(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141317
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】半導体装置とその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230928BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L25/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047566
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】本間 荘一
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 力
(57)【要約】
【課題】本発明の実施形態は、信頼性の高い半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】
実施形態の半導体装置は、第1半導体素子と、第1半導体素子を封止する第1絶縁樹脂と、パッドを有する配線基板と、第1半導体素子から配線基板に向かって延在し、第1頭部と第1柱部を有し、第1柱部が第1半導体素子と接続し、第1頭部が第1絶縁樹脂の表面に露出している第1配線と、第1配線の第1頭部とパッドを電気的に接続する第1導電性接合剤とを有し、第1頭部の第1絶縁樹脂側を向く面を第1面とし、第1絶縁樹脂の配線基板側の面を第2面とするとき、配線基板の第1絶縁樹脂側の面から第1面までの距離を第1距離とし、配線基板の第1絶縁樹脂側の面から第2面までの距離を第2距離とし、第1距離は、第2距離よりも短い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体素子と、
第1半導体素子を封止する第1絶縁樹脂と、
パッドを有する配線基板と、
前記第1半導体素子から前記配線基板に向かって延在し、第1頭部と第1柱部を有し、前記第1柱部が前記第1半導体素子と接続し、前記第1頭部が前記第1絶縁樹脂の表面に露出している第1配線と、
前記第1配線の前記第1頭部と前記パッドを電気的に接続する第1導電性接合剤とを有し、
前記第1頭部の前記第1絶縁樹脂側を向く面を第1面とし、
前記第1絶縁樹脂の前記配線基板側の面を第2面とするとき、
前記配線基板の前記第1絶縁樹脂側の面から前記第1面までの距離を第1距離とし、
前記配線基板の前記第1絶縁樹脂側の面から前記第2面までの距離を第2距離とし、
前記第1距離は、前記第2距離よりも短い半導体装置。
【請求項2】
前記第1絶縁樹脂と前記配線基板の間に第2絶縁樹脂をさらに有し、
前記第2絶縁樹脂の第1絶縁樹脂側の面は、前記第2面と接し、
前記第2絶縁樹脂の前記配線基板側の面は、前記第1面よりも前記配線基板側に位置している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1距離と前記第2距離の差は、50[nm]以上5000[nm]以下である請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1半導体素子の面に対して垂直方向に延在する柱状の配線を形成する工程と、
前記柱状の配線が形成された前記第1半導体素子を第1絶縁樹脂で封止する工程と、
前記柱状の配線の先端を露出させる工程と、
前記露出した柱状の配線の先端に無電解めっきして第1頭部を形成する工程と、
前記第1頭部が形成された側の前記第1絶縁樹脂を薄くする工程と、
第1導電性接合剤が形成されている配線基板の前記第1導電性接合剤と前記第1頭部が露出した部材の前記第1頭部を電気的に接続する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
第1絶縁樹脂4を薄くする厚さは、50[nm]以上5000[nm]以下である請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のNANDフラッシュメモリチップを積層するなどしたパッケージにおいて、積層したNANDフラッシュメモリチップ同士はボンディングで接続されている。この構造の他にもNANDフラッシュメモリチップから配線基板に向かって垂直な配線を形成して、NANDフラッシュメモリチップをフリップチップ化して、垂直な配線の先端部分と配線基板をハンダで接合した形態も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、信頼性の高い半導体装置とその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1半導体素子と、第1半導体素子を封止する第1絶縁樹脂と、パッドを有する配線基板と、第1半導体素子から配線基板に向かって延在し、第1頭部と第1柱部を有し、第1柱部が第1半導体素子と接続し、第1頭部が第1絶縁樹脂の表面に露出している第1配線と、第1配線の第1頭部とパッドを電気的に接続する第1導電性接合剤とを有し、第1頭部の第1絶縁樹脂側を向く面を第1面とし、第1絶縁樹脂の配線基板側の面を第2面とするとき、配線基板の第1絶縁樹脂側の面から第1面までの距離を第1距離とし、配線基板の第1絶縁樹脂側の面から第2面までの距離を第2距離とし、第1距離は、第2距離よりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図5】実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャート。
【
図6】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図7】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図8】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図9】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図10】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図11】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図12】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図16】実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャート。
【
図17】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図18】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図19】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図20】実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャート。
【
図21】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図22】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図23】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【
図24】実施形態に係る半導体装置の工程模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
本明細書では、いくつかの要素に複数の表現の例を付している。なおこれら表現の例はあくまで例示であり、上記要素が他の表現で表現されることを否定するものではない。また、複数の表現が付されていない要素についても、別の表現で表現されてもよい。
【0009】
また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係や各層の厚みの比率などは現実のものと異なることがある。また、図面相互間において互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることもある。また、図面において、一部の符号を省略している。
【0010】
実施形態において表している物性値は、大気圧下で25℃の値である。また、直径の値は、外接円直径の値である。
【0011】
本明細書において、工程には独立した工程だけではなく、他の工程や他の処理と組み合わせも含まれる。本明書中の数値条件において、複数の数値範囲が記載されている場合、その数値範囲の上限値又は下限値は、他の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中の数値条件の上限値と下限値が記載されている場合、上限値と下限値を組み合わせた数値範囲の条件に置き換えることもできる。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態は、半導体装置とその製造方法に関する。
図1に半導体装置100の模式断面図を示す。実施形態の半導体装置100は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載した半導体パッケージである。なお、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに交差し、互いに直交することが好ましい。
【0013】
半導体装置100は、記憶装置の一例である。半導体装置100は、第1半導体素子1A、第2半導体素子9、第3半導体素子1B、第4半導体素子1C、第1パッド2A、第3パッド10、第5パッド2B、第7パッド2C、第1配線3A、第2配線11、第3配線3B、第4配線3C、第1絶縁樹脂4、第1導電性接合剤5A、第2導電性接合剤12、第3導電性接合剤5B、第4導電性接合剤5C、配線基板6、第2パッド7A、第4パッド13、第6パッド7B、第8パッド7C、半田ボール8及び第2絶縁樹脂14を有する。第1導電性接合剤5A、第2導電性接合剤12、第3導電性接合剤5B及び第4導電性接合剤5Cは、例えばスズ合金を用いた半田である。
【0014】
第1半導体素子1Aは、例えば、半導体メモリチップである。第1半導体素子1Aは、第1絶縁樹脂4に覆われている。第1半導体素子1Aは、第1配線3Aを介して配線基板6と電気的に接続している。
【0015】
