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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141201
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230928BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047402
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 正記
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770HA02Y
5H770KA01Y
5H770LA02Y
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】1つの相が過電流となった場合に、他の相に接続されている負荷が影響を受けることを抑制できる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、第1相アーム、第2相アーム及び第3相アームを含むブリッジ回路と、第1相の電流を検出する第1相電流検出部と、第2相の電流を検出する第2相電流検出部と、第3相の電流を検出する第3相電流検出部と、第1相アーム、第2相アーム及び第3相アームをスイッチング動作させる制御回路と、を含む。制御回路は、第1相の電流が過電流であることを検出した場合に、第1相アームを停止させ、第2相の電流が過電流であることを検出した場合に、第2相アームを停止させ、第3相の電流が過電流であることを検出した場合に、第1相アーム、第2相アーム、第3相アームを停止させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1相と第3相との間に交流電圧を出力し、第2相と第3相との間に交流電圧を出力する電源装置であって、
第1相アーム、第2相アーム及び第3相アームを含むブリッジ回路と、
第1相の電流を検出する第1相電流検出部と、
第2相の電流を検出する第2相電流検出部と、
第3相の電流を検出する第3相電流検出部と、
前記第1相アーム、前記第2相アーム及び前記第3相アームをスイッチング動作させる制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
第1相の電流が過電流であることを検出した場合に、前記第1相アームを停止させ、
第2相の電流が過電流であることを検出した場合に、前記第2相アームを停止させる、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
第3相の電流が過電流であることを検出した場合に、前記第1相アーム、前記第2相アーム及び前記第3相アームを停止させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
正の前記第1相の過電流閾値と、正の前記第2相の過電流閾値とは同じ値であり、負の前記第1相の過電流閾値と、負の前記第2相の過電流閾値とは同じ値である、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
正の前記第3相の過電流閾値は、正の前記第1相の過電流閾値及び正の前記第2相の過電流閾値よりも大きく、負の前記第3相の過電流閾値は、負の前記第1相の過電流閾値及び負の前記第2相の過電流閾値よりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記第1相アームにスイッチング信号を出力する第1相スイッチング信号出力部と、
前記第2相アームにスイッチング信号を出力する第2相スイッチング信号出力部と、
前記第3相アームにスイッチング信号を出力する第3相スイッチング信号出力部と、
前記第1相が過電流であることを検出した場合に、第1相過電流検出信号を前記第1相スイッチング信号出力部に出力する第1相過電流検出部と、
前記第2相が過電流であることを検出した場合に、第2相過電流検出信号を前記第2相スイッチング信号出力部に出力する第2相過電流検出部と、
前記第3相が過電流であることを検出した場合に、第3相過電流検出信号を前記第1相スイッチング信号出力部、前記第2相スイッチング信号出力部及び前記第3相スイッチング信号出力部に出力する第3相過電流検出部と、
を含み、
前記第1相スイッチング信号出力部は、
前記第1相過電流検出信号又は前記第3相過電流検出信号が入力された場合に、前記第1相アームへのスイッチング信号の出力を停止し、
前記第2相スイッチング信号出力部は、
前記第2相過電流検出信号又は前記第3相過電流検出信号が入力された場合に、前記第2相アームへのスイッチング信号の出力を停止し、
前記第3相スイッチング信号出力部は、
前記第3相過電流検出信号が入力された場合に、前記第3相アームへのスイッチング信号の出力を停止する、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、過電流を検出した場合に、全部のアームのスイッチング動作を停止するインバータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/147801号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、単相3線式インバータにおいて、1つの相(例えば、U相)が過電流となった場合に全部のアームを停止することとすると、他の相(例えば、V相)とN相との間の交流電圧出力も停止してしまい、他の相に接続されている負荷が影響を受けてしまう。
【0005】
