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特開2023-141222半導体装置および半導体装置の製造方法
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  • 特開-半導体装置および半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-半導体装置および半導体装置の製造方法 図2A
  • 特開-半導体装置および半導体装置の製造方法 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141222
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20230928BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L29/06 301S
H01L29/06 301G
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 653A
H01L29/78 655F
H01L29/78 652P
H01L29/78 652J
H01L29/78 655A
H01L29/44 Y
H01L21/90 M
H01L29/91 B
H01L29/91 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047433
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】井上 絵美子
(72)【発明者】
【氏名】岸田 基也
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 茂昭
(72)【発明者】
【氏名】前多 和詩
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
【Fターム(参考)】
4M104BB02
4M104BB36
4M104CC01
4M104EE05
4M104EE12
4M104EE17
4M104FF10
4M104FF35
4M104FF37
4M104GG02
4M104GG06
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH18
5F033HH08
5F033HH32
5F033JJ01
5F033JJ08
5F033JJ32
5F033KK03
5F033KK08
5F033RR04
5F033RR06
5F033SS04
5F033SS11
5F033TT02
5F033VV09
5F033XX31
(57)【要約】
【課題】半絶縁性膜の導電率の上昇を抑制することが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置は、半導体層と、導電膜と、第1絶縁膜と、第2絶縁膜と、を備える。半導体層は、半導体素子が設けられた素子領域および前記素子領域を囲む終端領域を有する。導電膜は、前記素子領域上および前記終端領域上に設けられている。第1絶縁膜は、前記終端領域上および前記終端領域に隣接する部分の前記素子領域上において前記導電膜上に設けられている。前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の抵抗率よりも低く、かつ、前記導電膜の抵抗率よりも高い抵抗率を有する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が設けられた素子領域および前記素子領域を囲む終端領域を有する半導体層と、
前記素子領域上および前記終端領域上に設けられた導電膜と、
前記終端領域上および前記終端領域に隣接する部分の前記素子領域上において前記導電膜上に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の抵抗率よりも低く、かつ、前記導電膜の抵抗率よりも高い抵抗率を有する第2絶縁膜と、を備える半導体装置。
【請求項2】
前記素子領域側の前記第2絶縁膜の少なくとも一部を除く前記第2絶縁膜上に設けられた第3絶縁膜をさらに備え、
前記第2絶縁膜は、前記素子領域側の前記第2絶縁膜の側壁および前記第2絶縁膜の少なくとも一部の上面において前記導電膜と接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記素子領域側の前記第2絶縁膜の縁部の少なくとも一部を除く前記第2絶縁膜上に設けられた第3絶縁膜をさらに備え、
