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特開2023-141268プロセスモデル作成システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141268
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】プロセスモデル作成システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20230928BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20230928BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/06
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047496
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 岳大
(72)【発明者】
【氏名】石田 仁志
(72)【発明者】
【氏名】川村 陸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 啓生
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA03
3C100AA22
3C100AA68
3C100BB03
3C100BB05
3C100BB11
3C100DD05
3C100DD08
3C100DD25
3C100DD33
5L049AA06
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】現場で発生する業務に適合したプロセスモデルの生成を支援する技術を提供する。
【解決手段】複数の業務を含むプロセスにおいて各業務の現場で取得される現場データを管理するための、プロセスにおける業務の流れを定義したモデルを作成するプロセスモデル作成システムは、モデルを蓄積するモデル蓄積部と、現場で取得された現場データに基づいて、実際に行われた業務の流れを示すインスタンスを作成し、インスタンスとモデルとの差分を差分データとして抽出する差分データ作成部と、差分データに基づいてモデルの修正案を作成するモデル修正部と、を有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の業務を含むプロセスにおいて各業務の現場で取得される現場データを管理するための、前記プロセスにおける業務の流れを定義したモデルを作成するプロセスモデル作成システムであって、
前記モデルを蓄積するモデル蓄積部と、
現場で取得された現場データに基づいて、実際に行われた業務の流れを示すインスタンスを作成し、前記インスタンスと前記モデルとの差分を差分データとして抽出する差分データ作成部と、
前記差分データに基づいて前記モデルの修正案を作成するモデル修正部と、
を有するプロセスモデル作成システム。
【請求項2】
前記差分データ作成部は、それぞれの差分について発生した回数または頻度と、ある差分と他の差分とが同一のインスタンスに発生した度合いを表す差分同士の類似度を更に算出し、
前記モデル修正部は、第1の差分の回数または頻度が第1閾値を超え、前記第1の差分と第2の差分との類似度が第2閾値を超えていたら、前記第1の差分と前記第2の差分を共に採用する修正案を作成する、
請求項1に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項3】
前記差分データ作成部は、第1のインスタンスにおける業務によって作成された製品が第2のインスタンスにおける業務において部品として使用される場合、前記第1のインスタンスに発生した差分と前記第2のインスタンスに発生した差分とが同時期に発生する度合いを表す類似度を更に算出し、
前記モデル修正部は、前記第1のインスタンスにおける差分が前記第1閾値を超え、当該第1のインスタンスにおける当該差分と前記第2のインスタンスの差分との類似度が前記第2閾値を超えていたら、前記第1のインスタンスにおける前記差分と前記第2のインスタンスにおける前記差分を共に採用する修正案を作成する、
請求項2に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項4】
インスタンスから抽出する差分または差分を抽出する対象とするインスタンスを絞り込む条件の指定をユーザから受け付け、
前記モデル修正部は、前記差分データから、前記指定された条件に合致するインスタンスから抽出された差分、または前記指定された条件に合致する差分を特定し、前記特定された差分に基づいて前記モデルの修正案を作成する、
請求項1に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項5】
少なくともいずれか1つの条件に合致した場合に差分を抽出する、それぞれに優先順位が与えらえた複数の条件を受け付け、
前記モデル修正部は、いずれか1つの条件に合致する差分と他の条件に合致する差分とが相反するものである場合、優先順位の高い方の条件に合致する差分を優先的に前記修正案に採用する、
請求項4に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項6】
前記モデル修正部は、前記修正案において前記モデルに対して追加される業務の特徴を、前記モデルと前記修正案とのデータ構成上の違いに基づいて特定する、
請求項1に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項7】
前記モデル修正部は、前記修正案が、修正前の前記モデルに存在する業務から、当該業務よりも上流に存在する業務に対して、前記修正案において追加される業務を介して戻る構成を有するとき、前記追加される業務は、下流の業務で作成された製品を改善して上流の業務に戻す手直し業務であるという特徴を特定する、
請求項6に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項8】
前記モデル修正部は、前記修正案が、修正前の前記モデルに存在する第1業務から、前記修正案において追加される業務につながり、前記追加される業務から、前記モデルに存在する前記第1業務の次段に存在する第2業務につながる構成であり、当該追加される業務を備えたインスタンスが所定の時間間隔で繰り返し発生している場合、前記追加される業務は、ある業務の製品のうち一部をサンプルとして検査を行う抜き取り検査の業務であるという特徴を特定する、
請求項6に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項9】
前記モデル修正部は、業務または製品あるいは部品に対応するノードと、業務の流れに沿ってノード間をつなぐ矢印とによって前記修正案の構造を画面に表示する、請求項6に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項10】
前記モデル修正部は、前記修正案の構造の表示において、前記修正案において修正される箇所のノードおよび/または矢印を判別可能に表示する、
請求項9に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項11】
前記モデル修正部は、前記修正案の構造の表示において、前記修正案において特徴が特定された業務のノードを視覚的に判別可能に表示する、
請求項9に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項12】
前記差分データ作成部は、それぞれの差分について発生した回数または頻度と、ある差分と他の差分とが同一のインスタンスに発生した度合いを表す差分同士の類似度を更に算出し、
前記モデル修正部は、第1の差分の回数または頻度が第1閾値を超え、前記第1の差分と第2の差分との類似度が第2閾値を超えていたら、前記第1の差分と前記第2の差分を取り込んだ修正案を作成し、前記修正案の構造の表示における前記第1の差分に相当する箇所に対する選択操作が行われると、前記第2の差分に相当する箇所を判別可能に表示する、
請求項9に記載のプロセスモデル作成システム。
【請求項13】
複数の業務を含むプロセスの各業務の現場で取得される現場データを管理するための、前記プロセスにおける業務の流れを定義したモデルを作成するためのプロセスモデル作成方法であって、
コンピュータが、
前記モデルを蓄積し、
現場で取得された現場データに基づいて、実際に行われた業務の流れを示すインスタンスを作成し、前記インスタンスと前記モデルとの差分を差分データとして抽出し、
前記差分データに基づいて前記モデルの修正案を作成する、
処理を実行するプロセスモデル作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスのモデルを作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業における各業務の現場では、業務の完了もしくは所定の事象の発生を契機として、現場で発生したデータ(以下「現場データ」ともいう)が収集されている。現場作業者は、この現場データを分析することで、業務の作業効率の向上を図っている。
【0003】
例えば製造業の製造プロセスには様々な業務が存在し、各業務を管理する部門が異なる場合がある。各業務を管理する部門が異なる場合、部門間での情報共有が難しくなることがある。業務を管理するためのシステムが各部門により異なること、などが理由として考えられる。そこで、各部門では、部門内で収集された現場データを分析することで、部門内の業務の作業効率の向上を図っているのが現状である。しかし、製造プロセス全体の作業効率の向上のためには、各部門の連携が必要不可欠である。部門内のみならず、製造プロセス全体で発生する現場データを互いに関連付けることにより、各部門の連携が促進されると考えられる。
