(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001412
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】エレベーターのコンペンチェーン装置
(51)【国際特許分類】
B66B 7/12 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
B66B7/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102105
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】飯島 誠
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305BB07
3F305EA02
(57)【要約】
【課題】コンペンチェーンの劣化を抑制することができるエレベーターのコンペンチェーン装置を得る。
【解決手段】このエレベーターのコンペンチェーン装置6は、チェーン本体602およびチェーン本体602に設けられた油芯部材603を有し、かご1とつり合いおもり3とに渡って設けられたコンペンチェーン601と、つり合いおもり3に設けられ、油芯部材603にチェーン用潤滑油を供給するチェーン潤滑油供給部材604と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーン本体および前記チェーン本体に設けられた油芯部材を有し、かごとつり合いおもりとに渡って設けられたコンペンチェーンと、
前記かごまたは前記つり合いおもりである昇降体に設けられ、前記油芯部材にチェーン用潤滑油を供給するチェーン潤滑油供給部材と、
を備えているエレベーターのコンペンチェーン装置。
【請求項2】
前記チェーン潤滑油供給部材は、前記チェーン用潤滑油が溜められる油貯留部材を有し、
前記油貯留部材は、前記油貯留部材に溜められた前記チェーン用潤滑油を前記油芯部材に供給する請求項1に記載のエレベーターのコンペンチェーン装置。
【請求項3】
前記油貯留部材には、前記昇降体を案内するガイドレールから前記昇降体に流れたガイドレール用潤滑油が溜められるようになっており、
前記油貯留部材は、前記油貯留部材に溜められた前記ガイドレール用潤滑油を前記チェーン用潤滑油として前記油芯部材に供給する請求項2に記載のエレベーターのコンペンチェーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンペンチェーンを備えたエレベーターのコンペンチェーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かごとつり合いおもりとに渡って設けられたコンペンチェーンと、つり合いおもり用ガイドレールに設けられた給油部材と、を備えたエレベーターのコンペンチェーン装置が知られている。コンペンチェーンは、チェーン本体およびチェーン本体に設けられた油芯部材を有している。油芯部材は、チェーン本体に沿って配置されている。
【0003】
給油部材は、コンペンチェーンが通る貫通孔が形成された枠部材と、枠部材における貫通孔の内周面に設けられ、チェーン用潤滑油が含まれた油含浸部材と、を有している。コンペンチェーンが油含浸部材に接触することによって、油含浸部材から油芯部材にチェーン用潤滑油が供給される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かごおよびつり合いおもりが昇降路を昇降することによって、コンペンチェーンが給油部材に対して移動する。これにより、コンペンチェーンが給油部材に対して擦られる。その結果、コンペンチェーンの劣化が早まってしまうという問題点があった。
【0006】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コンペンチェーンの劣化を抑制することができるエレベーターのコンペンチェーン装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るエレベーターのコンペンチェーン装置は、チェーン本体およびチェーン本体に設けられた油芯部材を有し、かごとつり合いおもりとに渡って設けられたコンペンチェーンと、かごまたはつり合いおもりである昇降体に設けられ、油芯部材にチェーン用潤滑油を供給するチェーン潤滑油供給部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るエレベーターのコンペンチェーン装置によれば、コンペンチェーンの劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るコンペンチェーン装置を備えているエレベーターを示す構成図である。
【
図2】
図1のつり合いおもりおよびコンペンチェーン装置を示す側面図である。
【
図3】
図2のガイド装置およびコンペンチェーン装置の要部を示す拡大図である。
