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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141109
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】経糸糊付装置
(51)【国際特許分類】
   D06B 1/14 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
D06B1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047248
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】向出 充希
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB12
3B154BA05
3B154BB32
3B154BB47
3B154BB76
3B154BC01
3B154BC06
3B154BC22
3B154BC47
3B154DA24
3B154DA30
(57)【要約】
【課題】
経糸シートが巻き掛けられる第1のロールと、経糸シートの経路を挟むように第1のロールに外接する第2のロールと、第1のロール及び第2のロールの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置とを備えた経糸糊付装置において、糊液供給装置に対する清掃作業をより容易に行うことができる構成を提供する。
【解決手段】
経糸糊付装置における糊液供給装置が、複数の供給孔を有する糊液供給パイプと、供給孔毎に設けられて糊液供給パイプの取付部に対し取り付けられるノズルユニットとを備え、ノズルユニットが、先端に噴出口を備えるノズル部と、ノズル部が取り付けられると共に糊液供給パイプに取り付けられる基部とで構成され、各ノズルユニットは、基部に対するノズル部の着脱を可能とする着脱構造であって工具を用いること無く前記着脱を行うことが可能に構成された着脱構造を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸シートが巻き掛けられる第1のロールと、前記経糸シートの経路を挟むように前記第1のロールに外接する第2のロールと、前記第1のロール及び前記第2のロールの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置とを備えた経糸糊付装置において、
前記糊液供給装置が、前記第1のロールの軸線方向に沿って延在すると共に前記軸線方向に間隔をおいて複数形成された供給孔を有する糊液供給パイプと、前記供給孔毎に設けられて前記糊液供給パイプに対し取り付けられるノズルユニットとを備え、
前記糊液供給パイプは、前記供給孔に対し設けられて前記ノズルユニットが取り付けられる取付部を含み、
各前記ノズルユニットは、先端に噴出口を備えるノズル部と、前記ノズル部が取り付けられると共に前記糊液供給パイプに取り付けられる基部とで構成され、前記基部に対する前記ノズル部の着脱を可能とする着脱構造であって工具を用いること無く前記着脱を行うことが可能に構成された着脱構造を有する
ことを特徴とする経糸糊付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経糸シートが巻き掛けられる第1のロールと、経糸シートの経路を挟むように第1のロールに外接する第2のロールと、第1のロール及び第2のロールの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置とを備えた経糸糊付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような経糸糊付装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。その特許文献1に開示された経糸糊付装置は、経糸シートが巻き掛けられる駆動ロール(第1のロール)と、経糸シートの経路を挟むように第1のロールに外接する第1支持ロール(第2のロール)と、第1のロール及び第2のロールの外接位置に糊液を供給する糊液供給装置とを備えている。そして、その糊液供給装置は、前記外接位置に糊液を供給するための供給ノズルを備えている。なお、その供給ノズルは、特許文献1には開示されていないが、経糸糊付装置の技術的な観点で考えると、第1のロールの軸線方向(幅方向)に間隔をおいて複数設けられているとみなされる。
【0003】
