(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141301
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】高電圧印加回路
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20230928BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230928BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 Q
H05K1/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047540
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 文哉
(72)【発明者】
【氏名】河野 真吾
(72)【発明者】
【氏名】板倉 康仁
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA01
5E344AA15
5E344BB02
5E344BB08
5E344CC23
5E344CD11
5E344DD02
5E344EE06
(57)【要約】
【課題】コロナ放電を抑制できる高電圧印加回路を提供する。
【解決手段】本開示の高電圧印加回路は、グランド電位に接続された平面を有する第1の金属材と、第1の金属材の平面上に設けられた平板形状の第1の絶縁材と、第1の絶縁材のうち第1の金属材とは反対側の平面上に設けられたシート状の第2の金属材と、絶対値が10kV以上の第1高電圧が印加される部品が実装された回路基板と、第2の金属材の縁部を覆う第2の絶縁材とを備える。部品のうち電位が第1高電圧と同じ第1部品高電位部位および回路基板の導電領域のうち電位が第1高電圧と同じ第1回路基板高電位部位は、第2の金属材と電気的に接続されている。第2の金属材は、平面視で、第1部品高電位部位および第1回路基板高電位部位を全て含む領域を有しており、第2の金属材の縁部は、角部が曲線形状に成形されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド電位に接続された平面を有する第1の金属材と、
前記第1の金属材の平面上に設けられた平板形状の第1の絶縁材と、
前記第1の絶縁材のうち前記第1の金属材とは反対側の平面上に設けられたシート状の第2の金属材と、
絶対値が10kV以上の第1高電圧が印加される部品が実装された回路基板と、
前記第2の金属材の縁部を覆う第2の絶縁材と、を備え、
前記部品のうち電位が前記第1高電圧と同じ第1部品高電位部位および前記回路基板の導電領域のうち電位が前記第1高電圧と同じ第1回路基板高電位部位は、前記第2の金属材と電気的に接続されており、
前記第2の金属材は、平面視で、前記第1部品高電位部位および前記第1回路基板高電位部位を全て含む領域を有しており、
前記第2の金属材の前記縁部は、角部が曲線形状に成形されている、
高電圧印加回路。
【請求項2】
前記部品には、前記第1高電圧とは異なる前記第2高電圧が印加された第2部品高電位部位があり、
前記回路基板の導電領域には、電位が前記第2高電圧と同じ第2回路基板高電位部位があり、
前記第2部品高電位部位および前記第2回路基板高電位部位は、平面視で、前記第2の金属材よりも狭い領域を有しており、
前記第2高電圧と前記第1高電圧との電位差の絶対値は、前記第1高電圧と前記グランド電位との電位差の絶対値よりも小さく、且つ、前記第2部品高電位部位または前記第2回路基板高電位部位と第2の金属材との間でコロナ放電が生じない電位差の絶対値である、
請求項1に記載の高電圧印加回路。
【請求項3】
前記部品は、第2の金属材に接するように配置されており、
前記第1の金属材は、水冷銅板である
請求項1又は2に記載の高電圧印加回路。
【請求項4】
前記シート状の第2の金属材は、銅メッキで形成されている、
請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の高電圧印加回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高電圧印加回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハや液晶基板を製造する工程で用いられるプラズマ処理装置では、例えば、パルス状の電圧(パルス電圧)を発生させるパルス電源装置のように、高電圧を発生させる電源装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