【
図4】
図3のガイド装置およびコンペンチェーン装置の要部を示す平面図である。
【
図5】
図3のガイド装置およびコンペンチェーン装置の要部を示す側面図である。
【
図6】
図3の油受け部材および油芯部材を示す平面図である。
【
図7】
図3のチェーン潤滑油供給部材および油芯部材を示す斜視図である。
【
図8】実施の形態2に係るコンペンチェーン装置の要部を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態3に係るコンペンチェーン装置の要部を示す斜視図である。
【
図10】
図9のコンペンチェーン装置の要部を示す分解斜視図である。
【
図11】実施の形態4に係るコンペンチェーン装置の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るコンペンチェーン装置を備えているエレベーターを示す構成図である。エレベーターは、かご1と、図示しない一対のかご用ガイドレールと、を備えている。
【0011】
かご1およびかご用ガイドレールは、昇降路2に設けられている。かご用ガイドレールは、上下方向に延びるように配置されている。かご用ガイドレールは、かご1を案内する。これにより、かご1は、かご用ガイドレールに沿って昇降路2を昇降する。言い換えれば、かご1は、上下方向に昇降路2を昇降する。
【0012】
かご1は、エレベーターの利用者が乗り降りするかご本体101と、かご本体101の下部に設けられた一対のかご吊り車102と、を有している。一対のかご吊り車102は、かご本体101の幅方向Aに並べて配置されている。
【0013】
また、エレベーターは、つり合いおもり3と、一対のつり合いおもり用ガイドレール4と、を備えている。
図1では、一対のつり合いおもり用ガイドレール4のうちの一方のつり合いおもり用ガイドレール4のみが示されている。
【0014】
つり合いおもり3およびつり合いおもり用ガイドレール4は、昇降路2に設けられている。つり合いおもり用ガイドレール4は、上下方向に延びるように配置されている。つり合いおもり用ガイドレール4は、つり合いおもり3を案内する。これにより、つり合いおもり3は、つり合いおもり用ガイドレール4に沿って昇降する。言い換えれば、つり合いおもり3は、上下方向に昇降路2を昇降する。
【0015】
つり合いおもり3は、つり合いおもり本体301と、つり合いおもり本体301の上部に設けられたつり合いおもり吊り車302と、を有している。
【0016】
かご1およびつり合いおもり3のそれぞれは、昇降路2を昇降する昇降体である。かご用ガイドレールおよびつり合いおもり用ガイドレール4のそれぞれは、昇降体を案内するガイドレールである。
【0017】
また、エレベーターは、ロープ5と、一対のコンペンチェーン装置6と、を備えている。
図1では、一対のコンペンチェーン装置6のうちの一方のコンペンチェーン装置6のみが示されている。ロープ5およびコンペンチェーン装置6は、昇降路2に設けられている。
【0018】
ロープ5の長手方向の両端部は、昇降路2の天井201に接続されている。ロープ5の長手方向の中間部には、かご1およびつり合いおもり3が支持されている。具体的には、かご吊り車102に下方からロープ5が巻き掛けられることによって、かご1がロープ5に支持されており、つり合いおもり吊り車302に下方からロープ5が巻き掛けられることによって、つり合いおもり3がロープ5に支持されている。
【0019】
また、エレベーターは、巻上機7と、かご側返し車8と、つり合いおもり側返し車9と、を備えている。巻上機7、かご側返し車8およびつり合いおもり側返し車9は、昇降路2に設けられている。また、巻上機7は、昇降路2の床202に接続されている。かご側返し車8およびつり合いおもり側返し車9は、昇降路2の天井201に接続されている。
【0020】
ロープ5は、一対のかご吊り車102、かご側返し車8、巻上機7、つり合いおもり側返し車9およびつり合いおもり吊り車302に巻き掛けられている。ロープ5が巻き掛けられる順は、ロープ5の長手方向の一端部から他端部に向かって、一対のかご吊り車102、かご側返し車8、巻上機7、つり合いおもり側返し車9、つり合いおもり吊り車302の順となっている。
【0021】
コンペンチェーン装置6は、かご1とつり合いおもり3とに渡って設けられている。具体的には、コンペンチェーン装置6は、かご1のかご本体101とつり合いおもり3のつり合いおもり本体301とに渡って設けられている。
【0022】
図2は、
図1のつり合いおもり3およびコンペンチェーン装置6を示す側面図である。
図2では、つり合いおもり吊り車302が省略されている。つり合いおもり3は、つり合いおもり本体301の上部に設けられた一対のガイド装置303と、つり合いおもり本体301の下部に設けられた一対のガイド装置304と、を有している。
【0023】