第1半導体素子1Aは、第1パッド2Aを有する。第1半導体素子1Aは、具体的には、複数の第1パッド2Aを有する。第1パッド2Aは、信号用パッド及び電源用パッドを含む。第1パッド2Aは、第1半導体素子1Aの配線基板6側を向く面に設けられている。
【0016】
第1配線3Aを介して第1パッド2Aと配線基板6の第2パッド7Aは電気的に接続している。第1配線3Aは、第1柱部3Aaと第1頭部3Abを有する。第1柱部3Aaと第1頭部3Abは、電気的かつ直接的に接続している。
【0017】
第1配線3Aは、第1半導体素子1Aから配線基板6に向かって延在している。第1配線3Aは、Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分とメッキ部分を有する。導体部分とメッキ部分の境界は、第1柱部3Aaと第1頭部3Abの境界から第1半導体素子1A側に0[μm]以上5[μm]以下の間、0.1[μm]以上5[μm]以下の間、又は、1[μm]以上5[μm]以下の間に位置している。または、導体部分とメッキ部分の境界は、第1柱部3Aaと第1頭部3Abの境界と同じ場所に位置している。Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分は、第1柱部3Aaに含まれる。メッキ部分は、第1頭部3Ab、又は、第1頭部3Abと第1柱部3Aaの第1頭部3Ab側の一部に含まれる。
第1配線3Aと第2パッド7Aの間には、第1導電性接合剤5Aが設けられている。第1導電性接合剤5Aを介して第1配線3Aと第2パッド7Aが電気的に接続している。第1導電性接合剤5Aの第1半導体素子1A側の面と第1頭部3Abの配線基板6側の面は、電気的かつ直接的に接している。第1導電性接合剤5Aの第2パッド7A側の面と第2パッド7Aの第1半導体素子1A側の面は電気的かつ直接的に接している。
【0018】
第1半導体素子1Aが複数の第1パッド2Aを有する場合、半導体装置100には複数の第1配線3Aが含まれる。複数の第1配線3Aが含まれる場合、複数の第2パッド7Aが含まれ、複数の第1配線3Aによって第1半導体素子1Aと配線基板6が電気的に接続している。
【0019】
第1半導体素子1Aは、配線基板6を介して第2半導体素子9、第3半導体素子1B及び第4半導体素子1Cと電気的に接続している。
【0020】
半導体メモリチップは、データの読み書きをする半導体チップである。不揮発性メモリチップとしては、NANDメモリチップ、相変化メモリチップ、抵抗変化メモリチップ、強誘電体メモリチップ、磁気メモリチップ等を用いることができる。揮発性メモリチップとしては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等を用いることができる。
【0021】
第2半導体素子9は、第1半導体素子1Aとは異なる半導体素子である。第2半導体素子9は、例えば、ロジックICチップである。第1実施形態において、第2半導体素子9は、第1絶縁樹脂4に覆われている。半導体装置100が記憶装置であるとき、例えば、第1半導体素子1Aは、半導体メモリチップであり、第2半導体素子9はコントローラチップである。コントローラチップは、半導体メモリチップの読み書き及び消去などを制御する半導体チップである。
【0022】
第2半導体素子9は、第3パッド10を有する。第2半導体素子9は、第2配線11を介して配線基板6と電気的に接続している。第2半導体素子9は、第3パッド10を有する。第3パッド10は、第4配線3Cを介して配線基板6の第4パッド13と電気的に接続している。
【0023】
第2半導体素子9は、第3パッド10を有する。第2半導体素子9は、具体的には、複数の第3パッド10を有する。第3パッド10は、信号用パッド及び電源用パッドを含む。第3パッド10は、第2半導体素子9の配線基板6側を向く面に設けられている。
【0024】
第3パッド10は、第2配線11を介して配線基板6の第4パッド13と電気的に接続している。第2配線11は、第2柱部11aと第2頭部11bを有する。第2柱部11aと第2頭部11bは、電気的かつ直接的に接続している。
【0025】
第2配線11は、第2半導体素子9から配線基板6に向かって延在している。第2配線11は、Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分とメッキ部分を有する。導体部分とメッキ部分の境界は、第2柱部11aと第2頭部11bの境界から第2半導体素子9側に0[μm]以上5[μm]以下の間、0.1[μm]以上5[μm]以下の間、又は、1[μm]以上5[μm]以下の間に位置している。または、導体部分とメッキ部分の境界は、第2柱部11aと第2頭部11bの境界と同じ場所に位置している。Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分は、第2柱部11aに含まれる。メッキ部分は、第2頭部11b、又は、第2頭部11bと第2柱部11aの第2頭部11b側の一部に含まれる。
【0026】
第2配線11と第4パッド13の間には、第2導電性接合剤12が設けられている。第2導電性接合剤12を介して第2配線11と第4パッド13が電気的に接続している。第2導電性接合剤12の第2半導体素子9側の面と第2頭部11bの配線基板6側の面は、電気的かつ直接的に接している。第2導電性接合剤12の第4パッド13側の面と第4パッド13の第2半導体素子9側の面は電気的かつ直接的に接している。
【0027】
第2半導体素子9が複数の第3パッド10を有する場合、半導体装置100には複数の第2配線11が含まれる。複数の第2配線11が含まれる場合、複数の第4パッド13が含まれ、複数の第2配線11によって第2半導体素子9と配線基板6が電気的に接続している。
【0028】
第2半導体素子9は、配線基板6を介して第1半導体素子1A、第3半導体素子1B及び第4半導体素子1Cと電気的に接続している。
【0029】
第3半導体素子1Bは、例えば、半導体メモリチップである。第3半導体素子1Bは、第1絶縁樹脂4に覆われている。第1半導体素子1Aと第3半導体素子1Bの間には接着層が設けられていて、接着層によって、第1半導体素子1Aと第3半導体素子1Bが接着していることが好ましい。第3半導体素子1Bは、第3配線3Bを介して配線基板6と電気的に接続している。
【0030】
第3半導体素子1Bは、第5パッド2Bを有する。第3半導体素子1Bは、具体的には、複数の第5パッド2Bを有する。第5パッド2Bは、信号用パッド及び電源用パッドを含む。第5パッド2Bは、第3半導体素子1Bの配線基板6側を向く面に設けられている。
【0031】
第5パッド2Bは、第3配線3Bを介して配線基板6の第6パッド7Bと電気的に接続している。第3配線3Bは、第3柱部3Baと第3頭部3Bbを有する。第3柱部3Baと第3頭部3Bbは、電気的かつ直接的に接続している。
【0032】
第3配線3Bは、第3半導体素子1Bから配線基板6に向かって延在している。第3配線3Bは、Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分とメッキ部分を有する。導体部分とメッキ部分の境界は、第3柱部3Baと第3頭部3Bbの境界から第3半導体素子1B側に0[μm]以上5[μm]以下の間、0.1[μm]以上5[μm]以下の間、又は、1[μm]以上5[μm]以下の間に位置している。または、導体部分とメッキ部分の境界は、第3柱部3Baと第3頭部3Bbの境界と同じ場所に位置している。Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分は、第3柱部3Baに含まれる。メッキ部分は、第3頭部3Bb、又は、第3頭部3Bbと第3柱部3Baの第3頭部3Bb側の一部に含まれる。
【0033】
第3配線3Bと第6パッド7Bの間には、第3導電性接合剤5Bが設けられている。第3導電性接合剤5Bを介して第3配線3Bと第6パッド7Bが電気的に接続している。第3導電性接合剤5Bの第3半導体素子1B側の面と第3頭部3Bbの配線基板6側の面は、電気的かつ直接的に接している。第3導電性接合剤5Bの第6パッド7B側の面と第6パッド7Bの第3半導体素子1B側の面は電気的かつ直接的に接している。
【0034】
第3半導体素子1Bが複数の第5パッド2Bを有する場合、半導体装置100には複数の第3配線3Bが含まれる。複数の第3配線3Bが含まれる場合、複数の第6パッド7Bが含まれ、複数の第3配線3Bによって第3半導体素子1Bと配線基板6が電気的に接続している。
【0035】
第3半導体素子1Bは、配線基板6を介して第1半導体素子1A、第2半導体素子9及び第4半導体素子1Cと電気的に接続している。
【0036】
第4半導体素子1Cは、例えば、半導体メモリチップである。第4半導体素子1Cは、第1絶縁樹脂4に覆われている。第3半導体素子1Bと第4半導体素子1Cの間には接着層が設けられていて、接着層によって、第3半導体素子1Bと第4半導体素子1Cが接着していることが好ましい。第4半導体素子1Cは、第4配線3Cを介して配線基板6と電気的に接続している。
【0037】
第4半導体素子1Cは、第7パッド2Cを有する。第4半導体素子1Cは、具体的には、複数の第7パッド2Cを有する。第7パッド2Cは、信号用パッド及び電源用パッドを含む。第7パッド2Cは、第4半導体素子1Cの配線基板6側を向く面に設けられている。
【0038】
第7パッド2Cは、第4配線3Cを介して配線基板6の第8パッド7Cと電気的に接続している。第4配線3Cは、第4柱部3Caと第4頭部3Cbを有する。第4柱部3Caと第4頭部3Cbは、電気的かつ直接的に接続している。
【0039】
第4配線3Cは、第4半導体素子1Cから配線基板6に向かって延在している。第4配線3Cは、Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分とメッキ部分を有する。導体部分とメッキ部分の境界は、第4柱部3Caと第4頭部3Cbの境界から第4半導体素子1C側に0[μm]以上5[μm]以下の間、0.1[μm]以上5[μm]以下の間、又は、1[μm]以上5[μm]以下の間に位置している。または、導体部分とメッキ部分の境界は、第4柱部3Caと第4頭部3Cbの境界と同じ場所に位置している。Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分は、第4柱部3Caに含まれる。メッキ部分は、第4頭部3Cb、又は、第4頭部3Cbと第4柱部3Caの第4頭部3Cb側の一部に含まれる。
【0040】
