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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141187
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】水位検出装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20230928BHJP
   E03D 5/10 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E03D11/02 Z
E03D5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047378
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 捷平
(72)【発明者】
【氏名】小栗 基義
(72)【発明者】
【氏名】岸野 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】尾田 颯太郎
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AE00
2D039DB05
2D039FA00
2D039FC00
(57)【要約】
【課題】本明細書では、洗浄水が便器装置から溢れ出す事態を抑制する技術を提供する。
【解決手段】本明細書によって開示される水位検出装置は、便器装置のボウル内の水位を検出する水位検出部と、前記水位検出部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、便器装置に洗浄水が供給される供給タイミングを取得し、前記供給タイミングが取得される場合、前記便器装置に前記洗浄水が供給される前に、前記水位を検出する第1水位検出処理を前記水位検出部に実行させてもよい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器装置のボウル内の水位を検出する水位検出部と、
前記水位検出部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記便器装置に洗浄水が供給される供給タイミングを取得し、
前記供給タイミングが取得される場合、前記便器装置に前記洗浄水が供給される前に、前記水位を検出する第1水位検出処理を前記水位検出部に実行させる、水位検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記洗浄水の前記便器装置への供給が開始されてから所定期間内に前記供給タイミングが取得される場合、前記便器装置のボウル内の水位を検出する第2水位検出処理を前記水位検出部に実行させる、請求項1に記載の水位検出装置。
【請求項3】
前記第2水位検出処理は、前記第1水位検出処理と異なる、請求項2に記載の水位検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2水位検出処理において、前記洗浄水の供給による前記ボウル内の洗浄水の水面の変化に応じた前記ボウル内の前記水位を検出する、請求項3に記載の水位検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1水位検出処理において、第1基準水位を越える水位が検出される場合に、前記便器装置に前記洗浄水が供給されること禁止し、
前記第2水位検出処理において、第1基準水位を越える水位が検出される場合に、前記便器装置に前記洗浄水が供給されることを許容する、請求項1から4のいずれか一項に記載の水位検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1水位検出処理において、第1基準水位を越える水位が検出される場合に、前記ボウル内の水位に異常が発生していることを表す情報を出力部に出力させ、
前記第2水位検出処理において、前記第1基準水位よりも高い第2基準水位を越える水位が検出される場合に、前記ボウル内の水位に異常が発生していることを表す情報を前記出力部に出力させる、請求項2から5のいずれか一項に記載の水位検出装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、前記第2基準水位よりも高い第3基準水位を越える水位が検出される場合に、前記ボウル内の水が溢れることを表す情報を前記出力部に出力させる、請求項6に記載の水位検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、水位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、便器内の水位に基づいて便器の詰まりを判定するトイレ装置が開示されている。便器の詰まりがある場合、便器への洗浄水の供給を禁止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-66890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のトイレ装置では、便器への洗浄水の供給が終了した後の所定のタイミングで、検知結果が取得され、検知結果に基づいて、便器の詰まりが判定される。所定のタイミング以外で便器に詰まりが発生し、洗浄水が供給されると、洗浄水が便器から溢れてしまう場合がある。本明細書では、洗浄水が便器装置から溢れ出す事態を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される水位検出装置は、便器装置のボウル内の水位を検出する水位検出部と、前記水位検出部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、便器装置に洗浄水が供給される供給タイミングを取得し、前記供給タイミングが取得される場合、前記便器装置に前記洗浄水が供給される前に、前記水位を検出する第1水位検出処理を前記水位検出部に実行させてもよい。
【0006】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の水洗式便器の側面図を示す。
図2】第1実施形態の水洗式便器の後方斜視図を示す。
図3】第1実施形態の便器装置の左右方向の中心における断面図を示す。
図4図3の線IV-IVに沿った断面図を示す。
図5】水位検出装置の構成を概略的に表したブロック図を示す。
図6】第1実施形態の圧力センサが検出する圧力のグラフを示す。
図7】第1実施形態の制御装置が実行する処理のフローチャートを示す。
図8】第2実施形態の水位検出装置の斜視図を示す。
図9】第3実施形態の水位検出装置を含む便器装置の左右方向の中心における断面図を示す。
図10】第3実施形態の制御装置が実行する処理のフローチャートを示す。
図11】第4実施形態の水位検出装置を含む便器装置の左右方向の中心における断面図を示す。
図12】第5実施形態の水位検出装置を含む便器装置の左右方向の中心における断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
(水洗式便器100の構成の概略)
図1に示すように、水洗式便器100は、壁9に固定されるいわゆる壁掛け式の大便器である。水洗式便器100は、便器装置6と、タンク2と、水位検出装置10と、を備える。便器装置6は、便器本体6mと、洗浄管4と、を備える。便器本体6mは、陶器である。便器本体6mは、汚物を受け止めるボウル6bを備える。タンク2は、ボウル6bを洗浄する洗浄水を貯める。便器装置6は、タンク2と電気的に接続される洗浄ボタン(図示省略)を備える。図13に示すように、ユーザによって洗浄ボタンが操作されると、タンク2の内部に組み込まれたモータ駆動装置508によってタンク2の底面に配置されるフラッパ弁(図示省略)を開き、タンク2内の洗浄水が洗浄管4を介してボウル6bに供給される。その結果、洗浄水がボウル6b内の汚物を洗い流す。便器装置6では、タンク2内の洗浄水は、洗浄ボタンの操作の他に、便器装置6に配置されるレバーの操作によって、ボウル6bに供給されてもよい。洗浄ボタンは、タンク2に有線及び無線の一方で電気的に接続されるリモートコントローラに配置されていてもよい。ユーザによる操作が無くても、タンク2内の洗浄水がボウル6bに供給されてもよい。例えば、センサによってユーザが非検知になった場合に、タンク2内の洗浄水がボウル6bに供給されてもよい。
【0009】