一対のガイド装置303は、つり合いおもり本体301の幅方向Bに並べて配置されている。一対のガイド装置304は、つり合いおもり本体301の幅方向Bに並べて配置されている。つり合いおもり本体301の幅方向Bは、一対のつり合いおもり用ガイドレール4が互いに対向する方向と一致している。
【0024】
一対のガイド装置303および一対のガイド装置304のそれぞれが対応するつり合いおもり用ガイドレール4に案内されることによって、つり合いおもり3がつり合いおもり用ガイドレール4に沿って昇降路2を昇降する。
【0025】
コンペンチェーン装置6は、コンペンチェーン601を備えている。コンペンチェーン601は、チェーン本体602と、チェーン本体602に設けられた油芯部材603と、を有している。
【0026】
チェーン本体602の長手方向の端部は、つり合いおもり本体301の下部に接続されている。油芯部材603は、チェーン本体602に沿って配置されている。油芯部材603の長手方向の端部は、チェーン本体602から分岐してガイド装置304に向かっている。
【0027】
図3は、
図2のガイド装置304およびコンペンチェーン装置6の要部を示す拡大図である。
図4は、
図3のガイド装置304およびコンペンチェーン装置6の要部を示す平面図である。
図5は、
図3のガイド装置304およびコンペンチェーン装置6の要部を示す側面図である。
【0028】
ガイド装置304は、取付金具305と、取付金具305をつり合いおもり本体301に固定する複数の第1締着部材306と、を有している。また、ガイド装置304は、つり合いおもり用ガイドレール4に案内されるガイドシュー307と、ガイドシュー307を取付金具305に固定する第2締着部材308と、を有している。
【0029】
取付金具305は、断面がL字形状に形成されている。取付金具305は、つり合いおもり本体301の下面に沿って配置される第1平板部309と、第1平板部309から下方に延びる第2平板部310と、を有している。
【0030】
第1締着部材306は、ボルト311および図示しないナットから構成されている。第1平板部309には、ボルト311が挿入される貫通孔312が形成されている。つり合いおもり本体301には、ボルト311が挿入される図示しない貫通孔が形成されている。
【0031】
第1平板部309の貫通孔312およびつり合いおもり本体301の貫通孔にボルト311が挿入された状態でボルト311に第1締着部材306のナットが取り付けられることによって、取付金具305がつり合いおもり本体301に固定されている。
【0032】
第2締着部材308は、ボルト313およびナット314から構成されている。ガイドシュー307には、ボルト313が挿入される貫通孔315が形成されている。第2平板部310には、ボルト313が挿入される図示しない貫通孔が形成されている。
【0033】
ガイドシュー307の貫通孔315および第2平板部310の貫通孔にボルト313が挿入された状態でボルト313にナット314が取り付けられることによって、ガイドシュー307が取付金具305に固定されている。
【0034】
コンペンチェーン装置6は、チェーン潤滑油供給部材604を備えている。チェーン潤滑油供給部材604は、油貯留部材605と、油貯留部材605を支持する支持部材606と、を有している。
【0035】
油貯留部材605は、ガイドシュー307よりも下方に配置されている。また、油貯留部材605は、上方から見た場合に、ガイドシュー307に重なるように配置されている。言い換えれば、油貯留部材605は、ガイドシュー307の下方の領域に配置されている。
【0036】
図6は、
図3の油貯留部材605および油芯部材603を示す平面図である。油貯留部材605の内側には、つり合いおもり3を案内するつり合いおもり用ガイドレール4からつり合いおもり3のガイド装置304に流れたガイドレール用潤滑油が溜められる。油貯留部材605の内側に貯められたガイドレール用潤滑油は、チェーン用潤滑油として利用される。
【0037】
図7は、
図3のチェーン潤滑油供給部材604および油芯部材603を示す斜視図である。
図7では、支持部材606が省略されている。油貯留部材605の側壁607には、油芯部材603が挿入される貫通孔608が形成されている。
【0038】
チェーン本体602から分岐した油芯部材603の長手方向の端部は、油貯留部材605の内側に配置されている。油貯留部材605は、油貯留部材605の内側に溜められたガイドレール用潤滑油をチェーン用潤滑油として油芯部材603に供給する。
【0039】
チェーン潤滑油供給部材604は、油貯留部材605に設けられた油芯部材取付部材609を有している。油芯部材取付部材609は、油貯留部材605の底板610に取り付けられている。油貯留部材605の内側に配置された油芯部材603の長手方向の端部は、油芯部材取付部材609によって、油貯留部材605の底板610に固定されている。
【0040】
