(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141174
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】自動植毛装置
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A41G3/00 N
A41G3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047358
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】井上 健太
(72)【発明者】
【氏名】日月 快
(72)【発明者】
【氏名】小田 晶美
(57)【要約】
【課題】引出鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗、及び植毛鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗の少なくとも一方を検出可能な自動植毛装置を提供する。
【解決手段】自動植毛装置120は、毛髪材が配置されるストッカから毛髪材を捕捉して引き出す引出鉤針と、引出鉤針により引き出された毛髪材を捕捉して植毛ネットに植毛する植毛鉤針と、引出鉤針により捕捉された毛髪材の有無を検出する引出センサ110と、植毛鉤針により捕捉された毛髪材の有無を検出する植毛センサ130と、を備える。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪材が配置されるストッカから前記毛髪材を捕捉して引き出す引出鉤針と、
前記引出鉤針により引き出された前記毛髪材を捕捉して植毛対象物に植毛する植毛鉤針と、
前記引出鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無、及び、前記植毛鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出する毛髪材検出部と、を備える、自動植毛装置。
【請求項2】
前記引出鉤針は、前記ストッカに形成された取出口から前記ストッカ内に進入して前記ストッカ内の前記毛髪材を捕捉し、捕捉した前記毛髪材を前記取出口から引き出し、
前記毛髪材検出部は、前記引出鉤針により引き出された前記毛髪材の有無を検出する、請求項1に記載の自動植毛装置。
【請求項3】
前記毛髪材検出部は、前記植毛鉤針が前記毛髪材を前記植毛対象物に植毛する際に、前記植毛鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無を検出する、請求項1または2に記載の自動植毛装置。
【請求項4】
前記毛髪材検出部は、前記引出鉤針により捕捉された前記毛髪材、及び、前記植毛鉤針により捕捉された前記毛髪材のうちの少なくとも一方の毛髪材に光を照射し、当該毛髪材により当該光が遮断されたことを検出するか、又は、当該毛髪材が反射した光を受光して当該毛髪材が有ることを検出する、請求項1~3のいずれか1項に記載の自動植毛装置。
【請求項5】
前記毛髪材検出部は、前記引出鉤針に対する引張負荷、及び、前記植毛鉤針に対する引張負荷のうちの少なくとも一方に基づいて、前記引出鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無、及び、前記植毛鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出する、請求項1~4のいずれか1項に記載の自動植毛装置。
【請求項6】
前記毛髪材検出部は、前記引出鉤針のフック部分の画像、及び、前記植毛鉤針のフック部分の画像のうちの少なくとも一方の画像を撮像し、当該画像に基づいて、前記引出鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無、及び、前記植毛鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出する、請求項1~5のいずれか1項に記載の自動植毛装置。
【請求項7】
前記毛髪材検出部は、前記引出鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無を前記引出鉤針の動作が停止している期間内に検出するか、又は、前記植毛鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無を前記植毛鉤針の動作が停止している期間中に検出する、請求項1~6のいずれか1項に記載の自動植毛装置。
【請求項8】
前記引出鉤針により前記毛髪材が捕捉されていないこと、又は、前記植毛鉤針により前記毛髪材が捕捉されていないことのいずれかを前記毛髪材検出部が検出した場合に、前記引出鉤針及び前記植毛鉤針の動作を停止させる異常停止制御部を、さらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の自動植毛装置。
【請求項9】
前記異常停止制御部は、前記引出鉤針により前記毛髪材が捕捉されていないこと、又は、前記植毛鉤針により前記毛髪材が捕捉されていないことのいずれかを複数回連続して検出した場合に、前記引出鉤針及び前記植毛鉤針の動作を停止させる、請求項8に記載の自動植毛装置。
【請求項10】
前記引出鉤針により前記毛髪材が捕捉されていないこと、又は、前記植毛鉤針により前記毛髪材が捕捉されていないことのいずれかを前記毛髪材検出部が検出した場合に、記憶部に検出記録を記憶させる記憶制御部を、さらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の自動植毛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動植毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植毛対象物に毛髪材を結び付けて植毛する自動植毛装置が知られている。このような自動植毛装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の自動植毛装置は、複数の毛髪材からなる毛髪材束が収容されるとともに底部に取出口を有するストッカと、第1鉤針と、第2鉤針とを備える。第2鉤針は、ストッカの取出口から毛髪材を引き出す。そして、第1鉤針は、引き出された毛髪材を捕捉し、その後、毛髪材を植毛ネットに結び付けて植毛する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載されているような自動植毛装置では、第1鉤針による毛髪材の捕捉が失敗すること、又は、第2鉤針による毛髪材の捕捉が失敗することがある。