【0004】
この種の課題は、製造業における製造の現場に特有のものではなく、他の様々な業種の企業にも存在する。例えば、物流業、小売業またはサービス業などのように、複数の業務から構成される一連のプロセスを有する業種において同様の課題が存在する。
【0005】
特許文献1には、「現場データに含まれる複数の情報の各々の関連性を定義する関連性データを記憶する関連性データ蓄積部と、関連性データ蓄積部に記憶された関連性データに基づいて、複数の情報に含まれる第1情報に関連する第2情報を検索する関連性データ検索部と、関連性データによって関連付けられた複数の情報の接続関係を表示するユーザインタフェース部と、を有し、関連性データ検索部は、ユーザインタフェース部に表示された複数の情報の接続関係における第1情報の選択に応じて、当該第1情報に関連する第2情報を関連性データに基づいて検索すると共に、第1情報及び第2情報を、複数の情報の接続関係と共に前記ユーザインタフェース部に表示する」情報収集システムが開示されている。特許文献1の情報収集システムは、製造プロセスに含まれる業務から発生する現場データに含まれる複数の情報の各々の関連性を定義する関連性データの構造を示す関連性データモデルと、関連性データとを用いて、製造プロセスの情報を管理している。
【0006】
また、特許文献2には、定義した業務プロセスモデルと、現状の業務プロセスモデルとの差異を抽出し、改善案を提案する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、業務の進め方を規定するためのモデルと、実行された業務に関する情報との差異を検出し、差異を定量化することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-153051号公報
【特許文献2】特開2020-126301号公報
【特許文献3】特開2011-81620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば製造プロセスの現場データのデータ構造をプロセスモデルに定義し、そのプロセスモデルを用いて現場データを管理する場合、実際に現場で発生する現場データがプロセスモデルに定義されたデータ構造とは異なるデータ構造を持つことがある。そのような現場データは予め定義されたプロセルモデルによって管理することができない。実際に発生する現場データがプロセスモデルに予め定義されたデータ構造とは異なるデータ構造を持つ理由としては、現場において手直しの作業を行ったことにより通常とは異なる業務が発生すること、また現場での業務フローが変更されたことがプロセスモデルに反映されていないこと、などが考えられる。しかしながら、特許文献1-3には、いかにして現場で実際に発生する業務に適合したプロセスモデルを作成するかという点についての開示がない。
【0010】
本開示のひとつの目的は、現場で発生する業務に適合したプロセスモデルの生成を支援する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に含まれるひとつの態様による、プロセスモデル作成システムは、複数の業務を含むプロセスにおいて各業務の現場で取得される現場データを管理するための、前記プロセスにおける業務の流れを定義したモデルを作成するプロセスモデル作成システムであって、前記モデルを蓄積するモデル蓄積部と、現場で取得された現場データに基づいて、実際に行われた業務の流れを示すインスタンスを作成し、前記インスタンスと前記モデルとの差分を差分データとして抽出する差分データ作成部と、前記差分データに基づいて前記モデルの修正案を作成するモデル修正部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本開示に含まれるひとつの態様によれば、現場で実際に取得されたデータに基づいて作成したインスタンスに示された業務の流れと予め作成されたモデルに示された業務の流れとの差分を抽出し、その差分に基づいてモデルの修正案を作成するので、現場で発生する業務に適合したプロセスのモデルを生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】プロセスモデル作成システムが適用されるデータ管理システムの構成例を示すブロック図である。
図2】プロセスモデル作成システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】スキーマモデルを作成して登録する処理の手順の例を示す図である。
図4】実績インスタンスを作成し、実績インスタンスとスキーマモデルとから差分データを作成する処理の手順の例を示す図である。
図5】差分データからスキーマモデルの修正案を作成し、スキーマモデルを修正する処理の手順の例を示す図である。
図6】マスタデータ蓄積部に登録されたマスタデータに含まれる情報の例を示す図である。
図7】計画データ蓄積部に登録された計画データに含まれる情報の例を示す図である。
図8】現場データ蓄積部141に登録された現場データに含まれる情報の例を示す図である。
図9】本実施形態における製造プロセスと業務との関係の例を示す図である。
図10】複数の業務で構成される製造プロセスについて各業務および製造プロセスのモデルの例を示す図である。
図11】業務の行われた一つの材料についての実績インスタンスのデータ構造の一例を示す図である。
図12】プロセスモデル作成システムがスキーマモデルを作成する手順の例を示す図である。
図13】プロセスモデル作成システムが実績インスタンスと差分データを作成する手順の例を示す図である。
図14図13のステップS906において業務フローを作成する手順の例を示す図である。
図15図13のステップS907において、業務フローに対して、業務に関連する情報と、製品を生成するのに使用した部品の情報とを関連付けて、実績インスタンスを作成する手順の例を示す図である。
図16図13のステップS908において、実績インスタンスとスキーマモデルとから差分データを作成する手順の例を示す図である。
図17】製品種別スキーマモデルと実績インスタンスとの差分情報の抽出の具体例を示す図である。
図18】差分情報の累積した差分データの具体例を示す図である。
図19】差分データに累積した差分情報の類似度の具体例を示す図である。
図20】種別Xの製品を部品として、種別Yの製品を作成する場合のスキーマモデルと実績インスタンスの例を示す図である。
図21】プロセスモデル作成システムが、スキーマモデルと差分データから、スキーマモデルの修正案を作成する手順の例を示す図である。
図22】スキーマモデル修正部が、修正案にて追加された業務ノードに対して、手直し業務に関連付けられた業務ノードであるという特徴を付加する例を示す図である。
図23】スキーマモデル修正部が、修正案にて追加された業務ノードに対して、抜取検査業務に関連付けられた業務ノードであるという特徴を付加する例を示す図である。
図24】スキーマモデルの修正案をユーザに提示する画面の例を示す図である。
図25】スキーマモデルの修正案において修正されているデータ構造の差分を表示する例を示す図である。
図26】互いに類似する差分同士の類似性に関する詳細な情報を表示するインタフェースの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本開示における実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
本実施形態では、プロセスモデル作成システムを、製造工場における各製造工程のプロセスおよび/またはその中の業務で発生する現場データを収集する情報収集システムに適用した場合を例示して説明する。しかしながら、例えば、物流業、小売業またはサービス業などあらゆる業種における複数の連続した業務や工程を有するプロセスに用いる情報収集システムに対しても同様のプロセス作成システムを適用可能である。
【0017】
<ブロック図>
【0018】
図1は、プロセスモデル作成システムが適用されるデータ管理システムの構成例を示すブロック図である。
【0019】
図1において、プロセスモデル作成システム110はネットワーク120に接続されている。また、ネットワーク120には、一つ以上のデータ発生装置130と、一つ以上の現場データ蓄積部141と、一つ以上のマスタデータ蓄積部142と、一つ以上の計画データ蓄積部143と、関連性データモデル蓄積部150と、関連性データ蓄積部160と、が接続されている。これらのプロセスモデル作成システム110と、データ発生装置130と、現場データ蓄積部141と、マスタデータ蓄積部142と、計画データ蓄積部143と、関連性データモデル蓄積部150と、関連性データ蓄積部160は、ネットワーク120を介して情報収集システム170に接続されている。
【0020】
また、プロセスモデル作成システム110には、プロセスモデル作成システム110を操作するための操作端末180が接続されている。
【0021】
データ発生装置130は、例えば、作業員の作業ログを取得するバーコードリーダやPC(Personal Computer)、またはサーバであってもよいし、部品の加工または完成品の組み立てを行う機械であってもよいし、部品または完成品に付されたRFID(Radio Frequency IDentifier)の検査情報を収集するセンサであってもよい。これらのデータ発生装置130で収集または発生した現場データは、ネットワーク120を介して、現場データ蓄積部141に送信される。
【0022】
現場データ蓄積部141は、例えば、サーバまたはメモリなどの記憶装置であり、現場データ蓄積部141は、データ発生装置130で取得された現場データを蓄積する。
【0023】
関連性データモデル蓄積部150は、例えば、サーバまたはメモリなどの記憶装置であり、プロセスにおける業務の流れを定義したモデルを蓄積する。このモデルを関連性データモデルとも言うことにする。関連性データモデルによって、どのような情報を現場データ蓄積部141から収集するのかが定まる。関連性データモデル蓄積部150で定義される関連性データモデルを変更することで、現場データ蓄積部141からどのような現場データを収集するのかを変更することができる。