図3に示すように、支持部材606は、油貯留部材605から上方に延びるように配置されている。支持部材606には、図示しない貫通孔が形成されている。ガイドシュー307の貫通孔315、第2平板部310の貫通孔および支持部材606の貫通孔にボルト313が挿入された状態でボルト313にナット314が取り付けられることによって、支持部材606がガイド装置304に固定されている。言い換えれば、支持部材606は、ガイドシュー307を取付金具305に固定する第2締着部材308を用いてガイド装置304に固定されている。
【0041】
次に、チェーン潤滑油供給部材604によってチェーン本体602に供給されるチェーン用潤滑油の流れについて説明する。つり合いおもり用ガイドレール4には、図示しない潤滑油供給装置によってガイドレール用潤滑油が供給されている。
【0042】
つり合いおもり3がつり合いおもり用ガイドレール4に沿って昇降することによって、つり合いおもり用ガイドレール4に付着しているガイドレール用潤滑油がガイド装置304に流れる。
【0043】
ガイド装置304に流れたガイドレール用潤滑油は、そのまま油貯留部材605の内側に溜められる。また、ガイド装置304に流れたガイドレール用潤滑油は、取付金具305を介して油貯留部材605の内側に貯められる。
【0044】
油貯留部材605は、油貯留部材605の内側に貯められたガイドレール用潤滑油を、チェーン用潤滑油として油芯部材603に供給する。油芯部材603に供給されたチェーン用潤滑油は、油芯部材603の長手方向の中間部であって、最も下方にある部分に向かって流れる。
【0045】
油貯留部材605から油芯部材603に供給されたチェーン用潤滑油は、油芯部材603における最も下方にある部分にまで供給される。
【0046】
かご1が最下階にある場合には、油芯部材603における最も下方にある部分は、油芯部材603の長手方向の中心部分よりもかご1側の部分に配置される。したがって、かご1が最下階にある場合には、油貯留部材605から油芯部材603に供給されたチェーン用潤滑油が、油芯部材603の長手方向の中心部分よりもかご1側の部分にまで供給される。
【0047】
以上説明したように、実施の形態1に係るコンペンチェーン装置6は、かご1とつり合いおもり3とに渡って設けられたコンペンチェーン601と、つり合いおもり3に設けられたチェーン潤滑油供給部材604と、を備えている。コンペンチェーン601は、チェーン本体602と、チェーン本体602に沿って設けられた油芯部材603と、を有している。チェーン潤滑油供給部材604は、油芯部材603にチェーン用潤滑油を供給する。この構成によれば、かご1およびつり合いおもり3が昇降路2を昇降した場合に、コンペンチェーン601がチェーン潤滑油供給部材604に擦られることが防止される。その結果、コンペンチェーン601の劣化を抑制することができる。
【0048】
また、チェーン潤滑油供給部材604は、チェーン用潤滑油が溜められる油貯留部材605を有している。油貯留部材605には、つり合いおもり3を案内するつり合いおもり用ガイドレール4からつり合いおもり3に流れたガイドレール用潤滑油が内側に溜められるようになっている。油貯留部材605は、油貯留部材605の内側に溜められたガイドレール用潤滑油をチェーン用潤滑油として油芯部材603に供給する。この構成によれば、チェーン潤滑油供給部材604にチェーン用潤滑油を供給する作業を作業者が行うことなく、チェーン用潤滑油を油芯部材603に供給することができる。その結果、コンペンチェーン装置6のメンテナンスの作業効率を向上させることができる。
【0049】
また、チェーン潤滑油供給部材604は、油貯留部材605を支持する支持部材606を有している。支持部材606は、ガイドシュー307を取付金具305に固定する第2締着部材308を用いてガイド装置304に固定されている。この構成によれば、既設のガイド装置304に油貯留部材605を固定することができる。
【0050】
また、チェーン潤滑油供給部材604は、油芯部材取付部材609を有している。油芯部材取付部材609によって、油貯留部材605の内側に配置された油芯部材603の長手方向の端部は、油貯留部材605の底板610に固定される。この構成によれば、油芯部材603の長手方向の端部が油貯留部材605の底板610に固定される。これにより、油芯部材603が油貯留部材605から外れることが防止される。その結果、油芯部材603にチェーン用潤滑油をより確実に供給することができる。
【0051】
また、実施の形態1に係るコンペンチェーン装置6は、油貯留部材605の内側に貯められているチェーン用潤滑油を検出する検出装置を備えている構成であってもよい。油貯留部材605の内側にチェーン用潤滑油が貯められていない場合には、油貯留部材605から油芯部材603にチェーン用潤滑油を供給することができない。油貯留部材605の内側に貯められているチェーン用潤滑油を検出する検出装置を備えていることによって、コンペンチェーン装置は、検出装置の検出結果に基づいて、チェーン用潤滑油を油貯留部材605に供給する必要があることを外部に発報することができる。
【0052】
実施の形態2.