パルス電源装置は、例えば、直流電力をインバータ回路で交流電力に変換した後、変圧器により異なる電圧値の交流電力に変換し、整流・平滑し、さらにスイッチング回路等によりパルス電圧を発生させるよう構成される。上記のようなパルス電源装置では、絶対値が10kV程度の高電圧が、高電圧印加回路に用いられる例えばMOSFETのようなスイッチング素子等に印加される。スイッチング素子等の部品は、回路基板に実装されている。周知のように、印加される電圧が高いほどコロナ放電が生じ易くなる。
【0004】
コロナ放電を抑制する技術を開示している文献としては、例えば、特許文献2がある。この特許文献2は、スイッチング素子等の部品を含む高電圧印加回路のネジ(グランド電位)の周囲の空隙(ネジ穴の一部)に電界が集中することによるコロナ放電の発生を防止する技術が開示している。具体的には、ネジ周囲の空隙と高電位部位との間にグランド電位の導体を挿入して、空隙への電界集中を無くすことでコロナ放電を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-125729号公報
【特許文献2】特開2018-067644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の特許文献2は、ネジの周囲の空隙に対する対策にすぎない。また、印加電圧が3.3kV程度なので、10kV程度から見れば比較的低い電圧である。絶対値10kV以上の高電圧が印加されると、より一層コロナ放電が生じ易くなる。このため、絶対値10kV以上の高電圧が印加される部品の高電位部位または高電位部位と同電位の回路基板の高電位部位(基板パターン等)と、グランド電位の部材との間でのコロナ放電が生じないように対策を行う必要がある。特に、部品の端子や角張った箇所からコロナ放電が生じ易いので、それらの箇所について、コロナ放電を抑制する対策が必要となる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、絶対値が10kV以上の高電圧が印加される部品の高電位部位または高電位部位と同電位の回路基板の高電位部位と、グランド電位の部材との間でのコロナ放電を抑制できる高電圧印加回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る高電圧印加回路は、グランド電位に接続された平面を有する第1の金属材と、前記第1の金属材の平面上に設けられた平板形状の第1の絶縁材と、前記第1の絶縁材のうち前記第1の金属材とは反対側の平面上に設けられたシート状の第2の金属材と、絶対値が10kV以上の第1高電圧が印加される部品が実装された回路基板と、前記第2の金属材の縁部を覆う第2の絶縁材とを備える。前記部品のうち電位が前記第1高電圧と同じ第1部品高電位部位および前記回路基板の導電領域のうち電位が前記第1高電圧と同じ第1回路基板高電位部位は、前記第2の金属材と電気的に接続されている。前記第2の金属材は、平面視で、前記第1部品高電位部位および前記第1回路基板高電位部位を全て含む領域を有しており、前記第2の金属材の前記縁部は、角部が曲線形状に成形されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、高電圧印加回路において、絶対値が10kV以上の第1高電圧が印加される部品の第1部品高電位部位または第1部品高電位部位と同電位の回路基板の第1回路基板高電位部位と、グランド電位の部材との間でのコロナ放電を抑制できる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載された何れかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の高電圧印加回路の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の右側から高電圧印加回路を見た場合の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の高電圧印加回路を上から見た場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の
図1乃至