第4配線3Cと第8パッド7Cの間には、第4導電性接合剤5Cが設けられている。第4導電性接合剤5Cを介して第4配線3Cと第8パッド7Cが電気的に接続している。第4導電性接合剤5Cの第4半導体素子1C側の面と第4頭部3Cbの配線基板6側の面は、電気的かつ直接的に接している。第4導電性接合剤5Cの第8パッド7C側の面と第8パッド7Cの第4半導体素子1C側の面は電気的かつ直接的に接している。
【0041】
第4半導体素子1Cが複数の第7パッド2Cを有する場合、半導体装置100には複数の第4配線3Cが含まれる。複数の第4配線3Cが含まれる場合、複数の第8パッド7Cが含まれ、複数の第4配線3Cによって第4半導体素子1Cと配線基板6が電気的に接続している。
【0042】
第1半導体素子1A、第3半導体素子1B及び第4半導体素子1Cなどの半導体装置100に含まれる半導体メモリチップは、個体差を除き同一回路であり同一構造の半導体チップであることが好ましい。また、本実施形態においては、半導体メモリチップとして不揮発性メモリチップ、揮発性メモリチップを用いることができる。半導体メモリチップをX方向にずらしながら積層させる段数は
図1のように3段とするだけでなく1段のみとすることや2段にすることや、4段以上とすることもできる。
【0043】
第4半導体素子1Cは、配線基板6を介して第1半導体素子1A、第2半導体素子9及び第3半導体素子1Bと電気的に接続している。
【0044】
第1絶縁樹脂4によって封止されている半導体素子(第1実施形態においては、第1半導体素子1A、第2半導体素子9、第3半導体素子1B、第4半導体素子1C)間を直接接続する配線は含まれない。
【0045】
第1絶縁樹脂4によって封止されている半導体素子(第1実施形態においては、第1半導体素子1A、第2半導体素子9、第3半導体素子1B、第4半導体素子1C)間を接続するための再配線層等は第1絶縁樹脂4内には存在していない場合がある。つまり、本実施形態においては、第1絶縁樹脂4によって封止されている半導体素子と接続している全ての配線は、配線基板6とは接続しているが、第1絶縁樹脂4内において接続していない。上記構成とは別に、第1絶縁樹脂4によって封止されている半導体素子(第1実施形態においては、第1半導体素子1A、第2半導体素子9、第3半導体素子1B、第4半導体素子1C)間を接続するボンディングワイヤを含む構成も実施形態に含まれる。
【0046】
第1パッド2A、第3パッド10、第5パッド2B、第7パッド2C、第2パッド7A、第4パッド13、第6パッド7B及び第8パッド7Cは、例えば電極パッドである。電極パッドは、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P及びNi-B等の膜又はCu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti、Ni-P、Ni-Bからなる群より選ばれる2種以上を含む膜を含む低抵抗金属膜である。電極パッドは、より具体的には、Al、Al-Cu、Ni/Pd/Au、Ni/Au又はCuであることがより好ましい。
【0047】
第1絶縁樹脂4は、絶縁性で樹脂を含む。第1絶縁樹脂4は、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、シリコーン系樹脂及びベンゾシクロブテン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む。エポキシ系樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Siとの密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また第1絶縁樹脂4の中にシリカやアルミナなどの絶縁性フィラーが含まれていてもよい。
【0048】
第1導電性接合剤5A、第2導電性接合剤12、第3導電性接合剤5B及び第4導電性接合剤5Cは、例えばハンダなどの接合部材である。第1導電性接合剤5A、第2導電性接合剤12、第3導電性接合剤5B及び第4導電性接合剤5Cは、Sn、Ag、Cu、Au、Pd、Bi、Zn、Ni、Sb、In及びGeからなる群より選ばれる1種の単体、Sn、Ag、Cu、Au、Pd、Bi、Zn、Ni、Sb、In及びGeからなる群より選ばれる1種の単体を2種以上含む複合膜、又は、Sn、Ag、Cu、Au、Pd、Bi、Zn、Ni、Sb、In及びGeからなる群より選ばれる2種以上を含む合金のいずれかであることが好ましい。
【0049】
配線基板6は、多層の配線基板である。配線基板6に第1半導体素子1Aなどが第1絶縁樹脂4で封止された部材が設けられている。配線基板6の第1絶縁樹脂4で封止された部材が設けられている面と反対側の面側に半導体装置100の外部と接続するための半田ボール8などの半球状の電極が設けられている。
【0050】
第1絶縁樹脂4と配線基板6の間には第2絶縁樹脂14が設けられていることが好ましい。第2絶縁樹脂14は、絶縁性で樹脂を含む。第2絶縁樹脂14は、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、シリコーン系樹脂及びベンゾシクロブテン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む。エポキシ系樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Siとの密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また第2絶縁樹脂14の中にシリカやアルミナなどの絶縁性フィラーが含まれていてもよい。また硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂には、アルコール類及び/又は有機酸が含まれてもよい。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂は、アンダーフィル剤としてフリップチップの実装に用いられる硬化性の絶縁性樹脂である。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂に含まれるアルコール類及び/又は有機酸は、第1配線3Aの表面の酸化膜を除去するフラックス機能を有することが好ましい。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂に含まれるアルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、カルビトール、セロソルブアルコールなどから選択される少なくとも1種があげられる。またアルキルエーテル系の材料でもよい。例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどがあげられる。アルカン、アミン化合物などを用いることもできる。例えばホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどがあげられる。これらは単独でもよいし、複数を混合してもよい。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂に含まれる有機酸としては、ギ酸、酢酸、安息香酸、アビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマール酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、ロジンなどがあげられる。アルコール類及び/又は有機酸は、単独でもよいし、複数を混合してもよい。酸化膜を除去する機能を有する樹脂を塗布する方法はディスペンス法、印刷法、ジェット法、スクリュー法など種々の方法で塗布する。
【0051】
第2絶縁樹脂14の熱膨張係数は、第1絶縁樹脂4及び配線基板6よりも大きいことが好ましい。第2絶縁樹脂14の熱膨張係数>配線基板6の熱膨張係数>第1絶縁樹脂4の熱膨張係数の関係を満たすことがより好ましい。第2絶縁樹脂14の熱膨張係数が、配線基板6の熱膨張係数よりも小さいと第1半導体素子1Aなどを封止した部材を配線基板6に実装した時に配線基板6の伸びに第2絶縁樹脂14の延びが追随できず、第2絶縁樹脂14が剥がれてしまう可能性がある。そこで、第2絶縁樹脂14の熱膨張係数は、20[ppm/℃]以上60[ppm/℃]の範囲が好ましく、20[ppm/℃]以上40[ppmm/℃]がより好ましい。第2絶縁樹脂14の熱膨張係数が20[ppm/℃]よりも小さいと配線基板6の熱膨張係数に近づき、配線基板6の伸びに追随できず、第2絶縁樹脂14が剥がれ易くなる場合がある。第2絶縁樹脂14の熱膨張係数が60[ppm/℃]よりも大きいと第3の樹脂が伸びすぎて、第2絶縁樹脂14が剥がれ易くなる場合がある。第2絶縁樹脂14の熱膨張係数は、配線基板6の熱膨張係数よりも10%以上高いことが好ましい。配線基板6の熱膨張係数は、第1絶縁樹脂4の熱膨張係数よりも10%以上高いことが好ましい。
【0052】
第2絶縁樹脂14の弾性率は、第1絶縁樹脂4の弾性率及び配線基板6の弾性率よりも小さいことが好ましい。第1絶縁樹脂4の弾性率>配線基板6の弾性率>第2絶縁樹脂14の弾性率の関係を満たすことがより好ましい。そこで、第2絶縁樹脂14の弾性率は、0.1[GPa]以上20[GPa]以下が好ましく、1[GPa]以上15[GPa]以下がより好ましい。第2絶縁樹脂14の弾性率が0.1「GPa」未満では、第2絶縁樹脂14による第1半導体素子1Aを封止した部材の固定が困難である。第2絶縁樹脂14の弾性率が20[GPa]を超えると第2絶縁樹脂14と配線基板6の反りにより、第2絶縁樹脂14が配線基板6のソルダーレジストから剥離し易い場合がある。第1絶縁樹脂4の弾性率は、配線基板6の弾性率よりも10%以上高いことが好ましい。配線基板6の弾性率は、第2絶縁樹脂14の弾性率よりも10%以上高いことが好ましい。
【0053】
次に、
図2に示す半導体装置100の部分模式図を参照して第1半導体素子1Aなどが第1絶縁樹脂4で封止された部材と配線基板6の接続部分について説明する。以下、第1配線3Aの接続部分について説明する。第2配線11、第3配線3B及び第4配線3Cの接続部分は、第1配線3Aの接続部分と同様である。第2配線11、第3配線3B及び第4配線3Cの接続部分に関して、第1配線3Aの接続部分と共通する内容についてはその説明を省略する。
【0054】
図2は第1配線3Aの配線基板6との接続部分を示した模式図である。
図2には、第1配線3A、第1絶縁樹脂4、第1導電性接合剤5A、第2パッド7A、配線基板6及び第2絶縁樹脂14を示している。
図2中において、第1配線3Aの一点長鎖線が線状の導体部分とメッキ部分の境界である。
図1中及び
図2中において、第1配線3Aの一点長鎖線より上方が例えば線状の導体部分であり、一点長鎖線より下方がメッキ部分である。
