(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141323
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230928BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G03G15/08 366
G03G21/00 510
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047576
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 千尋
(72)【発明者】
【氏名】酒向 潔
(72)【発明者】
【氏名】實方 啓二
(72)【発明者】
【氏名】下田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】寺島 賢人
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA06
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077BA02
2H077BA08
2H077CA02
2H077CA12
2H077DA42
2H077DA73
2H077DA82
2H077DB10
2H077DB18
2H077DB25
2H077GA04
2H270LA01
2H270LA63
2H270LD15
2H270MA19
2H270MC31
2H270MD13
2H270MH03
2H270QB07
2H270QB09
2H270RA03
2H270RA10
2H270RC08
2H270RC09
2H270RC18
2H270ZC03
(57)【要約】
【課題】現像剤の搬送に要する負荷が基準値を超える場合に現像剤を定められた方向とは逆方向に搬送することと、定められた方向へ搬送すること同じ割合で繰り返すものと比較して、逆循環後に正循環に至るまでに要する時間を短くする。
【解決手段】現像装置40は、現像ロール60に受け渡す現像剤Gが流れる撹拌路72Dと、撹拌路72Dとは重力方向にずれて配置された供給路72Cと、撹拌路72Dと供給路72Cとを繋ぐ第一繋ぎ口72K及び第二繋ぎ口72Lで循環路が形成されている筐体72と、筐体72内で稼働することで、現像剤Gを循環路で搬送する撹拌オーガ68であって、正搬送中の時間T1の負荷トルクが基準値VL以下の場合には順方向Fに搬送し、正搬送中の時間T1の負荷トルクが基準値VLを超える場合に現像剤Gを逆方向Rに搬送し、逆搬送中又は逆搬送後の負荷トルクが許容値AL以下の場合に現像剤Gを正搬送する撹拌オーガ68と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ロールに受け渡す現像剤が流れる第一路と、前記第一路とは重力方向にずれて配置された第二路と、前記第一路と第二路とを繋ぐ一対の繋ぎ口とで循環路が形成されている筐体と、
前記筐体内で稼働することで、前記現像剤を循環路で定められた方向に搬送させる搬送部材であって、前記定められた方向への搬送中の定められた時期の負荷が基準値以下の場合には前記現像剤を前記定められた方向へ搬送させ、前記定められた方向への搬送中の定められた時期の負荷が基準値を超える場合に前記現像剤を前記定められた方向とは逆方向に搬送させ、前記逆方向への搬送中又は前記逆方向への搬送後の負荷が許容値以下の場合に前記現像剤を前記定められた方向へ搬送させる搬送部材と、
を備えた現像装置。
【請求項2】
現像ロールに受け渡す現像剤が流れる第一路と、前記第一路とは重力方向にずれて配置された第二路と、前記第一路と第二路とを繋ぐ一対の繋ぎ口とで循環路が形成されている筐体と、
前記筐体内で稼働することで、前記現像剤を循環路で定められた方向に搬送させる搬送部材であって、現像剤の搬送に要する負荷が大きい場合に該負荷が小さい場合と比して前記現像剤を前記定められた方向とは逆方向に搬送させる稼働時間の割合を大きくし、前記逆方向への搬送中又は前記逆方向への搬送後の負荷が許容値以下の場合に前記現像剤を前記定められた方向へ搬送させる搬送部材と、
を備えた現像装置。
【請求項3】
前記搬送部材は、モータによって回転駆動させられ、
前記負荷を、前記モータに流れる電流値に基づき得る、
請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記搬送部材は、前記逆方向への搬送中の負荷が許容値以下の場合に前記現像剤を前記定められた方向へ搬送させ、前記現像剤を前記逆方向へ搬送させる正回転速度が前記現像剤を前記定められた方向へ搬送させる回転速度と同等である、