以下では、タンク2と便器装置6とが並ぶ方向を前後方向と称する。前後方向において、タンク2に対して便器装置6が配置されている側を前後方向の前側と称し、壁9に対してタンク2が配置されている側を前後方向の後側と称する。前後方向と直交する水平方向を左右方向と称する。左右方向において、図1の紙面奥側を右側と称し、図1の紙面手前方向を左側と称する。つまり、左右それぞれの向きは、水洗式便器100に正対したユーザから見た左右と一致する。前後方向と直交する鉛直方向を上下方向と称する。上下方向において、洗浄管4に対してタンク2が配置されている側を上側と称し、タンク2に対して洗浄管4が配置されている側を下側と称する。
【0010】
便器装置6は、さらに、便座6sと、便蓋6cと、機能部6fと、排水管8と、を備える。便座6sと便蓋6cとは、それぞれ、便器本体6mに開閉可能に接続される。機能部6fは、ユーザが水洗式便器100に近づくと、便蓋6cを自動的に開く。機能部6fは、例えば、局部洗浄、温風乾燥、脱臭機能、等の機能を有してもよい。排水管8は、ボウル6bと下水管(図示省略)とを連通する。ボウル6b内の洗浄水は、排水管8を介して、下水管に排出される。図2では、便座6s及び便蓋6cの図示を省略している。
【0011】
タンク2、洗浄管4及び水位検出装置10は、水洗式便器100が配置される空間から壁9によって隔離されている。ユーザは、水位検出装置10の便器装置6の外側(即ち、背面側)に配置される部分を視認することができない。このため、水洗式便器100の意匠性を向上させることができる。ユーザが、清掃などの際にタンク2、洗浄管4及び水位検出装置10を誤って破損させること及び汚すことを防止することができる。壁9には、開閉可能な点検口(図示省略)が設けられており、作業者は、壁9の点検口を介してタンク2、洗浄管4、水位検出装置10のメンテナンスを行う。
【0012】
洗浄管4は、タンク2の下面から下方に延び、屈曲して前方に延びて便器本体6mと接続される。タンク2内に貯められた洗浄水は、洗浄管4を介して便器本体6mに供給される。タンク2の背面上部には、給水管3sが接続される。給水管3sは、タンク2から下方に延び、屈曲して上方に延びる。給水管3sのタンク2と反対側の端には、給水電磁弁3が配置される。図2に示されるように、給水電磁弁3は、フィルタ付き止水弁3fを介して上水管5と接続される。上水管5には、水源(図示省略)から水が圧送される。給水電磁弁3は、フィルタ付き止水弁3fを介して上水を取り込むことによって、異物の混入を防止することができる。給水電磁弁3は、便器装置6に異常が発生した場合を除いて、常に開かれている。タンク2内には、ボールタップ(図示省略)が配置される。ボールタップは、タンク2内の洗浄水の水位に応じて上下方向に変位する浮き球(図示省略)を備える。タンク2内の洗浄水の水位が所定の水位まで上昇すると、浮き球が上昇することによって、ボールタップが閉じられる。これにより、タンク2内への上水の供給が停止される。タンク2内の洗浄水が便器装置6に供給され、タンク2内の水位が下降すると、浮き球が下降して、ボールタップが開かれる。その結果、上水が給水管3sからタンク2内に供給される。
【0013】
(便器装置6の内部構造)
図3図4を参照して、便器装置6の内部の構造について説明する。図3は、便器装置6を、便器装置6の左右方向の中央でカットした断面図を示す。図3では、便座6s、便蓋6c及び排水管8の図示は省略している。便器本体6mには、リム通水路20と、貯留空間30と、が設けられる。リム通水路20は、洗浄管4と連通する空間である。タンク2内の洗浄水は、洗浄管4を介してリム通水路20に供給される。
【0014】
図4に示されるように、リム通水路20は、後方通水路21と、左側通水路22と、右側通水路24と、を備える。後方通水路21は、ボウル6bの上端において、ボウル6bの後方に位置する。リム通水路20は、後方通水路21から前方に向かって延びて、ボウル6bの上端縁に沿って、左側通水路22と右側通水路24とに分岐する。タンク2内の洗浄水は、洗浄管4からリム通水路20に流入する。リム通水路20では、洗浄水は、後方通水路21から前方に向かって流れ、各通水路22,24に分流して、ボウル6b内に送られる。洗浄水は、ボウル6bの内面に沿って、旋回して流れる。その結果、ボウル6bの内面が洗浄される。
【0015】
図3に示すように、後方通水路21の上側に配置される上壁には、貫通孔32が設けられている。貫通孔32は、後方通水路21の上方において、リム通水路20と貯留空間30とを連通する。便器本体6mの貯留空間30の上端を画定する部分には、図示省略された空気抜きが配置されている。排水異常が発生し、ボウル6b内の洗浄水が正常に排出されない場合、リム通水路20内の洗浄水の水位が上昇する。洗浄水の水位が貫通孔32を超える場合、洗浄水が貫通孔32を介して貯留空間30内の空気を押し込む。貯留空間30の空気は、空気抜き弁が開くことにより貯留空間30外に放出される。この結果、貯留空間30内に洗浄水が流入する。貯留空間30内の洗浄水は、一時的に貯留される。ボウル6bにおいて排水異常が発生した場合、貯留空間30において洗浄水を一時的に貯留することによって、ボウル6bから洗浄水が溢れることを抑制することができる。ボウル6b内の洗浄水が正常に排出される状況では、洗浄水の水位が貫通孔32に到達しても、貯留空間30は密閉された空間であり空気があるため、洗浄水が貯留空間30に流入しない。洗浄水が貯留空間30に僅かに流入しても、洗浄水の水位の低下に合わせて、洗浄水は貫通孔32を介して貯留空間30から流出する。このため、洗浄水は貯留空間30に貯留されない。
【0016】
(水位検出装置10の構成)
図2図5を参照して水位検出装置10の構成について説明する。図2に示されるように、水位検出装置10は、制御装置40と、ポンプ50と、空気電磁弁52と、圧力センサ11と、パージ管12と、第1検出管13と、第2検出管14と、空気タンク15と、継手16と、三方継手17と、を備える。制御装置40とポンプ50と空気電磁弁52と圧力センサ11とは、タンク2の背面に設置されるボックスに収容される。実際のボックスは、後側からカバーで覆われている。図2及び図5では、カバーの図示を省略している。
【0017】
制御装置40は、水洗式便器100を制御する。制御装置40は、ハードウェアプロセッサであるCPU(CentralProcessing Unitの略)、RAM(RandomAccess Memoryの略)、ROM(ReadOnly Memoryの略)等を備える。制御装置40は、洗浄ボタンの操作を受け付けた場合に、タンク2の底面に配置されるフラッパ弁504(図示省略)を開放する。これにより、タンク2内の洗浄水が、洗浄管4を介して便器本体6mに供給される。
【0018】
第1検出管13及び第2検出管14は、それぞれ中空の管状を有する。第1検出管13は、樹脂製である。第2検出管14は、銅製である。第2検出管14は、先端部分がリム通水路20に配置される。第2検出管14は、洗浄管4を貫通して便器装置6の後方に延びる。第2検出管14のリム通水路20と反対側の端は、三方継手17を介して、第1検出管13に接続される。リム通水路20に配置される第2検出管14を銅製にすることによって、第2検出管14にカビ及びバクテリアが繁殖することを抑制することができる。第2検出管14は、銅以外に、銀等のカビ及びバクテリアが繁殖し難い材料で作製されていてもよい。
【0019】
第1検出管13は、三方継手17と圧力センサ11とを接続する。圧力センサ11と三方継手17との間の第1検出管13には、空気タンク15が配置される。空気タンク15の第1検出管13の長手方向に対する垂直な断面は、第1検出管13の長手方向に垂直な断面よりも大きい。圧力センサ11は高精度の微圧センサであるため、洗浄水流の乱れによる僅かな圧力変動も敏感に検出してしまう。空気タンク15は、洗浄水流の乱れに起因する圧力波形の乱れを平滑化することができる。微細な圧力変動を検出可能な圧力センサ11において、空気タンク15が検出圧力の乱れを抑制することによって、圧力センサ11が誤検知することを防止することができる。さらに、空気タンク15を三方継手17の上流側に配置することによって、空気タンク15に洗浄水が流入することを抑制することができる。
【0020】
三方継手17には、パージ管12が接続される。パージ管12は、空気電磁弁52を介してポンプ50と接続される。
【0021】
圧力センサ11は、第1検出管13内の圧力を検出するセンサである。圧力センサ11は、いわゆるひずみゲージ式の圧力センサである。圧力センサ11は、内部にひずみゲージ抵抗(図示省略)を備える。第1検出管13内の圧力の大きさに応じて、ひずみゲージ抵抗の変位が変化する。その結果、ひずみゲージ抵抗の抵抗値が変化する。圧力センサ11は、抵抗値に基づいて、第1検出管13内の圧力を検出する。圧力センサ11は、ひずみゲージ式に限定されず、変形例では、金属ゲージ式であってもよい。さらなる変形例では、圧力センサ11は、半導体ゲージ式であっても、半導体隔膜式であってもよく、さらには、水晶式圧力センサ及び静電容量ブリッジ式のセンサの少なくとも一方であってもよい。
【0022】