そして、そのように構成された経糸糊付装置では、糊液供給装置における各供給ノズルを介して前記外接位置に糊液が供給され、第1のロール及び第2のロールの間を経糸シートが通過することで、経糸シートから余分な糊液が搾り出されつつ経糸シートに対する糊付けが行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-2029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記のように供給される糊液は、一般的には高い粘度を有している。そのため、供給ノズルにおいては、ノズル先端部から供給される糊液の一部がその先端部に滞留して徐々に凝固し、糊の塊となって付着した状態となる場合がある。さらに、そのままの状態で糊液の供給を継続すると、糊の塊が徐々に大きくなり、その糊の塊がノズル先端部から剥がれ落ちてしまう場合がある。そして、そのように糊の塊が落ちてしまうと、その糊の塊が経糸シートに付着し、経糸シートへの糊付け品質の低下を招いてしまう。そこで、経糸糊付装置においては、作業者によって定期的にノズル先端部に滞留した糊の塊を除去する清掃作業を行う必要がある。
【0006】
しかし、前記清掃作業は、作業者がロール部材や配管等の他の構成要素を回避しつつ行わなければならず、前記幅方向に並設された複数の供給ノズルのうちの中央付近に位置する供給ノズルに対しては、そのノズルへのアクセス性が非常に悪く、作業性が極めて悪いものとなっていた。また、前記外接位置の近傍で前記清掃作業が行われることとなるため、作業者がノズル先端部から除去した糊の塊を前記外接位置に落としてしまうといった虞もある。
【0007】
そこで、本発明は、糊液供給装置に対する前記清掃作業をより容易に行うことができる経糸糊付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明は、前述のような経糸糊付装置を前提とし、その経糸糊付装置における糊液供給装置が、第1のロールの軸線方向に沿って延在すると共にその軸線方向に間隔をおいて複数形成された供給孔を有する糊液供給パイプと、供給孔毎に設けられて糊液供給パイプに対し取り付けられるノズルユニットとを備え、糊液供給パイプは、供給孔に対し設けられてノズルユニットが取り付けられる取付部を含み、各ノズルユニットは、先端に噴出口を備えるノズル部と、ノズル部が取り付けられると共に糊液供給パイプに取り付けられる基部とで構成され、基部に対するノズル部の着脱を可能とする着脱構造であって工具を用いること無く前記着脱を行うことが可能に構成された着脱構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による経糸糊付装置によれば、その経糸糊付装置における糊液供給装置は、糊液供給パイプにおける供給孔毎に設けられるノズルユニットが、先端に噴出口を備えるノズル部を糊液供給パイプに対して工具を用いること無く着脱を行うことが可能に構成された着脱構造を有するように構成されている。それにより、ノズルユニットにおいて前記清掃作業が必要となるノズル部を糊液供給パイプから取り外した状態とすることができるため、前記清掃作業が格段に行い易いものとなる。また、前記清掃作業にあたっての着脱作業を、工具を用いること無く行うことが可能であるため、その作業性も非常に良いものとなる。
【0010】
さらに、ノズル部を糊液供給パイプから取り外した状態とすることができるようにしたことで、前記外接位置から離れた位置(経糸糊付装置外)で前記清掃作業を行うことが可能となる。それにより、ノズル部の先端から除去した糊の塊を前記外接位置に落としてしまうといった可能性も確実に排除される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る一実施形態における経糸糊付装置の側面図である。
図2】本発明に係る一実施形態における経糸糊付装置の正面図である。
図3】本発明に係る一実施形態における糊液供給装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下では、図1図3に基づき、本発明が適用された経糸糊付装置の一実施形態(実施例)について説明する。
【0013】
経糸糊付装置1は、糊液Sを貯留する糊付け槽3と、経糸シートTが巻き掛けられると共に糊液Sに浸されるサイジングロール11と、サイジングロール11に外接する第1のスクイズロール13及び第2のスクイズロール15とを備えている。また、経糸糊付装置1は、サイジングロール11と第1のスクイズロール13との外接位置に上方から糊液Sを供給する糊液供給装置20も備えている。なお、本実施例では、サイジングロール11が本発明で言う第1のロールに相当し、第1のスクイズロール13が第2のロールに相当する。
【0014】
