(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141182
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】体温計用ケース及び体温計セット
(51)【国際特許分類】
G01K 13/20 20210101AFI20230928BHJP
【FI】
G01K13/20 341Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047369
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504384561
【氏名又は名称】有限会社ナオトフカサワデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】中西 勝
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘明
(72)【発明者】
【氏名】駒村 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵幸
(72)【発明者】
【氏名】深澤 直人
(57)【要約】
【課題】収納状態の体温計を安定して保持することができ、しかも衛生状態の確保が容易な体温計用ケース及び体温計セットを提供する。
【解決手段】長手方向、幅方向及び厚み方向を規定する細長形状を有し、体温計の先端が前記長手方向の一方側に向いた状態で内部空間に収納可能な体温計用ケースであって、収納状態の前記体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の両側に設けられる2つの幅方向壁と、前記収納状態で前記体温計の少なくとも前記先端を露出させるように、前記内部空間に対して厚み方向の両側に設けられ、それぞれ前記2つの幅方向壁を連ねる2つの厚み方向壁と、一方の前記厚み方向壁を貫通し、前記収納状態の前記体温計が前記長手方向の他方側に移動するのを規制するように前記体温計の凸部を係止可能な係止孔と、を有する、ケース。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向、幅方向及び厚み方向を規定する細長形状を有し、体温計の先端が前記長手方向の一方側に向いた状態で内部空間に収納可能な体温計用ケースであって、
収納状態の前記体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の両側に設けられる2つの幅方向壁と、
前記収納状態で前記体温計の少なくとも前記先端を露出させるように、前記内部空間に対して厚み方向の両側に設けられ、それぞれ前記2つの幅方向壁を連ねる2つの厚み方向壁と、
一方の前記厚み方向壁を貫通し、前記収納状態の前記体温計が前記長手方向の他方側に移動するのを規制するように前記体温計の凸部を係止可能な係止孔と、を有するケース。
【請求項2】
前記2つの幅方向壁が、前記2つの幅方向壁の前記幅方向の間隔が前記長手方向の前記一方側に向けて縮小するように傾斜する2つの平板状部分からなる縮小部を有し、
前記縮小部の前記長手方向の長さが、前記2つの幅方向壁の前記長手方向の長さの半分以上である、請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記2つの幅方向壁が、前記2つの幅方向壁の前記幅方向の間隔が前記長手方向の前記一方側に向けて拡大する拡大部を前記縮小部よりも前記長手方向の前記一方側に有する、請求項2に記載のケース。
【請求項4】
前記収納状態の前記体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記長手方向の前記一方側に設けられ、前記2つの幅方向壁を連ねる先端壁を有する、請求項1~3の何れか1項に記載のケース。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のケースと、前記体温計と、を有する体温計セット。
【請求項6】
前記体温計が蓋を有し、前記蓋が、径方向に直線状に延びるスリット溝を有し、前記蓋を開閉可能な開閉位置と前記蓋が閉じた状態に保持される閉位置との間で周方向に回動可能であり、前記凸部が、前記開閉位置での前記スリット溝の延長線上に位置する、請求項5に記載の体温計セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は体温計用ケース及び体温計セットに関する。