本発明は、1つの相が過電流となった場合に、他の相に接続されている負荷が影響を受けることを抑制できる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電源装置は、
第1相と第3相との間に交流電圧を出力し、第2相と第3相との間に交流電圧を出力する電源装置であって、
第1相アーム、第2相アーム及び第3相アームを含むブリッジ回路と、
第1相の電流を検出する第1相電流検出部と、
第2相の電流を検出する第2相電流検出部と、
第3相の電流を検出する第3相電流検出部と、
前記第1相アーム、前記第2相アーム及び前記第3相アームをスイッチング動作させる制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、
第1相の電流が過電流であることを検出した場合に、前記第1相アームを停止させ、
第2相の電流が過電流であることを検出した場合に、前記第2相アームを停止させる、
ことを特徴とする。
【0007】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
第3相の電流が過電流であることを検出した場合に、前記第1相アーム、前記第2相アーム及び前記第3相アームを停止させる、
ことを特徴とする。
【0008】
前記電源装置において、
正の前記第1相の過電流閾値と、正の前記第2相の過電流閾値とは同じ値であり、負の前記第1相の過電流閾値と、負の前記第2相の過電流閾値とは同じ値である、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
正の前記第3相の過電流閾値は、正の前記第1相の過電流閾値及び正の前記第2相の過電流閾値よりも大きく、負の前記第3相の過電流閾値は、負の前記第1相の過電流閾値及び負の前記第2相の過電流閾値よりも小さい、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記第1相アームにスイッチング信号を出力する第1相スイッチング信号出力部と、
前記第2相アームにスイッチング信号を出力する第2相スイッチング信号出力部と、
前記第3相アームにスイッチング信号を出力する第3相スイッチング信号出力部と、
前記第1相が過電流であることを検出した場合に、第1相過電流検出信号を前記第1相スイッチング信号出力部に出力する第1相過電流検出部と、
前記第2相が過電流であることを検出した場合に、第2相過電流検出信号を前記第2相スイッチング信号出力部に出力する第2相過電流検出部と、
前記第3相が過電流であることを検出した場合に、第3相過電流検出信号を前記第1相スイッチング信号出力部、前記第2相スイッチング信号出力部及び前記第3相スイッチング信号出力部に出力する第3相過電流検出部と、
を含み、
前記第1相スイッチング信号出力部は、
前記第1相過電流検出信号又は前記第3相過電流検出信号が入力された場合に、前記第1相アームへのスイッチング信号の出力を停止し、
前記第2相スイッチング信号出力部は、
前記第2相過電流検出信号又は前記第3相過電流検出信号が入力された場合に、前記第2相アームへのスイッチング信号の出力を停止し、
前記第3相スイッチング信号出力部は、
前記第3相過電流検出信号が入力された場合に、前記第3相アームへのスイッチング信号の出力を停止する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様の電源装置は、1つの相が過電流となった場合に、他の相に接続されている負荷が影響を受けることを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、比較例の電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、比較例の電源装置の各部の波形を示す図である。
図3図3は、実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
図4図4は、実施の形態の電源装置の各部の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の電源装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
<実施の形態及び比較例>
以下、実施の形態について説明するが、実施の形態の理解を容易にするために、比較例について先に説明する。
【0015】
(比較例)
図1は、比較例の電源装置の構成を示す図である。電源装置100は、単相3線式コンバータである。
【0016】
電源装置100は、交流電源2から出力され整流回路3で整流されコンデンサ4で平滑化後の電圧VINの供給を受けて、平滑フィルタ5を介して負荷6及び負荷7に電力を出力する。
【0017】
電源装置100は、ブリッジ回路11と、制御回路12と、U相電流検出部13と、V相電流検出部13と、N相電流検出部13と、を含む。
【0018】
U相電流検出部13が、本開示の「第1相電流検出部」の一例に相当する。V相電流検出部13が、本開示の「第2相電流検出部」の一例に相当する。N相電流検出部13が、本開示の「第3相電流検出部」の一例に相当する。
【0019】
ブリッジ回路11は、U相アーム21と、V相アーム21と、N相アーム21と、を含む。
【0020】
U相アーム21が、本開示の「第1相アーム」の一例に相当する。V相アーム21が、本開示の「第2相アーム」の一例に相当する。N相アーム21が、本開示の「第3相アーム」の一例に相当する。
【0021】
U相アーム21は、ハイサイドのトランジスタTr1と、ローサイドのトランジスタTr2と、を含む。V相アーム21は、ハイサイドのトランジスタTr3と、ローサイドのトランジスタTr4と、を含む。N相アーム21は、ハイサイドのトランジスタTr5と、ローサイドのトランジスタTr6と、を含む。
【0022】
