(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141189
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】連続加熱炉のスラブ装入制御装置、スラブ装入制御方法、及び鋼板の製造方法
(51)【国際特許分類】
C21D 9/00 20060101AFI20230928BHJP
C21D 1/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C21D9/00 101V
C21D1/00 112M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047388
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】西原 将弘
【テーマコード(参考)】
4K034
【Fターム(参考)】
4K034AA11
4K034BA08
4K034DA02
4K034DB05
4K034EA04
(57)【要約】
【課題】特定の連続加熱炉に装入予定の優先度の高い第2スラブが第2搬送装置に待機しているときの、共通搬送装置への搬送基準を明確にして、適切なタイミングで優先度の高い第2スラブを特定の連続加熱炉に装入可能とした連続加熱炉のスラブ装入制御装置、スラブ装入制御方法、及び鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】スラブ装入制御装置20は、特定(k)の連続加熱炉2
kに装入予定の第2スラブSb
n+1が第2搬送装置9に待機しているときに、連続加熱炉2
kにおける第2スラブ装入可能寸法Xkを以下の(1)式で算出するともに、算出された第2スラブ装入可能寸法Xkと装入予定の第2スラブSb
n+1の装入方向での寸法W
n+1kとを比較して、Xk>W
n+1kの条件を満たすときに、装入予定の第2スラブSb
n+1を次搬送材として設定する搬送スラブ設定部21を備えている。
Xk=Ck-ΣA
1~nk-ΣW
1~nk …(1)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送装置に待機している第1スラブを搬送設備によって共通搬送装置に搬送し、該共通搬送装置から複数(1~N)の連続加熱炉のうちの特定(k:1~Nのうちから選定された特定の数字)の連続加熱炉以外(1~k-1、k+1~N)の連続加熱炉に順次装入するとともに、第2搬送装置に待機している第2スラブを前記搬送設備によって前記共通搬送装置に前記第1スラブに対して優先的に搬送し、前記共通搬送装置から前記特定(k)の連続加熱炉に優先的に装入する、前記搬送設備及び前記共通搬送装置が前記第1スラブ及び前記第2スラブの共通の搬送経路を形成する連続加熱炉のスラブ装入制御装置であって、
前記共通の搬送経路に位置している第2スラブの本数をn(n=1,2,3,・・・,n)、前記共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されたときの炉内の第2スラブSb1~nの個々の装入方向の寸法をW1~nk、前記共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されるときに既に炉内で空いている空路距離である炉内空路距離をCk、前記共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されたときの炉内の隣接する第2スラブSb1~n間の個々の距離をA1~nkとするとき、
前記特定(k)の連続加熱炉に装入予定の第2スラブSbn+1が前記第2搬送装置に待機しているときに、
前記特定(k)の連続加熱炉における第2スラブ装入可能寸法Xkを以下の式(1)で算出するともに、算出された前記第2スラブ装入可能寸法Xkと前記第2搬送装置に待機している装入予定の第2スラブSbn+1の装入方向での寸法Wn+1kとを比較して、Xk>Wn+1kの条件を満たすときに、前記第2搬送装置に待機している装入予定の第2スラブSbn+1を次搬送材として設定する搬送スラブ設定部を備えていることを特徴とする連続加熱炉のスラブ装入制御装置。
Xk=Ck-ΣA1~nk-ΣW1~nk …(1)
【請求項2】
前記第1スラブは一般の鋼材であり、前記第2スラブは加熱条件が一般の鋼材に対して異なる鋼材であることを特徴とする請求項1に記載の連続加熱炉のスラブ装入制御装置。
【請求項3】
第1搬送装置に待機している第1スラブを搬送設備によって共通搬送装置に搬送し、該共通搬送装置から複数(1~N)の連続加熱炉のうちの特定(k:1~Nのうちから選定された特定の数字)の連続加熱炉以外(1~k-1、k+1~N)の連続加熱炉に順次装入するとともに、第2搬送装置に待機している第2スラブを前記搬送設備によって前記共通搬送装置に前記第1スラブに対して優先的に搬送し、前記共通搬送装置から前記特定(k)の連続加熱炉に優先的に装入する、前記搬送設備及び前記共通搬送装置が前記第1スラブ及び前記第2スラブの共通の搬送経路を形成する連続加熱炉のスラブ装入制御方法であって、