図4を参照しながら、本開示に係る高電圧印加回路の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の高電圧印加回路1の断面図であり、
図2は、
図1の右側から高電圧印加回路1を見た場合の断面図である。
図3は、
図1の高電圧印加回路1を上から見た場合の平面図であり、
図4は、
図3に対応する比較例の平面図である。
【0013】
図1および
図2に示すように、高電圧印加回路1は、水冷銅板11と、水冷銅板11の上側(
図1および
図2の上側)に設けられたセラミック12と、セラミック12の上側に設けられた銅メッキ13と、銅メッキ13の上側に設けられた回路基板14と、銅メッキ13の縁部を覆うモールド15と、を備える。なお、モールド15は、シリコーン等の絶縁材で形成されたものである。
【0014】
水冷銅板11は「第1の金属材」の一例であり、グランド電位に接続された平面を有している。より具体的には、水冷銅板11は、平板形状の銅板の内部を冷却水が循環できるように構成される。これにより、冷却効果が高まる。また、平板形状の銅板はグランド電位に接続されている。
【0015】
セラミック12は「第1の絶縁材」の一例であり、水冷銅板11(第1の金属材)の平面上に設けられた平板形状の部材である。好ましくはアルミナが用いられ、本実施形態における厚みは10mmである。一般的に、セラミック12の厚みが厚いほど、後述の銅メッキ13と水冷銅板11との間の距離が長くなるので、コロナ放電が生じ難くなる方向に働く。しかし、セラミック12の厚みを厚くするほど、水冷銅板11による放熱効果が低くなるので、あまり厚くすることは好ましくない。本実施形態のように、セラミック12をアルミナセラミックスとし、かつ、厚みが10mmとする構成にすることで、絶対値が10kV以上の第1高電圧を部品に印加したときにコロナ放電を抑制しつつ、十分な放熱効果を得ることができることができる。
【0016】
銅メッキ13は「第2の金属材」の一例であり、セラミック12(第1の絶縁材)のうち水冷銅板11(第1の金属材)とは反対側の平面上に設けられたシート状の部材である。第2の金属材としては、銅メッキ13に限られず、例えば銅テープを用いることもできる。
【0017】
回路基板14には、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)16が実装される。MOSFET16は、絶対値が10kV以上の第1高電圧が印加される「部品」の一例である。
図1および
図2に示すように、MOSFET14は、銅メッキ13に接するように配置されている。つまり、
図1および
図2の例では、MOSFET16は、回路基板14の下側(
図1、2において銅メッキ13と対面する側)に実装されている。ただし、これに限らず、回路基板14におけるMOSFET16(部品)の実装形態は任意であり、例えばMOSFET16は、回路基板14の上側(
図1、2において銅メッキ13とは対面しない側)に実装される形態であってもよい。なお、「部品」の例としてはMOSFET16に限られず、例えばダイオードやインダクタ等であってもよい。
【0018】
本実施形態のMOSFET16には、電位が第1高電圧(例:12kV)と同じ第1部品高電位部位17と、第1高電圧とは異なる第2高電圧(例:13.5kV)が印加された第2部品高電位部位18と、がある。本実施形態では、第1部品高電位部位17は、MOSFET16の端子のうち第1高電圧と同じ電位の部位であり、第2部品高電位部位18は、MOSFET16の端子のうち第2高電圧と同じ電位の部位である。
【0019】
説明の便宜上、
図1および
図2の例では、MOSFET16の端子のうち、高電位となる2つの端子のみを示している。ここでは、第1部品高電位部位17を含む端子を「第1の端子」と称し、第2部品高電位部位18を含む端子を「第2の端子」と称する。
図1および
図2の例では、第1の端子は、回路基板14のうちMOSFET16とは反対側の面上に配置された電子部品101(基板パターンを含む)と接続され、第2の端子は、回路基板14のうちMOSFET16とは反対側の面上に配置された電子部品102(基板パターンを含む)と接続される。なお、回路基板14に実装される電子部品の数や種類は任意であり、電子部品101および102のみに限られるものではない。
【0020】
また、回路基板14には、その導電領域のうち電位が第1高電圧と同じ第1回路基板高電位部位19と、電位が第2高電圧と同じ第2回路基板高電位部位20と、がある。本実施形態では、第1回路基板高電位部位19は第1部品高電位部位17と電気的に接続され、第2回路基板高電位部位20は第2部品高電位部位18と電気的に接続される。なお、本実施形態では、MOSFET16の端子(第1の端子、第2の端子)と回路基板14の導電領域とは、半田付け等で接合されている。
