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特開2023-141190再生ポリアミド樹脂用添加剤及び再生ポリアミド樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141190
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】再生ポリアミド樹脂用添加剤及び再生ポリアミド樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/06 20060101AFI20230928BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C08L33/06
C08L77/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047389
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園山 亜理紗
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲朗
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BG062
4J002CL011
4J002FD010
4J002FD070
(57)【要約】
【課題】再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性を改善し、かつ、再生ポリアミド樹脂を含む成形体の引張特性の改善が可能な、再生ポリアミド樹脂用添加剤、及び、該添加剤を含む再生ポリアミド樹脂組成物の提供。
【解決手段】第一重合体を含む、再生ポリアミド樹脂用添加剤。前記第一重合体は、構成単量体として(i)カルボキシル基含有ビニル単量体、並びに、(ii)(メタ)アクリル酸エステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体、を含む共重合体であり、前記第一重合体は数平均分子量が2,000~25,000である。前記添加剤は重量平均分子量が30,000以上であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一重合体を含む、再生ポリアミド樹脂用添加剤であって、
前記第一重合体は、構成単量体として
(i)カルボキシル基含有ビニル単量体、並びに、
(ii)(メタ)アクリル酸エステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体、
を含む共重合体であり、
前記第一重合体は数平均分子量が2,000~25,000である、再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項2】
前記カルボキシル基含有ビニル単量体が、前記第一重合体100重量%のうち、15重量%以上50重量%以下を占める、請求項1に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項3】
前記第一重合体は、構成単量体として、(i)カルボキシル基含有ビニル単量体、及び、(ii)(メタ)アクリル酸エステル単量体、を含む共重合体である、請求項1又は2に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項4】
前記再生ポリアミド樹脂用添加剤は重量平均分子量が30,000以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項5】
前記第一重合体が粒子を構成し、前記第二共重合体の少なくとも一部が該粒子の外側に位置している、請求項4に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項6】
前記第二重合体は、構成単量体として、メタクリル酸エステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体を含む重合体である、請求項4又は5に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項7】
前記メタクリル酸エステル単量体と前記芳香族ビニル単量体の合計が、前記第二重合体100重量%のうち、50重量%以上100重量%以下を占める、請求項6に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項8】
前記第一重合体及び/又は前記第二重合体が、非ゴム状重合体である、請求項4~7のいずれか1項に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項9】
前記第一重合体及び前記第二重合体がそれぞれ、非ゴム状重合体であり、前記第一重合体が粒子を構成し、前記第二重合体の少なくとも一部が該粒子の外側に位置している、請求項4~7のいずれか1項に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤。
【請求項10】
再生ポリアミド樹脂、及び、請求項1~9のいずれか1項に記載の再生ポリアミド樹脂用添加剤、を含有し、
前記再生ポリアミド樹脂と前記添加剤の合計100重量%に対して前記添加剤が占める割合が0.1~10重量%である、再生ポリアミド樹脂組成物。
【請求項11】
強化材をさらに含有し、前記再生ポリアミド樹脂と前記強化材の合計100重量%に対して前記強化材が占める割合が10~60重量%である、請求項10に記載の再生ポリアミド樹脂組成物。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の再生ポリアミド樹脂組成物からなるペレット。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の再生ポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生ポリアミド樹脂用添加剤、及び、該添加剤を含む再生ポリアミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-12といったポリアミド樹脂は、耐熱性、耐磨耗性等の物理的性質に優れており、また、ガソリンやオイルなどの炭化水素系溶剤に対して優れた耐性があるため、機械部品、自動車部品、電気・電子部品等、種々の成形用途へ応用されている。
【0003】
しかし、ポリアミド樹脂は、融点以上の温度領域において溶融粘度や溶融張力が著しく低下する性質を有する。そのため、ブロー成形や押出成形、発泡成形などの、融点以上の温度領域で実施する溶融加工法に適用する際に成形が困難になる問題が生じ得る。具体的には、ブロー成形や押出成形時にはドローダウンによって成形品の肉厚が不均一になるという問題が生じ、また、発泡成形時にはセルが不均一になるという問題が生じ得る。
【0004】
特許文献1では、ポリアミド樹脂の溶融粘度を増大させるために、ガラス転移温度が60℃以上で体積平均粒子径が50~500μmの範囲であり反応性を有する重合体粒子(B-1)100重量部を、体積平均粒子径が0.01~0.5μmの重合体粒子(B-2)0.5~30重量部で被覆した増粘剤(B)を、ポリアミド樹脂に添加することが記載されている。実施例では、重合体粒子(B-1)の製造にあたって、エポキシ基を有する単量体(グリシジルメタクレリート)が使用され、そのため、重合体粒子(B-1)はエポキシ基を有しており、また、その重量平均分子量としては52,000~67,000が開示されている。
【0005】
特許文献2では、溶融粘度に関しては記載されていないが、ポリアミド樹脂用の耐衝撃性改良剤として、コアシェルポリマー80~99重量部と、アルキル(メタ)アクリレートと不飽和カルボン酸のコポリマー1~20重量部を併用することが記載されている。前記コポリマーの分子量に関しては開示がない。
【0006】
一方、資源の再利用や地球環境保護への関心の高まりから様々な分野でのリサイクルが求められている。ポリアミド樹脂についても一度使用された廃棄物を回収し、再生ポリアミド樹脂として再利用する取り組みに注目が集まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-31607号公報
【特許文献2】特開昭63-61013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した通り、ポリアミド樹脂では、溶融加工時の成形性を改善することが求められている。また、同時に、得られる成形体の引張特性を改善することも求められている。
ところが、特許文献1又は2に記載の技術は、溶融加工時の成形性を改善し、更に、成形体の引張特性を向上させるには不十分なものであった。
【0009】
本発明は、上記現状に鑑み、再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性を改善し、かつ、再生ポリアミド樹脂を含む成形体の引張特性の改善が可能な、再生ポリアミド樹脂用添加剤、及び、該添加剤を含む再生ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、特定の構成単量体を含み平均分子量が特定範囲内にある共重合体を再生ポリアミド樹脂に配合することで、再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性が改善され、更に、得られる成形体の引張特性が改善されることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、第一重合体を含む、再生ポリアミド樹脂用添加剤であって、前記第一重合体は、構成単量体として
(i)カルボキシル基含有ビニル単量体、並びに、
(ii)(メタ)アクリル酸エステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体、
