力を受けた位置とを特定する。これにより、監視装置2は、空間Sが水W又は中詰材Rから受ける力を監視する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水又は中詰材が投入される空間であって、ケーソンの内部の仕切られた空間のそれぞれに設置された光ファイバーセンサと、
前記光ファイバーセンサに光を入射して反射光の強度を測定し、前記空間が前記水又は前記中詰材から受ける力を監視する監視装置と、
を有するケーソン隔壁内監視システム。
【請求項2】
前記光ファイバーセンサは、前記ケーソンの内部を仕切る隔壁に沿って深さ方向に延びるように設置されている
請求項1に記載のケーソン隔壁内監視システム。
【請求項3】
前記光ファイバーセンサは、前記空間の隅角部に沿って深さ方向に延びるように設置されている
請求項1に記載のケーソン隔壁内監視システム。
【請求項4】
前記光ファイバーセンサは、前記ケーソン内の底面に到達し該底面上に渦巻状に設置されている
請求項1から3のいずれか一項に記載のケーソン隔壁内監視システム。
【請求項5】
前記光ファイバーセンサは、前記ケーソン内の底面に到達し該底面に沿って対向位置まで設置されている
請求項1から3のいずれか一項に記載のケーソン隔壁内監視システム。
【請求項6】
前記光ファイバーセンサは、前記底面において湾曲した部分を有する
請求項5に記載のケーソン隔壁内監視システム。
【請求項7】
前記空間に設置される前記光ファイバーセンサは、複数本であり、前記空間の隣り合った一対の前記隔壁の各々に少なくとも1本が設置され、
前記一対の隔壁の各々に設置された前記光ファイバーセンサは、それぞれ前記ケーソンの底面に到達し、該底面上を互いに交差し、対向する隔壁迄設置されている、
請求項2に記載のケーソン隔壁内監視システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のケーソン隔壁内監視システムを用いた、ケーソン隔壁内への中詰材の投入管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソン隔壁内監視システム、及びケーソン隔壁内への中詰材の投入管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の隔室を有するケーソンにおいて、各々の前記隔室の初期水位と当該隔室に中詰材が投入されたときの投入後水位との差に基づいて、当該隔室に投入された中詰材の投入量を管理する管理工程を備えるケーソン中詰材の投入管理方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には、各隔室内に、それらの内部に侵入した水を排出するための排水ポンプ及び水位センサをそれぞれ設置し、各水位センサによる計測値により異常・正常状態を監視し、異常状態発生時に異常発生個所の排水ポンプを制御させて開口付き中空コンクリートケーソンの水平度を保たせる曳航時安全制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-137737号公報
【特許文献2】特開2013-221285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1は、2種類の水位センサを提案している。そのうちの一つは、隔室の底部に配置され、検知した水圧に基づいて水位を計測し、計測された水位を表す水位データを出力する水位センサである。また、他の一つは、レーザ光を用いて対象物との距離を計測する計測装置を隔室の上方に設置して水位を計測する水位センサである。
【0006】
前者の水位センサは水圧に基づくものであるため中詰材の投入量を、その中詰材によって押し出された水の量で計測しなければならない。
つまり、前者の水位センサは直接中詰材の投入量を計測することができない。また、後者の水位センサは、レーザ光の光路を遮ってそのレーザ光を反射する物体の有無を検知するものであるため、その物体の影に存在する他の物体を計測することができない。
また、前記隔室間を連通する連通孔が少なくとも1箇所必要であり、水位センサで計測するに際し、該連通孔を通じて隔室間を水が流動することにより、中詰材投入前の隔室の水位が平均化される必要がある。
【0007】
本発明は、ケーソン据付工事において、水圧計、距離計等を用いる場合に比べて、中詰材の投入量を正確に把握することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係るケーソン隔壁内監視システムは、水又は中詰材が投入される空間であって、ケーソンの内部の仕切られた空間のそれぞれに設置された光ファイバーセンサと、前記光ファイバーセンサに光を入射して反射光の強度を測定し、前記空間が前記水又は前記中詰材から受ける力を監視する監視装置と、を有するケーソン隔壁内監視システムである。
【0009】