第1検出管13は、第2検出管14を介してボウル6bに連通している。ボウル6b内の水位が上昇すると、第2検出管14の先端が閉塞されて、第2検出管14内の圧力が上昇する。第2検出管14内の昇圧に伴って、第1検出管13内も昇圧される。このため、圧力センサ11の検出値は、ボウル6b内の水位に応じて変動する。
【0023】
図5の破線で示されるように、制御装置40は、給水電磁弁3、圧力センサ11、ポンプ50及び空気電磁弁52と通信可能に接続されている。制御装置40は、給水電磁弁3、圧力センサ11、ポンプ50及び空気電磁弁52を制御する。制御装置40は、管理端末60と通信可能に接続されている。管理端末60は、水洗式便器100の管理者によって操作される端末であり、例えば、水洗式便器100が設置されている建物の管理会社に配置される。制御装置40は、水洗式便器100の利用状況、排水の状況等を管理端末60に送信する。水洗式便器100の管理者は、管理端末60を利用して、水洗式便器100を遠隔で操作する。変形例では、管理端末60は、水洗式便器100のユーザ及び清掃業者の少なくとも一方が所有する携帯端末、PC等であってもよい。
【0024】
(第2検出管14の詳細構造)
図3に示されるように、第2検出管14は、継手16を介して洗浄管4の外壁を貫通し、前方に延びる。第2検出管14は、便器装置6の内側に配置される装置内部分14bと、便器装置6の外側に配置される装置外部分14aと、を備える。第2検出管14の装置内部分14bは、洗浄管4の内側を通過し、便器本体6mのリム通水路20に配置される。
【0025】
第2検出管14を便器本体6mの背面に接続される洗浄管4に貫通させることによって、装置外部分14aを含む、水位検出装置10の各部材(すなわち、制御装置40、ポンプ50、空気電磁弁52、圧力センサ11、パージ管12、第1検出管13、空気タンク15、継手16、三方継手17)をユーザがアクセスできない配置にすることができる。この結果、水位検出装置10の各部材がユーザと接触することを防止することができる。特に、第2検出管14の位置ずれと損傷の少なくとも一方が発生することを抑制することができる。水位検出装置10の各部材がユーザに視認されにくくすることができる。その結果、水洗式便器100の意匠性を向上させることができる。
【0026】
図4に示されるように、装置内部分14bは、後方通水路21で左方(即ち、図4の紙面下方)に屈曲して、左側通水路22を延びる。装置内部分14bの先端部分14cは、左側通水路22内に位置する。先端部分14cの端面18には、装置内部分14bと左側通水路22とが連通される開口が設けられる。第2検出管14は、第1検出管13を介して、左側通水路22と圧力センサ11とを連通する。排水異常が発生し、洗浄水の水位が左側通水路22まで上昇する場合、第2検出管14の端面18の開口は、洗浄水によって塞がれる。その結果、第2検出管14内の圧力が上昇する。第2検出管14の圧力は、第1検出管13を介して、圧力センサ11によって検出される。
【0027】
ボウル6b内の洗浄水の水位が高いほど、端面18の上方に位置する洗浄水の量が増加する。ボウル6b内の洗浄水の水位が高いほど、第2検出管14及び第1検出管13内の圧力は上昇する。即ち、ボウル6b内の洗浄水の水位は、第2検出管14及び第1検出管13内の圧力と相関関係を有する。このため、水位検出装置10は、第2検出管14及び第1検出管13内の圧力を利用して、ボウル6bの水位を検出することができる。
【0028】
水位検出装置10は、洗浄水をボウル6bに供給する左側通水路22内に第2検出管14を配置し、第2検出管14内の圧力を用いて、ボウル6b内の洗浄水の水位を特定する。このため、第2検出管14を配置するための別個の空間を、便器装置6内に確保する必要がない。その結果、便器装置6の構造を大きく変更することなく、例えば、既存の便器装置6の左側通水路22内に第2検出管14を配置することによって、ボウル6bの水位を検出することができる。汎用の便器装置6に水位検出装置10を設置することができる。
【0029】
ボウル6b、トラップ部には、洗浄水とともに汚物等の異物が存在するため、検出水位が異物の影響を受ける。その結果、検出水位が不安定化する。本実施形態では、第2検出管14の先端部分14cをリム通水路20に配置することによって、検出水位が異物の影響を受けることを抑制することができる。
【0030】
リム通水路20の洗浄水では、洗浄管4から流入する洗浄水を受け入れる分岐前の後方通水路21において乱流が発生する。後方通水路21から左右側通水路22、24に向かって、洗浄水の乱流は抑制される。分岐後の左側通水路22に第2検出管14の先端部分14cを配置することによって、洗浄水の流れによる第2検出管14の圧力を抑制することができる。これにより、ボウル6b内の洗浄水の水位を適切に検出することができる。
【0031】
装置内部分14bは、リム通水路20内に配置されているため、リム通水路20を画定する便器本体6mの外壁によって覆われている。このため、装置内部分14bに汚れが付着することを抑制することができる。例えばボウル6bの清掃時等に、先端部分14cが清掃具に接触することによって、先端部分14cの位置ずれと損傷の少なくとも一方が発生することを抑制することができる。
【0032】
(パージ処理)
ボウル6bへの洗浄水の供給時、洗浄水は、洗浄水路内の空気と混合されながら左側通水路22内を通過する。先端部分14cの内周面には、ボウル6bへの洗浄水の供給時に起こる大きな圧力変化の影響を受け、洗浄水が入り込み、水と空気の層を複数生成することがある。図5に示すように、第2検出管14に入り込んだ洗浄水が、第2検出管14を塞ぐ水膜72を形成することがある。水膜72によって第2検出管14が塞がれると、ボウル6bの水位が第2検出管14に達しているにも関わらず、圧力が伝わらない場合がある。この場合、制御装置40は、圧力センサ11で検出される圧力値を用いて、ボウル6bの洗浄水の水位を正確に検出することができない。
【0033】
第2検出管14には、三方継手17を介して、パージ管12が接続される。パージ管12は、空気電磁弁52及び空気管54を介してポンプ50に接続される。パージ処理では、制御装置40は、ポンプ50を作動させると同時に、空気電磁弁52を開く。これより、パージ管12及び三方継手17を介して、空気70が第2検出管14に圧送される。空気70は、第2検出管14内の水膜72と空気の層とを、左側通水路22に押し出す。制御装置40は、所定の時間経過後、ポンプ50の作動を停止させると同時に、空気電磁弁52を閉じる。これにより、第2検出管14内に水膜72が形成されることを抑制することができる。その結果、第2検出管14内の水膜72と空気の層とが、検出圧力に影響を及ぼすことを抑制することができる。なお、空気電磁弁52は逆止弁に置き換えてもよい。
【0034】
(洗浄中の圧力変化)
図6を参照して、洗浄期間Tcにおける、第1検出管13及び第2検出管14内の圧力の変化について説明する。洗浄期間Tcは、タイミングT1で洗浄ボタンの操作が受け付けられてから、洗浄水が供給され、洗浄水の供給が終了するまでの期間である。洗浄期間Tcは、洗浄水の供給終了後、洗浄水が排水され、圧力センサ11による検出圧力が十分に安定するのに要する時間を含む。洗浄期間Tcは、例えば、20秒程度の時間であり、タンク2、ボウル6bの容量等に応じて水洗式便器100の製造者等により予め設定される。
【0035】
(正常時の圧力変化)
初めに、便器本体6mが正常に洗浄水を排出できる場合(以下、正常時と称することがある)における第1検出管13及び第2検出管14内の圧力(以下、検出圧力と称することがある)について、実線の波形W1を用いて説明する。
【0036】
タイミングT1で洗浄ボタンの操作を受け付ける前の期間では、洗浄水は、左側通水路22を通過しない。このため、検出圧力は、大気圧Apと近似する値で維持される。
【0037】
制御装置40は、タイミングT1で洗浄ボタンの操作を受け付けると、タイミングT2でポンプ50を作動させ、所定の時間経過後、ポンプ50を停止する。作動したポンプ50は、第2検出管14内に空気を圧送する。その結果、圧力ピークP1に示されるように、検出圧力が瞬間的に上昇する。
【0038】
その後、タイミングT5でタンク2のフラッパ弁(図示省略)が開放され、ボウル6bへの洗浄水の供給が開始される。これにより、タンク2内の洗浄水の水位が低下する。その結果、ボールタップの浮き球が下降し、ボールタップが開かれ、給水管3s(図1参照)から、タンク2に新たに上水が供給される。その結果、新たにタンク2に供給された上水も、洗浄水としてボウル6bに供給される。これにより、大量の洗浄水によって洗浄水がボウル6b内の汚物を洗い流すことができる。
【0039】
