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特開2023-141141口座管理システム、プログラム、口座管理方法、自動取引装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141141
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】口座管理システム、プログラム、口座管理方法、自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20230928BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047304
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 皓平
(72)【発明者】
【氏名】石川 高雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 幸平
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB36
(57)【要約】
【課題】個人情報に対する安全性を担保しつつ、キャッシュカードの代わりにマイナンバーカードまたはマイナンバーカードのICチップ内の情報を利用して取引を行うことができる口座管理システムを提供すること。
【解決手段】口座管理システム600は、自動取引装置100と、銀行統括サーバ400と、を備える。自動取引装置100は、マイナンバーカード302に記憶されている本人を確認するための個人識別情報により、マイナンバーカード302の有効性を公的個人認証機関500に対し認証を行う。銀行統括サーバ400は、マイナンバーカード302に記憶されている個人識別情報に含まれるテキストデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座を検索する。自動取引装置100は、銀行統括サーバ400により検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行う。
【選択図】図19

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置と、銀行統括サーバと、を備える口座管理システムであって、
前記自動取引装置は、マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための個人識別情報により、前記マイナンバーカードの有効性を公的個人認証機関に対し認証を行い、
前記銀行統括サーバは、前記マイナンバーカードに記憶されている前記個人識別情報に含まれるデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座を検索し、
前記自動取引装置は、前記銀行統括サーバにより検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行う
ことを特徴とする口座管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の口座管理システムであって、
前記自動取引装置の制御部は、前記自動取引装置を利用する利用者の顔画像を撮像し、
撮像された前記顔画像と、前記マイナンバーカードに記憶されている前記個人識別情報に含まれる本人画像と、を対比して本人確認を行う
ことを特徴とする口座管理システム。
【請求項3】
自動取引装置と、銀行統括サーバと、を備える口座管理システムが実行するプログラムであって、
マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための個人識別情報により、前記マイナンバーカードの有効性を公的個人認証機関に対し認証を行い、
前記マイナンバーカードに記憶されている前記個人識別情報に含まれるデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座を検索し、
前記銀行統括サーバにより検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行う
ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
自動取引装置と、銀行統括サーバと、を備える口座管理システムが実行する口座管理方法であって、
マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための個人識別情報により、前記マイナンバーカードの有効性を公的個人認証機関に対し認証を行い、
前記マイナンバーカードに記憶されている前記個人識別情報に含まれるデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座を検索し、
前記銀行統括サーバにより検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行う
ことを特徴とする口座管理方法。
【請求項5】
マイナンバーカードの情報により公的個人認証機関および銀行統括サーバとの間で取引を行う自動取引装置において、
前記マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための個人識別情報により、前記マイナンバーカードの有効性を前記公的個人認証機関により認証され、
前記マイナンバーカードに記憶されている前記個人識別情報に含まれるデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座が前記銀行統括サーバにより検索され、
前記検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行う
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
前記個人識別情報は
マイナンバーカードから携帯端末に保存され、前記個人識別情報を有する前記携帯端末により取引を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記自動取引装置の制御部は、
