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特開2023-141118印刷装置、制御方法、プログラム、および印刷システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141118
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】印刷装置、制御方法、プログラム、および印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20230928BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230928BHJP
   H04L 65/1069 20220101ALI20230928BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B41J29/00 E
H04N1/00 127B
H04L65/1069
B41J29/38 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047260
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】瑞慶覧 亜希
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061BB10
2C061CG02
2C061CG15
2C061HJ08
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP00
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA37
5C062AB38
5C062AB53
5C062AC42
(57)【要約】
【課題】iOS端末における使い勝手を向上させた技術を提供する。
【解決手段】無線端末と通信する印刷装置であって、前記無線端末とブルートゥース(登録商標)によるコネクションを確立する無線通信部と、前記無線通信部により確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷部と、を備え、前記無線通信部は、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と通信する印刷装置であって、
前記無線端末とブルートゥースによるコネクションを確立する無線通信部と、
前記無線通信部により確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷部と、
を備え、
前記無線通信部は、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である、印刷装置。
【請求項2】
前記無線通信部は、前記一の無線端末から印刷データを受信してから、前記印刷部により印刷するまでの印刷処理期間以外に、前記他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立する請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記無線通信部は、前記印刷処理期間に前記他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合には、前記一の無線端末とのコネクションを切断せず、さらに前記他の無線端末とのコネクションを確立しない請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記無線端末は、オペレーティングシステムとしてiOSを用いており、
前記無線通信部は、前記印刷データを受信するためのコネクションとして、Bluetooth Classicによるコネクションを確立し、コネクションの確立要求を受信するためのコネクションとして、Bluetooth Low Energyによるコネクションを確立する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
無線端末と通信する印刷装置の制御方法であって、
前記無線端末とブルートゥースによるコネクションを確立する無線通信ステップと、
前記無線通信ステップにより確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷ステップと、
を備え、
前記無線通信ステップは、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である、制御方法。
【請求項6】
無線端末と通信する印刷装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記無線端末とブルートゥースによるコネクションを確立する無線通信部と、
前記無線通信部により確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷部と、
して機能させ、
前記無線通信部は、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である、プログラム。
【請求項7】
無線端末と、前記無線装置と通信する印刷装置とを含む印刷システムであって、
前記印刷装置は、
前記無線端末とブルートゥースによるコネクションを確立する無線通信部と、
前記無線通信部により確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷部と、
を備え、