洗浄水のボウル6bへの供給が開始されると、左側通水路22内に洗浄水が流れ込む。その際、洗浄水は、第2検出管14の端面18の開口を塞ぐ。その結果、検出圧力は上昇する。洗浄水が供給されている間において、洗浄水の供給開始直後では洗浄水の水量及び圧力が高く、その後、洗浄水の水量及び圧力は徐々に低下する。
【0040】
制御装置40は、タイミングT5で洗浄水の供給が開始された後、タイミングT7において、再度ポンプ50を作動させる。ポンプ50は、第2検出管14内に空気を圧送する。ポンプ50が作動してから所定の時間経過後、ポンプ50を停止する。作動したこれにより、圧力ピークP2に示されるように、検出圧力は、再び瞬間的に上昇する。
【0041】
その後、洗浄水は、タイミングT9までの間に亘って、ボウル6bに流れ続ける。この結果、検出圧力は、タイミングT9までの間において、上昇及び下降を繰り返す。所定の量のタンク2内の洗浄水がボウル6bに流れると、タンク2内の洗浄水の水位とともにフラッパ弁504に接続された浮きが下降する。これにより、タイミングT9でフラッパ弁504が閉じられる。これにより、タンク2からボウル6bへの洗浄水の供給が停止される。その結果、検出圧力は、上昇及び下降を繰り返しながら、徐々に低下する。
【0042】
フラッパ弁が閉じられた後、洗浄管4、リム通水路20内に残った洗浄水がボウル6b内に送られると、検出圧力は、徐々に安定し、大気圧Apで保持され、タイミングT10で洗浄が終了する。制御装置40は、タイミングT10において、再度ポンプ50を作動させ、所定の時間経過後、ポンプ50の作動を停止する。これにより、圧力ピークP3に示されるように、検出圧力は、瞬間的に上昇する。このように、洗浄期間Tcの間において、正常時の検出圧力は、波形W1に示されるように、各タイミングで変化し、最終的に大気圧Apに保持される。
【0043】
(排水異常発生時の圧力変化)
細い破線の波形W2及び太い破線の波形W3を利用して、便器装置6に詰まりによる排水異常が発生した場合における検出圧力の変化について説明する。以下では、便器装置6に発生した排水異常を、波形W2によって示される第1排水異常時と、波形W3によって示される第2排水異常時と、の2段階に分けて説明する。
【0044】
第1排水異常発生時と第2排水異常発生時とでは、異常発生時に状況が異なる。第1排水異常発生時では、ボウル6bの水位が正常な水位であった状態で、ボウル6b内の排水経路及びボウル6bよりも下流側の排水経路に異物が詰まっており、正常時と比較して排水経路が狭まることによって、水位が上昇している。ボウル6bよりも下流側の排水経路は、排水管8、及び、例えば水洗式便器100が配置される建物内の排水管(図示省略)を含む。第2排水異常発生時では、既に、ボウル6bの水位が正常な水位よりも上昇しており、第1排水異常発生時よりも少量の洗浄水がボウル6bに供給された場合であっても、検出圧力が上昇する状態である。第2排水異常発生時は、第1排水異常発生時と同様に、ボウル6b内の排水経路及びボウル6bよりも下流側の排水経路に異物が詰まっており、正常時と比較して排水経路が狭まることによって、水位が上昇している。
【0045】
(第1排水異常時の圧力変化)
波形W1及びW2を比較すると理解されるように、タイミングT1~T7の間においては、第1排水異常時の検出圧力は、上述した正常時の検出圧力と略同様である。第1排水異常時では、洗浄水を供給する際、左側通水路22を通過する洗浄水の量は、正常時と同様である。しかしながら、第1排水異常時では、正常時よりも単位時間当たりの排水量が低下しているため、正常時ほどボウル6bの水位が低下しない。波形W2に示されるように、第1排水異常時の検出圧力は、タイミングT7以降、正常時の検出圧力よりも大きい。タイミングT9でフラッパ弁504が閉じられても、第2検出管14の先端部分14cの開口が、ボウル6b内の水によって閉塞されているため、第1排水異常時の検出圧力は、大気圧Apまで低下しない。1回の洗浄時においてボウル6bに供給される洗浄水の量は、ボウル6bの容量よりも小さい。このため、第1排水異常時では、洗浄水がボウル6bから溢れる前に、洗浄水の供給が終了する。タイミングT10以降、第1排水異常時の検出圧力は、タイミングT5の洗浄水の供給時に上昇した検出圧力よりもわずかに低い圧力で保持される。
【0046】
(第2排水異常時の圧力変化)
第2排水異常時は、ボウル6b内の水位が、リム通水路20の近傍まで上昇した状態(例えば、第1排水異常時)において、さらにボウル6bに洗浄水が供給された状態である。第2排水異常時では、洗浄水が新たに供給される前に、すでに、検出圧力が大気圧Apよりも上昇している場合がある。洗浄水が供給されるまでのタイミングT1~T5の間、ボウル6b内の水位がリム通水路20を超えてない場合、波形W3は、波形W1、W2と一致する。洗浄水が供給されるまでのタイミングT1~T5の間、ボウル6b内の水位が端面18の開口を超えている場合、波形W3は、大気圧Apよりも高くなる。第2排水異常時では、ボウル6bに洗浄水が供給されると、ボウル6bの水位は上昇し続ける。このため、波形W3に示されるように、第2排水異常時の検出圧力は、第1排水異常時の検出圧力よりも高くなる。第2排水異常時では、1回の洗浄時においてボウル6bに供給される洗浄水の量を受け入れることができずに、ボウル6bから洗浄水が溢れ得る。第2排水異常時の検出圧力は、第1排水異常時の検出圧力よりも高い値で保持される。
【0047】
制御装置40は、圧力センサ11から受信した検出圧力と基準圧力とを比較することで、ボウル6b内の洗浄水の水位を検出する。制御装置40は、圧力センサ11から受信した検出圧力を用いて、ボウル6b内の洗浄水の水位を特定する。上述したように、検出圧力は、ボウル6b内の洗浄水の水位に応じて変化する。制御装置40は、予め、基準圧力Th1,Th2,Th3及びTh4を記憶している。制御装置40は、圧力を検出するタイミングに応じて、各基準圧力Th1~Th4を使い分けることによって、便器装置6における排水異常の発生を検知する異常検知処理を実行する。図6では、各タイミングにおいて、制御装置40が検出圧力の比較対象として利用する各基準圧力Th1~Th4が破線で示されている。なお、各基準圧力Th1~Th4は正常時と異常時を判別するための値であるため便器の形状バラツキや施工状態のバラツキを補正する学習制御によって得られた値を記憶するようにしてもよい。
【0048】
(制御装置40が実行する通常時異常検知処理)
水洗式便器100が設置されると、水位検出装置10が起動される。水位検出装置10が起動されると、制御装置40は、異常検知処理を実行する。異常検知処理は、通常時異常検知処理と洗浄時異常検知処理とを含む。通常時異常検知処理では、制御装置40は、ユーザによる洗浄ボタンの操作を受け付けた直後で洗浄を開始する前の状況で、第2検出管14の圧力が基準圧力Th2を超えることを検出している。通常時異常検知処理では、制御装置40は、洗浄水の供給後、所定期間に亘って、第2検出管14の圧力が基準圧力Th2を超えることを検出している。洗浄水が正常に排水されている場合、ボウル6b内の水位が第2検出管14まで達せず、端面18の開口が塞がれない。検出圧力は、大気圧Apに近似している。排水異常が発生している状況において、例えば、バケツにより洗浄水を直接ボウル6bに供給するように、タンク2以外からボウル6b内に水を供給すると、ボウル6b内の水位が第2検出管14まで達している可能性がある。この場合、検出圧力は上昇する。基準圧力Th2は、検出圧力と比較することによって、ボウル6b内の水によって第2検出管14の開口が塞がれている状態を検出可能な値に設定されている。これにより、タンク2以外からボウル6bに水が供給される状況において、排水の異常を検知することができる。
【0049】
(制御装置40が実行する洗浄時異常検知処理)
洗浄時異常検知処理では、制御装置40は、洗浄期間Tcにおいて、制御装置40が各基準圧力Th1~Th4を利用して異常検知処理を実行する。制御装置40は、洗浄ボタンの操作を受け付けた場合(図6のタイミングT1)に、洗浄ボタンの操作を受け付けたことを示す信号を受信したことに起因して、図7の処理を開始する。
【0050】
S2において、制御装置40は、ポンプ50を作動させ(図9のタイミングT2)、所定の時間経過後、ポンプ50の作動を停止する。S3において、制御装置40は、受付信号を受信したタイミングが、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過しているか否かを判断する。所定期間は、予め特定されて、制御装置40のメモリに格納されている。所定期間は、洗浄水をボウル6bに供給した後、洗浄水が供給されていない状態と比較して、ボウル6b内の水位が高い期間、即ち、洗浄水が未だ排水されずに残っている期間である。所定期間は、例えば洗浄期間Tcである。所定期間は、便器装置6の構造によって適宜決定される期間であってもよい。受付信号を受信したタイミングが、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していると判断される場合(S3でYES)、S4に進む。受付信号を受信したタイミングが、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していない場合(S3でNO)、S5に進む。