前記共通の搬送経路に位置している第2スラブの本数をn(n=1,2,3,・・・,n)、前記共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されたときの炉内の第2スラブSb1~nの個々の装入方向の寸法をW1~nk、前記共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されるときに既に炉内で空いている空路距離である炉内空路距離をCk、前記共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されたときの炉内の隣接する第2スラブSb1~n間の個々の距離をA1~nkとするとき、
前記特定(k)の連続加熱炉に装入予定の第2スラブSbn+1が前記第2搬送装置に待機しているときに、
前記特定(k)の連続加熱炉における第2スラブ装入可能寸法Xkを以下の式(1)で算出するともに、算出された前記第2スラブ装入可能寸法Xkと前記第2搬送装置に待機している装入予定の第2スラブSbn+1の装入方向での寸法Wn+1kとを比較して、Xk>Wn+1kの条件を満たすときに、前記第2搬送装置に待機している装入予定の第2スラブSbn+1を次搬送材として設定することを特徴とする連続加熱炉のスラブ装入制御方法。
Xk=Ck-ΣA1~nk-ΣW1~nk …(1)
【請求項4】
請求項3に記載のスラブ装入制御方法を用いたスラブ装入制御工程を含むことを特徴とする鋼板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続加熱炉のスラブ装入制御装置、スラブ装入制御方法、及び鋼板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所におけるスラブの加熱工程では、圧延機にて圧延加工すべく、様々な寸法、鋼種のスラブを連続加熱炉に装入し、連続加熱炉において装入されたスラブを予熱帯から加熱帯にて所定温度まで加熱し、スラブ内部の温度分布が均熱帯にて均一にされる。このようなスラブの加熱工程では、連続加熱炉に装入されるスラブの温度分布が均一になるように加熱するように考慮される。また、連続加熱炉に順序良く装入するために、スラブの装入方法や、抽出順、圧延能率を考慮したスラブの装入順序の決定方法について従来より種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、加熱炉への搬送経路が一つに限られるとともに複数の装入可能列を有し、一つの搬送経路上を複数のスラブが順次搬送されて複数の装入可能列のいずれかに装入される連続加熱炉に用いられるスラブ装入方法が提案されている。
特許文献1に示す連続加熱炉のスラブ装入方法によれば、加熱炉の炉内長、炉内の各列でのスラブ本数、炉内の各列でのスラブの装入方向での寸法、および炉内の各列で隣接するスラブ間距離の情報に基づいて、複数の装入可能列における各列の次スラブ装入可能余裕寸法を計算し、各列毎に算出さえた次スラブ装入可能余裕寸法と装入予定のスラブ寸法とをそれぞれ比較し、次スラブ装入可能余裕寸法よりも装入予定のスラブの装入方向での寸法が小さい列を装入列候補として予め設定する。これにより、スラブを連続加熱炉に自動装入する際に、スラブの装入待ちを防止または抑制することができる、という効果を奏することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す連続加熱炉のスラブ装入方法にあっては、次の問題点があった。
即ち、特許文献1に示す連続加熱炉のスラブ装入方法の場合、加熱炉への搬送経路が一つに限られるもので、加熱炉への搬送経路が複数あり、そのうちの一つの搬送経路に待機するスラブを他の搬送経路に待機するスラブに対し優先的に加熱炉に装入する方法については記載されていない。
【0006】
つまり、第1搬送装置に待機している第1スラブを搬送設備によって共通搬送装置に搬送し、この共通搬送装置から複数の連続加熱炉のうちの特定の連続加熱炉以外の連続加熱炉に順次装入するとともに、第2搬送装置に待機している第2スラブを前述の搬送設備によって前述の共通搬送装置に第1スラブに対して優先的に搬送し、共通搬送装置から特定の連続加熱炉に優先的に装入する場合において、特定の連続加熱炉に装入予定の優先度の高い第2スラブが第2搬送装置に待機しているときに、いかなる基準で搬送設備によって共通搬送装置に次搬送材として搬送されるのかが特許文献1には記載されていない。
このため、特許文献1に記載されたスラブ装入方法では、適切なタイミングで優先度の高い第2スラブを特定の連続加熱炉に装入できず、装入待ちによる空炉発生が増大してしまうという問題点があった。
【0007】