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0023】
各トランジスタは、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。
【0024】
トランジスタTr1のソースは、トランジスタTr2のドレインに電気的に接続されている。トランジスタTr3のソースは、トランジスタTr4のドレインに電気的に接続されている。トランジスタTr5のソースは、トランジスタTr6のドレインに電気的に接続されている。
【0025】
トランジスタTr1のドレイン、トランジスタTr3のドレイン及びトランジスタTr5のドレインは、ブリッジ回路11の第1入力端子11aに電気的に接続されている。第1入力端子11aは、コンデンサ4の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。
【0026】
トランジスタTr2のソース、トランジスタTr4のソース及びトランジスタTr6のソースは、ブリッジ回路11の第2入力端子11bに電気的に接続されている。第2入力端子11bは、コンデンサ4の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0027】
ブリッジ回路11の第1入力端子11a及び第2入力端子11bには、コンデンサ4の電圧VINが入力される。
【0028】
トランジスタTr1からトランジスタTr6までのゲートには、制御回路12からスイッチング信号が入力される。
【0029】
トランジスタTr1のソース及びトランジスタTr2のドレインは、ブリッジ回路11の第1出力端子11cに電気的に接続されている。第1出力端子11cは、U相出力線14の一端に電気的に接続されている。U相アーム21は、U相電流IをU相出力線14に出力する。
【0030】
トランジスタTr3のソース及びトランジスタTr4のドレインは、ブリッジ回路11の第2出力端子11dに電気的に接続されている。第2出力端子11dは、V相出力線14の一端に電気的に接続されている。V相アーム21は、V相電流IをV相出力線14に出力する。
【0031】
トランジスタTr5のソース及びトランジスタTr6のドレインは、ブリッジ回路11の第3出力端子11eに電気的に接続されている。第3出力端子11eは、N相出力線14の一端に電気的に接続されている。N相アーム21は、N相電流IをN相出力線14に出力する。
【0032】
U相電流検出部13は、U相電流Iを検出し、U相電流検出信号S1Uを制御回路12に出力する。V相電流検出部13は、V相電流Iを検出し、V相電流検出信号S1Vを制御回路12に出力する。N相電流検出部13は、N相電流Iを検出し、N相電流検出信号S1Nを制御回路12に出力する。
【0033】
負荷6には、U相出力線14とN相出力線14との間の線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧が印加される。負荷7には、V相出力線14とN相出力線14との間の線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧が印加される。
【0034】
制御回路12は、PWM(Pulse Width Modulation)信号出力部31と、U相過電流検出部32と、V相過電流検出部32と、N相過電流検出部32と、U相スイッチング信号出力部33と、V相スイッチング信号出力部33と、N相スイッチング信号出力部33と、を含む。
【0035】
PWM信号出力部31は、U相PWM信号PをU相スイッチング信号出力部33に出力し、V相PWM信号PをV相スイッチング信号出力部33に出力し、N相PWM信号PをN相スイッチング信号出力部33に出力する。
【0036】
U相過電流検出部32には、U相電流検出信号S1UがU相電流検出部13から入力される。U相過電流検出部32には、正のU相過電流閾値及び負のU相過電流閾値が設定されている。U相過電流検出部32は、U相電流検出信号S1Uと正及び負のU相過電流閾値とを比較する。そして、U相過電流検出部32は、U相電流検出信号S1Uが正のU相過電流閾値以上又はU相電流検出信号S1Uが負のU相過電流閾値以下の場合には、U相過電流検出信号S2Uを、U相スイッチング信号出力部33、V相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33に、出力する。
【0037】
V相過電流検出部32には、V相電流検出信号S1VがV相電流検出部13から入力される。V相過電流検出部32には、正のV相過電流閾値及び負のV相過電流閾値が設定されている。V相過電流検出部32は、V相電流検出信号S1Vと正及び負のU相過電流閾値とを比較する。そして、V相過電流検出部32は、V相電流検出信号S1Vが正のV相過電流閾値以上又はV相電流検出信号S1Vが負のV相過電流閾値以下の場合には、V相過電流検出信号S2Vを、U相スイッチング信号出力部33、V相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33に、出力する。
【0038】
N相過電流検出部32には、N相電流検出信号S1NがN相電流検出部13から入力される。N相過電流検出部32には、正のN相過電流閾値及び負のN相過電流閾値が設定されている。N相過電流検出部32は、N相電流検出信号S1Nと正及び負のU相過電流閾値とを比較する。そして、N相過電流検出部32は、N相電流検出信号S1Nが正のN相過電流閾値以上又はN相電流検出信号S1Nが負のN相過電流閾値以下の場合には、N相過電流検出信号S2Nを、U相スイッチング信号出力部33、V相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33に、出力する。
【0039】
