IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 第一三共株式会社の特許一覧

特開2023-141142シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の結晶及びその製造方法
<>
  • 特開-シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の結晶及びその製造方法 図1
  • 特開-シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の結晶及びその製造方法 図2
  • 特開-シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の結晶及びその製造方法 図3
  • 特開-シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の結晶及びその製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141142
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の結晶及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 495/04 20060101AFI20230928BHJP
   C07D 263/20 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230928BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230928BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C07D495/04 105
C07D263/20 CSP
A61K31/519
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047305
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146581
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 公樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113583
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 範子
(74)【代理人】
【識別番号】100161160
【弁理士】
【氏名又は名称】竹元 利泰
(74)【代理人】
【識別番号】100167678
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 直浩
(72)【発明者】
【氏名】山内 元志
(72)【発明者】
【氏名】林 政樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵介
(72)【発明者】
【氏名】小池 亮史
(72)【発明者】
【氏名】坂西 航平
(72)【発明者】
【氏名】野口 滋
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 岳志
(72)【発明者】
【氏名】桜井 なつ樹
(72)【発明者】
【氏名】井崎 亜利紗
(72)【発明者】
【氏名】沼上 英治
【テーマコード(参考)】
4C071
4C086
【Fターム(参考)】
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC02
4C071CC21
4C071EE13
4C071FF05
4C071GG02
4C071HH18
4C071JJ01
4C071JJ05
4C071KK14
4C071LL01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB26
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
【課題】シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の製造方法であって、シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の工業的に有用で新規な製造方法を提供する。
【解決手段】シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の製造において、触媒を用いた新規な水素添加反応や脱保護反応を見出した。そして、当該方法によれば、前記誘導体の副生成物の生成が抑制されることにより、後処理が容易となり、または、前記誘導体を高収率で得られることを見出した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジウム系触媒またはルテニウム系触媒存在下での反応であることを特徴とする、下記式(VIII)
【化1】
であらわされる化合物に水素添加反応を行うことにより、副生成物の生成を抑制することで、効率よく下記式(VII)
【化2】
であらわされる化合物を製造する方法。
【請求項2】
ロジウム系触媒およびルテニウム系触媒が、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(RhCl(PPh3)3), ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマ
ー([RuCl2(p-cymene)]2), ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート([Rh(nbd)2]BF4), [1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン](1,5
-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート(Rh(dppb)(COD)BF4), 1,2-ビス[(2S,5S)-2,5-ジフェニルホスホラノ]エタン(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート((S,S)-Ph-BPE-Rh)および ジアセタト[(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]ルテニウム(II)(Ru(OAc)2((R)-BINAP))から選択される一つである、請求
項1に記載の方法。
【請求項3】
ベンゾイル基を脱保護する方法であって、反応温度を20℃以下で行うことにより副生成物の生成を抑制することを特徴とする、下記式(II)
【化3】
であらわされる化合物又はその製薬学的に許容される塩のベンゾイル基を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択される塩基存在下で脱保護し、下記式(I)
【化4】
であらわされる化合物又はその製薬学的に許容される塩を製造する方法。
【請求項4】
下記式(II)
【化5】
であらわされる化合物又はその製薬学的に許容される塩が、上記式(II)であらわされる化合物である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
塩基が水酸化カリウムである請求項3に記載の方法。
【請求項6】
下記式(II)
【化6】
であらわされる化合物又はその製薬学的に許容される塩が、下記式(IIb)
【化7】
であらわされる、式(II)のコハク酸塩である請求項3に記載の方法。
【請求項7】
塩基が水酸化ナトリウムである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
下記式(II)
【化8】
であらわされる化合物のベンゾイル基を脱保護することにより、下記式(I)
【化9】
であらわされる化合物とした後、上記式(I)の化合物のコハク酸塩にすることを特徴とす
る、下記式(Ib)
【化10】
であらわされる化合物の製法。
【請求項9】
下記式(I)
【化11】
であらわされる(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン
-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール又はその製薬学的に許容される塩を製造するための、下記式中間体化合物(IX)、(VIII)、(VII)、(VI)、(IV)、(III)、(II)
【化12】
又はそれらの製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オールの結晶(F2結晶)であって、銅のKα線(λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折図において、8.08±0.2、9.41±0.2、12.58±0.2、13.06±0.2、15.00±0.2、15.49±0.2、17.02±0.2、17.37±0.2、19.30±0.2、20.18±0.2、21.80±0.2、22.14±0.2、23.83±0.2、24.83±0.2、25.33±0.2、26.28±0.2、26.47±0.2、27.53±0.2、28.45±0.2、38.31±0.2から選択される回折角度(2θ)に、少なくとも5つのピークを有する結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メニンおよびMLLタンパク質の相互作用に対しての優れた阻害活性を有する
シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の結晶、その製造方法及び製造中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体は、医薬あるいはその製造原料として有用であり、腫瘍の治療に有用であることが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1において、種々のシクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体およびその製造方法が開示されている。しかし、その製造工程において、過剰反応による副生成物の生成が生じること、立体選択性が低い工程が含まれること、また、複数の保護基の架け替えが必要であり工程数が多いこと、それらに伴い出発物質から最終化合物までの総収率が低い等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開公報WO2020/116662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医薬品に用いられる物質については、その不純物による予期せぬ副作用(例えば、毒性等)が生じないように、特に厳しく高い純度が求められている。さらにその工業的な製法(大量製法)においては、より簡便な操作で不純物を取り除くことが要求される。
【0006】
加えて、医薬の原体は、その品質を保持しながら長期間保管できることが重要である。保管条件が低温であることが必要な場合は、品質の保持のために大掛かりな冷蔵設備が必要となるため、室温又はそれ以上で保管できるような安定した結晶を見出すことは工業的に有意義である。
【0007】
そこで、本発明者らは、シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体を、より高品質かつ高収
率で製造する方法の開発を目的として鋭意研究をおこなった結果、不斉反応の採用、中間体の変更等による短工程化を達成することにより、シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体
の高品質・高収率かつ工業的に有利な操作での製造方法を確立し、さらに、安定した製造中間体の結晶形を見出すことによって本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の生産性を向上させるべく、シク
ロアルカン-1,3-ジアミン誘導体の結晶、その製造中間体およびその効率的な製造方法を
鋭意検討した。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明は、
(1)ロジウム系触媒またはルテニウム系触媒存在下での反応であることを特徴とする、下記式(VIII)
【0010】
【化1】
【0011】
であらわされる化合物に水素添加反応を行うことにより、副生成物の生成を抑制することで、効率よく下記式(VII)
【0012】
【化2】
【0013】
であらわされる化合物を製造する方法、