【0021】
また、第1回路基板高電位部位19は、導電材であるスペーサ21を介して銅メッキ13と接続される。つまり、第1部品高電位部位17および第1回路基板高電位部位19は、銅メッキ13(第2の金属材)と電気的に接続される。なお、第1回路基板高電位部位19と銅メッキ13を接続するための導電材はスペーサ21に限られるものではなく任意である。例えばケーブルを介して、第1回路基板高電位部位19と銅メッキ13とが接続される形態であってもよい。一方、第2回路基板高電位部位20と銅メッキ13とは電気的に接続されない。
【0022】
また、回路基板14の銅メッキ13と対面する側の面(
図1、2において回路基板14の下側の面)のうち、回路基板高電位部位19および第2回路基板高電位部位20よりも外側の縁部付近の領域は、絶縁材であるスペーサ22を介してセラミック12に接続される。
【0023】
本実施形態では、銅メッキ13は、平面視で、第1部品高電位部位17および第1回路基板高電位部位19を全て含む領域を有している。
図3に示すように、銅メッキ13の縁部は、角部が曲線形状に成形されている。なお、
図3では、MOSFET16(部品)、回路基板14、スペーサ21,22を省略している。また、銅メッキ13の縁部を覆うようにモールド15が備わっているため、
図3のような平面視では銅メッキ13の縁部が隠れて見えない。そのため、
図3では、銅メッキ13の縁部を破線で示している。
【0024】
ここで、絶対値が10kV以上の第1高電圧がMOSFET16(部品)に印加された場合、MOSFET16の第1部品高電位部位17(電位が第1高電圧と同じ部位)だけでなく、該第1部品高電位部位17に接続されている回路基板14の導電領域も高電位部位(第1回路基板高電位部位19)となる。ここで、水冷銅板11がグランド電位なので、第1部品高電位部位17または第1回路基板高電位部位19と水冷銅板11との間の電位差が10kV以上になるので、コロナ放電が生じる可能性がある。特に、部品の端子や角張った箇所は、丸みのある箇所よりも電荷が集中し易いためコロナ放電も生じ易い。このため、MOSFET16の端子の先端や折れ曲がった部分(
図1および
図2において点線で囲まれた部分)では、コロナ放電が生じ易い。
【0025】
しかし、上述のとおり、本実施形態では、銅メッキ13は、平面視で、第1部品高電位部位17および第1回路基板高電位部位19を全て含む領域を有している。そのため、コロナ放電が生じ易い部品の端子や角張った箇所も含めて、コロナ放電が発生する可能性のある第1部品高電位部位17または第1回路基板高電位部位19とグランド電位である水冷銅板11との間に、銅メッキ13が存在することになる。ここで、第1部品高電位部位17、第1回路基板高電位部位19および銅メッキ13とは同電位なので、この間ではコロナ放電が生じない。
【0026】
そのため、第1部品高電位部位17または第1回路基板高電位部位19と水冷銅板11との間でコロナ放電が発生するとすれば、銅メッキ13を経由しない経路でのコロナ放電ということになる。しかし、このような経路でコロナ放電が発生する可能性は低い。何故ならば、銅メッキ13を経由しない経路でのコロナ放電を実現するには、非直線的な放電経路になるからである。
【0027】
なお、銅メッキ13とグランド電位である水冷銅板11との間でコロナ放電が発生する可能性がある。例えば
図4に示すように、銅メッキ13が、四角形等の角部がある形状の場合、その箇所にはコロナ放電が発生する可能性がある。なぜならば、上述したように、部品の端子や角張った箇所は、丸みのある箇所よりも電荷が集中し易くコロナ放電が生じ易いからである。
図4は、本実施形態の比較例を示す平面図であり、
図3においてモールド15を省略し、且つ、銅メッキ13部分が四角形で4箇所に角部がある場合を示す平面図である。
【0028】
これに対して、本実施形態では、
図3に示すように、銅メッキ13(第2の金属材)の角部(縁部)を曲線形状に成形することによって、コロナ放電の発生を抑制させることができる。また、上述したように、本実施形態では、銅メッキ13の縁部を覆うモールド15(第2の絶縁材)を更に設けている。何故ならば、空気よりも絶縁耐力が大きいからである。このモールド15を設けることによって、銅メッキ13からのコロナ放電の発生を更に抑制することができる。その結果、従来の高電圧印加回路では、-11.5kVでコロナ放電が生じていた条件でも、上記のように構成すると、-13.5kVでもコロナ放電が生じなかった。
