(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141088
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】街路灯及び防犯灯制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20230928BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20230928BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047224
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】江口 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】濱▲崎▼ 健治
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA06
3K273PA08
3K273QA21
3K273QA37
3K273SA18
3K273SA21
3K273SA36
3K273SA39
3K273SA40
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA57
3K273TA62
(57)【要約】
【課題】本開示は街路灯及び防犯灯制御システムに関し、防犯及び災害情報から安全性の高さを判断することで、調光を適切に切り替え可能である街路灯及び防犯灯制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の街路灯及び防犯灯制御システムは、照明と、前記照明とネットワークを介して接続される制御部を備えるよう構成されている。制御部は、安全性に関わる情報から、照明の周辺領域の安全性の高さを判断する防犯情報処理部と、照明の調光を、安全性の高さに基づき制御する制御決定部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明と、前記照明とネットワークを介して接続される制御部を備え、
前記制御部が、
安全性に関わる情報から、前記照明の周辺領域の安全性の高さを判断する防犯情報処理部と、
前記照明の調光を、前記安全性の高さに基づき制御する制御決定部
を有する
街路灯及び防犯灯制御システム。
【請求項2】
前記制御部が、
車両及び人の往来に関わる情報から、前記照明の周辺領域の車両及び人の往来の有無を判断する移動情報処理部
を備え、
前記制御決定部が、前記照明の調光を、前記安全性の高さに加えて前記車両及び人の往来の有無に基づき制御する
請求項1に記載の街路灯及び防犯灯制御システム。
【請求項3】
前記制御決定部が、前記照明の調光を、
安全性が高い、かつ車両又は人の往来なしの場合のみ照明を減光または消灯させ、
その他の場合は照明の調光を維持させる
請求項2に記載の街路灯及び防犯灯制御システム。
【請求項4】
前記安全性に関わる情報が、
防犯カメラの画像情報と、犯罪に関する情報と、地震に関する情報のうち少なくとも一つである
請求項1に記載の街路灯及び防犯灯制御システム。
【請求項5】
前記車両及び人の往来に関わる情報が、
車両が備えるカーナビゲーション及び携帯電話の位置情報または経路情報と、防犯カメラの画像情報のうち少なくとも一つである
請求項2に記載の街路灯及び防犯灯制御システム。
【請求項6】
前記防犯情報処理部が、安全性の高さの判断に人工知能を用いる請求項1に記載の街路灯及び防犯灯制御システム。
【請求項7】
前記移動情報処理部が、車両及び人の往来の有無の判断に人工知能を用いる請求項2に記載の街路灯及び防犯灯制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、街路灯及び防犯灯制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な街路灯及び防犯灯は、周囲環境が暗くなると点灯し、明るくなると消灯するよう設定されている。つまり周囲環境が暗ければ、人の往来がない場所でも点灯が継続される。しかし本来、人の往来がない場所で点灯を継続する必要はないため、この設定により無駄な電力が消費される課題が生じる。
【0003】
この課題を解決するため、特許文献1には、必要なときのみ街路灯を点灯させるシステムが開示されている。このシステムの街路灯は、動体検知センサや近距離通信ネットワークを利用することで、歩行者または通行車両が通過する前に事前に点灯され、それ以外の不要なときには消灯または減光されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周辺地域で犯罪や災害が発生した際は、安全性確保のため、街路灯及び防犯灯の点灯を維持することが望ましい。しかし上述の方法では、人の往来がない地域の街路灯及び防犯灯が、自動的に消灯または減光される課題がある。
【0006】