従って、本発明はこの従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、第1搬送装置に待機している第1スラブを搬送設備によって共通搬送装置に搬送し、この共通搬送装置から複数の連続加熱炉のうちの特定の連続加熱炉以外の連続加熱炉に順次装入するとともに、第2搬送装置に待機している第2スラブを前述の搬送設備によって前述の共通搬送装置に第1スラブに対して優先的に搬送し、共通搬送装置から特定の連続加熱炉に優先的に装入する場合において、特定の連続加熱炉に装入予定の優先度の高い第2スラブが第2搬送装置に待機しているときの、共通搬送装置への搬送基準を明確にして、適切なタイミングで優先度の高い第2スラブを特定の連続加熱炉に装入可能とした連続加熱炉のスラブ装入制御装置、スラブ装入制御方法、及び鋼板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る連続加熱炉のスラブ装入制御装置は、第1搬送装置に待機している第1スラブを搬送設備によって共通搬送装置に搬送し、該共通搬送装置から複数(1~N)の連続加熱炉のうちの特定(k)の連続加熱炉以外(1~k-1、k+1~N)の連続加熱炉に順次装入するとともに、第2搬送装置に待機している第2スラブを前記搬送設備によって前記共通搬送装置に前記第1スラブに対して優先的に搬送し、前記共通搬送装置から前記特定(k)の連続加熱炉に優先的に装入する、前記搬送設備及び前記共通搬送装置が前記第1スラブ及び前記第2スラブの共通の搬送経路を形成する連続加熱炉のスラブ装入制御装置であって、前記搬送経路に位置している第2スラブの本数をn(n=1,2,3,・・・,n)、前記搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されたときの炉内の第2スラブSb1~nの個々の装入方向の寸法をW1~nk、前記搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されるときに既に炉内で空いている空路距離である炉内空路距離をCk、前記搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されたときの炉内の隣接する第2スラブSb1~n間の個々の距離をA1~nkとするとき、前記特定(k)の連続加熱炉に装入予定の第2スラブSbn+1が前記第2搬送装置に待機しているときに、前記特定(k)の連続加熱炉における第2スラブ装入可能寸法Xkを以下の(1)式で算出するともに、算出された前記第2スラブ装入可能寸法Xkと前記第2搬送装置に待機している装入予定の第2スラブSbn+1の装入方向での寸法Wn+1kとを比較して、Xk>Wn+1kの条件を満たすときに、前記第2搬送装置に待機している装入予定の第2スラブSbn+1を次搬送材として設定する搬送スラブ設定部を備えていることを要旨とする。
Xk=Ck-ΣA1~nk-ΣW1~nk …(1)
【0009】
また、本発明の別の態様に係る連続加熱炉のスラブ装入制御方法は、第1搬送装置に待機している第1スラブを搬送設備によって共通搬送装置に搬送し、該共通搬送装置から複数(1~N)の連続加熱炉のうちの特定(k)の連続加熱炉以外(1~k-1、k+1~N)の連続加熱炉に順次装入するとともに、第2搬送装置に待機している第2スラブを前記搬送設備によって前記共通搬送装置に前記第1スラブに対して優先的に搬送し、前記共通搬送装置から前記特定(k)の連続加熱炉に優先的に装入する、前記搬送設備及び前記共通搬送装置が前記第1スラブ及び前記第2スラブの共通の搬送経路を形成する連続加熱炉のスラブ装入制御方法であって、前記搬送経路に位置している第2スラブの本数をn(n=1,2,3,・・・,n)、前記搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されたときの炉内の第2スラブSb1~nの個々の装入方向の寸法をW1~nk、前記搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されるときに既に炉内で空いている空路距離である炉内空路距離をCk、前記搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが前記特定(k)の連続加熱炉に装入されたときの炉内の隣接する第2スラブSb1~n間の個々の距離をA1~nkとするとき、前記特定(k)の連続加熱炉に装入予定の第2スラブSbn+1が前記第2搬送装置に待機しているときに、前記特定(k)の連続加熱炉における第2スラブ装入可能寸法Xkを前述の(1)式で算出するともに、算出された前記第2スラブ装入可能寸法Xkと前記第2搬送装置に待機している装入予定の第2スラブSbn+1の装入方向での寸法Wn+1kとを比較して、Xk>Wn+1kの条件を満たすときに、前記第2搬送装置に待機している装入予定の第2スラブSbn+1を次搬送材として設定することを要旨とする。
【0010】
また、本発明の別の態様に係る鋼板の製造方法は、前述のスラブ装入制御方法を用いたスラブ装入制御工程を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る連続加熱炉のスラブ装入制御装置、スラブ装入制御方法、及び鋼板の製造方法によれば、第1搬送装置に待機している第1スラブを搬送設備によって共通搬送装置に搬送し、この共通搬送装置から複数の連続加熱炉のうちの特定の連続加熱炉以外の連続加熱炉に順次装入するとともに、第2搬送装置に待機している第2スラブを前述の搬送設備によって前述の共通搬送装置に第1スラブに対して優先的に搬送し、共通搬送装置から特定の連続加熱炉に優先的に装入する場合において、特定の連続加熱炉に装入予定の優先度の高い第2スラブが第2搬送装置に待機しているときの、共通搬送装置への搬送基準を明確にして、適切なタイミングで優先度の高い第2スラブを特定の連続加熱炉に装入可能とした連続加熱炉のスラブ装入制御装置、スラブ装入制御方法、及び鋼板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る連続加熱炉のスラブ装入制御装置を備えた連続加熱炉設備の平面配置を示す模式図である。