本発明の請求項2に係るケーソン隔壁内監視システムは、請求項1に記載の態様において、前記光ファイバーセンサは、前記ケーソンの内部を仕切る隔壁に沿って深さ方向に延びるように設置されているケーソン隔壁内監視システムである。
【0010】
本発明の請求項3に係るケーソン隔壁内監視システムは、請求項1に記載の態様において、前記光ファイバーセンサは、前記空間の隅角部に沿って深さ方向に延びるように設置されているケーソン隔壁内監視システムである。
【0011】
本発明の請求項4に係るケーソン隔壁内監視システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の態様において、前記光ファイバーセンサは、前記ケーソン内の底面に到達し該底面上に渦巻状に設置されているケーソン隔壁内監視システムである。
【0012】
本発明の請求項5に係るケーソン隔壁内監視システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の態様において、前記光ファイバーセンサは、前記ケーソン内の底面に到達し該底面に沿って対向位置まで設置されているケーソン隔壁内監視システムである。
【0013】
本発明の請求項6に係るケーソン隔壁内監視システムは、請求項5に記載の態様において、前記光ファイバーセンサは、前記底面において湾曲した部分を有するケーソン隔壁内監視システムである。
【0014】
本発明の請求項7に係るケーソン隔壁内監視システムは、請求項2に記載の態様において、前記空間に設置される前記光ファイバーセンサは、複数本であり、前記空間の隣り合った一対の前記隔壁の各々に少なくとも1本が設置され、前記一対の隔壁の各々に設置された前記光ファイバーセンサは、それぞれ前記ケーソンの底面に到達し、該底面上を互いに交差し、対向する隔壁迄設置されているケーソン隔壁内監視システムである。
【0015】
本発明の請求項8に係る投入管理方法は、請求項1から7のいずれか一項に記載のケーソン隔壁内監視システムを用いた、ケーソン隔壁内への中詰材の投入管理方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ケーソン据付工事において、水圧計、距離計等を用いる場合に比べて、中詰材の投入量を正確に把握することができる。また、各空間内の中詰材の投入量に応じて、中詰材の投入量や投入先を決めることができ、ケーソンへの中詰材の投入を安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るケーソン隔壁内監視システム9の全体構成の例を示す図。
【
図6】底面Bにおける光ファイバーセンサ1の配置の例を示す図。
【
図7】ケーソン3の空間Sに水W及び中詰材Rを投入した様子を示す図。
【
図8】光ファイバーセンサ1の別の配置の例を示す図。
【
図9】光ファイバーセンサ1の底面Bにおける別の配置の例を示す図。
【
図10】渦巻状の光ファイバーセンサ1の例を示す図。
【
図11】他の渦巻状の光ファイバーセンサ1の例を示す図。
【
図12】底面Bにおける光ファイバーセンサ1の湾曲した形状の例を示す図。
【
図13】底面Bにおける光ファイバーセンサ1の湾曲した形状の例を示す図。
【
図14】底面Bにおける光ファイバーセンサ1の湾曲した形状の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下に示す図において、各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。また、図に示す座標記号のうち、円の中に点を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表す。また、円の中に交差する2本の線を描いた記号は、紙面手前側から奥側に向かう矢印を表す。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を-x方向という。y、z成分についても、上記の定義に沿ってy軸方向、+y方向、-y方向、z軸方向、+z方向、-z方向が定義される。
【0019】
<全体構成>
図1は、本発明に係るケーソン隔壁内監視システム9の全体構成の例を示す図である。
図1において、-z方向は、重力の方向であり、下方である。ケーソン隔壁内監視システム9は、ケーソン3の内部の区分された各空間に投入された水、及び中詰材を監視するシステムである。
図1に示すケーソン隔壁内監視システム9は、光ファイバーセンサ1、及び監視装置2、通信回線4、及び情報処理装置5を有する。
【0020】
図1に示す通り、ケーソン3は、その内部が1以上の隔壁Pによって複数の空間Sに区画されている。なお、以下の記載においてケーソン3の内外を隔てる壁も隔壁Pとする。
図1に示す例でケーソン3は、上述した内外を隔てる4枚の隔壁Pに加えて、y軸方向に沿って延びる1枚の隔壁Pと、x軸方向に沿って延びる2枚の隔壁Pと、をケーソン3の内側に設けている。この構成によって、ケーソン3は、6つの空間Sに区画されている。
【0021】
図1に示す通り、空間Sには光ファイバーセンサ1が隔壁P(