本開示は上述の問題を解決するため、防犯及び災害情報から安全性の高さを判断することで、調光を適切に切り替え可能である街路灯及び防犯灯制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の態様は、照明と、前記照明とネットワークを介して接続される制御部を備える街路灯及び防犯灯制御システムであることが好ましい。制御部は、安全性に関わる情報から、照明の周辺領域の安全性の高さを判断する防犯情報処理部と、照明の調光を、安全性の高さに基づき制御する制御決定部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様によれば、防犯及び災害情報から安全性の高さを判断することで、調光を適切に切り替え可能である街路灯及び防犯灯制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る街路灯及び防犯灯制御システムを示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る移動情報処理部の処理を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係る防犯情報処理部の処理を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1に係る制御決定部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
図1は、実施の形態1に係る街路灯及び防犯灯制御システムを示す図である。街路灯及び防犯灯制御システム1は、制御部2を備える。制御部2は、例えばサーバーで構成され、複数の通信ネットワークを介して照明7aから7dと接続されている。照明7aから7dは、例えば屋外に設置されている街路灯または防犯灯である。
【0011】
また制御部2は、複数の通信ネットワークを介して複数の情報の情報源と接続されている。実施の形態1では、この情報源から五種類の情報を取得する。車両及び人の位置情報6aは、例えば車両が有するカーナビゲーション及び個人の所有する携帯電話の位置情報である。車両及び人の経路情報6bは、例えば車両が有するカーナビゲーション及び個人の所有する携帯電話の経路情報である。防犯カメラの画像情報6cは、例えば地域の防犯カメラの画像情報である。犯罪に関する情報6dは、例えば警察等から発信される防犯情報である。地震に関する情報6eは、例えば気象庁等から発信される地震情報である。
【0012】
制御部2は、移動情報処理部3及び防犯情報処理部4を有する。移動情報処理部3は、車両及び人の位置情報6a、車両及び人の経路情報6b及び防犯カメラの画像情報6cより、車両及び人の往来の有無を判断する。防犯情報処理部4は、防犯カメラの画像情報6c、犯罪に関する情報6d及び地震に関する情報6eより、安全性の高さを判断する。
【0013】
また制御部2は、制御決定部5を有する。制御決定部5は、移動情報処理部3及び防犯情報処理部4で判断した結果から、照明7aから7dの調光を個別に制御する。
【0014】
なお、上述の通信ネットワークは無線ネットワークでも有線ネットワークでも良い。例えばWAN(Wide Area Network)、またはLAN(Local Area Network)等任意のネットワークを利用できる。
【0015】
続けて、街路灯及び防犯灯制御システムが行う処理動作を説明する。実施の形態1では、防犯及び災害情報に加えて、車両及び人の移動情報を利用して適切な調光制御を行う場合の処理動作を示す。
【0016】
従来例では人の往来を動体検知センサで検知していたため、検知精度の低さや動物による誤検知により、無駄な電力消費が生じるというもう一つの課題があった。車両及び人の移動情報を利用することで、車両及び人の往来の有無をより高精度に検知することが可能となり、この課題を解決できる。そこで実施の形態1では、防犯及び災害情報だけではなく、車両及び人の往来の有無を加えた判断に基づき、調光を適切に切り替える態様を示す。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る移動情報処理部の処理を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて、ある照明nの調光制御に必要な「車両及び人の往来の有無」についての判断のため、移動情報処理部3が行う処理動作を示す。
【0018】
まずステップS101で、車両及び人の位置情報6aより、指定の範囲内で車両又は人が検知されないかを確認する。例えば、車両が有するカーナビゲーション及び個人の所有する携帯電話の位置情報に基づき、照明n周辺の指定領域に人が検知されていないかを確認する。検知されない場合はステップS102へ、検知された場合はステップS105へ進む。
【0019】
ステップS102では、車両及び人の経路情報6bより、指定の時間内に車両又は人が到達しないかを確認する。例えば、車両が有するカーナビゲーション及び個人の所有する携帯電話の経路情報に基づき、指定の時間内に照明n周辺に人が到達しないかを確認する。到達しない場合はステップS103へ、到達する場合はステップS105へ進む。
【0020】