正のU相過電流閾値と、正のV相過電流閾値と、正のN相過電流閾値と、は同じであることが例示される。負のU相過電流閾値と、負のV相過電流閾値と、負のN相過電流閾値と、は同じであることが例示される。
【0040】
U相スイッチング信号出力部33は、U相過電流検出信号S2U、V相過電流検出信号S2V及びN相過電流検出信号S2Nが入力されていない場合には、U相PWM信号PをU相アーム21に出力する。これにより、U相アーム21は、スイッチング動作し、U相電流IをU相出力線14に出力する。
【0041】
U相スイッチング信号出力部33は、U相過電流検出信号S2U、V相過電流検出信号S2V又はN相過電流検出信号S2Nが入力されている場合には、U相PWM信号PをU相アーム21に出力しない。これにより、U相アーム21は、スイッチング動作せず、U相電流IをU相出力線14に出力しない。
【0042】
V相スイッチング信号出力部33は、U相過電流検出信号S2U、V相過電流検出信号S2V及びN相過電流検出信号S2Nが入力されていない場合には、V相PWM信号PをV相アーム21に出力する。これにより、V相アーム21は、スイッチング動作し、V相電流IをV相出力線14に出力する。
【0043】
V相スイッチング信号出力部33は、U相過電流検出信号S2U、V相過電流検出信号S2V又はN相過電流検出信号S2Nが入力されている場合には、V相PWM信号PをV相アーム21に出力しない。これにより、V相アーム21は、スイッチング動作せず、V相電流IをV相出力線14に出力しない。
【0044】
N相スイッチング信号出力部33は、U相過電流検出信号S2U、V相過電流検出信号S2V及びN相過電流検出信号S2Nが入力されていない場合には、N相PWM信号PをN相アーム21に出力する。これにより、N相アーム21は、スイッチング動作し、N相電流IをN相出力線14に出力する。
【0045】
N相スイッチング信号出力部33は、U相過電流検出信号S2U、V相過電流検出信号S2V又はN相過電流検出信号S2Nが入力されている場合には、N相PWM信号PをN相アーム21に出力しない。これにより、N相アーム21は、スイッチング動作せず、N相電流IをN相出力線14に出力しない。
【0046】
図2は、比較例の電源装置の各部の波形を示す図である。
【0047】
波形200は、U相電流Iを表す。波形201は、N相電流Iを表す。波形202は、V相電流Iを表す。
【0048】
波形203は、U相アーム21に供給されるPWM信号を表す。波形204は、N相アーム21に供給されるPWM信号を表す。波形205は、V相アーム21に供給されるPWM信号を表す。
【0049】
波形206は、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧を表す。波形207は、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧を表す。
【0050】
線208は、正のU相過電流閾値を表す。線209は、負のU相過電流閾値を表す。線210は、正のN相過電流閾値を表す。線211は、負のN相過電流閾値を表す。線212は、正のV相過電流閾値を表す。線213は、負のV相過電流閾値を表す。
【0051】
タイミングtにおいて、U相電流I(波形200)が正のU相過電流閾値(線208)以上になると、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uを、U相スイッチング信号出力部33、V相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33に出力する。
【0052】
従って、波形203で示すように、U相スイッチング信号出力部33は、U相アーム21へのPWM信号の出力を停止する。同様に、波形204で示すように、N相スイッチング信号出力部33は、N相アーム21へのPWM信号の出力を停止する。同様に、波形205で示すように、V相スイッチング信号出力部33は、V相アーム21へのPWM信号の出力を停止する。
【0053】
これにより、波形206で示すように、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、上昇しなくなり、正弦波ではなくなる。また、波形207で示すように、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、下降しなくなり、正弦波ではなくなる。
【0054】
タイミングtにおいて、U相電流I(波形200)が正のU相過電流閾値(線208)未満になると、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uの出力を停止する。
【0055】
従って、波形203で示すように、U相スイッチング信号出力部33は、U相アーム21へのPWM信号の出力を開始する。同様に、波形204で示すように、N相スイッチング信号出力部33は、N相アーム21へのPWM信号の出力を開始する。同様に、波形205で示すように、V相スイッチング信号出力部33は、V相アーム21へのPWM信号の出力を開始する。
【0056】
これにより、波形206で示すように、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、正弦波に戻る。同様に、波形207で示すように、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧も、正弦波に戻る。
【0057】
タイミングtにおいて、U相電流I(波形200)が負のU相過電流閾値(線209)以下になると、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uを、U相スイッチング信号出力部33、V相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33に出力する。