(2)ロジウム系触媒およびルテニウム系触媒が、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(RhCl(PPh3)3), ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダ
イマー([RuCl2(p-cymene)]2), ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート([Rh(nbd)2]BF4), [1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン](1
,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート(Rh(dppb)(COD)BF4), 1,2-ビス[(2S,5S)-2,5-ジフェニルホスホラノ]エタン(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート((S,S)-Ph-BPE-Rh)および ジアセタト[(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]ルテニウム(II)(Ru(OAc)2((R)-BINAP))から選択される一つである、上記(1)に記載の方法、
(2-1)ロジウム系触媒およびルテニウム系触媒が、ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー([RuCl2(p-cymene)]2)またはジアセタト[(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]ルテニウム(II)(Ru(OAc)2((R)-BINAP))である上記(1)に記載の方法、
(2-2)触媒の当量が上記化合物(VIII)に対して2.0 mol%乃至5 mol%である上記(1)または(2)に記載の方法
(2-3)触媒の当量が上記化合物(VIII)に対して2.5 mol%である上記(1または(2
))に記載の方法
(2-4)リガンド存在下である上記(1)または(2)に記載の方法
(2-5)リガンドが1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)(dppf), トリフェニルホスフィン(PPh3)および(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル((R)-BINAP)から選択される一つである上記(1)または(2)に記載の方法
(2-6)リガンドが(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル((R)-BINAP)である上記(1)または(2)に記載の方法
(2-7)リガンドの当量が、上記化合物(VIII)に対して5当量である上記(1)または(2)に記載の方法
【0014】
(3)ベンゾイル基を脱保護する方法であって、反応温度を20℃以下で行うことにより副生成物の生成を抑制することを特徴とする、下記式(II)
【0015】
【化3】
【0016】
であらわされる化合物又はその製薬学的に許容される塩のベンゾイル基を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選択される塩基存在下で脱保護し、下記式(I)
【0017】
【化4】
【0018】
であらわされる化合物又はその製薬学的に許容される塩を製造する方法、
(3-1)反応温度が、10℃乃至20℃である上記(3)に記載の方法、
(3-2)反応温度が、15℃である上記(3)に記載の方法、
(3-3)メタノールを溶媒とする、上記(3)に記載の方法、
【0019】
(4)下記式(II)
【化5】
【0020】
であらわされる化合物又はその製薬学的に許容される塩が、上記式(II)であらわされる化合物である上記(3)に記載の方法、
【0021】
(5)塩基が水酸化カリウムである上記(3)又は(4)に記載の方法、
(5-1)水酸化カリウムが、上記化合物(II)に対し、0.2当量以上である上記(5)に
記載の方法、
(5-2)水酸化カリウムが、上記化合物(II)に対し、0.2乃至0.4当量である上記(5)に記載の方法、
(5-3)水酸化カリウムが、上記化合物(II)に対し、0.3乃至0.4当量である上記(5)に記載の方法、
【0022】
(6)下記式(II)
【化6】
【0023】
であらわされる化合物又はその製薬学的に許容される塩が、下記式(IIb)
【0024】
【化7】
【0025】
であらわされる、式(II)のコハク酸塩である上記(3)に記載の方法、
(7)塩基が水酸化ナトリウムである上記(6)に記載の方法、
(7-1)水酸化ナトリウムが、上記化合物(II)に対し、2.2乃至2.4当量以上である上記(7)に記載の方法。
(7-2)水酸化ナトリウムが、上記化合物(II)に対し、2.3乃至2.4当量である上記(7)に記載の方法。
(7-3)水酸化ナトリウムが、上記化合物(II)に対し、2.3当量である上記(7)に記
載の方法。
【0026】
(8)下記式(II)
【化8】
【0027】
であらわされる化合物のベンゾイル基を脱保護することにより、下記式(I)
【0028】
【化9】
【0029】
であらわされる化合物とした後、上記式(I)の化合物のコハク酸塩にすることを特徴とす
る、下記式(Ib)
【0030】
【化10】
【0031】
であらわされる化合物の製法、
(8-1)上記化合物(I)が、結晶であることを特徴とする上記(3)に記載の製法、
【0032】
(9)下記式(I)
【化11】
【0033】
であらわされる(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン
-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール又はその製薬学的に許容される塩を製造するための、下記式中間体化合物(IX)、(VIII)、(VII)、(VI)、(IV)、(III)、(II)
【0034】
【化12】
【0035】
又はそれらの製薬学的に許容される塩、
(9-1)上記化合物(I)又はその製薬学的に許容される塩を製造するための中間体で
ある、上記式(VII)であらわされる化合物。
(9-2)上記化合物(III)または塩酸塩もしくはコハク酸塩。
【0036】
(10)(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オールの結晶(F2結晶)であって、銅のKα線(λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折図において、8.08±0.2、9.41±0.2、12.58±0.2、13.06±0.2、15.00±0.2、15.49±0.2、17.02±0.2、17.37±0.2、19.30±0.2、20.18±0.2、21.80±0.2、22.14±0.2、23.83±0.2、24.83±0.2、25.33±0.2、26.28±0.2、26.47±0.2、27.53±0.2、28.45±0.2、38.31±0.2から選択される回折角度(2θ)に、少なくとも5つのピークを有する結晶、
【0037】
(11)(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オールの結晶(F1結晶)であって、銅のKα線(λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折図において、6.92±0.2、8.53±0.2、11.55±0
.2、12.47±0.2、13.74±0.2、16.99±0.2、17.69±0.2、17.94±0.2、18.41±0.2、18.92±0.2、20.91±0.2、22.07±0.2、23.65±0.2、25.21±0.2、25.64±0.2、25.96±0.2、28.37±0.2、32.23±0.2から選択される回折角度(2θ)に、少なくとも5つのピークを有する結晶、
【0038】
(12)(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-
イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール コハク酸塩の結晶(S2結晶)であって、銅のKα線(λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折図において、4.72±0.2、6.70±0.2、7.86±0.2、9.52±0.2、11.40±0.2、12.32±0.2、13.84±0.2、14.34±0.2、14.82±0.2、17.64±0.2、21.26±0.2、22.54±0.2、23.32±0.2、24.18±0.2、24.80±0.2、25.80±0.2、26.60±0.2から選択される回折角度(2θ)に、少なくとも5つのピークを有する結晶、
【0039】
(13)(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-
イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール コハク酸塩の結晶(S3結晶)であって、銅のKα線(λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折図において、5.80±0.2、6.86±0.2、8.34±0.2、10.06±0.2、11.72±0.2、12.56±0.2、13.84±0.2、14.66±0.2、15.80±0.2、16.66±0.2、16.88±0.2、17.68±0.2、19.06±0.2、20.00±0.2、20.82±0.2、21.42±0.2、24.38±0.2、24.88±0.2、25.82±0.2、26.42±0.2から選択される回折角度(2θ)に、少なくとも5つのピークを有する結晶、
(14) 上記(12)又は(13)に記載された結晶を有効成分として含有する医薬組成物、
(15) 上記(12)又は(13)に記載された結晶を有効成分として含有するがんの治療のための医薬組成物、
(16) がんが、血液がん、前立腺がん、乳がん、肝細胞がん、または小児グリオーマである、上記(12)又は(13)に記載の医薬組成物、
(17) がんが、血液がんである上記(16)に記載の医薬組成物、
(18) 血液がんが、急性骨髄性白血病(AML)または急性リンパ性白血病(ALL)である、上記(17)に記載の医薬組成物、
(19) 医薬を製造するための、上記(11)、(12)又は(13)に記載の結晶の使用、
(20) 急性骨髄性白血病(AML)または急性リンパ性白血病(ALL)の治療のための医薬を製造するための、上記(11)、(12)又は(13)に記載の結晶の使用、である。
【0040】
下記式で示される(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オールまたはその製薬学的に許容される塩
【0041】
【化13】
【0042】
は、本明細書において、化合物(I)またはその製薬学的に許容される塩と記載する場合
がある。また、化合物(I)のコハク酸塩を化合物(Ib)と記載する場合がある。
【0043】
本発明において、結晶とは、その内部構造が三次元的に構成原子や分子の規則正しい繰り返しで構成される固体をいい、そのような規則正しい内部構造を持たない無定形の固体または非晶質体とは区別される。本発明の化合物またはその塩が結晶状態であることは、粉末X線結晶分析などを用いることによって確認することができる。一般に粉末X線回折において、測定装置、試料および試料調製の差に起因してピーク値に内在する変動があり、回折角度(2θ)は±0.2(度)程度の範囲内で変動し得るものであることから、本発明における回折角度の値は±0.2程度の範囲内の数値も含むものとして理解される。したがって、粉末X線回折における回折角度(2θ)が完全に一致する結晶だけでなく、回折角度が±0.2の範囲内で一致する結晶も本発明の範囲に包含される。なお、本明細書において、回折角度(2θ)の単位は、度(「°」とも表記される)であり、回折角度(2θ)の数値の記載において単位を省略する場合がある。
【0044】
本発明において、「特徴的ピーク」とは、粉末X線回折図において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度50以上のピークを意味する。また、本発明において「主要ピーク」とは、粉末X線回折図において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度15以上のピークを意味する。
【0045】
本発明において、結晶には、化合物(I)の結晶、化合物(I)の水和物結晶、化合物(I)の溶媒和物結晶、化合物(Ib)の結晶、化合物(Ib)の水和物結晶、及び化合物(Ib)の溶媒和物結晶が包含される。本発明の水和物結晶は、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5.0水和物の形をとることができ、湿度により水和水の増減が生じることがある。