前記第2絶縁膜は、前記素子領域側の前記第2絶縁膜の側壁において前記導電膜と接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導電膜は、前記素子領域上に設けられた第1電極を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜上および前記第1絶縁膜よりも前記素子領域から離間した前記半導体層上に設けられ、
前記素子領域から離間した前記半導体層上において、前記第2絶縁膜は前記半導体層に接している、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記導電膜は、前記第1電極から離間して前記終端領域上に設けられ、前記素子領域に設けられた第2電極に接続された配線部を更に有する請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁膜は、前記第1電極と、前記配線部と、前記第1電極と前記配線部との間の前記半導体層の上に設けられている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体層の素子領域上および終端領域上に第1導電膜を形成し、
電極の少なくとも一部が形成されるように前記第1導電膜を加工し、
前記加工された第1導電膜上に第1絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜上に、前記第1絶縁膜の抵抗率よりも低く、かつ、前記第1導電膜の抵抗率よりも高い抵抗率を有する第2絶縁膜を形成し、
前記第1絶縁膜の一部および前記第2絶縁膜の一部を除去し、前記素子領域上の前記第1導電膜の一部を露出させる、ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成し、
前記素子領域側の前記第2絶縁膜の少なくとも一部において前記第2絶縁膜の上面を露出させるように前記第3絶縁膜を加工し、
前記素子領域側の前記第2絶縁膜の側壁および前記第3絶縁膜から露出した前記第2絶縁膜の上面と接し、かつ、前記素子領域上において前記第1導電膜に接するように第2導電膜を形成する、ことを更に含む、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体の終端構造では、耐圧性を確保するために電極および配線などの金属膜上に半絶縁性膜(SInSiN膜: Semi-Insulating Silicon Nitride膜)を設けることがある。しかしながら、半絶縁性膜の成膜時に金属膜中の金属と半絶縁性膜中のSiとが反応することで、半絶縁性膜の導電率が上昇して電極および配線の短絡が生じることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5921784号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半絶縁性膜の導電率の上昇を抑制することが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、半導体層と、導電膜と、第1絶縁膜と、第2絶縁膜と、を備える。半導体層は、半導体素子が設けられた素子領域および前記素子領域を囲む終端領域を有する。導電膜は、前記素子領域上および前記終端領域上に設けられている。第1絶縁膜は、前記終端領域上および前記終端領域に隣接する部分の前記素子領域上において前記導電膜上に設けられている。第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の抵抗率よりも低く、かつ、前記導電膜の抵抗率よりも高い抵抗率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による半導体装置を示す平面図である。
図2A】第1実施形態による半導体装置を示す断面図である。
図2B図2Bは、図2Aの部分拡大断面図である。
図3】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図4図3に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図5図4に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図6図5に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図7図6に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図8図7に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図9】第2実施形態による半導体装置を示す平面図である。
