(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141105
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】収納棚
(51)【国際特許分類】
A47B 77/04 20060101AFI20230928BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20230928BHJP
A47B 46/00 20060101ALI20230928BHJP
E05D 15/58 20060101ALI20230928BHJP
E05F 1/14 20060101ALI20230928BHJP
E05D 15/46 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A47B77/04 A
A47B55/00
A47B46/00 501E
E05D15/58 B
E05F1/14 A
E05D15/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047244
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】高久 秀之
【テーマコード(参考)】
3B067
3B260
【Fターム(参考)】
3B067AA05
3B067AA11
3B260EA00
(57)【要約】
【課題】周囲の構造物に干渉しない開閉の容易な収納棚を提供すること。
【解決手段】収納棚1は、物品を収納する収納空間9の正面側の開口部90に配置され、開口部90を開閉する扉10と、収納空間9の側部に配置される一対の側部部材50と、一対の側部部材50の内側に収納空間9の奥行方向に沿って設けられるガイドレール51と、扉10の裏面に配置され、ガイドレール51内を転動可能なローラー522と、一端が一対の側部部材50に回転可能に連結され、他端が扉10の裏面に連結されるアーム部53と、アーム部53に接続され、アーム部53を介して扉10を収納空間9の内側に付勢する付勢部材54と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する収納空間の正面側の開口部に配置され、前記開口部を開閉する扉と、
前記収納空間の側部に配置される一対の側部部材と、
前記一対の側部部材の内側に前記収納空間の奥行方向に沿って設けられるガイドレールと、
前記扉の裏面に配置され、前記ガイドレール内を転動可能なローラーと、
一端が前記一対の側部部材に回転可能に連結され、他端が前記扉の裏面に連結されるアーム部と、
前記アーム部に接続され、前記アーム部を介して前記扉を前記収納空間の内側に付勢する付勢部材と、を備える、収納棚。
【請求項2】
前記アーム部に接続され、前記扉を開閉する勢いを減衰する減衰部材をさらに備える、請求項1に記載の収納棚。
【請求項3】
前記ガイドレールは、前記収納空間の上部に配置され、
前記ローラーは、前記扉の上端側に接続され、
前記扉の全開状態で、前記扉が前記ガイドレールの上面に重なるように配置される、請求項1又は2に記載の収納棚。
【請求項4】
前記収納空間の上端から前記正面側に下垂する下垂部と、前記下垂部の上端から略水平方向に延びる天面部とを有する断面視略L字型のフレーム材を有し、
前記フレーム材は、前記扉の全開状態で、前記上面に重なった前記扉より上部に配置される、請求項3に記載の収納棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収納する収納棚の扉を開けやすくするため、扉にアーム部を接続するとともに付勢部材で付勢した収納棚が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この収納棚では、扉を上方に押し上げて収納棚の上面に被せるように移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