【0046】
本発明のシクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体化合物(I)の結晶の好適な形態は、F1結晶及びF2結晶である。
【0047】
本発明のシクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体化合物(Ib)の結晶の好適な形態は、S1
結晶、S2結晶およびS3結晶である。
【0048】
本発明において「製薬学的に許容される塩」とは、著しい毒性を有さず、医薬組成物と
して使用され得る塩をいう。
【0049】
本発明の水素添加反応における触媒とは、水素ガスを還元剤として化合物に対して水素原子を付加する還元反応に用いられるものであれば特に限定はないが、好適には、ロジウム系触媒またはルテニウム系触媒である。ロジウム系触媒としては、例えば、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(RhCl(PPh3)3)、ビス(ノルボルナジ
エン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート([Rh(nbd)2]BF4)、[1,4-ビス(ジ
フェニルホスフィノ)ブタン](1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート(Rh(dppb)(COD)BF4)、1,2-ビス[(2R,5R)-2,5-ジフェニルホスホラノ]エタン(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート((R,R)-Ph-BPE-Rh)、1,2-ビス[(2S,5S)-2,5-ジフェニルホ
スホラノ]エタン(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート((S,S)-Ph-BPE-Rh)を挙げることができ、ルテニウム系触媒としては、例えば、ジク
ロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー([RuCl2(p-cymene)]2)、ジアセタト[(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]ルテニウム(II)(Ru(OAc)2((R)-BINAP))を挙げることができる。
【0050】
本発明の水素添加反応におけるリガンド(配位子)とは、電子供与性のある配位子(リガンド)であって、金属触媒に配位するものであれば特に限定はないが、好適には、トリフェニルホスフィン(PPh3)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)(dppf)、(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル((R)-BINAP)、(S)-(-)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル((S)-BINAP)を挙げることができる。
【0051】
本発明において用いることのできる溶媒は、各反応に対して不活性なものであればよい。水素添加反応においては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert-ブタノール、テトラヒドロフラン、水、酢酸等又はそれらの混合溶媒を用いることができ、好適にはメタノールである。
【0052】
シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体化合物である、化合物(I)およびその製薬学的に許容される塩は、公知化合物を出発原料として用いて、以下の式に示す工程の通り、本発明製法及び中間体を使用し、製造することができるが、本発明の反応条件はこれらに限定して解釈されるべきではない。本発明では、化合物の官能基を適当な保護基で保護する場合がある。このような官能基としては、例えば水酸基、カルボキシ基、アミノ基等を挙げることができ、保護基の種類、並びにそれらの保護基の導入と除去の条件は、例えばProtective Groups in Organic Synthesis(T.W.Green and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2006)に記載のものを参考にすることができる。以下の式において、各中間体化合物は、塩酸塩やコハク酸塩等等の製薬学的に許容される塩を形成していてもよい。
【0053】
【化14】
【0054】
【化15】
【0055】
【化16】
【0056】
本発明の別の態様は、本発明の結晶を有効成分として含有する医薬、本発明の結晶を含有する医薬組成物に関する。
【0057】
本願発明の結晶を有効成分として含む医薬は、好ましくは、本発明の結晶と1種または2種以上の薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物の形態で提供される。本発明の医薬の投与形態は特に制限されず、経口的または非経口的に投与することができるが、好ま
しくは、経口的に投与される。
【0058】
本発明の医薬組成物は、(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オールまたはその製薬学的に許容される塩として本発明の結晶を少なくとも一部含む。当該医薬組成物には、(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オールまたはその製薬学的に許容される塩として本願発明の結晶以外の結晶形が存在していてもよい。当該医薬組成物に含まれる本願発明の結晶の割合は、当該医薬組成物中の(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オールまたはその製薬学的に許容される塩全体に対して、0.01重量%~99.9重量%の範囲、例えば、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重
量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、97重量%以上、98重量%以上、99重量%以上、99.5重量%以上、99.6重量%以上、99.7重量%以上、99.8重量%以上または99.9重量%以上含まれていればよい。本願発明の結晶が医薬組成物に含まれている
かどうかは、本明細書に記載される機器分析方法(例えば、粉末X線回折、熱分析、赤外吸収スペクトル等)により確認することができる。
【0059】
本発明の医薬組成物は、本発明の結晶と製薬学的に許容し得る担体を含み、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射等の各種注射剤として、あるいは、経口投与または経皮投与等の種々の方法によって投与することができる。製薬学的に許容し得る担体とは、本発明の結晶を、ある器官または臓器から他の器官または臓器に輸送することに関与する、製薬学的に許容される材料(例えば、賦形剤、希釈剤、添加剤、溶媒等)を意味する。
【0060】
製剤の調製方法としては投与法に応じ適当な製剤(例えば、経口剤または注射剤)を選択し、通常用いられている各種製剤の調製法にて調製できる。経口剤としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、または油性ないし水性の懸濁液等を例示できる。注射剤の場合は製剤中に安定剤、防腐剤または溶解補助剤等を使用することもできる。これらの補助剤等を含むこともある溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって固形製剤として用時調製の製剤としてもよい。また、一回投与量を一の容器に収納してもよく、また複数回投与量を一の容器に収納してもよい。
【0061】
固形製剤としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、またはトローチ剤が挙げられる。これらの固形製剤は、本発明の結晶とともに薬学的に許容し得る添加物を含んでもよい。添加物としては、例えば、充填剤類、増量剤類、結合剤類、崩壊剤類、溶解促進剤類、湿潤剤類または滑沢剤類が挙げられ、これらを必要に応じて選択して混合し、製剤化することができる。
【0062】
液体製剤としては、例えば、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、または懸濁剤が挙げられる。これらの液体製剤は、本発明の結晶とともに製薬学的に許容し得る添加物を含んでもよい。添加物としては、例えば、懸濁化剤または乳化剤が挙げられ、これらを必要に応じて選択して混合し、製剤化することができる。
【0063】
例えば、錠剤の場合には、全薬剤組成物中、結合剤の含量は、通常、1乃至10重量部(好適には、2乃至5重量部)であり、崩壊剤の含量は、通常、1乃至40重量部(好適には、5乃至30重量部)であり、滑沢剤の含量は、通常、0.1乃至10重量部(好適には、0.5乃至3重量部)であり、流動化剤の含量は、0.1乃至10重量部(好適には、0.5乃至5重量部)である。
【0064】
本発明の医薬組成物は、温血動物(特にヒト)に投与することができ、有効成分である化合物(I)又はその製薬学的に許容される塩の投与量は、患者の症状、年齢、体重等の
種々の条件により変化し得るが、例えば経口投与の場合、1回当たり0.1mg/body~100mg/body(好適には0.5mg/body~50mg/body)をヒトに対して、1日当たり1乃至3回症状に応じて投与することができる。
【発明の効果】
【0065】
本発明によって、メニンおよびMLLタンパク質の相互作用に対しての優れた阻害活性を
有する、シクロアルカン-1,3-ジアミン誘導体化合物の製造方法及びその製造中間体化合
物が提供される。さらには、(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オールおよびその製薬学的に許容される塩の結晶、その製造方法及びその製造中間体化合物が提供される。本発明の結晶は、安定性に優れ、上記製造中間体及び抗がん剤等の医薬としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】実施例9-Bで製造された化合物の結晶(F2結晶)の粉末X線回折パターンを示す。図の縦軸は、回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θの値を示す。
図2】実施例10-Dで製造された化合物の結晶(F1結晶)の粉末X線回折パターンを示す。図の縦軸は、回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θの値を示す。
図3】実施例11-Bで製造された化合物の結晶(S2結晶)の粉末X線回折パターンを示す。図の縦軸は、回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θの値を示す。
図4】実施例11-Cで製造された化合物の結晶(S3結晶)の粉末X線回折パターンを示す。図の縦軸は、回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θの値を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例0067】
以下に、参考例、実施例を挙げて、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではなく、これらはいかなる意味においても限定的に解釈されない。また、本明細書において、特に記載のない試薬、溶媒および出発材料は、市販の供給源から容易に入手可能である。
【0068】
実施例で用いる略号は、次のような意義を有する。
mg:ミリグラム,g:グラム,kg:キログラム,mL:ミリリットル,L:リットル,MHz:メガヘルツ。
【0069】
以下の実施例において、プロトン核磁気共鳴スペクトル (以下、1H NMR) は、日本電子社製500 MHz核磁気共鳴装置を用いて測定した。スペクトルデータの表記は
、意義のあるピークについて示しており、テトラメチルシランを標準物質として、ケミカルシフト値をδ値(ppm)にて記載した。分裂パターンは一重線をs、二重線をd、三
重線をt、四重線をq、多重線をm、ブロードをbrで示した。本実施例の液体クロマトグラフィー(以下、HPLC)は、Nexera X2(SHIMADZU)を使用した
。本実施例のガスクロマトグラフィー(以下、GC)は、7890 GCシステム(AG
ILENT)を使用した。
【0070】
実施例における粉末X線回折測定における機器および測定条件は以下のとおりである。機種: Rigaku Rint TTR-III