を含む共重合体であり、前記第一重合体は数平均分子量が2,000~25,000である、再生ポリアミド樹脂用添加剤に関する。
好ましくは、前記カルボキシル基含有ビニル単量体が、前記第一重合体100重量%のうち、15重量%以上50重量%以下を占める。
好ましくは、前記第一重合体は、構成単量体として、(i)カルボキシル基含有ビニル単量体、及び、(ii)(メタ)アクリル酸エステル単量体、を含む共重合体である。
好ましくは、前記再生ポリアミド樹脂用添加剤は重量平均分子量が30,000以上である。
好ましくは、前記第一重合体が粒子を構成し、前記第二共重合体の少なくとも一部が該粒子の外側に位置している。
好ましくは、前記第二重合体は、構成単量体として、メタクリル酸エステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体を含む重合体である。
好ましくは、前記メタクリル酸エステル単量体と前記芳香族ビニル単量体の合計が、前記第二重合体100重量%のうち、50重量%以上100重量%以下を占める。
好ましくは、前記第一重合体及び/又は前記第二重合体が、非ゴム状重合体である。
好ましくは、前記第一重合体及び前記第二重合体がそれぞれ、非ゴム状重合体であり、前記第一重合体が粒子を構成し、前記第二重合体の少なくとも一部が該粒子の外側に位置している。
また本発明は、前記添加剤、及び、耐衝撃強度改良剤、を含む、再生ポリアミド樹脂用改質剤にも関する。好ましくは、前記耐衝撃強度改良剤がコアシェル型耐衝撃強度改良剤である。好ましくは、前記耐衝撃強度改良剤がポリオレフィン系エラストマーである。
さらに本発明は、再生ポリアミド樹脂、及び、前記再生ポリアミド樹脂用添加剤、を含有し、前記再生ポリアミド樹脂と前記添加剤の合計100重量%に対して前記添加剤が占める割合が0.1~10重量%である、再生ポリアミド樹脂組成物にも関し、また、再生ポリアミド樹脂、及び、前記再生ポリアミド樹脂用改質剤、を含有し、前記再生ポリアミド樹脂と前記改質剤の合計100重量%に対して前記改質剤が占める割合が1~40重量%である、再生ポリアミド樹脂組成物にも関する。
好ましくは、前記再生ポリアミド樹脂組成物は強化材をさらに含有し、前記再生ポリアミド樹脂と前記強化材の合計100重量%に対して前記強化材が占める割合が10~60重量%である。
さらにまた、本発明は、前記再生ポリアミド樹脂組成物からなるペレット又は成形体にも関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性を改善し、かつ、再生ポリアミド樹脂を含む成形体の引張特性の改善が可能な、再生ポリアミド樹脂用添加剤、及び、該添加剤を含む再生ポリアミド樹脂組成物を提供することができる。本発明の好適な実施形態に係る再生ポリアミド樹脂用添加剤によれば、再生ポリアミド樹脂の溶融時の流動性を低下させることができ、更には、再生ポリアミド樹脂の溶融粘度又は溶融張力を増大させることができる。また、前記再生ポリアミド樹脂用添加剤は、耐衝撃強度改良剤と共に再生ポリアミド樹脂に配合することができ、それによって、上述の効果に加えて、耐衝撃強度改良剤による耐衝撃性改良効果を更に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
(再生ポリアミド樹脂用添加剤)
本実施形態の再生ポリアミド樹脂用添加剤は、少なくとも第一重合体を含むものである。好適な態様に係る再生ポリアミド樹脂用添加剤は、該添加剤製造時の造粒性に優れていることから、第一重合体に加えて、第二重合体を含むことが好ましい。前記再生ポリアミド樹脂用添加剤は、再生ポリアミド樹脂に配合して使用されるものであり、再生ポリアミド樹脂の分子鎖伸長剤であってもよいし、再生ポリアミド樹脂の溶融加工時成形性改善剤であってもよいし、また、再生ポリアミド樹脂含有成形体の引張特性改善剤であってもよい。
【0015】
(第一重合体)
前記第一重合体は、構成単量体として、カルボキシル基含有ビニル単量体と、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体、を含む共重合体である。
【0016】
前記第一重合体は前記カルボキシル基含有ビニル単量体に由来するカルボキシル基を有する。再生ポリアミド樹脂と第一重合体を溶融混錬などにより混合した時に、第一重合体のカルボキシル基が再生ポリアミド樹脂の末端アミノ基と反応し得る。この反応によって再生ポリアミド樹脂の分子鎖が伸長し、加えて、再生ポリアミド樹脂に分岐構造が導入され得る。以上の機構によって、再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性が改善され、更に、得られる成形体の引張特性が改善されるものと推測される。一方、カルボキシル基ではなくエポキシ基を有する重合体を再生ポリアミド樹脂に配合した場合には、再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性を改善する効果は十分ではなかった。
【0017】
前記カルボキシル基含有ビニル単量体としては特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。これらのうち1種を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。このうち、アクリル酸及び/又はメタクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
【0018】
前記カルボキシル基含有ビニル単量体の含有量は、溶融加工時の成形性改善効果、成形体の引張特性の改善効果、生産性などの観点から、適宜設定することができる。前記含有量は、前記第一重合体100重量%のうち、例えば10重量%以上であってもよいが、15重量%以上であることが好ましく、20重量%以上がより好ましい。この範囲では、溶融加工時の成形性改善効果が特に優れている。しかし、カルボキシル基含有ビニル単量体の含有量が多すぎると、第一重合体の含水率が高くなり、生産時の後処理が煩雑になることから、前記含有量は、50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下がより好ましい。
【0019】
前記第一重合体は、生産性の観点から、構成単量体として、カルボキシル基含有ビニル単量体の他に、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び芳香族ビニル単量体のうちいずれか又は双方を含む。再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性を改善する効果、及び、成形体の引張特性を改善する効果に優れていることから、前記第一重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含むことが好ましい。
【0020】
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が好ましく、アルキル基の炭素数が1~4である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体がより好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0021】
前記芳香族ビニル単量体としては特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられる。なかでも、スチレンが好ましい。
【0022】
前記第一重合体の分子量は大きいほど、溶融加工時の成形性改善効果、及び、成形体の引張特性の改善効果の観点から好ましく、具体的には、第一重合体の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算分子量にて、2,000~25,000の範囲内にあることが好ましい。数平均分子量が2,000未満であると、重合体の熱安定性が不十分となる場合がある。数平均分子量が25,000を超えると、重合体の製造時にラテックスの安定性が低下し、効率よく生産することが困難になる場合がある。尚、数平均分子量が25,000以下の重合体は、重合時に連鎖移動剤を用いて好適に製造することが可能である。
【0023】
前記第一重合体は、非ゴム状重合体であることが好ましい。非ゴム状重合体とは、重合体の分子鎖間に架橋構造を有しない重合体のことをいう。第一重合体が非ゴム状重合体であることによって、第一重合体のカルボキシル基と再生ポリアミド樹脂の末端アミノ基の反応がより効率的に進行し、溶融加工時の成形性改善効果、及び、成形体の引張特性の改善効果が達成されやすくなる。
【0024】
(第二重合体)
前記第二重合体は、製造時の造粒性を改善することが可能な任意の成分である。第一重合体は分子量が小さいために、単独でパウダー化すると微粉となり、取り扱いが困難になる場合がある。そのため、取り扱い性が良好になる適度な粒度のパウダーとして第一重合体を取得するために、第一重合体を、分子量が大きい第二重合体と共に製造して、第一重合体を第二重合体と共に単離することが望ましい。更には、第二重合体が存在することによって、再生ポリアミド樹脂中での第一重合体の分散性が向上し、再生ポリアミド樹脂と第一重合体間の反応が効率的に進行して、再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性をより改善することが可能になる。
【0025】
このような造粒性向上の観点から、前記第二重合体の重量平均分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算分子量にて、100,000以上であることが好ましい。より好ましくは、150,000以上であり、さらに好ましくは180,000以上である。上限は特に限定されないが、1,000,000以下であることが好ましく、700,000以下がより好ましく、500,000以下がさらに好ましい。
【0026】