前記自動取引装置を利用する利用者の顔画像を撮像し、
撮像された前記顔画像と、前記マイナンバーカードに記憶されている前記個人識別情報に含まれる本人画像と、を対比して本人確認を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の自動取引装置。
【請求項8】
前記自動取引装置の制御部は、
マイナンバーカードによる取引か否かの確認画面を表示する
ことを特徴とする請求項5に記載の自動取引装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口座管理システム、プログラム、口座管理方法、自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、政府が普及促進を行っているマイナンバーカードがあるが、なかなか普及しない状況にある。また、証券や金融機関の取引には、各行のキャッシュカードが個別に発行されているが、機密性の高いICチップ付きカードに切り替わるのが難しいのが現状である。
【0003】
そこで、ICチップを有するマイナンバーカードに付されたマイナンバーを用いて金融取引を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-215700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マイナンバーカードに用いられるマイナンバーは、個人情報の中でも特に機密性の高い情報であるため、システムで用いることが難しい。したがって、特許文献1で提案されている技術のように、マイナンバーを金融取引に用いると、盗難、盗聴等のリスクが高いため、個人情報保護の安全性の観点から好ましくない。一方で、金融機関ごとに発行されるキャッシュカードを用いて取引を行うとすると、利用者は金融機関ごとにキャッシュカードを保有しなければならず、煩雑となる。
【0006】
本願発明は、上記課題に鑑み、個人情報に対する安全性を担保しつつ、キャッシュカードの代わりにマイナンバーカードまたはマイナンバーカードのICチップ内の情報を利用して取引を行うことができる口座管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、自動取引装置と、銀行統括サーバと、を備える口座管理システムであって、前記自動取引装置は、マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための確認情報により、前記マイナンバーカードの有効性を公的個人認証機関に対し認証を行い、前記銀行統括サーバは、前記マイナンバーカードに記憶されている前記確認情報に含まれるデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座を検索し、前記自動取引装置は、前記銀行統括サーバにより検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、自動取引装置と、銀行統括サーバと、を備える口座管理システムが実行するプログラムであって、マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための確認情報により、前記マイナンバーカードの有効性を公的個人認証機関に対し認証を行い、前記マイナンバーカードに記憶されている前記確認情報に含まれるデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座を検索し、前記銀行統括サーバにより検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、自動取引装置と、銀行統括サーバと、を備える口座管理システムが実行する口座管理方法であって、マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための確認情報により、前記マイナンバーカードの有効性を公的個人認証機関に対し認証を行い、前記マイナンバーカードに記憶されている前記確認情報に含まれるデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座を検索し、前記銀行統括サーバにより検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、マイナンバーカードの情報により公的個人認証機関および銀行統括サーバとの間で取引を行う自動取引装置において、前記マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための個人識別情報により、前記マイナンバーカードの有効性を前記公的個人認証機関により認証され、前記マイナンバーカードに記憶されている前記個人識別情報に含まれるデータに基づいて、少なくとも1つ以上の保有銀行口座が前記銀行統括サーバにより検索され、前記検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、個人情報に対する安全性を担保しつつ、キャッシュカードの代わりにマイナンバーカードまたはマイナンバーカードのICチップ内の情報を利用して取引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の口座管理システム600の構成例を示す図である。
図2】本実施の形態に係る自動取引装置100の正面外観構成を例示する図である。
図3】本実施の形態に係る自動取引装置100のハードウェア構成を例示する図である。
図4】利用者カメラ110及び証明書カメラ111の撮影方向を模式的に例示する図である。
図5】マイナンバーカード302の一例を示す図である。
図6】マイナンバーカード302のICチップに記憶されているデータの構成を示す一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るA銀行ホスト210のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る銀行統括サーバ400のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9】A銀行ホスト210等のホストコンピュータ200の記憶部202に記憶されている口座情報テーブル250の一例を示す図である。