前記無線通信部は、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、制御方法、プログラム、および印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オペレーティングシステムにiOS(登録商標)を用いたスマートフォンやタブレットなどの端末(「iOS端末」と表現する)がある。このiOS端末では、Bluetooth(ブルートゥース:登録商標)による通信が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-012443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のiOS端末が1つの印刷装置をBluetoothによる通信を用いて利用するケースがある。このケースにおいて、1つのiOS端末が印刷装置とBluetooth Classicによるコネクションが確立している状態では、他のiOS端末は印刷装置を利用することができない。そのため、印刷装置とBluetooth Classicによるコネクションが確立しているiOS端末において、ユーザがコネクションを切断する操作を行う必要がある。さらに、切断後に他のiOS端末において、接続操作が必要となるなど、使い勝手がよいとは言い難かった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、iOS端末における使い勝手を向上させた技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述の課題に鑑み、本発明の一態様に係る印刷装置は、無線端末と通信する印刷装置であって、前記無線端末とブルートゥースによるコネクションを確立する無線通信部と、前記無線通信部により確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷部と、を備え、前記無線通信部は、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である。
【0007】
(2)本発明の一態様に係る印刷装置において、前記無線通信部は、前記一の無線端末から印刷データを受信してから、前記印刷部により印刷するまでの印刷処理期間以外に、前記他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立する。
【0008】
(3)本発明の一態様に係る印刷装置において、前記無線通信部は、前記印刷処理期間に前記他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合には、前記一の無線端末とのコネクションを切断せず、さらに前記他の無線端末とのコネクションを確立しない。
【0009】
(4)本発明の一態様に係る印刷装置において、前記無線端末は、オペレーティングシステムとしてiOSを用いており、前記無線通信部は、前記印刷データを受信するためのコネクションとして、Bluetooth Classicによるコネクションを確立し、コネクションの確立要求を受信するためのコネクションとして、Bluetooth Low Energyによるコネクションを確立する。
【0010】
(5)上述の課題に鑑み、本発明の一態様に係る印刷方法は、無線端末と通信する印刷装置の制御方法であって、前記無線端末とブルートゥースによるコネクションを確立する無線通信ステップと、前記無線通信ステップにより確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷ステップと、を備え、前記無線通信ステップは、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である。
【0011】
(6)上述の課題に鑑み、本発明の一態様に係るプログラムは、無線端末と通信する印刷装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、前記無線端末とブルートゥースによるコネクションを確立する無線通信部と、前記無線通信部により確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷部と、して機能させ、前記無線通信部は、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である。
【0012】
(7)上述の課題に鑑み、本発明の一態様に係る印刷システムは、無線端末と、前記無線装置と通信する印刷装置とを含む印刷システムであって、前記印刷装置は、前記無線端末とブルートゥースによるコネクションを確立する無線通信部と、前記無線通信部により確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷する印刷部と、を備え、前記無線通信部は、一の無線端末とコネクションが確立された状態で、前記一の無線端末とは異なる他の無線端末からコネクションの確立要求を受信した場合に、前記一の無線端末とのコネクションを切断し、前記他の無線端末とのコネクションを確立可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】印刷システムの構成例を示す図である。
図2】印刷装置の機能構成を表す機能ブロック図である。
図3】無線端末の機能構成を表す機能ブロック図である。
図4】2つの無線端末と印刷装置との処理の流れを示すシーケンス図である。
図5】2つの無線端末と印刷装置との処理の流れを示すシーケンス図である。
図6】印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷システム10の構成例を示す図である。印刷システム10は、印刷装置100と、無線端末200-1、…、200-N(Nは2以上の整数)を含む。以下の説明において、無線端末200-1、…、200-Nのそれぞれ区別しない場合には、無線端末200と表現する。このような印刷システム10として、例えば一つの店舗に複数のスタッフが存在し、それぞれが無線端末200を持って印刷装置100を共有するようなシステムが挙げられる。
【0015】