試料: 適量
X線発生条件: 50 kV, 300 mA
波長: 1.54 Å (銅のKα線)
測定温度:室温
走査速度: 4~20°/min
走査範囲: 2~40°
サンプリング幅: 0.02°
【0071】
以下の参考例および実施例において、ラセミ体、光学活性体、幾何異性体、および立体の表記については、便宜上、以下の基準に従って記載する。(1)構造式中の立体表記については、くさび型(紙面よりも手前側に向かう結合)、破線(紙面よりも奥側に向かう結合)、実線(紙面上の結合)、または波線(立体を特に指定しない結合)を用いて示す。(2)構造式および化合物名に特段の記載がない場合、単一の立体異性体(光学活性体を含む。)を示す。
【0072】
以下の参考例および実施例において、化合物の構造式に併記される「HCl」および化合物名に付す「塩酸塩」の表記は、該構造式で示される化合物または該化合物名で示される化合物と塩化水素が種々の比率で塩酸塩を形成しうることを示しており、必ずしも1対1の比率で塩酸塩を形成することを示しているわけではない(例えば、一塩酸塩、二塩酸塩、三塩酸塩等を含む)。その他の酸に対する塩についても同様の記載とする。
【0073】
(参考例1)2-アミノ-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノフェン-3-カルボキサミドの製造
【0074】
【化17】
【0075】
(参考例1-A)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にトルエン(450 L)、4,4,4-トリフルオロブタノール(45.0 kg、351.3 mol)、2,2,6,6―テトラメチルピペリジン 1-オキシル(4.1 kg、26.4 mol)を加えた後、20-30℃で(ジアセトキシヨード)ベンゼン(113.2 kg、351.3 mol)を分割添加し、6時間攪拌した。反応液を0-5℃に冷却し、4,4,4-トリフルオロブタナール溶液として次工程に使用した。
【0076】
(参考例1-B)
窒素雰囲気下、0-5℃にて反応容器に参考例1-Aで調製した4,4,4-トリフルオロブタナール溶液、N,N-ジメチルホルムアミド(225 L)、硫黄(11.8 kg、368.9 mol)、2-シアノアセトアミド(29.5 kg、351.3m
ol)を加えた後、0-10℃でトリエチルアミン(106.6 kg、1054.0 mol)を滴下し、20-30℃で19時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(450 L)と3%亜硫酸ナトリウム水溶液(720 L)を加えて分液した後、得られた水層を酢酸エチル(225 L)で2回抽出し、水層を廃棄した。得られた有機層を合致し、5%塩化ナトリウム水溶液(360 L)で2回洗浄し、活性炭(4.5 kg)を添加し、30分以上攪拌した。活性炭をろ過で除去し、酢酸エチル(90 L)にて活性炭を2回洗浄し、得られたろ液を360 Lに濃縮した。2-プロパノール(900 L)を加え225 Lまで濃縮した後、40-50℃に加温し、1時間以上攪拌した。20―30℃に冷却し、ヘプタン(1575 L)を30分以上かけて滴下した。20-30℃で1時間以上攪拌した後、0-5℃で1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、0-5℃に冷却した2-プロパノール(22.5 L)とヘプタン(202.5 L)の混合物で洗浄し、標記化合物の粗体を取得した。
【0077】
(参考例1-C)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に参考例1-Bで調製した標記化合物の粗体、酢酸エチル(135 L)を加えた後、40-45℃に加温し、ヘプタン(405 L)を1時間以上かけて滴下した。40-45℃で1時間攪拌した後、0-5℃に冷却し30分以上攪拌した。析出した固体を濾取し、0-5℃に冷却したヘプタン(135 L)で洗浄し、50℃以下で減圧乾燥することで標記化合物を41.0 kg(収率52.1%)で取得した。
1HNMR(500MHz,DMSO-d6):δ 3.57 (q, J =11.2 Hz,2H), 6.20-7.50 (m, 2H), 6.99 (s, 1H), 7.29 (s, 2H)
【0078】
(参考例2)6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4(3H)-オンの製造
【0079】
【化18】
【0080】
(参考例2-A)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にアセトニトリル(180 L)、参考例1-Cで調製した2-アミノ-5-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノフェン-3-カルボキサミド(60 kg、267.6 mol)、オルトギ酸トリエチル(119.0、802.9 mol)、酢酸(180 L)を加え、還流下で7時間攪拌した。反応液を20-30℃に冷却し、2時間半以上攪拌した後、水(1200 L)を加えさらに2時間以上攪拌した。48%水酸化カリウム水溶液でpHを6.5-7.5に調整した後、1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、水(300 L)で洗浄し、65℃以下で減圧乾燥することで標記化合物の粗体を取得した。
【0081】
(参考例2-B)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に参考例2-Aで調製した標記化合物の粗体、酢酸エチル(300 L)を加えた後、40-45℃に加温し、ヘプタン(600 L)を1時間以上かけて滴下した。40-45℃で1時間攪拌した後、20-30℃に冷却した。析出した固体を濾取し、ヘプタン(240 L)で洗浄し、50℃以下で減圧乾燥することで標記化合物を49.2 kg(収率78.5%)で取得した。
1HNMR(500MHz, DMSO-d6):δ 4.05 (q, J =11.0 Hz,2H), 7.39 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 12.55 (br, 1H)
【0082】
(参考例3)6-クロロ-3,4-ジメトキシピリダジンの製造
【化19】
【0083】
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にトルエン(19.2 L)、メタノール(4.8 L)、3,6-ジクロロ-4-ジメトキシピリダジン(2.40 kg、13.4 mol)を加え、10-20℃に冷却し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28%、3.88 kg、20.1 mol)を滴下した後、10-20℃で12時間攪拌した。反応液に塩酸(36.5%、0.75 kg、7.37 mol)、トルエン(24.0 L)、水(7.2 L)を加え、分液した後、得られた水層をトルエン(7.2 L)で抽出し、水層を廃棄した。得られた有機層を合致し、33.6 Lまで濃縮し、20-30℃で1時間以上攪拌した。エチルシクロヘキサン(12.0 L)を1時間以上かけて滴下した後、20-30℃で1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、トルエン(4.8 L)とエチルシクロヘキサン(4.8 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物を1.20 kg(収率51.3%)で取得した。
1HNMR(500MHz,CDCl3):δ 3.95 (s, 3H), 4.16 (s, 3H), 6.77 (s, 1H)
【0084】
(参考例4)
4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)ベンズアルデヒドの製造
【0085】
【化20】
【0086】
窒素雰囲気下、反応容器に1-プロパノール(8.0 L)、水(12.0 L)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.89 kg、6.87 mol)、参考例3で調製した6-クロロ-3,4-ジメトキシピリダジン(1.00 kg、5.73 mol)、4-ホルミルフェニルボロン酸(0.90 kg、6.01 mol)、ビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(2.03 g、2.86 mmol)を加え、80-90℃で5時間攪拌した。反応液を15-25℃に冷却し、1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、1-プロパノール(1.0 L)と水(3.0 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物を1.29 kg(収率92.5%)で取得した。
1HNMR(500MHz,CDCl3):δ 4.05 (s, 3H), 4.26 (s, 3H), 7.20 (s, 1H), 8.01 (d, J = 8.5Hz, 2H), 8.18 (d, J = 8.0Hz, 2H), 10.10 (s, 1H)
【0087】
(実施例1)ベンジル=(3aS,6aR)-3-メチル-2-オキソ-3,3a,4,6a-テトラヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキシラート(化合物(IX))の製造
【0088】
【化21】
【0089】
(実施例1-A)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にテトラヒドロフラン(700 L)、(1S,4R)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン(70.0 kg、641.4 mol)、ジメチル硫酸(88.99 kg、705.6 mol)を加え、0℃に冷却し、カリウムtert-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液(1M、694.3 kg、769.7 mol)を0℃で滴下した。反応液内に生じた塩をろ過にて除去し、テトラヒドロフラン(280 L)にて洗浄し、ろ液を(1S,4R)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン溶液として次工程に使用した。
【0090】
(実施例1-B)
窒素雰囲気下、0℃にて反応容器に実施例1-Aで調製した(1S,4R)-2-メチル-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン溶液を添加し、ベンジルアルコール(346.8 kg、3207.2 mol)と塩酸のシクロペンチルメチルエーテル溶液(4M、400.9 L、1603.6 mol)を加え、0℃で3時間
攪拌した。反応液にトリエチルアミン(77.9 kg、769.7 mol)を加え0℃に温度を調節し、水(700 L)、ヘプタン(700 L)を加えた後、トリエチルアミンでpH3.4-4.4に調整した後、水層を分液した。有機層に水(210 L)を添加して攪拌し、再び水層を分液し、有機層を廃棄した。得られた水層を合致し、シクロペンチルメチルエーテル(700 L)とヘプタン(350 L)を添加して攪拌し有機層を廃棄する操作を3回繰り返した後、得られた水層をベンジル=(1R,4S)-4-(メチルアミノ)シクロペンタ-2-エン-1-カルボキシラート溶液として次工程に使用した。
【0091】
(実施例1-C)
窒素雰囲気下、0-5℃にて反応容器に実施例1-Bで調製したベンジル=(1R,4S)-4-(メチルアミノ)シクロペンタ-2-エン-1-カルボキシラート溶液を加え
、テトラヒドロフラン(700 L)、ジ-tert-ブチル=ジカルボナート(147.0 kg、673.5 mol)、トリエチルアミン(97.4 kg、962.2 mol)を加え、0-10℃で1時間攪拌した。反応液に塩化ナトリウム(35.0 kg)を加え攪拌した後、水層を廃棄した。得られた有機層をベンジル=(1R,4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]シクロペンタ-2-エン-1-カルボキシラート溶液として次工程に使用した。
【0092】
(実施例1-D)
窒素雰囲気下、0-10℃にて反応容器に実施例1-Cで調製したベンジル=(1R,4S)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]シクロペンタ-2-エン-1-カルボキシラート溶液と水(70 L)を加え20-30℃に温度を調節した。N-ブロモスクシンイミド(137.0 kg、769.7 mol)を6分割で加えた後、8時間攪拌した。反応液にトルエン(1400 L)、20%亜硫酸水素ナトリウム溶液(350 kg)を加え1時間以上攪拌した後、50%リン酸水素二カリウム水