【
図2】
図1に示された連続加熱炉設備におけるスラブ装入制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示すスラブ装入制御装置の搬送スラブ設定部における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係る連続加熱炉のスラブ装入制御装置を備えた連続加熱炉設備の平面配置が示されている。
図1に示す連続加熱炉設備1は、複数(1~N)の連続加熱炉2
1~2
Nを並列して備えている。連続加熱炉2
1~2
Nおける符号2に沿える1~Nの数字はそれぞれ1番目の連続加熱炉~N番目の連続加熱炉に対応している。
図1に示す例では、左側から右側に向けて1番目の連続加熱炉2
1~N=5番目の連続加熱炉2
N=5が備えられている。
【0015】
各連続加熱炉2
1~2
Nには、装入側に装入扉3が備えられ、抽出側に抽出扉4が備えられている。
図1において、装入扉3及び抽出扉4は、N=5番目の連続加熱炉2
5のみに図示されている。
各連続加熱炉2
1~2
Nの装入側には、第1搬送装置6、搬送設備7、共通搬送装置8、及び第2搬送装置9が配置されている。第1搬送装置6及び第2搬送装置9は、複数の連続加熱炉2
1~2
Nの配置方向にそって並列に設けられている。
【0016】
第1搬送装置6には、素材置場5からクレーン(図示せず)により複数の第1スラブSa(
図1には、装入予定のn+1番目の第1スラブSa
n+1=4~n+n番目のSa
n+nまで図示)が受け渡される。そして、第1搬送装置6に待機している複数の第1スラブSaは、スラブリフターなどの搬送設備7によって共通搬送装置8に搬送される。共通搬送装置8は、各連続加熱炉2
1~2
Nの装入側においてすべて連続加熱炉2
1~2
Nを横断するように延びている。共通搬送装置8に搬送された複数の第1スラブSaは、共通搬送装置8から複数(1~N)の連続加熱炉2
1~2
Nのうちの特定(k:1~Nのうちから選定された特定の数字)の連続加熱炉2
k以外(1~k-1、k+1~N)の連続加熱炉2
1~2
k-1、2
k+1~2
Nに、連続加熱炉2
N~2
k+1、2
k-1~2
1の順で順次装入されるようになっている。
図1に示す例では、共通搬送装置8に搬送された複数の第1スラブSaは、共通搬送装置8から1番目~N=5番目の連続加熱炉2
1~2
N=5のうちの特定(k=3)の連続加熱炉2
k=3以外(1、2、4、5)の連続加熱炉2
1、2
2、2
4、2
5に、連続加熱炉2
5、2
4、2
2、2
1の順で順次装入されるようになっている。
【0017】
また、第2搬送装置9には、素材置場5からクレーン(図示せず)により複数の第2スラブSb(
図1には、装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1が図示)が受け渡される。そして、第2搬送装置9に待機している複数の第2スラブSbは、搬送設備7によって共通搬送装置8に第1スラブSaに対して優先的に搬送される。共通搬送装置8に搬送された複数の第2スラブSbは、共通搬送装置8から複数(1~N)の連続加熱炉2
1~2
Nのうちの特定(k)の連続加熱炉2
kに優先的に装入されるようになっている。
図1に示す例では、共通搬送装置8に搬送された複数の第2スラブSbは、特定(k=3)の連続加熱炉2
3に、順次装入されるようになっている。
【0018】
搬送設備7及び共通搬送装置8が第1スラブSa及び第2スラブSbの共通の搬送経路を形成している。
本実施形態では、第1スラブSaは一般の鋼材であり、第2スラブSbは加熱条件が一般の鋼材に対して異なる鋼材である。
共通搬送装置8の連続加熱炉2
1~2
Nと反対側には、それぞれの連続加熱炉2
1~2
Nの装入側に対応した位置にスラブ装入設備12
1~12
Nが配置されている。
図1に示す例では、連続加熱炉2
1~2
N=5の装入側に対応した位置にスラブ装入設備12
1~12
N=5が配置されている。そして、各連続加熱炉2
1~2
Nの装入側の共通搬送装置8に搬送された複数の第1スラブSa及び第2スラブSbのそれぞれは、装入される連続加熱炉2
1~2
Nの装入扉3の前まで搬送され、対応するスラブ装入設備12
1~12
Nによって押し出され連続加熱炉2
1~2
N内に装入扉3側から装入される。
図1に示す例では、各連続加熱炉2
1~2
N=5の装入側の共通搬送装置8に搬送された複数の第1スラブSa及び第2スラブSbのそれぞれは、装入される連続加熱炉2
1~2
N=5の装入扉3の前まで搬送され、対応するスラブ装入設備12
1~12
N=5によって押し出され連続加熱炉2
1~2
N=5内に装入扉3側から装入される。
【0019】
また、各連続加熱炉21~2Nの抽出側には、すべて連続加熱炉21~2Nを横断するように延びる抽出側の搬送装置10が設置されている。各連続加熱炉21~2Nに装入された第1スラブSa及び第2スラブSbのそれぞれは、各連続加熱炉21~2Nでの所定の加熱処理後、図示しない抽出装置によって抽出扉4から搬送装置10に抽出され、抽出された第1スラブSa及び第2スラブSbの各々が搬送装置10によって搬送されるようになっている。