しかしながら、上記特許文献1の自動植毛装置では、第1鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗、又は、第2鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗に関わらず、植毛が行われるため、ウィッグやかつら等の植毛完成品の品質が低下してしまう場合がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、引出鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗、及び植毛鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗の少なくとも一方を検出可能な自動植毛装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、以下に開示する自動植毛装置は、毛髪材が配置されるストッカから前記毛髪材を捕捉して引き出す引出鉤針と、前記引出鉤針により引き出された前記毛髪材を捕捉して植毛対象物に植毛する植毛鉤針と、前記引出鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無、及び、前記植毛鉤針により捕捉された前記毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出する毛髪材検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、引出鉤針により捕捉された毛髪材の有無、及び、植毛鉤針により捕捉された毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出することができるので、引出鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗、及び植毛鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗の少なくとも一方を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、自動植毛装置120の構造を奥行方向に見た模式図である。
【
図2】
図2は、自動植毛装置120の構造を後方から見た模式図である。
【
図3】
図3は、自動植毛装置120の第1動作から第4動作を示す図であって、自動植毛装置120の構造を奥行方向に見た模式図である。
【
図5】
図5は、自動植毛装置120の第1動作から第4動作を示す図であって、自動植毛装置120の構造を後方から見た模式図である。
【
図6】
図6は、自動植毛装置120の第5動作を示す図である。
【
図7】
図7は、自動植毛装置120の第6動作及び第7動作を示す図である。
【
図9】
図9は、自動植毛装置120の第8動作及び第9動作を示す図である。
【
図11】
図11は、自動植毛装置120の第10動作を示す図である。
【
図13】
図13は、自動植毛装置120の第11動作を示す図である。
【
図14】
図14は、自動植毛装置120の第12動作及び第13動作を示す図である。
【
図16】
図16は、自動植毛装置120の第14動作を示す図である。
【
図18】
図18は、自動植毛装置120の第15動作を示す図である。
【
図20】
図20は、自動植毛装置120の第16動作から第18動作を示す図である。
【
図22】
図22は、第1実施形態による自動植毛装置120の構成を示すブロック図である。
【
図24A】
図24Aは、第1実施形態の引出センサ110による毛髪材100aの有無の検出を説明するための図(1)である。
【
図24B】
図24Bは、第1実施形態の引出センサ110による毛髪材100aの有無の検出を説明するための図(2)である。
【
図25A】
図25Aは、第1実施形態の植毛センサ130による毛髪材100aの有無の検出を説明するための図(1)である。
【
図25B】
図25Bは、第1実施形態の植毛センサ130による毛髪材100aの有無の検出を説明するための図(2)である。
【
図25C】
図25Cは、第1実施形態の植毛センサ130による毛髪材100aの有無の検出を説明するための図(3)である。
【
図26】
図26は、制御装置95による自動植毛装置120による異常の検出の制御処理を示すフロー図である。
【
図27A】
図27Aは、第2実施形態による引出センサ310の構成を説明するための図(1)である。
【
図27B】
図27Bは、第2実施形態による引出センサ310の構成を説明するための図(2)である。
【
図28】
図28は、第2実施形態による植毛センサ330の構成を説明するための図である。
【
図29】
図29は、第3実施形態による自動植毛装置400のブロック図である。
【
図30】
図30は、第3実施形態による第1カメラ410の配置位置を説明するための図である。
【
図31A】
図31Aは、第1カメラ410により撮影された画像の例を示す図(1)である。
【
図31B】
図31Bは、第1カメラ410により撮影された画像の例を示す図(2)である。
【
図32】
図32は、第3実施形態による第2カメラ430の配置位置を説明するための図である。
【
図33A】
図33Aは、第2カメラ430により撮影された画像の例を示す図(1)である。
【
図33B】
図33Bは、第2カメラ430により撮影された画像の例を示す図(2)である。
【
図34】
図34は、第1実施形態の第1変形例による引出センサ510の構成を示す図である。
【
図35】
図35は、第3実施形態の変形例による自動植毛装置600の構成を示す図(1)である。
【
図36】
図36は、第3実施形態の変形例による自動植毛装置600の構成を示す図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0011】
<<自動植毛装置の構成例及び動作例>>
最初に、本発明の実施形態に係る自動植毛装置の基本的な構成及び動作について図面を参照して説明する。なお、ここでは、本発明の要部を説明する前提として、自動植毛装置の基本的な構成及び動作のそれぞれの一例を説明するに過ぎない。本発明の要部の構成及び動作と矛盾を生じない限りにおいて、ここで説明する自動植毛装置の構成及び動作とは異なる構成及び動作を採用することは当然に可能である。
【0012】
図1は、自動植毛装置の構造及び初期位置を示した側面図である。
図2は、
図1の状態の自動植毛装置を後方から前方に向かってみた場合の正面図である。
図1に示すように、自動植毛装置120は、エキセン10、植毛鉤針20、引出鉤針30、ストッカ40、糸位置出しバー50、糸落としバー60、糸引込バー70、反転ローラー80、
図11に図示した磁石90、図示のされていない駆動機構、制御装置などを備え、当該制御装置による前記駆動機構の制御に伴いエキセン10と植毛鉤針20と引出鉤針30と糸落としバー60並びに糸引込バー70のそれぞれが
図2から
図11までに示した第1動作から第18動作までを行い、毛髪材100aをストッカ40から1本ずつ捕捉して植毛ネット200の横糸202に結び付けて植毛する。なお、
図1ないし
図21に示す側面図及び正面図では、図中の左右方向が水平方向、上下方向が鉛直方向である。
【0013】
毛髪材100aとは、人工毛(ファイバー、合成繊維)のほか、人毛(ヒトから採取した毛)、動物毛(ヒト以外の動物から採取した毛)、またはこれらの混合物などであり、自動植毛装置120によって植毛可能な毛または毛様の一切の材料が含まれる。植毛ネット200は、複数本の縦糸201と複数本の横糸202とからなる網目状に形成されており、縦糸201及び横糸202のそれぞれは、複数本の原糸を撚りあわせた一本の糸であってもよいし、一本の原糸であってもよい。
【0014】
最初に、自動植毛装置120の構成及び自動植毛装置120が動作を行う際の初期位置について説明する。
図1に示すように、予め切り揃えられた複数本の毛髪材100aからなる毛髪材束100bが、エキセン10よりも上方に配置されたストッカ40内に配置される。ストッカ40における取出口42の下方には引出鉤針30が配置されており、植毛鉤針20と引出鉤針30の間にエキセン10が配置されている。以下、水平面内の方向であって、エキセン10からみて引出鉤針30がある方向を後方、その反対方向を前方といい、これらを合わせて前後方向という。また、水平面内において前後方向と垂直な方向を奥行方向といい、後方を見たときに左側となる方向を奥側(