図10】銀行統括サーバ400の記憶部402に記憶されている銀行統括テーブル410の一例を示す図である。
図11】公的個人認証機関500に記憶されている署名用電子証明書テーブル510の一例を示す図である。
図12】口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャート(その1)を示す。
図13】口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャート(その2)を示す。
図14】口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャート(その3)を示す。
図15】口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャート(その4)を示す。
図16】表示装置138に表示される取引選択画面610の一例を示す図である。
図17】表示装置138に表示されるマイナカード載置画面620の一例を示す図である。
図18】表示装置138に表示される暗証番号入力画面630の一例を示す図である。
図19】表示装置138に表示される銀行選択画面640の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。以下では、本実施形態の口座管理システム600について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の口座管理システム600の構成例を示す図である。口座管理システム600は、自動取引装置100、A銀行ホストコンピュータ(以下「A銀行ホスト」と呼ぶ)200、B銀行ホストコンピュータ(以下、「B銀行ホスト」と呼ぶ)300、銀行統括サーバ400、及び公的個人認証機関500を含む。口座管理システム600は、図1に示していない他の装置を含んでいてもよい。自動取引装置100は、ネットワークNを介してA銀行ホスト210、B銀行ホスト220と通信可能に接続される。A銀行ホスト210及びB銀行ホスト220は、ネットワークNを介して銀行統括サーバ400と通信可能に接続される。銀行統括サーバ400と公的個人認証機関500とはVPN等の専用線により通信可能に接続される。銀行統括サーバ400と公的個人認証機関500とはネットワークNにより通信可能に接続されていてもよい。A銀行ホスト210は、A銀行の管轄内に配置されるサーバである。B銀行ホスト220は、B銀行の管轄内に配置されるサーバである。
【0015】
自動取引装置100は、銀行、その他の金融機関などの店舗に設置され、顧客の操作に基づいて入出金などの取引を行う。本実施形態において、自動取引装置100は、A銀行とB銀行とどちらの管轄であってもよい。
【0016】
自動取引装置100は、操作者が操作案内表示に従い通帳を挿入口に入れ、キーボードもしくはタッチパネルにて取引媒体(キャッシュカード等)の暗証番号を入力し、ネットワークNを介してA銀行ホスト210又はB銀行ホスト220と通信して、本人であることを確認した後、現金の預け入れ、払い出し、振り込みなどの取引を行う。なお、図1では自動取引装置100が1台で記載されているが、これに限定されず、A銀行及びB銀行毎に複数台接続される。
【0017】
A銀行ホスト210及びB銀行ホスト220は、自動取引装置100からの電文に従って金融機関に関する処理を実行する装置である。A銀行ホスト210又はB銀行ホスト220には、マイナンバーカードに記憶されている本人を確認するための確認情報がそれぞれ格納されている。A銀行ホスト210及びB銀行ホスト220を特に区別して説明しない場合には、以下「ホストコンピュータ200」とも呼ぶ。
【0018】
銀行統括サーバ400は、A銀行ホスト210又はB銀行ホスト220からの電文に従って金融機関に関する処理を実行する装置である。銀行統括サーバ400は、例えば全銀協(登録商標)などに設置されるサーバである。
【0019】
公的個人認証機関500は、自動取引装置100を利用する利用者のマイナンバーカードの有効性を認証する機関である。公的個人認証機関500は、例えば行政機関に設置される。
【0020】
図2は、本実施の形態に係る自動取引装置100の正面外観構成を例示する図(一部透視図を含む)である。
【0021】
図2に例示した自動取引装置100は、例えば銀行等の金融機関やコンビニエンスストアの店舗等に設置されるATMであって、後方確認ミラー101、通帳挿入排出部102、カード挿入排出部103、硬貨入出金部104、紙幣入出金部105、表示入力部106、スピーカ107(107a、107b)、NFC(Near Field Communication)リーダライタ108、及び対人センサ109を備える。
【0022】
後方確認ミラー101は、自動取引装置100の外側からは鏡として機能し、自動取引装置100の内側からは透けて外側が見えるような構造を有する光学部品(ビームスプリッタ)である。これにより、利用者(顧客)は、後方の確認が可能になる。また、自動取引装置100内の後方確認ミラー101と対応する位置には利用者カメラ110が設けられており、その利用者カメラ110により後方確認ミラー101を介して自動取引装置100の前に立つ人(利用者)を撮影することができるよう広角で撮影することが可能になっている。
【0023】
通帳挿入排出部102は、通帳の受け付け及び返却を行う。カード挿入排出部103は、取引に使用されるカード(例えば接触型ICカードや磁気ストライプカード)の受け付け及び返却を行う。また、カード挿入排出部103は、取引明細が印刷されたレシートの排出も行う。
【0024】
硬貨入出金部104は、入金硬貨の受け付け及び出金硬貨の排出を行う。紙幣入出金部105は、入金紙幣の受け付け及び出金紙幣の排出を行う。表示入力部106は、取引画面等の各種画面の表示や、利用者からの操作入力の受け付けを行う。表示入力部106は、後述の表示装置138及びタッチパネル139により構成される。
【0025】