【0020】
図1には、第1スラブSaについては、第1スラブSa及び第2スラブSbの共通の搬送経路において、先頭から1番目の第1スラブSa
1からn=3番目の第1スラブSa
n=3までが例示され、第1搬送装置6において、装入予定のn+1=4番目の第1スラブSa
n+1=4、n+2=5番目の第1スラブSa
n+2=5、n+3=6番目の第1スラブSa
n+3=6、n+4=7番目の第1スラブSa
n+4=7、~n+n番目の第1スラブSa
n+nまでが例示されている。
【0021】
また、
図1には、第2スラブSbについては、第1スラブSa及び第2スラブSbの共通の搬送経路において、n本の第2スラブSbが搬送されており、先頭から1番目の第2スラブSb
1からn番目の第2スラブSb
nまでが例示され、第2搬送装置9において、装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1が例示されている。
なお、
図1において、先頭から2番目及び3番目の第1スラブSa
2及びSa
3は、2枚同時に4番目の連続加熱炉2
4に装入される短尺二列材である。また、1番目の連続加熱炉2
1の装入側には連続加熱炉2
1の炉長が短い代わりに第1スラブSaあるいは第2スラブSb(本実施形態の場合、第2スラブSbは3番目の連続加熱炉2
3に装入されるので該当しない)を仮置きできるサブスキッド11が設けられている。
【0022】
このように構成された連続加熱炉設備1において、第1搬送装置6に待機している第1スラブSaを搬送設備7によって共通搬送装置8に搬送し、共通搬送装置8から複数(1~N)の連続加熱炉21~2Nのうちの特定(k)の連続加熱炉2k以外(1~k-1、k+1~N)の連続加熱炉21~2k-1、2k+1~2Nに、連続加熱炉2N~2k+1、2k-1~21の順で順次装入するとともに、第2搬送装置9に待機している第2スラブSbを搬送設備7によって共通搬送装置8に第1スラブSaに対して優先的に搬送し、共通搬送装置8から特定(k)の連続加熱炉2kに優先的に装入する。
【0023】
図1に示す例では、第2スラブSbが装入される特定(k)の連続加熱炉2
kは、k=3の連続加熱炉2
3となっている。
第2搬送装置9に待機している第2スラブSbを搬送設備7によって共通搬送装置8に第1スラブSaに対して優先的に搬送し、共通搬送装置8から特定(k)の連続加熱炉2
kに優先的に装入するに際し、共通の搬送経路を形成する搬送設備7及び共通搬送装置8に、n本の第2スラブSbが存在し(
図1に示す例では、共通の搬送経路にn本の第2スラブSb
1~nが存在し、3本の第1スラブSa
1~3が存在する)、特定(k)の連続加熱炉2
kに装入予定の優先度の高い第2スラブSb
n+1(n+1番目の第2スラブSb
n+1)が第2搬送装置9に待機しているときの、装入予定の優先度の高い第2スラブSb
n+1の共通搬送装置8への搬送基準が明確になっていないと、適切なタイミングで優先度の高い第2スラブSbを特定(k)の連続加熱炉2
kに装入できず、装入待ちによる空炉発生が増大してしまうことがある。
【0024】
そこで、連続加熱炉設備1においては、特定(k、
図1に示す例ではk=3)の連続加熱炉2
k=3に装入予定の優先度の高い第2スラブSb
n+1(n+1番目の第2スラブSb
n+1)が第2搬送装置9に待機しているときの、装入予定の優先度の高い第2スラブSb
n+1の共通搬送装置8への搬送基準を明確にするために、スラブ装入制御装置20を備えている。
【0025】
本発明の一実施形態に係る連続加熱炉のスラブ装入制御装置20は、
図2に示すように、第1搬送装置6上に待機している装入予定の第1スラブSa
n+1及び第2搬送装置9上に待機している装入予定の優先度の高い第2スラブSb
n+1のいずれかを次の搬送材として設定する搬送スラブ設定部21と、第1スラブSa及び第2スラブSbの一連の搬送、装入、抽出を制御する主制御部22とを備えている。
スラブ装入制御装置20は、演算処理機能を有するコンピュータシステムであり、記憶部に記憶されたプログラムの命令により、搬送スラブ設定部21及び主制御部22の各機能をソフトウェア上で実現する。
【0026】
主制御部22は、連続加熱炉2
1~2
N(
図1に示す例ではN=5)が操炉されて第1スラブSa及び第2スラブSbの搬送機構(第1搬送装置6、第2搬送装置9、搬送設備7、共通搬送装置8、及び搬送装置10)が作動したときの、共通の搬送経路(搬送設備7及び共通搬送装置8)上の第1スラブSa、第2スラブSbの位置及び各連続加熱炉2
1~2
N内での第1スラブSa、第2スラブSbの位置を常時トラッキングしており、その第1スラブSa及び第2スラブSbのトラッキング情報を搬送スラブ設定部21に送出する。
【0027】
搬送スラブ設定部21は、上位計算機23、待機検出手段24、装入検出手段25、及び抽出検出手段26に接続されている。
上位計算機23には、第1スラブSaの個々の装入方向寸法及び第2スラブSbの個々の装入方向寸法、複数の連続加熱炉2
1~2