【背景技術】
【0002】
体温計の特に先端を外部から保護し、破損や故障の発生を抑制する体温計用ケースが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなケースは、収納状態の体温計を安定して保持することができ、しかも衛生状態の確保が容易であることが望ましい。
【0005】
そこで本開示は、収納状態の体温計を安定して保持することができ、しかも衛生状態の確保が容易な体温計用ケース及び体温計セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様として、体温計用ケースは、長手方向、幅方向及び厚み方向を規定する細長形状を有し、体温計の先端が前記長手方向の一方側に向いた状態で内部空間に収納可能な体温計用ケースであって、収納状態の前記体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記幅方向の両側に設けられる2つの幅方向壁と、前記収納状態で前記体温計の少なくとも前記先端を露出させるように、前記内部空間に対して厚み方向の両側に設けられ、それぞれ前記2つの幅方向壁を連ねる2つの厚み方向壁と、一方の前記厚み方向壁を貫通し、前記収納状態の前記体温計が前記長手方向の他方側に移動するのを規制するように前記体温計の凸部を係止可能な係止孔と、を有するケースである。
【0007】
本開示の一実施形態として、体温計用ケースは、前記2つの幅方向壁が、前記2つの幅方向壁の前記幅方向の間隔が前記長手方向の前記一方側に向けて縮小するように傾斜する2つの平板状部分からなる縮小部を有し、前記縮小部の前記長手方向の長さが、前記2つの幅方向壁の前記長手方向の長さの半分以上である、ケースである。
【0008】
本開示の一実施形態として、体温計用ケースは、前記2つの幅方向壁が、前記2つの幅方向壁の前記幅方向の間隔が前記長手方向の前記一方側に向けて拡大する拡大部を前記縮小部よりも前記長手方向の前記一方側に有する、ケースである。
【0009】
本開示の一実施形態として、体温計用ケースは、前記収納状態の前記体温計の少なくとも前記先端を覆うように、前記内部空間に対して前記長手方向の前記一方側に設けられ、前記2つの幅方向壁を連ねる先端壁を有する、ケースである。
【0010】
本開示の一態様として、体温計セットは、前記ケースと、前記体温計と、を有する体温計セットである。
【0011】
本開示の一実施形態として、体温計セットは、前記体温計が蓋を有し、前記蓋が、径方向に直線状に延びるスリット溝を有し、前記蓋を開閉可能な開閉位置と前記蓋が閉じた状態に保持される閉位置との間で周方向に回動可能であり、前記凸部が、前記開閉位置での前記スリット溝の延長線上に位置する、体温計セットである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、収納状態の体温計を安定して保持することができ、しかも衛生状態の確保が容易な体温計用ケース及び体温計セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態の体温計用ケースを有する体温計セットの前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0015】
図1~
図7に示すように、本開示の一実施形態の体温計用ケース1(以下、ケース1ともいう)は、長手方向Dl、幅方向Dw及び厚み方向Dtを規定する細長形状を有し、体温計2の先端2aが、長手方向Dlの一方側に向いた状態で内部空間3に収納可能である。また本実施形態の体温計セット4はケース1と体温計2を有する。
【0016】
体温計用ケース1の長手方向D1は、体温計2の長手方向と一致する。ここで、体温計2のディスプレイ14を有する面を、前面とする。前面視において、幅方向Dwは長手方向Dlに垂直である。厚み方向Dtは長手方向Dl及び幅方向Dwに垂直である。説明の便宜上、長手方向Dlを上下方向ともいい、幅方向Dwを左右方向ともいい、厚み方向Dtを前後方向ともいう。
【0017】
ケース1は、2つの側壁(幅方向壁)5と、2つの厚み方向壁6と、先端壁7と、を有する。一方の厚み方向壁6は係止孔8を有し、他方の厚み方向壁6は係止孔8を有さない。説明の便宜上、係止孔8を有する厚み方向壁6を後壁9ともいい、係止孔8を有さない厚み方向壁6を前壁10ともいい、後壁9が位置する側を後側といい、前壁10が位置する側を前側という。