図1に示す例では内外を隔てる壁)に沿って設置されている。この光ファイバーセンサ1は、いずれかの位置に受けた圧力を検出する、光ファイバーを用いたセンサである。
【0022】
光ファイバーセンサ1は、監視装置2に接続されている。監視装置2は、光ファイバーセンサ1に光を入射して反射光の強度を測定する。そして、この監視装置2は、測定した反射光の強度に基づいて隔壁内で光ファイバーセンサ1が受けた力の大きさと位置とを監視する。
【0023】
ケーソン隔壁内監視システム9は、隔壁Pに設けた光ファイバーセンサ1により中詰材R(
図1において図示せず)の平面的な高さを検出し、底面B(
図1において図示せず)に設置した光ファイバーセンサ1に及ぼす応力から中詰材Rの重量を算出し、対象とする中詰材Rの単位荷重と算出した重量から中詰材の投入形状を算出する。その後、隔壁Pの光ファイバーセンサ1による平面的な高さと底面Bに設置した光ファイバーセンサによる中詰材の投入形状を突き合わせことでより正確な中詰材の投入高さ及び形状を算出することができる。
【0024】
なお、
図1には、光ファイバーセンサ1、及び監視装置2は、一組だけ描かれているが、ケーソン隔壁内監視システム9は、一つのケーソン3につき複数本の光ファイバーセンサ1、及び複数台の監視装置2を有していてもよい。ケーソン隔壁内監視システム9は、光ファイバーセンサ1、及び監視装置2の組を複数組、有していてもよい。ケーソン隔壁内監視システム9は、ケーソン3の内部において隔壁Pにより区画された空間Sのそれぞれにつき、少なくとも一本の光ファイバーセンサ1を有してもよい。
【0025】
また、監視装置2は、通信回線4を通じて情報処理装置5と通信可能に接続されている。この情報処理装置5は、管理事務所内に設置されたパーソナルコンピュータ、又は携帯式端末等である。監視装置2は、この情報処理装置5に各光ファイバーセンサ1が設置された空間Sの番号(すなわち、識別情報)と、その光ファイバーセンサ1が受けた力と位置とをリアルタイムで、又は所定の間隔毎(例えば2秒毎)に送信する。
【0026】
図2は、光ファイバーセンサ1の設置の例を示す図である。
図2に示す例で、光ファイバーセンサ1,1は、ケーソン3の内部を隔壁P,Pに沿って深さ方向に延びるように設置されている。ここで深さ方向とは、重力の方向であり、つまり-z方向である。すなわち、この光ファイバーセンサ1は、ケーソンの内部を仕切る隔壁に沿って深さ方向に延びるように設置されている光ファイバーセンサの例である。
【0027】
図2に示す光ファイバーセンサ1は、-x側の隔壁Pの上端から深さ方向(-Z方向)に延びている。そして、この光ファイバーセンサ1は、ケーソン内の底面Bに到達すると、この底面Bに沿って対向位置まで延びる。対向位置とは、底面Bにおいて対向する位置をいう。したがって、この光ファイバーセンサ1は、ケーソン内の底面に到達しこの底面に沿って対向位置まで設置されている光ファイバーセンサは、の例である。
【0028】
図2に示す光ファイバーセンサ1は、2本ある。これら2本の光ファイバーセンサ1,1は、空間Sの隣り合った一対の隔壁Pの各々に1本ずつ設置されている。そして、これら2本の光ファイバーセンサ1,1は、それぞれ底面Bに到達し、この底面B上を互いに交差するように設置されている。したがって、
図2に示す光ファイバーセンサ1,1は、複数本であり、空間の隣り合った一対の隔壁の各々に少なくとも1本が設置される光ファイバーセンサの例である。そして、これら2本の光ファイバーセンサ1,1は、それぞれケーソンの底面Bに到達し、この底面B上を互いに交差し、対向する隔壁迄設置されているとする光ファイバーセンサの例である。
【0029】
<光ファイバーセンサの構成>
図3は、光ファイバーセンサ1の構成の例を示す図である。
図3に示す光ファイバーセンサ1は、コア11と、クラッド12と、被覆10とを有する。
【0030】
コア11、及びクラッド12は、ともに透明な素材である。コア11、及びクラッド12は、例えばガラスである。コア11は、クラッド12に比べて屈折率が高い透明な素材で構成される。クラッド12は、コア11よりも屈折率が低く、コア11を中心にその周囲を覆う。被覆10は、光を遮断する素材で構成されており、クラッド12の周囲を覆う。
【0031】
コア11は、検出部111を有する。この検出部111は、決められた間隔で並べられた複数の回折格子1111により構成される。回折格子1111は、例えば、レーザ加工によって形成される。この検出部111は、いわゆるFBG(Fiber Bragg Grating:ファイバーブラッググレーティング)である。
【0032】
コア11の内部に入射されたレーザ光は、クラッド12との界面で反射しながら進む。検出部111は、コア11を進むこのレーザ光を通すとき、回折格子1111の間隔に応じた波長を選択的に反射する。この検出部111が、例えば加熱され、又は外力を受けて歪むと、回折格子1111の間隔は変化する。回折格子1111の間隔が変化すると、検出部111において反射するレーザ光の波長は、その変化した間隔に応じて変化する。