無線端末200は、そのオペレーティングシステムとしてiOS(登録商標)を用いたスマートフォンやタブレットである。無線端末200と、印刷装置100は、Bluetooth(登録商標)を用いて通信可能である。無線端末200と印刷装置100は、予めBluetoothにおけるペアリングを行っているものとする。無線端末200は、Bluetooth通信により、印刷データを印刷装置100に送信する。印刷データを受信した印刷装置100は、印刷データにもとづき印刷する。
【0016】
図2は、印刷装置100の機能構成を表す機能ブロック図である。印刷装置100は、制御部110、無線通信部120、および印刷部130で構成される。制御部110は、印刷装置100全体を制御する。制御部110は、演算装置111および記憶装置112で構成される。演算装置111は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアである。記憶装置112は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなど、揮発性記憶装置や不揮発性記憶装置である。
【0017】
無線通信部120は、制御部110による制御によって、無線端末とブルートゥース(登録商標)によるコネクションを確立する。無線通信部120は、BTC通信部121、およびBLE通信部122で構成される。BTC通信部121は、Bluetooth Classicによる通信を行う。BLE通信部122は、Bluetooth Low Energyによる通信を行う。以下の説明において、Bluetooth Classicを、「BTC」と表現することがある。また、Bluetooth Low Energyを、「BLE」と表現することがある。また、BTCによる通信を、単にBTC通信と表現し、BLEによる通信を、単にBLE通信を表現することがある。
【0018】
印刷部130は、制御部110による制御により、無線通信部120により確立されたコネクションにより受信された印刷データにもとづき印刷を行う。本実施形態において、印刷部130はサーマルプリンタであるが、インクジェットプリンタや、電子写真式のプリンタであってもよい。なお、上述した印刷装置100の構成例では、本実施形態と直接関係のない構成の一部は省略されている。
【0019】
図3は、無線端末200の機能構成を表す機能ブロック図である。無線端末200は、制御部210、無線通信部220、操作表示部230、および音声入力部240で構成される。制御部210は、無線端末200全体を制御する。制御部210は、演算装置211および記憶装置212で構成される。演算装置211は、CPU、ASIC、FPGA等のハードウェアである。記憶装置112は、RAM、ROM、フラッシュメモリなど、揮発性記憶装置や不揮発性記憶装置である。
【0020】
無線通信部120は、制御部110による制御によって、無線端末とブルートゥース(登録商標)によるコネクションを確立したり、キャリア網との通信を行う。無線通信部120は、BTC通信部221、BLE通信部222、およびキャリア網通信部223で構成される。BTC通信部221は、BTC通信を行う。BLE通信部222は、BLE通信を行う。キャリア網通信部223は、4G(例えばLTE(Long Term Evolution))や、5G回線による通信を行う。
【0021】
操作表示部230は、液晶や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイや、タッチパネルや、ハードキーなどで構成され、ユーザに情報を表示したり、ユーザの操作を受け付ける。音声入出力部240は、スピーカやマイクで構成される。
【0022】
以上説明した構成を踏まえ、以下処理内容について説明する。本実施形態では、無線通信部120は、一の無線端末200とコネクションが確立された状態で、一の無線端末200とは異なる他の無線端末200からコネクションの確立要求を受信した場合に、一の無線端末200とのコネクションを切断し、他の無線端末200とのコネクションを確立可能である。
【0023】
具体的に、シーケンス図を用いて説明する。図4は、2つの無線端末200と印刷装置100との処理の流れを示すシーケンス図である。このシーケンス図に示される処理開始時において、印刷装置100は、いずれの無線端末200ともBTCコネクションが確立されていない状態とする。
【0024】
無線端末200-1は、印刷装置100にBLEコネクションを確立するために、BLEコネクション要求を印刷装置100に送信する(ステップS101)。これにより、無線端末200-1と、印刷装置100との間でBLEコネクションを確立するやり取りが行われる。その結果、無線端末200-1と、印刷装置100との間にBLEコネクションが確立される(ステップS102)。
【0025】
BLEコネクションが確立されると、このBLEコネクションを用いて、無線端末200-1は、コマンドを印刷装置100に送信する(ステップS103)。このコマンドは、印刷装置100からBTCコネクションを確立するためのBTCコネクション要求を送信させるためのコマンドである。印刷装置100は、コマンドを受信すると、現在はいずれの無線端末200ともBTCコネクションは確立されていないため、無線端末200-1にBTCコネクション要求を送信する(ステップS104)。これにより、無線端末200-1と、印刷装置100との間でBTCコネクションを確立するやり取りが行われる。その結果、無線端末200-1と、印刷装置100との間にBTCコネクションが確立される(ステップS105)。
【0026】
無線端末200-1は、確立されたBTCコネクションを用いて、印刷データを印刷装置100に送信する(ステップS106)。印刷装置100は、印刷データにもとづいて印刷を行う。これにより、無線端末200-1から要求された印刷は終了する。印刷終了後に、印刷装置100は、無線端末200-1からBLEコネクション要求を受信したとする(ステップS107)。これにより、無線端末200-2と、印刷装置100との間でBLEコネクションを確立するやり取りが行われる。その結果、無線端末200-2と、印刷装置100との間にBLEコネクションが確立される(ステップS108)。
