(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141089
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】パンプキンシードタンパク含有飲料、パンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法、およびパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 2/38 20210101AFI20230928BHJP
A23L 33/185 20160101ALI20230928BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20230928BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20230928BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20230928BHJP
A23L 29/244 20160101ALI20230928BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230928BHJP
A23L 2/66 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A23L2/38 D
A23L33/185
A23L29/262
A23L29/269
A23L29/256
A23L29/244
A23L2/52
A23L2/66
A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047225
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 健未
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE05
4B018MD20
4B018MD25
4B018MD28
4B018MD33
4B018MD36
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4B018MD90
4B018ME14
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4B018MF12
4B041LC03
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4B041LP01
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4B117LC02
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4B117LK15
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4B117LK24
4B117LL04
4B117LL09
4B117LP06
4B117LP14
(57)【要約】
【課題】ザラツキの少ない食感が得られるパンプキンシードタンパク含有飲料を提供する。
【解決手段】パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤、とを含有するパンプキンシードタンパク含有飲料である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、を含有することを特徴とするパンプキンシードタンパク含有飲料。
【請求項2】
請求項1に記載のパンプキンシードタンパク含有飲料であって、
前記パンプキンシードタンパク含有飲料に含まれる粒子のメジアン径が、30μm以下であることを特徴とするパンプキンシードタンパク含有飲料。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパンプキンシードタンパク含有飲料であって、
前記酵素は、セルラーゼを含むことを特徴とするパンプキンシードタンパク含有飲料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のパンプキンシードタンパク含有飲料であって、
前記安定剤は、結晶セルロースと、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギナンのうち少なくとも1つと、を含むことを特徴とするパンプキンシードタンパク含有飲料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のパンプキンシードタンパク含有飲料の製造方法であって、
パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、飲料用溶媒と、を含有する混合液を、加圧下で微粒子化する微粒子化工程を含むことを特徴とするパンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法。
【請求項6】
請求項5に記載のパンプキンシードタンパク含有飲料の製造方法であって、
前記微粒子化工程において、圧力ホモジナイザーを用いて前記混合液を微粒子化することを特徴とするパンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法。
【請求項7】
パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、を含有することを特徴とするパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンプキンシードタンパクを含むパンプキンシードタンパク含有飲料、そのパンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法、およびパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美容、健康意識の高まりにより、単なるダイエットにとどまらず、適度に筋肉がつき、健康的で引き締まった体を作るために、タンパク質を効率的に摂取できる飲食品が求められている。
【0003】
タンパク質は、肉、魚、卵等の動物性タンパク質と、豆類や穀類等の植物性タンパク質とに分類される。動物性タンパク質は、アミノ酸スコアや体内での利用効率が高いものの、肉等の動物性タンパク源は飽和脂肪酸やコレステロールの含有量が高く、過剰摂取により生活習慣病や肥満の引き金となることもある。一方、植物性タンパク質は、動物性タンパク質に比べて脂質やカロリーが少ないため、動物性タンパク質を控え、その減らした分を植物性タンパク質で補うことが提唱されている。植物性タンパク源としては大豆や、醤油、味噌、豆腐、豆乳等の大豆加工食品がよく知られている。例えば、特許文献1には、豆類由来の植物性タンパク質を含有する飲食品が記載されている。
【0004】
植物性タンパクとして、かぼちゃの種から得られるパンプキンシードタンパクがある。パンプキンシードは、栄養価が高く、そのまま食材として利用されることもあるが、飲食品に添加するために微粒子化するには粒が非常に硬く、粒径が細かくなりにくい。このため、粒径が粗いパンプキンシードを飲料に添加すると、口内でザラツキのある食感となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願公開第2020/208734号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ザラツキの少ない食感が得られるパンプキンシードタンパク含有飲料、そのパンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法、およびパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、を含有する、パンプキンシードタンパク含有飲料である。
【0008】
前記パンプキンシードタンパク含有飲料において、前記パンプキンシードタンパク含有飲料に含まれる粒子のメジアン径が、30μm以下であることが好ましい。
【0009】
前記パンプキンシードタンパク含有飲料において、前記酵素は、セルラーゼを含むことが好ましい。
【0010】
前記パンプキンシードタンパク含有飲料において、前記安定剤は、結晶セルロースと、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギナンのうち少なくとも1つと、を含むことが好ましい。前記安定剤は、結晶セルロースと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、を含むことがより好ましい。
【0011】
本発明は、前記パンプキンシードタンパク含有飲料の製造方法であって、パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、飲料用溶媒と、を含有する混合液を、加圧下で微粒子化する微粒子化工程を含む、パンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法である。
【0012】
前記パンプキンシードタンパク含有飲料の製造方法における前記微粒子化工程において、圧力ホモジナイザーを用いて前記混合液を微粒子化することが好ましい。
【0013】
本発明は、パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、を含有する、パンプキンシードタンパク含有飲料用組成物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、ザラツキの少ない食感が得られるパンプキンシードタンパク含有飲料、そのパンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法、およびパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0016】
<パンプキンシードタンパク含有飲料>
本発明の実施の形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料は、パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、を含有する飲料である。
【0017】
本発明者らは、パンプキンシードタンパク含有飲料を作製する際に、パンプキンシードタンパクと酵素と安定剤とを、水等の飲料用溶媒に加えて混合して飲料とすることによって、ザラツキの少ない食感が得られるパンプキンシードタンパク含有飲料を得ることができることを見出した。特に、パンプキンシードタンパク含有飲料に含まれるすべての粒子のメジアン径が30μm以下であることによって、ザラツキの少ない食感が得られる。パンプキンシードタンパクと酵素の併用によって、パンプキンシードタンパクの粒径が細かくなり、ザラツキの少ない食感が得られる。
【0018】
パンプキンシードタンパクは、かぼちゃの種から分離されるタンパク質である。かぼちゃは、ウリ科カボチャ属に属する果菜である。用いるパンプキンシードタンパクは、タンパク質の含有量が60質量%以上のものが好ましく、70質量%以上のものがより好ましい。
【0019】