【0033】
<監視装置の構成>
図4は、監視装置2の構成の例を示す図である。監視装置2は、光ファイバーセンサ1に光を入射して、その反射光の強度を測定し、測定したデータを送信する装置である。
図4に示す監視装置2は、いわゆるインテロゲータと呼ばれる装置である。
図4に示す通りこの監視装置2は、制御部21、光源22、光サーキュレータ23、及び受光部24を有する。
【0034】
制御部21は、監視装置2の各構成を制御する制御装置である。制御部21は、プロセッサ、メモリ等を有する。制御部21が有するこのプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。このプロセッサは、FPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよいし、FPGAを含んでもよい。また、このプロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は他のプログラマブル論理デバイスを有してもよい。
【0035】
制御部21は、受光部24が得たデータをメモリに記憶する。また、制御部21は、メモリにバス経由で接続する端子を有する。この端子には、例えば通信ケーブルが接続されている。この通信ケーブルは、図示しないゲートウェイ装置を経由して監視装置2と通信回線4とを通信可能に接続する。情報処理装置5は、通信回線4を経由して監視装置2の端子に接続する。これにより、情報処理装置5は、監視装置2から、上述したデータを取得する。
【0036】
光源22は、制御部21の制御の下、光ファイバーセンサ1に光を入射するデバイスである。この光源22は、例えば、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、又はレーザダイオード等である。
【0037】
光サーキュレータ23は、光の進む方向を制限するデバイスである。この光サーキュレータ23は、光源22から入射されたレーザ光を光ファイバーセンサ1へ進ませるが、受光部24へ進むことを阻止する。一方、この光サーキュレータ23は、光ファイバーセンサ1から戻ってきた反射光を受光部24へ進ませるが、光源22へ進むことを阻止する。
【0038】
受光部24は、光ファイバーセンサ1において反射したレーザ光を受光するデバイスである。受光部24は、受光したそのレーザ光の波長及び強度に応じた信号を制御部21に出力する。受光部24は、例えば、フォトダイオード、A/Dコンバータを含む。
【0039】
<情報処理装置の構成>
図5は、情報処理装置5の構成の一例を示す図である。
図5に示す情報処理装置5は、プロセッサ51、メモリ52、インタフェース53、操作部54、及び表示部55を有する。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0040】
プロセッサ51は、メモリ52に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読出して実行することにより情報処理装置5の各部を制御する。プロセッサ51は、例えばCPUである。
【0041】
インタフェース53は、有線又は無線により情報処理装置5を、他の装置に通信可能に接続する通信回路である。このインタフェース53は、有線又は無線の少なくとも一方を介して通信回線4経由で、監視装置2からデータを取得するための通信に用いられる。
【0042】
操作部54は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ51に送る。この操作は、例えば、キーボードに対する押下やタッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0043】
表示部55は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ51の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部54の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。なお、情報処理装置5は、操作部54及び表示部55を有しなくてもよい。情報処理装置5は、インタフェース53を介して外部の装置から操作され、又は外部の装置に情報を提示してもよい。
【0044】
メモリ52は、プロセッサ51に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ52は、RAMやROMを有する。
【0045】