【0027】
BLEコネクションが確立されると、このBLEコネクションを用いて、無線端末200-2は、コマンドを印刷装置100に送信する(ステップS103)。このコマンドは、印刷装置100からBTCコネクションを確立するためのBTCコネクション要求を送信させるためのコマンドである。このタイミングにおいて、印刷装置100は、現在無線端末200-1とBTCコネクションは確立されており、かつ印刷も終了している。したがって、ステップS109でコマンド受信したタイミングは、一の無線端末200から印刷データを受信してから、印刷するまでの印刷処理期間以外となる。
【0028】
この場合、印刷装置100は、無線端末200-1とのコネクションを切断し、無線端末200-2とのコネクションを確立する。そこで、印刷装置100は、無線端末200-1に、BTCコネクションを切断するためのBTC切断要求を無線端末200-1に送信する(ステップS110)。これにより、無線端末200-1と、印刷装置100との間でBTCコネクションを切断するやり取りが行われる。その結果、無線端末200-1と、印刷装置100との間のBTCコネクションが切断される(ステップS111)。
【0029】
無線端末200-1とのBTCコネクションを切断すると、印刷装置100は、無線端末200-2にBTCコネクション要求を送信する(ステップS112)。これにより、無線端末200-2と、印刷装置100との間でBTCコネクションを確立するやり取りが行われる。その結果、無線端末200-2と、印刷装置100との間にBTCコネクションが確立される(ステップS113)。無線端末200-2は、確立されたBTCコネクションを用いて、印刷データを印刷装置100に送信する(ステップS114)。印刷装置100は、印刷データにもとづいて印刷を行う。これにより、無線端末200-2から要求された印刷は終了する。
【0030】
以上のように、無線端末200のユーザは、接続操作など印刷装置100との接続に関する操作をせずとも、印刷装置100を利用することができるので、本実施形態によれば、iOS端末における使い勝手を向上することができる。例えば、従来では、無線端末200-1と印刷装置100とがBLCコネクションを確立している場合に、無線端末200-2がBLEコネクションを確立するときは、無線端末200-1のユーザにより切断操作が必要であった。
【0031】
なお、上記シーケンス図では、無線端末200-2は、無線端末200-1の印刷データにもとづく印刷が行われた後に、BLEコネクションを確立しているが、これに限らない。BLEコネクションを確立するタイミングは、BLCコネクションを確立するまであればよく、特に限定されない。例えば、無線端末200-2は、無線端末200-2の起動時にBLEコネクションを確立してもよい。
【0032】
上述した図4で説明したシーケンス図では、無線端末200-2がコマンドを送信するタイミング(ステップS109)は、印刷処理期間以外のタイミングであった。次に、無線端末200-2から送信されたコマンドを印刷装置100が受信するタイミングが、印刷処理期間である場合の処理について説明する。図5は、印刷処理期間内にコマンドが送信された場合の2つの無線端末200と印刷装置100との処理の流れを示すシーケンス図である。このシーケンス図に示される処理開始時において、印刷装置100は、いずれの無線端末200ともBTCコネクションが確立されていない状態とする。
【0033】
無線端末200-1は、印刷装置100にBLEコネクションを確立するために、BLEコネクション要求を印刷装置100に送信する(ステップS201)。これにより、無線端末200-1と、印刷装置100との間でBLEコネクションを確立するやり取りが行われる。その結果、無線端末200-1と、印刷装置100との間にBLEコネクションが確立される(ステップS202)。
【0034】
BLEコネクションが確立されると、このBLEコネクションを用いて、無線端末200-1は、コマンドを印刷装置100に送信する(ステップS203)。このコマンドは、印刷装置100からBTCコネクションを確立するためのBTCコネクション要求を送信させるためのコマンドである。印刷装置100は、コマンドを受信すると、現在はいずれの無線端末200ともBTCコネクションは確立されていないため、無線端末200-1にBTCコネクション要求を送信する(ステップS204)。これにより、無線端末200-1と、印刷装置100との間でBTCコネクションを確立するやり取りが行われる。その結果、無線端末200-1と、印刷装置100との間にBTCコネクションが確立される(ステップS205)。
【0035】
無線端末200-1は、確立されたBTCコネクションを用いて、印刷データを印刷装置100に送信する(ステップS206)。印刷装置100は、印刷データにもとづいて印刷を行う。これにより、無線端末200-1から要求された印刷は終了する。印刷終了後に、印刷装置100は、無線端末200-1からBLEコネクション要求を受信したとする(ステップS207)。これにより、無線端末200-2と、印刷装置100との間でBLEコネクションを確立するやり取りが行われる。その結果、無線端末200-2と、印刷装置100との間にBLEコネクションが確立される(ステップS208)。
【0036】
その後、無線端末200-2は、コマンドを送信するが(ステップS210)、その前に、無線端末200-1が、印刷データを送信したとする(ステップS209)。すなわち、無線端末200-2から送信されたコマンドよりも、無線端末200-1から送信された印刷データが、印刷装置100に早く到達したとする。よって、無線端末200-2から送信されたコマンドを印刷装置100が受信するタイミングが、印刷処理期間となっている。