【0058】
従って、波形203で示すように、U相スイッチング信号出力部33は、U相アーム21へのPWM信号の出力を停止する。同様に、波形204で示すように、N相スイッチング信号出力部33は、N相アーム21へのPWM信号の出力を停止する。同様に、波形205で示すように、V相スイッチング信号出力部33は、V相アーム21へのPWM信号の出力を停止する。
【0059】
これにより、波形206で示すように、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、下降しなくなり、正弦波ではなくなる。また、波形207で示すように、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、上昇しなくなり、正弦波ではなくなる。
【0060】
タイミングtにおいて、U相電流I(波形200)が負のU相過電流閾値(線209)より大きくなると、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uの出力を停止する。
【0061】
従って、波形203で示すように、U相スイッチング信号出力部33は、U相アーム21へのPWM信号の出力を開始する。同様に、波形204で示すように、N相スイッチング信号出力部33は、N相アーム21へのPWM信号の出力を開始する。同様に、波形205で示すように、V相スイッチング信号出力部33は、V相アーム21へのPWM信号の出力を開始する。
【0062】
これにより、波形206で示すように、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、正弦波に戻る。同様に、波形207で示すように、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧も、正弦波に戻る。
【0063】
このように、電源装置100は、負荷6が過負荷となり、U相電流Iが正のU相過電流閾値以上又はU相電流Iが負のU相過電流閾値以下になると、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧にも影響を与え、U相に接続されていない負荷7にも影響を与えてしまう。
【0064】
(実施の形態)
実施の形態の構成要素のうち、比較例と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図3は、実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【0066】
電源装置1は、電源装置100(図1参照)と比較して、制御回路12に代えて、制御回路12Aを含む。
【0067】
制御回路12Aでは、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uを、U相スイッチング信号出力部33に出力し、V相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33には出力しない。
【0068】
V相過電流検出部32は、V相過電流検出信号S2Vを、V相スイッチング信号出力部33に出力し、U相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33には出力しない。
【0069】
なお、U相及びV相は、対称性の観点から、過電流が検出される条件が同じであることが好ましい。そこで、正のU相過電流閾値と、正のV相過電流閾値と、は同じであることが好ましい。同様に、負のU相過電流閾値と、負のV相過電流閾値と、は同じであることが好ましい。
【0070】
また、正及び負のN相過電流閾値を、正及び負のU相及びV相過電流閾値と同じとすると、例えば、U相で過電流が検出された場合に、N相でも過電流が検出されてしまう。そうすると、V相アーム21及びN相アーム21も停止してしまう。そこで、正のN相過電流閾値は、正のU相及びV相過電流閾値よりも大きいことが好ましい。また、負のN相過電流閾値は、負のU相及びV相過電流閾値よりも小さいことが好ましい。
【0071】
これにより、例えば、U相で過電流が検出されたとしても、N相で過電流が検出されないので、V相アーム21及びN相アーム21は動作を継続できる。
【0072】
図4は、実施の形態の電源装置の各部の波形を示す図である。
【0073】
波形220は、U相電流Iを表す。波形221は、N相電流Iを表す。波形222は、V相電流Iを表す。
【0074】
波形223は、U相アーム21に供給されるPWM信号を表す。波形224は、N相アーム21に供給されるPWM信号を表す。波形225は、V相アーム21に供給されるPWM信号を表す。
【0075】
波形226は、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧を表す。波形227は、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧を表す。
【0076】
線228は、正のU相過電流閾値を表す。線229は、負のU相過電流閾値を表す。線230は、正のN相過電流閾値を表す。線231は、負のN相過電流閾値を表す。線232は、正のV相過電流閾値を表す。線233は、負のV相過電流閾値を表す。
【0077】
タイミングt10において、U相電流I(波形220)が正のU相過電流閾値(線228)以上になると、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uを、U相スイッチング信号出力部33に出力する。
【0078】
従って、波形223で示すように、U相スイッチング信号出力部33は、U相アーム21へのPWM信号の出力を停止する。
【0079】