また、メモリ52は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を含んでもよい。メモリ52は、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスクなどの光ディスク、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フレキシブルディスク、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。
【0046】
<光ファイバーセンサの底面における配置>
図6は、底面Bにおける光ファイバーセンサ1の配置の例を示す図である。
図2に示す2本の光ファイバーセンサ1,1は、いずれも底面Bの辺の中央に到達している。そして、これら2本の光ファイバーセンサ1,1は、いずれもそれぞれ隔壁P下端の辺の中央から対向する辺の中央まで延びて設置されている。
【0047】
この2本の光ファイバーセンサ1,1は、底面Bの中央で交差する。これら2本の光ファイバーセンサ1のうち、一本はx軸方向に沿って延び、他の一本はy軸方向に沿って延びている。そのため、底面Bが受ける圧力のx軸に沿った勾配、及びy軸に沿った勾配のいずれもが、この2本の光ファイバーセンサ1,1によって検知される。
【0048】
図7は、ケーソン3の空間Sに水W及び中詰材Rを投入した様子を示す図である。空間Sに投入された水W及び中詰材Rは、空間Sに設置された光ファイバーセンサ1を押圧する。その結果、光ファイバーセンサ1は、水Wに接している部分、及び中詰材Rに接している部分に圧力を受ける。
【0049】
そして、監視装置2は、光ファイバーセンサ1が受けた圧力の大きさと、その圧力を受けた位置とを特定する。これにより、監視装置2は、空間Sが水W又は中詰材Rから受ける力を監視する。
【0050】
すなわち、光ファイバーセンサ1は水又は中詰材が投入される空間であって、ケーソンの内部の仕切られた空間のそれぞれに設置された光ファイバーセンサの例である。
【0051】
また、この監視装置2は、光ファイバーセンサに光を入射して反射光の強度を測定し、空間が水又は中詰材から受ける力を監視する監視装置の例である。
【0052】
以上の通り、ケーソン隔壁内監視システム9は、水W及び中詰材Rの検知に、水圧計、距離計等を用いるのではなく、光ファイバーセンサ1と監視装置2とを用いる。このため、ケーソン隔壁内監視システム9は、水圧計、距離計等を用いる場合に比べて、連通孔も不要で個々の空間Sにおける中詰材の投入量を正確に把握することができる。
【0053】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組合せてもよい。
【0054】
<1>
上述した実施形態において、光ファイバーセンサ1は、底面Bに到達して、その辺の中央から対向する辺の中央へ延びていたが、この配置に限らない。
【0055】
図8は、光ファイバーセンサ1の別の配置の例を示す図である。
図8に示す光ファイバーセンサ1,1は、2本ともが空間Sの隅角部に沿って深さ方向に延びている。そして、2本の光ファイバーセンサ1は、いずれも底面Bに到達すると、対角まで延びて設置される。つまり、この光ファイバーセンサ1は、空間の隅角部に沿って深さ方向に延びるように設置されている光ファイバーセンサの例である。
【0056】
図9は、光ファイバーセンサ1の底面Bにおける別の配置の例を示す図である。光ファイバーセンサ1,1が
図8に示すように設置されると、2本の光ファイバーセンサ1,1は、底面Bにおいて
図9に示すように交差する。これら2本の光ファイバーセンサ1,1は、異なる方向に延びている。そのため、光ファイバーセンサ1は、底面Bが受ける圧力勾配を、それぞれが延びる方向に沿って観測することができる。
【0057】
<2>
上述した実施形態において、光ファイバーセンサ1は、一つの空間Sにつき2本が設置されていたが、その数はこれに限らない。光ファイバーセンサ1は、一つの空間Sごとに1本ずつ設けられてもよいし、3本以上が設けられてもよい。なお、設けられる本数によって、底面Bに設置する形状を変更することが望ましい。
【0058】
<3>
上述した実施形態において、光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて直線状に伸びていたが、湾曲した部分を有してもよい。例えば、光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて渦巻状に設置されてもよい。渦巻状に設置されたこの光ファイバーセンサ1は、ケーソン内の底面Bに到達しこの底面B上に渦巻状に設置されている光ファイバーセンサの例である。
【0059】
図10は、渦巻状の光ファイバーセンサ1の例を示す図である。
図10に示す光ファイバーセンサ1は、いわゆるアルキメデスの螺旋形状を有する。
図10に示す光ファイバーセンサ1は、末端が底面Bの中央部に位置する。この形状であっても、光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて二次元の広がりを持って設置されている。そのため、この光ファイバーセンサ1は、検知結果を対応する底面Bの位置に対応付けることにより、底面Bが受ける圧力の勾配を検出することができる。