図8は、実施の形態2に係るコンペンチェーン装置の要部を示す斜視図である。実施の形態1に係るコンペンチェーン装置6では、支持部材606がガイド装置304に取り付けられることによって、油貯留部材605がガイド装置304に取り付けられる構成について説明した。
【0053】
実施の形態2に係るコンペンチェーン装置6では、チェーン潤滑油供給部材604は、油貯留部材605と、油貯留部材605をガイド装置304に固定する第3締着部材611と、を有している。
【0054】
第3締着部材611は、ボルトから構成されている。油貯留部材605の底板610には、第3締着部材611が挿入される図示しない貫通孔が形成されている。
【0055】
底板610の貫通孔に第3締着部材611が挿入された状態で第3締着部材611がガイドシュー307に取り付けられることによって、油貯留部材605がガイド装置304に取り付けられる。
【0056】
実施の形態2に係るコンペンチェーン装置6のその他の構成は、実施の形態1に係るコンペンチェーン装置6の構成と同様である。
【0057】
以上説明したように、実施の形態2に係るコンペンチェーン装置6は、油貯留部材605をガイド装置304に固定する第3締着部材611と、を備えている。この構成によれば、既設のガイド装置304に油貯留部材605を固定することができる。
【0058】
実施の形態3.
図9は、実施の形態3に係るコンペンチェーン装置6の要部を示す斜視図である。
図10は、
図9のコンペンチェーン装置6の要部を示す分解斜視図である。実施の形態1に係るコンペンチェーン装置6では、支持部材606がガイド装置304に取り付けられることによって、油貯留部材605がガイド装置304に取り付けられる構成について説明した。
【0059】
実施の形態3に係るコンペンチェーン装置6を備えているエレベーターでは、ガイド装置304は、ガイドシュー外れ止め部材316と、ガイドシュー外れ止め部材316をガイドシュー307に固定する第4締着部材317と、を有している。
【0060】
ガイドシュー外れ止め部材316は、ガイドシュー307の下面に固定されている。ガイドシュー外れ止め部材316は、地震等によってつり合いおもり3に揺れが発生した場合に、つり合いおもり3がつり合いおもり用ガイドレール4から外れることを抑制するものである。
【0061】
実施の形態3に係るコンペンチェーン装置6では、チェーン潤滑油供給部材604は、油貯留部材605と、油貯留部材605をガイドシュー外れ止め部材316に固定する第5締着部材612と、を有している。
【0062】
第5締着部材612は、油貯留部材605の底板610に固定されたねじ棒613と、ねじ棒613に着脱されるナット614と、を有している。油貯留部材605は、ガイドシュー外れ止め部材316の下面に固定されている。
【0063】
実施の形態3に係るコンペンチェーン装置6のその他の構成は、実施の形態1または実施の形態2に係るコンペンチェーン装置6の構成と同様である。
【0064】
以上説明したように、実施の形態3に係るコンペンチェーン装置6は、油貯留部材605をガイドシュー外れ止め部材316に固定する第5締着部材612と、を備えている。この構成によれば、既設のガイド装置304に油貯留部材605を固定することができる。
【0065】
実施の形態4.