図1における紙面裏側)、右側となる方向を手前側(
図1における紙面表側)という。
【0015】
植毛ネット200は、エキセン10のネット掛部11に対して上方から覆い被さるようにセットされ、引出鉤針30の下方のある反転ローラー80にも接触して位置が規制されている。植毛鉤針20は、その先端が後方を向いており、当該先端がエキセン10の回転軸と同程度の高さに位置している。引出鉤針30は、その先端が上方を向いており、当該先端がエキセン10の中心軸よりも下方に位置している。糸位置出しバー50は、ストッカ40の底部41における前後方向の中央部に設けられた取出口42よりも下方かつ前方に位置している。糸落としバー60及び糸引込バー70は、糸位置出しバー50の下方かつエキセン10の上方であって、糸位置出しバー50よりも前方に位置している。
【0016】
ストッカ40は、平面視が矩形である平板状の底部41と、底部41の前後方向の二辺のそれぞれに沿って設けられている一対の対向した側板43を有している。底部41と側板43は垂直であり、前後方向の断面がコの字型になっている。毛髪材100aは、例えば完成するウィッグの毛の長さの約2倍の長さに切り揃えられ、奥行方向に交差する(例えば、毛髪材束100bを構成する毛髪材100aの大半が概ね奥行方向と直交する)ようにストッカ40の底部41上に配置される。なお、毛髪材100aの長さを、ストッカ40における底部41の前後方向の長さより長くして、一部がストッカ40から外側に突出するようにしてもよい。ただし、毛髪材100aのストッカ40から突出した部分が底部41より下方に垂れ下がらない程度であれば、引出鉤針30がストッカ40から毛髪材100aを捕捉して下方に引き出す際に、毛髪材100aのストッカ40から突出した部分が底部41の前後方向の端部で擦れて傷むことを防止することができるし、稼働する他の機構への巻き込みなども防止することができるため、好ましい。
【0017】
ストッカ40は、
図2に示すように1つだけ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。また、
図2では、1つのストッカ40から複数の引出鉤針30が毛髪材100aを引き出す場合を例示しているが、複数のストッカのそれぞれから当該ストッカに対応する1つの引出鉤針30が毛髪材100aを引き出すように構成してもよい。また、ストッカ40には、例えば異なる色の毛髪材100a、色が同じであって太さの異なる毛髪材100a、同じ色や同じ太さであっても硬さ(弾力)の異なる毛髪材100aなど、種類の異なる毛髪材100aが混合されて供給され、完成するウィッグにおける毛髪材100aの色や太さ或いは髪質が予め調整される。なお、ストッカ40に対して、単一の種類の毛髪材100aを供給してもよい。
【0018】
エキセン10は、植毛ネット200の植毛領域を確保する部材であり、奥行方向に延びる中心線を有する円柱状のネット掛部11と、ネット掛部11の側周面から内部に窪むように設けられて当該側周面に重なる開口を有する逃げ部12と、ネット掛部11の両端部に設けられて奥行方向に延びる中心線を有する軸部13とを備える。軸部13の中心線は、ネット掛部11の中心線とは一致しておらず、ネット掛部11の半径方向の外側に偏位しており、ネット掛部11の側周面上であって逃げ部12が設けられている部分(さらには当該部分の周方向の中央部分)に位置する。
【0019】
軸部13は、装置本体に設けられた図示されていない軸受部により、中心線が回転軸となるように回転可能に支持され、軸部13が自転することで、軸部13に連結されたネット掛部11が軸部13の中心線を軸として公転する。初期位置では、逃げ部12の開口は、
図1に示すように前方を向いている。なお、軸部13の中心線は、逃げ部12の開口の周方向の中心に位置する一本の横糸202-1と重なっていてもよい。
【0020】
逃げ部12の開口幅(周方向の長さ)は、例えば、植毛ネット200がネット掛部11の外面に巻き掛けられて一本の横糸202-1が逃げ部12の開口の周方向の中心に位置した場合において、当該中心に位置する一本の横糸202-1の周方向に隣接する2本の横糸202-2及び202-3のうちの一本の横糸202-2が逃げ部12の開口の下方側の端部付近に位置し、別の一本の横糸202-3が逃げ部12の開口の上方側の端部付近に位置するように、植毛ネット200の網目を構成する横糸202の間隔に基づき決定してもよい。なお、
図1では、逃げ部12の開口幅が横糸202-2と横糸202-3の幅よりも狭い場合を図示しているが、逃げ部12の開口幅が横糸202-2と横糸202-3の幅以上であってもよい。
【0021】
植毛鉤針20は、植毛ネット200に毛髪材100aを植毛する部材であり、先端のフック21と、フック21の針口を開閉するラッチ22とを備える。ラッチ22は、一端が植毛鉤針20に図示のされていない軸で回転可能に連結され、当該軸を中心として回転することにより、ラッチ22の他端がフック21に接して針口が閉じた状態と、ラッチ22の他端がフック21から離れて針口が開いた状態とが切り替えられる。初期位置では、
図1に示すように、植毛鉤針20がエキセン10の前方に離れた位置であって、逃げ部12の開口と対向する位置にあり、ラッチ22は針口が開いた状態になっている。
【0022】
植毛鉤針20は、制御装置で制御される駆動機構によって駆動され、毛髪材100aを植毛ネット200に結び付けて植毛する。また、植毛鉤針20は、
図2に示した複数本の引出鉤針30と1対1で対応するように、複数本が奥行方向に整列している。複数本の植毛鉤針20の一群は、制御装置で制御される駆動機構で一緒に動作して毛髪材100aを植毛ネット200に植毛する。なお、植毛鉤針20及び引出鉤針30のそれぞれは、1本であっても良い。
【0023】
引出鉤針30は、ストッカ40から毛髪材100aを捕捉する部材であり、先端に1本の毛髪材100aを捕捉可能なフック31が設けられる。初期位置では、
図1に示すように、引出鉤針30がエキセン10の下方かつ反転ローラー80の上方に位置し、フック31の針口32が手前側に向いている。また、引出鉤針30は、
図2に示すように、複数設けられているとともに奥行方向に整列している。複数本の引出鉤針30の一群は、制御装置で制御される駆動機構により一緒に動作して毛髪材100aを捕捉する。なお、フック31は、2本または3本以上の複数本の毛髪材100aを捕捉可能であってもよいし、毛髪材100aを補足可能であればどのような大きさ、形状であってもよい。
【0024】
糸位置出しバー50は、引出鉤針30によってストッカ40から引き出される毛髪材100aを所定位置に誘導する部材である。
図1及び
図2に示すように、糸位置出しバー50は、全体的には奥行方向に延びる中心線を有する円柱状であり、外周面から中心線の側に窪む複数の糸ガイド51が外周面を一周するように設けられている。なお、糸位置出しバー50は、奥行方向の両端部が装置本体に対して固定されて設けられてもよいが、回転可能な状態で装置本体に支持されるようにすると、糸位置出しバー50が引出鉤針30でストッカ40から引き出される毛髪材100aで回転され、毛髪材100aが糸ガイド51で擦れて傷むことを防止することができる。糸ガイド51の個数は、引出鉤針30の個数と同数である。
【0025】