溶液でpH6.0-7.0に調整した。その後、水層を廃棄し、20%塩化ナトリウム水溶液(350 kg)を加えて攪拌し、再び水層を廃棄した。得られた有機層を1400
Lまで濃縮し、ベンジル=(3aS,5S,6S,6aS)-6-ブロモ-3-メチル-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキシラート溶液として次工程に使用した。
【0093】
(実施例1-E)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に実施例1-Dで調製したベンジル=(3aS,5S,6S,6aS)-6-ブロモ-3-メチル-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキシラート溶液を添加し40-50℃に温度を調整した後、トリエチルアミン(97.4 kg、962.2 mol)を加えて5時間攪拌した。反応液を0-10℃に冷却し、塩酸のシクロペンチルメチルエーテル溶液(4M、96.2 L、384.9 mol)、12.5%塩化ナトリウム水溶液(560 kg)、酢酸エチル(700 L)を加え、塩酸でpH6.0-7.0に調整した。その後、水層を廃棄した後、得られた有機層を水(350 L)で2回洗浄した。2-プロパノール(1400 L)を加え、840 Lまで濃縮した後、2-プロパノール(1400 L)を加え、再び840 Lまで濃縮した。35-45℃で残渣にヘプタン(2660 L)を滴下し、20-30℃で1時間以上攪拌した後、0-5℃で1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、0-5℃に冷却した2-プロパノール(175 L)とヘプタン(525 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物 (IX)を157.1 kg(収率89.6%)で取得した。
1HNMR(500MHz, CDCl3): δ2.81-2.83 (m, 2H), 2.87 (s, 3H), 4.31-4.34 (m, 1H), 5.23
(s, 2H), 5.48 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.67-6.70 (m, 1H), 7.34-7.41 (m, 5H)
【0094】
(実施例2)(3aS,6aR)-3-メチル-2-オキソ-3,3a,4,6a-テトラヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキサミド(化合物(VIII))の製造
【0095】
【化22】
【0096】
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にアンモニアのメタノール溶液(7M、1186.8 L、8307.7 mol)、実施例1-Eで調製したベンジル=(3aS,6aR)-3-メチル-2-オキソ-3,3a,4,6a-テトラヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキシラート(化合物(IX))(141.9 kg、519.2 mol)、メタノール(71 L)を添加し、20-30℃で48時間攪拌した。反応液にメタノール(1419 L)を加え、710 Lまで濃縮した。2-プロパノール(2129 L)を加え、710 Lまで濃縮した後、2-プロパノール(2129 L)を加え、再び710 Lまで濃縮した。50-60℃に加温し、1時間以上攪拌した後、20-30℃で1時間以上攪拌した。ヘプタン(284 L)を滴下した後、1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、2-プロパノール(284 L)とヘプタン(142 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(VIII)を81.2 kg(収率85.8%)で取得した。
1HNMR(500MHz, DMSO-d6):δ3.06-3.08 (m, 2H), 3.14 (s, 3H), 4.71-4.74 (m, 1H), 5.91-5.93 (m, 1H), 6.79-6.81 (m, 1H), 7.68 (s, 1H), 8.05 (s, 1H)
【0097】
(実施例3)(3aS,5R,6aR)-3-メチル-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキサミド(化合物(VII))の製
【0098】
【化23】
【0099】
(実施例3-A)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に実施例2で調製した(3aS,6aR)-3-メチル-2-オキソ-3,3a,4,6a-テトラヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキサミド(化合物(VIII))(58.5 kg、321.1 mol)、ジ-μ-クロロビス-(p-シメン)クロロルテニウム(II)(4.9 kg、8.0 mol)、(R)-(+)-2,2‘-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(10.0 kg、16.1 mol)、メタノール(1170 L)、酢酸(19.3 kg、321.1 mol)を添加し、水素雰囲気下に置換した。45-55℃に加温し、24時間攪拌した後、20-30℃に冷却し、窒素雰囲気下に置換した。反応液に活性炭(5.85 kg)とメタノール(293 L)を添加し20-30℃で5分以上攪拌した。活性炭をろ過で除去し、メタノール(293 L)にて活性炭を洗浄し、ろ液を液量が293 Lになるまで減圧濃縮した。2-プロパノール(878 L)を加え、293 Lまで濃縮した後、2-プロパノール(878 L)を加え、再び293 Lまで濃縮した。トルエン(293 L)を加え、50-60℃に加温し、1時間以上攪拌した後、20-30℃で1時間以上攪拌した。トルエン(585 L)を30分以上かけて滴下した後、1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、2-プロパノール(88 L)とトルエン(264 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(VII)を54.2 kg(収率91.6%)で取得した。
1HNMR(500MHz,DMSO-d6):δ 1.44-1.50 (m, 3H), 1.65-1.71 (m, 1H), 2.10-2.16 (m, 1H), 2.19 (s, 3H), 3.53 (dd, J = 5.8, 13.5 Hz, 1H), 4.31 (dd, J = 7.5, 12.0 Hz, 1H), 6.33 (s, 1H), 6.80 (s, 1H)
【0100】
(実施例3-B)水素添加反応条件検討
水素添加反応において、生成化合物(VII)とともに副生成物である化合物(VII a)と化合物(VII b)、および生成物のepi体である化合物(VII c)が生成することを確認した。化合
物(VII a)、化合物(VII b)および/または化合物(VII c)が生成すると収率および品質の
低下となるため、それらの生成を制御する必要がある。そこで化合物(VIII)を原料として、実施例3-Aと同様の方法にて水素添加反応の条件検討を行った。
不斉水素添加反応において、通常使用されるパラジウム触媒(Pd(OAc)2)を用いたところ、目的化合物(VII)の収率は40%以下と低いものだった。そこで、さらに触媒検討を行い、触媒の中でもロジウム触媒、ルテニウム触媒が反応に適していることを見出し、さらにリガンドについても以下の条件で検討をおこなった。
【0101】
(水素添加反応条件)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に実施例2で調製した(3aS,6aR)-3-メチル-2-オキソ-3,3a,4,6a-テトラヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキサミド(化合物(VIII))(50.0 mg、0.27 mmol)、表1に示す触媒(化合物(VIII)に対し、2.0, 2.5, 5.0 mol%)、表1に示すリガンド(化合物(VIII)に対し、2.5, 5.0 mol%)、メタノール(1 mL)を添加し、水素雰囲気下に置換した。50℃に加温し、19-41時間攪拌した後、20-30℃に冷却し、窒素雰囲気下に置換した。反応液の一部をサンプリングし、アセトニトリルで希釈した後、表2に示すGC条件にて測定を行った。結果を表1に示す。
【0102】
【化24】
【0103】
【表1】
【0104】
上記表中、触媒及びリガンドの化学名は、以下の通り。
RhCl(PPh3)3: トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド
[Rh(nbd)2]BF4: ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート
Rh(dppb)(COD)BF4: [1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン](1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート
[RuCl2(p-cymene)]2: ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II)ダイマー
(R,R)-Ph-BPE-Rh: 1,2-ビス[(2R,5R)-2,5-ジフェニルホスホラノ]エ
タン(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート
(S,S)-Ph-BPE-Rh: 1,2-ビス[(2S,5S)-2,5-ジフェニルホスホラノ]エ
タン(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボラート
Ru(OAc)2((R)-BINAP) : ジアセタト[(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]ルテニウム(II)
PPh3: トリフェニルホスフィン
dppp: 1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン
dppf: 1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)
(R)-BINAP: (R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビ
ナフチル
(S)-BINAP: (S)-(-)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビ
ナフチル
【0105】
(GC条件)
カラム: DS-200 0.25mmID x 30m,膜厚0.5 μm
カラム温度:
【0106】
【表2】
【0107】
注入口温度:250℃付近の一定温度
検出器温度:300℃付近の一定温度
キャリアガス:ヘリウム
流速:45 cm/sec(コンスタントフローモード)
検出器:水素イオン化検出器
スプリット比:1:20(カラム流量:スプリットベント流量)
分析時間:約24分
注入量;1μL
試料溶解液:アセトニトリル
ライナー:アジレント ウルトライナート 5190-2295
各化合物の保持時間:
化合物(VIII):14.45 min, 化合物(VII):14.20 min,
化合物(VIIa):4.43 min, 化合物(VIIb):4.75 min
化合物(VIIc):13.53 min
【0108】
(実施例4)tert-ブチル=[(3aS,5R,6aR)-3-メチル-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-イル]カルバマート(化合物(VI))の製造
【0109】
【化25】
【0110】
(実施例4-A)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にN,N-ジメチルアセトアミド(260 L)、水(26 L)、実施例3-Aで調製した(3aS,5R,6aR)-3-メチル-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-カルボキサミド(化合物(VII))(52.0 kg、282.3 mol)を添加した後、