【0055】
第1配線3Aの第1柱部3Aaの直径は10[μm]以上50[μm]以下が好ましく、15[μm]以上30[μm]以下が好ましい。第1柱部3Aaの直径が細すぎると強度が弱く第1絶縁樹脂4で封止する際に第1柱部3Aaが変形する可能性がある。また、第1柱部3Aaの直径が太すぎると半導体素子上のパッドに形成する第1配線の接続部分がパッドからはみ出す問題がある。そこで、直径が上記範囲の第1柱部3Aaが好ましい。
【0056】
第1配線3Aの第1頭部3Abの直径は、15[μm]以上100[μm]以下が好ましく、20[μm]以上80[μm]以下が好ましい。第1柱部3Aaの直径が細いため第1柱部3Aaを直接的に配線基板6側の第2パッド7Aと接合するのが困難である。第1配線3Aの第1柱部3Aaを50[μm]以上にすることができれば第1導電性接合剤5Aを介して第1柱部3Aaの先端部分と第2パッド7Aを直接接続することができる。しかし、第1パッド2Aのピッチの関係で第1柱部3Aaの直径を太くすることが困難である。そこで、第1頭部3Abを第1配線3Aの先端側に設けることで第1配線3Aの先端側の直径を太くして良好な接合を形成することができる。また、第1柱部3Aaの直径が太すぎると、配線基板と接続した場合、となりの導電性接合剤とショートする問題が発生する。そこで、直径が上記範囲の第1柱部3Aaが好ましい。
【0057】
第1頭部3Abの第1絶縁樹脂4側を向く面を第1面aとし、第1絶縁樹脂4の配線基板6側の面を第2面bとする。このとき、配線基板6の第1絶縁樹脂4側の面から第1面aまでの距離を第1距離cとする。そして、配線基板6の第1絶縁樹脂4側の面から第2面bまでの距離を第2距離dとする。第1距離cは、第2距離dよりも短い。
【0058】
第1距離cと第2距離dの差は、50[nm]以上5000[nm]以下が好ましく、100[nm]以上1000[nm]以下がより好ましい。第1距離cと第2距離dの差が少ないと第1面aと第2面bの間に第1導電性接合剤5A又は第2絶縁樹脂14が侵入しにくく、第1面aと良好な結合を形成しにくい。第1距離cと第2距離dの差(d-c)が大きすぎると加工が困難になり経済的及び歩留まりの観点から好ましくない。
【0059】
第1距離cと第2距離dが同じであると第1面aが第2面bと接した状態(実質的に接している)になる。第1配線3Aのメッキ部分である第1頭部3Abは、第1絶縁樹脂4が形成された後に形成される。すると、メッキ部分は第1絶縁樹脂4と結合しないことから第1面aと第2面bは接着していない。第1面aと第2面bが接着していない場合、第1絶縁樹脂4で封止された部材と配線基板6が離間する方向に応力がかかった場合に線状の導体部分とメッキ部分が破断し易い。例えば、第1絶縁樹脂4で封止された部材を配線基板6に接続する時、第1絶縁樹脂4で封止された部材の反りで第1柱部3Aaと第1頭部3Abの境界又は線状の導体部分とメッキ部分の境界で破断する可能性がある。
【0060】
配線基板6の第1絶縁樹脂4側の面から第1面aまでの距離である第1距離cは、以下のように定義する。第1頭部3Abの第1面aは、平坦ではない場合がある。平坦である場合と平坦ではない場合の両方で同じ基準で第1距離cを定める。そこで、
図2のような断面において、距離f1を[第1柱部3Aaの半径]+[5[μm]]とし、第1頭部3Abの中心eからX方向(
図2の断面における第1配線3Aから第3配線3bに向かう方向)に距離fの位置を点gとし、第1距離cは、Z方向(第1配線3Aの延在方向)における点gから配線基板6までの距離である。また、第1絶縁樹脂4の第2面bにおいて、第1絶縁樹脂4と第1配線3Aの境界からX方向(
図2の断面における第1配線3Aから第3配線3bに向かう方向(
図1のXの矢印方向))に距離h(50[μm])の位置を点iとし、第2距離dは、Z方向(第1配線3Aの延在方向)における点iから配線基板6までの距離である。
【0061】
メッキを形成せずに頭部が設けられていない細い線状の導体部分は、直接的に第1導電性接合剤5Aと良好な接合が形成されず線状の導体部分と第1導電性接合剤5Aの接続部分の信頼性が低い。そこで、第1距離cを第2距離dよりも短くすることで、第1頭部3Abの第1面aが第1導電性接合剤5A又は第2絶縁樹脂14と接続し、配線の信頼性を向上させることができる。
【0062】
図2の模式図に示す半導体装置100において、第1頭部3Abの第1面aは、第1導電性接合剤5Aと接している。第1頭部3Abの第1面aが第1導電性接合剤5Aと接していることで第1頭部3Abの第1面aと第1導電性接合剤5Aは接合している。第1頭部3Abの第1面aの表面と第1導電性接合剤5Aが水素結合や共有結合や金属拡散によって接合していることで、第1頭部3Abの第1面aと第1導電性接合剤5Aとが接する(直接的に接する)。
【0063】
図3は第1配線3Aの配線基板6との接続部分を示した模式図である。
図3の模式図は、
図2の模式図の変形例であり、第1頭部3Abの第1面aが第2絶縁樹脂14と(直接的に)接していることが
図2の部分模式図と異なる。第1導電性接合剤5Aは、第1面aと配線基板6の第1絶縁樹脂4側の面との間に存在する。
図3の模式図に示す形態において、第1頭部3Abの第1面aが第2絶縁樹脂14と接していることで第1頭部3Abの第1面aと第2絶縁樹脂14は接合している。第1頭部3Abの第1面aの表面と第2絶縁樹脂14が水素結合や共有結合によって接合していることで、第1頭部3Abの第1面aと第2絶縁樹脂14とが接する(直接的に接する)。
【0064】
図4は第1配線3Aの配線基板6との接続部分を示した模式図である。
図4の模式図は、
図2の模式図の変形例であり、第2面bが第1導電性接合剤5Aと(直接的に)接していることが
図2の部分模式図と異なる。第1導電性接合剤5Aは、第2面bと配線基板6の第1絶縁樹脂4側の面との間に存在する。
図4の模式図に示す形態において、第1頭部3Abの第1面aが第1導電性接合剤5Aと接していることで第1頭部3Abの第1面aと第1導電性接合剤5Aは接合している。第1頭部3Abの第1面aの表面と第1導電性接合剤5Aが水素結合や共有結合や金属拡散によって接合していることで、第1頭部3Abの第1面aと第1導電性接合剤5Aとが接する(直接的に接する)。
【0065】
第1配線3Aのメッキ部分はメッキ、より具体的には、無電解めっきによって線状の導体部分の先端に形成されている。従って、メッキ部分が形成される時の下地の金属である線状の導体部分とメッキ部分は結合する。しかし、非金属である樹脂部分にはメッキされないため、下地の樹脂部分、例えば第1絶縁樹脂4の表面にはメッキされず、樹脂部分とメッキ部分は接合(結合)していない。すると、第1頭部3Abの第1面a側が下地の樹脂部分と接着していないため、第1絶縁樹脂4で封止された部材と配線基板6が離間する方向の応力が印加されたときに、第1配線3Aが破断しやすい。実施形態の構成であれば、第1頭部3Abの第1頭部3Ab側が第1導電性接合剤5A又は第2絶縁樹脂14と接して接合していて、破断しにくい。
【0066】
次に、半導体装置100の製造方法について説明する。
図5に半導体装置100の製造方法のフローチャートを示す。
図6から
図12に半導体装置100の工程断面模式図を示す。
【0067】
半導体装置100の製造方法は、第1半導体素子1Aの面に対して垂直方向に延在する柱状の配線21を形成する工程(S01)と、柱状の配線21が形成された第1半導体素子1Aを第1絶縁樹脂4で封止する工程(S02)と、柱状の配線21の先端を露出させる工程(S03)と、露出した柱状の配線21の先端に無電解めっきして第1頭部3Abを形成する工程(S04)と、第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4を薄くする工程(S05)と、第1導電性接合剤5Aが形成されている配線基板6の第1導電性接合剤5Aと第1頭部3Abが露出した部材の第1頭部3Abを電気的に接続する工程(S06)とを有する。
【0068】
まず、
図6と
図7の工程模式断面図を参照して第1半導体素子1Aの面に対して垂直方向に延在する柱状の配線21を第1半導体素子1Aの第1パッド2Aに形成する工程(S01)について説明する。
図6の工程模式断面図には、支持基板20上に第1半導体素子1A、第3半導体素子1B、第4半導体素子1C及び第2半導体素子9が順に積層した部材が示されている。支持基板20と第1半導体素子1A間、第1半導体素子1Aと第3半導体素子1B間、第3半導体素子1Bと第4半導体素子1C間及び第4半導体素子1Cと第2半導体素子9間には図示しない中間層があり、中間層によって接着されていることが好ましい。
図1の半導体装置100においては、中間層を示していないが、第1半導体素子1Aと第3半導体素子1B間、第3半導体素子1Bと第4半導体素子1C間及び第4半導体素子1Cと第2半導体素子9には中間層が設けられていることが好ましい。第1パッド2A側とは反対側の面、つまり、第1絶縁樹脂4で封止された部材の表面に中間層が存在してもよい。中間層は、例えば、ダイアタッチフィルムの接着層である。
【0069】
図7の工程模式断面図において、
図6の工程模式断面図の部材の第1パッド2A、第3パッド10、第5パッド2B及び第7パッド2Cからそれぞれ柱状の配線21が形成されている。第1半導体素子1Aの第1パッド2Aに設けられている柱状の配線21は、第1半導体素子1Aの面に対して垂直方向に延在している。第2半導体素子9の第3パッド10に設けられている柱状の配線21は、第2半導体素子9の面に対して垂直方向に延在している。第3半導体素子1Bの第5パッド2Bに設けられている柱状の配線21は、第3半導体素子1Bの面に対して垂直方向に延在している。第4半導体素子1Cの第7パッド2Cに設けられている柱状の配線21は、第4半導体素子1Cの面に対して垂直方向に延在している。柱状の配線21が延在する方向は、第1半導体素子1A、第3半導体素子1B、第4半導体素子1C及び第2半導体素子9の積層方向でもある。
【0070】
柱状の配線21の長さは、
図7の工程模式断面図に示すように、支持基板20からの距離が同程度になるようにすることが好ましい。複数の柱状の配線21の先端から支持基板20までの距離のばらつきは小さい方が好ましく、複数の柱状の配線21の先端から支持基板20までの距離の最大値と最小値の差は、5[μm]以上50[μm]以下であることが好ましく、0[μm]以上5[μm]未満であればより好ましい。
【0071】