サイジングロール11は、経糸シートTが巻き掛けられるロールであり、その両端に取り付けられた支軸12、12により、経糸糊付装置1におけるフレーム(図示略)に対し回転可能に支持されている。そして、サイジングロール11は、その下部が糊付け槽3内に貯留された糊液Sに浸された状態となるように設けられている。
【0015】
なお、経糸糊付装置1は、サイジングロール11を回転駆動する駆動機構(図示略)を備えている。それにより、サイジングロール11は、経糸シートTの進行に合わせて積極的に回転駆動される。そして、経糸シートTは、サイジングロール11に巻き掛けられるかたちで案内されており、そのように案内される過程で糊液Sに浸されて糊液Sが含浸された状態となる。
【0016】
第2のスクイズロール15は、その経糸シートTに含浸された糊液Sを搾るためのものであって、サイジングロール11に対する前側に位置する配置で設けられている。また、第2のスクイズロール15は、その軸線方向をサイジングロール11の軸線方向(経糸糊付装置1の幅方向)と一致させた向きで、その両端に取り付けられた支軸16、16によって前記フレームに対し回転可能に支持されている。なお、第2のスクイズロール15は、押圧機構(図示略)を介して前記フレームに対し支持されており、サイジングロール11に対し押圧された状態で外接するように設けられている。したがって、第2のスクイズロール15は、前記のようにサイジングロール11が回転駆動されるのに伴い、従動回転するようになっている。
【0017】
そして、前記のようにサイジングロール11に巻き掛けられた経糸シートTは、前記のように外接するサイジングロール11と第2のスクイズロール15との間を通過した後、外部へ向けて引き出される。また、そのようにサイジングロール11と第2のスクイズロール15との間を通過する際に、前記のように糊液Sが含浸された経糸シートTから余分な糊液Sが搾られる。
【0018】
第1のスクイズロール13は、サイジングロール11に対する後側に位置する配置で設けられている。そして、その第1のスクイズロール13も、その軸線方向を前記幅方向と一致させた向きで、その両端に取り付けられた支軸14、14によって前記フレームに対し回転可能に支持されている。また、第1のスクイズロール13も、第2のスクイズロール15と同様に、前記押圧機構を介して前記フレームに対し回転可能に支持され、サイジングロール11に対し押圧された状態で外接している。したがって、第1のスクイズロール13も、サイジングロール11が回転駆動されるのに伴い、従動回転するようになっている。
【0019】
なお、そのようにサイジングロール11に対し第1のスクイズロール13が外接することで、サイジングロール11と第1のスクイズロール13との間(外接位置の上側)に楔状の間隙である楔状領域が形成された状態となる。その上で、糊液供給装置20は、その楔状領域に向けて糊液Sを供給するように、その楔状領域の上方に設けられている。そして、その糊液供給装置20を介して楔状領域に糊液Sが供給されることで、その楔状領域において、糊液Sが溜められた糊液溜まり18が形成される。
【0020】
その上で、経糸シートTは、第1のスクイズロール13に巻き掛けられるかたちで案内され、前記のように外接するサイジングロール11と第1のスクイズロール13との間を通過した後、前記のようにサイジングロール11に巻き掛けられる。そして、そのように両ロール間に形成された糊液溜まり18を経糸シートTが通過することで、その経糸シートTに対し糊液Sが含浸された状態となる。そして、そのように糊液Sが含浸された経糸シートTがサイジングロール11と第1のスクイズロール13との間を通過する際に、経糸シートTから余分な糊液Sが搾られる。
【0021】
以上のような経糸糊付装置1において、本発明では、糊液供給装置が、第1のロールの軸線方向に沿って延在すると共に前記軸線方向に間隔をおいて複数形成された供給孔を有する糊液供給パイプと、供給孔毎に設けられて糊液供給パイプに対し取り付けられるノズルユニットとを備えるように構成される。そして、その糊液供給装置は、各ノズルユニットが、先端に噴出口を備えるノズル部と、ノズル部が取り付けられると共に糊液供給パイプに取り付けられる基部とで構成され、基部に対するノズル部の着脱を可能とする着脱構造であって工具を用いること無く前記着脱を行うことが可能に構成された着脱構造を有するように構成されている。その上で、本実施例は、各ノズルユニットが、基部とノズル部との間に前記した着脱構造が設けられるように構成された例である。そのような本実施例の経糸糊付装置1について、以下で詳しく説明する。
【0022】