スピーカ107(107a、107b)は、操作案内の音声、警報音、及び警告音等を発する。NFCリーダライタ108は、当該NFCリーダライタ108に置かれた(翳された)マイナンバーカード302が有するICチップに対し、NFC通信により、情報の読み出し及び書き込みを行う。NFCリーダライタ108は、ICカードリーダの一例である。マイナンバーカード302にICチップが搭載されている場合には、マイナンバーカード302は、非接触型ICカードにより構成される。証明書カメラ111は、NFCリーダライタ108の上側に配置されている。証明書カメラ111は、NFCリーダライタ108の上に置かれたマイナンバーカード302に掲載された顔写真を含むマイナンバーカード面を撮影することが可能になっている。NFCリーダライタ108や証明書カメラ111はマイナンバーカード302を読み取れる位置であればどこに搭載してもよい。
【0026】
対人センサ109は、人の接近(人が自動取引装置100に近づいたこと)を検知するセンサである。
【0027】
図3は、本実施の形態に係る自動取引装置100のハードウェア構成を例示する図である。図3に例示した自動取引装置100は、表示入力部106、スピーカ107、NFCリーダライタ108、対人センサ109、利用者カメラ110、証明書カメラ111、制御ユニット121、カード処理ユニット122、通帳処理ユニット123、硬貨処理ユニット124、紙幣処理ユニット125、及び電源ユニット126を備える。
【0028】
制御ユニット121は、自動取引装置100で実行される処理(偽造カード判定処理を含む)の制御を行う。制御ユニット121は、CPU(Central Processing Unit)等の制御部131、RAM(Random Access Memory)132、HDD(Hard Disk Drive)133、グラフィック処理部134、入出力インタフェース135、及び通信制御部136を備えており、これらはバス137で相互に接続されている。
【0029】
制御部131は、OS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラム(偽造カード判定プログラムを含む)等の各種プログラムを実行することにより自動取引装置100の全体動作を制御する。
【0030】
RAM132は、制御部131により実行されるプログラムの一部が一時的に格納されたり、制御部131の作業用記憶領域として使用されたりする。HDD133には、制御部131により実行される各種プログラムや、プログラムの実行に必要な各種データが記憶される。また、HDD133には、その他、自動取引装置100で実行された取引処理によって取得されたデータ、例えば、利用者の顔の撮影画像、取引に使用されたマイナンバーカード302の撮影画像、そのマイナンバーカード302のICチップから読み出された情報、及び取引情報を含む取引履歴情報が記憶され得る。
【0031】
グラフィック処理部134には、表示入力部106に備えられる表示装置138が接続されている。グラフィック処理部134は、制御部131からの制御信号に従って各種画面を表示装置138に表示させる。
【0032】
入出力インタフェース135には、表示入力部106に備えられるタッチパネル139、利用者カメラ110、対人センサ109、カード処理ユニット122、NFCリーダライタ108、通帳処理ユニット123、硬貨処理ユニット124、紙幣処理ユニット125、及びスピーカ107が接続されている。また、入出力インタフェース135には、可搬型記録媒体への情報の書き込みや可搬型記録媒体からの情報の読み出しが可能な可搬型記録媒体インタフェース(図示せず)の接続も可能になっている。
【0033】
入出力インタフェース135は、制御部131からの制御信号をタッチパネル139、スピーカ107、NFCリーダライタ108、対人センサ109、利用者カメラ110、証明書カメラ111、カード処理ユニット122、通帳処理ユニット123、硬貨処理ユニット124、及び紙幣処理ユニット125に通知する。また、入出力インタフェース135は、タッチパネル139、利用者カメラ110、対人センサ109、カード処理ユニット122、NFCリーダライタ108、通帳処理ユニット123、硬貨処理ユニット124、及び紙幣処理ユニット125からの信号(データ、情報)を制御部131に通知する。
【0034】
通信制御部136は、ネットワークNに接続され、当該ネットワークNを介してホストコンピュータ200等と通信を行う。例えば、通信制御部136は、自動取引装置100で実行された取引処理によって取得された取引履歴情報をホストコンピュータ200へ送信し、ホストコンピュータ200は、その取引履歴情報を記憶する。
【0035】
表示入力部106は、表示装置138と、当該表示装置138上に配置されたタッチパネル139とを備える。表示装置138は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。タッチパネル139は、当該タッチパネル139に対する操作入力を検出し、その検出結果を制御部131に通知する。
【0036】
対人センサ109は、上述のとおり、人の接近を検知するセンサである。利用者カメラ110は、上述のとおり、利用者の顔を撮影可能なカメラである。証明書カメラ111は、上述の通り、NFCリーダライタ108に置かれたマイナンバーカード302の顔写真を含むマイナンバーカード面を撮影可能なカメラである。
【0037】
カード処理ユニット122は、キャッシュカード(例えば接触型ICカードや磁気ストライプカード)をカード挿入排出部103から挿入、排出する。また、挿入されたキャッシュカードが有するICチップや磁気ストライプに対する情報(データ)の読み出し及び書き込みを行う。また、カード処理ユニット122は、取引明細をレシートに印刷してカード挿入排出部103から排出すること等も行う。
【0038】
NFCリーダライタ108は、上述のとおり、当該NFCリーダライタ108に翳されたマイナンバーカード302が有するICチップに対して情報の読み出し及び書き込みを行う。通帳処理ユニット123は、通帳を通帳挿入排出部102から挿入、排出する。また、挿入された通帳が有する磁気ストライプに記憶された情報(データ)の読み出しや、通帳記入等を行う。
【0039】