扉が収納棚の上面より上へ移動すると、収納棚の上方に、別の家具材等が配置されていた場合扉を開けられなくなる。このため、収納棚の設置スペースを、扉を閉じた状態の収納棚よりも大きくとる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、物品を収納する収納空間の正面側の開口部に配置され、前記開口部を開閉する扉と、前記収納空間の側部に配置される一対の側部部材と、前記一対の側部部材の内側に前記収納空間の奥行方向に沿って設けられるガイドレールと、前記扉の裏面に配置され、前記ガイドレール内を転動可能なローラーと、一端が前記一対の側部部材に回転可能に連結され、他端が前記扉の裏面に連結されるアーム部と、前記アーム部に接続され、前記アーム部を介して前記扉を前記収納空間の内側に付勢する付勢部材と、を備える、収納棚に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】本実施形態の収納棚の使用状態を示す図である。
【
図4A】本実施形態の収納棚の扉を閉じた全閉状態の側面断面図である。
【
図4B】本実施形態の収納棚の扉を開いた全開状態の側面断面図である。
【
図5】本実施形態の収納棚を背面側から視た斜視図である。
【
図6】本実施形態の収納棚の扉の開閉時の軌跡を示す図である。
【
図7】他の実施形態の収納棚の扉の開閉時の軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書において、左右方向とは、収納棚1を正面視で見た場合の左右を言う。また、手前とは、使用者に面する正面側を言い、奥とは背面側を言う。奥行方向とは、手前と奥とを結ぶ方向である。
図1に示すように、本実施形態1の収納棚1は、台所の吊戸棚300の下に配置され、吊戸棚300の設置される壁面に固定されている。
図1は、収納棚1の扉10を開けた状態で示している。収納棚1は、内部に物品を収納する収納空間9が形成され、扉10と、フレーム材2と、側部部材3と、底面部材41と、吊部材42と、扉10の開閉機構5と、を有する。
【0008】
フレーム材2は、収納棚1の正面視左右方向に延びる長尺の部材である。フレーム材2は、アルミ等の金属を押出成形した型材である。フレーム材2は、手前側の上部及び下部と、奥側の上部及び下部に配置される。
図2に示すように、フレーム材2は、手前側上部フレーム21と、奥側上部フレーム22と、手前側下部フレーム23と、奥側下部フレーム24と、ハンガー用フレーム25と、を有する。
【0009】
収納空間9は、
図2及び
図3に示すように、フレーム材2で囲まれる内側の空間に形成される。収納空間9の上面210、底面220、背面230は、開放されている。開口部90は、手前側上部フレーム21と手前側下部フレーム23の間に形成される。
【0010】
手前側上部フレーム21は、収納空間9の手前側の上部に延びる。奥側上部フレーム22は、収納空間9の奥側の上部に延びる。
図4Aに示すように、手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22は、断面視略L字型の形状を有し、それぞれ下垂部211、221、と、天面部212、222とを有する。下垂部211、221は、収納棚1の正面側及び背面側で収納空間9の上端から下垂する面であり、L字型の短辺を構成する面である。天面部212、222は、下垂部211、221の上端から略水平方向に延びる面であり、L字型の長辺を構成する面である。
【0011】
手前側下部フレーム23は、収納空間9の手前側の下部に配置される。奥側下部フレーム24は、収納空間9の奥側の下部に配置される。
図4A及び
図4Bに示すように、手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24は、それぞれ断面視ホロー形状に構成され、それぞれ係止用突起231、241を有する。係止用突起231、241は、手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24の収納空間9の内部に面した側面から収納空間9の内部に向かって延出する。係止用突起231、241は、手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24それぞれの長手方向の一端から他端まで延びるように形成される。係止用突起231、241は、後述する底面部材41が係止されるための突起である。
図2に示すように、手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24の収納空間9に対する外側の面を結ぶ距離は、手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22の下垂部211、221を結ぶ距離よりも短くなるように配置されている。手前側上部フレーム21と、奥側上部フレーム22と、手前側下部フレーム23と、奥側下部フレーム24とは、側面視で収納棚の四隅を規定する。