図10】第2実施形態による半導体装置を示す断面図である。
図11】第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図12】第3実施形態による半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態による半導体装置1を示す平面図である。図2Aは、第1実施形態による半導体装置1を示す断面図である。図2Aは、図1のII-II断面図である。
【0008】
以下、第1導電型がN型、第2導電型がP型である場合を例に説明する。また、以下の説明において、N-、N+、N、P-、P+、Pの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な関係を示す。すなわち+はNよりもN型の不純物濃度が相対的に高く、N-はNよりもN型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、P+はPよりもP型の不純物濃度が相対的に高く、P-はPよりもP型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、N+型、N-型を単にN型、P+型、P-型を単にP型と記載する場合もある。
【0009】
第1実施形態による半導体装置1は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に適用することができる。半導体装置1は、FRD(Fast Recovery Diode)(図12参照)に適用してもよい。図2Aに示すように、半導体装置1は、半導体層2と、層間絶縁膜3と、導電膜4と、第1絶縁膜5と、SINSiN膜(第2絶縁膜)6と、SiN膜7(第3絶縁膜)と、コレクタ電極8とを備える。導電膜4は、エミッタ電極41と、ゲート配線42と、フィールドプレート43とを有する。
【0010】
以下の説明において、コレクタ電極8から半導体層2に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。また、Z方向と直交する方向をX方向(第2方向)、X方向及びZ方向と直交する方向をY方向(第3方向)とする。図1に示す半導体装置1はX-Y平面における断面図を示している。図2A、及び図2Bに示す半導体装置1はX-Z平面における断面図を示している。なお、X方向、Y方向、及びZ方向は本実施形態では直交関係で示しているが直交に限定されず、互いに交差する関係であればよい。以下、説明では、コレクタ電極8から半導体層2に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。
【0011】
図1に示すように、半導体層2は、半導体素子(第1実施形態においては、半導体層2と、後述するゲート電極23と、エミッタ電極41と、コレクタ電極8とを有するトランジスタ)が設けられた素子領域R1と、素子領域R1を囲む終端領域R2とを有する。半導体層2は、N型不純物を含む。図2Aに示すように、半導体層2の素子領域R1の上には、半導体層2のN型不純物の濃度(N-)よりも高い濃度(N)のN型不純物を含む不純物層(バリア層)21が設けられている。半導体層2よりもN型不純物濃度の高いバリア層21を、エミッタ電極41側に設けることにより、半導体装置1がオン状態の際に、半導体層2の中のホールがエミッタ電極41への排出が制限される。したがって、半導体層2のエミッタ電極41側のキャリア濃度が高くなる。よって、半導体装置1のオン抵抗が低減する。なお、本実施形態において、不純物層21は設けなくても実施可能である。不純物層21の上には、P型不純物を含むウエル層22が設けられている。
【0012】
図2Bは、図2Aの部分的拡大断面図である。図2Bにおいて、半導体層2および半導体層2に設けられた不純物領域には、それぞれの導電型が図示されている。図2Bに示すように、ウエル層22の上には、N型不純物を含むエミッタ層221と、P型不純物を含むコンタクト層222とが選択的に設けられている。素子領域R1において、エミッタ層221およびコンタクト層222は、エミッタ電極41とオーミック接触している。より具体的には、エミッタ層221およびコンタクト層222は、層間絶縁膜3を貫通するエミッタ電極41のコンタクト41cを介してエミッタ電極41とオーミック接触している。また、半導体層2の素子領域R1には、半導体層2の上面からウエル層22および不純物層21を貫通して半導体層2内(すなわち、ドリフト領域)に達するまでゲート電極23が設けられている。ゲート電極23は、X方向に間隔を空けて複数設けられている。各ゲート電極23は、Y方向に延びている。ゲート電極23の側面には、ゲート絶縁膜231が設けられている。すなわち、X方向において、ゲート電極23はウエル層22とゲート絶縁膜231を介して接している。図示した例では、ゲート電極23は、エミッタ層221の一部、不純物層21、及び半導体層2の一部ともゲート絶縁膜231を介して接している。ゲート電極23は、ゲート絶縁膜231、及び後述する層間絶縁膜3によってエミッタ電極41から電気的に絶縁されている。なお、図2Aにおいては、ゲート絶縁膜231の図示を省略している。