【0024】
関連性データ蓄積部160は、例えば、サーバやメモリなどの記憶装置であり、現場データ蓄積部141に蓄積された現場データ間の関連性を示すデータが蓄積される。このデータを関連性データとも言うことにする。関連性データには、現場でどのような業務の流れが発生したかが表される。
【0025】
情報収集システム170は、業務の実施に関する情報を収集する。業務の実施に関する情報は、例えば、業務の実施に関する実施記録である。業務の実施に関する実施記録には、業務の実施に関する業務情報とともに、その業務に関係する業務関連情報を含めるようにしてもよい。業務関連情報は、例えば、業務の実施に関係する物、人、設備、および業務に含まれる作業の手順などのいずれか一つ以上の情報である。
【0026】
情報収集システム170は、関連性データモデル蓄積部150から取得した関連性データモデルに定義されたデータ構造と、関連性データ蓄積部160から取得した関連性データとをもとに、そのデータ構造に含まれる業務の実施に関する実施記録を示す現場データと、その関連性データに含まれる業務の実施に関する実施記録を示す現場データとを現場データ蓄積部141から収集する。
【0027】
プロセスモデル作成システム110を保有する事業者は、情報収集システム170を保有する事業者と同一であってもよい。また、現場データ蓄積部141およびマスタデータ蓄積部142および計画データ蓄積部143を保有する事業者は、情報収集システム170を保有する事業者や、プロセスモデル作成システム110を保有する事業者と同一であってもよい。また、現場データ蓄積部141およびマスタデータ蓄積部142および計画データ蓄積部143は、データ発生装置130の存在する製造現場にあってもよいし、情報収集システム170を保有する事業者や、プロセスモデル作成システム110を保有する事業者のところにあってもよいし、そのいずれにあってもよい。
【0028】
<システム構成>
【0029】
次に、プロセスモデル作成システム110が有する主な機能を説明する。
【0030】
プロセスモデル作成システム110は、プロセスモデル作成システム110の全体制御を行う中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、プロセスモデル作成システム110の機能を実現するための各種処理プログラムなどを記憶する記憶装置(Read Only Memory:ROM)、情報を一時的に記憶する一次記憶装置(Random Access Memory:RAM)やハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)などの非一時的な記憶装置、などを有するコンピュータ上に実現されるものであり、CPUがROMに記憶された各種処理プログラムを実行することで、以下の機能が実現される。これらのプログラムの一部またはすべては、非一時的な記憶媒体や通信回線を介して、他の装置から導入されても良いし、あらかじめ格納されていても良い。
【0031】
図2は、プロセスモデル作成システム110の機能構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、プロセスモデル作成システム110は、スキーマモデル作成部210と、実績インスタンス作成部220と、差分データ作成部230と、スキーマモデル修正部240と、を有する。
【0033】
また、前述したとおり、プロセスモデル作成システム110は、ネットワーク120を介して、現場データ蓄積部141、マスタデータ蓄積部142、計画データ蓄積部143、関連性データモデル蓄積部150、関連性データ蓄積部160に接続されている。
【0034】
また、前述したとおり、プロセスモデル作成システム110は、操作端末180に接続されている。操作端末180は、スキーマモデル作成部210と、実績インスタンス作成部220と、スキーマモデル修正部240と、に所定の情報を入力する環境をユーザに提供する。
【0035】
プロセスモデル作成システム110は、マスタデータ蓄積部142から取得したマスタデータおよび計画データ蓄積部143から取得した計画データから、プロセスを構成する業務に関わる現場データの関連性をデータ構造によって示す関連性データモデル(以下、スキーマモデルともいう)を作成する。また、プロセスモデル作成システム110は、現場データ蓄積部141から取得した現場データから、プロセスを構成する業務に関わる現場データの関連性をデータ構造によって示す関連性データ(以下、実績インスタンスともいう)を作成する。また、作成された実績インスタンスのデータ構造と、スキーマモデルのデータ構造との差分から、スキーマモデルを修正する。
【0036】
スキーマモデル作成部210は、マスタデータ蓄積部142に登録されたマスタデータおよび計画データ蓄積部143に登録された計画データから、スキーマモデルを作成し、関連性データモデル蓄積部150に登録する。
【0037】
実績インスタンス作成部220は、現場データ蓄積部141に登録された現場データから、実績インスタンスを作成し、関連性データ蓄積部160に登録する。
【0038】
差分データ作成部230は、実績インスタンス作成部220で作成された一つ以上の実績インスタンスと、関連性データモデル蓄積部150に登録されたスキーマモデルについて、各実績インスタンスのデータ構造とスキーマモデルのデータ構造とを比較し、差分情報の累積である差分データを作成する。
【0039】
スキーマモデル修正部240は、差分データ作成部230で作成された差分データをもとに、スキーマモデルを修正し、修正したスキーマモデルを関連性データモデル蓄積部150に登録する。
【0040】
情報収集システム170は、プロセスモデル作成システム110で作成され関連性データモデル蓄積部150に登録されたスキーマモデルと、関連性データ蓄積部160に登録された実績インスタンスとを用いて、現場データ蓄積部141から現場データを収集する。
【0041】
<動作手順>
【0042】
図3は、スキーマモデルを作成して登録する処理の手順の例を示す図である。
【0043】
プロセスモデル作成システム110を利用するユーザは、操作端末180を用いてプロセスモデル作成システム110に対して、所望のプロセスのスキーマモデルを作成することを指示する(Sa301)。また、ユーザは、操作端末180を用いてプロセスモデル作成システム110がスキーマモデルを作成する時間間隔を指定してもよい。その場合、プロセスモデル作成システム110は指定された時間間隔ごとにスキーマモデルを作成する処理を実行する。
【0044】
次に、プロセスモデル作成システム110は、マスタデータ蓄積部142および計画データ蓄積部143から、マスタデータおよび計画データをそれぞれ取得する(Sa302、Sa304)。
【0045】
次に、マスタデータ蓄積部142および計画データ蓄積部143は、プロセスモデル作成システム110に、マスタデータおよび計画データをそれぞれ提供する(Sa303、Sa305)。
【0046】
次に、プロセスモデル作成システム110は、マスタデータおよび計画データに表された業務の流れを特定し、特定した業務の流れをデータ構造で示すスキーマモデルを作成する(Sa306)。
【0047】
次に、ユーザは、操作端末180からスキーマモデルの編集を行う(Sa307)。プロセスモデル作成システム110は、ステップSa306にて作成したスキーマモデルを編集するユーザインタフェースを提供し、ユーザはそのユーザインタフェースからスキーマモデルを編集することができる。
【0048】
次に、プロセスモデル作成システム110は、作成および編集したスキーマモデルを関連性データモデル蓄積部150に提供する(Sa308)。
【0049】
次に、関連性データモデル蓄積部150は、プロセスモデル作成システム110から提供されたスキーマモデルを登録する(Sa309)。
【0050】
なお、ここで、プロセスモデル作成システム110は、マスタデータ検索(Sa302)の前に計画データ検索(Sa304)を実行してもよいし、マスタデータ検索と計画データ検索を同時に実行してもよい。また、プロセスモデル作成システム110は、マスタデータを受領する前に計画データを受領してもよい。マスタデータおよび計画データに基づいてスキーマモデルが作成され、関連性データモデル蓄積部150に登録される限りは、図3におけるステップSa301からステップSa309までの各処理は順序が入れ替わってもよい。
【0051】
図4は、実績インスタンスを作成し、実績インスタンスとスキーマモデルとから差分データを作成する処理の手順の例を示す図である。
【0052】
ユーザは、操作端末180を用いてプロセスモデル作成システム110に対して差分データを作成するように指示する(Sb301)。あるいは、ユーザは、操作端末180を用いてプロセスモデル作成システム110が差分データを作成する時間間隔を指定してもよい。その場合、プロセスモデル作成システム110は指定された時間間隔ごとに差分データを作成する処理を実行する。
【0053】
次に、プロセスモデル作成システム110は、関連性データモデル蓄積部150から、所望のプロセスに関するスキーマモデルを検索する(Sb302)。
【0054】
次に、関連性データモデル蓄積部150は、プロセスモデル作成システム110に対して当該スキーマモデルを提供する(Sb303)。
【0055】
次に、プロセスモデル作成システム110は、現場データ蓄積部141から、所望のプロセスに関連する該当する現場データを検索する(Sb304)。
【0056】
次に、現場データ蓄積部141は、プロセスモデル作成システム110に、当該現場データを提供する(Sb305)。
【0057】
次に、プロセスモデル作成システム110は、当該現場データに表された業務の流れを特定し、特定した業務の流れをデータ構造で示す実績インスタンスを作成する(Sb306)。
【0058】