糸落としバー60は、制御装置で制御される駆動機構で上下方向に振動するものであり、糸引込バー70によって引き込まれる毛髪材100aを払い落とす。糸引込バー70は、制御装置で制御される駆動機構によって前後方向に移動するものであり、植毛ネット200に植毛された毛髪材100aを引っかけて前方に引き込む。磁石90は、植毛鉤針20で毛髪材100aを植毛ネット200に植毛する過程で閉じられたラッチ22を磁力で吸引して開けるものである。なお、磁石90は、永久磁石または電磁石のどちらでも適用可能であるが、電磁石であれば、電磁石を制御装置で制御し閉じられたラッチ22を開くときだけ磁力を発生すればよく、植毛鉤針20と磁石90の相対的な位置関係を変更する必要がないから植毛鉤針20と磁石90を共通の駆動機構で駆動する構成として、駆動機構を簡略化することができる。反転ローラー80は、装置本体に対して回転可能に取り付けられている。
【0026】
次に、
図2ないし
図21を用いて自動植毛装置の動作について説明する。はじめに、
図2に示すように、糸引込バー70が後方に向かって進み、
図3におけるストッカ40の取出口42及び引出鉤針30を右側に超えた位置で停止する(第1動作)。
【0027】
次に、引出鉤針30が上昇し、フック31を含む先端部が取出口42からストッカ40内部に入り込み、さらに毛髪材束100bに挿入された後に下降して停止する(第2動作)。このとき、引出鉤針30は、先端部が取出口42に挿入された後、僅かに手前側(フック31の針口32が開口した側)に移動する。これにより、引出鉤針30のフック31に毛髪材100aが引っ掛けられるため、毛髪材100aがストッカ40の取出口42から2つ折りにされた状態で引き出される。このとき、
図3に示すように、毛髪材100aの両端はストッカ40内に残っており、
図5に示すように、2つ折りで引き出された複数本の毛髪材100aが1本ずつ糸位置出しバー50の複数の糸ガイド51のそれぞれに収容される。これにより、引き出された毛髪材100aのそれぞれが所定の位置に規制されるため、後の動作において植毛鉤針20が毛髪材100aを適切に捕捉することが可能になる。
【0028】
次に、
図4に示すように、植毛鉤針20が後方に向かって進む(第3動作)。このとき、フック21が横糸202-1の下を通り、フック21の針口が逃げ部12内に収容されて破線で示す位置に到達する。次に、植毛鉤針20が破線で示した位置から実線で示した位置に後退し、フック21が横糸202-1を引っ掛ける(第4動作)。
【0029】
次に、
図6に示すように、エキセン10の軸部13が、逃げ部12の開口が上方を向くように90度だけ回転し、ネット掛部11が軸部13の中心線を中心として破線で示した位置から実線で示した位置へと下方に旋回して停止する(第5動作)。これにより、エキセン10が植毛鉤針20及び横糸202-1の下側に移動する。このエキセン10の破線で示した位置から実線で示した位置への移動により、植毛鉤針20が、エキセン10の上方を通りストッカ40と引出鉤針30との間で2つ折りになった毛髪材100aへと到達することが可能になる。なお、エキセン10が軸部13を備えず、ネット掛部11の中心線を軸として回転する構成であってもよい。この場合、植毛鉤針20が、横糸202-1を引っ掛けた状態のまま、ネット掛部11の回転に追随して上方かつ後方に向かって平行移動するように構成すれば、上記と同様に植毛鉤針20がエキセン10の上方に位置することになる。
【0030】
次に、
図7及び
図8に示すように、植毛鉤針20が後方に向かって進むのに伴い、フック21がストッカ40と引出鉤針30との間で2つ折りになった毛髪材100aに近づく(第6動作)。このとき、横糸202-1は、開いたラッチ22の上側を通過することになり、最終的にラッチ22の全部を通過する。次に、フック21の針口が上を向いた状態から横向き(奥側を向いた状態)になるように植毛鉤針20が回転する(第7動作)。これにより、フック21の針口が、引出鉤針30によって引き出された毛髪材100aを向いた状態になる。
【0031】
次に、
図9に示すように、植毛鉤針20が、フック21の針口を横向きのまま更に後方へ進み、引出鉤針30によって引き出された2つ折りの毛髪材100aのうち前方の部分(以下、毛髪材100aの「前方部分」という。)にフック21の針口が向き合うところで停止する(第8動作)。次に、引出鉤針30が手前側に移動する(第9動作)。これにより、毛髪材100aの前方部分が植毛鉤針20に近づき、フック21の針口に導入される。
【0032】
次に、
図10に示すように、植毛鉤針20が、フック21の針口が横を向いた状態から上向きになるように回転するとともに、
図11及び
図12に示すように、前方に向かって進むことで、横糸202-1にラッチ22が接触してフック21の針口が閉じられ、さらに植毛鉤針20が実線で示した位置から破線で示した位置へと進むと、ラッチ22が磁石90の磁力で吸引され植毛鉤針20の針口が開かれる(第10動作)。このとき、植毛鉤針20が植毛ネット200から離れることで、毛髪材100aの前方部分がストッカ40から少しだけ引き出される。また、毛髪材100aは、取出口42の前方側から糸位置出しバー50を経由し横糸202-1と横糸202-2との間を通りフック21で折り返され、フック21から横糸202-1と横糸202-2との間を通り、横糸202-1と横糸202-3との間を通り引出鉤針30に至るように展開される。
【0033】
次に、
図13に示すように、植毛鉤針20は、
図11の破線で示した位置から後方に進むとともに上昇し、植毛鉤針20が毛髪材100aを横糸202-1に結ぶために回転する(第11動作)。これにより、毛髪材100aのフック21と横糸202-1との間の2本の部分が互いに絡むように撚り合わせられてループ部45が設けられる。なお、この第11動作において、植毛鉤針の上昇は省略可能であるが、この上昇を行うことにより、後述する第12動作の際に、フック21が毛髪材100aの糸位置出しバー50と横糸202-1との間の部分を確実に通るようになる。
【0034】
次に、
図14に示すように、植毛鉤針20が、上向きのまま手前側に移動した後に後方に進み、引出鉤針30によって引き出された2つ折りの毛髪材100aのうち後方の部分(以下、毛髪材100aの「後方部分」という。)に対してフック21の針口が奥行方向に並ぶところで停止し、フック21の針口が上を向いた状態から横向き(奥側を向いた状態)になるように回転する(第12動作)。このとき、
図15に示すように、植毛鉤針20のフック21は毛髪材100aの糸位置出しバー50と横糸202-1との間の部分を通り、ループ部45は植毛鉤針20のラッチ22の上側を通過する。また、植毛鉤針20の回転により、毛髪材100aの後半部分にフック21の針口が向いた状態になる。なお、植毛鉤針20の回転数は、1回転、2回転または3回転以上など、1回転以上であればどのような回転数でもよい。また、回転方向は、右回りであっても左回りであってもよい。
【0035】
次に、引出鉤針30が手前側に移動する(第13動作)。これにより、毛髪材100aの後方部分が植毛鉤針20に近づき、フック21の針口に導入される。なお、植毛鉤針20が奥側に移動してもよいし、引出鉤針30と植毛鉤針20の両方が互いに近づくように動いてもよい。
【0036】
次に、
図16及び
図17に示すように、植毛鉤針20が、フック21の針口が横を向いた状態から上向きになるように回転するとともに、前方に向かって進むことで、ループ部45にラッチ22が接触してフック21の針口が閉じられる(第14動作)。これにより、横糸202-1に対する毛髪材100aの結びつけ、つまり植毛が完了する。なお、植毛鉤針20のフック21が後退してループ部45を通過する際に、引出鉤針30が上下に小刻みに動くなどしてフック31から毛髪材100aを外してもよい。これにより、毛髪材100aが摩擦によって縮れてしまうピーリングを防止することができる。