【0012】
手前側下部フレーム23と奥側下部フレーム24との間に底面220が開放されていることで、レードル等の丈の長い器具を、収納棚1から下方にはみ出した状態で収納することができる。よって、収納棚1の高さ方向の寸法をコンパクトにすることができる。奥側上部フレーム22と奥側下部フレーム24との間に背面230が開放されていることで、例えばキッチンの壁面に窓が配置されていたような場合でも、収納棚1を設置することが可能になる。
【0013】
ハンガー用フレーム25は、後述する吊部材42を吊るためのフレームである。ハンガー用フレーム25は、奥側上部フレーム22の下方に配置される。ハンガー用フレーム25は、断面視ホロー形状の長尺の型材である。
【0014】
側部部材3は、フレーム材2の長手方向の端部を連結する板状の部材である。側部部材3は、収納空間9の側部に配置され、収納棚1の長手方向の一方及び他方の端部に向かい合わせて一対配置される。側部部材3は、主側面板31と、補助側面板32と、開閉機構側面部50と、を有する。主側面板31は、一枚の板材で構成される、主側面板31の内側面には、後述する開閉機構5が取り付けられる。主側面板31の上部の内側面には、手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22が固定されている。補助側面板32は、主側面板31の下端部にビスにより接続される主側面板31よりも面積の小さな板である。補助側面板32は、長手方向が収納棚1の奥行方向に沿って延びるように配置される短冊状の板材である。補助側面板32の手前側と奥側の端部に、手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24が固定される。開閉機構側面部50は、主側面板31よりも面積の小さい略長方形の板であり、後述する開閉機構5に設けられる。開閉機構側面部50は、一対の主側面板31に当接して固定される。
【0015】
底面部材41は、手前側下部フレーム23と、奥側下部フレーム24との間に脱着可能に配置される種々の板状の部材である。底面部材41は、奥行方向の寸法が手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24の間に渡されて、係止用突起231、241の上に載るように形成される。底面部材41は、
図2及び
図3に示すように、例えば、鍋蓋用棚板411と、調味料用棚板412と、水切り用棚板413と、を含む。
【0016】
鍋蓋用棚板411は、サイズの異なる鍋蓋を洗った後で立てて置けるように、鍋蓋用棚板411の下端よりも下方に鍋蓋の下端を挿通させて配置可能な貫通溝411aを有して形成される。
図3に示すように、貫通溝411aを鍋蓋の下端が挿通し、鍋蓋の下端は、手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24の下端よりも下方に位置する。
【0017】
調味料用棚板412は、小型の瓶等を置くための板であり、周縁に落下防止の起立面412bを有している。
【0018】
水切り用棚板413は、茶碗等の洗い物を一時的に載置可能な棚板であり、手前側底面4131と、奥側底面4132と、を有する。手前側底面4131は、水切り用棚板413の使用時に手前側に位置する底面であり、奥側底面4132は、使用時の奥側に位置し、手前側底面4131よりも下方に位置する底面である。手前側底面4131と奥側底面4132との間には、段差4133が形成されている。奥側底面4132は、まな板や大皿等、立てて配置したときに上下方向の寸法が高くなるものも置けるように、水切り用棚板413の下端部が、手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24の下端よりも下方に位置する。
【0019】
図3~
図4Bに示すように、鍋蓋用棚板411及び調味料用棚板412は、手前側下部フレーム23及び奥側下部フレーム24の長手方向に沿う縁に、係止用突起231、241の上に係止可能な幅狭の係止縁414を有する。係止縁414は、断面視で下方に向かって開口する略コの字状に形成されている。水切り用棚板413は、手前側底面4131の手前側の端部、奥側底面4132の奥側の端部に、それぞれ係止用突起231、241の上に配置可能な段差面4132a、4133aを有することで、係止用突起231、241に係止されている。鍋蓋用棚板411、調味料用棚板412、及び水切り用棚板413は例示であり、底面部材41の詳細な構成や配置、寸法等は、適宜変更してよい。