Nの炉内長、第2スラブSbが装入される特定(k、
図1に示す例ではk=3)の連続加熱炉2
k、第1スラブSaが装入される特定(k)の連続加熱炉2
k以外(1~k-1、k+1~N)の連続加熱炉2
1~2
k-1、2
k+1~2
N、第2スラブSbが特定(k)の連続加熱炉2
kに装入されるときの隣接する第2スラブSb間の間隔、及び第1スラブSaが連続加熱炉2
1~2
k-1、2
k+1~2
Nに装入されるときの隣接する第1スラブSa間の間隔の情報を搬送スラブ設定部21に送出する。
【0028】
待機検出手段24は、第1搬送装置6及び第2搬送装置9のそれぞれに設置された荷重計で構成されている。第1搬送装置6に設置された待機検出手段24は、第1搬送装置6上に第1スラブSaが待機しているときに第1スラブSaの荷重を検出することで、第1スラブSaが第1搬送装置6上に待機していることを検出し、その検出信号を搬送スラブ設定部21及び主制御部22に送出する。また、第2搬送装置9に設置された待機検出手段24は、第2搬送装置9上に第2スラブSbが待機しているときに第2スラブSbの荷重を検出することで、第2スラブSbが第2搬送装置9上に待機していることを検出し、その検出信号を搬送スラブ設定部21に送出する。
また、装入検出手段25は、各連続加熱炉2
1~2
N(
図1に示す例ではN=5)の装入側に対応した位置に配置されたスラブ装入設備12
1~12
Nの各々に設置されて各スラブ装入設備12
1~12
Nの作動を検出する。
【0029】
また、抽出検出手段26は、各連続加熱炉2
1~2
Nの抽出扉4に対応した位置に配置された抽出装置(図示せず)の各々に設置されて各抽出装置の作動を検出する。
そして、搬送スラブ設定部21は、上位計算機23、待機検出手段24、装入検出手段25、抽出検出手段26、及び主制御部22からの情報に基づき、以下に述べる
図3に示すステップS1~ステップS10の各処理を実行することで、第1搬送装置6上に待機している装入予定のn+1番目の第1スラブSa
n+1及び第2搬送装置9上に待機している装入予定の優先度の高いn+1番目の第2スラブSb
n+1のいずれかを次の搬送材として設定する。搬送スラブ設定部21のステップS1~ステップS10の各処理が本発明の一実施形態に係る連続加熱炉のスラブ装入制御方法に対応している。
【0030】
先ず、ステップS1において、搬送スラブ設定部21は、第2搬送装置9上に装入予定の優先度の高い第2スラブSbn+1が待機しているか否かを判定する。
つまり、搬送スラブ設定部21は、装入予定のn+1番目の第2スラブSbn+1が第2搬送装置9上に待機していることを待機検出手段24が検出しているか否かを判定する。
そして、判定結果がYESの場合、ステップS2に移行し、判定結果がNOの場合、ステップS9に移行する。
【0031】
ステップS2では、搬送スラブ設定部21は、装入予定のn+1番目の第2スラブSbn+1が装入される特定(k)の連続加熱炉2kの情報、第2搬送装置9に待機している装入予定の第2スラブSbn+1の装入方向での寸法Wn+1kの情報、及び共通の搬送経路(搬送設備7及び共通搬送装置8)に位置しているn本の第2スラブSb1~nが特定(k)の連続加熱炉2kに装入されるときに既に炉内で空いている空路距離である炉内空路距離Ckの情報を取得する。
【0032】
具体的に述べると、搬送スラブ設定部21は、装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1が装入される特定(k)の連続加熱炉2
kの情報を上位計算機23から取得する。
図1に示す例では、搬送スラブ設定部21は、装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1が装入される連続加熱炉2
3の情報を取得する。
また、搬送スラブ設定部21は、第2搬送装置9に待機している装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1の装入方向での寸法W
n+1kの情報を上位計算機23から取得する。
図1に示す例では、搬送スラブ設定部21は、第2搬送装置9に待機している装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1の装入方向での寸法W
n+13の情報を取得する。
【0033】
また、搬送スラブ設定部21は、主制御部22からの第1スラブSa及び第2スラブSbのトラッキング情報、及び上位計算機23からの第2スラブSbの個々の装入方向寸法、複数の連続加熱炉21~2Nの炉内長、第2スラブSbが装入される特定(k)の連続加熱炉2k、及び第2スラブSbが連続加熱炉2kに装入されるときの隣接する第2スラブSb間の間隔の情報に基づいて、共通の搬送経路(搬送設備7及び共通搬送装置8)に位置しているn本の第2スラブSb1~nが特定(k)の連続加熱炉2kに装入されるときに既に炉内で空いている空路距離である炉内空路距離Ckを演算し、その演算結果を取得する。
【0034】
図1に示す例では、搬送スラブ設定部21は、主制御部22及び上位計算機23からの情報に基づき、炉内空路距離C3を演算し、その演算結果を取得する。