前記第二重合体を構成する単量体は特に限定されないが、メタクリル酸エステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体を含むことが好ましい。溶融加工時の成形性改善効果、及び、成形体の引張特性の改善効果の観点から、芳香族ビニル単量体を含むことがより好ましい。また、重合転化率や造粒性の観点からは、メタクリル酸エステル単量体を含むことがより好ましい。
【0027】
前記メタクリル酸エステル単量体としては特に限定されないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルなどのメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸2-ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。なかでも、メタクリル酸アルキルエステル単量体が好ましく、アルキル基の炭素数が1~4であるメタクリル酸アルキルエステル単量体がより好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0028】
前記芳香族ビニル単量体としては特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられる。なかでも、スチレンが好ましい。
【0029】
前記メタクリル酸エステル単量体と芳香族ビニル単量体の合計含有量は、前記第二重合体100重量%のうち、50重量%以上100重量%以下であることが好ましく、55重量%以上95重量%以下がより好ましく、60重量%以上90重量%以下がさらに好ましい。
【0030】
前記第二重合体は、造粒性向上の観点から、メタクリル酸エステル単量体及び/又は芳香族ビニル単量体に加えて、アクリル酸エステル単量体を含むことが好ましい。
【0031】
前記アクリル酸エステル単量体としては特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2-ヒドロキシエチルなどのアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。なかでも、アクリル酸アルキルエステル単量体が好ましく、アルキル基の炭素数が1~4であるアクリル酸アルキルエステル単量体がより好ましく、アクリル酸ブチルが特に好ましい。
【0032】
前記アクリル酸エステル単量体の含有量は、造粒性向上の観点から、前記第二重合体100重量%のうち、0重量%以上50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上45重量%以下がより好ましく、10重量%以上40重量%以下がさらに好ましい。
【0033】
前記第二重合体は、非ゴム状重合体であることが好ましい。第二重合体が非ゴム状重合体であることによって、第一重合体のカルボキシル基と再生ポリアミド樹脂の末端アミノ基の反応がより効率的に進行し、溶融加工時の成形性改善効果、及び、成形体の引張特性の改善効果を達成しやすくなる。
【0034】
好適な態様に係る再生ポリアミド樹脂用添加剤は、前記第一重合体と前記第二重合体を含むものであればよく、両重合体の関係は特に限定されないが、造粒性向上の観点から、第一重合体が粒子を構成し、第二重合体の少なくとも一部が該粒子の外側に位置していることが好ましい。第二重合体の少なくとも一部は、前記粒子の外面を被覆していてもよい。また、第二重合体の一部が該粒子の外側に位置し、残部は、前記粒子の内部に含侵していてもよい。
【0035】
更に、第一重合体と第二重合体は、化学結合によって結合していないことが好ましい。この場合、前記添加剤を再生ポリアミド樹脂と混錬することで、マトリックスである再生ポリアミド樹脂中で、第一重合体と第二重合体は互いから分離して存在しているものと考えられる。
【0036】
前記再生ポリアミド樹脂用添加剤において、前記第一重合体と前記第二重合体の合計のうち、前記第一重合体の占める割合は、適宜設定することができるが、例えば、10~100重量%であってもよく、20~90重量%が好ましく、30~80重量%がより好ましい。
【0037】
前記再生ポリアミド樹脂用添加剤全体の重量平均分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算分子量にて、30,000以上であることが好ましい。より好ましくは、40,000以上であり、さらに好ましくは50,000以上である。上限は特に限定されないが、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下がより好ましく、300,000以下がさらに好ましい。
【0038】
本実施形態に係る再生ポリアミド樹脂用添加剤は、再生ポリアミド樹脂に配合して使用され、再生ポリアミド樹脂の溶融加工時の成形性を改善する効果、及び、再生ポリアミド樹脂含有成形体の引張特性を改善する効果を奏し得る。再生ポリアミド樹脂に対する前記添加剤の配合量は適宜設定することができるが、再生ポリアミド樹脂と前記添加剤の合計に対する前記添加剤の割合が0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。前記添加剤の割合が前記範囲内にあると、再生ポリアミド樹脂特有の物性を保持しつつ、溶融加工時の成形性改善効果、及び、成形体の引張特性の改善効果を好適に奏することができる。前記割合は、より好ましくは0.2~8重量%であり、さらに好ましくは0.3~5重量%である。また、成形体の引張特性を改善する効果が大きいことから、前記割合は1.5重量%以上であることが特に好ましい。
【0039】
(再生ポリアミド樹脂用添加剤の製造方法)
前記再生ポリアミド樹脂用添加剤の製造方法としては、常法の重合方法によることができ、特に限定されない。例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを採用することができるが、乳化重合が好ましい。第一重合体の製造時には、分子量を制御するために連鎖移動剤の存在下で重合を実施することが好ましい。また、第一重合体と第二重合体を連続的に製造する場合には、まず、乳化重合により第一重合体のラテックスを製造し、該ラテックスに、第二重合体用のモノマー成分や重合開始剤等を添加して該モノマー成分を重合すればよい。
【0040】
第一重合体の製造時に使用可能な連鎖移動剤としては特に限定されないが、n-ブチルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ヘキサデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-テトラデシルメルカプタン、などの1級メルカプタン系連鎖移動剤、sec-ブチルメルカプタン、sec-ドデシルメルカプタンなどの2級メルカプタン系連鎖移動剤、t-ドデシルメルカプタンなどの3級メルカプタン系連鎖移動剤、および、メルカプタン化合物、2-エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)などのチオグリコール酸エステル、チオフェノール、テトラエチルチウラムジスルフィド、ペンタンフェニルエタン、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、四塩化炭素、臭化エチレン、α-メチルスチレンダイマーなどのスチレンオリゴマー、テルピノレンなどが挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いても良い。連鎖移動剤の使用量は、第一重合体の所望の数平均分子量に応じて適宜設定すればよい。
【0041】
乳化重合において用いることができる乳化剤(分散剤)としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを使用可能である。また、ポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体などの分散剤を使用してもよい。
上記乳化剤のうちアニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、次の化合物が挙げられる:ラウリン酸カリウム、ヤシ脂肪酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸カリウムジエタノールアミン塩、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、混合脂肪酸ソーダ石けん、半硬化牛脂脂肪酸ソーダ石けん、ヒマシ油カリ石けんなどの脂肪酸石鹸;ドデシル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸トリエタノールアミン、ドデシル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、2-エチルヘキシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム;ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸ナトリウム;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム;アルキルリン酸カリウム塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩;ポリカルボン酸型高分子アニオン;アシル(牛脂)メチルタウリン酸ナトリウム;アシル(ヤシ)メチルタウリン酸ナトリウム;ココイルイセチオン酸ナトリウム;α-スルホ脂肪酸エステルナトリウム塩;アミドエーテルスルホン酸ナトリウム;オレイルザルコシン;ラウロイルザルコシンナトリウム;ロジン酸石けんなど。
【0042】