【0020】
吊部材42は、ハンガー用フレーム25に係止され、物品を吊り下げて収納可能な種々の部材である。吊部材42は、ハンガー用フレーム25の長手方向に沿うように延び、上端側に、下方に向かって開口した略コの字状の係止部420を有する。係止部420は、底面420aと、奥側面420bと、手前側面420cと、を有する。底面420aは、コの字の閉じた側で延びる平面であり、ハンガー用フレーム25の上面に当接する。奥側面420bは、底面420aの奥側の端部から下方に下垂し、ハンガー用フレームの背面に当接する。手前側面420cは、底面420aの手前側の端部から下方に下垂し、吊り下げる部材に応じた形状の部材が設けられる。例えば、吊部材42は、レードルハンガー421と、布巾ハンガー422と、カトラリー用棚423と、を有する。
【0021】
レードルハンガー421は、係止部420の手前側面420cから延出する複数のフック4211を有する。複数のフック4211は、ハンガー用フレーム25の長手方向に沿って間隔を空けて配置される。フック4211には、お玉やフライ返し、しゃもじ等を吊り下げることが可能である。手前側下部フレーム23と奥側下部フレーム24との間が開放されているので、レードルの長さが収納棚1の上下方向の寸法を越えていても、フック4211に掛けた状態でレードルを保持することができる。
【0022】
布巾ハンガー422は、手前側面420cから手前側に形成される枠状の掛け枠部4221を有する。掛け枠部4221は、布巾を掛けることができる縦長の枠状に形成されている。掛け枠部4221の内側に形成された縦長の貫通孔に、布巾やゴム手袋等を挿通させて掛けることが可能である。
【0023】
カトラリー用棚423は、係止部420の長手方向の両端から下垂する支持部4231と、支持部4231の下端から手前側に延びる棚板4232とを有する。棚板4232は、奥側上部フレーム22と奥側下部フレーム24の上下方向の間の中間に吊り下げられ、長手方向がハンガー用フレーム25の長手方向に沿う略長方形のトレーである。棚板4232には、調味料等を置くことができる。レードルハンガー421、布巾ハンガー422及びカトラリー用棚423は例示であり、吊部材42の詳細な構成や配置、寸法等は、適宜変更してよい。
【0024】
扉10は、収納空間9の正面側の開口部90に配置され、開口部90を開閉する。扉10は、板状部材により構成される。扉10の長手方向の寸法は、一対の側部部材3の内側面を結ぶ距離に対応し、かつ扉10が一対の側部部材3の間で上下に移動可能な隙間を有して配置される。扉10の短手方向の寸法は、側部部材3の下端から上端を結ぶ距離に対応している。扉10は、以下に説明する開閉機構5により移動する。
図5に示すように、扉10は、四周を枠組みする板状の枠材の表側の面に、薄い板材を配置することで構成されている。
図5では、奥側上部フレーム22及び奥側下部フレーム24は、省略して示している。
【0025】
開閉機構5は、扉10を下方から上方に移動させ、扉10を上下に閉じた状態から奥行方向に沿うように姿勢を変更して奥側へ移動させることで扉10を開く。閉じる際は、その反対の動作を行う。開閉機構5は、開閉機構側面部50と、ガイドレール51と、ローラー部52と、アーム部53と、付勢部材54と、減衰部材55と、を有する。
【0026】
開閉機構側面部50は、収納空間9の側部に配置され、側部部材3の主側面板31の内側面に固定される一対の板状の部材である。開閉機構側面部50は、主側面板31に沿って延び、側部部材3の一部を構成する。開閉機構側面部50は、以下に説明するアーム部53、付勢部材54、減衰部材55が固定され、これらを支持する。
【0027】