【0018】
体温計2は長手方向D1に細長い形に形成される。体温計2がケース1の内部空間3に収納された収納状態において、体温計2の先端2aが、ケース1の下方向側に位置し、前後方向に見て下側に向けて先細となり、左右方向に見て下側に向けて先細となる外形を有する。体温計2は本体部11と先端部を形成するキャップ12とを有し、本体部11はハウジング13とディスプレイ14を有し、ハウジング13はハウジング本体13aと蓋13b(
図9参照)を有する。ハウジング13は例えば樹脂製であり、キャップ12は例えば金属製である。
【0019】
本体部11(ハウジング13)は、収納状態で前後方向に見て上側の両角部が丸まり下側に向けて先細となる台形状(切頭2等辺三角形状)の外形を有する。本体部11(ハウジング13)は、収納状態で左右方向に見て上側の両角部が丸まり下側に向けて先細となる台形状の外形を有する。本体部11(ハウジング13)は、収納状態で上下方向に見て4角部が丸まった長方形状の外形を有する。
【0020】
キャップ12は、収納状態で本体部11の先端から下方に延び、下端が丸まった円柱状の外形を有し、内部には例えばサーミスタで構成される温度センサが設けられる。このように、体温計2は、温度センサを有する電子体温計である。ディスプレイ14は、収納状態でハウジング13の前面に設けられた開口部に設けられ、温度センサによって測定された体温や電池残量等を表示する。
【0021】
2つの側壁5は、収納状態の体温計2の少なくとも先端2aを覆うように、内部空間3の幅方向Dwの両側に対向するように設けられる。2つの厚み方向壁6は、収納状態で体温計2の少なくとも先端2aを露出させるように、内部空間3に対して厚み方向Dtの両側に設けられ、それぞれ2つの側壁5を連ねる。先端壁7は、収納状態の体温計2の少なくとも先端2aを覆うように、内部空間3に対して下側に設けられ、2つの側壁5を連ねる。先端壁7の幅方向Dwの両端はそれぞれ側壁5の下端に連なる。なお、収納状態で体温計2の先端2aが先端壁7の上面に接する構成としてもよいし、収納状態で体温計2の先端2aが先端壁7の上面に接しない構成としてもよい。
【0022】
2つの側壁5は、2つの側壁5の間で規定される幅方向Dwの間隔が、下側に向けて縮小するように傾斜する2つの平板状部分からなる縮小部5aを有する。体温計2の収納状態において、縮小部5aの間には、体温計2のディスプレイ14が位置する。縮小部5aの長手方向Dlの長さL2は、2つの側壁5の長手方向Dlの長さL1の半分以上である。縮小部5aを構成する2つの平板状部分の傾斜角度は、収納状態の体温計2のハウジング13の傾斜角度と同等に設定される。したがって、前面視で、縮小部5aを構成する2つの平板状部分は、収納状態の体温計2のハウジング13に沿って延びる。
【0023】
2つの側壁5は、2つの側壁5の幅方向Dwの間隔が下側に向けて拡大する拡大部5bを縮小部5aよりも下側に有する。拡大部5bは2つの側壁5の幅方向Dwの間隔が下側に向けて拡大するように傾斜する2つの平板状部分を有する。拡大部5bを構成する2つの平板状部分は、長手方向D1に沿う体温計2及びケース1の中心軸に対して左右対称に設けられる。拡大部5bはこのような2つの平板状部分を有する構成に限らない。拡大部5bは、縮小部5aの下端に湾曲部を介して滑らかに連なる。
【0024】
2つの側壁5は、2つの側壁5の幅方向Dwの間隔が下側に向けて縮小する先端部5cを拡大部5bよりも下側に有する。先端部5cは2つの側壁5の幅方向Dwの間隔が下側に向けて縮小するように傾斜する2つの平板状部分を有する。先端部5cを構成する2つの平板状部分は、長手方向D1に沿う体温計2及びケース1の中心軸に対して左右対称に設けられる。先端部5cはこのような2つの平板状部分を有する構成に限らない。先端部5cは拡大部5bの下端に湾曲部を介して滑らかに連なる。
【0025】
ケース1は、前壁10の上端部と後壁9の上端部と2つの側壁5の上端部とによって形成され、体温計2の先端2aを下側に向けて挿入可能な挿入口15を有する。挿入口15において、前壁10の上端部と後壁9の上端部とは、2つの側壁5の上端部よりも上側に位置する。なお、これに限らず、例えば、前壁10の上端部と後壁9の上端部とが2つの側壁5の上端部よりも下側に位置する構成としてもよい。
【0026】
体温計2の先端2aを下側に向けて、挿入口15から内部空間3に挿入することで、体温計2を収納状態にすることができる。ケース1に収納された状態で体温計2は、2つの厚み方向壁6によって厚み方向Dtの両側から挟持され、2つの側壁5によって幅方向Dwの両側から挟持される。