【0051】
S4では、制御装置40は、検出圧力が、基準圧力Th2を超えることを検出する(タイミングT3~T4の間)。S5では、制御装置40は、検出圧力が、基準圧力Th3を超えることを検出する(タイミングT3~T4の間)。
【0052】
S2からS5の処理によって、制御装置40は、制御装置40は、ポンプ50によって、第2検出管14に空気70(図5参照)を圧送した後に、ボウル6b内の水位を検出する。圧力センサ11は、第2検出管14の内面に水膜72が形成されるのを抑制した状態で、検出圧力を検出することができる。その結果、圧力センサ11の検出圧力を用いて、第2検出管14の先端部分14cの開口がボウル6b内の水によって塞がれているか否かを適切に判断することができる。
【0053】
図6に示されるように、基準圧力Th2は、大気圧Apよりも高い圧力である。基準圧力Th2は、検出圧力と比較することによって、ボウル6b内の洗浄水によって第2検出管14の開口が塞がれている状態を検出可能な値に設定されている。基準圧力Th2は、基準圧力Th3よりも低い圧力である。基準圧力Th2が利用されるタイミングでは、洗浄ボタンの操作を受け付けられ、タンク2から洗浄水が供給されようとしている。
【0054】
基準圧力Th3は、大気圧Apよりも高い圧力である。水位検出装置10では、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していない状況では、図6の波形W3に示すように、便器装置6に重大な詰まりが発生してないにも関わらず、洗浄水がボウル6bに残っており、水位が高い場合がある。S5では、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していない状況において、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過している状況において使用される基準圧力Th2よりも高い基準圧力Th3が用いられている。
【0055】
S4において、検出圧力が基準圧力Th2を超えている場合(S4でYES)、S54に進む。同様に、S5において、検出圧力が基準圧力Th3を超えている場合(S5でYES)、S54に進む。S54では、制御装置40は、ボウル6bに洗浄水を供給しない。この場合、ユーザから洗浄ボタンの操作を受け付けているにもかかわらず、フラッパ弁504を開放しない。すなわち、制御装置40は、検出圧力がS4の場合に基準圧力Th2、S5の場合に基準圧力Th3を超えている場合、洗浄を開始しない。これにより、排水異常が発生し、既に洗浄水の水位が上昇しているボウル6bに対して、洗浄水が供給されることを防止することができる。ボウル6bから洗浄水が溢れることを防止することができる。
【0056】
S4において検出圧力が基準圧力Th2を超えていない場合(S4でNO)、及び、S5において検出圧力が基準圧力Th3を超えていない場合(S5でNO)のいずれか一方の場合、制御装置40は、S10に進む。S10では、制御装置40は、タンク2のフラッパ弁504を開放し、ボウル6bの洗浄を開始する(タイミングT5)。
【0057】
次いで、S20において、制御装置40は、検出圧力が、基準圧力Th4を超えることを検出する(タイミングT4~T6の間)。検出圧力が基準圧力Th4を超える場合(S20でYES)、制御装置40は、S52に進む。
【0058】
S52では、制御装置40は、タンク2への給水を停止する。具体的には、制御装置40は、給水電磁弁3(図5参照)を閉じる。これにより、上水管5からタンク2への上水の供給が停止される。洗浄中、タンク2に元々貯められていた洗浄水に加え、上水管5から供給される上水も洗浄水としてタンク2を介してボウル6bに供給される。洗浄水供給直後に検出圧力が基準圧力Th4を超えている場合(S20でYES)、タンク2への給水を停止することによって、排水異常発生時に、ボウル6bに供給する洗浄水の量を低減することができる。その結果、排水異常発生時に、ボウル6bの上端から溢れることを防止し、仮にボウル6bの上端から洗浄水が溢れた場合であっても、溢れる洗浄水の量を低減することができる。S52の処理が終了すると、S54に進む。
【0059】
検出圧力が詰まり基準圧力Th4を超えない場合(S20でNO)、制御装置40は、S22において、ポンプ50を作動させ(図6のタイミングT7)、所定の時間経過後、ポンプ50の作動を停止する。ポンプ50の作動中は、水位に関係なく第2検出管14内の圧力が上昇する。ポンプ50の作動中では、制御装置40は、検出圧力と基準圧力とを比較しない。ボウル6b内の水位が上昇したと誤って判断されることを防止することができる。
【0060】
洗浄水の左側通水路22内の通過直後のタイミングT5~T7では、第2検出管14の先端部分14cの開口が、タンク2からボウル6bに供給される洗浄水によって、一時的に塞がれる。洗浄水の供給開始直後(タイミングT5)では、リム通水路20を流れる洗浄水の圧力が高い。この場合、排水異常が発生しているか否かに関わらず、一時的に検出圧力が上昇する。図6に示されるように、洗浄水の供給開始直後(タイミングT5)の検出圧力は、基準圧力Th3よりも高くなる場合がある。仮に、洗浄水の供給開始直後に、検出圧力が基準圧力Th3と比較されると、制御装置40は、排水異常の発生に起因してボウル6b内の洗浄水の水位が上昇していないにも関わらず、S52の処理を実行する場合がある。その結果、洗浄水の供給量が低減されてしまう。制御装置40は、洗浄水の供給開始直後(タイミングT4~T6間)において、検出圧力を、基準圧力Th3よりも高い基準圧力Th4と比較する。これにより、制御装置40が、洗浄水の供給開始直後に生じる一時的な圧力の上昇によって、洗浄水の供給量が低減されることを防止することができる。一方で、洗浄水の供給開始直後では、ボウル6bに供給される水量は、洗浄水供給中で最も多い。このため、排水異常が発生していると、ボウル6b内の水位が大きく上昇する。洗浄水の供給開始直後では、基準圧力Th4を用いることによって、排水異常によってボウル6b内の水位が大きく上昇する状態を検知することができる。
【0061】
S30では、制御装置40は、検出圧力が基準圧力Th3を超えることを検出する(タイミングT8~T10の間)。検出圧力が基準圧力Th3を超える場合(S30でYES)、制御装置40は、S52に進む。これにより、洗浄水の供給量が低減される。タイミングT8~T10の間では、タンク2からの洗浄水の供給が継続されている。タンク2からボウル6bに供給される洗浄水によって、第2検出管14の先端部分14cの開口が、一時的に塞がれる。基準圧力Th3を基準圧力Th2よりも高い圧力に設定することによって、制御装置40が、洗浄期間Tc中であっても、排水異常の発生を検出することができる。
【0062】
タイミングT8~T10の間では、洗浄水の供給開始から時間が経過して、洗浄水の供給量及び圧力が洗浄水供給開始直後よりも低下している。このため、タイミングT8~T10の間では、洗浄水の供給開始直後(タイミングT4~T6間)と比較して、第2検出管14の圧力は上昇しない。タイミングT8~T10の間で用いられる基準圧力Th3を、タイミングT4~T6の間で用いられる基準圧力Th4よりも低く設定することによって、洗浄水の供給開始から時間が経過している間に排水異常によってボウル6b内の水位が大きく上昇する状態をより早くに検知することができる。
【0063】
制御装置40は、圧力センサ11から受信する検出圧力を利用して、ボウル6bに洗浄水が供給されている間、ボウル6b内の水位を検出する。洗浄水の供給中に排水異常が発生する場合、継続して供給量が低減されずに、洗浄水がボウル6bに供給されると、ボウル6bの上端から洗浄水が溢れてしまう可能性がある。制御装置40は、洗浄水の供給中にボウル6b内の水位を検出することで、洗浄水の供給中の排水異常の発生を検知して、洗浄水が溢れてしまう事態を抑制することができる。
【0064】
検出圧力が詰まり基準圧力Th3を超えない場合(S30でNO)、制御装置40は、S32において、排水期間が経過することを検出する。排水期間は、フラッパ弁504が閉じられたタイミングT9からタイミングT10の間の期間であり、タンク2から供給された洗浄水が、ボウル6bに送られ、リム通水路20内に洗浄水が流れなくなるまでの期間である。排水期間は、タンク2の容量、ボウル6bのサイズ等に応じて、予め設定されている。排水期間が経過していない場合(S32でNO)、制御装置40は、再びS30の処理を実行する。即ち、制御装置40は、排水期間が経過するまで(タイミングT8~T10の間)、検出圧力が基準圧力Th3を超えることを繰り返し検出する。