次に、プロセスモデル作成システム110は、作成した実績インスタンスを関連性データ蓄積部160に提供する(Sb307)。
【0059】
次に、関連性データ蓄積部160は、提供された実績インスタンスを登録する(Sb308)。
【0060】
次に、プロセスモデル作成システム110は、作成した実績インスタンスと、関連性データモデル蓄積部150に登録されているスキーマモデルとの差分を抽出し、その差分を基に差分データを作成する(Sb309)。
【0061】
なお、ここで、プロセスモデル作成システム110は、スキーマモデル検索(Sb302)の前に現場データ検索(Sb304)を実行してもよいし、スキーマモデル検索と現場データ検索を同時に実行してもよい。また、プロセスモデル作成システム110は、スキーマモデルを受領する前に現場データを受領してもよい。スキーマモデルと現場データから作成した実績インスタンスの差分から差分データを作成できる限りは、図4のステップSb301からステップSb309までの各処理は順序が入れ替わってもよい。
【0062】
図5は、差分データからスキーマモデルの修正案を作成し、スキーマモデルを修正する処理の手順の例を示す図である。
【0063】
ユーザは、操作端末180を介して、プロセスモデル作成システム110に対して、スキーマモデルの修正案を作成することを指示する(Sc301)。あるいは、ユーザは、操作端末180を用いてプロセスモデル作成システム110がスキーマモデルの修正案を作成する時間間隔を指定してもよい。その場合、プロセスモデル作成システム110は指定された時間間隔ごとにスキーマモデルの修正案を作成する処理を実行する。
【0064】
次に、プロセスモデル作成システム110は、差分データをもとにスキーマモデルの修正案を作成し(Sc302)、操作端末180に送る(Sc303)。操作端末180ではスキーマモデルの修正案がユーザに提示される。
【0065】
次に、ユーザは、操作端末180で提示されるスキーマモデルの修正案をもとに、操作端末180を用いてスキーマモデルの修正を指示する(Sc305)。このとき、ユーザは提示されたスキーマモデルの修正案をそのまま採用してもよいし、操作端末180に対する操作により、提示されたスキーマモデルの修正案を改変してもよい(Sc304)。
【0066】
次に、プロセスモデル作成システム110は、指示されたスキーマモデルの修正案を新たなスキーマモデルとして関連性データモデル蓄積部150に提供する(Sc306)。
【0067】
次に、関連性データモデル蓄積部150は、提供されたスキーマモデルを登録する(Sc307)。
【0068】
<データ内容>
【0069】
図6は、マスタデータ蓄積部142に登録されたマスタデータに含まれる情報の例を示す図である。
【0070】
マスタデータは、様々な業務によって製品を製造するプロセスを実現する工場で実行される各業務を規定した設計情報である。
【0071】
マスタデータは、業務情報410、業務関連情報420、製品種別情報430、オプション情報440、製品種別詳細情報450などを持つ。
【0072】
業務情報410は、業務を一意に識別する業務識別子411に対応づけて、業務の名称を示す業務名称412などを持つ。
【0073】
業務関連情報420は、業務関連情報を一意に識別する業務関連情報識別子421に対応づけて、業務関連情報の名称を示す業務関連情報名称422と、業務関連情報が関連する業務を一意に識別する業務識別子411などを持つ。
【0074】
製品種別情報430は、製品の種類を表す製品種別を一意に識別する製品種別識別子431に対応づけて、製品種別の名称を示す製品種別名称432などを持つ。
【0075】
ここで、製品の種類を表す製品種別は、例えば、製品が持つオプションから決定されてもよい。オプション情報440は、オプションを一意に識別するオプション識別子441に対応づけて、オプションの名称を示すオプション名称442と、オプションの内容を示すオプション内容443などを持つ。オプション内容443には、例えば、当該オプションにおいて製品が取り得る選択肢などの情報が入っていてもよい。
【0076】
製品種別詳細情報450は、製品の種類を表す製品種別を一意に識別する製品種別識別子431に対応づけて、当該製品種別におけるオプションの詳細を示すオプション詳細452などを持つ。オプション詳細452には、例えば、当該製品種別において各オプションがどのような選択肢を取ったかなどの情報が入っていてもよい。
【0077】
図7は、計画データ蓄積部143に登録された計画データに含まれる情報の例を示す図である。
【0078】
計画データは、製品を製造するプロセスに含まれる一連の業務のそれぞれの詳細を規定する情報である。
【0079】
計画データは、業務順序情報460、部品製品関係情報470などを持つ。
【0080】
業務順序情報460は、業務順序を一意に識別する業務順序識別子461に対応づけて、対象とする製品種別を一意に識別する製品種別識別子431と、業務順序の情報である業務順序462などを持つ。業務順序の情報は、順序番号と、その順序において実施する業務を一意に識別する業務識別子などを持つ。
【0081】
部品製品関係情報470は、部品製品関係を一意に識別する部品製品関係識別子471に対応づけて、作成する製品の種別を一意に識別する製品種別識別子431と、その製品を作成するのに使用する部品の種別を一意に識別する製品種別識別子431である部品種別識別子472と、その部品を使用した業務を一意に識別する業務識別子411などを持つ。
【0082】
図8は、現場データ蓄積部141に登録された現場データに含まれる情報の例を示す図である。
【0083】
現場データは、製品を製造するプロセスにおいて現場で実際に行われた業務から取得される情報である。
【0084】
現場データは、業務履歴情報480、業務関連情報履歴情報490などを持つ。
【0085】
業務履歴情報480は、製品を一意に識別する製品識別子481、製品種別を一意に識別する製品種別識別子431、および業務を一意に識別する業務識別子411に対応づけて、業務の行われたタイミングを示す情報と、製品作成のために使用した部品を一意に識別する部品識別子483などを持つ。
【0086】
業務の行われたタイミングを示す情報は日時などでタイミングを示すものであってもよい。図8の例では、作業日時482が、業務の行われたタイミングを示す情報である。また、業務の行われたタイミングを示す情報は、業務の開始日時と終了日時とによってタイミングを示すものであってもよい。
【0087】
業務前の部品が業務後の製品と同一である場合、製品識別子481は部品識別子483と同一であってもよい。
【0088】
また、複数の部品を用いて製品を作成する場合、業務履歴情報480に部品識別子483が複数含まれていてもよい。
【0089】
業務関連情報履歴情報490は、業務関連情報履歴を一意に識別する業務関連情報履歴識別子491に対応づけて、業務関連情報を一意に識別する業務関連情報識別子421と、製品を一意に識別する製品識別子481と、業務関連情報の発生したタイミングを示す情報と、業務に関連する情報の履歴情報などを持つ。
【0090】
業務関連情報の発生したタイミングを示す情報は日時などでタイミングを示すものであってもよい。図8の例では、作業日時492が、業務関連情報の発生したタイミングを示す情報である。また、業務関連情報の発生したタイミングを示す情報は、発生した業務関連情報が関連する業務の開始日時と終了日時であってもよい。また、業務に関連する情報の履歴情報は、例えば、業務を行った作業者の情報、業務を行うのに使用された設備の情報、業務を行う作業手順の情報などでもよい。図8の例では、作業結果493を業務に関連する情報の履歴情報としている。
【0091】
以下の説明では、現場データに含まれる業務の行われたタイミングを示す情報として、時刻情報が用いられている場合を例にとる。
【0092】
<プロセス構成>
【0093】
図9は、本実施形態における製造プロセスと業務との関係の例を示す図である。製造プロセスは製品を生成する一つ以上の業務を含む。実施形態では、現場データにおける業務情報410に含まれる、業務を一意に識別する業務識別子411により区別された単位を、一つの業務とする。図5の例では、プロセス510は、業務520aと業務520bとを含む。
【0094】
<スキーマモデル構成>
【0095】
図10は、複数の業務で構成される製造プロセスについて各業務および製造プロセスのモデルの例を示す図である。図10には、業務を表す業務モデルと製造プロセスを表すスキーマモデルとが示されている。
【0096】
図10において、業務モデルは、各業務における様々な装置(データ発生装置130)から発生する現場データを関連付けることで、所定の業務に対して、どのような作業者、機械および部品などが、どのような作業手順でどのように関連したかを表す。業務モデル610は、例えば、業務に関連付けられた業務ノード620を中心に、業務を実行するときに必要な部品に関連付けられた部品ノード630と、業務を実施する作業者や業務を実施するために使用される機械や業務の実施手順を定義する作業手順に関連付けられた業務関連情報ノード640と、業務において部品を基に生成された製品に関連付けられた製品ノード650などを含む。
【0097】
業務ノード620に関連付けられた業務にとっての製品に関連付けられた製品ノード650は、業務ノード621に関連付けられた後業務で使用される部品に関連付けられた部品ノードとなる。業務ノード620に関連付けられた業務にとっての部品に関連付けられた部品ノード63は、業務ノード622に関連付けられた前業務で生成された製品である。つまり、部品と製品は共に材料であり、部品ノード630に関連付けられた材料と、製品ノード650に関連付けられた材料とは、部品と製品という属性が持つ意味は同種である。部品と製品を特に区別しない場合には、それらをまとめて材料ノードと呼んでもよい。
【0098】