10-15℃に冷却し、マレイン酸(39.3 kg、338.8 mol)を添加した。10-15℃にて(ジアセトキシヨード)ベンゼン(163.7 kg、508.1 mol)を6分割して添加し、10-15℃で3時間攪拌した。反応液に水(234 L)を加え、20-25℃で2時間以上攪拌した。16.7%亜硫酸ナトリウム水溶液(218.4 kg)を添加し、20-25℃で1時間以上攪拌した後、水酸化ナトリウムでpH7.5-8.5に調整した。得られた溶液をヘプタン(520 L)で2回洗浄した後、(3aS,5R,6aR)-5-アミノ-3-メチル-4,5,6,6a-テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d]オキサゾール-2-オン溶液として次工程に使用した。
【0111】
(実施例4-B)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に実施例4-Aで調製した(3aS,5R,6aR)-5-アミノ-3-メチル-4,5,6,6a-テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d]オキサゾール-2-オン溶液,アセトニトリル(208 L)、ジ-tert-ブチル=ジカルボナート(64.69 kg、296.4 mol)、水酸化ナトリウム水溶液(4M、120 L、479.9 mol)を加え、20-30℃で14時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(520 L)で2回抽出し、水層を廃棄した。得られた有機層を合致し、20%塩化ナトリウム水溶液(260 kg)で5回洗浄した。得られた有機層を260 Lまで濃縮し、酢酸エチル(520 L)を加えた後、260 Lまで濃縮した。再び酢酸エチル(520 L)を加えた後、260 Lまで濃縮し、得られた残渣を50-60℃に加温し、1時間以上攪拌した。1時間以上かけて20-30℃まで冷却し、ヘプタン(780 L)を滴下した後、20-30℃で1時間攪拌し、さらに0-5℃で1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、酢酸エチル(31 L)とヘプタン(125 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(VI)を50.5 kg(収率69.8%)で取得した。
1HNMR(500MHz,DMSO-d6):δ 0.89 (s, 9H), 1.21-1.26 (m, 1H), 1.28-1.33 (m, 1H), 1.52-1.57 (m, 1H), 1.68-1.73 (m, 1H), 2.23 (s, 3H), 3.25-3.29 (m, 1H), 3.50-3.54 (m, 1H), 4.29-4.33 (m, 1H), 6.28 (br,1H)
【0112】
(実施例5)
tert-ブチル=[(1R,3R,4S)-3-ヒドロキシ-4-(メチルアミノ)シクロペンチル]カルバマート(化合物(V))の製造
【0113】
【化26】
【0114】
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に1-プロパノール(76 L)、水(177 L)、実施例4-Bで調製したtert-ブチル=[(3aS,5R,6aR)-3-メチル-2-オキソヘキサヒドロ-2H-シクロペンタ[d][1,3]オキサゾール-5-イル]カルバマート(化合物(VI))(50.5 kg、197.0 mol)、水酸化リチウム一水和物(33.07 kg、788.1 mol)を加え、60-65℃で16時間攪拌した。反応液を20-30℃に冷却した後、生じた塩をろ過にて除去し、水(88 L)と1-プロパノール(38 L)の混合物で洗浄した。得られたろ液にメチルイソブチルケトン(505 L)、塩化ナトリウム(10.1 kg)を加え、15分以上攪拌した後、水層を廃棄した。得られた有機層を20%塩化ナトリウム水溶液(151.5 kg)で洗浄し、有機層を202 Lまで濃縮した。メチルイソブチルケトン(505 L)を加え、202 Lまで濃縮した後、35-45℃で30分以上攪拌した。ヘプタン(808 L)を30分以上かけて滴下し、35-45℃で1時間以上攪拌した後、0-5℃で3時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、メチルイソブチルケトン(51 L)とヘプタン(253 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(V)を39.0 kg(収率85.9%)で取得した。
1HNMR(500MHz,CDCl3):δ 1.30-1.36 (m, 1H), 1.43 (s, 9H), 1.79 (d, J = 14.0 Hz,1H), 1.98-2.04 (m, 1H), 2.36-2.41 (m, 4H), 2.81 (ddd, J = 8.5,8.5,4.0 Hz,1H), 4.00 (dd, J = 4.0,4.0 Hz,1H), 4.08-4.11 (m, 1H), 5.28-5.30 (m, 1H)
【0115】
(実施例6)(1R,2S,4R)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート(化合物(IV))の製造
【0116】
【化27】
【0117】
(実施例6-A)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にトルエン(221 L)、参考例2-Bで調製した6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4(3H)-オン(45.0 kg、192.3 mol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(27.3 kg、211.5 mol)、オキシ塩化リン(35.4 kg、230.8 mol)を加え、75-85℃で3時間攪拌した。反応液にトルエン(221 L)を加え0-5℃に冷却し、水(443 L)、水酸化ナトリウム水溶液(4M、72 L、288.4 mol)を加え、20-30℃で5分以上攪拌した。さらに水酸化ナトリウム水溶液(4M、63 L、249.9 mol)を加えて5分以上攪拌した後、水層を廃棄した。得られた有機層を水(221 L)で洗浄した後、活性炭(4.4 kg)を加え、30分以上攪拌した。活性炭をろ過で除去し、トルエン(133 L)にて活性炭を洗浄し、得られたろ液を水(221 L)で洗浄した。得られた有機層を185 Lまで濃縮した後、N-メチルピロリドン(166 L)を加え、203 Lまで濃縮した。得られた残渣は4-クロロ-6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン溶液として次工程に使用した。
【0118】
(実施例6-B)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に実施例6-Aで調製した4-クロロ-6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン溶液、実施例5で調製したtert-ブチル=[(1R,3R,4S)-3-ヒドロキシ-4-(メチルアミノ)シクロペンチル]カルバマート(化合物(V))(36.9 kg、160.2 m
ol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(41.4 kg、320.4 mol)、N-メチルピロリドン(19 L)を加え55-65℃で8時間攪拌した。反応液を10-20℃に冷却し、tert-ブチル=[(1R,3R,4S)-3-ヒドロキシ-4-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル]カルバマート溶液として次工程に使用した。
【0119】
(実施例6-C)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に実施例6-Bで調製したtert-ブチル=[(1R,3R,4S)-3-ヒドロキシ-4-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル]カルバマート溶液、N-メチルピロリドン(74 L)、N-メチルイミダゾール(52.6 kg、640.9 mol)、塩化ベンゾイル(45.0 kg、320.4 mol)を加え1時間攪拌した。反応液を40-50℃に加温し、アセトン(923 L)を添加した後、水(295 L)を20分以上かけて滴下した。40-50℃で12時間以上攪拌後に、5時間以上かけて20-30℃まで冷却した後、3時間以上かけて水(295 L)を滴下した。3時間以上かけて0-5℃まで冷却した後、2時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、アセトン(277 L)と水(185 L) の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(IV)を81.1 kg(収率91.9%)で取得した。
1HNMR(500MHz,DMSO-d6):δ 1.39 (s, 9H), 1.72 (ddd, J = 14.0,7.0,2.0 Hz,1H), 2.27-2.31 (m, 2H), 2.56-2.62 (m, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.98-4.07 (m, 3H), 5.12 (ddd, J =
10.5,10.5,5.5 Hz,1H), 5.57 (ddd, J = 5.5,5.5,3.0 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 7.0 Hz,1H), 7.49 (t, J = 7.5 Hz,2H), 7.64 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.93 (d, J = 7.5 Hz,2H), 8.38 (s, 1H)
【0120】
(実施例7)(1R,2S,4R)-4-アミノ-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート=塩酸塩(化合物(III c))の製造
【0121】
【化28】
【0122】
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に実施例6-Cで調製した(1R,2S,4R)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート(化合物(IV))(200 g、363 mmol)、アセトニトリル(600 mL)、水(200 mL)、塩酸(107.4 g、1.09 mol)を加え、45-55℃で3時間攪拌した。反応液を20-30℃に冷却し、水(300 mL)、水酸化ナトリウム水溶液(10N、96.6 g、726 mmol)を加え、1時間以上攪拌した。2時間以上かけて水(2.8 L)を滴下した後、濃塩酸でpH4-6.5に調整し、30分以上攪拌した。析出した固体を濾取し、アセトニトリル(120 mL)と水(680 mL)、塩化ナトリウム(8.49 g、145 mmol)の混合物で洗浄した後、水(800 mL)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(IIIc)を162.4 g(収率91.8%)で取得した。
1HNMR(500MHz,DMSO-d6): δ1.88-1.92 (m, 1H), 2.36-2.40 (m, 1H), 2.46-2.52 (m, 1H), 2.72-2.78 (m, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.68-3.75 (m, 1H), 4.04 (q, J = 11,2 Hz, 2H), 5.22-5.26 (m, 1H), 5.60 (dt, J = 2.8 Hz, 6.0 Hz, 1H), 7.50 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.65 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.95 (dd, J = 8.4 Hz, 1.3 Hz, 2H), 8.23 (br, 2H), 8.39 (s, 1H)
【0123】
(実施例8)(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート(化合物(II))の製造
【0124】
【化29】
【0125】