柱状の配線21は、例えば、第1パッド2Aにキャピラリの先端を押し当てて、第1パッド2Aとワイヤを接合し、形成したい柱状の配線21の高さに相当する長さのワイヤを繰り出して、平面やパッド部分にキャピラリを押しつける。押しつけられた部分のワイヤが細くなり、ワイヤを繰り出さずにキャピラリを引き上げてワイヤを切断して柱状の配線21を形成する。第2半導体素子9、第3半導体素子1B及び第4半導体素子1Cの柱状の配線21も同様に形成する。
【0072】
次に、
図8の工程模式断面図を参照して、柱状の配線21が形成された第1半導体素子1Aを第1絶縁樹脂4で封止する工程(S02)について説明する。
図8の工程模式断面図に示すように、
図7の工程模式断面図に部材の第1半導体素子1Aを第1絶縁樹脂4で封止する。
図8の工程模式断面図に示すように第1半導体素子1Aに他の半導体素子(第1実施形態の構成であれば、第2半導体素子9、第3半導体素子1B及び第4半導体素子1C)が積層している場合、第1半導体素子1Aを含む積層体を第1絶縁樹脂4で封止する。柱状の配線21の先端部分も覆われるように第1絶縁樹脂4で封止する。第1絶縁樹脂4で封止した後に支持基板20を除去することが好ましい。支持基板20の除去は任意であり、他の工程で行なってもよいし、支持基板20を除去せず半導体装置100に支持基板20が含まれていてもよい。第1絶縁樹脂4は、加熱又はUVによって硬化される。
【0073】
次に、
図9の工程模式断面図を参照して、柱状の配線21の先端を露出させる工程(S03)について説明する。
図9の工程模式断面図に示すように柱状の配線21の先端が露出するように
図8の部材の第1絶縁樹脂4を薄くする。例えば、第1絶縁樹脂4の表面を機械的研磨法や化学的研磨法やCMP(Chemical Mechanical Polishing)等で研磨することで柱状の配線21の先端を露出させる。研磨する際に柱状の配線21の先端位置を揃えることができる。第1実施形態においては、第1半導体素子1Aと接続していて、先端が露出された柱状の配線21が第1配線3Aの線状の導体部分であり、第1柱部3Aaである。
【0074】
次に、
図10の工程模式断面図を参照して、露出した柱状の配線21の先端に無電解めっきして第1頭部3Abを形成する工程(S04)について説明する。
図10の工程模式断面図に示すように
図9の工程模式断面図に示す部材の柱状の先端の露出した部分にメッキを行なって第1頭部3Abを形成する。第1半導体素子1Aの柱状の配線21にメッキをするため、電解メッキでは電極を取り出すことができないため困難である。そのため無電解めっきをする。また、無電解めっきで第1頭部3Abを形成するため、第1面aは第1絶縁樹脂4とは接していない。第1頭部3Abの形状は半球形を図示しているが、形状はこれに限定されず、メッキ部分の先端が柱状の配線21よりも太く(例えば第1頭部3Abの外接円直径が第1柱部3Aaの外接円直径よりも10%以上太い)なっていればよい。
【0075】
次に、
図11の模式断面図を参照して、第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4を薄くする工程(S05)について説明する。
図11の工程模式断面図に示すように
図10の工程模式断面図の部材の第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4の表面を薄くする。すると、第1柱部3Aaの第1頭部3Ab側の一部が露出する。すると、第1頭部3Abの第1面a側に空間ができる。別工程でこの空間に第1頭部3Abと接合する部材を侵入させて第1頭部3Abの第1面a側が第1絶縁樹脂4ではない別の部材(具体的には、第1導電性接合剤5A又は第2絶縁樹脂14)と接合する。本工程においては、ドライエッチング又はウエットエッチングによって、
図10の工程模式断面図の部材の第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4の表面を薄くすることが好ましい。ドライエッチングとしては、プラズマエッチングを利用し、O2ガス、フッ素系ガス(CF4など)、O2とフッ素ガスの混合ガスなどを使用することが好ましい。
【0076】
第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4を薄くする方法としてはエッチングが好ましい。研磨を行なうと第1頭部3Abも削られてしまうし、第1柱部3Aaの側面が露出しない。第1絶縁樹脂4を薄くする厚さdは、第1頭部3Abの第1面a側に別の部材が入り込むために十分な空間ができる厚さである。第1絶縁樹脂4を薄くする厚さdは50[nm]以上5000[nm]以下であることが好ましく、100[nm]以上1000[nm]以下であることがより好ましい。
【0077】
次に、
図12の工程模式断面図を参照して第1導電性接合剤5Aが形成されている配線基板6の第1導電性接合剤5Aと第1頭部3Abが露出した部材の第1頭部3Abを電気的に接続する工程(S06)について説明する。
図12の工程模式断面図に示すように、
図11の第1頭部3Abが露出していて第1絶縁樹脂4が薄くされた部材と配線基板6を接合させる。配線基板6の第2パッド7Aには、第1導電性接合剤5Aが形成されていて、第1導電性接合剤5Aは、第1頭部3Abと接合される。
【0078】
第1頭部3Abの第1面aと第1絶縁樹脂4の間には第2絶縁樹脂14又は/及び第1導電性接合剤5Aが設けられている。
図12の工程模式断面図においては、第2絶縁樹脂14は、第1導電性接合剤5Aの外側の表面に接している。本工程において、好ましくは酸化膜を除去するフラックス機能を有する絶縁性樹脂を配線基板6の第2パッド7A及び第1導電性接合剤5Aが設けられている側の面に塗布してから第1絶縁樹脂4が薄くされた部材と接合することができる。酸化膜を除去するフラックス機能を有する絶縁性樹脂は、硬化されて第2絶縁樹脂14になる。
【0079】
本工程では、フリップチップボンダで第1半導体素子1Aなどが第1絶縁樹脂4で封止された部材を加熱して、第1導電性接合剤5Aと第1配線3Aとを接続してもよいし、フリップチップボンダで仮圧着後、リフロー炉に入れて第1導電性接合剤5Aと第1配線3Aを接続してもよい。半導体素子や基板にフラックスを塗布して接続してもよい。
【0080】
第1配線3Aの第1頭部3Abと第1絶縁樹脂4の間にギャップを設けられるように加工することで、第1頭部3Abと第1絶縁樹脂4の間に第1導電性接合剤5A又は第2絶縁樹脂14が入り込み、第1導電性接合剤5A又は第2絶縁樹脂14が第1頭部3Abの第1面aと接合することができ、破断しにくい信頼性の高い配線構造を得ることができる。
【0081】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体装置とその製造方法に関する。
図13に第2実施形態の半導体装置101の模式断面図を示す。実施形態の半導体装置101は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載した半導体パッケージである。第1実施形態と第2実施形態において共通する内容についてはその説明を省略する。
【0082】
半導体装置101の第2絶縁樹脂14が第1絶縁樹脂4の底面から側面の一部に設けられている。
【0083】
半導体装置101における第1配線3Aの線状の導体部分とメッキ部分の境界である一点長鎖線は、半導体装置100の位置よりも第1半導体素子1A側に位置している。柱状のメッキ部分と第1絶縁樹脂4は接合していないが、メッキ厚さを厚くすることができる。
【0084】
次に、
図14と
図15に示す半導体装置101の部分模式図を参照して第1半導体素子1Aなどが第1絶縁樹脂4で封止された部材と配線基板6の接続部分について説明する。
【0085】
図14は第1配線3Aの配線基板6との接続部分を示した模式図である。
図14には、第1配線3A、第1絶縁樹脂4、第1導電性接合剤5A、第2パッド7A、配線基板6及び第2絶縁樹脂14を示している。
図14の部分模式図は、第1頭部3Abの第1面aが第2絶縁樹脂14と(直接的に)接していることが
図2の部分模式図と異なる。第1導電性接合剤5Aは、第1頭部3Abの第1面aと第1絶縁樹脂4の第2面bの間には存在していない。第1導電性接合剤5Aと第1配線3Aの接している形態が第1実施形態の半導体装置100と第2実施形態の半導体装置101で異なる。
図14の部分模式図の半導体装置101においても、第1距離cは、第2距離dよりも短い。
【0086】
図14の部分模式図に示す形態においては、第1頭部3Abの第1面aが第2絶縁樹脂14と接合しているため、第1配線3Aが第1柱部3Aaと第1頭部3Abの境界付近で破断しにくく、信頼性が高い。
【0087】
図15は第1配線3Aの配線基板6との接続部分を示した模式図である。
図15は
図14の形態の変形例である。
図15には、第1配線3A、第1絶縁樹脂4、第2絶縁樹脂14、第1導電性接合剤5A、第2パッド7A及び配線基板6を示している。
図15の部分模式図は、第1頭部3Abの第1面a及び第1絶縁樹脂4の第2面bが第1導電性接合剤5Aと(直接的に)接していることが
図2及び
図15の部分模式図と異なる。
図14の部分模式図の半導体装置101においても、第1距離cは、第2距離dよりも短い。
【0088】
図15の部分模式図に示す形態においては、第1頭部3Abの第1面aが第1導電性接合剤5Aと接合しているため、第1配線3Aが第1柱部3Aaと第1頭部3Abの境界付近で破断しにくく、信頼性が高い。
【0089】
次に、半導体装置101の製造方法について説明する。
図16に半導体装置101の製造方法のフローチャートを示す。
図17に半導体装置101の工程断面模式図を示す。
【0090】
半導体装置101の製造方法は、第1半導体素子1Aの面に対して垂直方向に延在する柱状の配線21を形成する工程(S01)と、柱状の配線21が形成された第1半導体素子1Aを第1絶縁樹脂4で封止する工程(S02)と、柱状の配線21の先端を露出させる工程(S03)と、柱状の配線21の先端をエッチングする工程(S07)と、露出した柱状の配線21の先端に無電解めっきして第1頭部3Abを形成する工程(S04)と、第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4を薄くする工程(S05)と、第1導電性接合剤5Aが形成されている配線基板6の第1導電性接合剤5Aと第1頭部3Abが露出した部材の第1頭部3Abを電気的に接続する工程(S06)とを有する。
【0091】
第1導電性接合剤5Aが形成されている配線基板6の第1導電性接合剤5Aと第1頭部3Abが露出した部材の第1頭部3Abを電気的に接続する工程(S06)と柱状の配線21の先端をエッチングする工程(S07)以外の工程は、第1実施形態の半導体装置100の製造方法の工程と同様である。
【0092】