硬貨処理ユニット124は、硬貨を硬貨入出金部104から入出金する。また、入金硬貨の計数、鑑別や、出金硬貨の計数等を行う。紙幣処理ユニット125は、紙幣を紙幣入出金部105から入出金する。また、入金紙幣の計数、鑑別や、出金紙幣の計数等を行う。
【0040】
スピーカ107は、上述のとおり、操作案内の音声、警報音、及び警告音等を発する。電源ユニット126は、商用電源から供給される電力を自動取引装置100の各部へ供給する。
【0041】
なお、図3に例示した自動取引装置100では、HDD133の代わりにSSD(Solid State Drive)等の記憶装置が備えられてもよい。また、入出力インタフェース135には、更に、指紋や手のひらの静脈等といった生体情報を使用して認証を行う生体認証処理ユニットが接続されてもよい。また、制御ユニット121の一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0042】
図4は、利用者カメラ110及び証明書カメラ111の撮影方向を模式的に例示する図である。図4に例示したように、利用者カメラ110は、利用者301の顔(又は顔を含む上半身)を撮影可能に構成されている。証明書カメラ111は、NFCリーダライタ108に置かれた(翳された)マイナンバーカード302に掲載された顔写真を含むマイナンバーカード面を撮影可能に構成されている。また、顔写真のみを撮影することも可能なように構成することもできる。
【0043】
これにより、自動取引装置100では、利用者カメラ110で、利用者301の顔の撮影を行うことができると共に、証明書カメラ111で、取引に使用されるマイナンバーカード302の顔写真の撮影を行うことができる。利用者カメラ110で撮影される顔の顔画像と、証明書カメラ111で撮影される顔写真の顔画像と、はマイナンバーカード302が正当なものである限りほぼ一致することから、両者を比較することにより本人認証を行うことができる。
【0044】
図5は、マイナンバーカード302の一例を示す図である。図5(1)は、マイナンバーカード302の表面を示し、図5(2)は、マイナンバーカード302の裏面を示す。
【0045】
マイナンバーカード302の表面には、所有者の基本情報、写真、有効期限等が記載されている。基本情報には、マイナンバーカード302の所有者の氏名、住所、生年月日、性別が記載されている。氏名、住所、生年月日、性別は、テキストデータの一例である。写真は、マイナンバーカード302の所有者の顔画像が付されている。有効期限は、マイナンバーカード302の有効期限が記載されている。また、不図示の電子証明書の有効期限も記載可能となっている。
【0046】
マイナンバーカードの裏面には、磁気ストライプ、ICチップ、個人番号、QRコード(登録商標)が記載されている。磁気ストライプには、自治体でマイナンバーカード302を利用するときに使用する際のデータが記憶されている。ICチップには、マイナンバーカード302の表面に記載された所有者の基本情報、写真、マイナンバーの情報が記憶されている。また、ICチップには、マイナンバーカード302の有効性を確認するための電子証明書も記憶されている。QRコード(登録商標)には、マイナンバーに対応する情報が記憶されている。マイナンバーは、マイナンバーカード302を所有する所有者を一意に認識するための識別記号である。
【0047】
図6は、マイナンバーカード302のICチップに記憶されているデータの構成を示す一例を示す図である。ICチップには、公的個人証明AP(アプリケーション)、券面事項確認AP、券面事項入力確認AP、住基AP、プラットフォーム、及び空き領域により構成されている。ICチップは他の構成を備えていてもよい。
【0048】
公的個人証明APは、行政機関のほかに、新たに総務大臣が定める民間事業者に対する電子申請等に利用される。公的個人証明APには、署名用電子証明書(及びその暗証番号)、利用者証明用電子証明書(及びその暗証番号)が含まれる。
【0049】
署名用電子証明書や利用者証明用電子証明書(以下、単に「電子証明書」とも呼ぶ)は、マイナンバーカード302のICチップに記録されている内容を確認するために使用される。自動取引装置100は電子証明書の有効性確認やファイル出力を行うことができる。
【0050】
署名用電子証明書には、マイナンバーカード302の所有者の氏名、生年月日、性別、住所、電子証明書の発行年月日・有効期間の満了日、電子証明書の発行者の情報が含まれる。氏名、生年月日、性別、住所はテキストデータの一例である。また、署名用電子証明書には、その他、署名用電子証明書のバージョン、シリアル番号、署名アルゴリズム、ランダム文字列の情報が含まれる。
【0051】
利用者証明用電子証明書には、主体者、電子証明書の発行年月日・有効期間の満了日、電子証明書の発行者の情報が含まれる。また、利用者証明用電子証明書には、その他、利用者証明用電子証明書のバージョン、シリアル番号、署名アルゴリズム、ランダム文字列の情報が含まれる。
【0052】
券面事項確認APは、券面が真正であることの確認のために利用される。券面事項確認APには、券面記載事項の画像データ(及びその照合番号)が含まれる。券面記載事項の画像データとは、マイナンバーカード302の利用者の顔写真の画像が含まれる。
【0053】
券面事項入力確認APは、券面事項の入力作業を省略するなどのために利用される。券面事項入力確認APには、券面記載事項のテキストデータ(及びその暗証番号と照合番号)が含まれる。
【0054】
住基APは、住基ネット事務で利用される。住基ネットAPには、住民票コード(及びその暗証番号)が含まれる。
【0055】
空き領域は、市町村・都道府県などは、条例で定めるところ国の機関・民間事業者等は総務大臣の定めるところにより利用できる。空き領域には、利用者番号(及びその暗証番号)を含めることができる。
【0056】
図7は、本発明の実施形態に係るA銀行ホスト210のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、B銀行ホスト220のハードウェア構成は、A銀行ホスト210とほぼ同一であるため、図7の説明を参照して説明を省略する。
【0057】