また、前述したように、部品(Material)ノード630と、製品(Material)ノード650と、作業者(Man)や設備(Machine)や作業手順(Method)などに関連付けられた業務関連情報ノード640を、4M情報あるいは4Mノードと呼ぶ場合がある。ただし、業務関連情報は4M情報に限定されるものではない。例えば、業務関連情報は、4M情報に加えて、業務で行われた計測(Measurement)の情報を含んだ5M情報であってもよい。また、業務関連情報は、4M情報のうちいずれか一つ以上を含まない1M~3M情報であっても良い。また、業務関連情報は、業務を行った製品の品質の情報を含んでもよい。また、業務関連情報は、業務を行った環境(Environment)の情報や管理状態(Management)の情報を含んでもよい。
【0099】
また、図10において、スキーマモデルは、製造プロセスを構成する各業務における業務モデルの関連性を表す。スキーマモデルでは、製造プロセスを構成する各業務における業務モデルについて、材料ノードを介して関連付けられている。スキーマモデル660では、例えば、業務ノード620における業務モデルと業務ノード622における業務モデルが、材料ノード630を介して関連付けられており、また、業務ノード620における業務モデルと業務ノード621における業務モデルが、材料ノード650を介して関連付けられている。
【0100】
<実績インスタンス>
【0101】
図11は、業務の行われた一つの材料についての実績インスタンスのデータ構造の一例を示す図である。実績インスタンスは、材料とその材料について実際に行われた業務との関連性をデータ構造で表している。この実績インスタンスは、製品について行われた各業務についての業務モデルにおける各ノードに、現場データが格納される構造とすることができる。また、実績インスタンスは、現場データ蓄積部141から現場データを検索するためのキーの情報を格納する構造とすることもできる。
【0102】
図11に例示した実績インスタンス710は、製品Aについての実績インスタンスである。実績インスタンス710は、業務ノード721と業務ノード722を持ち、業務ノード721には業務関連情報ノード730が関連付けられている。実績インスタンス710には、業務ノード721に関連付けられた製品ノード742が業務ノード722に関連付けられた部品ノードであるという関性がある。業務ノード721と業務ノード722が材料ノード742を介して関連付けられている。
【0103】
業務ノードには、製品Aについて行われた業務を一意に示す業務識別子情報と、業務が行われたタイミングを示す情報などが格納される。業務関連情報ノードには、業務を実施する作業者を一意に示す作業者識別子情報、業務を実施するために使用された設備を一意に示す設備識別子情報、業務の実施手順を一意に示す手順識別子情報などが格納される。
【0104】
製品Aに対して行われた最初の業務で使用した部品に関連付けられた部品ノード741には、製品Aを生成するのに使用した部品を一意に示す部品識別子情報などが格納される。その他の材料ノードには、製品Aを一意に示す製品識別子情報などが格納される。
【0105】
情報収集システム170は、スキーマモデルと実績インスタンスにより、当該製品に関連付けられている業務関連情報を検索し、取得することができる。当該製品の製造において設計段階で予め想定された業務についてはスキーマモデルに規定されている。スキーマモデルに規定されていないが実際には行われた業務の情報は実績インスタンスから得ることができる。
【0106】
<スキーマモデル作成>
【0107】
図12は、プロセスモデル作成システム110が、スキーマモデルを作成する手順の例を示す図である。図12に示す手順は、図3に示したプロセスモデル作成システム110のSa302からSa306の動作手順に相当する。
【0108】
スキーマモデル作成部210は、マスタデータ蓄積部142からマスタデータを取得し、計画データ蓄積部143から計画データを取得する(S801)。ここで、ユーザが指定する製品種別を条件に計画データを取捨選択してもよい。
【0109】
次に、スキーマモデル作成部210は、マスタデータにおける業務情報410について、業務情報410に存在する各業務に関連付けられた業務ノードを作成する(S802)。
【0110】
次に、スキーマモデル作成部210は、マスタデータにおける業務関連情報420について、業務関連情報420に存在する各業務関連情報に関連付けられた業務関連情報ノードを作成し、業務関連情報420における業務識別子411の示す業務に関連付けられた業務ノードと、作成した業務関連情報ノードを紐づける(S803)。
【0111】
次に、スキーマモデル作成部210は、計画データにおける業務順序情報460について、業務順序情報460に存在する製品種別識別子431の示す製品種別ごとに処理を行う(S804)。業務順序情報460における業務順序462の示す順序の通りに、各業務に関連付けられた業務ノードを、材料ノードを介して紐づける(S805)。また、最後尾の業務ノードについて、製品ノードを紐づける(S806)。このように作成された業務ノードの関連性を、当該製品種別におけるスキーマフローと呼ぶ。
【0112】
次に、スキーマモデル作成部210は、計画データにおける部品製品関係情報470について、部品製品関係情報470に存在する製品種別識別子431の示す製品種別ごとに処理を行う(S807)。部品製品関係情報470における部品種別識別子432の示す製品種別におけるスキーマフローの最後尾の業務ノードに紐づく製品ノードと、業務識別子411に示す業務に関連付けられた業務ノードを紐づける(S808)。このように作成された、業務ノードと業務関連情報ノードと材料ノードとの紐づけを、スキーマモデルとする。
【0113】
<実績インスタンスおよび差分データの作成>
【0114】
図13は、プロセスモデル作成システム110が、実績インスタンスと、差分データを作成する手順の例を示す図である。
【0115】
図13に示す手順は、図4に示したプロセスモデル作成システム110によるSb302からSb306の動作手順に相当する。
【0116】
差分データ作成部230は、関連性データモデル蓄積部150から、スキーマモデルを取得する(S901)。
【0117】
次に、ユーザが、操作端末180を介して、実績インスタンスを作成する対象とする現場データを検索する(S902)。このとき、例えば、ユーザは、実績インスタンスを作成する対象として機関情報などを選択または指定する。
【0118】
実績インスタンス作成部220は、操作端末180を介してユーザが入力した条件をもとに、現場データ蓄積部141に蓄積された現場データを取得する。実績インスタンス作成部220は、現場データ蓄積部141に蓄積された現場データについて、条件に該当する現場データが存在する場合(S903で有の場合)、該当する現場データを取得する(S904)。一方、条件に該当する現場データが存在しない場合(S903で無の場合)、実績インスタンス作成部220は実績インスタンスを作成する処理を終了する。
【0119】
次に、実績インスタンス作成部220は、取得した現場データについて、製品ごとの現場データに対して以下に示す一連の処理を行う(S905)。まず、実績インスタンス作成部220は、製品に対して行われた業務の流れを表す業務フローを作成する(S906)。続いて、実績インスタンス作成部220は、作成した業務フローから、各製品についての実績インスタンスを作成する(S907)。次に、差分データ作成部230は、スキーマモデルと実績インスタンスとの差分を抽出し、抽出された差分を示すデータである差分データを作成する(S908)。
【0120】
図14は、図13のステップS906において業務フローを作成する手順の例を示す図である。
【0121】
実績インスタンス作成部220は、まず、製品識別子481をキーに業務履歴情報480を検索し、現場データに含まれる各製品について行われた業務の情報を検索する(S1001)。次に、実績インスタンス作成部220は、各業務の関連付けられた業務ノードを、各業務の行われた時刻情報をキーに時刻順に並べ替え(S1002)、更に、業務ノード間を製品が関連付けられた材料ノードを介して関連付ける(S1003)。
【0122】
また、実績インスタンス作成部220は、業務履歴情報480において、部品識別子483として、製品識別子481に相当する製品材料とは異なる部品材料の情報が含まれるとき、当該業務ノードと、その部品材料の情報が示す当該部品に関連付けられた材料ノードとを紐づける(S1004)。また、製品に対して最後に行われた業務の業務ノードに対してその製品の製品ノードを関連付ける(S1005)ことで業務フローを作成する。
【0123】
図15は、図13のステップS907において、業務フローに対して、業務に関連する情報と、製品を生成するのに使用した部品の情報とを関連付けて、実績インスタンスを作成する手順の例を示す図である。
【0124】
実績インスタンス作成部220は、製品識別子481をキーに業務関連情報履歴情報490を検索し、現場データに含まれる製品について行われた業務に関連する情報を取得する(S1101)。検索のキーに該当する情報があった場合(S1102で有の場合)、実績インスタンス作成部220は、取得された業務関連情報履歴の時刻情報から、業務フローに含まれる業務ノードの中で、業務関連情報履歴が関連付く業務が関連付けられた業務ノードを識別し(S1103)、その業務ノードに、業務関連情報履歴の関連付けられた業務関連情報ノードを関連付ける(S1104)。一方、検索のキーに該当する情報が無かった場合(S1102で無の場合)、関連情報を関連付ける一連の処理を終了する。これにより、製品についての実績インスタンスが作成される。
【0125】
<差分データ作成>
【0126】
図16は、図13のステップS908において、実績インスタンスとスキーマモデルとから差分データを作成する手順の例を示す図である。
【0127】
この差分データを作成する処理は、実績インスタンスのデータ構造に含まれる全ての業務ノードと、スキーマモデルに含まれる全ての業務ノードに対して行われる(S1202、S1205)。
【0128】