【0013】
また、半導体層2の上には、素子領域R1の外縁から終端領域R2の内縁にわたって、P型不純物を含むガードリング25が素子領域R1を囲むように設けられている。ガードリング25のP型不純物の濃度(P+)は、ウエル層22のP型不純物の濃度(P)より高くてもよい。ガードリング25が設けられていることで、最外周のゲート電極23の底部に電界集中が生じることを抑制することができ、半導体装置1の耐圧を有効に保持することができる。
【0014】
また、半導体層2の上におけるガードリング25の外側の終端領域R2には、ガードリング25のP型不純物の濃度(P+)よりも低い濃度(P-)のP型不純物を含むリサーフ領域26が設けられている。リサーフ領域26は、素子領域R1を囲むように設けられている。リサーフ領域26は、ガードリング25の外縁に接している。リサーフ領域26が設けられていることで、ガードリング25の外縁の電界を緩和することができ、半導体装置1の耐圧をより有効に保持することができる。
【0015】
また、半導体層2の下には、半導体層2のN型不純物の濃度(N-)よりも高い濃度(N)のN型不純物を含むバッファ層28が設けられている。バッファ層28は、半導体装置1のオフ状態の際に、空乏層の伸びを抑制する機能を有する。バッファ層28の下には、P型不純物を含むコレクタ層29が設けられている。コレクタ電極8は、コレクタ層29に接するように半導体層2の下面に設けられている。コレクタ電極8は、コレクタ層29と電気的に接続されている。
【0016】
層間絶縁膜3は、半導体層2の上面に接するように半導体層2上に部分的に設けられている。図2Aに示される例において、層間絶縁膜3は、エミッタ電極41のコンタクト41cが設けれた位置、後述するフィールドプレート43のコンタクト43aが設けられた位置、および、半導体層2の上面に直接接する部分のSINSiN膜6が設けられた位置を除いて、部分的に半導体層2上に設けられている。層間絶縁膜3は、例えば、シリコン酸化膜であってもよい。
【0017】
導電膜4は、エミッタ電極41と、ゲート配線42と、フィールドプレート43とを有する。導電膜4は、層間絶縁膜3の上、及び半導体層2の上に設けられている。
【0018】
エミッタ電極41は、素子領域R1において層間絶縁膜3上及び半導体層2に設けられている。エミッタ電極41は、終端領域R2側に設けられた外縁部分41aと、素子領域R1側に設けられた中央部分41bを有する。エミッタ電極41の外縁部分41aは、層間絶縁膜3及び半導体層2と、後述する第1絶縁膜5との間に設けられている。エミッタ電極41の中央部分41bの一部は、終端領域R2側において、後述するSiN膜7の上に設けられている。なお、図2Aに示すように、エミッタ電極41の外縁部分41aは、エミッタ電極41の中央部分41bよりもZ方向における厚みが薄い。エミッタ電極41は、例えば、アルミニウム電極である。
【0019】
ゲート配線42は、終端領域R2において層間絶縁膜3上に設けられている。ゲート配線42は、エミッタ電極41の外側にエミッタ電極41から離間して設けられている。ゲート配線42は、素子領域R1の外周縁に沿って素子領域R1を囲むように設けられている。ゲート配線42は、ゲート電極23のY方向の端部においてゲート電極23と電気的に接続されている。ゲート配線42は、不図示のゲートパッドに接続されている。ゲート配線42は、層間絶縁膜3により、エミッタ電極41と電気的に分離される。ゲート配線42は、例えば、アルミニウム電極である。
【0020】
フィールドプレート43は、終端領域R2においてゲート配線42の外側にゲート配線42から離間して設けられている。フィールドプレート43は、素子領域R1の外周縁に沿って素子領域R1を囲むように設けられている。フィールドプレート43は、層間絶縁膜3を貫通するコンタクト43aを介してガードリング25に接している。フィールドプレート43は、半導体層2の上面における空乏層の伸びを促進する。フィールドプレート43は、例えば、アルミニウム電極である。
【0021】
第1絶縁膜5は、終端領域R2上および終端領域R2に隣接する部分の素子領域R1において導電膜4上に設けられている。すなわち、第1絶縁膜5は、終端領域R2上および素子領域R1の外縁上に設けられている。第1絶縁膜5は、例えば、シリコン酸化膜である。シリコン酸化膜は、オルトケイ酸テトラエチル膜(TEOS膜)であってもよい。