A銀行ホスト210は、制御部201、記憶部202、表示部203、入力部204、及び通信部205を有する。A銀行ホスト210は、図3に示していない他のハードウェア構成を備えていてもよい。なお、図7では自動取引装置100が1台で記載されているが、これに限定されず、複数でもよい。また、A銀行ホスト210は、銀行統括サーバ400を通じて公的個人認証機関500と通信可能に接続される。A銀行ホスト210は、図示しないホストサーバと接続されていてもよい。
【0058】
制御部201は、CPU等であり、記憶部202のROMやHDD等に記憶されたプログラムを記憶部202のRAMに展開して順次実行することで、A銀行ホスト210全体の動作を制御する。記憶部202は、RAM、ROM、HDD等であり、制御部201が実行するプログラム、各種設定情報等を記憶する。
表示部203は、例えばLCDのディスプレイであり、制御部201の制御のもとでA銀行ホスト210の操作者に対して操作画面等を表示する。入力部204は、表示部203と一体化したタッチパネルで、操作者の入力指示を受け付ける。入力された情報は制御部201に通知される。
【0059】
通信部205は、制御部201の制御のもと、ネットワークNを通じて自動取引装置100及び銀行統括サーバ400との間で通信を行う。A銀行ホスト210は、通信部205による通信を行うことで、自動取引装置100との間、及び銀行統括サーバ400との間でデータの送受信を行う。
【0060】
図8は、本発明の実施形態に係る銀行統括サーバ400のハードウェア構成の一例を示す図である。銀行統括サーバ400は、制御部401、記憶部402、表示部403、入力部404、及び通信部405を有する。銀行統括サーバ400は、図8に示していない他のハードウェア構成を備えていてもよい。
【0061】
制御部401は、CPU等であり、記憶部402のROMやHDD等に記憶されたプログラムを記憶部402のRAMに展開して順次実行することで、銀行統括サーバ400全体の動作を制御する。記憶部402は、RAM、ROM、HDD等であり、制御部401が実行するプログラム、各種設定情報等を記憶する。
表示部403は、例えばLCDのディスプレイであり、制御部401の制御のもとで銀行統括サーバ400の操作者に対して操作画面等を表示する。入力部404は、表示部403と一体化したタッチパネルで、操作者の入力指示を受け付ける。入力された情報は制御部401に通知される。
【0062】
通信部405は、制御部401の制御のもと、ネットワークNを通じてA銀行ホスト210とB銀行ホスト220との間で通信を行う。銀行統括サーバ400は、通信部405による通信を行うことで、A銀行ホスト210、B銀行ホスト220、及び公的個人認証機関500との間でデータの送受信を行う。
【0063】
図9は、A銀行ホスト210等のホストコンピュータ200の記憶部202に記憶されている口座情報テーブル250の一例を示す図である。口座情報テーブル250の情報は、銀行ホスト毎に記録されている。口座情報テーブル250には、項ごとに、支店名、科目、口座番号、口座の名義人名、住所、生年月日、電話番号、性別の情報が含まれる。口座情報テーブル250には、図9に示していない個人番号(マイナンバー)等の他の情報を含んでいてもよい。
【0064】
図10は、銀行統括サーバ400の記憶部402に記憶されている銀行統括テーブル410の一例を示す図である。銀行統括テーブル410には、項ごとに、銀行名、支店名、科目、口座番号、名義人名、住所、生年月日、電話番号、性別の情報が含まれる。銀行統括テーブル410には、図10に示していない個人番号(マイナンバー)等の他の情報を含んでいてもよい。
【0065】
図11は、公的個人認証機関500に記憶されている署名用電子証明書テーブル510の一例を示す図である。署名用電子証明書テーブル510には、項ごとに、名義人名、住所、生年月日、性別、電子証明書の発行者、電子証明書の発行年月日、有効期間の満了日、顔写真、個人番号(マイナンバー)、電話番号の情報が含まれる。署名用電子証明書テーブル510には、図11に示していない他の情報を含んでいてもよい。
【0066】
次に、口座管理システム600において実行される口座管理処理について説明する。図12図15は、口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャートである。図12は、口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャート(その1)を示す。図13は、口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャート(その2)を示す。図14は、口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャート(その3)を示す。図15は、口座管理システム600において実行される口座管理処理の一例を示すシーケンスチャート(その4)を示す。
【0067】
口座登録処理は、自動取引装置100の制御部131、A銀行ホスト210(又はB銀行ホスト220)の制御部201、銀行統括サーバ400の制御部401、及び公的個人認証機関500によって実行される。
【0068】
はじめに、自動取引装置100の制御部131は、取引選択画面を表示装置138に表示する(ステップS101)。
【0069】
図16は、表示装置138に表示される取引選択画面610の一例を示す図である。取引選択画面610には、どのカードで取引を行うかを選択させるメッセージ及び複数の取引ボタンが表示されている。取引選択画面610に表示されている取引ボタンとして、銀行キャッシュカードボタン611、マイナンバーカードボタン612、及び取消ボタン613が配置されている。
【0070】
自動取引装置100の制御部131は、ステップS101で表示した取引選択画面610に表示された取引ボタンのうち、マイナンバーカードボタン612がタッチパネルディスプレイのタッチパネル139を通じて選択されたか否かを判定する(ステップS102)。
【0071】
銀行キャッシュカードボタン611がタッチパネルディスプレイのタッチパネル139を通じて選択された場合(ステップS102:NO)には、自動取引装置100は通常取引を行い、処理を終了する。
【0072】