また、上記乳化剤のうち非イオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、次の化合物が挙げられる:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルあるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類、ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリエチレングルコールモノステアレート、ポリエチレングルコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマーなど。
【0043】
また、上記乳化剤のうちカチオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、次の化合物が挙げられる:ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、オクタデシルアミンアセテート、テトラデシルアミンアセテートなどのアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩など。
【0044】
また、上記乳化剤のうち両性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、次の化合物が挙げられる:ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ジメチルラウリルベタインなどのアルキルベタイン;ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム;アミドベタイン;イミダゾリン;ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど。
【0045】
これらの乳化剤(分散剤)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
乳化重合法を採用する場合には、公知の重合開始剤、すなわち2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを熱分解型開始剤として用いることができる。
【0047】
また、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ヘキシルパーオキサイドなどの有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物といった過酸化物と、必要に応じてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコースなどの還元剤、および必要に応じて硫酸鉄(II)などの遷移金属塩、さらに必要に応じてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート剤、さらに必要に応じてピロリン酸ナトリウムなどのリン含有化合物などを併用したレドックス型開始剤を使用することもできる。
【0048】
レドックス型開始剤を用いた場合には、前記過酸化物が実質的に熱分解しない低い温度でも重合を行うことができ、重合温度を広い範囲で設定できるようになり好ましい。中でもクメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物をレドックス型開始剤として用いることが好ましい。前記開始剤の使用量、レドックス型開始剤を用いる場合には前記還元剤、遷移金属塩、キレート剤などの使用量は公知の範囲で用いることができる。またラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーを重合するに際しては公知の連鎖移動剤を公知の範囲で用いることができる。追加的に界面活性剤を用いることができるが、これも公知の範囲である。
【0049】
乳化重合時に使用される溶媒としては、乳化重合を安定に進行させるものであればよく、例えば、水等を好適に使用することができる。
【0050】
乳化重合時の温度は、乳化剤が溶媒に均一に溶解すれば、特に限定されないが、例えば、40~75℃であり、好ましくは45~73℃、より好ましくは49~71℃である。
【0051】
乳化重合によって前記再生ポリアミド樹脂用添加剤を製造した場合には、例えば、該添加剤のラテックスと、塩酸等の酸や、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウム、酢酸カルシウムなどの二価以上の金属塩を混合することにより前記添加剤を凝固させた後に、公知の方法に従って、該添加剤を熱処理、脱水、洗浄、乾燥することにより、該添加剤を水性媒体から分離することができる。得られた添加剤は、水及び/又は有機溶剤によって洗浄することが好ましい。
【0052】
また、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、アセトン等の水溶性有機溶剤を前記添加剤のラテックスに添加して、該添加剤を析出させ、遠心分離や、濾過等により溶剤から添加剤を分離した後、乾燥させ、単離することもできる。別の方法として、前記添加剤のラテックスに、メチルエチルケトン等の若干の水溶性を有する有機溶剤を加えて、ラテックス中の添加剤を有機溶剤層に抽出し、有機溶剤層を分離した後、水などと混合して添加剤を析出させる方法等も挙げられる。
【0053】
また、前記添加剤のラテックスを噴霧乾燥法により直接粉体化することもできる。得られた粉体は、水及び/又は有機溶剤によって洗浄することが好ましい。または、得られた粉体に、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化アルミニウムなどを、好ましくは水溶液などの溶液として添加し、必要に応じて再乾燥することにより、上記洗浄と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(再生ポリアミド樹脂用改質剤)
本実施形態の再生ポリアミド樹脂用改質剤は、上述した再生ポリアミド樹脂用添加剤と、耐衝撃強度改良剤とを含む。前記耐衝撃強度改良剤としては特に限定されず、従来公知のものであってよい。具体例としては、コアシェル型耐衝撃強度改良剤、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステルエラストマー、及びポリアミドエラストマーからなる群より選択される1種以上が望ましい。中でも、コアシェル型耐衝撃強度改良剤またはポリオレフィン系エラストマーが好ましい。
【0055】
前記コアシェル型耐衝撃強度改良剤は、グラフト共重合体である重合体粒子から構成される。該重合体粒子は、シェル層と一層以上のコア層とからなる。シェル層は、重合体粒子の表面側に位置する重合体層のことを指し、グラフト層ともいう。コア層は、シェル層よりも重合体粒子の内側に位置する重合体層のことを指し、ゴム状重合体から構成される。コア層は、一層のみであってもよいし、互いにモノマー組成が異なる二層以上から構成されてもよい。シェル層は、コア層の表面を被覆するものであるが、コア層の表面の全体を被覆するものに限られず、コア層の表面の少なくとも一部を被覆していればよい。
【0056】
(コア層)
前記コア層は、ゴム状重合体から構成される。該ゴム状重合体は、天然ゴム、ジエン系ゴム、アクリレート系ゴム及びポリオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、ジエン系ゴム、アクリレート系ゴム及びポリオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される1種以上を含むことがより好ましい。
【0057】
(ジエン系ゴム)
ジエン系ゴムは、構成単位として、ジエン系単量体に由来する構成単位を含む弾性体である。得られる弾性体のガラス転移温度を低くできること、得られる再生ポリアミド樹脂組成物の成形体に対する耐衝撃性の改善効果が高いこと、および原料コストが安価であることから、前記コア層は、ジエン系ゴムを含むことがより好ましく、ジエン系ゴムであることが特に好ましい。
【0058】
ジエン系単量体としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)、2-クロロ-1,3-ブタジエンなどが挙げられる。これらのジエン系単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
ジエン系ゴムは、構成単位として、さらに、ジエン系単量体と共重合可能なジエン系単量体以外のビニル系単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0060】
ジエン系単量体と共重合可能なジエン系単量体以外のビニル系単量体(以下、ビニル系単量体A、とも称する。)としては、例えば、(a)スチレン、α-メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレンなどの芳香族ビニル系単量体;(b)アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸類;(c)アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキル;(d)メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、などのヒドロキシル基含有ビニル単量体;(e)メタクリル酸グリシジル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有ビニル単量体;(f)アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル系単量体;(g)塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;(h)酢酸ビニル;(i)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルケン類、などが挙げられる。上述したビニル系単量体Aは、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