差分データ作成部230は、スキーマモデルのうち、当該実績インスタンスに関連づく製品の製品種別に該当するモデルを抽出する(S1201)。抽出されたモデルを製品種別スキーマモデルと呼ぶ。
【0129】
次に、差分データ作成部230は、実績インスタンスにおける業務ノードと業務関連情報ノードおよび材料ノードとの関連性について、製品種別スキーマモデルに同一の関連性が存在するか否か確認する(S1203)。業務ノードの全ての関連性について製品種別スキーマモデルにおいて同一の関連性がある場合(S1203でYesの場合)、差分データ作成部230は、当該業務ノードについては実績インスタンスとスキーマモデルとに差分は無いと判断する。
【0130】
業務ノードのいずれかの関連性について製品種別スキーマモデルにおいて同一の関連性が存在しなかった場合(S1203でNoの場合)、差分データ作成部230は、当該業務ノードにおいて差分があると判断し、製品種別スキーマモデルにおいて同一の関連性が存在しなかった当該実績インスタンスにおけるノード間の関係性を差分情報として差分データに累積する(S1204)。
【0131】
次に、差分データ作成部230は、製品種別スキーマモデルにおける業務ノードと業務関連情報ノードおよび材料ノードとの関連性について、実績インスタンスのデータ構造に同一の関連性が存在するか否かを確認する(S1206)。製品種別スキーマモデルにおける全ての業務ノードと業務関連情報ノードおよび材料ノードとの関連性について、実績インスタンスのデータ構造に同一の関連性があった場合(S1206でYesの場合)、差分データ作成部230は、当該業務ノードについては差分は無いと判断する。
【0132】
製品種別スキーマモデルにおけるいずれかの業務ノードと業務関連情報ノードおよび材料ノードとの関連性について、実績インスタンスのデータ構造に同一の関連性が存在しなかった場合(S1206でNoの場合)、差分データ作成部230は、当該業務ノードにおいて差分があると判断し、実績インスタンスのデータ構造に同一の関連性が存在しなかった製品種別スキーマモデルにおけるノード間の関係性を差分情報として差分データに累積する(S1207)。
【0133】
差分データ作成部230は、ステップS1204およびS1207で差分データを累積するとき、当該差分の付加情報として、差分を発生させた実績インスタンスを特定する情報と、実績インスタンスに関連づく製品の製品種別情報も差分データに累積してもよい。また、同時に二つ以上の差分が発生している場合、差分データ作成部230は、それらの差分が同時に発生したことを特定する情報を累積してもよい。このように累積されたノード間の差分の情報が差分データとなる。
【0134】
<実績インスタンスと差分データの具体例>
【0135】
図17は、製品種別スキーマモデルと実績インスタンスとの差分情報の抽出の具体例を示す図である。
【0136】
具体的には、製品種別スキーマモデル1310では、業務ノード(1320a、1320b、1320c、1320d、1320e)と、材料ノード(1330m、1330a、1330b、1330c、1330d、1330e)と、関連情報ノード(1340p、1340q)と、それぞれ紐づけられている。一方、実績インスタンスのデータ構造としては、そのスキーマモデルに対して、業務ノード1320cが存在しない実績インスタンス1351、業務ノード1320fが余分に存在する実績インスタンス1352、業務関連情報ノード1340pが存在しない実績インスタンス1353、などがある。このとき、実績インスタンス1351において業務ノード1320cが存在しないという差分情報1361と、実績インスタンス1352において業務ノード1320fが余分に存在するという差分情報1362と、実績インスタンス1353において業務関連情報ノード1340pが存在しないという差分情報1363が、差分データに累積される。
【0137】
<差分データ詳細、類似度>
【0138】
図18は、差分情報の累積した差分データの具体例を示す図である。
【0139】
ここで、図18において示されるノードは、業務ノードか、材料ノードか、業務関連情報ノードである。スキーマモデル1410は、具体的には、ノードA(1411)と、ノードB(1412)と、ノードC(1413)と、が紐づいている。また、スキーマモデルに表される製造プロセスにおいては、種別Xと種別Yの製品種別の製品が作成され、どちらの製品種別における製品種別スキーマモデルも、スキーマモデル1410に等しい。
【0140】
差分データにおいては、差分データ表1440に示すように、種別Xの製品についての実績インスタンス群1420において抽出された差分情報と、種別Yの製品についての実績インスタンス群1430において抽出された差分情報は、差分が発生したノード間ごとに、製品種別ごとに、発生回数を保持するように、差分情報を整理して持っていてもよい。具体的には、ノードA(1411)とノードC(1413)間について、スキーマモデル1410にはノード間の紐づきが存在していないが、種別Xについての実績インスタンス群1420において、当該ノード間の紐づきが存在している実績インスタンスが発生したとき、当該ノード間において種別Xで、当該差分が発生した回数を保持するようにしてもよい(1441)。
【0141】
また、差分データは、累積した差分情報間の類似度を付加して保持していてもよい。
【0142】
図19は、差分データに累積した差分情報の類似度の具体例を示す図である。
【0143】
類似度図1520に示すように、スキーマモデル1410に対して、種別Xの実績インスタンス群1510における実績インスタンスのデータ構造で一つ以上の差分が発生したとき、ある差分に対して自身を含む他の差分が発生した回数あるいは確率を類似度として保持していてもよい。類似度は、ある差分と他の差分とが同時に発生する度合いを表すこととなる。
【0144】
類似度図1420において、矢印とその近傍に表示された分数は、矢印の基端の差分が発生した回数に対する、矢印の先端の差分が発生した回数を示している。具体的には、スキーマモデル1410にはノードA(1411)からノードB(1412)に向かう紐づきが存在しているが、実績インスタンスにはその紐づきが存在しないという差分(1521)が発生したときに、ノードA(1411)からノードC(1413)に向かう紐づきが、スキーマモデル1410には存在していないが、実績インスタンスに存在するという差分(1522)が同一インスタンス内で発生した回数あるいは確率を保持していてもよい。それが矢印1523および近傍の分数に示されている。
【0145】
また、差分情報間の類似度は、部品と製品の関係にある材料同士の各実績インスタンスにおいて発生した差分情報間について保持していてもよい。部品と製品の関係にある材料同士がそれぞれの実績インスタンスにおいて互いに同時期に発生した回数あるいは確率を類似度とすればよい。
【0146】
図20は、種別Xの製品を部品として、種別Yの製品を作成する場合のスキーマモデルと実績インスタンスの例を示す図である。
【0147】
スキーマモデル1610は、種別Xについての製品種別スキーマモデル1621と、種別Yについての製品種別スキーマモデル1622と、から構成される。また、製品種別スキーマモデル1621は、3つの業務ノード(1631~1633)を含む。製品種別スキーマモデル1622は、2つの業務ノード(1634、1635)を含む。種別Xの実績インスタンス群1621Aと、種別Yの実績インスタンス群1622Aについて、例えば、種別Xにおける実績インスタンスにおいて業務ノードC(1633)が存在しない差分が発生したときに、種別Yにおける実績インスタンスにおいて業務ノードF(1636)が余分に存在する差分が同時に発生したとき、これら2つの差分情報についての類似度を保持してもよい。
【0148】
<修正案作成>
【0149】
図21は、プロセスモデル作成システム110が、スキーマモデルと差分データから、スキーマモデルの修正案を作成する手順の例を示す図である。
【0150】
図21に示す手順は、図5に示したプロセスモデル作成システム110のステップSc301からSc303の動作手順に相当する。
【0151】
ユーザは、操作端末180を介して、スキーマモデルの修正案に反映する差分を選択するための条件を指定する(S1701)。差分を選択する条件は、差分の発生回数あるいは発生確率に閾値を設定し、閾値を超えた差分を修正案に反映するようにしてもよい。また、期間を指定し、製品に関わる作業が行われた期間が、ユーザ指定の期間に含まれている製品に関わる実績インスタンスで発生した差分を選択するようにしてもよい。また、製品種別を指定し、ユーザ指定の製品種別に合致している製品に関わる実績インスタンスで発生した差分を選択するようにしてもよい。また、製品のオプションを条件として指定し、ユーザ指定のオプションの条件に合致している製品に関わる実績インスタンスで発生した差分を選択するようにしてもよい。また、複数の条件を同時に指定してもよい。その場合、指定した各条件について優先順位を定め、いずれかの条件に合致した差分を修正案に反映するようにし、スキーマモデルにおける同じ箇所で複数の異なる差分が発生しているときに、優先順位の高い差分の方を反映するようにしてもよい。
【0152】
次に、スキーマモデル修正部240は、差分データにおいて、指定された条件に合致する差分の差分情報を抽出する(S1702)。抽出された差分情報を反映対象差分情報と呼ぶ。スキーマモデル修正部240は、反映対象差分情報に含まれる各差分について以下の一連の処理を行う(S1703)。
【0153】
まず、スキーマモデル修正部240は、差分情報について、スキーマモデルにおける当該差分発生箇所に既に別の差分情報による修正を実施済みである場合(S1704でYesの場合)、修正は行わず、当該差分情報に対する処理を終了する。当該差分発生箇所に別の差分情報による修正を実施済みでない場合(S1704でNoの場合)、スキーマモデル修正部240は、スキーマモデルに対して当該差分を反映する(S1705)。これにより、複数の条件で抽出される差分が同じ箇所で発生し相反するものである場合に、優先順位の高い条件に合致した差分を優先的にスキーマモデルの修正案に反映することができる。