柱状の配線21の先端をエッチングする工程(S07)は、柱状の配線21の先端を露出させる工程(S03)と露出した柱状の配線21の先端に無電解めっきして第1頭部3Abを形成する工程(S04)の間に行なわれる。エッチングされた柱状の配線21の先端に第1頭部3Abが形成される。
図17の工程模式断面図に示すように柱状の配線21の先端は、ドライエッチング又はウエットエッチングで一部除去される。除去された部分22にも無電解めっきが形成されるため、第1実施形態よりも第2実施形態の方がメッキ部分の厚さが厚くなる。柱状の配線21の先端をエッチングする工程(S07)の実施の有無及びエッチング深さによってメッキ部分の厚さを制御することができる。
【0093】
第2実施形態の第1導電性接合剤5Aが形成されている配線基板6の第1導電性接合剤5Aと第1頭部3Abが露出した部材の第1頭部3Abを電気的に接続する工程(S06)において、硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂が塗布された配線基板6を用いる。
【0094】
硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂には、アルコール類及び/又は有機酸が含まれてもよい。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂は、アンダーフィル剤としてフリップチップの実装に用いられる硬化性の絶縁性樹脂である。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂に含まれるアルコール類及び/又は有機酸は、第1配線3Aの表面の酸化膜を除去するフラックス機能を有することが好ましい。
【0095】
第2絶縁樹脂14は、絶縁性で樹脂を含む。第2絶縁樹脂14は、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、シリコーン系樹脂及びベンゾシクロブテン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む。エポキシ系樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Siとの密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また第2絶縁樹脂14の中にシリカやアルミナなどの絶縁性フィラーが含まれていてもよい。また硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂には、アルコール類及び/又は有機酸が含まれてもよい。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂は、アンダーフィル剤としてフリップチップの実装に用いられる硬化性の絶縁性樹脂である。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂に含まれるアルコール類及び/又は有機酸は、第1配線3Aの表面の酸化膜を除去するフラックス機能を有することが好ましい。
【0096】
硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂に含まれるアルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、カルビトール、セロソルブアルコールなどから選択される少なくとも1種があげられる。またアルキルエーテル系の材料でもよい。例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどがあげられる。アルカン、アミン化合物などを用いることもできる。例えばホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどがあげられる。これらは単独でもよいし、複数を混合してもよい。硬化後に第2絶縁樹脂14となる樹脂に含まれる有機酸としては、ギ酸、酢酸、安息香酸、アビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマール酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、ロジンなどがあげられる。アルコール類及び/又は有機酸は、単独でもよいし、複数を混合してもよい。酸化膜を除去する機能を有する樹脂を塗布する方法はディスペンス法、印刷法、ジェット法、スクリュー法など種々の方法で塗布する。
【0097】
第1配線3Aの第1頭部3Abと第1絶縁樹脂4の間にギャップを設けられるように加工することで、第1頭部3Abと第1絶縁樹脂4の間に第1導電性接合剤5A又は/及び第2絶縁樹脂14が入り込み、第1導電性接合剤5A又は第2絶縁樹脂14が第1頭部3Abの第1面aと接合することができ、破断しにくい信頼性の高い配線構造を得ることができる。
【0098】
第2実施形態の第2絶縁樹脂14は、第1絶縁樹脂4、第1配線3A、第1導電性接合剤5A及び配線基板6と良好な接合を形成する。良好な接合が形成される面積が多く、第1配線3Aの第1頭部3Ab及びその近傍が他の部材と安定して接合しているため、配線の信頼性が高い。
【0099】
(第3実施形態)
第3実施形態は、半導体装置とその製造方法に関する。
図18に第3実施形態の半導体装置102の模式断面図を示す。第3実施形態の半導体装置102は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載した半導体パッケージである。第1実施形態、第2実施形態と第3実施形態において共通する内容についてはその説明を省略する。
【0100】
半導体装置102の第2絶縁樹脂14と配線基板6の間にはギャップがあり、第1頭部3Abの先端側が平坦面である。第2絶縁樹脂14と第1配線3Aの配線基板6側の面は、面一である。
【0101】
半導体装置102における第1配線3Aの線状の導体部分とメッキ部分の境界である一点長鎖線は、第2絶縁樹脂14中に位置している。柱状のメッキ部分と第1絶縁樹脂4は接合していないが、第2絶縁樹脂14とは接合している。
【0102】
次に、
図19に示す半導体装置102の部分模式図を参照して第1半導体素子1Aなどが第1絶縁樹脂4で封止された部材と配線基板6の接続部分について説明する。
【0103】
図19は第1配線3Aの配線基板6との接続部分を示した模式図である。
図19には、第1配線3A、第1絶縁樹脂4、第1導電性接合剤5A、第2パッド7A、配線基板6及び第2絶縁樹脂14を示している。
図19の部分模式図は、第1頭部3Abの先端の平坦面が第1導電性接合剤5Aと接合していて、第1頭部3Abの第1面aは第2絶縁樹脂14と接合していることが
図2の部分模式図と異なる。第1導電性接合剤5Aは、第1頭部3Abの第1面aと第1絶縁樹脂4の第2面bの間には存在していない。第1導電性接合剤5Aと第1配線3Aの接している形態が第1実施形態の半導体装置100と第3実施形態の半導体装置102で異なる。
図19の部分模式図の半導体装置102においても、第1距離cは、第2距離dよりも短い。
【0104】
図19の部分模式図に示す形態においては、第1頭部3Abの第1面aが第2絶縁樹脂14と接合しているため、第1配線3Aが第1柱部3Aaと第1頭部3Abの境界付近で破断しにくく、信頼性が高い。
【0105】
図19の部分模式図に示す形態においては、第1絶縁樹脂4の厚さが第1柱部3aの周辺部分で厚くなっていることを示している。第1絶縁樹脂4をエッチングして一部除去する過程で、第1柱部3Aaの側面に接している部分の第1絶縁樹脂4が一部除去されず残存する場合がある。第1絶縁樹脂4は、
図19の部分模式図に示すように第1半導体素子1A側から第1頭部3Ab側にテーパー状(中心に第1柱部3Aaが存在する中空の円錐台形状)の部分を含んでもよい。
図2の点iは、第1絶縁樹脂4が第1柱部3Aaの周りにテーパー状に厚くなっている部分から外れているか、テーパー状に厚くなっている部分であったとしても厚くなっている部分の厚さがわずかであるため、第2距離dの算出において、第1絶縁樹脂4が第1柱部3Aaの周りにテーパー状に厚くなっている部分の有無の違いは無視できる程度である。
【0106】
次に、半導体装置102の製造方法について説明する。
図20に半導体装置102の製造方法のフローチャートを示す。
図21から
図25に半導体装置102の工程断面模式図を示す。
【0107】
半導体装置102の製造方法は、第1半導体素子1Aの面に対して垂直方向に延在する柱状の配線21を形成する工程(S01)と、柱状の配線21が形成された第1半導体素子1Aを第1絶縁樹脂4で封止する工程(S02)と、柱状の配線21の先端を露出させる工程(S03)と、柱状の配線21の先端をエッチングする工程(S07)と、露出した柱状の配線21の先端に無電解めっきして第1頭部3Abを形成する工程(S04)と、第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4を薄くする工程(S05)と、第1絶縁樹脂4が薄くされた面に第2絶縁樹脂14を形成する工程(S08)と、第2絶縁樹脂14を薄くして第1頭部3Abを露出させる工程(S09)と、第1導電性接合剤5Aが形成されている配線基板6の第1導電性接合剤5Aと第1頭部3Abが露出した部材の第1頭部3Abを電気的に接続する工程(S06)とを有する。
【0108】
第1絶縁樹脂4が薄くされた面に第2絶縁樹脂14を形成する工程(S08)と、第2絶縁樹脂14を薄くして第1頭部3Abを露出させる工程(S09)と、第1導電性接合剤5Aが形成されている配線基板6の第1導電性接合剤5Aと第1頭部3Abが露出した部材の第1頭部3Abを電気的に接続する工程(S06)以外の工程は、第1実施形態の半導体装置100の製造方法の工程又は第2実施形態の半導体装置101の製造方法の工程と同様である。
【0109】
第1絶縁樹脂4が薄くされた面に第2絶縁樹脂14を形成する工程(S08)は、第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4を薄くする工程(S05)の後に行なわれる。第1頭部3Abが形成された側の第1絶縁樹脂4を薄くする工程(S05)において、メッキ部分と線状の導体部分の境界が第2絶縁樹脂14中に存在するようにする。そこで、
図21と
図22の工程模式断面図に示すようにメッキ部分と線状の導体部分の境界が露出するまで第1絶縁樹脂4をエッチングして第1絶縁樹脂4を薄くする。そして、