【0060】
また、
図11は、他の渦巻状の光ファイバーセンサ1の例を示す図である。
図11に示す光ファイバーセンサ1は、いわゆるフェルマーの螺旋形状を有する。
図11に示す光ファイバーセンサ1は、中央でそれまでと点対称の形状に変化し、逆周りに旋回するように延びる。そして、この光ファイバーセンサ1は、底面Bに到達した位置に対向する位置まで延びる。この形状であっても、光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて二次元の広がりを持って設置されている。そのため、この光ファイバーセンサ1は、底面Bが受ける圧力の勾配を検出することができる。
【0061】
<4>
上述した実施形態において、底面Bにおける光ファイバーセンサ1の湾曲した部分は、渦巻形状であったが、これに限らない。例えば、光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて、湾曲した部分として、リサージュ曲線に沿った形状を有していてもよい。
【0062】
図12は、底面Bにおける光ファイバーセンサ1の湾曲した形状の例を示す図である。
図12に示す光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて周波数比が1:2のリサージュ曲線に沿って敷設されている。この場合、この光ファイバーセンサ1は、-x方向かつ+y方向(つまり図における左上)の端点である隅角部から、+x方向かつ+y方向の端点である隅角部までを結ぶ。
【0063】
図13は、底面Bにおける光ファイバーセンサ1の湾曲した形状の例を示す図である。
図13に示す光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて周波数比が1:3のリサージュ曲線に沿って敷設されている。この場合、この光ファイバーセンサ1は、-x方向かつ-y方向(つまり図における左下)の端点である隅角部から、+x方向かつ+y方向(つまり図における右上)の端点である隅角部までを結ぶ。
【0064】
図14は、底面Bにおける光ファイバーセンサ1の湾曲した形状の例を示す図である。
図14に示す光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて周波数比が2:3のリサージュ曲線に沿って敷設されている。この場合、この光ファイバーセンサ1は、+x方向かつ-y方向(つまり図における右下)の端点である隅角部から、+x方向かつ+y方向(つまり図における右上)の端点である隅角部までを結ぶ。この場合、この1本の光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて一度、交差する。
【0065】
これら3つのリサージュ形状のいずれを有していても、光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて二次元の広がりを持って設置される。そのため、この光ファイバーセンサ1は、底面Bが受ける圧力の勾配を検出することができる。
【0066】
なお、これら3つのリサージュ形状は例示に過ぎない。要するに、光ファイバーセンサ1は、底面Bにおいて湾曲した部分を有してもよい。この光ファイバーセンサ1は、底面において湾曲した部分を有する光ファイバーセンサの例である。
【0067】
<5>
このケーソン隔壁内監視システム9を用いることでケーソン3内の各空間における中詰材Rの投入量、及び、その偏りを管理することができる。管理事務所の担当者や、携帯式端末を保有する作業員は、随時ケーソン隔壁内監視システム9を用いて、リアルタイムでケーソン内の隔壁で区分された各空間内の中詰材Rの投入高さや重量を確認できるので、所定の重量、又は高さに到達したときに即時的に投入を停止することができる。
【0068】
また、各空間内の水W及び中詰材Rの重量に応じて中詰材Rを投入する空間Sの選定や投入する順番を選択することができ、ケーソン3内への中詰材Rの投入を安定して行うことができる。
【0069】
また、事前にケーソン隔壁内監視システム9は、各区画における中詰材Rの投入高さ、又は重量を設定しておき、設定した投入高さ、又は重量となったと判断された際に、担当者や作業者にアラートを発するようにしてもよい。
【0070】
したがって、この管理の方法は、上述したケーソン隔壁内監視システム9を用いた、ケーソン隔壁内への中詰材の投入管理方法として観念される。
【符号の説明】
【0071】
1…光ファイバーセンサ、10…被覆、11…コア、111…検出部、1111…回折格子、12…クラッド、2…監視装置、21…制御部、22…光源、23…光サーキュレータ、24…受光部、3…ケーソン、4…通信回線、5…情報処理装置、51…プロセッサ、52…メモリ、53…インタフェース、54…操作部、55…表示部、9…ケーソン隔壁内監視システム、B…底面、P…隔壁、R…中詰材、S…空間、W…水。