これにより、波形226で示すように、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、上昇しなくなり、正弦波ではなくなる。
【0080】
しかし、N相スイッチング信号出力部33には、U相過電流検出信号S2Uが入力されない。従って、波形224で示すように、N相スイッチング信号出力部33は、N相アーム21へのPWM信号の出力を継続する。同様に、V相スイッチング信号出力部33には、U相過電流検出信号S2Uが入力されない。従って、波形225で示すように、V相スイッチング信号出力部33は、V相アーム21へのPWM信号の出力を継続する。
【0081】
これにより、波形227で示すように、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、正弦波に維持される。
【0082】
なお、このとき、負のN相過電流閾値が、負のU相過電流閾値及び負のV相過電流閾値よりも小さな値に設定されているので、N相過電流検出部32は、N相過電流検出信号S2Nを出力しない。
【0083】
タイミングt11において、U相電流I(波形220)が正のU相過電流閾値(線228)未満になると、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uの出力を停止する。
【0084】
従って、波形223で示すように、U相スイッチング信号出力部33は、U相アーム21へのPWM信号の出力を開始する。
【0085】
これにより、波形226で示すように、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、正弦波に戻る。
【0086】
タイミングt12において、U相電流I(波形220)が負のU相過電流閾値(線229)以下になると、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uを、U相スイッチング信号出力部33に出力する。
【0087】
従って、波形223で示すように、U相スイッチング信号出力部33は、U相アーム21へのPWM信号の出力を停止する。
【0088】
これにより、波形226で示すように、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、下降しなくなり、正弦波ではなくなる。
【0089】
しかし、N相スイッチング信号出力部33には、U相過電流検出信号S2Uが入力されない。従って、波形224で示すように、N相スイッチング信号出力部33は、N相アーム21へのPWM信号の出力を継続する。同様に、V相スイッチング信号出力部33には、U相過電流検出信号S2Uが入力されない。従って、波形225で示すように、V相スイッチング信号出力部33は、V相アーム21へのPWM信号の出力を継続する。
【0090】
これにより、波形227で示すように、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、正弦波に維持される。
【0091】
なお、このとき、正のN相過電流閾値が、正のU相過電流閾値及び正のV相過電流閾値よりも大きな値に設定されているので、N相過電流検出部32は、N相過電流検出信号S2Nを出力しない。
【0092】
タイミングt13において、U相電流I(波形220)が負のU相過電流閾値(線229)より大きくなると、U相過電流検出部32は、U相過電流検出信号S2Uの出力を停止する。
【0093】
従って、波形223で示すように、U相スイッチング信号出力部33は、U相アーム21へのPWM信号の出力を開始する。
【0094】
これにより、波形226で示すように、線間電圧VUNを平滑フィルタ5で平滑した電圧は、正弦波に戻る。
【0095】
なお、図4では例示していないが、V相電流Iが正のV相過電流閾値以上又は負のV相過電流閾値以下になった場合、V相過電流検出部32は、V相過電流検出信号S2Vを、V相スイッチング信号出力部33に出力する。これにより、V相スイッチング信号出力部33は、PWM信号の出力を停止し、V相アーム21は、スイッチング動作を停止する。
【0096】
また、N相電流Iが正のN相過電流閾値以上又は負のN相過電流閾値以下になった場合、負荷6及び負荷7がダメージを受けることを抑制するために、全部の相を停止することが好ましい。従って、N相過電流検出部32は、N相過電流検出信号S2Nを、U相スイッチング信号出力部33、V相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33に出力する。これにより、U相スイッチング信号出力部33、V相スイッチング信号出力部33及びN相スイッチング信号出力部33は、PWM信号の出力を停止し、U相アーム21、V相アーム21及びN相アーム21は、スイッチング動作を停止する。
【0097】
以上説明したように、電源装置1は、負荷6が過負荷となり、U相電流Iが正のU相過電流閾値以上又はU相電流Iが負のU相過電流閾値以下になっても、線間電圧VVNを平滑フィルタ5で平滑した電圧に影響を与えることを抑制でき、U相に接続されていない負荷7に影響を与えることを抑制できる。
【0098】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0099】
1、100 電源装置
2 交流電源
3 整流回路
4 コンデンサ
5 平滑フィルタ
6、7 負荷
11 ブリッジ回路
12 制御回路
13 U相電流検出部
13 V相電流検出部
13 N相電流検出部
21 U相アーム
21 V相アーム
21 N相アーム
31 PWM信号出力部
32 U相過電流検出部
32 V相過電流検出部
32 N相過電流検出部
33 U相スイッチング信号出力部
33 V相スイッチング信号出力部
33 N相スイッチング信号出力部
図1
図2
図3
図4