【0027】
ケース1は、内部空間3に対して前側に位置する前側開口16と、内部空間3に対して後側に位置する後側開口17と、を有する。収納状態で体温計2の少なくとも先端2aは、前側開口16と後側開口17との間に位置する。
【0028】
前側開口16は、前壁10の下端と2つの側壁5(の前壁10よりも下側の部分)の前端と先端壁7の前端とによって形成される。後側開口17は、後壁9の下端と2つの側壁5(の後壁9よりも下側の部分)の後端と先端壁7の後端とによって形成される。前側開口16は、長手方向Dlにおいて後側開口17よりも広範囲に亘って設けられる。
【0029】
後側開口17の上端は、縮小部5aよりも下側に位置し、より具体的には拡大部5bの下端部の高さに位置する。なお、後側開口17の上端の位置はこれに限らず、例えば、拡大部5bの下端部の高さよりも下側に位置してもよいし、縮小部5aよりも下側で且つ拡大部5bの下端部の高さよりも上側に位置してもよいし、縮小部5aよりも上側に位置してもよい。
【0030】
前側開口16の上端は、拡大部5bよりも上側に位置し、より具体的には2つの側壁5の上端部の高さに位置する。なお、前側開口16の上端の位置はこれに限らず、例えば、拡大部5bよりも下側に位置してもよいし、拡大部5bよりも上側で且つ2つの側壁5の上端部の高さよりも下側に位置してもよい。
【0031】
図1及び
図6~
図8に示すように、2つの側壁5の縮小部5aはそれぞれ、収納状態の体温計2が前側に移動するのを規制するように体温計2を係止する係止突部18を幅方向Dwの内面に有する。2つの係止突部18は、縮小部5aの上部において、体温計2及びケース1の中心軸に対して左右対称に設けられる。なお2つの係止突部18はこれに限らず、例えば、縮小部5aの下部に設けてもよいし、左右非対称に設けてもよい。2つの係止突部18によれば、収納状態で体温計2の先端2aが前側開口16から前側に飛び出るように体温計2が移動するのを抑制することができる。このような効果を得易くするために、2つの係止突部18は、図示するように上下方向に細長い形状を有するのが好ましい。
【0032】
図1~
図7に示すように、後壁9は、後壁9を貫通する係止孔8を備える。係止孔8は、体温計2の下面に設けられた凸部19を係止可能である。収納状態の体温計2が前側開口16よりも上側に移動するのを規制する。
図9に示すように、凸部19と蓋13bはそれぞれ、体温計2の収納状態で後側に位置する後面に設けられる。凸部19は半球状の突起からなり、係止孔8は前面視及び後面視で円形の貫通孔からなる。なお凸部19と係止孔8を構成する貫通孔との形状はこれに限らず、例えば、凸部19を半球状以外の形状の突起や、凸リブで構成し、貫通孔を凸部19の形状に合わせた形状に構成してもよい。
【0033】
蓋13bは、ボタン型電池をハウジング本体13aの内部に対して出し入れするためのハウジング本体13aの円形の開口を開閉可能である。蓋13bは収納状態で前後方向に見て円形をなす。蓋13bは、径方向に直線状に延びるスリット溝20を有し、スリット溝20に硬貨やマイナスドライバーなどの係合部材を挿入して捩じる操作により、蓋13bを開閉可能な開閉位置と蓋13bが閉じた状態に保持される閉位置との間で周方向(
図9中の白抜き矢印で示す方向)に90°回動可能である。また、凸部19は、開閉位置でのスリット溝20の延長線上に設けられる。このような構成によれば、蓋13bを開閉位置まで回動させる際の目印として凸部19を利用することができ、目印を別途印刷することが不要となる。これにより、体温計2を頻繁に清拭しても、印刷が消えることはないため好ましい。
【0034】
なお、
図9に閉位置でのスリット溝20を二点鎖線で示し、開閉位置でのスリット溝20を実線で示す。径方向とは蓋13bの回動中心に関する径方向を意味し、周方向とは蓋13bの回動中心に関する周方向を意味する。蓋13bの回動角度は90°に限らない。
【0035】
本実施形態によれば、収納状態で体温計2を2つの側壁5(特に縮小部5aと2つの係止突部18)と、2つの厚み方向壁6と、凸部19及び係止孔8とによって安定して保持することができる。また本実施形態によれば、収納状態の体温計2の特に先端2aを2つの側壁5と先端壁7によって外部から保護し、破損や故障の発生を抑制することができる。
【0036】