ガイドレール51は、収納空間9の側面の上部、具体的には一対の側部部材3の内側の上部に、収納空間9の奥行方向に沿って配置される。ガイドレール51は、側部部材3の開閉機構側面部50の上端に当接して配置される。ガイドレール51は、断面視略コの字状の凹部を有し、長手方向が奥行方向に沿う長尺の部材である。ガイドレール51は、側面51aと、上面51bと、下面51cと、屈曲片51dと、を有する。側面51aは、コの字の閉じた側の下面であり、側部部材3に当接して固定される。上面51b及び下面51cは、側面51aの両端から収納空間9の内側に向かって一対起立する面であり、上面51bはガイドレール51が側部部材3に固定された状態の上方で延び、下面51cは下方で延びる。下面51cには、後述するローラー522をガイドするガイド突起が長手方向に沿って形成されている。屈曲片51dは、上面51b及び下面51cの自由端側が、互いに近づくように屈曲することで形成されている。側面51aと上面51b及び下面51cで囲まれる凹部に、後述するローラー部52が転動可能に配置される。屈曲片51dが上面51b及び下面51cの自由端側で内側に屈曲してることで、後述するローラー522が凹部から抜け落ちないようにローラー522を保持する。
【0028】
ローラー部52は、扉10の裏面の上部に配置される。ローラー部52は、ローラー支持部材521と、ローラー522と、を有する。
図5に示すように、ローラー支持部材521は、扉10の裏面にビスにより固定される固定面5211と、固定面5211から直交して側部部材3に沿う方向に延びる支持面5212と、を有し、支持面5212には、ローラー522を回転可能に支持する軸部5213が配置されている。ローラー522は、軸部5213に軸支される車輪である。ローラー522は、ガイドレール51内の凹部に係合する。ローラー支持部材521の固定面5211が扉10に固定されることで、ローラー522が扉10の上端側に接続される。また、支持面5212の側部部材3側の面に、軸部5213に挿通してローラー522が配置されている。ローラー522は、ガイドレール51の上面51b及び下面51cに係合するとともに、屈曲片51dによって収納空間9の内側へずれないようにスライド方向を規制され、ガイドレール51内を転動する。これにより、ローラー部52は、扉10の上端側を収納空間9の手前側から奥側へ前後に移動させることができる。
【0029】
アーム部53は、扉10の裏面の下部に配置される。アーム部53は、アーム本体531と、連結部532と、を有する。アーム本体531は、板状の細長い部材で、扉10と側部部材3とを接続する部材である。アーム本体531は、長手方向の中央部で幅方向の一方が幅広になるように突出することで、略三角形状になっている。アーム本体531は、一端が側部部材3の開閉機構側面部50に回転可能に連結される。アーム本体531と開閉機構側面部50とは、回転軸531aにより接続される。回転軸531aは、扉10を開く際に扉10を回転しながら移動させる支点となる。連結部532は、扉の裏面に配置され、扉10の裏面とアーム本体531とを連結する部材である。連結部532は、扉10の裏面に沿ってビスにより固定される固定面5321と、固定面5321から直交して側部部材3に沿う方向に延びる連結面5322と、を有する。連結面5322に、アーム本体531の他端が回転可能に連結される。
【0030】
付勢部材54は、コイルばねである。付勢部材54は、一端が開閉機構側面部50に、他端がアーム部53のアーム本体531に接続される。付勢部材54は、アーム本体531の長手方向の略中央部付近で、アーム本体531の略三角形状における底面側に接続される。付勢部材54は、アーム部53を開閉機構側面部50に近づけた状態で接続されており、扉10が開かれると、アーム部53を介して扉10を収納空間9の内側に向けて付勢する。
【0031】
減衰部材55は、例えばガススプリング式のダンパである。減衰部材55は、付勢部材54と略平行な位置で、一端が側部部材3の開閉機構側面部50に、他端がアーム部53のアーム本体531に接続されている。減衰部材55は、アーム本体531の長手方向の略中央部付近で、アーム本体531の略三角形状における頂部側に接続される。減衰部材55は、シリンダー551及びロッド552を有する。シリンダー551内には、ガス及びオイルが充填されている。ロッド552は、シリンダーの長手方向に沿って移動可能に配置され、ガスにより、ロッド552の移動が緩やかになるように構成されている。減衰部材55は、扉10を開閉する勢いを減衰し、扉10の開閉時の衝撃を抑制する。
【0032】
図4A、
図4B及び
図6を参照して、扉10の開閉移動について説明する。