図11は、実施の形態4に係るコンペンチェーン装置の要部を示す斜視図である。実施の形態4に係るコンペンチェーン装置6では、チェーン潤滑油供給部材604は、チェーン用潤滑油が内側に溜められる油貯留部材615と、油貯留部材支持部材616と、を有している。油貯留部材615の側壁617には、油芯部材603が挿入される貫通孔618が形成されている。
【0066】
油貯留部材615は、上方から見た場合に、ガイドシュー307に重ならないように配置されている。言い換えれば、油貯留部材615は、ガイドシュー307の下方の領域からずれて配置されている。
【0067】
なお、実施の形態1と同様に、油貯留部材615は、上方から見た場合に、ガイドシュー307に重なるように配置されてもよい。この場合には、実施の形態1と同様に、油貯留部材615の内側には、つり合いおもり用ガイドレール4からガイド装置304に流れたガイドレール用潤滑油が溜められる。
【0068】
油貯留部材615には、作業者によって定期的にチェーン用潤滑油が供給される。油芯部材603の長手方向の端部は、油貯留部材615の内側に配置されている。油貯留部材615は、油貯留部材615に溜められたチェーン用潤滑油を油芯部材603に供給する。
【0069】
油貯留部材支持部材616は、図示しない締着部材を用いてガイド装置304に固定されている。油貯留部材支持部材616は、油貯留部材615を支持している。
【0070】
実施の形態4に係るコンペンチェーン装置6におけるその他の構成は、実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3に係るコンペンチェーン装置6の構成と同様である。
【0071】
以上説明したように、実施の形態4に係るコンペンチェーン装置6は、チェーン用潤滑油が内側に溜められる油貯留部材615を有している。油貯留部材615は、油貯留部材615の内側に溜められたチェーン用潤滑油を油芯部材603に供給する。この構成によれば、かご1およびつり合いおもり3が昇降路2を昇降した場合に、コンペンチェーン601がチェーン潤滑油供給部材604に擦られることが防止される。その結果、コンペンチェーン601の劣化を抑制することができる。
【0072】
また、油貯留部材615は、油貯留部材615の内側に溜められたチェーン用潤滑油を油芯部材603に供給する。この構成によれば、つり合いおもり用ガイドレール4へのガイドレール用潤滑油の供給の有無に関係なく、チェーン用潤滑油を油芯部材603に供給することができる。
【0073】
なお、各実施の形態では、チェーン潤滑油供給部材604がつり合いおもり3に設けられた構成について説明した。しかしながら、チェーン潤滑油供給部材604がかご1に設けられた構成であってもよい。この構成によれば、かご1が最上階にある場合には、油貯留部材605または油貯留部材615から油芯部材603に供給されたチェーン用潤滑油が、油芯部材603の長手方向の中心部分よりもつり合いおもり3側の部分にまで供給される。また、チェーン潤滑油供給部材604がかご1およびつり合いおもり3の両方に設けられた構成であってもよい。この構成によれば、かご1が最下階と最上階との間で移動することによって、油芯部材603の長手方向の全領域にチェーン用潤滑油を供給することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 かご、2 昇降路、3 つり合いおもり、4 つり合いおもり用ガイドレール、5 ロープ、6 コンペンチェーン装置、7 巻上機、8 かご側返し車、9 つり合いおもり側返し車、101 かご本体、102 かご吊り車、201 天井、202 床、301 つり合いおもり本体、302 つり合いおもり吊り車、303 ガイド装置、304 ガイド装置、305 取付金具、306 第1締着部材、307 ガイドシュー、308 第2締着部材、309 第1平板部、310 第2平板部、311 ボルト、312 貫通孔、313 ボルト、314 ナット、315 貫通孔、316 ガイドシュー外れ止め部材、317 第4締着部材、601 コンペンチェーン、602 チェーン本体、603 油芯部材、604 チェーン潤滑油供給部材、605 油貯留部材、606 支持部材、607 側壁、608 貫通孔、609 油芯部材取付部材、610 底板、611 第3締着部材、612 第5締着部材、613 ねじ棒、614 ナット、615 油貯留部材、616 油貯留部材支持部材、617 側壁、618 貫通孔。