【0037】
次に、
図18及び
図19に示すように、糸引込バー70が前方に進むことで毛髪材100aの前方部分を前方に引き込み、初期位置で停止する(第15動作)。
【0038】
さらに、
図20に示すように、第16動作から第18動作を行う。まず、植毛鉤針20が初期位置に戻って停止する間にラッチ22が磁石90の磁力で吸引され植毛鉤針20の針口が開かれる(第16動作)。エキセン10が、軸部13の中心線を軸として
図6に実線で示した位置から
図6に示した破線で示した位置の側に戻るように旋回する(第17動作)。これにより、逃げ部12の開口が左側に向けられた初期位置に戻る。糸落としバー60が、下方に移動した後、上方に移動して初期位置で停止する(第18動作)。これにより、横糸202-1に対する植毛の完了した毛髪材100aが下方に整髪される。なお、第16動作から第18動作のいずれから先に行っても良く、第16動作から第18動作を同時に行っても良い。
【0039】
以上の動作により、自動植毛装置120における横糸202-1に対する毛髪材100aを植毛する動作の1サイクルが終了し、
図21に示す結び目が作成される。なお、
図21は、第11動作において、植毛鉤針20が3回転し、植毛糸100が3回撚り合わせられて植毛ネット200に結び付けられた状態を図示している。
【0040】
なお、上述の動作例では、植毛鉤針20のフック21が、第8動作及び第9動作において毛髪材100aの前方部分をとり、第12動作及び第13動作において毛髪材100aの後方部分をとっているが、それぞれの動作において前方部分及び後方部分のどちらを取っても、第12動作において植毛鉤針20を1回転以上させれば、毛髪材100aを横糸に結び付けることが可能である。また、第12動作において植毛鉤針20を半回転しかしない場合であっても、第12動作及び第13動作において、この半回転によって下側となった方を植毛鉤針20のフック21でとれば、毛髪材100aを横糸に結び付けることが可能である。
【0041】
<<突出毛髪材を回収するための構成及び動作>>
以下、引出鉤針30により捕捉された毛髪材100aの有無、及び、植毛鉤針20により捕捉された毛髪材100aの有無を回収するための構成及び動作について説明する。
【0042】
<第1実施形態>
図22は、第1実施形態による自動植毛装置120の構成を示すブロック図である。自動植毛装置120は、上記した基本構成に加えて、引出センサ110と、植毛センサ130と、報知部122と、記憶部123と、をさらに備える。
【0043】
報知部122は、自動植毛装置120内の異常が検出された場合に、制御装置95による指令に応じて、異常を報知する。例えば、報知部122は、画像を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを含み、異常の内容(例えば、後述する異常識別番号など)を表示する。なお、報知部122は、異常が検出された場合に、点灯又は点滅するランプとして構成されてもよいし、異常が検出された場合に、音声を発するスピーカとして構成されてもよい。
【0044】
記憶部123は、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)の少なくとも一方を含む。
図23は、検出記録123aの一例を示す図である。記憶部123には、図示しない制御プログラムと、
図23に示す検出記録123aとが記憶されている。制御プログラムは、自動植毛装置120における各制御処理を制御装置95内のプロセッサに実行させる。検出記録123aは、引出鉤針30により毛髪材100aが捕捉されていないことを引出センサ110が検出したか、又は、植毛鉤針20により毛髪材100aが捕捉されていないことを植毛センサ130が検出した際に作成されたデータである。例えば、検出記録123aは、検出日時(例えば、発生年月日及び発生時分秒)と、検出内容(例えば、異常識別番号)とが関連付けられたデータである。「異常識別番号」とは、例えば、引出鉤針30が毛髪材100aを引き出す動作の後に、引出鉤針30に毛髪材100aが捕捉されていないことを検出した場合に「01」、植毛鉤針20が毛髪材100aを捕捉する動作の後に、植毛鉤針20に毛髪材100aが捕捉されていないことを検出した場合に「02」など、異常の内容を特定するための番号である。
【0045】
図24A及び
図24Bは、第1実施形態の引出センサ110による毛髪材100aの有無の検出を説明するための図である。
図25A及び
図25Bは、第1実施形態の植毛センサ130による毛髪材100aの有無の検出を説明するための図である。引出センサ110は、引出鉤針30により捕捉された毛髪材100aの有無を検出するセンサである。植毛センサ130は、植毛鉤針20により捕捉された毛髪材100aの有無を検出するセンサである。第1実施形態では、
図24Aに示すように、引出センサ110は、引出鉤針30により捕捉された毛髪材100aに光を照射する発光部111と、発光部111から照射された光を受光する受光部112とを含む。また、植毛センサ130は、植毛鉤針20により捕捉された毛髪材100aに光を照射する発光部131と、発光部131から照射された光を受光する受光部132とを含む。発光部111及び131は、それぞれ、例えば、レーザー発光素子を含んでも良いし、発光ダイオードを含んでもよい。受光部112及び132は、それぞれ、フォトダイオードを含んでよいし、CCD(Charge Coupled Device)を含んでもよい。
【0046】
図24Aに示すように、発光部111と受光部112とは、例えば、取出口42と引出鉤針30の初期位置との間の位置において、引出鉤針30により引き出された毛髪材100aを前後に挟むように配置される。これにより、
図24Aに示すように、引出鉤針30により引き出された毛髪材100aがある場合には、発光部111からの光の少なくとも一部が毛髪材100aにより遮光され、受光部112が検出する光の強度が低下する。また、
図24Bに示すように、引出鉤針30により毛髪材100aの捕捉が失敗し、発光部111と受光部112との間に毛髪材100aがない場合には、発光部111からの光が遮光されないため、受光部112が検出する光の強度は低下しない。そして、引出センサ110は、受光部112が検出した光の強度と閾値とを比較し、検出した光が閾値以上か否かを示す信号を、制御装置95に送信する。すなわち、引出センサ110は、受光部112が検出した光の強度が閾値以上の場合に、制御装置95に毛髪材100aがあることを示す信号を制御装置95に送信し、受光部112が検出した光の強度が閾値未満の場合に、制御装置95に毛髪材100aがないことを示す信号を制御装置95に送信する。この構成によれば、自動植毛装置120において、引出鉤針30による毛髪材100aの捕捉の成功又は失敗を検出することができる。また、引出センサ110及び制御装置95は、引出鉤針30により捕捉された毛髪材100aの有無を、引出鉤針30の動作が停止している期間内に検出する。これにより、引出鉤針30及び当該引出鉤針30により捕捉された毛髪材100aが静止した状態で当該毛髪材100aの有無を検出することができる。そして、第1実施形態による引出センサ110の構成によれば、ストッカ40の外部で毛髪材100aの有無の検出を行うことができるので、引出鉤針30により毛髪材100aを捕捉したか否かをストッカ40内部で検出する場合と異なり、他の毛髪材100aによる影響を防止することができる。この結果、正確に引出鉤針30により引き出された毛髪材の有無を検出することができる。なお、この例に限られず、ストッカ40内にカメラを設けて、ストッカ40の内部で引出鉤針30のフック31内に毛髪材100aが捕捉されたか否かを制御装置95が判定してもよい。