ジエン系ゴムにおける、ビニル系単量体Aに由来する構成単位の含有量は、特に限定されない。ジエン系ゴムは、構成単位100重量%中、ジエン系単量体に由来する構成単位を50~100重量%、およびビニル系単量体Aに由来する構成単位を0~50重量%、含むことが好ましい。
【0062】
ジエン系ゴムは、構成単位として、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、1,3-ブチレンジメタクリレートなどの多官能性単量体に由来する構成単位をさらに含んでいてもよい。すなわち、ジエン系ゴムの重合においてこれらの多官能性単量体を使用してもよい。
【0063】
ジエン系ゴムとしては、ブタジエンゴム(ポリブタジエンゴム)、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム(ポリ(スチレン/ブタジエン)ゴム)、ポリ(アクリロニトリル/ブタジエン)ゴム、ブタジエン/アクリル酸エステル共重合体などが好適に挙げられる。ブタジエンゴムは、構成単位100重量%中、1,3-ブタジエンに由来する構成単位を50~100重量%含む弾性体である。
【0064】
ジエン系ゴムは、1,3-ブタジエンに由来する構成単位を50~100重量%、およびビニル系単量体Aに由来する構成単位を0~50重量%、を含むブタジエンゴムであることが好ましく、1,3-ブタジエンに由来する構成単位を100重量%含む1,3-ブタジエン単独重合体であることがより好ましい。
【0065】
得られる弾性体のガラス転移温度を低くできること、得られる再生ポリアミド樹脂組成物の成形体に対する耐衝撃性の改善効果が高いこと、および原料コストが安価であることから、前記コア層は、ブタジエンゴムを含むことがさらに好ましく、ブタジエンゴムであることが特に好ましい。
【0066】
(アクリレート系ゴム)
アクリレート系ゴムは、構成単位として、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を含む弾性体である。
【0067】
(メタ)アクリレート系単量体としては、例えば、(a)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニルなどの、炭素数が1~22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(b)(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環含有(メタ)アクリル酸エステル類;(c)(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(d)(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸グリシジルアルキルエステルなどのグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(e)(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル類などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
アクリレート系ゴムは、構成単位として、さらに、(メタ)アクリレート系単量体と共重合可能な(メタ)アクリレート系単量体以外のビニル系単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。(メタ)アクリレート系単量体と共重合可能な(メタ)アクリレート系単量体以外のビニル系単量体としては、(a)上述したジエン系単量体、および(b)ビニル系単量体Aのうち(メタ)アクリレート系単量体以外の単量体、などが挙げられる。
【0069】
前記アクリル系ゴムは架橋構造を有するものである。架橋構造を導入するには、例えば、モノマー成分を重合してコア層の重合体を合成する際に、架橋剤および/またはグラフト交叉剤を使用することができる。架橋剤およびグラフト交叉剤としては、(a)アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレートなどのアリルアルキル(メタ)アクリレート類;(b)モノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレート類;(c)ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性単量体などが挙げられる。これらの架橋剤およびグラフト交叉剤は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
アクリレート系ゴムとしては、ポリアクリル酸ブチルゴムおよびアクリル酸ブチル/アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体ゴムなどのアクリレート系ゴムが好適に挙げられる。ポリアクリル酸ブチルゴムは、構成単位100重量%中、アクリル酸ブチルに由来する構成単位を50~100重量%含む弾性体である。
【0071】
ポリオルガノシロキサン系ゴムとしては、シリコーンゴムおよびシリコーン/アクリレート系ゴムなどが好適に挙げられる。
【0072】
シリコーンゴムとしては、ポリメチルシリコーンゴムおよびポリメチルフェニルシリコーンゴムなどが挙げられる。シリコーン/アクリレート系ゴムとしては、ポリオルガノシロキサン/アクリル酸ブチル共重合体などが挙げられる。
【0073】
一実施形態において、前記コア層は、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム、アクリレート系ゴム及びシリコーンゴムからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0074】
(シェル層)
前記シェル層は、ビニル系単量体に由来する構成単位を含む重合体から形成されたものであることが好ましい。前記ビニル系単量体としては、例えば、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル、アクリルアミド系単量体、マレイミド系単量体などが挙げられる。
【0075】
前記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレンなどが好適に挙げられる。
【0076】
前記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが好適に挙げられる。
【0077】
前記不飽和カルボン酸エステルとしては、(a)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル等の、炭素数が1~22のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル類;(b)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル等の、炭素数が1~22のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル類;(c)(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の、炭素数が1~22のアルキル基を有し、アルコキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル類、などが好適に挙げられる。
【0078】
前記アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、などが好適に挙げられる。
【0079】
前記マレイミド系単量体としては、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-ヘキシルマレイミド、N-オクチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、などが好適に挙げられる。
【0080】
前記シェル層を構成する前記重合体は、構成単量体として、アクリル酸アルキルエステル類及びメタクリル酸アルキルエステル類から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。なお、これらは単独で用いても良く、2種以上組み合わせても良い。
【0081】
また、前記シェル層を構成する前記重合体は、構成単量体として、カルボキシル基含有ビニル単量体、水酸基含有ビニル単量体、及びグリシジル基含有ビニル単量体からなる群より選択される少なくとも1種の反応性ビニル単量体を更に含むことが好ましい。前記シェル層が構成単量体として前記反応性ビニル単量体を含むことによって、コアシェル型耐衝撃強度改良剤に再生ポリアミド樹脂との反応性を付与することができ、結果、再生ポリアミド樹脂中でのコアシェル型耐衝撃強度改良剤の分散性が改善され、衝撃強度の向上効果を高めることができる。これと同時に、再生ポリアミド樹脂中での前記添加剤の分散性も改善することができる。前記反応性ビニル単量体の中でも、再生ポリアミド樹脂との反応性が特に良好であるため、カルボキシル基含有ビニル単量体が好ましい。前記反応性ビニル単量体は1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0082】
前記カルボキシル基含有ビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、ビニロキシ酢酸、アリロキシ酢酸、2-(メタ)アクリロイルプロパン酸、3-(メタ)アクリロイルブタン酸、4-ビニル安息香酸、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2-メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが好適に挙げられる。中でも、アクリル酸及び/又はメタクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