請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
輸送時に前記現像剤が前記第二路と前記現像ロールとの間から零れることを防ぐ封止部材をさらに備えた、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項6】
像保持体に形成された静電潜像をトナー像として現像する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の現像装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
像保持体に形成された静電潜像をトナー像として現像する、請求項5に記載の現像装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記搬送部材による前記逆方向への搬送中又は前記逆方向への搬送後の負荷が許容値を超える場合に、前記現像装置の前記封止部材の除去を通知する通知手段と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置は、内部に収容された現像剤を撹拌する撹拌回転部材を具備した現像装置と、前記撹拌回転部材を正転・逆転可能に駆動する駆動機構と、前記現像装置が画像形成装置本体にセットされた状態を検知する検知手段と、を備え、所定の条件下で前記検知手段によって前記現像装置が前記画像形成装置本体にセットされた状態が検知されたときに、前記駆動機構による駆動によって前記撹拌回転部材の逆転と正転とを交互に繰り返しおこなうウォーミングアップ動作が実行されることを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像剤を循環路で定められた方向へ搬送する現像装置において、内部の現像剤の偏りに起因して現像剤の搬送に要する負荷が大きくなる場合がある。このような場合に、現像剤を定められた方向とは逆方向に搬送することと、定められた方向へ搬送することとを繰り返した後、現像剤を定められた方向へ搬送する構成では、現像剤を定められた方向への搬送により循環路で循環させるまでに要する時間が長くなる。
【0005】
本開示は、現像剤の搬送に要する負荷が基準値を超える場合に現像剤を定められた方向とは逆方向に搬送することと、定められた方向へ搬送することとを同じ割合で繰り返すものと比較して、現像剤を定められた方向への搬送により循環路で循環させるまでに要する時間を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の現像装置は、現像ロールに受け渡す現像剤が流れる第一路と、前記第一路とは重力方向にずれて配置された第二路と、前記第一路と第二路とを前記現像剤の流れる方向で離れた部分で繋ぐ一対の繋ぎ口とで循環路が形成されている筐体と、前記筐体内で稼働することで、前記現像剤を循環路で定められた方向に搬送させる搬送部材であって、前記定められた方向への搬送中の定められた時期の負荷が基準値以下の場合には前記現像剤を前記定められた方向への搬送により循環させ、前記定められた方向への搬送中の定められた時期の負荷が基準値を超える場合に前記現像剤を前記定められた方向とは逆方向に搬送させ、前記逆方向への搬送中又は前記逆方向への搬送後の負荷が許容値以下の場合に前記現像剤を前記定められた方向へ搬送させる搬送部材と、を備える。
【0007】
第二態様の現像装置は、現像ロールに受け渡す現像剤が流れる第一路と、前記第一路とは重力方向にずれて配置された第二路と、前記第一路と第二路とを前記現像剤の流れる方向で離れた部分で繋ぐ一対の繋ぎ口とで循環路が形成されている筐体と、前記筐体内で稼働することで、前記現像剤を循環路で定められた方向に搬送させる搬送部材であって、現像剤の搬送に要する負荷が大きい場合に該負荷が小さい場合と比して前記現像剤を前記定められた方向とは逆方向に搬送させる稼働時間の割合を大きくし、前記逆方向への搬送中又は前記逆方向への搬送後の負荷が許容値以下の場合に前記現像剤を前記定められた方向への搬送させる搬送部材と、を備える。
【0008】
第三態様の現像装置は、第一態様又は第二態様に記載の現像装置において、前記搬送部材は、モータによって回転駆動させられ、前記負荷を、前記モータに流れる電流値に基づき得る。
【0009】
第四態様の現像装置は、第三態様に記載の現像装置において、前記搬送部材は、前記逆方向への搬送中の負荷が許容値以下の場合に前記現像剤を前記定められた方向へ搬送させ、前記現像剤を前記逆方向へ搬送させる正回転速度が前記現像剤を前記定められた方向へ搬送させる回転速度と同等である。
【0010】
第五態様の現像装置は、第一態様から第四態様のいずれか一態様に記載の現像装置において、輸送時に前記現像剤が前記第二路と前記現像ロールとの間から零れることを防ぐ封止部材をさらに備える。