図4Aに示すように、扉10が閉じた状態では、ローラー部52のローラー522は、ガイドレール51の最も手前側の端部に位置している。アーム部53のアーム本体531は、側部部材3から下方に延びている。使用者は、扉10の下端に手をかけて扉10を上方へ押し上げる。このとき、手前側下部フレーム23の手前側の端部が、手前側上部フレーム21よりも奥に配置されているので、使用者は、扉10の下端に手をかけやすくなっている。
【0033】
図6は、扉10の回転の軌跡を表した側面図である。扉10の下端が押し上げられると、扉10に接続されているアーム本体531が側部部材3に接続された回転軸531aを中心に上方へ回転する。回転の間、付勢部材54は、アーム本体531の遠位端が、アーム本体531の回転に伴って手前側へ遠ざかっても、収納空間9の内側へ戻ってくるように付勢している。付勢部材54の付勢と同時に、減衰部材55が付勢部材54による付勢力が強くなりすぎないように付勢力を減衰している。
【0034】
扉10がアーム本体531の一端を中心として回転すると、アーム本体531の他端は扉10の下部に接続されているので、扉10の下部の回転に伴って、扉10の上部が収納空間9の奥側へ移動する。同時に、扉10の上部に接続されているローラー522がガイドレール51内で奥側へ向かって転動するので、扉10はスムーズに移動する。最終的に扉10の上端は、ガイドレール51の最も奥側の端部まで移動する。すると、
図4Bに示すように、扉10は略水平方向に延び、扉10の全開状態で、扉10は、ガイドレール51の上面51bに重なるように配置される。
図6に示すように、扉10が回転している間の扉10の上端は、全開状態でガイドレール51の上に重なった状態の扉10の表面を越えて突出している。しかし、収納棚1は、手前側上部フレーム21と奥側上部フレーム22の間に天板等を有さず、手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22の間は開放されている。そして、手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22は、全開状態で、ガイドレール51の上面51bに重なった扉10よりも上部に配置されている。このため、扉10の移動により上端が突出していても、収納棚1の上部に配置された家具、例えば吊戸棚300の底面等に干渉しない。収納空間の上面210、底面220及び背面230に、板材等を設けずに開放されていると、収納棚1は軽量となり、設置が容易になる。上面310が開放されていることで、扉10を開いた状態に移動させる際に、扉10の上端が移動する軌跡を考慮して収納棚1の上端を高く設計する必要がない。
【0035】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。収納棚1を、物品を収納する収納空間9の正面側の開口部90に配置され、開口部90を開閉する扉10と、収納空間9の側部に配置される一対の側部部材3と、一対の側部部材3の内側に収納空間9の奥行方向に沿って設けられるガイドレール51と、扉10の裏面に配置され、ガイドレール51内を転動可能なローラー522と、一端が一対の側部部材3に回転可能に連結され、他端が扉10の裏面に連結されるアーム部53と、アーム部53に接続され、アーム部53を介して扉10を収納空間9の内側に付勢する付勢部材54と、を含んで構成した。アーム部53を回転させながら扉10を下方から上方へ押し上げると、扉10の裏面に配置されたローラー522がガイドレール51内をスライドして奥側へ移動する。このため、扉10を押し上げるか押し下げる一つの動作で、容易に扉を開閉することができる。そして、扉10を開く場合には、扉10が側部部材3に設けられたガイドレール51に沿って収納空間9の奥へ移動するので、扉10が収納棚1の外部に突出することがない。よって、上部に吊戸棚300や他の家具、照明類等が配置されていた場合でも、扉10と他の家具とが干渉せず、コンパクトな空間で設置することができる。
【0036】
本実施形態によれば、アーム部53に接続され、扉10を開閉する勢いを減衰する減衰部材55をさらに含んで構成した。これにより、扉10の開閉が静かでスムーズになる。
【0037】
本実施形態によれば、ガイドレール51を、収納空間9の上部に配置し、ローラー522を、扉10の上端側に接続し、扉10の全開状態で、扉10がガイドレール51の上面51bに重なるように配置させた。これにより、扉10を開いた状態で、最も扉10が収納空間9内にコンパクトに納まる。このため、収納空間9を広くとることができる。同時に、扉10を開いた状態で扉10が収納棚1の上部に突出しない。よって、扉10が周囲の家具類に干渉せず、収納棚1の設置場所の自由度が広がる。