マイナンバーカードボタン612がタッチパネルディスプレイのタッチパネル139を通じて選択された場合(ステップS102:YES)には、制御部131は、マイナカード載置画面を表示装置138に表示する(ステップS103)。
【0073】
図17は、表示装置138に表示されるマイナカード載置画面620の一例を示す図である。マイナカード載置画面620には、マイナンバーカード302をNFCリーダライタ108に置くことを促すシンボル621が含まれる。シンボル621は、静止画により構成されている。シンボル621は、アニメーション画像などの動画により構成してもよい。
【0074】
制御部131が、NFCリーダライタ108に置かれたマイナンバーカード302のICチップの読み取りを行うと(ステップS104)、暗証番号入力画面を表示装置138に表示してマイナンバーカード302の暗証番号の入力の受付を行う(ステップS105)。
【0075】
図18は、表示装置138に表示される暗証番号入力画面630の一例を示す図である。暗証番号入力画面630には、マイナンバーカード302の暗証番号の入力を促すメッセージ及び暗証番号を入力するためのテンキーが含まれる。
【0076】
制御部131は、マイナンバーカード302の暗証番号の入力を受け付けると、マイナンバーカード302に記憶されている券面事項確認APを起動して、入力された暗証番号と、券面事項確認APに記憶されている暗証番号とが一致するか否かを判定する。暗証番号が一致した場合には、制御部131は、マイナンバーカード302のICチップから個人識別情報を抽出する(ステップS107)とともに、顔情報を抽出する(ステップS107)。
【0077】
制御部131は、利用者カメラ110を制御して利用者の顔を撮影して顔画像を取得する(ステップS108)。制御部131は、ステップS106で抽出した顔情報と、ステップS108で取得した顔画像と、を比較して顔認証を実施する(ステップS109)。
【0078】
顔認証を実施した結果、認証が成功した場合には、制御部131は、個人識別情報と電子証明書をマイナンバーカード302のICチップから抽出した電文をA銀行ホスト210へ送信する(ステップS110)。
【0079】
A銀行ホスト210の制御部201は、自動取引装置100から送信された電文に個人識別情報が含まれているか否かを判定する(ステップS111)。電文に個人識別情報が含まれていない場合(ステップS111:NO)、すなわち、通常の取引電文が送信された場合には、制御部201は、キャッシュカードによる通常の取引を行い、処理を終了する。電文に個人識別情報が含まれている場合(ステップS111:YES)には、制御部201は、自動取引装置100から送信された個人識別情報と電子証明書を含む電文を銀行統括サーバ400へ送信する(ステップS112)。
【0080】
銀行統括サーバ400の制御部401は、A銀行ホスト210から送信された電文に個人識別情報が含まれているか否かを判定する(ステップS113)。電文に個人識別情報が含まれていない場合(ステップS113:NO)、すなわち、通常の取引電文が送信された場合には、制御部401は、キャッシュカードによる通常の取引を行い、処理を終了する。電文に個人識別情報が含まれている場合(ステップS113:YES)には、制御部401は、A銀行ホスト210から送信された電子証明書を公的個人認証機関500へ送信する(ステップS114)。
【0081】
公的個人認証機関500は、署名用電子証明書テーブル510を参照して、A銀行ホスト210及び銀行統括サーバ400と通じて自動取引装置100から送信された電子証明書の有効性をチェックする(ステップS115)。有効性のチェックは、電子証明書に記憶されている名義人名、住所、生年月日、性別、顔写真、電話番号のうち少なくとも2つ以上が一致しており、かつ、チェックした日付が、該当する項の電子証明書の発行年月日以降、有効期限の満了日前であるか否かにより行われる。
【0082】
公的個人認証機関500は、ステップS115で行った有効性のチェック結果を含む電文を銀行統括サーバ400へ送信する(ステップS116)。
【0083】
銀行統括サーバ400の制御部401は、公的個人認証機関500から有効性のチェック結果を含む電文に、電子証明書が有効である旨の結果が含まれているか否かを判定する。電子証明書が有効である旨の結果が含まれている場合には、制御部401は、A銀行ホスト210から送信された個人識別情報に対応する各銀行の口座情報を記憶部402に記憶されている銀行統括テーブル410を参照して抽出する(ステップS117)。この処理では、制御部401は、個人識別情報に含まれる名義人名、住所、生年月日のうち少なくとも2つ以上が一致する項の口座情報を抽出する。例えば、署名用電子証明書に含まれる個人識別情報の氏名が「○○太郎」であり、住所が「○×県△□市×△町◇丁目□番地▽○号」であり、生年月日が「XXXX年XX月jXX日」である場合には、制御部401は、項1と、項2の口座情報を署名用電子証明書に対応する口座情報として抽出する。制御部401は、ステップS117で抽出した口座情報をA銀行ホスト210へ送信する(ステップS118)。
【0084】
A銀行ホスト210の制御部201は、銀行統括サーバ400から口座情報を含む電文を受信したか否かを判定する。口座情報を含む電文を受信した場合には、制御部201は、受信した口座情報を自動取引装置100へ送信する(ステップS119)。
【0085】
自動取引装置100の制御部131は、A銀行ホスト210から口座情報を受信すると、口座情報より各銀行の銀行選択画面640を表示する(ステップS120)。
【0086】
図19は、表示装置138に表示される銀行選択画面640の一例を示す図である。銀行選択画面640には、どの銀行の口座で取引を行うかを選択させるメッセージ及び複数の銀行選択ボタンが表示されている。銀行選択画面640に表示されている銀行選択ボタンとして、第1銀行ボタン641、第2銀行ボタン642、及び第3銀行ボタン643が配置されている。第1銀行ボタン641、第2銀行ボタン642、及び第3銀行ボタン643には、それぞれステップS119で送信された各口座情報が対応付けられている。図19では、例えば、第1銀行ボタン641には、AB銀行○×支店普通口座の口座番号1234567の口座情報が対応付けられている。第2銀行ボタン642には、CD銀行△□支店普通口座の口座番号7654321の口座情報が対応付けられている。第3銀行ボタン643には、XZ銀行▽◇支店普通口座の口座番号8901234の口座情報が対応付けられている。