【0029】
したがって、上記の本実施形態のように高電圧印加回路1を構成すれば、第1部品高電位部位17または第1回路基板高電位部位19と水冷銅板11との間でのコロナ放電を抑制できる。
【0030】
また、本実施形態では、第2部品高電位部位18および第2回路基板高電位部位20は、平面視で、銅メッキ13よりも狭い領域を有しており、第2高電圧と第1高電圧との電位差の絶対値は、第1高電圧とグランド電位との電位差の絶対値よりも小さく、且つ、第2部品高電位部位18または第2回路基板高電位部位20と銅メッキ13との間でコロナ放電が生じない電位差の絶対値である。
【0031】
上記のように、第2部品高電位部位18および第2回路基板高電位部位20は、平面視で、銅メッキ13(第2の金属材)よりも狭い領域を有している。そのため、第2部品高電位部位18または第2回路基板高電位部位20とグランド電位である水冷銅板11(第1の金属材)との間に、銅メッキ13が存在することになる。そのため、第2部品高電位部位18または第2回路基板高電位部位20においても、銅メッキ13によるコロナ放電の抑制効果が得られる。
【0032】
もちろん、第2高電圧(例えば13.5kV)と第1高電圧(例えば12kV)とは異なる電圧である。そのため、両者の電位差(例えば1.5kV)の分だけ、第1部品高電位部位17または第1回路基板高電位部位19と銅メッキ13との関係におけるコロナ放電の抑制効果よりも抑制度合いが低いと考えられるが、上記の構成によっても、コロナ放電の抑制効果がある。
【0033】
なお、上記では第2高電圧が第1高電圧よりも高い場合を例にして説明したが、第2高電圧が第1高電圧よりも低い場合であっても同様にコロナ放電の抑制効果がある。
【0034】
また、上述したように、本実施形態では、MOSFET16(部品)は、銅メッキ13(第2の金属材)に接するように配置されており、セラミック12(第1の絶縁材)を挟んで銅メッキ13とは反対側に設けられた第1の金属材は水冷銅板11である。MOSFET等のような部品は、高温になり易いので放熱が必要である。そこで、MOSSFET16を銅メッキ13に接するように配置すれば、MOSFET16は、銅メッキとセラミック12とを介して水冷銅板11と熱的に接続できる。これにより、MOSFET16の熱を水冷銅板11から放熱させることができる。
【0035】
また、上記の第1の金属材を水冷銅板11にすれば、更に放熱効果を高めることができる。すなわち、上記構成によって、コロナ放電の抑制だけでなく、MOSFET16(部品)の放熱効果を高めることができる。
【0036】
なお、MOSFET16(部品)と銅メッキ13(第2の金属材)との間に、オイルコンパウンドを塗布すると、MOSFET16と銅メッキ13との密着度が高まるので、放熱効果の面でより好ましい。また、セラミック12(第1の絶縁材)と水冷銅板11(第1の金属材)との間にもオイルコンパウンドを塗布すると、セラミック12(第1の絶縁材)と水冷銅板11(第1の金属材)との密着度が高まるので、放熱効果の面でより好ましい。
【0037】
また、上述したように、本実施形態では、セラミック12(第1の絶縁材)を挟んで水冷銅板11(第1の金属材)とは反対側に設けられたシート状の第2の金属材を銅メッキ13で構成することにより、その厚みを略均一にすることができる。そのため、第2の金属材と、該第2の金属材上(第2の金属材のうちセラミック12とは反対側)に設けられた部品(MOSFET16)との密着度を高めやすい。そのため、シート状の第2の金属材を銅メッキ13で構成すると、放熱効果を高めやすい。
【0038】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら新規な実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0039】
また、本明細書に記載された実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 高電圧印加回路
11 水冷銅板
12 セラミック
13 銅メッキ
14 回路基板
15 モールド
16 MOSFET
17 第1部品高電位部位
18 第2部品高電位部位
19 第1回路基板高電位部位
20 第2回路基板高電位部位
21 スペーサ
22 スペーサ