また本実施形態によれば、消毒液や洗浄液等の清浄化用の液体中に、収納状態の体温計2とケース1をそのまま浸漬することで、体温計2及びケース1を容易に消毒できる。前側開口16と後側開口17を通して、例えば消毒液を体温計2の表面とケース1の内面に浸入させることができる。そして所定時間の放置後にケース1ごと消毒液から引き上げて乾燥させることで、容易に清浄化作業を完了させることができる。またその際、係止孔8が貫通孔からなることにより、消毒液を係止孔8内と体温計2の凸部19に到達させ易くなり、また、清浄化作業後に汚れが係止孔8内に溜まるのを抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、収納状態の体温計2を安定して保持することができ、しかも衛生状態を容易に確保することができる。
【0037】
また本実施形態では、2つの側壁5が拡大部5bを有するので、2つの側壁5の先端部5cの幅方向Dwの間隔を広く確保することができる。したがって、清拭によって清浄化作業を行う場合に、指を先端部5cの間に容易に挿入することができるので、容易な清浄化作業を実現することができる。
【0038】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0039】
したがって、前述した実施形態に係る体温計用ケース1は、長手方向Dl、幅方向Dw及び厚み方向Dtを規定する細長形状を有し、体温計2を先端2aが長手方向Dlの一方側に向いた状態で内部空間3に収納可能な体温計用ケース1であって、収納状態の体温計2の少なくとも先端2aを覆うように、内部空間3に対して幅方向Dwの両側に設けられる2つの側壁5と、収納状態で体温計2の少なくとも先端2aを露出させるように、内部空間3に対して厚み方向Dtの両側に設けられ、それぞれ2つの側壁5を連ねる2つの厚み方向壁6と、一方の厚み方向壁6を貫通し、収納状態の体温計2が長手方向Dlの他方側に移動するのを規制するように体温計2の凸部19を係止可能な係止孔8と、を有するケース1である限り、種々変更可能である。また、前述した実施形態に係る体温計セット4は、体温計用ケース1と体温計2を有する体温計セット4である限り、種々変更可能である。
【0040】
例えば、縮小部5aの長手方向Dlの長さは、2つの側壁5の長手方向Dlの長さの半分以上である構成に限らない。2つの側壁5は拡大部5bを有する構成に限らない。2つの側壁5は先端部5cが2つの側壁5の幅方向Dwの間隔が下側に向けて縮小する構成に限らない。2つの側壁5は2つの係止突部18を有する構成に限らない。体温計2は蓋13bを有する構成に限らない。
【0041】
なお、前述した実施形態に係る体温計用ケース1は、2つの側壁5が、2つの側壁5の幅方向Dwの間隔が長手方向Dlの前記一方側に向けて縮小するように傾斜する2つの平板状部分からなる縮小部5aを有し、縮小部5aの長手方向Dlの長さが、2つの側壁5の長手方向Dlの長さの半分以上である、ケース1であることが好ましい。
【0042】
前述した実施形態に係る体温計用ケース1は、2つの側壁5が、2つの側壁5の幅方向Dwの間隔が長手方向Dlの前記一方側に向けて拡大する拡大部5bを縮小部5aよりも長手方向Dlの前記一方側に有する、ケース1であることが好ましい。
【0043】
前述した実施形態に係る体温計用ケース1は、収納状態の体温計2の少なくとも先端2aを覆うように、内部空間3に対して長手方向Dlの前記一方側に設けられ、2つの側壁5を連ねる先端壁7を有する、ケース1であることが好ましい。
【0044】
前述した実施形態に係る体温計セット4は、体温計2が蓋13bを有し、蓋13bが、径方向に直線状に延びるスリット溝20を有し、蓋13bを開閉可能な開閉位置と蓋13bが閉じた状態に保持される閉位置との間で周方向に回動可能であり、凸部19が、開閉位置でのスリット溝20の延長線上に位置する、体温計セット4であることが好ましい。
【符号の説明】
【0045】
1 ケース
2 体温計
2a 先端
3 内部空間
4 体温計セット
5 側壁(幅方向壁)
5a 縮小部
5b 拡大部
5c 先端部
6 厚み方向壁
7 先端壁
8 係止孔
9 後壁
10 前壁
11 本体部
12 キャップ
13 ハウジング
13a ハウジング本体
13b 蓋
14 ディスプレイ
15 挿入口
16 前側開口
17 後側開口
18 係止突部
19 凸部
20 スリット溝
Dl 長手方向
Dt 厚み方向
Dw 幅方向
L1 2つの側壁(幅方向壁)の長手方向の長さ
L2 縮小部の長手方向の長さ