【0065】
排水期間が経過すると(S32でYES)、S34において、制御装置40は、ポンプ50を作動させ(タイミングT10)、所定の時間経過後、ポンプ50の作動を停止する。制御装置40は、ポンプ50の動作中に、検出圧力と基準圧力との比較を行わない。次いで、S40において、制御装置40は、検出圧力が基準圧力Th2を超えることを検出する(タイミングT11~T12の間)。検出圧力が基準圧力Th2を超えていない場合(S40でNO)、S42において、制御装置40は、所定期間Ta(図11参照)が経過することを検出する。所定期間Taが経過していない場合(S42でNO)、制御装置40は、再びS40の処理を実行する。即ち、制御装置40は、所定期間Taが経過するまで(タイミングT11~T12の間)、検出圧力が基準圧力Th2を超えることを繰り返し検出する。所定期間Taが経過すると(S42でYES)、制御装置40は、図12の処理を終了する。なお、所定期間Taを設けず、洗浄が開始されるまでは基準圧力Th2を超えることを検出する仕様としてもよい。
【0066】
制御装置40は、洗浄水の供給中(タイミングT8~T10の間)では、検出圧力が基準圧力Th3を超えることを検出し、所定期間Ta(タイミングT11~T12の間)では、検出圧力が基準圧力Th3よりも低い基準圧力Th2を超えることを検出する。所定期間Taでは、基準圧力Th3よりも低い基準圧力Th2を利用して排水異常の発生を検知する。制御装置40は、洗浄水の供給によりボウル6bの水位が変化しても、便器装置6に排水異常の発生を的確に検知することができる。
【0067】
検出圧力が基準圧力Th2を超える場合(S40でYES)、制御装置40は、S54に進む。S54では、制御装置40は、洗浄を禁止する。具体的には、制御装置40は、洗浄ボタンの操作を受け付けても、フラッパ弁504を開放しない。洗浄ボタンの操作を受け付けても、タンク2内の洗浄水は、ボウル6bに供給されない。
【0068】
制御装置40は、検出圧力が基準圧力Th3を超える場合(S30でYES)、S52でタンク2への給水を停止することによって、ボウル6bへの洗浄水の供給量を低減する。さらに、検出圧力が基準圧力Th3を超える場合(S30でYES)、所定の期間において洗浄ボタンの操作を受け付けても、タンク2内の洗浄水をボウル6bに供給させない。検出圧力が基準圧力Th3を超える場合、ボウル6b内の洗浄水の水位が高く、洗浄水がボウル6bの上端から溢れる可能性が高い。制御装置40は、ボウル6bの上端から溢れる可能性がさらに高い第2排水異常発生時には、洗浄水の供給量を変更する処理を実行する。これにより、第2排水異常発生時にはボウル6bの上端から洗浄水が溢れることを抑制するとことができる。制御装置40は、S52でタンク2への給水を停止した後、タンク2のフラッパ弁が閉じられ(すなわち、タンク2内の洗浄水のボウル6bへの供給が停止され)、所定時間が経過した後に、給水電磁弁3を再び開く。なお、変形例では、制御装置40は、洗浄中にフラッパ弁を強制的に閉じること、洗浄管4を閉塞する弁装置を配置して洗浄管4を閉塞すること、及び、洗浄管4を流れる洗浄水を、ボウル6bを経由せずに排水管8に送出することの少なくとも1個を用いて、洗浄水の供給量を変更する処理を実行してもよい。
【0069】
検出圧力が基準圧力Th2を超える場合(S40でYES)には、既にタンク2からボウル6bへの洗浄水の供給は終了しており、ボウル6bへの洗浄水の供給量を低減する処理は実行されない。検出圧力が基準圧力Th2を超える場合(S40でYES)、所定の期間において洗浄ボタンの操作を受け付けても、タンク2内の洗浄水をボウル6bに供給させない。
【0070】
次いで、制御装置40は、S56において、管理端末60(図10参照)に排水異常の発生を報知する。具体的には、制御装置40は、S4、S5、S30及びS40のいずれかの処理でYESの場合には、管理端末60に、ボウル6bの水位に異常が発生していることを表す情報及びボウル6bに詰まりが発生していることを表す情報の少なくとも一方を表す情報を送信する。管理端末60は、制御装置40から受信される、ボウル6bの水位に異常が発生していることを表す情報及びボウル6bに詰まりが発生していることを表す情報の少なくとも一方を表す情報を出力する。制御装置40は、S20の処理でYESの場合には、管理端末60に、ボウル6bの水が溢れることを表す情報を送信する。管理端末60は、制御装置40から受信される、ボウル6bの水が溢れることを表す情報を表す情報を出力する。出力は、管理端末60が、制御装置40から受信される情報を表す画像を表示部に表示することと、制御装置40から受信される情報を表す音声を音声出力部から発声することと、を含む。これにより、水洗式便器100の管理者に排水異常の発生を認識させることができる。
【0071】
S60では、制御装置40は、検出圧力が基準圧力Th1を下回ることを検出する。検出圧力が基準圧力Th1を下回っていない場合(S60でNO)、制御装置40は、検出圧力が基準圧力Th1を下回るまで、S60の処理を繰り返す。図6に示されるように、基準圧力Th1は、大気圧Apよりもわずかに高い圧力である。基準圧力Th1は、検出圧力と比較することによって、第2検出管14の開口が洗浄水から露出している状態を検出可能な値に設定されている。制御装置40は、検出圧力を基準圧力Th1と比較することで、ボウル6b内の洗浄水の水位が第2検出管14よりも下方に位置していること、即ち、排水異常が解消していることを検知することができる。
【0072】
例えば、トイレットパーパーの詰まりに起因する排水異常が比較的短時間で自然に解消する場合及び、管理者によって排水異常が解消される場合の少なくとも一方により、ボウル6b内の洗浄水の水位が低下し、検出圧力が基準圧力Th1を下回っている場合(S60でYES)、S62において、制御装置40は、S54における洗浄の禁止を解除する。制御装置40は、S60の処理で排水異常の解消を検知し、S62の処理で洗浄の禁止を解除することによって、既に解消した排水異常に対して、洗浄の禁止が継続されることを回避することができる。その後、制御装置40は、S64において、管理端末60への排水異常の解消を報知して、洗浄時異常検知処理を終了する。これにより、水洗式便器100の管理者に排水異常が解消したことを認識させることができる。
【0073】
水位検出装置10では、圧力センサ11によってボウル6bの水位が検出される。圧力センサ11は、フロートセンサ、静電容量センサ、超音波センサ等の他のセンサに比して、洗浄水が供給されている間のボウル6bの水位の検出精度が高い。そのため、水位検出装置10は、他のセンサで水位を検出する構成に比して、正確にボウル6bの水位を検出することができる。
【0074】
洗浄時異常検知処理では、受付信号を受信したタイミングが、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過しているか否かに応じて、水位検出処理が異なっている。具体的には、受付信号を受信したタイミングが直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過している場合、S4において基準圧力Th2が用いられる。受付信号を受信したタイミングが直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していない場合、S5において基準圧力Th2よりも高い基準圧力Th3が用いられる。この構成によると、ボウル6bに溜まっている洗浄水の水位に合わせた基準圧力を用いて、水位を検出することができる。この構成によると、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していない状況において、重大な詰まりが発生していないにも関わらず、S54において洗浄が禁止されることを防止することができる。
【0075】
(対応関係)
ポンプ50と、空気電磁弁52と、圧力センサ11と、第1検出管13と、第2検出管14と、が「水位検出部」の一例であり、制御装置40が「制御部」の一例である。S4の処理が、「第1水位検出処理」の一例であり、S5の処理が、「第2水位検出処理」の一例である。基準圧力Th2が「第1基準水位」の一例であり、基準圧力Th3が「第2基準圧水位」の一例であり、基準圧力Th4が「第3基準圧水位」の一例である。
【0076】
(第2実施形態)
図8に示されるように、本実施形態の水洗式便器100は、水位検出装置10に替えて、水位検出装置200を備える。水位検出装置200は、一対の電極202、204と、制御装置と、を備える。制御装置は、制御装置40と同様の構成を有する。以下、本実施形態の制御装置を、制御装置240と呼ぶ。一対の電極202、204は、電気的に絶縁されている状態で配置されている。一対の電極202、204は、便器装置6に詰まりが発生していない場合、ボウル6b内の水に浸からない位置に配置されている。