次いで、ステップS3において、搬送スラブ設定部21は、装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1が短尺二列材の2枚目材か否かを上位計算機23からの情報に基づき判定する。
そして、判定結果がYESの場合、ステップS8に移行し、判定結果がNOの場合、ステップS4に移行する。
【0035】
図1に示す例では、装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1が短尺二列材の2枚目材ではないので、ステップS4に移行する。
次いで、ステップS4では、搬送スラブ設定部21は、装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1が1番目の連続加熱炉2
1に装入されるもの、かつ、サブスキッド11に第1スラブSaあるいは第2スラブSbがあるか否かを判定する。
そして、判定結果がYESの場合、ステップS9に移行し、判定結果がNOの場合、ステップS5に移行する。
【0036】
図1に示す例では、装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1がk=3番目の連続加熱炉2
k=3に装入されるものであるので、ステップS5に移行する。
次いで、ステップS5では、共通の搬送経路に位置しているn(n=1,2,3,・・・,n)本の第2スラブSb
1~nが特定(k)の連続加熱炉2
kに装入されたときの炉内の第2スラブSb
1~nの個々の装入方向の寸法W
1~nk、及び共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb
1~nが特定(k)の連続加熱炉2
kに装入されたときの炉内の隣接する第2スラブSb
1~n間の個々の距離A
1~nkの情報を取得する。
【0037】
具体的に述べると、搬送スラブ設定部21は、主制御部22からの第1スラブSa及び第2スラブSbのトラッキング情報、及び上位計算機23からの第2スラブSbの個々の装入方向寸法、第2スラブSbが装入される特定(k)の連続加熱炉2k、及び第2スラブSbが連続加熱炉2kに装入されるときの隣接する第2スラブSb間の間隔の情報に基づいて、共通の搬送経路(搬送設備7及び共通搬送装置8)に位置しているn本の第2スラブSb1~nが特定(k)の連続加熱炉2kに装入されるときの炉内の第2スラブSb1~nの個々の装入方向の寸法W1~nk及び共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb1~nが特定(k)の連続加熱炉2kに装入されたときの炉内の隣接する第2スラブSb1~n間の個々の距離A1~nkを演算し、その演算結果を取得する。
【0038】
図1に示す例では、搬送スラブ設定部21は、主制御部22及び上位計算機23からの情報に基づいて、共通の搬送経路(搬送設備7及び共通搬送装置8)に位置しているn本の第2スラブSb
1~nが連続加熱炉2
3に装入されるときの炉内の第2スラブSb
1~nの個々の装入方向の寸法W
1~n3及び共通の搬送経路に位置しているn本の第2スラブSb
1~nが連続加熱炉2
3に装入されたときの炉内の隣接する第2スラブSb
1~n間の個々の距離A
1~n3を演算し、その演算結果を取得する。
【0039】
次いで、ステップS6において、搬送スラブ設定部21は、ステップS3で取得した炉内空路距離Ckの情報、ステップS5で取得した第2スラブSb1~nの個々の装入方向の寸法W1~nkの情報、及びステップS5で取得した第2スラブSb1~n間の個々の距離A1~nkの情報に基づいて、特定(k)の連続加熱炉2kにおける第2スラブ装入可能寸法Xkを以下の(1)式で算出する。
Xk=Ck-ΣA1~nk-ΣW1~nk …(1)
【0040】
図1に示す例では、搬送スラブ設定部21は、連続加熱炉2
3における第2スラブ装入可能寸法X3を、次の式により算出する。
X3=C3-ΣA
1~n3-ΣW
1~n3
次いで、ステップS7において、搬送スラブ設定部21は、ステップS6で算出された第2スラブ装入可能寸法XkとステップS2で取得した第2搬送装置9に待機している装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1の装入方向での寸法W
n+1kとを比較し、Xk>W
n+1kが成立するか否かを判定する。
【0041】
図1に示す例では、搬送スラブ設定部21は、ステップS6で算出された第2スラブ装入可能寸法X3と、ステップS2で取得した第2搬送装置9に待機している装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1の装入方向での寸法W
n+13とを比較し、X3>W
n+13が成立するか否かを判定する。
そして、判定結果がYESの場合、ステップS8に移行し、判定結果がNOの場合、ステップS9に移行する。
【0042】
図1に示す例では、X3はW
n+13よりも小さく、ステップS7での判定結果はNOとなりステップS9に移行する。
ステップS8では、搬送スラブ設定部21は、第2搬送装置9上に待機している装入予定の優先度の高いn+1番目の第2スラブSb
n+1を次搬送材に設定し、搬送スラブ設定処理が終了する。
一方、ステップS9では、搬送スラブ設定部21は、第1搬送装置6上に装入予定のn+1番目の第1スラブSa