【0022】
SINSiN膜6は、第1絶縁膜5上に設けられている。SINSiN膜6は、第1絶縁膜5の抵抗率よりも低く、かつ、導電膜4の抵抗率よりも高い抵抗率を有する半絶縁性のシリコン窒化膜である。SINSiN膜6の抵抗率は、半導体層2のドリフト領域よりも高くてもよい。素子領域R1側のSINSiN膜6の側壁6aは、X方向においてエミッタ電極41に接続されている(すなわち、接触している)。SINSiN膜6は、導電膜4および第1絶縁膜5よりも外側にわたって終端領域R2上に設けられている。すなわち、SINSiN膜6は、第1絶縁膜5上および第1絶縁膜5よりも素子領域R1から離間した部分の半導体層2上に設けられている。終端領域R2側のSINSiN膜6の端部は、例えば、不図示のEQPR(Equipotential Ring)電極に接続されている。エミッタ電極41と接続されていることで、SINSiN膜6は、エミッタ電極41と同電位に保持される。これにより、SINSiN膜6は、電界集中を緩和して半導体装置1の耐圧をより有効に保持することができる。SINSiN膜6は、素子領域R1から離間した第1絶縁膜5の外側の半導体層2上において、半導体層2の上面に接している。すなわち、第1絶縁膜5の外側のSINSiN膜6は、半導体層2の上面に直接接している。半導体層2にSINSiN膜6を直接接触させることで、半導体装置1の耐圧を安定的に保持することができる。
【0023】
SiN膜7は、SINSiN膜6上に設けられている。第1絶縁膜5、SINSiN膜6及びSiN膜7は、素子領域側において、エミッタ電極41の外縁部分41aとエミッタ電極41の中央部分41bの一部との間に設けられた縁部を有する。
【0024】
次に、第1実施形態による半導体装置1の駆動方法について説明する。素子領域R1において、コレクタ電極8に高電位が印加され、エミッタ電極41に低電位が印加された状態で、ゲート電極23に閾値以上の制御電圧が印加されると、ウエル層22におけるゲート絶縁膜231との界面付近に反転層(nチャンネル)が形成される。反転層が形成されることで、電子がエミッタ層221から反転層を介して半導体層2内に注入され、トランジスタがオン状態となる。このとき、さらに、コレクタ層29から半導体層2内に正孔が注入され、半導体層2の抵抗が低減される。これにより、コレクタ電極8からエミッタ電極41に向かって電流が流れる。一方、制御電圧が閾値よりも低くなると、ウエル層22におけるゲート絶縁膜231との界面付近に形成された反転層が消える。このため、エミッタ層221から半導体層2への電子の注入が止まり、コレクタ層29から半導体層2内への正孔の注入も止まる。その後、電子のエミッタ層221から半導体層2への排出、および、正孔のコレクタ層29から半導体層2内への排出は継続され、第1半導体層11が空乏化される。これにより、半導体装置1はオフ状態に至る。
【0025】
次に、第1実施形態による半導体装置1の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、半導体層2の上面側の構造の製造方法について説明し、下面側の構造の製造方法については説明を省略する。
【0026】
図3は、第1実施形態による半導体装置1の製造方法を示す断面図である。なお、図3においては、既に半導体層2、及び不純物領域が形成されている。先ず、図3に示すように、半導体層2の上面(すなわち、不純物層22、25、26の上面)に層間絶縁膜3を成膜する。層間絶縁膜3の成膜は、例えば化学気相成長法(CVD法)で行う。層間絶縁膜3を成膜した後、エミッタ層221一部、コンタクト層222の一部、及びガードリング25の一部を露出させるように層間絶縁膜3を加工する。層間絶縁膜3の加工は、例えばフォトリソグラフィ法を用いてパターンが形成されたレジスト膜をマスクとしたエッチングで行う。層間絶縁膜3を加工した後、層間絶縁膜3の上、露出した半導体層2の上(すなわち、エミッタ層221一部、コンタクト層222の一部、およびガードリング25の一部の上)に第1導電膜401を成膜する。第1導電膜401の成膜は、例えば、スパッタリングで行う。
【0027】
図4は、図3に続く、第1実施形態による半導体装置1の製造方法を示す断面図である。第1導電膜401を成膜した後、例えばフォトリソグラフィ法を用いてパターンが形成されたレジスト膜をマスクとしたエッチングが施される。具体的には、素子領域R1と終端領域R2の境界近傍に位置する第1導電膜401がエッチングされ、素子領域R1にエミッタ電極41の一部が形成される。また、終端領域R2においても、第1導電膜401の一部がエッチングされ、素子領域R1から終端領域R2に向かう方向において、ゲート配線42、フィールドプレート43の順に並ぶように形成される。以上の工程により、図4に示すようなエミッタ電極41の一部、ゲート配線42、及びフィールドプレート43が形成される。なお、最も終端領域R2に近いエミッタ電極41の一部は外縁部分41aとなる。さらにまた、最外周、すなわちフィールドプレート43よりも終端側に位置する第1導電膜401も層間絶縁膜3が露出するようにエッチングされ、後述するSINSiN膜6が直付けされる領域を形成する。