酵素としては、セルラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ等が挙げられ、ザラツキの少なさ等の点から、セルラーゼが好ましい。
【0020】
安定剤としては、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギナン、ジェランガム、グァーガム、キサンタンガム、アマシードガム、カロブビーンガム、カードラン、サイリウムシードガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、タラガム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ウェランガム、アルギン酸ナトリウム、α化でん粉等が挙げられ、ザラツキの少なさや、殺菌後の分散安定性等の点から、結晶セルロースを主剤として、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギナンのうち少なくとも1つを含むものが好ましく、結晶セルロースを主剤として、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含むものがより好ましい。
【0021】
パンプキンシードタンパク含有飲料に含まれるすべての粒子のメジアン径は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。パンプキンシードタンパク含有飲料に含まれるすべての粒子のメジアン径が30μmを超えると、ザラツキが多い食感となる。パンプキンシードタンパク含有飲料に含まれるすべての粒子のメジアン径は、小さければ小さいほどよいが、下限値は、例えば5μmである。
【0022】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料中のパンプキンシードタンパクの含有量は、飲料の全量に対して、例えば、0.5~10質量%の範囲であり、2~8質量%の範囲であることが好ましい。パンプキンシードタンパク含有飲料中のパンプキンシードタンパクの含有量が飲料の全量に対して0.5質量%未満であると、パンプキンシードタンパクの含有量が低く過ぎる場合があり、10質量%を超えると、十分にザラツキを軽減できない場合がある。
【0023】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料中の酵素の含有量は、飲料の全量に対して、例えば、0.015~0.8質量%の範囲であり、0.08~0.4質量%の範囲であることが好ましい。パンプキンシードタンパク含有飲料中の酵素の含有量が飲料の全量に対して0.015質量%未満であると、パンプキンシードタンパクの微粒子化が不十分となる場合があり、0.8質量%を超えると、夾雑酵素活性の影響により、品質に悪影響を及ぼす場合がある。
【0024】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料中の安定剤の含有量は、飲料の全量に対して、例えば、0.1~5質量%の範囲であり、0.3~3質量%の範囲であることが好ましい。パンプキンシードタンパク含有飲料中の安定剤の含有量が飲料の全量に対して0.1質量%未満であると、分散作用が不十分となり、沈降物が生じる場合があり、5質量%を超えると、粘度が高くなり過ぎる場合がある。
【0025】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料は、タンパク質材料として、パンプキンシードタンパク以外の植物性タンパク、魚類タンパク、魚卵タンパク、鶏卵タンパク、乳類タンパク、甲殻類タンパク、海藻タンパク、微生物藻類タンパク等のタンパクのうち少なくとも1つのその他のタンパク質材料を含んでもよい。他の植物性タンパクとしては、大豆、エンドウ、落花生、ルビナス、キマメ、ナタ豆、ツル豆、インゲン豆、小豆、ササゲ、レンズ豆、イナゴ豆、そら豆、緑豆、ヒヨコ豆、オーツ麦、大麦、小麦、ライ麦、米、トウモロコシ、馬鈴薯、サツマイモ(SWEET POTATO)、チア、キヌア、アルファルファ、麻(ヘンプ)、アーモンド、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、ピスタチオ、パンプキンシード、ココナッツ、グレープシード、金時豆、黒豆、ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、ケール、クランベリー、ザクロ、菜種、ひまわり種子、綿実種子、亜麻(アマニ)、ゴマ等の植物性タンパクが挙げられる。また、植物性タンパク以外に、魚類、魚卵、鶏卵、乳類、甲殻類、海藻、微生物藻類等のタンパクを用いてもよい。これらのその他のタンパク質材料は、1種単独で含んでもよいし、2種以上を混合して含んでもよい。卵、大豆等のタンパク質を含んでもよいが、小麦以外の卵、大豆等のアレルゲンを含まなくても飲料のタンパク質含有量を多くすることができる。
【0026】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料は、マスキング剤を含んでもよい。マスキング剤を含むことによって、パンプキンシードタンパクにある渋味、苦味等を軽減することができる。マスキング剤としては、例えば、イヌリン、サイクロデキストリン、サトウキビ抽出物、香料や、サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム等の人工甘味料等が挙げられ、自然な風味を呈する等の点から、イヌリン、サイクロデキストリンが好ましい。
【0027】