n+1が待機しているか否かを判定する。
そして、判定結果がYESの場合、ステップS10に移行し、判定結果がNOの場合、ステップS9での処理を繰り返す。
【0043】
図1に示す例では、搬送スラブ設定部21は、第1搬送装置6上に装入予定のn+1=4番目の第1スラブSa
n+1=4が待機しているか否かを判定し、第1搬送装置6上には装入予定のn+1=4番目の第1スラブSa
n+1=4が待機しているので、ステップS10に移行する。
ステップS10では、搬送スラブ設定部21は、第1搬送装置6上に待機している装入予定のn+1番目の第1スラブSa
n+1を次搬送材に設定し、搬送スラブ設定処理が終了する。
【0044】
図1に示す例の場合、搬送スラブ設定部21は、第1搬送装置6上に待機している装入予定のn+1番目=4番目の第1スラブSa
n+1=4を次搬送材に設定する。
そして、搬送スラブ設定部21による搬送スラブ設定処理が終了したら、主制御部22は、搬送設備2の駆動を制御して、次搬送材に設定された、第2搬送装置9上に待機している装入予定のn+1番目の第2スラブSb
n+1あるいは第1搬送装置6上に待機している装入予定のn+1番目の第1スラブSa
n+1を共通搬送装置8上に搬送し、続けて、第1スラブSa及び第2スラブSbの一連の搬送、装入、抽出を制御する。
そして、鋼板の製造に際しては、本発明の一実施形態に係る連続加熱炉のスラブ装入制御方法を用いたスラブ装入制御工程を経て第1スラブSa、第2スラブSbが連続加熱炉2
1~2
N内で加熱されて抽出された後、粗圧延工程等の種々の工程を経て鋼板が製造される。
【0045】
このように、本実施形態に係るスラブ装入制御装置20によれば、特定(k)の連続加熱炉2kに装入予定の第2スラブSbn+1が第2搬送装置9に待機しているときに、特定(k)の連続加熱炉2kにおける第2スラブ装入可能寸法Xkを前述の(1)式で算出するともに、算出された第2スラブ装入可能寸法Xkと第2搬送装置9に待機している装入予定の第2スラブSbn+1の装入方向での寸法Wn+1kとを比較して、Xk>Wn+1kの条件を満たすときに、第2搬送装置9に待機している装入予定の第2スラブSbn+1を次搬送材として設定する搬送スラブ設定部21を備えている。
【0046】
また、本実施形態に係るスラブ装入制御方法によれば、ステップS1~ステップS10において、特定(k)の連続加熱炉2kに装入予定の第2スラブSbn+1が第2搬送装置9に待機しているときに、特定(k)の連続加熱炉2kにおける第2スラブ装入可能寸法Xkを前述の(1)式で算出するともに、算出された第2スラブ装入可能寸法Xkと第2搬送装置9に待機している装入予定の第2スラブSbn+1の装入方向での寸法Wn+1kとを比較して、Xk>Wn+1kの条件を満たすときに、第2搬送装置9に待機している装入予定の第2スラブSbn+1を次搬送材として設定する。
【0047】
これにより、第1搬送装置に待機している第1スラブを搬送設備によって共通搬送装置に搬送し、この共通搬送装置から複数の連続加熱炉のうちの特定の連続加熱炉以外の連続加熱炉に順次装入するとともに、第2搬送装置に待機している第2スラブを前述の搬送設備によって前述の共通搬送装置に第1スラブに対して優先的に搬送し、共通搬送装置から特定の連続加熱炉に優先的に装入する場合において、特定の連続加熱炉に装入予定の優先度の高い第2スラブが第2搬送装置に待機しているときの、共通搬送装置への搬送基準を明確にして、適切なタイミングで優先度の高い第2スラブを特定の連続加熱炉に装入可能とすることができる。
これにより、装入待ちによる空炉発生が増大することを回避することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、第1スラブSaは一般の鋼材、第2スラブSbは加熱条件が一般の鋼材に対して異なる鋼材として説明してあるが、第1スラブSaは一般の鋼材以外であってもよく、また、第2スラブSbは加熱条件が一般の鋼材に対して異なる鋼材以外の鋼材であってもよい。また、第1スラブSaと第2スラブSbは同種であっても異種であってもよい。
【0049】
また、連続加熱炉の数は、5つ(N=5)としてあるが、この数に限定されない。
また、第2スラブSbが装入される特定(k)の連続加熱炉2kは、k=3の場合を例示して説明してあるが、1~Nの連続加熱炉のうちから選定される特定(k)の連続加熱炉2kであればよく、k=3の場合に限定されない。
また、本発明の一実施形態に係るスラブ装入制御方法を用いたスラブ装入制御工程を含む鋼板の製造方法を採用することで、連続加熱炉21~2Nの加熱能率を高くすることができ、生産性を向上できた。
【符号の説明】
【0050】
1 連続加熱炉設備
21~2N 連続加熱炉
2k 特定の連続加熱炉
3 装入扉
4 抽出扉
5 素材置場
6 第1搬送装置
7 搬送設備(共通の搬送経路)
8 共通搬送装置(共通の搬送経路)
9 第2搬送装置
10 搬送装置
11 サブスキッド
121~12N スラブ装入設備
20 連続加熱炉のスラブ装入制御装置
21 搬送スラブ設定部
22 主制御部
23 上位計算機
24 待機検出手段
25 装入検出手段
26 抽出検出手段
Sa 第1スラブ
Sb 第2スラブ