ステップS103では、防犯カメラの画像情報6cより、車両又は人が検知されないかを確認する。例えば、照明n周辺の指定領域を撮影している地域の防犯カメラの画像情報から、人工知能又は画像認識機能により車両又は人を自動検知する。検知されない場合はステップS104へ、検知された場合はステップS105へ進む。
【0021】
ステップS104に到達した場合、「車両又は人の往来なし」と判断してステップS101に戻る。ステップS105に到達した場合、「車両又は人の往来あり」と判断してステップS101に戻る。
【0022】
以上の処理動作をそれぞれ行うことにより、照明7aから7dが設置された周辺領域について、車両又は人の往来の有無を判断することができる。なお、この判断には人工知能を用いても良い。
【0023】
図3は、実施の形態1に係る防犯情報処理部の処理を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて、ある照明nの調光制御に必要な「安全性の高さ」についての判断のため、防犯情報処理部4が行う処理動作を示す。
【0024】
まずステップS201で、防犯カメラの画像情報6cより、危険な行動が確認されないかを確認する。例えば、照明n周辺の指定領域を撮影している地域の防犯カメラの画像情報から、人工知能又は画像認識機能により、画像内の人物の行動が危険か否かを自動的に判断する。この指定領域は、ステップS103の防犯カメラと同じ領域でも良いし、更に広い領域としても良い。危険な行動が確認されない場合はステップS202へ、確認された場合はステップS205へ進む。
【0025】
ステップS202では、犯罪に関する情報6dより、安全性は許容できるかを確認する。例えば、犯罪内容に対して安全性をランク付けしたリストを事前に用意する。そして警察等から防犯情報が発信された際、そのリストを参照することで、安全性が許容できるかを確認する。このリストの参照は、人が行っても良いし、特定のコードを紐づけておく等により機械が自動的に行っても良い。安全性が許容できる場合はステップS203へ、許容できない場合はステップS205へ進む。
【0026】
ステップS203では、地震に関する情報6eより、避難は不要かを確認する。例えば、震度や津波情報に対して避難の要否をランク付けしたリストを事前に用意する。そして気象庁等から地震情報が発信された際、そのリストを参照することで、避難が不要かを確認する。このリストの参照は、人が行っても良いし、特定のコードを紐づけておく等により機械が自動的に行っても良い。避難が不要な場合はステップS204へ、不要ではない場合はステップS205へ進む。
【0027】
ステップS204に到達した場合、「安全性は高い」と判断してステップS201に戻る。ステップS205に到達した場合、「安全性は低い」と判断してステップS201に戻る。
【0028】
以上の処理動作をそれぞれ行うことにより、照明7aから7dが設置された周辺領域について、安全性の高さを判断することができる。なお、この判断には人工知能を用いても良い。
【0029】
図4は、実施の形態1に係る制御決定部の処理を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて、点灯状態である照明nの調光制御の判断について、制御決定部5が行う処理動作を示す。
【0030】
まずステップS301で、「車両又は人の往来なし」であるかを確認する。つまり、移動情報処理部3で「車両又は人の往来なし」と判断された場合はステップS302へ、「車両又は人の往来あり」と判断された場合はステップS304へ進む。
【0031】
次にステップS302で、「安全性は高い」かどうかを確認する。つまり、防犯情報処理部4で「安全性は高い」と判断された場合はステップS303へ、「安全性は低い」と判断された場合はステップS304へ進む。
【0032】
ステップS303では、照明nを減光または消灯させるよう処理する。ステップS303に到達する場合、照明nの周囲環境は「車両又は人の往来なし」かつ「安全性は高い」という状態であるため、調光を維持しなくても良いと判断できる。そのため照明nを減光または消灯させることで、電力消費の抑制を優先させる。
【0033】
ステップS304では、照明nを減光または消灯しないよう処理する。ステップS304に到達する場合、照明nの周囲環境は「車両又は人の往来あり」または「安全性は低い」という状態であるため、安全性または防犯性の観点から調光を維持すべきと判断できる。そのため照明nの調光を維持することで、安全性及び防犯性を高める。
【0034】
以上の処理動作をそれぞれ行うことにより、照明7aから7dが設置された周辺領域について、安全性の高さ及び人の往来の有無に応じた適切な調光制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 街路灯及び防犯灯制御システム
2 制御部
3 移動情報処理部
4 防犯情報処理部
5 制御決定部
6a 車両及び人の位置情報
6b 車両及び人の経路情報
6c 防犯カメラの画像情報
6d 犯罪に関する情報
6e 地震に関する情報
7a、7b、7c、7d 照明