【0083】
前記水酸基含有ビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の、炭素数が1~22のアルキル基を有し、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類などが好適に挙げられる。
【0084】
前記グリシジル基含有ビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが好適に挙げられる。
【0085】
前記反応性ビニル単量体の使用量は所望の効果に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、前記反応性ビニル単量体がカルボキシル基含有ビニル単量体である場合、コアシェル型耐衝撃強度改良剤である重合体粒子全体において前記カルボキシル基含有ビニル単量体が占める割合は、0.05~1.4重量%であることが好ましい。当該割合が前記範囲内にあると、コアシェル型耐衝撃強度改良剤の配合による再生ポリアミド樹脂の衝撃強度の向上効果を高めることができる。前記割合の下限値は、0.1重量%が好ましく、0.2重量%がより好ましい。また、前記割合の上限値は、1.2重量%が好ましく、1.0重量%がより好ましく、0.9重量%がさらに好ましく、0.7重量%がより更に好ましく、0.6重量%が特に好ましく、0.5重量%が最も好ましい。
【0086】
コアシェル型耐衝撃強度改良剤である重合体粒子全体に占めるシェル層の重量割合は、コアシェル型耐衝撃強度改良剤と再生ポリアミド樹脂の相溶性の観点、及び衝撃強度の向上効果の観点から、1~50重量%が好ましく、5~40重量%がより好ましく、10~30重量%がさらに好ましい。
【0087】
(コアシェル型耐衝撃強度改良剤の粒子径)
コアシェル型耐衝撃強度改良剤である重合体粒子の粒子径は適宜設定することができるが、該重合体粒子の体積平均粒子径は、通常、100nm以上である。粒子径が大きくなるほど、特に低温での衝撃強度が向上する傾向があることから、前記体積平均粒子径は、130nm以上が好ましく、150nm以上が好ましく、160nm以上がさらに好ましく、170nm以上がよりさらに好ましい。一方、前記重合体粒子の粒子径が大きくなると重合反応に時間がかかり生産性が低下する傾向があることから、前記体積平均粒子径は、400nm以下が好ましく、350nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましく、250nm以下がより更に好ましい。なお、重合体粒子の体積平均粒子径は、実施例の項で示すように、重合体粒子のラテックスの状態で、粒子径の測定装置を使用することによって測定される値である。また、重合体粒子の体積平均粒子径は、再生ポリアミド樹脂組成物の透過電子顕微鏡(TEM)画像において算出することもできる。重合体粒子の粒子径は、重合開始剤、連鎖移動剤、酸化還元剤、乳化剤等の種類や量、重合温度、重合時間等によって制御することができる。
【0088】
(コアシェル型耐衝撃強度改良剤である重合体粒子の製造方法)
コアシェル型耐衝撃強度改良剤である重合体粒子の製造方法としては、常法によることができ、特に限定されない。例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれかを採用することができるが、乳化重合、すなわち乳化グラフト重合が好ましい。乳化グラフト重合では、具体的には、まず、乳化重合によって、コア層にあたる粒子のラテックスを製造し、該ラテックスに、シェル層用のモノマー成分や重合開始剤等を添加して該モノマー成分を重合すればよい。
【0089】
(ポリオレフィン系エラストマー)
前記ポリオレフィン系エラストマーとしては、ポリオレフィン系エラストマー、水添スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン-1共重合体、エチレン/ヘキセン-1共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン/プロピレン/5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、未水添または水添スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体、未水添または水添スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、またはこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの;エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル-g-無水マレイン酸共重合体、(「g」はグラフトを表わす、以下同じ)、エチレン/メタクリル酸メチル-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル-g-マレイミド共重合体、エチレン/アクリル酸エチル-g-N-フェニルマレイミド共重合体、またはこれら共重合体の部分ケン化物;エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルエーテル共重合体、エチレン/プロピレン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン-1-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/1,4-ヘキサジエン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/2,5-ノルボルナジエン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン-g-N-フェニルマレイミド共重合体、エチレン/ブテン-1-g-N-フェニルマレイミド共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン-g-無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/イソプレン/スチレン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン-g-メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/ブテン-1-g-メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/1,4-ヘキサジエン-g-メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン-g-メタクリル酸グリシジル共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン-g-メタクリル酸グリシジル共重合体等が挙げられる。工業的に利用できるエラストマーの例としては、三井化学社製のタフマーMH7020、MH7010、MA8510、三井デュポン社製のハイミラン1706、旭化成社製SEBS タフテックM1943、ポリマーアジア社製PA-bond959、PA-bond969、PA-bond979等が挙げられる。
【0090】
本実施形態の再生ポリアミド樹脂用改質剤は、本実施形態の添加剤と、耐衝撃強度改良剤を含むものであり、当該改質剤に含まれる前記添加剤の割合は、当業者が適宜決定することができる。しかし、添加剤により達成される効果と、耐衝撃強度改良剤により達成される効果のバランスの観点から、添加剤と耐衝撃強度改良剤の合計量に対する添加剤の量の割合は、0.1重量%以上25重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上15重量%以下がより好ましく、1重量%以上10重量%以下がさらに好ましい。
【0091】
本実施形態の再生ポリアミド樹脂用改質剤は、本実施形態の添加剤と、耐衝撃強度改良剤を混合することにより製造することができる。改質剤の製造にあたっては、添加剤と耐衝撃強度改良剤をそれぞれ粉末の状態で混合してもよいが、添加剤と耐衝撃強度改良剤をそれぞれラテックスの状態で混合した後、乾燥させて粉末として取得することが好ましい。特に耐衝撃強度改良剤がコアシェル型耐衝撃強度改良剤である場合、ラテックスで混合する方法によると、耐衝撃強度改良効果に加えて、再生ポリアミド樹脂組成物の溶融張力を飛躍的に向上させることができ、ブロー成形時のパリソン保持性向上のために有効である。これは、ラテックスブレンドの際に、添加剤がコアシェル型耐衝撃強度改良剤のシェル部とより良く相溶することができ、その結果、改質剤を再生ポリアミド樹脂と混錬した時に、コアシェル型耐衝撃強度改良剤の分散に伴って添加剤も再生ポリアミド樹脂中に均一分散できるためと考えられる。
【0092】
(改質剤の配合量)
本実施形態の再生ポリアミド樹脂用改質剤は、再生ポリアミド樹脂に配合して使用され、溶融加工時の成形性を改善する効果、成形体の引張特性を改善する効果に加えて、再生ポリアミド樹脂の衝撃強度を向上させる効果を奏し得る。再生ポリアミド樹脂に対する前記改質剤の配合量は適宜設定することができるが、再生ポリアミド樹脂と前記改質剤の合計に対する前記改質剤の割合が1重量%以上40重量%以下であることが好ましい。改質剤の割合が前記範囲内にあると、再生ポリアミド樹脂特有の物性を保持しつつ、溶融加工時の成形性改善効果、成形体の引張特性の改善効果、及び再生ポリアミド樹脂の衝撃強度の向上効果を好適に奏することができる。前記割合は、より好ましくは3~30重量%であり、さらに好ましくは5~25重量%である。
【0093】
(再生ポリアミド樹脂)
再生ポリアミド樹脂とは、一度製品化され消費、廃棄されたポリアミド樹脂や、ポリアミド樹脂又はポリアミド樹脂成型体の製造過程で排出される廃棄ポリアミド樹脂などを再利用して構成されるポリアミド樹脂をいう。また、本願でいう再生ポリアミド樹脂には、未使用でフレッシュなポリアミド樹脂に、再生ポリアミド樹脂を混合した混合物も包含される。