【0077】
本実施形態の洗浄時異常検知処理は、第1実施形態の洗浄時異常検知処理と同様のタイミングで開始される。洗浄時異常検知処理では、制御装置240は、一対の電極202、204の間で通電するか否かを判断する。具体的には、制御装置240は、電極202に電圧を印加し、電極202、204間に流れる電流を特定する。便器装置6に詰まりによる排水異常が発生することによって、ボウル6bの水位が上昇し、一対の電極202、204が水に浸かる。この結果、一対の電極202、204が水に浸かると、水を介して一対の電極202、204一対の電極202、204が通電する。
【0078】
制御装置240は、一対の電極202、204間の通電が検出されると、S54と同様に、洗浄を禁止する。これにより、ボウル6bの水位が高い状態で、洗浄水が供給される事態を回避することができる。
【0079】
制御装置240は、S56と同様の処理を実行してもよい。制御装置240は、S56の処理に続いて、一対の電極202、204の間で通電するか否かを判断する。制御装置240は、一対の電極202、204の間で通電しなくなるまで判断を繰り返し、一対の電極202、204の間で通電しなくなると、S62及びS64と同様の処理を実行してもよい。
【0080】
(第3実施形態)
図9に示されるように、本実施形態の水洗式便器100は、水位検出装置10に替えて、水位検出装置300を備える。水位検出装置300は、測距センサ302と、制御装置と、を備える。制御装置は、制御装置40と同様の構成を有する。以下、本実施形態の制御装置を、制御装置340と呼ぶ。測距センサ302は、便座6sに取り付けられている。測距センサ302は、ボウル6bの底面に向けて超音波を発信する。測距センサ302は、ボウル6bの水面で反射した超音波を受信する。制御装置340は、測距センサ302において超音波を発信してから受信するまでの期間を用いて、測距センサ302とボウル6bの水面までの距離を特定する。
【0081】
制御装置340は、予め、基準距離Dt1、Dt2、Dt3、Dt4を記憶している。基準距離Dt1は、基準圧力Th1で特定される水位と同一の水位に対応する。基準距離Dt2は、基準圧力Th2で特定される水位と同一の水位に対応する。基準距離Dt3は、基準圧力Th3で特定される水位と同一の水位に対応する。基準距離Dt4は、基準圧力Th4で特定される水位と同一の水位に対応する。制御装置340は、制御装置40と同様に、水面までの距離を検出するタイミングに応じて、各基準距離Dt1~Dt4を使い分けることによって、便器装置6における排水異常の発生を検知する異常検知処理を実行する。
【0082】
(制御装置340が実行する洗浄時異常検知処理)
本実施形態の洗浄時異常検知処理は、第1実施形態の洗浄時異常検知処理と同様のタイミングで開始される。第1実施形態の洗浄時異常検知処理と同様の処理は、図7と同一の符号で示される。図10に示されるように、洗浄時異常検知処理では、S3の処理を実行する。受付信号を受信したタイミングが、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していると判断される場合(S3でYES)、S304に進む。受付信号を受信したタイミングが、直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していない場合(S3でNO)、S305に進む。
【0083】
S304では、制御装置340は、測距センサ302で検出される水面までの距離(以下「検出距離」と呼ぶ)が、基準距離Dt2を超えることを検出する(タイミングT3~T4の間)。S305では、制御装置340は、検出圧力が、基準距離Dt3を超えることを検出する(タイミングT3~T4の間)。
【0084】
S304において、検出距離が基準距離Dt2を超えている場合(S304でYES)、S54に進む。同様に、S305において、検出距離が基準距離Dt3を超えている場合(S305でYES)、S54に進む。
【0085】
S304において検出距離が基準距離Dt2を超えていない場合(S304でNO)、及び、S305において検出距離が基準距離Dt3を超えていない場合(S305でNO)のいずれか一方の場合、制御装置340は、S10に進む。S10の処理の後、S320において、制御装置340は、検出距離が、基準距離Dt4を超えることを検出する(タイミングT4~T6の間)。検出距離が基準距離Dt4を超える場合(S320でYES)、制御装置340は、S52に進む。これにより、洗浄水の供給量が低減される。
【0086】
検出距離が基準距離Dt4を超えない場合(S320でNO)、S330において、制御装置340は、検出距離が基準距離Dt3を超えることを検出する(タイミングT8~T10の間)。検出距離が基準距離Dt3を超える場合(S330でYES)、制御装置340は、S52に進む。これにより、洗浄水の供給量が低減される。
【0087】
検出距離が基準距離Dt3を超えない場合(S330でNO)、S32に進む。S32でYESの場合、S340において、制御装置340は、検出距離が基準距離Dt2を超えることを検出する(タイミングT11~T12の間)。検出距離が基準距離Dt2を超えていない場合(S340でNO)、S42に進む。検出距離が基準距離Dt2を超える場合(S340でYES)、S54に進む。S54及びS56の処理が終了すると、S360において、制御装置340は、S360では、制御装置340は、検出距離が基準距離Dt1を下回ることを検出する。検出距離が基準距離Dt1を下回っていない場合(S360でNO)、制御装置340は、検出距離が基準距離Dt1を下回るまで、S360の処理を繰り返す。検出距離が基準距離Dt1を下回る場合(S360でYES)、S62及びS64の処理を実行して、洗浄時異常検知処理を終了する。
【0088】
本実施形態の水位検出装置300では、水位を検出する場合に、パージ処理を実行せずに済む。
【0089】
(第4実施形態)
図11に示されるように、本実施形態の水洗式便器100は、水位検出装置10に替えて、水位検出装置400を備える。水位検出装置400は、一対の電極402、404と、制御装置と、を備える。制御装置は、制御装置40と同様の構成を有する。以下、本実施形態の制御装置を、制御装置440と呼ぶ。一対の電極402、404は、便器本体6mのボウル6bの裏面に取り付けられている。一対の電極402、404のそれぞれは、導電性の平板形状を有する。一対の電極402、404のそれぞれは、便器本体6mの取付面に沿った形状で、取り付けられている。
【0090】
制御装置440は、一対の電極402、404の静電容量を検出する。制御装置440は、一対の電極402、404間に所定の電位差を与えた場合の一対の電極402、404の静電容量を検出する。
【0091】
制御装置440は、予め、基準容量Ec1、Ec2、Ec3、Ec4を記憶している。基準容量Ec1は、基準圧力Th1で特定される水位と同一の水位に対応する。基準容量Ec2は、基準圧力Th2で特定される水位と同一の水位に対応する。基準容量Ec3は、基準圧力Th3で特定される水位と同一の水位に対応する。基準容量Ec4は、基準圧力Th4で特定される水位と同一の水位に対応する。制御装置340は、制御装置40と同様に、水面までの距離を検出するタイミングに応じて、各基準容量Ec1~Ec4を使い分けることによって、便器装置6における排水異常の発生を検知する異常検知処理を実行する。
【0092】
(制御装置440が実行する洗浄時異常検知処理)
本実施形態の洗浄時異常検知処理は、第3実施形態の洗浄時異常検知処理と同様のタイミングで開始される。本実施形態の洗浄時異常検知処理は、第3実施形態の洗浄時異常検知処理と同様である。但し、S304では、制御装置440は、検出される一対の電極402、404の静電容量(以下「検出容量」と呼ぶ)が、基準容量Ec2を超えることを検出する。S305では、制御装置440は、検出容量が、基準容量Ec3を超えることを検出する。S320では、制御装置440は、検出容量が、基準容量Ec4を超えることを検出する。S330では、制御装置440は、検出容量が、基準容量Ec3を超えることを検出する。S340では、制御装置440は、検出容量が、基準容量Ec3を超えることを検出する。S360では、制御装置440は、検出容量が、基準容量Ec1を超えることを検出する。本実施形態の洗浄時異常検知処理のその他の処理は、第3実施形態の洗浄時異常検知処理と同様である。
【0093】
(第5実施形態)