糊液供給パイプ30は、管状を成しており、その長さ寸法がサイジングロール11における前記幅方向の寸法よりも若干大きい寸法であるように形成されている。そして、その糊液供給パイプ30は、その軸線方向が前記幅方向と平行を成す(サイジングロール11の軸線方向に沿って延在する)ような向きで、楔状領域の上方に設けられている。なお、糊液供給パイプ30は、経糸糊付装置1の前後方向に関しては、前記幅方向に見て、前記外接位置よりも若干第1のスクイズロール13側に位置するように設けられている。また、糊液供給パイプ30は、前記幅方向に関しては、その中央をサイジングロール11の中央に略一致させるように設けられている。したがって、糊液供給パイプ30は、前記幅方向に関し、サイジングロール11の存在範囲に亘って存在している。
【0023】
また、糊液供給パイプ30は、その周壁を貫通して外周面に開口する供給孔31を有している。また、その供給孔31は、前記幅方向に間隔を置いて複数形成されている。さらに、糊液供給パイプ30は、各供給孔31の位置で、外周面における供給孔31の周囲から半径方向に突出するように形成された筒状の取付部32を有している。したがって、糊液供給パイプ30は、その内部の空間と各取付部32内の空間とが各供給孔31を介して連通された構成となっている。
【0024】
そして、糊液供給パイプ30は、その取付部32及び供給孔31が前記前後方向における前側(第1のスクイズロール13に対するサイジングロール11側)を向くかたちで、経糸糊付装置1に設けられている。なお、その糊液供給パイプ30の取り付けは、図示しないブラケット等を介して行われている。また、糊液供給パイプ30には、一方の端部に供給管7が接続されており、その供給管7を介して供給源5から糊液Sが供給されるようになっている。
【0025】
ノズルユニット40は、糊液供給パイプ30の取付部32毎に、取付部32に取り付けられるかたちで設けられている。その各ノズルユニット40は、取付部32に取り付けられる部分であるエルボ41と、本発明における着脱構造を構成する流体カプラ43と、糊液Sの噴出口を含むノズル44と、エルボ41及び流体カプラ43の間に介装されるボールバルブ42とで構成されている。ノズルユニット40の各構成要素について、詳しくは、以下の通り。
【0026】
エルボ41は、管状の部材であって、その中央部分で略90°に屈曲する形状に形成された部材である。そして、エルボ41は、ノズルユニット40において、前記した糊液供給パイプ30における取付部32に対し取り付けられる部分である。また、その取り付けは、ネジ接続で行われるようになっている。そこで、エルボ41の一端部には、その内周面に雌ネジが形成されている。一方で、糊液供給パイプ30における取付部32の外周面には、エルボ41の雌ネジ部分が螺合する雄ネジが形成されている。
【0027】
流体カプラ43は、メス型部材であるカプラソケット43aとオス型部材であるカプラプラグ43bとで構成されている。その流体カプラ43は、それ自体は周知の構成であることから図示及び詳細な説明は省略するが、カプラソケット43aの挿入孔内にカプラプラグ43bの接続端を押し込むことで、カプラプラグ43bの外周に形成された溝部に対し挿入孔内に配置された複数のボール部材(図示略)が係合した状態となるように構成されている。また、カプラソケット43aにはロック機構(図示略)が設けられており、そのロック機構によって溝部に対する各ボール部材の位置が固定された状態(ロック状態)となるように、その流体カプラ43は構成されている。そして、そのように各ボール部材の位置が固定されることで、カプラソケット43aに対しカプラプラグ43bが挿入されて連結された状態が固定されるようになっている。
【0028】
また、その流体カプラ43においては、カプラソケット43aにおけるロック機構は、作業者が手動で(工具を用いること無く)操作してそのロック状態を解除することが可能であるように構成されている。具体的には、ロック機構を手動でスライドさせることができるようになっており、ロック機構をスライドさせることで、各ボール部材の位置を固定した状態が解除されるように構成されている。そして、そのようにロック機構によるロック状態を解除することで、カプラソケット43aとカプラプラグ43bとの連結状態が解除できるようになっている。このように、流体カプラ43は、カプラソケット43aに対するカプラプラグ43bの着脱(連結及びその解除)を、工具を用いることなく行うことが可能なものとなっている。
【0029】