【0047】
例えば、制御装置95は、引出鉤針30により毛髪材100aを引き出す動作(上記した第2動作)の後に、引出センサ110によって毛髪材100aの有無の検出を行う。この時、
図24Bに示すように、制御装置95は、毛髪材100aがない場合に、
図23に示す検出記録123aを生成し、記憶部123に記憶する。また、制御装置95は、所定の複数回数連続して、毛髪材100aがない場合に、自動植毛装置120による植毛に関する動作を停止させる。自動植毛装置120による植毛に関する動作の停止とは、引出鉤針30、植毛鉤針20、ストッカ40、エキセン10、反転ローラー80、糸位置出しバー50、糸落としバー60、及び糸引込バー70の各々の動作を停止することを意味する。そして、制御装置95は、報知部122により異常を報知させる。これにより、自動植毛装置120による植毛に関する動作が停止するので、引出鉤針30により毛髪材100aが捕捉されていない状態で、引出鉤針30及び植毛鉤針20の動作が継続するのを防止することができる。
【0048】
ここで、引出鉤針30により毛髪材100aが捕捉されていない状態に一旦なったとしても、引出鉤針30により毛髪材100aが捕捉される状態に自然に戻れば、自動植毛装置120の動作を継続させても問題がない。この点に着目し、上記の構成のように、複数回連続して毛髪材100aが捕捉されていないことを検出した場合に、自動植毛装置120の動作を停止させるので、引出鉤針30により毛髪材が捕捉される状態に自然に戻ることができない場合に自動植毛装置120の動作を停止させることができる。この結果、引出鉤針30の動作が停止する回数を減らすことができるので、迅速にウィッグやかつら等の植毛完成品を作成することができる。
【0049】
図25Aに示すように、発光部131と受光部132とは、例えば、植毛ネット200と植毛鉤針20の初期位置との間の位置において、植毛鉤針20により捕捉された毛髪材100aを上下に挟むように配置される。これにより、
図25Aに示すように、植毛鉤針20により引き出された毛髪材100aがある場合には、発光部131からの光の少なくとも一部が毛髪材100aにより遮光され、受光部132が検出する光の強度が低下する。また、
図25Bに示すように、植毛鉤針20により毛髪材100aの捕捉が失敗し、発光部131と受光部132との間に毛髪材100aがない場合には、発光部131からの光が遮光されないため、受光部132が検出する光の強度は低下しない。そして、植毛センサ130は、受光部132が検出した光の強度と閾値とを比較し、検出した光が閾値以上か否かを示す信号を、制御装置95に送信する。すなわち、植毛センサ130は、受光部132が検出した光の強度が閾値以上の場合に、制御装置95に毛髪材100aがあることを示す信号を制御装置95に送信し、受光部132が検出した光の強度が閾値未満の場合に、制御装置95に毛髪材100aがないことを示す信号を制御装置95に送信する。この構成によれば、自動植毛装置120において、植毛鉤針20による毛髪材100aの捕捉の成功又は失敗を検出することができる。また、植毛センサ130及び制御装置95は、植毛鉤針20により捕捉された毛髪材100aの有無を、植毛鉤針20の動作が停止している期間内に検出する。これにより、植毛鉤針20及び当該植毛鉤針20により捕捉された毛髪材100aが静止した状態で当該毛髪材100aの有無を検出することができる。
【0050】
例えば、制御装置95は、植毛鉤針20により毛髪材100aを植毛ネット200よりも初期位置側に引き出す動作(上記した第10動作)の後に、植毛センサ130によって毛髪材100aの有無の検出を行う。この時、
図25Bに示すように、制御装置95は、毛髪材100aがない場合に、
図23に示す検出記録123aを生成し、記憶部123に記憶する。また、制御装置95は、所定の複数回数連続して、毛髪材100aがない場合に、自動植毛装置120による植毛に関する動作を停止させる。そして、制御装置95は、報知部122により異常を報知させる。
【0051】
また、制御装置95は、引出センサ110及び植毛センサ130の両方の検出結果に基づいて、異常の内容を決定する。例えば、
図25Cに示すように、引出センサ110及び植毛センサ130の両方で毛髪材100aが検出されない場合、毛髪材100aが引出鉤針30及び植毛鉤針20から脱離している。この場合、制御装置95は、
図25Bに示す場合と異なる異常識別番号を発生日時に関連付けて記憶部123に記憶する。これにより、ユーザは、報知部122による報知の内容を確認すること、又は、記憶部123に記憶された検出記録123aを確認することによって、異常の内容を容易に特定することができる。
【0052】
(自動植毛装置120による異常の検出動作)
次に、自動植毛装置120による異常の検出動作について説明する。
図26は、制御装置95による自動植毛装置120による異常の検出の制御処理を示すフロー図である。
【0053】
図26に示すように、ステップS1において、引出センサ110及び植毛センサ130からの信号に基づいて、異常を検出したか否かを判定する。異常を検出した場合、ステップS2に進み、異常を検出していない場合、ステップS4に進む。また、異常を検出した場合、「異常の回数」を1回増加させる。
【0054】
ステップS2において、検出記録123a(
図23参照)が生成され、検出記録123aが記憶部123に記憶される。そして、ステップS3において、異常の回数と所定の回数(閾値)とが比較される。異常の回数が所定の回数以上の場合、ステップS5に進み、異常の回数が所定の回数未満の場合、ステップS1に戻る。すなわち、異常の回数が所定の回数以上となるまで、ステップS5には進まない。
【0055】
ステップS1において異常が検出されない場合に進むステップS4において、異常の回数がリセットされる。すなわち、異常の状態が解消されたものとして、自動植毛装置120の動作が継続される。その後、ステップS1に戻る。
【0056】
ステップS3において異常の回数が所定の回数に到達した場合に進むステップS5において、自動植毛装置120の動作が停止される。そして、ステップS6において、報知部122により異常の報知が行われる。その後、自動植毛装置120の制御処理が終了される。
【0057】
<第2実施形態>
図27A~
図28を参照して、第2実施形態による自動植毛装置300の構成について説明する。
図27A及び
図27Bは、第2実施形態による引出センサ310の構成を説明するための図である。
図28は、第2実施形態による植毛センサ330の構成を説明するための図である。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図27Aに示すように、自動植毛装置300は、引出センサ310及び植毛センサ330を含む。第2実施形態では、引出センサ310及び植毛センサ330は共に、引張負荷を計測することにより、毛髪材100aの有無を検出する機器である。引出センサ310は、測定した引張負荷が所定の引張負荷以上の場合、毛髪材100aが有ることを示す信号を、制御装置95に送信する。また、