(実施例8-A)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にテトラヒドロフラン(700 mL)、実施例7で調製した(1R,2S,4R)-4-アミノ-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート=塩酸塩(化合物(IIIc))(97.07 g、199 mmol)、トリエチルアミン(24.21 g、239 mmol)、酢酸(11.97 kg、199 mmol)、参考例4で調製した4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)ベンズアルデヒド(49.66 kg、203 mmol)を加え、15-20℃で1時間攪拌した。反応液は(1R,2S,4R)-4-{(E)-[4-(5,6-ジメトキシピリダジン‐3‐イル)フェニル]メチレンアミノ}-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート溶液として次工程に使用した。
【0126】
(実施例8-B)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(105.6 g、498 mmol)、テトラヒドロフラン(100 mL)を加え、15-20℃に冷却した後、実施例8-Aで調製した(1R,2S,4R)-4-{(E)-[4-(5,6-ジメトキシピリダジン‐3‐イル)フェニル]メチレンアミノ}-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート溶液を滴下し、15-20℃で8時間攪拌した。反応液に水(300 mL)を加え、塩酸にてpH3に調整した後、分液した。得られた有機層に15%塩化ナトリウム水溶液(300 mL)を加え、48%水酸化ナトリウム水溶液にてpH10に調整した後、分液した。得られた有機層を15%塩化ナトリウム水溶液(300 mL)で洗浄した後、活性炭(5.0 g)とテトラヒドロフラン(200 mL)を加え、30分以上攪拌した。活性炭をろ過で除去し、テトラヒドロフラン(500 mL)にて活性炭を洗浄し、得られたろ液を446 mLに濃縮した。40-45℃に加温し、2-プロパノール(500 mL)、種結晶を加え、15分以上攪拌した。テトラヒドロフラン(500 mL)と2-プロパノール(1500 mL)を加え、40-45℃で30分以上攪拌した後、2時間以上かけて0-5℃に冷却し、0-5℃で3時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、テトラヒドロフラン(167 mL)と2-プロパノール(333 mL)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(II)を120.8 g(収率89.3%)で取得した。
1HNMR(500MHz,DMSO-d6): δ1.66-1.71 (m, 1H), 2.18-2.25 (m, 1H), 2.29-2.34 (m, 1H), 2.55-2.61 (m, 1H), 3.23 (br, 1H), 3.43 (s, 3H), 3.83 (s, 2H), 3.99 (s, 3H), 3.99-4.05 (m, 2H), 4.05 (s, 3H), 5.12-5.17 (m, 1H), 5.61 (dt, J = 5.8 Hz, 3.0 Hz, 1H), 7.47-7.52 (m, 4H), 7.59 (s, 1H), 7.63 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.92 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.04 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.36 (s, 1H)
【0127】
(実施例9)
(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール(化合物(I))の製造A
【0128】
【化30】
【0129】
(実施例9-A)
原料である化合物(II)の脱ベンゾイル反応において生成物である化合物(I)とともに、
HPLCにて観測可能な微量の不純物が生成することが確認された。これらの不純物は後の工程においても除去が困難なため、反応における生成を制御する必要がある。そこで化合物(II)を原料として、脱ベンゾイル化反応の検討を行った。
(脱ベンゾイル化反応条件)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にメタノール(4.88 mL)、実施例8-Bで調製した(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート(化合物(II))(270.8 mg、 0.40 mmol)を加え、10、15、20又は25℃に温度を調節し、48%水酸化カリウム水溶液(化合物(II)に対して0.2, 0.3又は0.4当量)を加え、10、15、20又は25℃で38時間攪拌した。反
応液の一部をサンプリングし、50%アセトニトリル水に希釈した後、以下に示すHPLC条件にて測定を実施し、結果を表3に示した。
【0130】
(HPLC条件)
検出:254 nm
カラム:OX-3R(4.6 mm IDx150 mm,3 μm,DAICEL)
カラム温度:40°C
移動相:20 mM 炭酸アンモニウム/トリエチルアミン(pH9)水溶液:メタノー
ル = 20:80
流量:1.0 mL/min
注入量:10 μL
試料溶解液:アセトニトリル/水(1:1)
測定時間:45分
各化合物の保持時間:
化合物(I):14.53 min, Imp.A:22.00 min,
Imp.B:25.20 min, Imp.C:24.08 min,
Imp.D:32.93 min
【0131】
【表3】
【0132】
表中、imp. A, imp. B, imp. C およびimp. Dは以下の条件で特定される不純物を示す
【0133】
(実施例9-B)(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール(化合物(I)) F2結晶の製造
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にメタノール(1146 mL)、実施例8-Bで調製した(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート(化合物(II))(63.67 g、 93.8 mmol)を加え、10-20℃に冷却した後、48%水酸化カリウム水溶液(3.29 g、28.1 mmol)を加え、10-20℃で24時間攪拌した。反応液に塩酸(37.2%、4.60 g、46.9 mmol)、水(490.9 mL)、種結晶を添加し、2時間以上攪拌した。48%水酸化カリウム水溶液(2.19 g、18.8 mmol)を加え1時間攪拌したの後、水(153.4 mL)を加え、3時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、メタノール(221.6 mL)と水(160.4 mL)の混合物で洗浄し、35℃で減圧乾燥することで標記化合物(I)のF2結晶を52.8 g(収率98.0%)で取得した。
1HNMR(500MHz,CD3OD):δ 1.61 (ddd, J = 14.0,7.0,3.0 Hz, 1H), 2.09-2.15 (m, 1H), 2.21-2.26 (m, 1H), 2.38-2.44 (m, 1H), 3.16-3.22 (m, 1H), 3.51 (s, 3H), 3.82-3.90 (m, 4H), 4.01 (s, 3H), 4.11 (s, 3H), 4.47-4.49 (m, 1H), 4.89-4.94 (m, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.52 (d, J = 8.0 Hz,2H), 7.62 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8.0 Hz,2H), 8.28 (s, 1H)
【0134】
得られたF2結晶の粉末X線回折を図1に示す。
粉末X線回折(CuKα、λ=1.54オングストローム、走査速度 = 4°/min)の回折パターン図1において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度15以上のピークを表4に示す。
【0135】
【表4】
【0136】
(実施例10)
(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール(化合物(I))の製造B
【0137】
【化31】
【0138】
(実施例10-A)
(1R,2S,4R)-4-アミノ-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート=コハク酸塩(化合物(IIIb))の製造
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にアセトニトリル(324 L)、水(162 L)、濃塩酸(37.2%、48.07 kg、294.2 mol)、実施例6-Cで調製した(1R,2S,4R)-4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート(54.0 kg、98.1 mol)を加え、35-45℃で5時間攪拌した。反応液を10-30℃に冷却し、リン酸三カリウム(114.5 kg、539.4 mol)と水(432 L)の混合物、トルエン(432 L)を加え、分液して水層を廃棄した。得られた有機層を10%塩化ナトリウム水溶液(216 kg)で洗浄した後、432 Lまで濃縮した。残渣にトルエン(432 L)を加え、再び432 Lまで濃縮した。2-プロパノール(432 L)を加え、35-45℃に加温した後、コハク酸(3.5 kg、29.4 mol)、トルエン(73 L)、2-プロパノール(73 L)の混合物を30分以上かけて滴下した。種結晶を添加し、35-45℃で30分以上攪拌した後、コハク酸(8.7 kg、73.6 mol)、トルエン(183 L)、2-プロパノール(183 L)の混合物を1時間以上かけて滴下した。35-45℃で30分以上攪拌し、20-30℃で30分以上攪拌した後、0-5℃で攪拌した。析出した固体を濾取し、0-5℃に冷却したトルエン(108 L)と2-プロパノール(108 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(IIIb)を51.68 kg(収率92.7%)で取得した。
1HNMR(500MHz,DMSO-d6): δ1.91-1.97 (m, 1H), 2.45-2.54 (m, 5H), 2.84-2.90 (m, 1H), 3.51 (s, 3H), 3.71-3.78 (m, 1H), 3.83 (q, J = 10.6 Hz, 2H), 5.32-5.37 (m, 1H), 5.81 (dt, J = 6.2 Hz, 3.0 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.59 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 7.93 (dd, J = 8.4 Hz, 1.3 Hz, 2H), 8.37 (t, J = 5.8 Hz, 1H)
【0139】
(実施例10-B)
(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)
フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート=コハク酸塩(化合物(IIb))の製造
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器に2-メチルテトラヒドロフラン(500 L)、参考例4で調製した4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)ベンズアルデヒド(25.8 kg、106.0 mol)、実施例10-Aで調製した(1R,2S,4R)-4-アミノ-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート=コハク酸塩化合物(IIIb)(50.0 kg、87.9 mol)、ジエチル=1,4-ジヒドロ-2,6-ジメチルー3,5-ピリジンジカルボキシラート(33.4 kg、131.9 mol)を加え、35-45℃に加温した。35-45℃にてp-トルエンスルホン酸一水和物(15.1 kg、79.1 mol)と2-メチルテトラヒドロフラン(100 L)の混合物を30分以上かけて滴下した後、65-75℃に加温し、9時間攪拌した。反応液を10-30℃に冷却し、リン酸三カリウム(74.7 kg、351.8 mol)と水(250 L)の混合物を加えて分液し、水層を廃棄した。得られた有機層を水(200 L)で2回洗浄し、活性炭(2.5 kg)と2-メチルテトラヒドロフラン(100 L)を加え、20-30℃で30分以上攪拌した。活性炭をろ過で除去し、2-メチルテトラヒドロフラン(250 L)にて活性炭を洗浄し、得られたろ液を250 Lに濃縮した。残渣に2-メチルテトラヒドロフラン(350 L)と2-プロパノール(180 L)を加え、45-55℃に加温し、コハク酸(2.6 kg、22.0 mol)、2-メチルテトラヒドロフラン(180 L)の混合物を30分以上かけて滴下した。45-55℃で1時間以上攪拌した後、コハク酸(7.8 kg、66.0 mol)、2-メチルテトラヒドロフラン(540 L)の混合物を2時間以上かけて滴下した。45-55℃で1時間以上攪拌し、20-30℃で30分以上攪拌した後、0-5℃で30分以上攪拌した。析出した固体を濾取し、0-5℃に冷却した2-メチルテトラヒドロフラン(220 L)と2-プロパノール(30 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで標記化合物(IIb)を63.1 kg(収率90.1%)で取得した。