マスキング剤を含む場合のパンプキンシードタンパク含有飲料中のマスキング剤の含有量は、飲料の全量に対して、例えば、0.1~10質量%の範囲であり、0.5~5質量%の範囲であることが好ましい。パンプキンシードタンパク含有飲料中のマスキング剤の含有量が飲料の全量に対して0.1質量%未満であると、パンプキンシードタンパクに起因する渋味や苦味が生じる場合があり、10質量%を超えると、味が悪くなる場合がある。
【0028】
パンプキンシードタンパク含有飲料としては、飲むことによって摂取する液状の食品であればよく、特に制限はないが、清涼飲料水、果汁入り飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料等の形態が挙げられる。飲料用溶媒としては、水、牛乳、豆乳、コーヒー、紅茶等が挙げられ、脂質、カロリーが少ない等の点から水が好ましい。
【0029】
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0030】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料は、パンプキンシードタンパク、酵素、安定剤、マスキング剤、その他のタンパク質材料の他に、糖類、脂質、食物繊維、乳化剤、香料等の他の成分を含んでもよい。
【0031】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料において、その他の成分の配合量は、各種飲料の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0032】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料は、ザラツキの少ない食感が得られる飲料である。
【0033】
<パンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法>
本発明の実施の形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法は、水等の飲料用溶媒にパンプキンシードタンパクと酵素と安定剤とを添加して飲料を作製する方法である。飲料の作製方法は、各種飲料の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0034】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料の作製方法は、例えば、パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、飲料用溶媒と、を含有する混合液を、加圧下で微粒子化する微粒子化工程を含む方法である。パンプキンシードタンパクと酵素を併用して、加圧下で微粒子化することによって、パンプキンシードタンパクの粒径を細かくすることができる。この際、安定剤を用いることによって、水等の飲料用溶媒とパンプキンシードタンパクとが分離して沈降物が生成するのを抑制することができ、また、加圧下で微粒子化するための装置の配管等が閉塞するのを抑制することができる。
【0035】
加圧下で微粒子化する方法としては、例えば、圧力ホモジナイザーを用いる方法、加圧噴霧式真空脱気装置を用いる方法、高圧湿式微粒化装置を用いる方法等が挙げられる。これらのうち、均質な安定した乳剤を得ることができる等の点で、圧力ホモジナイザーを用いる方法が好ましい。
【0036】
圧力ホモジナイザーは、シリンダー等の中で、加圧下で分散液を、狭い隙間を通すことによって液体中の物質を微粒子化する装置である。圧力ホモジナイザーを用いることによって、液体を微粒子化して略均質な安定した乳剤を得ることができる。
【0037】
圧力ホモジナイザーの分散条件は、例えば、3~75℃で、5~200MPaの圧力であり、好ましくは、20~60℃で、10~100MPaの圧力である。
【0038】
微粒子化工程後に、必要に応じて、各種飲料の製造の常法に従い加熱殺菌処理等を行ってもよい。
【0039】
このようにして、ザラツキの少ない食感が得られるパンプキンシードタンパク含有飲料を得ることができる。
【0040】
<パンプキンシードタンパク含有飲料用組成物>
本発明の実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物は、パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、を含有する組成物である。パンプキンシードタンパク含有飲料用組成物は、マスキング剤を含んでもよい。
【0041】
パンプキンシードタンパク、酵素、安定剤、マスキング剤については、上記の通りである。
【0042】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物において、タンパク質材料として、パンプキンシードタンパク以外の上記植物性タンパク等のタンパク質材料のうち少なくとも1つを含んでもよい。これらのその他のタンパク質材料は、1種単独で含んでもよいし、2種以上を混合して含んでもよい。
【0043】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物において、パンプキンシードタンパク、酵素、安定剤、マスキング剤、その他のタンパク質材料の他に、糖類、脂質、食物繊維、乳化剤、香料等の他の成分を含んでもよい。
【0044】
パンプキンシードタンパク含有飲料用組成物において、酵素の配合量は、パンプキンシードタンパクの量に対して、例えば、0.15~160質量%の範囲であり、0.8~25質量%の範囲であることが好ましい。安定剤の配合量は、パンプキンシードタンパクの量に対して、例えば、1~1000質量%の範囲であり、3~150質量%の範囲であることが好ましい。マスキング剤を含む場合、マスキング剤の配合量は、パンプキンシードタンパクの量に対して、例えば、1~2000質量%の範囲であり、5~250質量%の範囲であることが好ましい。