図27Bに示すように、引出鉤針30による毛髪材100aの捕捉が失敗した場合、引出センサ310は、測定した引張負荷が所定の引張負荷未満となり、毛髪材100aがないことを示す信号を、制御装置95に送信する。
【0059】
また、
図27Cに示すように、植毛センサ330は、測定した引張負荷が所定の引張負荷以上の場合、毛髪材100aが有ることを示す信号を、制御装置95に送信する。また、植毛センサ330は、測定した引張負荷が所定の引張負荷未満の場合、毛髪材100aがないことを示す信号を、制御装置95に送信する。これにより、第2実施形態の構成によっても、毛髪材100aの有無を検出することができる。第2実施形態によるその他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0060】
<第3実施形態>
図29~
図33Bを参照して、第3実施形態による自動植毛装置400の構成について説明する。
図29は、第3実施形態による自動植毛装置400のブロック図である。
図30は、第3実施形態による第1カメラ410の配置位置を説明するための図である。
図31A及び
図31Bは、第1カメラ410により撮影された画像の例を示す図である。
図32は、第3実施形態による第2カメラ430の配置位置を説明するための図である。
図33A及び
図33Bは、第2カメラ430により撮影された画像の例を示す図である。なお、第1又は第2実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
図29に示すように、自動植毛装置400は、第1カメラ410、第2カメラ430、及び画像処理部440を含む。第1カメラ410は、
図31A及び
図31Bに示すように、引出鉤針30のフック31の近傍の領域R1を撮影するカメラである。
図31Aは、引出鉤針30に、毛髪材100aが捕捉されていない状態を示している。
図31Bは、引出鉤針30に、毛髪材100aが捕捉されている状態を示している。領域R1は、フック31の一部及び針口32よりも内側の領域を少なくとも含む。例えば、第1カメラ410は、引出鉤針30の初期位置の後方に配置されている。例えば、第1カメラ410は、引出鉤針30が毛髪材100aを引き出す動作を行った後、引出鉤針30が初期位置で停止した際に、領域R1を撮影する。第1カメラ410は、撮影した画像を画像処理部440に送信する。
【0062】
第2カメラ430は、
図33A及び
図33Bに示すように、植毛鉤針20のフック21近傍の領域R2を撮影するカメラである。
図33Aは、植毛鉤針20に、毛髪材100aが捕捉されていない状態を示している。
図33Bは、植毛鉤針20に、毛髪材100aが捕捉されている状態を示している。領域R2は、フック21の一部及び鉤口よりも内側の領域を少なくとも含む。領域R2には、ラッチ22の一部が含まれていても良い。例えば、第2カメラ430は、植毛鉤針20の手前方向側に配置されている。例えば、第2カメラ430は、植毛鉤針20が毛髪材100aを捕捉する動作を行った後、植毛鉤針20が植毛ネット200よりも前方に移動して停止した際に、領域R2を撮影する。第2カメラ430は、撮影した画像を画像処理部440に送信する。
【0063】
画像処理部440は、第1カメラ410により撮影された画像及び第2カメラ430により撮影された画像から毛髪材100aを認識する処理を行う。毛髪材100aを認識する処理は、毛髪材100aのテンプレート画像(例えば、予め撮影された画像またはサンプルとして予め作成された画像)と、撮影された画像との間でパターンマッチング処理を行う方法を用いてもよいし、毛髪材100aが引出鉤針30に捕捉された状態の画像を教師データとして機械学習された学習モデルを用いて、毛髪材100aの有無を推定させてもよい。そして、画像処理部440は、画像に基づいて毛髪材100aの有無を判定し、判定結果(検出結果)を制御装置95に送信する。また、画像処理部440は、領域R2にラッチ22が含まれている場合は、ラッチ22の開閉の状態を示す信号を制御装置95に送信してもよい。この場合、制御装置95のラッチ22の開閉の異常を検出することができる。これにより、第3実施形態の構成によっても、毛髪材100aの有無を検出することができる。第3実施形態によるその他の構成及び効果は、第1又は第2実施形態の構成及び効果と同様である。
【0064】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0065】
(1)例えば、上記第1実施形態に示した光センサと、上記第2実施形態に示した引張負荷を測定するセンサと、上記実施形態に示したカメラと、を全て備えてもよいし、光センサ、引張負荷の測定、及びカメラのうちのいずれかを組み合わせてもよい。
【0066】
(2)上記第1~第3実施形態では、引出鉤針に捕捉された毛髪材及び植毛鉤針に捕捉された毛髪材の両方が検出される例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、引出鉤針に捕捉された毛髪又は植毛鉤針に捕捉された毛髪材のうちの一方のみが検出されてもよい。
【0067】
(3)上記第1実施形態では、毛髪材に光を照射し、当該毛髪材により当該光が遮断されたことにより、毛髪材が有ることを検出する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、
図34に示す第1変形例による引出センサ510のように、毛髪材に光を照射し、当該毛髪材が反射した光を受光して当該毛髪材が有ることを検出してもよい。
【0068】
(4)上記第1~第3実施形態では、ストッカの外部で引出鉤針により捕捉された毛髪材を検出する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ストッカの内部で引出鉤針により捕捉された毛髪材を検出してもよい。
【0069】
(5)上記第3実施形態では、第1カメラを引出鉤針の後方に配置し、第2カメラを植毛鉤針の手前方向側に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、第1カメラを引出鉤針の前方、手前又は奥行方向側のいずれかに配置してもよいし、第2カメラを植毛鉤針の前方、後方、奥行方向側のいずれかに配置してもよい。
【0070】
(6)上記第1~第3実施形態では、毛髪材の有無の検出を、引出鉤針の動作が停止しているか、又は、植毛鉤針の動作が停止している期間に行う例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、引出鉤針が移動している期間内に毛髪材の有無の検出を行ってもよいし、植毛鉤針が移動している期間内に毛髪材の有無の検出を行ってもよい。
【0071】
(7)上記第1~第3実施形態では、複数回、異常を検出した場合に、自動植毛装置の動作を停止させる例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、異常を検出するたびに、自動植毛装置の動作を停止させてもよい。
【0072】
(8)上記第3実施形態では、カメラにより、引出鉤針のフックの近傍の領域、及び、植毛鉤針のフックの近傍の領域を撮影して、補足された毛髪材の有無を検出する例を示したが、本開示はこれに限られない。
図35に示す第3実施形態の変形例による自動植毛装置600のように、第1カメラ610を、引出鉤針30と取出口42との間に配置し、当該第1カメラ610により、取出口42から引出鉤針30に亘って配置される毛髪材100aを撮影してもよい。この場合、自動植毛装置600は、第1カメラ610により撮影された画像に基づいて、引出鉤針30により捕捉された毛髪材100aの有無を判定する。また、