また、本実施例のノズルユニット40は、糊液供給パイプ30から供給される糊液Sの噴出状態を変更(噴出量の調整、噴出のON/OFFの切り替え)するための構成としてボールバルブ42を備えている。そして、そのボールバルブ42は、エルボ41と流体カプラ43のカプラソケット43aとの間に介装されるかたちで設けられている。言い換えれば、ノズルユニット40は、エルボ41の他端部(糊液供給パイプ30の取付部32に取り付けられる一端部とは反対側の端部)にボールバルブ42がその一端部において連結固定されると共に、ボールバルブ42の他端部に流体カプラ43がカプラソケット43aにおいて連結固定されるかたちで構成されている。
【0030】
また、ノズルユニット40においては、糊液Sを噴出させる部分であるノズル44が備えられており、そのノズル44が流体カプラ43(カプラプラグ43b)の先端に取り付けられるかたちで設けられている。そのノズル44は、貫通孔を有する筒状の部材であり、カプラプラグ43bの先端部に対し外嵌されるかたちでカプラプラグ43bに取り付けられる。また、ノズル44における前記貫通孔は、糊液Sの噴出口となる一端部44aの内径が、カプラプラグ43bに外嵌される他端部の内径よりも小径であるように形成されている。
【0031】
そして、そのようなエルボ41、ボールバルブ42、流体カプラ43、及びノズル44が組み合わされて構成されたノズルユニット40は、ノズル44の噴出口44aが下方を向くような向きで、エルボ41において糊液供給パイプ30における取付部32に取り付けられる。さらに、各ノズルユニット40は、そのように糊液供給パイプ30に取り付けられた状態で、前記した楔状領域の上方に位置するかたちで経糸糊付装置1上において設けられた状態となる。なお、そのように設けられるノズルユニット40においては、ノズル44及びカプラプラグ43bの組み合わせが本発明におけるノズル部に相当し、エルボ41、ボールバルブ42、及びカプラソケット43aの組み合わせが本発明における基部に相当する。そして、その基部50に対してノズル部52を着脱可能とする流体カプラ43(カプラソケット43a及びカプラプラグ43b)の構成が着脱構造に相当する。
【0032】
そして、そのような経糸糊付装置1においては、糊液供給パイプ30を介して糊液Sが供給されることで、その糊液Sが各ノズルユニット40におけるノズル44の噴出口44aから噴出されて楔状領域に供給されることとなる。そして、楔状領域に糊液Sが供給されることで、その楔状領域において、糊液Sが溜められた糊液溜まり18が形成される。
【0033】
以上のように構成された本実施例の経糸糊付装置1によれば、ノズルユニット40における流体カプラ43のカプラプラグ43bとカプラソケット43aとの連結状態を解除することで、ノズル44を含むノズル部52を、糊液供給パイプ30に取り付けられた基部50から取り外した状態とすることができる。それにより、清掃作業が必要なノズル44(ノズル部52)を糊液供給パイプ30から取り外した状態とすることができるため、その清掃作業が格段に行い易いものとなる。さらに、その清掃作業を前記外接位置から離れた位置(経糸糊付装置外)で行うことが可能となるため、ノズル44の先端部から除去した糊の塊を前記外接位置に落としてしまうといった可能性を確実に排除できる。しかも、工具を用いること無くそのノズル44の着脱作業を行うことができるようになっているため、その作業を非常に容易に行うことができる。
【0034】
なお、本実施例のノズルユニット40においては、ノズル44は、図3において拡大して示すように、その噴出口44aの先端部分におけるその内周縁44a1が全周に亘り若干丸みを帯びたかたちに形成されている。それにより、ノズル44の噴出口44aの先端部分において糊液Sが滞留し難いものとなるため、前記した清掃作業の回数を低減させることができる。
【0035】
以上では、本発明が適用された経糸糊付装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明は、前記実施例において説明した構成に限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0036】
(1)ノズルユニットについて、前記実施例では、ノズルユニット40は、エルボ41、ボールバルブ42、流体カプラ43、及びノズル44を組み合わせて構成されており、糊液供給パイプ30に対して取り付けられるエルボ41、流体カプラ43におけるカプラソケット43a、及びエルボ41とカプラソケット43aとの間に介装されるボールバルブ42の組み合わせにより、ノズルユニット40における基部が構成されている。しかし、本発明においては、ノズル部が着脱可能に取り付けられると共に糊液供給パイプに取り付けられる基部は、前記実施例のように複数の部材を組み合わせて構成されたものには限られず、単一の部材で構成されたものであっても良い。
【0037】