【0087】
制御部131は、ステップS120で表示した銀行選択画面640に表示された銀行選択ボタンのうち、選択された銀行選択ボタンに対応付けられた銀行の口座に対する取引を開始する(ステップS121)。例えば、第1銀行ボタン641が選択された場合には、AB銀行○×支店普通口座の口座番号1234567の口座に対する取引を開始する。
【0088】
制御部131は、ステップS121で取引を開始した銀行の口座を有する銀行ホスト(ここでは、説明の都合上「A銀行ホスト210」とする)に対し取引内容を通知する取引開始電文を送信する(ステップS122)。
【0089】
取引開始電文を受信した銀行ホスト(ここでは、説明の都合上「A銀行ホスト210」とする)の制御部201は、自動取引装置100から取引開始電文を受信すると、受信した電文の内容に基づいて取引を許可するか否かを判定する(ステップS123)。制御部201は、判定結果を含む応答電文を自動取引装置100へ送信する(ステップS124)。
【0090】
自動取引装置100は、A銀行ホスト210から送信された応答電文が許可電文である場合には、取引を実施し(ステップS125)、応答電文を受信した銀行ホスト(ここでは、説明の都合上「A銀行ホスト210」とする)に対し、取引内容に応じた取引情報を含む電文を送信する(ステップS126)。
【0091】
取引情報を含む電文を受信したA銀行ホスト210の制御部201は、電文に含まれる取引を実施した後に、A銀行ホスト210の記憶部202に記憶されている残高などの取引情報を更新して取引を終了する(ステップS127)。その後、制御部201は、取引終了電文を自動取引装置100へ送信する(ステップS128)。
【0092】
自動取引装置100の制御部131は、取引終了電文を受信した場合には、取引を終了し(ステップS129)、口座管理システム600において実行される口座管理処理は終了となる。
【0093】
このように、自動取引装置100は、マイナンバーカード302に記憶されている本人を確認するための個人識別情報により、マイナンバーカード302の有効性を公的個人認証機関500に対し認証を行う。銀行統括サーバ400は、マイナンバーカード302に記憶されている個人識別情報に含まれる氏名、住所、性別などのテキストデータに基づいて、少なくとも1つ以上の銀行口座を検索することができる。そして、自動取引装置100は、銀行統括サーバ400により検索された少なくとも1つ以上の保有銀行口座から選択された銀行口座に基づいて取引を行うことができる。その結果、マイナンバーのように個人情報の中でも特に機密性の高い情報を用いることなく、かつ、金融機関ごとに発行されるキャッシュカードを用いることなく、各金融機関の口座に対し取引を行うことができる。これにより、金融機関の利用者は、個人情報に対する安全性を担保しつつ、キャッシュカードの代わりにマイナンバーカードまたはマイナンバーカードのICチップ内の情報を利用して取引を行うことができる。
【0094】
なお、銀行統括サーバは、全銀協(登録商標)などに設置されるサーバとして説明したが、これに限らず、関係データを管理できるサーバであればよい。
【0095】
また、マイナンバーカードの電子証明書を署名用電子証明書で説明したが、利用者証明用電子証明書で認証してもよい。
【0096】
更にマイナンバーカードのICチップ内に保存されている券面記載事項等の画像データを用いて、顔写真の画像データの抽出や、マイナンバーカードの所有者の氏名、生年月日、性別、住所、他の情報をテキストデータとして抽出してもよい。
更にマイナンバーカードのICチップ内の電子証明書を含む情報(データ)は、スマートフォン等の携帯端末に保存可能であるため、マイナンバーカードに限らす、携帯端末から電子証明書を読み出し、取引するようにしてもよい。この場合、マイナンバーカード自体を持ち歩く必要もなくなり、更に利便性が向上する。
【0097】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用ができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0098】
100 :自動取引装置
101 :後方確認ミラー
102 :通帳挿入排出部
103 :カード挿入排出部
104 :硬貨入出金部
105 :紙幣入出金部
106 :表示入力部
107 :スピーカ
108 :NFCリーダライタ
109 :対人センサ
110 :利用者カメラ
111 :証明書カメラ
121 :制御ユニット
122 :カード処理ユニット
123 :通帳処理ユニット
124 :硬貨処理ユニット
125 :紙幣処理ユニット
126 :電源ユニット
131 :制御部
132 :RAM
133 :HDD
134 :グラフィック処理部
135 :入出力インタフェース
136 :通信制御部
137 :バス
138 :表示装置
139 :タッチパネル
200 :ホストコンピュータ
201 :制御部
202 :記憶部
203 :表示部
204 :入力部
205 :通信部
210 :A銀行ホスト
220 :B銀行ホスト
250 :口座情報テーブル
301 :利用者
302 :マイナンバーカード
400 :銀行統括サーバ
401 :制御部
402 :記憶部
403 :表示部
404 :入力部
405 :通信部
410 :銀行統括テーブル
500 :公的個人認証機関
510 :署名用電子証明書テーブル
600 :口座管理システム
610 :取引選択画面
611 :銀行キャッシュカードボタン
612 :マイナンバーカードボタン
613 :取消ボタン
620 :マイナカード載置画面
621 :シンボル
630 :暗証番号入力画面
640 :銀行選択画面
641 :第1銀行ボタン
642 :第2銀行ボタン
643 :第3銀行ボタン
N :ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図14
図15
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図19