図36に示すように、第2カメラ630を、植毛鉤針20とエキセン10との間に配置し、当該第2カメラ620により、エキセン10に配置された植毛ネット200から植毛鉤針20に亘って配置される毛髪材100aを撮影してもよい。この場合、自動植毛装置600は、第2カメラ630により撮影された画像に基づいて、植毛鉤針20により捕捉された毛髪材100aの有無を判定する。
【0073】
また、上述した自動植毛装置は、以下のように説明することができる。
【0074】
第1の構成に係る自動植毛装置は、毛髪材が配置されるストッカから毛髪材を捕捉して引き出す引出鉤針と、引出鉤針により引き出された毛髪材を捕捉して植毛対象物に植毛する植毛鉤針と、引出鉤針により捕捉された毛髪材の有無、及び、植毛鉤針により捕捉された毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出する毛髪材検出部と、を備える(第1の構成)。
【0075】
上記第1の構成によれば、引出鉤針により捕捉された毛髪材の有無、及び、植毛鉤針により捕捉された毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出することができるので、引出鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗、及び植毛鉤針による毛髪材の捕捉の成功又は失敗の少なくとも一方を検出することができる。
【0076】
第1の構成において、引出鉤針は、ストッカに形成された取出口からストッカ内に進入してストッカ内の毛髪材を捕捉し、捕捉した毛髪材を取出口から引き出すように構成されてもよく、毛髪材検出部は、引出鉤針により引き出された毛髪材の有無を検出するように構成されてもよい(第2の構成)。
【0077】
上記第2の構成によれば、ストッカの外部で毛髪材の有無の検出を行うことができるので、引出鉤針により毛髪材を捕捉したか否かをストッカ内部で検出する場合と異なり、他の毛髪材による影響を防止することができる。この結果、正確に引出鉤針により引き出された毛髪材の有無を検出することができる。
【0078】
第1または第2の構成において、毛髪材検出部は、植毛鉤針が毛髪材を植毛対象物に植毛する際に、植毛鉤針により捕捉された毛髪材の有無を検出するように構成されてもよい(第3の構成)。
【0079】
上記第3の構成によれば、植毛鉤針による植毛が行われているか否かを検出することができる。
【0080】
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、毛髪材検出部は、引出鉤針により捕捉された毛髪材、及び、植毛鉤針により捕捉された毛髪材のうちの少なくとも一方の毛髪材に光を照射し、当該毛髪材により当該光が遮断されたことを検出するか、又は、当該毛髪材が反射した光を受光して当該毛髪材が有ることを検出するように構成されてもよい(第4の構成)。
【0081】
上記第4の構成によれば、光を用いて毛髪材の存在自体を直接検出することができる。
【0082】
第1~第4の構成のいずれか1つにおいて、毛髪材検出部は、引出鉤針に対する引張負荷、及び、植毛鉤針に対する引張負荷のうちの少なくとも一方に基づいて、引出鉤針により捕捉された毛髪材の有無、及び、植毛鉤針により捕捉された毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出するように構成されてもよい(第5の構成)。
【0083】
上記第5の構成によれば、引出鉤針及び植毛鉤針の少なくとも一方の引張負荷を測定することにより容易に毛髪材の有無を検出することができる。
【0084】
第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、毛髪材検出部は、引出鉤針のフック部分の画像、及び、植毛鉤針のフック部分の画像のうちの少なくとも一方の画像を撮像し、当該画像に基づいて、引出鉤針により捕捉された毛髪材の有無、及び、植毛鉤針により捕捉された毛髪材の有無のうちの少なくとも一方を検出する(第6の構成)。
【0085】
上記第6の構成によれば、フック部分に毛髪材が捕捉されているか否かを検出することができる。
【0086】
第1~第6の構成のいずれか1つにおいて、毛髪材検出部は、引出鉤針により捕捉された毛髪材の有無を引出鉤針の動作が停止している期間内に検出するか、又は、植毛鉤針により捕捉された毛髪材の有無を植毛鉤針の動作が停止している期間中に検出するように構成されてもよい(第7の構成)。
【0087】
上記第7の構成によれば、引出鉤針及び当該引出鉤針により捕捉された毛髪材が静止した状態で当該毛髪材の有無を検出することができるか、又は、植毛鉤針及び当該植毛鉤針により捕捉された毛髪材が静止した状態で当該毛髪材の有無を検出することができる。
【0088】
第1~第7の構成のいずれか1つにおいて、自動植毛装置は、引出鉤針により毛髪材が捕捉されていないこと、又は、植毛鉤針により毛髪材が捕捉されていないことのいずれかを毛髪材検出部が検出した場合に、引出鉤針及び植毛鉤針の動作を停止させる異常停止制御部を、さらに備えてもよい(第8の構成)。
【0089】
上記第8の構成によれば、引出鉤針により毛髪材が捕捉されていない状態、又は、植毛鉤針により毛髪材が捕捉されていない状態の植毛がされない状態で、引出鉤針及び植毛鉤針の動作が継続するのを防止することができる。
【0090】
第8の構成のいずれか1つにおいて、異常停止制御部は、引出鉤針により毛髪材が捕捉されていないこと、又は、植毛鉤針により毛髪材が捕捉されていないことのいずれかを複数回連続して検出した場合に、引出鉤針及び植毛鉤針の動作を停止させる(第9の構成)。
【0091】
引出鉤針により毛髪材が捕捉されていない状態、又は、植毛鉤針により毛髪材が捕捉されていない状態になっても、引出鉤針により毛髪材が捕捉される状態、又は、植毛鉤針により毛髪材が捕捉される状態に自然に戻れば、引出鉤針及び植毛鉤針の動作を継続させても問題がない。この点に着目し、上記第9の構成のように、複数回連続して毛髪材が捕捉されていないことを検出した場合に、引出鉤針及び植毛鉤針の動作を停止させるので、引出鉤針により毛髪材が捕捉される状態、又は、植毛鉤針により毛髪材が捕捉される状態に自然に戻ることができない場合に引出鉤針及び植毛鉤針の動作を停止させることができる。この結果、引出鉤針及び植毛鉤針の動作が停止する回数を減らすことができるので、迅速にウィッグやかつら等の植毛完成品を作成することができる。
【0092】
第1~第9の構成のいずれか1つにおいて、引出鉤針により毛髪材が捕捉されていないこと、又は、植毛鉤針により毛髪材が捕捉されていないことのいずれかを毛髪材検出部が検出した場合に、記憶部に検出記録を記憶させる記憶制御部を、さらに備える(第10の構成)。
【0093】
上記第10の構成によれば、引出鉤針により毛髪材が捕捉されていない状態になったこと、又は、植毛鉤針により毛髪材が捕捉されていない状態になったことを、過去に遡って確認することができる。
【符号の説明】
【0094】
20…植毛鉤針、21…フック、30…引出鉤針、31…フック、40…ストッカ、42…取出口、95…制御装置、100a…毛髪材、120,300,400,600…自動植毛装置、200…植毛ネット、95…制御装置、110,310,510…引出センサ、111…発光部、112…受光部、123…記憶部、123a…検出記録、130,330…植毛センサ、131…発光部、132…受光部、410,610…第1カメラ、430,630…第2カメラ、440…画像処理部