【0038】
本実施形態によれば、収納空間9の上端から正面側に下垂する下垂部211と、下垂部211の上端から略水平方向に延びる天面部212とを有する断面視略L字型のフレーム材2を含んで構成した。フレーム材2の手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22を、扉10の全開状態で、ガイドレール51の上面51bに重なった扉10より上部に配置させた。扉10が開くために回転する際、ガイドレール51の上面51bから上方に突出する扉10の上端は、ガイドレール51と手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22の天面部212、222の間の隙間を移動する。このため、収納棚1の上端を、扉10の移動軌跡に干渉しない範囲で最大限低く配置することができ、収納棚1をコンパクトに形成することが可能となる。
【0039】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
図7に示すように、他の実施形態に係る収納棚1Aでは、フレーム材2は、手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22の代わりに、上面フレーム26を有する。上面フレーム26は、天面部262と、下垂部261と、屈曲片263と、を有する。収納棚1Aでは、収納空間9の上面210は開放されていない。天面部262は、収納空間9の上面210に亘って手前側から奥側へ連続する平坦な面である。下垂部261は、天面部262の手前側及び奥側の端部から下垂する面である。屈曲片263は、下垂部261の下端から、奥行方向の中央部側に向かって屈曲して延びる面である。上面フレーム26は、スチール板を曲げ加工して形成する。このような構成によっても、扉10の上端が回動する軌跡に干渉しない位置に配置することができれば、扉10を収納空間9の内部に配置することができ、収納棚1の外部の構造物の配置に関わらず、収納棚1を配置することが可能になる。加えて、扉10を閉じた状態における収納空間9を広くとることができる。
【0040】
上記実施形態では、開閉機構側面部50は、側部部材3の主側面板31に固定される板状の部材として説明している。しかし、開閉機構側面部50を有さずに、開閉機構5の他の構成部材が主側面板31に直接固定されていてもよい。
【0041】
側部部材3は、上記実施形態では、板状の主側面板31を有している。しかし、側部部材3の構成は、これに限られない。側部部材は、フレーム材2を連結したり、ガイドレール51を設けることができればよい。例えば、側部部材としてフレーム材と同様の長尺の型材を配置したり、格子状の網を配置したりしてもよい。
【0042】
また、アーム部53、付勢部材54及び減衰部材55の形状や配置は、上記実施形態で説明した構成に限られない。付勢部材54及び減衰部材55をアーム本体531に接続する位置は、アーム本体531の長手方向の略中央部付近に限定されない。また、アーム本体531の形状も、例えば長方形や平行四辺形等、他の形状であってもよい。
【0043】
さらに、付勢部材54及び減衰部材55は、それぞれコイルバネとガススプリング式のダンパを例に説明したが、これに限定されない。付勢部材は、アーム部を収納空間側へ付勢することができればよく、ダンパは扉を開閉する勢いを減衰可能であれば、他の構成を有していてもよい。
【0044】
上記実施形態では、手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22は、断面視略L字状であることを例に説明した。しかし、手前側上部フレーム21及び奥側上部フレーム22の断面形状は、L字型に限定されない。矩形でホロー構造を有していてもよく、略三角形状等、いかなる形状であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 収納棚、 3 側部部材、 9 収納空間、 10 扉、 21 手前側上部フレーム(フレーム材)、 22 奥側上部フレーム(フレーム材)、 50 開閉機構側面部(側部部材)、 51 ガイドレール、 51b ガイドレールの上面 53 アーム部、 54 付勢部材、 55 減衰部材、 90 開口部、 211 下垂部、 212 天面部、 522 ローラー