【0094】
ポリアミド樹脂は、酸アミド結合(-CONH-)を有する重合体であれば限定されないが、例えば、ジアミンと二塩基酸との重縮合により得られる重合体、ジホルミルなどのジアミン誘導体と二塩基酸との重縮合により得られる重合体、ジメチルエステルなどの二塩基酸誘導体とジアミンとの重縮合により得られる重合体、ジニトリル又はジアミドとホルムアルデヒドとの反応により得られる重合体、ジイソシアナートと二塩基酸との重付加により得られる重合体、アミノ酸又はその誘導体の自己縮合により得られる重合体、ラクタムの開環重合により得られる重合体等が挙げられる。また、ポリアミド樹脂は、ポリエーテルブロックを含有するものであってもよい。ポリアミド樹脂は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0095】
ポリアミド樹脂の具体例としては、脂肪族ポリアミドであるナイロン4、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン7、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン56、ナイロン410、ナイロン412、ナイロン610、ナイロン612、半芳香族ポリアミドであるナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロン10T、ナイロンM5T、ナイロンMXD6、共重合ポリアミドであるナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/66/12、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T、ナイロン6/6I、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/12、ナイロン66/6T/6I等が挙げられる。なかでも、汎用性の観点から、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11及びナイロン12が好ましい。
【0096】
(他の樹脂)
本実施形態の再生ポリアミド樹脂組成物は、再生ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有しなくともよいし、含有してもよい。再生ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有する場合、当該熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン等が挙げられる。他の熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定されないが、例えば、再生ポリアミド樹脂100重量部に対して0~100重量部、好ましくは0~50重量部、より好ましくは0~30重量部、さらに好ましくは0~10重量部である。
【0097】
(他の添加剤)
本実施形態の再生ポリアミド樹脂組成物は、一般的な熱可塑性樹脂組成物に配合され得る添加剤を適宜含有することができる。そのような添加剤としては特に限定されないが、例えば、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、強化材、充填材、酸化防止剤、顔料、染料、導電性付与剤、加水分解抑制剤、増粘剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤、離型剤、相溶化剤、熱安定剤等が挙げられる。
【0098】
衝撃強度の向上の観点から、本実施形態の再生ポリアミド樹脂組成物は、強化材をさらに含有することが好ましい。強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アスベスト繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ケナフ繊維、竹繊維、麻繊維、バガス繊維、高強度ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、玄武岩繊維等が挙げられる。中でも、衝撃強度の向上効果が高いことから、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維が好ましく、ガラス繊維がより好ましい。強化材は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0099】
強化材の配合量は適宜設定することができるが、再生ポリアミド樹脂と前記強化材の合計100重量%に対して前記強化材が占める割合が10~60重量%であることが好ましく、15~50重量%がより好ましく、20~40重量%がさらに好ましい。
【0100】
(組成物の製造方法)
本実施形態の再生ポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、一般的な熱可塑性樹脂組成物の製造方法を適用することができる。例えば、ヘンシェルミキサーやタンブラーミキサーなどを利用して各原料を混合した後、溶融混錬を実施して再生ポリアミド樹脂組成物を得ることができる。当該溶融混練には、単軸または二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、ミキシングロールなどの混練機を利用することができる。このような溶融混錬によって、再生ポリアミド樹脂組成物からなるペレットを製造することができる。
【0101】
本実施形態の再生ポリアミド樹脂組成物は、これを所定の形状に成形して成形体とすることができる。成形方法としては特に限定されず、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、発泡成形、カレンダー成形法、インフレーション成形法、回転成形法、プレス成形法等を利用することができる。
【0102】
(用途)
本実施形態の再生ポリアミド樹脂組成物及びその成形体は、シリンダヘッドカバー、エンジンカバー、インテークマニホールド、ラジエータータンク、オイルパン、アクセルペダル、キャニスター、燃料チューブ、エアブレーキ用チューブ、排ガス用チューブ、水素インジェクタ、ダクト、工業用ファスナー、ドアミラーステイ等の自動車用途、コイルボビン、コネクタ、ギア、ソケット、スイッチ、電気毛布被覆線材、光ファイバーケーブル被覆材、電動工具、電線結束材等の電気・電子用途、油圧・空圧用コネクタ・チューブ、ベアリング、カバー・ハウジング、軸受、耐圧ホース、結束バンド等の機械用途、カーテンレール部品、アルミサッシのコーナー、戸車、手すり、カーテンローラー、ドア取っ手等の建材用途、スポーツシューズソール、スキー・スノーボード用品、リール、ダイビングシュノーケル等のスポーツ・レジャー用途、シュリンク包装用フィルム、食品包装用フィルム、アルコール飲料びん、農薬ボトル等の包装資材・容器用途、歯ブラシ、椅子の足や肘掛け、くし、ナイフ・フォーク等の日用品用途、医療用カテーテル・パイプ、医療用パック、縫合糸等の医療用途等が挙げられるが、特に限定されない。
【実施例0103】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0104】
(数平均分子量又は重量平均分子量)
数平均分子量又は重量平均分子量は、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、その可溶分をフィルター系0.2μmのフィルターでろ過した後、高速GPC装置(東ソー株式会社製、HLC-8220)にて求めた(試料溶液:試料20mg/THF10mL、カラム:東ソー株式会社製、TSKguardcolumn SuperHZ-H 1本、及びTSKgel SuperHZM-H 2本、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計、流速:0.35mL/分、注入量:10μL、検量線:標準ポリスチレン)。
【0105】
(重合体粒子の体積平均粒子径)
重合体粒子の体積平均粒子径は、重合体粒子ラテックスの状態で測定した。測定装置として、日機装株式会社製のNanotrac Waveを使用した。
【0106】
(重合転化率)
得られたラテックスの一部を採取・精秤し、それを熱風乾燥器中で120℃、1時間乾燥し、その乾燥後の重量を固形分量として精秤した。次に、乾燥前後の精秤結果の比率をラテックス中の固形成分比率として求めた。最後に、この固形成分比率を用いて、下記式により重合転化率を算出した。
式:重合転化率=(仕込み原料総重量×固形成分比率-モノマー以外の原料総重量)/仕込みモノマー重量×100(%)
【0107】
(実施例1)
<添加剤ラテックスの製造>
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、及び、モノマーと乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水100重量部、水酸化ナトリウム0.147重量部、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸1.353重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら70℃に昇温した。
そこに、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0025重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.0015重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.3重量部、及びt-ブチルハイドロパーオキサイド0.01重量部を仕込み撹拌した。