【0028】
図5は、図4に続く、第1実施形態による半導体装置1の製造方法を示す断面図である。第1導電膜401を加工した後、図5に示すように、第1導電膜401上および第1導電膜401から露出した層間絶縁膜3上に第1絶縁膜5を形成する。
【0029】
図6は、図5に続く、第1実施形態による半導体装置1の製造方法を示す断面図である。第1絶縁膜5を形成した後、図6に示すように、後述するSINSiN膜6の直付け部分に相当する範囲の半導体層2の上面(すなわち、フィールドプレート43よりも終端側に位置する半導体層2の上面)が露出するように、層間絶縁膜3および第1絶縁膜5を加工する。具体的には、先ず、第1絶縁膜5上にレジスト膜100を形成する。レジスト膜100を形成した後、レジスト膜100に、フォトリソグラフィ法を用いて後述するSINSiN膜6の直付け部分に相当する範囲の第1絶縁膜5を露出させるパターンを形成する。パターンを形成した後、パターンが形成されたレジスト膜100をマスクとした第1絶縁膜5および層間絶縁膜3のエッチングを行う。
【0030】
図7は、図6に続く、第1実施形態による半導体装置1の製造方法を示す断面図である。層間絶縁膜3および第1絶縁膜5を加工した後、半導体層2を希フッ酸で洗浄する。半導体層2を洗浄した後、図7に示すように、第1絶縁膜5上および第1絶縁膜5から露出したリサーフ領域26上及び半導体層2の上面上にSINSiN膜6を形成する。
【0031】
SINSiN膜6を形成した後、SINSiN膜6上にSiN膜7を形成する。
【0032】
図8は、図7に続く、第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。SiN膜7を形成した後、図8に示すように、素子領域R1の外縁よりも内側の第1導電膜401を露出させるように、第1絶縁膜5、SINSiN膜6およびSiN膜7を加工する。第1絶縁膜5、SINSiN膜6およびSiN膜7を加工した後、図8に示すように、素子領域R1上の露出した第1導電膜401上に第2導電膜402を形成する。これにより、導電膜4が形成され、エミッタ電極41が形成される。また、このとき、SINSiN膜6の素子領域R1側の側壁6aがエミッタ電極41に接続される。
【0033】
次に、実施形態に係る半導体装置の利点を説明する。第1実施形態においては、SINSiN膜6と第1導電膜401との間に第1絶縁膜5が設けられている。第1絶縁膜5が設けられていることで、SINSiN膜6の成膜時に、SINSiN膜6のSiが第1導電膜401の金属(例えば、アルミニウム)と反応してSINSiN膜6内に導電率が高い反応層が形成されることを防止することができる。SINSiN膜6の導電率の上昇を防止できることで、導電膜4の短絡(例えば、エミッタ電極41とゲート配線42との短絡)を防止することができる。
【0034】
また、従来は、導電膜4の金属とSINSiN膜6のSiとの反応は、SINSiN膜6の屈折率が大きく、また、SINSiN膜6の成膜温度が高いほど促進されていた。しかるに、第1実施形態によれば、導電膜4とSINSiN膜6との間に第1絶縁膜5を設けることで、SINSiN膜6の屈折率が大きく、また、SINSiN膜6の成膜温度が高い場合においても、SINSiN膜6の導電率の上昇を防止することができる。これにより、高屈折率(例えば、3.0以上)のSINSiN膜6を採用することができ、また、SINSiN膜6の成膜温度またはSINSiN膜6の成膜以降の熱処理の温度として高い温度(例えば、350℃以上)を採用することができる。したがって、第1実施形態によれば、使用可能なSINSiN膜6の屈折率および熱処理温度の選択肢を増やすことができるので、半導体装置1の設計の自由度を向上させることができる。
【0035】
また、第1実施形態によれば、第1絶縁膜5は、エミッタ電極41と、ゲート配線42と、フィールドプレート43と、エミッタ電極41とゲート配線42との間の半導体層2と、ゲート配線42とフィールドプレート43との間の半導体層2とを覆うように設けられている。これにより、導電膜4の短絡をさらに有効に防止することができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、SINSiN膜6の上面をエミッタ電極41に接続する第2実施形態による半導体装置1について説明する。