図23の工程模式断面図に示すように第1絶縁樹脂4が薄くされた部材の第1絶縁樹脂4が薄くされた面に第2絶縁樹脂14を形成する。第3実施形態の第2絶縁樹脂14は、再配線などで用いられる有機絶縁樹脂が好ましい。第2絶縁樹脂14は第1配線3Aを完全に覆う様に形成される。第1絶縁樹脂4のエッチング深さを調節(メッキ部分と線状の導体部分の境界の位置の調整も含む)することで、メッキ部分と線状の導体部分の境界が第1絶縁樹脂4中に存在する形態の半導体装置102(図示省略)を製造することもできるし、メッキ部分と線状の導体部分の境界が第2絶縁樹脂14中に存在する形態の半導体装置102を製造することもできる。
【0110】
第2絶縁樹脂14を薄くして第1頭部3Abを露出させる工程(S09)は、第1絶縁樹脂4が薄くされた面に第2絶縁樹脂14を形成する工程(S08)と第1導電性接合剤5Aが形成されている配線基板6の第1導電性接合剤5Aと第1頭部3Abが露出した部材の第1頭部3Abを電気的に接続する工程(S06)の間に行なわれる。
図24の工程模式断面図に示すように、
図23の工程模式断面図の第2絶縁樹脂14が形成された部材の第2絶縁樹脂14を薄くする。機械的研磨法や化学的研磨法やCMP(Chemical Mechanical Polishing)等で第1頭部3Abの先端も削られるように第2絶縁樹脂14を薄くする。このように第2絶縁樹脂14を薄くすることで、
図25の工程模式断面図に示した第2絶縁樹脂14と第1配線3Aの配線基板6側の面が面一の部材が得られる。
図25の工程模式断面図に示した部材を第1導電性接合剤5Aが形成された部材と接合することができる。
【0111】
第1配線3Aの第1頭部3Abと第1絶縁樹脂4の間にギャップを設けられるように加工することで、第1頭部3Abと第1絶縁樹脂4の間に第2絶縁樹脂14が入り込み、第2絶縁樹脂14が第1頭部3Abの第1面aと接合することができ、破断しにくい信頼性の高い配線構造を得ることができる。
【0112】
第3実施形態の第2絶縁樹脂14は、第1絶縁樹脂4及び第1配線3Aと良好な接合を形成する。良好な接合が形成される面積が多く、第1配線3Aの第1頭部3Ab及びその近傍が他の部材と安定して接合しているため、配線の信頼性が高い。
【0113】
(第4実施形態)
第4実施形態は、半導体装置に関する。
図26に第4実施形態の半導体装置103の模式断面図を示す。第4実施形態の半導体装置103は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載した半導体パッケージである。第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態と第4実施形態において共通する内容についてはその説明を省略する。
【0114】
図26に示す半導体装置103は、第1実施形態の半導体装置100と第2実施形態の半導体装置101の変形例である。半導体装置103は、第1実施形態の半導体装置100の第2絶縁樹脂14に第2実施形態の第2絶縁樹脂14を用いている。半導体装置103は、第1絶縁樹脂4及び第2絶縁樹脂14を覆う第3絶縁樹脂23を有する。
【0115】
第3絶縁樹脂23は、絶縁性の樹脂である。第3絶縁樹脂23は、第1半導体素子1Aが第1絶縁樹脂4で封止された部材、第2絶縁樹脂14及び配線基板6と接している。
【0116】
第3絶縁樹脂23は、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、シリコーン系樹脂及びベンゾシクロブテン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む。エポキシ系樹脂の例としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。なかでも、Siとの密着性が良い点から、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また第3絶縁樹脂23の中にシリカやアルミナなどの絶縁性フィラーが含まれていてもよい。
【0117】
第4実施形態の半導体装置103においても、第1配線3Aの第1頭部3Abと第1絶縁樹脂4の間にギャップを設けられるように加工することで、第1頭部3Abと第1絶縁樹脂4の間に第1導電性接合剤5A又は第2絶縁樹脂14が入り込み、第1導電性接合剤5Aが第1頭部3Abの第1面aと接合することができ、破断しにくい信頼性の高い配線構造を得ることができる。
【0118】
第4実施形態の第1導電性接合剤5Aは、第1絶縁樹脂4、第2絶縁樹脂14及び第1配線3Aと良好な接合を形成する。良好な接合が形成される面積が多く、第1配線3Aの第1頭部3Ab及びその近傍が他の部材と安定して接合しているため、配線の信頼性が高い。
【0119】
(第5実施形態)
第5実施形態は、半導体装置に関する。
図27に第5実施形態の半導体装置104の模式断面図を示す。第5実施形態の半導体装置104は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載した半導体パッケージである。第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態と第5実施形態において共通する内容についてはその説明を省略する。
【0120】
図27に示す半導体装置104は、第2実施形態の半導体装置101と第4実施形態の半導体装置103の変形例である。半導体装置104は、第2半導体素子9が第1絶縁樹脂4で封止されておらず、第2半導体素子9が第2配線11を介さずに第2導電性接合剤12と接続している。図示はしていないが、第2半導体素子9と配線基板6の間に第2絶縁樹脂14とは別の樹脂を塗布されていてもよい。
【0121】
実施形態の配線構造を採用した場合において、配線の信頼性を向上させつつ、例えばコントローラチップとして用いられる第2半導体素子9のレイアウトは自由に設計が可能である。
【0122】
(第6実施形態)
第6実施形態は、半導体装置に関する。
図28に第6実施形態の半導体装置105の模式断面図を示す。第6実施形態の半導体装置105は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載した半導体パッケージである。第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態と第6実施形態において共通する内容についてはその説明を省略する。
【0123】
図28に示す半導体装置105は、第5実施形態の半導体装置104の変形例である。半導体装置105は、第2半導体素子9の形状に合わせて第1絶縁樹脂4に凹形状が設けられている。凹んだ部分に第2半導体素子9が位置することで半導体装置105高さを低くすることや、第2絶縁樹脂14の厚さを薄くすることができる。また、半導体装置105の第3絶縁樹脂23と第1半導体素子1Aの間に支持基板20を設けることもできる。第1実施形態等では支持基板20を除去していたが、支持基板20を残したままパッケージすることもできる。図示はしていないが、第2半導体素子9と配線基板6の間に第2絶縁樹脂14とは別の樹脂を塗布されていてもよい。
【0124】
実施形態の配線構造を採用した場合において、配線の信頼性を向上させつつ、例えばコントローラチップとして用いられる第2半導体素子9のレイアウトは自由に設計が可能である。
【0125】
(第7実施形態)
第7実施形態は、半導体装置に関する。
図29に第7実施形態の半導体装置106の模式断面図を示す。第7実施形態の半導体装置106は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載した半導体パッケージである。第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態と第7実施形態において共通する内容についてはその説明を省略する。
【0126】
図29に示す半導体装置106は、第2実施形態の半導体装置101、第3実施形態の半導体装置102と第4実施形態の半導体装置103の変形例である。半導体装置106は、第2絶縁樹脂14と配線基板6の間に第4絶縁樹脂24が設けられていて、第2半導体素子9が
図29のY方向にずれた位置に設けられている。
【0127】
第2絶縁樹脂14と第1配線3Aの配線基板6側の面が面一で、配線基板6と面一な第2絶縁樹脂14と第1配線3Aの間に第4絶縁樹脂24が設けられている。第4絶縁樹脂24は、第2実施形態の第2絶縁樹脂14で示した材料の中から選ばれることが好ましい。
【0128】
第4絶縁樹脂24の熱膨張係数は、第1絶縁樹脂4及び配線基板6よりも大きいことが好ましい。第4絶縁樹脂24の熱膨張係数>配線基板6の熱膨張係数>第1絶縁樹脂4の熱膨張係数の関係を満たすことがより好ましい。第4絶縁樹脂24の熱膨張係数が、配線基板6の熱膨張係数よりも小さいと第1半導体素子1Aなどを封止した部材を配線基板6に実装した時に配線基板6の伸びに第4絶縁樹脂24の延びが追随できず、第4絶縁樹脂24が剥がれてしまう可能性がある。そこで、第4絶縁樹脂24の熱膨張係数は、20[ppm/℃]以上60[ppm/℃]の範囲が好ましく、20[ppm/℃]以上40[ppmm/℃]がより好ましい。第4絶縁樹脂24の熱膨張係数が20[ppm/℃]よりも小さいと配線基板6の熱膨張係数に近づき、配線基板6の伸びに追随できず、第4絶縁樹脂24が剥がれ易くなる場合がある。第4絶縁樹脂24の熱膨張係数が60[ppm/℃]よりも大きいと第3の樹脂が伸びすぎて、第4絶縁樹脂24が剥がれ易くなる場合がある。第4絶縁樹脂24の熱膨張係数は、配線基板6の熱膨張係数よりも10%以上高いことが好ましい。配線基板6の熱膨張係数は、第1絶縁樹脂4の熱膨張係数よりも10%以上高いことが好ましい。
【0129】
第4絶縁樹脂24の弾性率は、第1絶縁樹脂4の弾性率及び配線基板6の弾性率よりも小さいことが好ましい。第1絶縁樹脂4の弾性率>配線基板6の弾性率>第4絶縁樹脂24の弾性率の関係を満たすことがより好ましい。そこで、第4絶縁樹脂24の弾性率は、0.1[GPa]以上10[GPa]以下が好ましく、1[GPa]以上5[GPa]以下がより好ましい。第4絶縁樹脂24の弾性率が0.1「GPa」未満では、第4絶縁樹脂24による第1半導体素子1Aを封止した部材の固定が困難である。第4絶縁樹脂24の弾性率が10[GPa]を超える第4絶縁樹脂24と配線基板6の反りにより、第4絶縁樹脂24が配線基板6のソルダーレジストから剥離し易い場合がある。第1絶縁樹脂4の弾性率は、配線基板6の弾性率よりも10%以上高いことが好ましい。配線基板6の弾性率は、第4絶縁樹脂24の弾性率よりも10%以上高いことが好ましい。
【0130】
第1実施形態等では、第1半導体素子1Aと第2半導体素子9がZ方向に重なる形態であったが、第1半導体素子1Aと第2半導体素子9がZ方向に重ならない形態を採用することもできる。