1HNMR(500MHz,DMSO-d6): δ1.88-1.93 (m, 1H), 2.38-2.51 (m, 6H), 2.79-2.86 (m, 1H), 3.50 (s, 3H), 3.81 (q, J = 10.4 Hz, 2H), 4.01 (s, 3H), 4.08-4.12 (m, 5H), 5.27-5.32 (m, 1H), 5.77-5.80 (m, 1H), 7.41 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.46 (s, 1H), 7.56-7.61 (m, 4H), 7.91-7.93 (m, 2H), 7.99 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.33 (s, 1H)
【0140】
(実施例10-C)
実施例9-Aと同様に、原料である化合物(化合物(IIb))の脱ベンゾイル反応におい
て生成物である化合物(I)とともに、HPLCにて観測可能な微量の不純物が生成するこ
とが確認された。これらの不純物は後の工程においても除去が困難なため、反応における残存、生成を制御する必要がある。そこで化合物(IIb)を原料として化合物(I)を製造する脱ベンゾイル化反応の検討を行った。
(脱ベンゾイル化反応条件)
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にメタノール(1.50 mL)、水(0.17 mL)、実施例10-Bで調製した(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート=コハク酸塩(化合物(IIb))(100.0 mg、0.13 mmol)を加え、10、15、20又は25℃に温度を調節し、25%水酸化ナトリウム水溶液(化合物(II)に対して2.2, 2。3又は2.4当量)を加え、10、15、20又は25℃で24時間攪拌した。反応液の一部をサンプリングし、50%アセトニトリル水に希釈した後、以下に示すHPLC条件にて測定を実施し、結果を表5に示した。
(HPLC条件)
検出:254 nm
カラム:OX-3R(4.6 mm IDx150 mm,3 μm,DAICEL)
カラム温度:40°C
移動相:20 mM 炭酸アンモニウム/トリエチルアミン(pH9)水溶液:メタノール = 20:80
流量:1.0 mL/min
注入量:10 μL
試料溶解液:アセトニトリル/水(9:1)
測定時間:45分
各化合物の保持時間:
化合物(I):14.53 min, imp.A:22.00 min,
imp.B:25.20 min, imp.C:24.08 min,
imp.D:32.93 min
【0141】
【表5】
【0142】
表中、imp. A, imp. B, imp. C およびimp. Dは以下の条件で特定される不純物を示す
【0143】
(実施例10-D)
(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール(化合物(I))のF1結晶の製造B
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にメタノール(900 L)、水(84 L)、実施例10-Bで調製した(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンチル=ベンゾアート=コハク酸塩(60.0 kg、75.3 mol)を加え、10-20℃に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(25%、27.71 kg、173.2 mol)と水(23 L)の混合物を加えた後、10-20℃で24時間攪拌した。反応液を0-5℃に冷却し、濃塩酸でpH9.0-9.8に調整した後、種結晶を加え、0-5℃で12時間以上攪拌した。水(252 L)を2時間以上かけ滴下し、0-5℃で1時間以上攪拌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH12.0-13.0に調整し、0-5℃で1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、0-5℃に冷却したメタノール(126 L)と水(54 L) の混合物、水(180 L)で洗浄し、35℃で減圧乾燥することで標記F1結晶を38.2 kg(収率88.2%)で取得した。
1HNMR(500MHz,CD3OD):δ 1.61 (ddd, J = 14.0,7.0,3.0 Hz, 1H), 2.09-2.15 (m, 1H), 2.21-2.26 (m, 1H), 2.38-2.44 (m, 1H), 3.16-3.22 (m, 1H), 3.51 (s, 3H), 3.82-3.90 (m, 4H), 4.01 (s, 3H), 4.11 (s, 3H), 4.47-4.49 (m, 1H), 4.89-4.94 (m, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.52 (d, J = 8.0 Hz,2H), 7.62 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8.0 Hz,2H), 8.28 (s, 1H)
【0144】
得られたF1結晶の粉末X線回折を図2に示す。
粉末X線回折(CuKα、λ=1.54オングストローム、走査速度 = 10°/min)の回折パターン図2において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度35以上のピークを表6に示す。
【0145】
【表6】
【0146】
(実施例11)(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール コハク酸塩(化合物(Ib))の製造
【0147】
【化32】
【0148】
(実施例11-A)
(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フ
ェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール コハク酸塩(化合物(Ib))のS1結晶の製造
窒素雰囲気下、20-30℃にて反応容器にエタノール(342 L)、実施例9-Bおよび実施例10-Dで調製した(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール(38.0 kg、66.4 mol)を添加し、30分以上攪拌した後、活性炭(1.9 kg)とエタノール(38 L)を添加し、20-30℃で30分以上攪拌した。活性炭をろ過で除去し、エタノール(114 L)にて活性炭を洗浄し、得られたろ液に水(26 L)を添加した後、コハク酸(0.9 kg、7.9
mol)、エタノール(18 L)、水(1 L)の混合物を滴下し、20-30℃で30分以上攪拌した。さらに、コハク酸(8.4 kg、71.4 mol)、エタノール(235 L)、水(12 L)の混合物を2時間以上かけて滴下し、20-30℃で1時間以上攪拌した。析出した固体を濾取し、エタノール(181 L)、水(10 L)の混合物で洗浄し、40℃で減圧乾燥することでS1結晶を43.2 kg(収率94.4%)で取得した。
得られたS1結晶は、WO2020/116662の実施例131に記載の化合物と同じ物性値を有す
ることを確認した。
【0149】
(実施例11-B)
(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フ
ェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール コハク酸塩(化合物(Ib))のS2結晶の製造
実施例10-Dで調製した(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール(501 mg, 0.87mmol)、コハク酸(103 mg,
0.87mmol)を1-Nitropropane(5 ml)及び水(62 μl)に懸濁し、40℃で24時間攪拌した。室温に冷却後、1-Nitropropane(2 ml)を加え、ろ過した。減圧下溶媒を留去して、S2結晶560.8 mg(収率93%)を得た。
1HNMR(500MHz,CD3OD):δ 1.79 (ddd, J = 15.0,6.0,2.5 Hz, 1H), 2.31-2.41 (m, 2H), 2.49-2.54 (m, 5H), 3.52-3.59 (m, 4H), 3.88 (ddd, J = 10.5,10.5,10.5 Hz, 2H), 4.03 (s, 3H), 4.13 (s, 3H), 4.18-4.18 (m, 2H), 4.55 (ddd, J = 5.4,5.4,3.0 Hz, 1H), 4.96-5.02 (m, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.62 (d, J = 8.0 Hz,2H), 7.66 (s, 1H), 8.03 (dt, J = 8.0,2.0 Hz,2H), 8.31 (s, 1H)
【0150】
得られたS2結晶の粉末X線回折を図3に示す。
粉末X線回折(CuKα、λ=1.54オングストローム、走査速度 = 20°/min)の回折パターン図3において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度16以上のピークを表7に示す。
【0151】
【表7】
【0152】
(実施例11-C)
(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキシピリダジン-3-イル)フ
ェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール コハク酸塩(化合物(Ib))のS3結晶の製造
実施例11-Aで調製した(1R,2S,4R)-4-({[4-(5,6-ジメトキ
シピリダジン-3-イル)フェニル]メチル}アミノ)-2-{メチル[6-(2,2,2-トリフルオロエチル)チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イル]アミノ}シクロペンタン-1-オール コハク酸塩(2810 mg, 4.33 mmol)に2,2,2,―Trifluoroethanol(60 ml)を加えて溶解し、-80℃で凍
結後、凍結乾燥した。得られた凍結乾燥検体を5℃で3日間水蒸気曝露した。約1日風乾した後、S3結晶2559mg(収率91%)を得た。
1HNMR(500MHz,CD3OD):δ 1.79 (ddd, J = 15.0,6.0,2.5 Hz, 1H), 2.31-2.41 (m, 2H), 2.49-2.54 (m, 5H), 3.52-3.59 (m, 4H), 3.88 (ddd, J = 10.5,10.5,10.5 Hz, 2H), 4.03 (s, 3H), 4.13 (s, 3H), 4.18-4.18 (m, 2H), 4.55 (ddd, J = 5.4,5.4,3.0 Hz, 1H), 4.96-5.02 (m, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.62 (d, J = 8.0 Hz,2H), 7.66 (s, 1H), 8.03 (dt, J = 8.0,2.0 Hz,2H), 8.31 (s, 1H)
【0153】
得られたS3結晶の粉末X線回折を図4に示す。
粉末X線回折(CuKα、λ=1.54オングストローム、走査速度 = 20°/min)の回折パターン図4において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度26以上のピークを表8に示す。
【0154】
【表8】
図1
図2
図3
図4