【0154】
このとき、修正案に反映した差分との類似度が閾値を超えている差分を反映対象差分情報に追加してもよい(S1706~S1707)。これにより、修正案に反映した差分との類似度が高い差分も修正案に反映することできる。なお、類似度の閾値は、ユーザが差分反映条件指定時に設定することにしてもよい。
【0155】
<特徴付加>
【0156】
スキーマモデル修正部240は、スキーマモデルの修正案を作成するとき、修正前のスキーマモデルと修正案との構成の違いに基づいて、修正案にて追加された業務ノードに、当該業務ノードに対応する業務の特徴を示す情報を付加してもよい。
【0157】
図22は、スキーマモデル修正部240が、修正案にて追加された業務ノードに対して、手直し業務に関連付けられた業務ノードであるという特徴を付加する例を示す図である。手直し業務は、下流の業務で作成された製品を改善して上流の業務に戻す業務である。例えば、製品に不具合があった場合にその不具合を解消する作業を行う業務が手直し業務に該当する。
【0158】
スキーマモデル1810は5つの業務ノード1811~1815を含む。実績インスタンス群1820aとスキーマモデル1810との差分として、実績インスタンス群1820aには、スキーマモデル1810に定義されていない業務ノード1821がある。業務ノード1821は、業務ノード1813の下流につながっており、業務ノード1821から通過済みの業務ノード1812に対してつながっている。このような構造がある場合、スキーマモデル修正部240は、スキーマモデル1810の業務ノード1813の製品に相当する材料ノードから枝分かれする位置に、業務ノード1821に相当する業務ノードとその製品に相当する材料ノードを追加し、追加した材料ノードを業務ノード1813につなげたスキーマモデルの修正案1830aを作成するとともに、追加した業務ノードに対して、現場での手直し業務に関連付けられた業務ノードであるという特徴を付加してもよい。
【0159】
図23は、スキーマモデル修正部240が、修正案にて追加された業務ノードに対して、抜取検査業務に関連付けられた業務ノードであるという特徴を付加する例を示す図である。抜取検査業務は、ある業務の製品のうち一部をサンプルとして検査する業務である。
【0160】
実績インスタンス群1820bとスキーマモデル1810との差分として、実績インスタンス群1820bには、スキーマモデル1810に定義されていない業務ノード1822がある。業務ノード1822は、スキーマモデル1810に存在する業務ノード1814の製品に相当する材料ノードからつながっており、その業務ノード1822の製品に相当する材料ノードが、スキーマモデル1810に存在する業務ノード1815につながっている。このような構造がある場合、スキーマモデル修正部240は、スキーマモデル1810の業務ノード1814の製品に相当する材料ノードから枝分かれする位置に、業務ノード1822に相当する業務ノードとその製品に相当する材料ノードを追加し、追加した材料ノードを業務ノード1815につなげたスキーマモデルの修正案1830bを作成するとともに、追加した業務ノードに対して、現場での抜取検査業務に関連付けられた業務ノードであるという特徴を付加してもよい。
【0161】
<画面表示>
【0162】
図24は、スキーマモデルの修正案をユーザに提示する画面の例を示す図である。
【0163】
図24のユーザインタフェース1910の画面には、現行のスキーマモデルを表示する領域1920と、現行のスキーマモデルに対してデータ構造の差分が発生しているノードを表示する領域1930と、提案されるスキーマモデルの修正案を表示する領域1940と、提案されたスキーマモデルの修正案をスキーマモデルとして適用することを指示するためのボタンの領域1950と、などが含まれている。
【0164】
現行のスキーマモデルを表示する領域1920には、関連性データモデル蓄積部150に登録されているスキーマモデルが表示される。
【0165】
データ構造差分が発生したノードを表示する領域1930には、スキーマモデル修正部240が作成したスキーマモデルの修正案においてスキーマモデルとの差分が生じている一つ以上のノードが判別できるような表示がされる。
【0166】
スキーマモデルの修正案を表示する領域1940では、スキーマモデル修正部240により作成された修正案が表示される。そして、修正案にスキーマモデル修正部240によって特徴が付加された業務ノード1941があるとき、当該業務ノードを別の業務ノードと区別するように表示してもよい。
【0167】
また、ユーザインタフェース1910において、スキーマモデルの修正案をユーザに提示する際に、現行のスキーマモデルと修正案とのデータ構造の差分の詳細を併せて表示してもよい。
【0168】
図25は、スキーマモデルの修正案において修正されているデータ構造の差分を表示する例を示す図である。ユーザインタフェース1910には、データ構造差分が発生したノードを表示する領域1930dがユーザにより選択されたとき、当該ノードに関してスキーマモデルの修正案において修正されているデータ構造の差分が表示される。
【0169】
図25の例では、ユーザインタフェース1910は、差分の詳細を表示する領域1960に、領域1930dの示すノードにおいて発生した差分の詳細を表示している。差分の詳細として修正案のデータ構造を表示してもよい。また、領域1930dの示すノードにおいて、複数のデータ構造の異なる差分が発生しており、そのいずれか1つの差分が修正案に採用されている場合、領域1960には、スキーマモデルの修正案のデータ構造(1961)と共に、修正案に採用されていない差分のデータ構造(1962)を表示するようにしてもよい。ユーザは、領域1960において、修正案のあるノードに反映する差分を領域1961に表示されているデータ構造から領域1962に表示されているデータ構造に変更したり、手動でノード間の接続を変更したり、あるいは当該ノードに差分を反映しないことを選択したりできてもよい。
【0170】
また、ユーザインタフェース1910は、領域1960に差分の詳細を表示する際に、差分を発生させた製品の特徴を表示する領域1970を更に設けてもよい。領域1970には、差分が発生した製品について、一つ以上の製品種別ごとに発生回数および発生確率などを表示してもよい。
【0171】
また、ユーザインタフェース1910は、領域1960に差分の詳細を表示する際に、差分を発生させた一つ以上の製品についての実績インスタンスを表示する領域1980を更に設けてもよい。領域1980には、差分が発生した製品に関する実績インスタンス1981と共に、当該製品に使用された部品に関する実績インスタンスあるいは当該製品が部品として使用された製品に関する実績インスタンスが存在するとき、これらの実績インスタンスも実績インスタンス1981に紐づけて表示してもよい。
【0172】
また、ユーザインタフェース1910は、領域1980に、差分を発生させた製品と、当該製品の部品あるいは当該製品を部品とする上位の製品の実績インスタンスを表示する際に、当該実績インスタンスにおける各ノードに格納された情報を表示する領域1990を更に設けてもよい。
【0173】
また、ユーザインタフェース1910が、差分の詳細を表示する領域1960に、領域1930dに示されたノードに発生した差分の詳細を表示する際に、領域1930dに示されたノードに発生した差分との類似度が閾値を超えている差分が発生しているノードを表示する領域1930bに類似度が高いことを表示してもよい。このとき、類似度を表す指標を同時発生確率とし、その値を表示してもよい。
【0174】
領域1930bに類似度が高いことが表示されているとき、ユーザが領域1930bを選択すると、ユーザインタフェース1910は、互いに類似する差分同士の類似性に関する詳細な情報を表示してもよい。
【0175】
図26は、互いに類似する差分同士の類似性に関する詳細な情報を表示するインタフェースの例を示す図である。
【0176】
図26の例では、領域1930dに示されるノードに発生した差分と、領域1930bに示されるノードに発生した差分との類似度が閾値を超えているものとする。また、領域1930dが比較元を表し、領域1930bが比較先を表しているものとする。
【0177】
ユーザインタフェース1910は、領域1930dに示されるノードに発生した差分2011と、領域1930bに示されるノードに発生した差分2012と、の類似性に関する詳細な情報を表示する。
【0178】
領域2010には、差分2011と差分2012を含む、一つ以上の実績インスタンスの連なりで構成されるデータ構造が表示されている。ここで、差分2011においては、スキーマモデルの修正案に採用されている差分の他に、修正案に採用されていない差分が存在するとき、修正案に採用されている差分のデータ構造から、修正案に採用されていない差分のデータ構造に表示を切り替えることができてもよい。
【0179】
また、差分2012の箇所には修正案に採用されている差分のほかに、修正案に採用されていない差分が存在するとき、差分2012の表示を、修正案に採用されていない差分のデータ構造に切り替えてもよい。
【0180】
また、領域2010において類似する差分同士の詳細を表示するとき、類似度の比較元である差分2011と比較先である差分2012のそれぞれに対して、差分を発生させた製品の特徴を表示する領域2020があってもよい。領域2020には、差分が発生した製品について、一つ以上の製品種別ごとに、発生回数および発生確率などを表示してもよい。また、領域2020は、類似度の比較元である差分2011と比較先である差分2012との類似度の高さを表す情報を持っていてもよい。類似度の高さを表す情報は例えば同時発生確率の値などでもよい。