【0037】
この場合、印刷装置100は、BTCコネクションの確立が失敗したことを示すBTCコネクション失敗応答を無線端末200-2に送信する(ステップS211)。その後、印刷装置100は、ステップS209で受信した印刷データにもとづき印刷を行う。このように、印刷装置100は、無線端末200-1とのコネクションを切断せず、さらに無線端末200-2とのコネクションを確立しない。
【0038】
このようにすることで、無線端末200-2のユーザの印刷を行うことができないが、無線端末200-1のユーザの印刷を行うことができる。一般的に、あるユーザによる印刷処理が行われている場合には、他のユーザの印刷を行うことができないので、無線端末200-2のユーザは、印刷を行うことができなくても、今まで通りであるので、違和感を感じない。また、無線端末200-1のユーザに対しても、先ほど印刷したばかりにもかかわらず印刷ができなくなることを回避できる。よって、無線端末200-1のユーザの使い勝手を担保し、かつ無線端末200-2のユーザにも違和感を与えないので、全体的に使い勝手の良いシステムを提供することができる。
【0039】
以上説明した処理における、印刷装置100の処理の詳細を説明する。図6は、印刷装置100の処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理開始時において、印刷装置100は、いずれの無線端末200ともBTCコネクションが確立されていない状態とする。また、BLCコネクション要求をする無線端末200は、印刷装置100とBLEコネクションが確立されているものとする。さらに、印刷データを送信する無線端末200は、印刷装置100とBTCコネクションが確立されているものとする。
【0040】
印刷装置100の無線通信部120は、BLEコネクション要求を受信したか否かを判定する(ステップS301)。BLEコネクション要求を受信した場合には(ステップS301:YES)、無線通信部120は、要求元の無線端末200とBLEコネクションを確立し、ステップS301に戻る。
【0041】
BLEコネクション要求を受信していない場合には(ステップS301:NO)、無線通信部120は、BTCコネクション要求を受信したか否かを判定する(ステップS303)。BTCコネクション要求を受信した場合には(ステップS303:YES)、無線通信部120は、他の無線端末200とBTCコネクションを確立中か否かを判定する(ステップS304)。
【0042】
他の無線端末200とBTCコネクションを確立中の場合(ステップS304:YES)、無線通信部120は、現在印刷処理期間か否かを判定する(ステップS305)。現在印刷処理期間の場合には(ステップS305:YES)、無線通信部120は、BTCコネクション要求の送信元の無線端末200にBTCコネクション失敗応答を送信し(ステップS306)、ステップS301に戻る。
【0043】
上記ステップS305において、現在印刷処理期間以外の場合には(ステップS305:NO)、無線通信部120は、現在BTCコネクションを確立している無線端末200に、BTC切断要求を送信する(ステップS307)。これにより、BTCコネクションが切断される(ステップS308)。次いで、無線通信部120は、BTCコネクション要求の送信元の無線端末200にBTCコネクション要求を送信する(ステップS309)。これにより、BTCコネクションが確立され、無線通信部120は、ステップS301に戻る。
【0044】
上記ステップS304において、他の無線端末200とBTCコネクションを確立していない場合(ステップS304:NO)、無線通信部120は、上記ステップS309に進む。
【0045】
上記ステップS303において、BTCコネクション要求を受信していない場合には(ステップS303:YES)、無線通信部120は、印刷データを受信したか否かを判定する(ステップS311)。印刷データを受信した場合には(ステップS311:YES)、印刷部130は印刷データにもとづき印刷を行い(ステップS312)、ステップS301に戻る。印刷データを受信していない場合には(ステップS311:NO)、無線通信部120は、ステップS301に戻る。
【0046】
上述した実施形態により、iOS端末における使い勝手を向上させた技術を提供することができる。従来は、印刷装置とコネクションが確立しているiOS端末において、ユーザがコネクションを切断する操作を行う必要があり、さらに切断後に他のiOS端末において、接続操作が必要となったが、本実施形態により、そうした操作が不要となる。これにより、例えば一つの店舗に複数のスタッフが存在し、それぞれが無線端末200を持って印刷装置100を共有するようなシステムにおいて、店員の煩わしい操作が不要となることから、好適なシステム運営が可能となる。また、従来において発生していた店員による切断操作時や接続操作時の誤操作も抑制できる。
【0047】
上述した印刷装置100の処理を実行させるためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。画像処理プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0048】
上述した実施形態における印刷装置100の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0050】
10 印刷システム
100 印刷装置
110、210 制御部
111、211 演算装置
112、212 記憶装置
120、220 無線通信部
121、221 BTC通信部
122、222 BLC通信部
130 印刷部
200、200-1、200-2、200-N 無線端末
223 キャリア網通信部
230 操作表示部
240 音声入出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6