例えば、前記実施例で述べた流体カプラのカプラソケットを糊液供給パイプ(取付部)に対して取り付け、そのカプラソケットが単体で基部に相当するものとしても良い。その場合、基部に対して取り付けられるノズル部は、カプラソケットに連結されるカプラプラグに対し、適当な配管等を介してノズルが取り付けられるかたちで構成されたものとなる。そして、その場合のノズルユニットは、ノズル部の着脱が糊液供給パイプの直近で行われるように構成されたものとなる。
【0038】
また、ノズル部について、前記実施例では、流体カプラ43におけるカプラプラグ43bとノズル44との組み合わせによってノズル部が構成されている。しかし、本発明においては、ノズル部は、そのように複数の部材を組み合わせて構成されたものには限られず、単一の部材で構成されても良い。具体的には、前記実施例の例で言うと、カプラプラグに相当する部分とノズルに相当する部分とが単一の部材に含まれるように一体成形された部材をノズル部としても良い。
【0039】
また、前記実施例では、ノズル部は、そのノズル44における噴出口44aの先端部分の内周縁44a1が全周に亘り若干丸みを帯びたかたちに形成されている。しかし、本発明において、ノズル部における噴出口の先端部分(特に内周縁)の形状は特に限定されない。例えば、ノズル部は、その先端部分における内周縁が面取り等の加工が施されたかたちに形成されても良いし、そのような加工が施されていないかたちに形成されても良い。
【0040】
(2)ノズルユニットにおける着脱構造について、前記実施例では、流体カプラにより、その着脱構造が構成されている。しかし、本発明において、着脱構造は、そのような流体カプラを用いたものには限られない。例えば、その構造として、継手の接続端に形成されるフランジ同士をクランプで締め付けて固定するへルール継手を採用し、そのへルール継手によりノズルユニットにおける着脱構造が構成されるようにしても良い。また、工具を用いずに(手作業で)管体を連結状態とし、且つその連結状態を解除できるものであれば、他の構造であっても良い。
【0041】
(3)糊液供給装置について、前記実施例では、糊液供給装置20における糊液供給パイプ30が、取付部32を前記前後方向における前側に向けるかたちで設けられると共に、前記幅方向に見て、前記外接位置よりも若干第1のスクイズロール13側に位置するように設けられている。そして、そのように設けられた糊液供給パイプ30に対しノズルユニット40が取り付けられることで、ノズル部の噴出口44aが楔状領域の上方に位置するようになっている。このように、ノズル部の噴出口の位置は、ノズルユニット自体の構成(例えば、糊液供給パイプに取り付けられる基部の大きさ)だけで無く、ノズルユニットが取り付けられる糊液供給パイプの前記前後方向における位置や取付部の向きに応じた位置とされる。
【0042】
その上で、本発明においては、ノズルユニットにおけるノズル部の噴出口が前記前後方向において楔状領域の上方に位置した状態となるように糊液供給装置が構成されていれば良い。したがって、本発明の糊液供給装置は、前記したノズルユニットの構成や、前記前後方向における糊液供給パイプの位置や向きを、前記のように噴出口の位置を楔状領域の上方の位置とすることが可能な範囲で、適宜な構成とすることが可能である。
【0043】
(4)前提となる経糸糊付装置について、前記実施例の経糸糊付装置1は、サイジングロール11が糊付け槽3内の糊液Sに浸され、第1、第2の2つのスクイズロール13、15が経糸シートTの経路を挟むようにサイジングロール11に外接するかたちで設けられるように構成されたものとなっている。しかし、本発明が適用される経糸糊付装置は、そのように構成されたものに限られない。
【0044】
例えば、経糸糊付装置は、サイジングロールに加え、第2のスクイズロールも糊付け槽の糊液Sに浸されるように構成されていても良い。但し、その場合の糊付け槽は、前記前後方向においてサイジングロール及び第2のスクイズロールを包含するような大きさのものとされる。また、経糸糊付装置は、第2のスクイズロールのみが糊付け槽の糊液Sに浸されるように構成されていても良い。
【0045】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 経糸糊付装置
3 糊付け槽
5 供給源
7 供給管
11 サイジングロール
12 支軸
13 第1のスクイズロール
14 支軸
15 第2のスクイズロール
16 支軸
18 糊液溜まり
20 糊液供給装置
30 糊液供給パイプ
31 供給孔
32 取付部
40 ノズルユニット
41 エルボ
42 ボールバルブ
43 流体カプラ
43a カプラソケット
43b カプラプラグ
44 ノズル
44a 噴出口
44a1 内周縁
50 基部
52 ノズル部
S 糊液
T 経糸シート
図1
図2
図3