図12に示されるように、本実施形態の水洗式便器100は、水位検出装置10に替えて、水位検出装置500を備える。水位検出装置500は、フロート502と、制御装置と、を備える。制御装置は、制御装置40と同様の構成を有する。以下、本実施形態の制御装置を、制御装置540と呼ぶ。フロート502は、後方通水路21に収容されている。フロート502は、後方通水路21内の水に浮かぶ。フロート502は、後方通水路21内の水位に従って上下方向に移動する。フロート502は、後方通水路21の上面に接触すると、制御装置540に信号を送信する。
【0094】
本実施形態の洗浄時異常検知処理は、第1実施形態の洗浄時異常検知処理と同様のタイミングで開始される。洗浄時異常検知処理では、制御装置540は、フロート502から信号を受信するか否かを判断する。制御装置540は、フロート502から信号が受信されると、S54と同様に、洗浄を禁止する。これにより、ボウル6bの水位が高い状態で、洗浄水が供給される事態を回避することができる。
【0095】
制御装置540は、S56と同様の処理を実行してもよい。制御装置540は、S56の処理に続いて、フロート502から信号が受信されているか否かを判断する。制御装置240は、フロート502から信号が受信されなくなるまで判断を繰り返し、信号が受信されなくなると、S62及びS64と同様の処理を実行してもよい。
【0096】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明した。これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施形態の変形例を以下に列挙する。
【0097】
(変形例1)水位検出装置10において、第2検出管14の装置内部分14bの先端部分14cは、左側通水路22に配置されなくてもよい。例えば、第2検出管14の先端部分14cは、洗浄管4内に配置されてもよいし、ボウル6bに配置されてもよい。
【0098】
(変形例2)水位検出装置10において、先端部分14cは、後方通水路21及び右側通水路24の少なくとも一方に配置されてもよい。別の変形例では、リム通水路20が、左側通水路22、右側通水路24に加え、下側にさらに分岐してもよい。本変形例では、先端部分14cは、下側に分岐した通水路に配置されてもよい。リム通水路20が分岐しなくてもよい。
【0099】
(変形例3)水位検出装置10において、第2検出管14の装置内部分14bは、左側通水路22の上方に位置する便器本体6mの外壁を貫通することで、当該外壁に固定されて、左側通水路22に配置されてもよい。さらに別の変形例では、装置内部分14bは、後方通水路21の上方に位置する外壁を貫通することによって、当該外壁に固定されて、貯留空間30を貫通して、後方通水路21に配置されてもよい。
【0100】
(変形例4)便器本体6mは、貯留空間30を備えなくてもよい。
【0101】
(変形例5)水位検出装置10において、第2検出管14の装置内部分14bは、左側通水路22の左方に位置する便器本体6mの外壁を貫通することによって、当該外壁に固定されて、左側通水路22に配置されてもよい。
【0102】
(変形例6)水位検出装置10は、便器本体6mの重量を計測することによって、水位を検出してもよい。この場合、便器本体6mの下方に重量センサが配置されてもよい。制御装置40は、重量に関する複数の閾値を用いて、洗浄時異常検知処理を実行してもよい。
【0103】
(変形例7)水位検出装置10において、制御装置40は、パージ処理を適宜実行してもよい。例えば、制御装置40は、洗浄水が供給されるか否かに関わらず、パージ処理を定期的に実行されてもよい。制御装置40は、洗浄水の供給が開始された後の所定のタイミング(例えば59秒後)では、他のタイミングと比較して、長期間に亘ってパージ処理を実行してもよい。制御装置40は、上記した所定のタイミングでは、他のタイミングと比較して、多くの回数のパージ処理を実行してもよい。上記した所定のタイミングでは、洗浄水の供給が終了し、水位が安定していてもよい。
【0104】
(変形例8)水位検出装置10は、水位検出のタイミングで、パージを実行しながら圧力を検出してもよい。
【0105】
(変形例9)水位検出装置10は、詰まりが解除されたことを示す情報を取得可能であってもよい。例えば、制御装置40は、ユーザによって詰まりが解除された場合に、ユーザによって操作される詰まり解除ボタンに電気的に接続されていてもよい。制御装置40は、ユーザによって詰まり解除ボタンが操作されると、パージ処理及び水位検出を実行してもよい。
【0106】
(変形例10)便器本体6mに洗浄水を供給する洗浄管4は、便器本体6mの外側から、左側通水路22及び右側通水路24のいずれか一方の通水路内に延びていてもよい。この場合、水位検出装置10において、第2検出管14は、洗浄管4の外側において、左側通水路22及び右側通水路24のいずれか一方の通水路内に延びていてもよい。
【0107】
(変形例11)水位検出装置10において、第2検出管14は、先端部分14cが下方に向くように、下方に曲がっていてもよい。例えば、先端部分14cは、第2検出管14の先端部分14cと接続される部分に対して、5°以上に屈曲されていてもよい。これにより、先端部分14cに水膜が形成されることを抑制することができる。
【0108】
(変形例12)
水位検出装置10において、第2検出管14の先端部分14cの内径は、第2検出管14の他の部分の内径よりも大きくてもよい。これにより、先端部分14cに水膜が形成されることを抑制することができる。
【0109】
(変形例13)
水位検出装置10において、リム通水路20に、第2検出管14を支持する支持部材が固定されていてもよい。第2検出管14は、施工時に便器本体6mに取り付けられてもよい。
【0110】
(変形例14)
水位検出装置10において、タンク2内のフラッパ弁の開閉速度を低下させてもよい。リム通水路20内の圧力変動を抑えることによって、第2検出管14内に水膜が形成されることを抑制することができる。
【0111】
(変形例15)
水位検出装置10において、制御装置40は、基準圧力Th2を用いて、基準圧力Th1、Th3、Th4のうちの少なくとも1個の基準圧力を用いずに、洗浄時異常検知処理を実行してもよい。この場合図9の洗浄時異常検知処理において、制御装置40は、基準圧力Th1、Th3、Th4のうち、使用されない基準圧力が使用されているS4、S20、S60の少なくとも1個の処理を実行しなくてもよい。制御装置40は、基準圧力Th1、Th3、Th4のうち、使用されない基準圧力が使用されているS4、S20、S60の少なくとも1個の処理もについて、基準圧力Th2を用いて実行してもよい。第2実施形態から第5実施形態でも同様である。
【0112】
(変形例16)
水位検出装置10は、ボウル6b外であって、便器装置6の外側の気圧を検出する外気圧力センサを備えていてもよい。圧力センサ11及び外気圧力センサは、絶対圧力を検出可能であってもよい。制御装置40は、圧力センサ11及び外気圧力センサで検出される圧力を用いて、水位を検出してもよい。この構成によると、気圧、温度等の外的要因によって、圧力センサ11において検出される圧力の変動によって、水位が適切に検出されない事態を回避することができる。圧力センサ11及び外気圧力センサは、1個のパッケージに収納されていてもよい。
【0113】
(変形例17)
第1実施形態において、制御装置40は、定期的及び不定期の少なくとも一方のタイミングで、水位に異常が発生していない状況における圧力を検出することによって、水洗式便器100の使用環境、経年変化を考慮して、基準圧力Th1、Th2、Th3、Th4の少なくとも1個の基準圧力を調整してもよい。他の実施形態でも同様に、基準容量、基準距離等を、調整してもよい。
【0114】
(変形例18)
抑制装置は、上記した第1実施形態から第5実施形態の少なくとも2個の実施形態が組み合わせられた構成を有していてもよい。
【0115】
(変形例19)洗浄時異常検知処理では、制御装置40は、S5の処理を実行しなくてもよい。この場合、制御装置40は、S3においてNOの場合に、S10の処理を実行してもよい。直前に洗浄水をボウル6bに供給してから所定期間が経過していない場合(S3でNO)、詰まりが発生していないのにも関わらず、ボウル6bの水位が高い場合がある。本変形例では、洗浄水の供給前の水位検出をスキップすることによって、詰まりが発生していないのにも関わらず、洗浄水が供給されない事態を回避することができる。
【0116】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0117】
2:タンク、4:洗浄管、6:便器装置、6b:ボウル、6m:便器本体、8:排水管
10:水位検出装置、11:圧力センサ、12:パージ管、13:第1検出管、14:第2検出管、20:リム通水路、21:後方通水路、22:左側通水路、24:右側通水路、40:制御装置、60:管理端末、100:水洗式便器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12