【0181】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、プロセスモデル作成システム110は、製造プロセスを構成する業務と現場データの関連性を示すプロセスモデルについて、製造現場で発生した現場データにおけるデータの関連性についてのデータ構造との差分を抽出し、差分同士の類似度を用いて関連性の高い差分同士を反映したプロセスモデルを作成することができ、その結果、因果関係のある差分同士についてプロセスモデルへの反映もれを防止し、プロセスモデルを現場の状態に即して修正することができるため、現場データの収集や分析をより正確に行えるなどの効果が見込める。
【0182】
また、プロセスモデル作成システム110は、修正後のプロセスモデルにおいて追加された業務ノードについて、業務ノードに関連づく業務の特徴を提示することができ、ユーザによるプロセスモデルの理解を容易化するなどの効果が見込める。
【0183】
なお、上述した実施形態では、製造現場における製造プロセスで発生する現場データから、製造プロセスモデルを作成する例を説明したが、プロセスモデル作成システム110は、製造現場に限らず、複数の業務から構成され現場データの発生する任意の業態に適用できる。例えば、物流業または運送業では、荷物の入荷から仕分け、保管、梱包および配送までの運搬プロセスを構成する複数の工程が存在しており、運搬プロセスに関わる現場データから、運搬プロセスモデルの作成は、製造現場でのプロセスモデルと同様に作成できる。
【0184】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成との追加、削除、および/または置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。
【0185】
また、上記した実施形態には以下に示す事項が含まれている。ただし、本実施形態に含まれる事項が以下に示すものだけに限定されることはない。
【0186】
(事項1)
複数の業務を含むプロセスにおいて各業務の現場で取得される現場データを管理するための、前記プロセスにおける業務の流れを定義したモデルを作成するプロセスモデル作成システムであって、
前記モデルを蓄積するモデル蓄積部と、
現場で取得された現場データに基づいて、実際に行われた業務の流れを示すインスタンスを作成し、前記インスタンスと前記モデルとの差分を差分データとして抽出する差分データ作成部と、
前記差分データに基づいて前記モデルの修正案を作成するモデル修正部と、
を有するプロセスモデル作成システム。
これによれば、現場で実際に取得されたデータに基づいて作成したインスタンスに示された業務の流れと予め作成されたモデルに示された業務の流れとの差分を抽出し、その差分に基づいてモデルの修正案を作成するので、現場で発生する業務に適合したプロセスのモデルを生成することが可能となる。
【0187】
(事項2)
事項1に記載のプロセスモデル作成ステムにおいて、
前記差分データ作成部は、それぞれの差分について発生した回数または頻度と、ある差分と他の差分とが同一のインスタンスに発生した度合いを表す差分同士の類似度を更に算出し、
前記モデル修正部は、第1の差分の回数または頻度が第1閾値を超え、前記第1の差分と第2の差分との類似度が第2閾値を超えていたら、前記第1の差分と前記第2の差分を共に採用する修正案を作成する。
これによれば、一緒に発生する頻度の高い差分を共に修正案に採用するので、均整の取れた修正が可能な修正案を作成することができる。
【0188】
(事項3)
事項2に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
前記差分データ作成部は、第1のインスタンスにおける業務によって作成された製品が第2のインスタンスにおける業務において部品として使用される場合、前記第1のインスタンスに発生した差分と前記第2のインスタンスに発生した差分とが同時期に発生する度合いを表す類似度を更に算出し、
前記モデル修正部は、前記第1のインスタンスにおける差分が前記第1閾値を超え、当該第1のインスタンスにおける当該差分と前記第2のインスタンスの差分との類似度が前記第2閾値を超えていたら、前記第1のインスタンスにおける前記差分と前記第2のインスタンスにおける前記差分を共に採用する修正案を作成する。
これによれば、ある業務の製品が他の業務の部品となる関係がある場合にそれらの業務に一緒に発生する頻度の高い差分を共に修正案に採用するので、均整の取れた修正が可能な修正案を作成することができる。
【0189】
(事項4)
事項1に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
インスタンスから抽出する差分または差分を抽出する対象とするインスタンスを絞り込む条件の指定をユーザから受け付け、
前記モデル修正部は、前記差分データから、前記指定された条件に合致するインスタンスから抽出された差分、または前記指定された条件に合致する差分を特定し、前記特定された差分に基づいて前記モデルの修正案を作成する。
これによれば、ユーザに指定された条件に合致する差分を採用した修正案に作成することができる。
【0190】
(事項5)
事項4に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
少なくともいずれか1つの条件に合致した場合に差分を抽出する、それぞれに優先順位が与えらえた複数の条件を受け付け、
前記モデル修正部は、いずれか1つの条件に合致する差分と他の条件に合致する差分とが相反するものである場合、優先順位の高い方の条件に合致する差分を優先的に前記修正案に採用する。
これによれば、複数の条件を設定でき、かつ相反する場合には優先度の高い方の差分を適用するので、ユーザの意図を適切に汲み取った修正案を作成することができる。
【0191】
(事項6)
事項1に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
前記モデル修正部は、前記修正案において前記モデルに対して追加される業務の特徴を、前記モデルと前記修正案とのデータ構成上の違いに基づいて特定する。
これによれば、修正案にてモデルに追加される業務の特徴を現状のモデルと修正案とのデータ構成上の違いを基に特定するので、追加される業務の特徴を容易に特定することができる。
【0192】
(事項7)
事項6に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
前記モデル修正部は、前記修正案が、修正前の前記モデルに存在する業務から、当該業務よりも上流に存在する業務に対して、前記修正案において追加される業務を介して戻る構成を有するとき、前記追加される業務は、下流の業務で作成された製品を改善して上流の業務に戻す手直し業務であるという特徴を特定する。
これによれば、手直し業務の特徴を容易に特定することができる。
【0193】
(事項8)
事項6に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
前記モデル修正部は、前記修正案が、修正前の前記モデルに存在する第1業務から、前記修正案において追加される業務につながり、前記追加される業務から、前記モデルに存在する前記第1業務の次段に存在する第2業務につながる構成であり、当該追加される業務を備えたインスタンスが所定の時間間隔で繰り返し発生している場合、前記追加される業務は、ある業務の製品のうち一部をサンプルとして検査を行う抜き取り検査の業務であるという特徴を特定する。
これによれば、抜取検査業務の特徴を容易に特定することができる。
【0194】
(事項9)
事項6に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
前記モデル修正部は、業務または製品あるいは部品に対応するノードと、業務の流れに沿ってノード間をつなぐ矢印とによって前記修正案の構造を画面に表示する。
これによれば、ノードと矢印によって修正案を視覚から容易に把握することが可能となる。
【0195】
(事項10)
事項9に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
前記モデル修正部は、前記修正案の構造の表示において、前記修正案において修正される箇所のノードおよび/または矢印を判別可能に表示する。
これによれば、修正案における修正箇所を視覚から容易に判別することが可能となる。
【0196】
(事項11)
事項9に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
前記モデル修正部は、前記修正案の構造の表示において、前記修正案において特徴が特定された業務のノードを視覚的に判別可能に表示する。
これによれば、修正案にて追加され特徴が特定された業務を視覚から容易に判別することが可能となる。
【0197】
(事項12)
事項9に記載のプロセスモデル作成システムにおいて、
前記差分データ作成部は、それぞれの差分について発生した回数または頻度と、ある差分と他の差分とが同一のインスタンスに発生した度合いを表す差分同士の類似度を更に算出し、
前記モデル修正部は、第1の差分の回数または頻度が第1閾値を超え、前記第1の差分と第2の差分との類似度が第2閾値を超えていたら、前記第1の差分と前記第2の差分を取り込んだ修正案を作成し、前記修正案の構造の表示における前記第1の差分に相当する箇所に対する選択操作が行われると、前記第2の差分に相当する箇所を判別可能に表示する。
これによれば、類似度の高い差分を容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0198】
110…プロセスモデル作成システム、120…ネットワーク、130…データ発生装置、141…現場データ蓄積部、142…マスタデータ蓄積部、143…計画データ蓄積部、150…関連性データモデル蓄積部、160…関連性データ蓄積部、170…情報収集システム、180…操作端末、210…スキーマモデル作成部、220…実績インスタンス作成部、230…差分データ作成部、240…スキーマモデル修正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26