【0131】
実施形態の配線構造を採用した場合において、配線の信頼性を向上させつつ、例えばコントローラチップとして用いられる第2半導体素子9のレイアウトは自由に設計が可能である。
【0132】
実施形態の構造を有する複数の半導体装置を製造し、配線基板6上に搭載して、温度サイクル試験に供して、その信頼性を調べた。なお温度サイクル試験は-55[℃](30[min])~25[℃](5[min])~125[℃](30[min])を1サイクルとして行った。その結果3000サイクル後でも接続箇所には破断の発生は全く認められなかった。
(第8実施形態)
第8実施形態は、半導体装置に関する。
図30に第8実施形態の半導体装置107の模式断面図を示す。第7実施形態の半導体装置107は、より具体的には、NANDフラッシュメモリチップ等を搭載した半導体パッケージである。第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態と第8実施形態において共通する内容についてはその説明を省略する。
【0133】
図30に示す半導体装置107は、第1実施形態の半導体装置101の変形例である。第1実施形態では、第1半導体素子1A、第3半導体素子1B、第4半導体素子1C及び第2半導体素子9同士は、第1絶縁樹脂4の内部で接続してはいなかった。これに代えて、
図30に示すように第1パッド2Aと第5パッド2Bとを第1ワイヤボンディング31で接続し、第5パッド2Bと第7パッド2Cとを第2ワイヤボンディング32で接続し、第7パッド2Cと第3パッド10とを第3ワイヤボンディングで接続してもよい。半導体装置107に含まれる半導体素子の数が異なれば接続するボンディングワイヤは
図30に示す形態から変更される。例えば、半導体装置107に含まれる半導体素子は、第1半導体素子1Aと第2半導体素子9である場合、第1ワイヤボンディング31が第1半導体素子1Aと第2半導体素子9を接続する。
【0134】
第1ワイヤボンディング31は、第1配線3Aと直接的に接していてもよいし、第1配線3Aとは直接的に接しておらずに第1パッド2Aから2つの物理的に離間した配線に延伸(第1配線3A及び第1ワイヤボンディング31)が別方向(第1配線3Aは配線基板6に向かう方向に直進、第1ワイヤボンディング31は第3半導体素子1Bに向かう方向円弧を描く)していてもよい。
【0135】
第2ワイヤボンディング32は、第3配線3Bと直接的に接していてもよいし、第3配線3Bとは直接的に接しておらずに第5パッド2Bから2つの物理的に離間した配線(第3配線3B及び第2ワイヤボンディング32)が別方向に延伸(第3配線3Bは配線基板6に向かう方向に直進、第2ワイヤボンディング32は第3半導体素子1Cに向かう方向円弧を描く)していてもよい。
【0136】
第3ワイヤボンディング33は、第4配線3Cと直接的に接していてもよいし、第4配線3Cとは直接的に接しておらずに第7パッド2Cから2つの物理的に離間した配線(第4配線3C及び第3ワイヤボンディング33)が別方向に延伸(第4配線3Cは配線基板6に向かう方向に直進、第3ワイヤボンディング33は第2半導体素子9に向かう方向円弧を描く)していてもよい。
【0137】
第1ワイヤボンディング31、第2ワイヤボンディング32及び第3ワイヤボンディング33は、例えば、Au、Au合金、Ag合金、Cu及びCu合金からなる群から選ばれるワイヤである。第1ワイヤボンディング31、第2ワイヤボンディング32及び第3ワイヤボンディング33は、Pdなどで被覆されていてもよい。第1ワイヤボンディング31、第2ワイヤボンディング32及び第3ワイヤボンディング33の直径は、典型的には、10[μm]以上50[μm]以下である。
【0138】
積層された半導体素子同士をすべてワイヤボンディングでさらに接続してもよいし、一部の半導体素子同士のみをワイヤボンディングでさらに接続してもよい。
【0139】
以下、実施形態の技術案を付記する。
[技術案1]
第1半導体素子と、
第1半導体素子を封止する第1絶縁樹脂と、
パッドを有する配線基板と、
前記第1半導体素子から前記配線基板に向かって延在し、第1頭部と第1柱部を有し、前記第1柱部が前記第1半導体素子と接続し、前記第1頭部が前記第1絶縁樹脂の表面に露出している第1配線と、
前記第1配線の前記第1頭部と前記パッドを電気的に接続する第1導電性接合剤とを有し、
前記第1頭部の前記第1絶縁樹脂側を向く面を第1面とし、
前記第1絶縁樹脂の前記配線基板側の面を第2面とするとき、
前記配線基板の前記第1絶縁樹脂側の面から前記第1面までの距離を第1距離とし、
前記配線基板の前記第1絶縁樹脂側の面から前記第2面までの距離を第2距離とし、
前記第1距離は、前記第2距離よりも短い半導体装置。
[技術案2]
前記第1絶縁樹脂と前記配線基板の間に第2絶縁樹脂をさらに有し、
前記第2絶縁樹脂の第1絶縁樹脂側の面は、前記第2面と接し、
前記第2絶縁樹脂の前記配線基板側の面は、前記第1面よりも前記配線基板側に位置している技術案1に記載の半導体装置。
[技術案3]
前記第1距離と前記第2距離の差は、50[nm]以上5000[nm]以下である技術案1又は2に記載の半導体装置。
[技術案4]
前記第1面は、前記第1導電性接合剤と接している技術案1ないし3のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案5]
前記第1面は、前記第2絶縁樹脂と接している技術案2に記載の半導体装置。
[技術案6]
前記第1配線の直径は、10[μm]以上50[μm]以下である技術案1ないし5のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案7]
前記第1距離と前記第2距離の差は、50[nm]以上5000[nm]以下である技術案1ないし6のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案8]
前記第1配線の直径は、15[μm]以上30[μm]以下である技術案1ないし7のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案9]
前記第1頭部の直径は、15[μm]以上100[μm]以下である技術案1ないし7のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案10]
第2半導体素子をさらに含み、
前記第2半導体素子は、前記第1絶縁樹脂で封止されている技術案1ないし9のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案11]
前記第1半導体素子と個体差を除き同一回路を有する第3半導体素子を有し、
前記第3半導体素子は、第1半導体素子と積層している技術案1ないし10のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案12]
前記第1配線は、Cu又はPdで被覆されたCuの線状の導体部分を含む技術案1ないし11のいずれか1案に記載の半導体装置。
[技術案13]
第1半導体素子の面に対して垂直方向に延在する柱状の配線を形成する工程と、
前記柱状の配線が形成された前記第1半導体素子を第1絶縁樹脂で封止する工程と、
前記柱状の配線の先端を露出させる工程と、
前記露出した柱状の配線の先端に無電解めっきして第1頭部を形成する工程と、
前記第1頭部が形成された側の前記第1絶縁樹脂を薄くする工程と、
第1導電性接合剤が形成されている配線基板の前記第1導電性接合剤と前記第1頭部が露出した部材の前記第1頭部を電気的に接続する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
[技術案14]
前記柱状の配線の先端を露出させる工程と前記露出した柱状の配線の先端に無電解めっきして前記第1頭部を形成する工程の間に前記柱状の配線の先端をエッチングする工程をさらに有する半導体装置の製造方法。
[技術案15]
前記第1頭部が形成された側の前記第1絶縁樹脂を薄くする工程と前記第1導電性接合剤が形成されている前記配線基板の前記第1導電性接合剤と前記第1頭部が露出した部材の前記第1頭部を電気的に接続する工程の間に、前記第1絶縁樹脂が薄くされた面に第2絶縁樹脂を形成する工程と、前記第2絶縁樹脂を薄くして前記第1頭部を露出させる工程と、をさらに有する半導体装置の製造方法。
[技術案16]
第1絶縁樹脂4を薄くする厚さは、50[nm]以上5000[nm]以下である技術案13ないし15のいずれか1案に記載の半導体装置の製造方法。
[技術案17]
第1絶縁樹脂4を薄くする厚さは、100[nm]以上1000[nm]以下である技術案13ないし16のいずれか1案に記載の半導体装置の製造方法。
[技術案18]
前記第1配線の直径は、10[μm]以上50[μm]以下である技術案13ないし17のいずれか1案に記載の半導体装置の製造方法。
[技術案19]
前記第1配線の直径は、15[μm]以上30[μm]以下である技術案13ないし18のいずれか1案に記載の半導体装置の製造方法。
[技術案20]
前記第1頭部の直径は、15[μm]以上100[μm]以下である技術案13ないし19のいずれか1案に記載の半導体装置の製造方法。
【0140】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0141】
1A :第1半導体素子
1B :第3半導体素子
1C :第4半導体素子
2A :第1パッド
2B :第5パッド
2C :第7パッド
3A :第1配線
3Aa :第1柱部
3Ab :第1頭部
3B :第3配線
3Ba :第3柱部
3Bb :第3頭部
3C :第4配線
3Ca :第4柱部
3Cb :第4頭部
3b :第3配線
4 :第1絶縁樹脂
5A :第1導電性接合剤
5B :第3導電性接合剤
5C :第4導電性接合剤
6 :配線基板
7A :第2パッド
7B :第6パッド
7C :第8パッド
8 :半田ボール
9 :第2半導体素子
10 :第3パッド
11 :第2配線
11a :第2柱部
11b :第2頭部
12 :第2導電性接合剤
13 :第4パッド
14 :第2絶縁樹脂
20 :支持基板
21 :配線
22 :除去された部分
23 :第3絶縁樹脂
24 :第4絶縁樹脂
31 :第1ワイヤボンディング
32 :第2ワイヤボンディング
33 :第3ワイヤボンディング
100 :半導体装置
101 :半導体装置
102 :半導体装置
103 :半導体装置
104 :半導体装置
105 :半導体装置
106 :半導体装置
107 :半導体装置
a :第1面
b :第2面
c :第1距離
d :第2距離(厚さ)