【0045】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物において、その他のタンパク質材料およびその他の成分の配合量は、パンプキンシードタンパク含有飲料用組成物全体の量に対して、例えば、0~100質量%の範囲であり、0~20質量%の範囲であることが好ましい。
【0046】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物の形態は特に制限されず、例えば、顆粒状、粉末状、固形状等のいずれの形態であってもよい。
【0047】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物を、水、牛乳等の上記飲料用溶媒と混合、撹拌することによって、パンプキンシードタンパク含有飲料を得ることができる。特に、上記の通り、パンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤と、飲料用溶媒と、を含有する混合液を、加圧下で微粒子化することによって、ザラツキの少ない食感が得られるパンプキンシードタンパク含有飲料を得ることができる。
【0048】
本実施形態に係るパンプキンシードタンパク含有飲料用組成物を上記飲料用溶媒に混合することによって得られるパンプキンシードタンパク含有飲料に含まれるすべての粒子の殺菌後のメジアン径は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
【実施例0049】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
<実施例1~3、比較例1>
[パンプキンシードタンパク含有飲料の作製]
表1に示す配合量(質量部)で、水に安定剤(結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとカラギナンの混合物)、パンプキンシードタンパク、殺菌処理のときの退色防止剤としてL-アスコルビン酸ナトリウムを予め混合したものを加えた。これを50℃まで湯せんにより加熱して得たタンパク液に、酵素液(セルラーゼ0.8質量%含有水溶液)を表2に示す配合量(質量部)で加えた。この混合液を50℃に設定したインキュベーターで1時間または2時間静置した。湯せんで90℃達温後5分間加熱し、5℃の冷蔵庫で12時間以上冷蔵後、得られた飲料について10名のパネラーにより飲料のザラツキを下記基準で評価した。結果を表3に示す。
【0051】
[評価基準]
(ザラツキ)
1:ザラツキが非常に少ない
2:ザラツキが少ない
3:ザラツキがやや少ない
4:ザラツキがある
5:ザラツキが非常に多い
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
<実施例4>
[パンプキンシードタンパク含有飲料の作製]
表1に示すタンパク液3を50℃まで湯せんにより加熱して得たタンパク液に、酵素液(セルラーゼ0.8質量%含有水溶液)を実施例3と同じ配合量(質量部)で加えた。この混合液を50℃に設定したインキュベーターで2時間静置した。50MPaの条件で圧力ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、LAB1000)を用いて微粒子化を行った。その後、121℃、20分の条件でレトルト殺菌機(株式会社平山製作所製、LM-42MIII型)を用いて殺菌処理を行った。得られた飲料についてザラツキを上記基準で評価した。さらに、レーザ回析/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、LA-960型)を用いて、パンプキンシードタンパク含有飲料についてメジアン径を測定した。
【0056】
実施例4で作製した飲料については、ザラツキがほとんどなかった。5℃の冷蔵庫内で保管したときに沈降は起こるが、振ることでほぼ均一になるので問題はないと判断した。パンプキンシードタンパク含有飲料に含まれるすべての粒子のメジアン径は、9.7μmであった。
【0057】
<実施例5、比較例2>
[パンプキンシードタンパク含有飲料の作製]
表4に示す配合量(質量部)で、水に安定剤、パンプキンシードタンパク、L-アスコルビン酸ナトリウム、マスキング剤としてイヌリンおよびサイクロデキストリンを予め混合したものを加えた。これを50℃まで湯せんにより加熱して得たタンパク液に、酵素液(セルラーゼ0.8質量%含有水溶液)を表5に示す配合量(質量部)で加えた。この混合液を50℃に設定したインキュベーターで2時間静置した。50MPaの条件で圧力ホモジナイザーを用いて微粒子化を行った。その後、121℃、20分の条件でレトルト殺菌機を用いて殺菌処理を行った。得られた飲料について飲料のザラツキを上記基準で評価した。さらに、パンプキンシードタンパク含有飲料についてメジアン径を測定した。
【0058】
【0059】
【0060】
比較例2のように安定剤を含まないと、酵素処理のときに沈降が大きくなった。また、圧力ホモジナイザーにかける際に、圧力が不安定になった。装置が詰まる可能性がある。さらにレトルト加熱殺菌後のタンパクの凝集が非常に多く、飲料用途に適さないと考えられる。パンプキンシードタンパク含有飲料に含まれるすべての粒子のメジアン径は、87.7μmであった。
【0061】
以上の結果より、実施例のようにパンプキンシードタンパクと、酵素と、安定剤とを用いることによって、ザラツキの少ない食感が得られるパンプキンシードタンパク含有飲料を得ることができた。