【0037】
図9は、第2実施形態による半導体装置1を示す平面図である。図10は、第2実施形態による半導体装置1を示す図9のX-X断面図である。図11は、第2実施形態による半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0038】
図11に示すように、第2実施形態において、SiN膜7は、素子領域R1側のSINSiN膜6の縁部の一部を除くSINSiN膜6上に設けられている。SINSiN膜6は、素子領域R1側の側壁6aと、SINSiN膜6の縁部の一部の上面6bとにおいてエミッタ電極41に接続されている。なお、図9に示すように、SINSiN膜6の縁部の一部の上面6bは、エミッタ電極41の外周方向(すなわち、素子領域R1と終端領域R2との境界)に沿った溝形状を有する。なお、図10に示される例において、SINSiN膜6の縁部の一部の上面6bは、素子領域R1側のSINSiN膜6の側壁6aから終端領域R2側に離れている。しかるに、図10の例に限定されず、側壁6aに連続する上面6bをエミッタ電極41に接続させてもよい。このような構成は、素子領域R1側のSiN膜7の側壁が素子領域R1側のSINSiN膜6の側壁よりも終端領域R2側に位置するようにSiN膜7を形成することで得ることができる。
【0039】
第2実施形態の半導体装置1を製造するには、図11に示すように、第2導電膜402を形成する前に、SINSiN膜6の上面6bを部分的に露出させるようにSiN膜7を加工する。具体的には、先ず、半導体層2上にレジスト膜200を形成する。レジスト膜200を形成した後、レジスト膜200に、フォトリソグラフィ法を用いてSiN膜7から露出させるべきSINSiN膜6の上面6bに相当する範囲(すなわち、SINSiN膜6の縁部の一部)のSiN膜7を露出させるパターンを形成する。パターンを形成した後、パターンが形成されたレジスト膜200をマスクとしたSiN膜7のエッチングを行う。
【0040】
第2実施形態によれば、SINSiN膜6とエミッタ電極41との接続面積を大きくすることができるので、より有効にSINSiN膜6をエミッタ電極41と同電位に保持することができる。したがって、第2の実施形態によれば、より有効に半導体装置1の耐圧を保持することができる。
【0041】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態による半導体装置1として、FRDへの適用例を示す。第1および第2実施形態と類似する構成部については、第1および第2実施形態と同一の符号を用いて詳細な説明は省略する。第3実施形態による半導体装置1において、N型不純物を含む半導体層2(N層)における素子領域R1の上には、P型不純物を含む不純物層201(P層)が設けられている。不純物層201は、導電膜4の少なくとも一部を構成するアノード電極44にオーミック接触している。第1絶縁膜5は、終端領域R2に隣接する部分の素子領域R1においてアノード電極44の一部上(すなわち、アノード電極44の一部とSINSiN膜6との間)に設けられている。半導体層2の下端には、カソード電極80が配置されている。カソード電極80は、半導体層2と電気的に接続されている。すなわち、第3実施形態において、素子領域R1には、半導体素子として、半導体層2と、アノード電極44と、カソード電極80とを有するトランジスタが設けられている。その他の構成は、基本的に第1および第2実施形態と同様である。なお、第1および第2実施形態と同様に、終端領域R2上に、導電膜の一部を構成するフィールドプレート43を設け、フィールドプレート43とSINSiN膜6との間に第1導電膜51を設けるようにしてもよい。第3実施形態による半導体装置1において、アノード電極44とカソード電極80との間に順方向電圧が印加されると、アノード電極44からカソード電極80に順方向電流が流れる。アノード電極44とカソード電極80との間に逆方向電圧が印加されると、カソード電極80からアノード電極44に流れる逆方向電流が抑制される。FRDは、通常のダイオードよりも逆回復時間が短くなるように半導体層2におけるN層が厚く形成されているため、逆方向電流を迅速に抑制することができる。第3実施形態の半導体装置1によれば、FRDに適用する場合にも、SINSiN膜6の成膜中におけるSINSiN膜6の導電率の上昇を防止することができる。
【0042】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0043】
1:半導体装置、2:半導体層、4:導電膜、5:絶縁膜、6:SINSiN膜
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12