そこに、メタクリル酸(以下MAAとする)11.05重量部、メチルメタクリレート(以下MMAとする)38.95重量部、t-ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)0.9重量部、n-オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)0.9重量部、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸0.451重量部の混合物を150分間かけて添加した。添加中は、水酸化ナトリウム水溶液を随時追加して、pHを6.5~7.0に保ちつつ、t-ブチルハイドロパーオキサイドを随時添加して重合を促進した。混合物の添加終了後は、温度を70℃から50℃に冷却しながら30分間撹拌し、撹拌中もt-ブチルハイドロパーオキサイドを随時添加して重合を促進した。以上により、重合転化率97%で第一重合体(数平均分子量:5,500)を形成した。
その後、MMA43.28重量部、アクリル酸ブチル(以下BAとする)6.72重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸0.451重量部、及びt-ブチルハイドロパーオキサイド0.08重量部の混合物を150分間かけて追加した。添加中は水酸化ナトリウム水溶液を随時追加して、pHを6.5~7.0に保った。添加終了後、10分毎にt-ブチルハイドロパーオキサイド0.01重量部を3回追加し、その後30分間撹拌することで、重合転化率98%で第二重合体を形成した。以上により、第一重合体と第二重合体を含む添加剤(重量平均分子量:194,600)のラテックスを得た。
<添加剤の白色樹脂粉末の取得>
脱イオン水650重量部、25重量%濃度の塩化カルシウム水溶液3.5重量部を攪拌しながら70℃に昇温し、そこに添加剤ラテックスを投入し、凝固ラテックス粒子を含むスラリーを得た。その後、その凝固ラテックス粒子スラリーを95℃まで昇温し、脱水、乾燥させることにより、第一重合体と第二重合体を含む粒子状の添加剤を実施例1の白色樹脂粉末として得た。
【0108】
(実施例2)
<添加剤ラテックスの製造>
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、及び、モノマーと乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水100重量部、水酸化ナトリウム0.147重量部、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸1.353重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら70℃に昇温した。
そこに、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0025重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.0015重量部、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.3重量部、及びt-ブチルハイドロパーオキサイド0.01重量部を仕込み撹拌した。
そこに、MAA14.37重量部、MMA50.63重量部、t-ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)0.9重量部、n-オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)0.9重量部、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸0.451重量部の混合物を150分間かけて添加した。添加中は、水酸化ナトリウム水溶液を随時追加して、pHを6.5~7.0に保ちつつ、t-ブチルハイドロパーオキサイドを随時添加して重合を促進した。混合物の添加終了後は、温度を70℃から50℃に冷却しながら30分間撹拌し、撹拌中もt-ブチルハイドロパーオキサイドを随時添加して重合を促進した。以上により、重合転化率97%で第一重合体(数平均分子量:7,200)を形成した。
その後、MMA24.5重量部、BA10.5重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸0.451重量部、及びt-ブチルハイドロパーオキサイド0.08重量部の混合物を150分間かけて追加した。添加中は水酸化ナトリウム水溶液を随時追加して、pHを6.5~7.0に保った。添加終了後、10分毎にt-ブチルハイドロパーオキサイド0.01重量部を3回追加し、その後30分間撹拌することで、重合転化率98%で第二重合体を形成した。以上により、第一重合体と第二重合体を含む添加剤(重量平均分子量:55,000)のラテックスを得た。
<添加剤の白色樹脂粉末の取得>
脱イオン水650重量部、25重量%濃度の塩化カルシウム水溶液3.5重量部を攪拌しながら70℃に昇温し、そこに添加剤ラテックスを投入し、凝固ラテックス粒子を含むスラリーを得た。その後、その凝固ラテックス粒子スラリーを95℃まで昇温し、脱水、乾燥させることにより、第一重合体と第二重合体を含む粒子状の添加剤を実施例2の白色樹脂粉末として得た。
【0109】
(実施例3~4及び比較例1)再生ポリアミド樹脂組成物の製造
以下の記載に従って、再生ポリアミド樹脂と前記添加剤の白色樹脂粉末を含む組成物から構成されるペレット及び試験片を作製し、MFR、引張特性、及びIzod衝撃強度を測定した。但し、比較例1では、前記添加剤の白色樹脂粉末を使用せずに評価を行った。尚、溶融加工時の成形性を示す指標として、MFRを使用した。MFR値が小さいほど溶融時の流動性が低く、溶融加工時の成形性が良好であることを示す。
【0110】
(ペレット及び試験片作製条件)
(a)再生ポリアミド6樹脂(リファインバース社製RA6G00) 下表の添加部数
(b)実施例1で得た添加剤の白色樹脂粉末 1重量部又は2重量部
(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製Irganox1010) 0.21重量部
(d)リン系加工安定剤(BASF社製Irgafos168) 0.09重量部
【0111】
前記(a)~(d)の混合物を、バレル温度230~260℃に加熱した二軸押出機(株式会社日本製鋼所社製TEX44SS)にてスクリュー回転数100rpmの条件で混錬し、押出して、ペレットを得た。
このペレットを乾燥機にて80℃で12時間乾燥し、水分量を十分減らした後、射出成形機(ファナック(株)社製FAS100B)にて成形温度270~290℃、金型温度80℃の条件で、試験片を作製した。
【0112】
(MFR)
前述した条件で作製したペレットを、熱風乾燥機にて120℃で12時間乾燥させた後、JIS K7210 A法に準じ、測定温度280℃、荷重5kgの条件にてMFR値を測定した。
【0113】
(引張特性)
前述した方法で作製した厚さ3.2mmのASTM D638-1号形の試験片について、絶乾状態にて、ASTMD638規格に準拠する方法によって、テストスピード50mm/minにて、23℃での引張特性(引張破壊歪み)を測定した。
【0114】
(Izod衝撃強度)
前述した方法で作製した長さ63.5mm、幅12.7mm、厚さ3.2mm、vノッチ付きの試験片について、絶乾状態にて、ASTM D256規格に準拠する方法によって、-30℃、及び23℃でのIzod衝撃強度を測定した。
以上の測定の結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
表1より、実施例3~4は、比較例1と比較して、MFR値が小さく、即ち溶融加工時の成形性が良好であり、成形体の引張特性も良好であることが分かる。
【0117】
(実施例5~7及び比較例2)再生ポリアミド樹脂組成物の製造
表2に記載の配合に従って、再生ポリアミド樹脂と前記添加剤の白色樹脂粉末を含む組成物から構成されるペレット及び試験片を、押出温度が230~280℃に変更した以外は上述した方法に従って作製し、上述した方法に従ってMFR、引張特性、及びIzod衝撃強度を測定した。但し、比較例2では、前記添加剤の白色樹脂粉末を使用せずに評価を行った。得られた結果を表2に示す。
尚、再生ポリアミド樹脂としては、再生ポリアミド66樹脂(リファインバース社製 RA7N00)を使用した。
【0118】
【表2】
【0119】
表2より、実施例5~7は、比較例2と比較して、MFR値が小さく、即ち溶融加工時の成形性が良好であり、成形体の引張特性も良好であることが分かる。
【0120】
(実施例8~9、比較例3、及び参考例1)再生ポリアミド樹脂組成物の製造
表3に記載の配合に従って、再生ポリアミド樹脂と前記添加剤の白色樹脂粉末を含む組成物から構成されるペレット及び試験片を下記の記載に従って作製し、上述した方法に従ってMFR、引張特性、及びIzod衝撃強度を測定した。但し、比較例3及び参考例1では、前記添加剤の白色樹脂粉末を使用せずに評価を行った。また、参考例1では、再生ポリアミド樹脂ではなく、未使用のポリアミド樹脂を用いて評価を行った。得られた結果を表3に示す。
【0121】
(ペレット及び試験片作製条件)
(a)再生ポリアミド6樹脂(岳化化工股分有限公司社製(YH800))、又は、未使用のポリアミド6樹脂(UBE株式会社製1030B) 表3に記載の重量部
(b)実施例2で得た添加剤の白色樹脂粉末 表3に記載の重量部
(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製Irganox1010) 0.21重量部
(d)リン系加工安定剤(BASF社製Irgafos168) 0.09重量部
【0122】
前記(a)~(d)の混合物から、上述した方法にてペレットを得、次いで試験片を作製した。
【0123】
【表3】
【0124】
表3より、実施例8~9は、比較例3と比較して、MFR値が小さく、即ち溶融加工時の成形性が良好であり、成形体の引張特性も良好であることが分かる。また、実施例8~9は、参考例1と比較しても、成形体の引張特性が良好であることが分かる。