【0011】
第六態様の画像形成装置は、像保持体に形成された静電潜像をトナー像として現像する、第一態様から第五態様のいずれか一態様に記載の現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、を備える。
【0012】
第七態様の画像形成装置は、像保持体に形成された静電潜像をトナー像として現像する、第五態様に記載の現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記搬送部材による前記逆方向への搬送中又は前記逆方向への搬送後の負荷が許容値を超える場合に、前記現像装置の前記封止部材の除去を通知する通知手段と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
第一態様の現像装置によれば、現像剤の搬送に要する負荷が基準値を超える場合に現像剤を定められた方向へ搬送することと定められた方向とは逆方向に搬送することとを同じ割合で繰り返すものと比較して、現像剤を定められた方向への搬送により循環路で循環させるまでに要する時間を短くすることができる。
【0014】
第二態様の現像装置によれば、現像剤の搬送に要する負荷が基準値を超える場合に現像剤を定められた方向へ搬送することと定められた方向とは逆方向に搬送することとを同じ割合で繰り返すものと比較して、現像剤を定められた方向への搬送により循環路で循環させるまでに要する時間を短くすることができる。
【0015】
第三態様の現像装置によれば、搬送部材の負荷を測定する専用の測定器を備える現像装置と比較して、簡易な構成で搬送部材の負荷を測定することができる。
【0016】
第四態様の現像装置によれば、現像剤を定められた方向とは逆方向に搬送させる搬送部材の回転速度が現像剤を定められた方向への搬送させる搬送部材の回転速度と異なる場合と比較して、負荷を得るための演算が容易になる。
【0017】
第五態様の現像装置によれば、第二路と現像ロールとの間で現像剤が移動可能な場合と比較して、輸送中に現像剤が現像装置から零れることを防ぐことができる。
【0018】
第六態様の画像形成装置によれば、現像剤の搬送に要する負荷が基準値を超える場合に現像剤を定められた方向へ搬送することと定められた方向とは逆方向に搬送することとを同じ割合で繰り返す現像装置を備える画像形成装置と比較して、画像形成可能な状態になるまでに要する時間を短くすることができる。
【0019】
第七態様の画像形成装置によれば、搬送部材による現像剤を定められた方向とは逆方向に搬送中又は現像剤を定められた方向とは逆方向に搬送後の負荷が許容値を超える場合に、ユーザに対し封止部材の除去を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の内部の全体構成を示すレイアウト図である。
【
図2】実施形態に係る現像装置及び感光体を手前側から視た断面図である。
【
図3】実施形態に係る現像装置の主要部を示す模式図である。
【
図4】実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る現像装置の構成を示す模式図である。
【
図6】実施形態に係る制御部の制御フローを示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る現像装置において、現像剤が手前側に偏った様子を示す模式図である。
【
図8】実施形態に係る現像装置において、現像剤が奥側に偏った様子を示す模式図である。
【
図9】実施形態に係る現像装置において、ヒートシールが引き出されずに現像剤が詰まった様子を示す模式図である。
【
図10】実施形態に係る現像装置の搬送部材における、モータ回転数と負荷トルクとの関係を示す図である。
【
図11】実施形態に係る現像装置の搬送部材における、モータ回転数と負荷トルクとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態に係る現像装置、及び画像形成装置の一例について、
図1から
図11を用いて説明する。
【0022】
(画像形成装置の全体構成)
図1に示すように、実施形態に係る画像形成装置10は、記録媒体としてのシート材Pが収容される収容部14と、収容部14に収容されたシート材Pを搬送する搬送部16と、表示操作部90とを有する。
【0023】
さらに、画像形成装置10は、収容部14から搬送部16によって搬送されるシート材Pに画像形成を行う画像形成部20と、画像形成部20内の現像装置40を駆動させるモータ92と、各部を制御する制御部12とを有する。
【0024】
〔収容部〕
収容部14は、画像形成装置10の装置本体10Aから装置奥行方向の手前側に引き出し可能な収容部材26を有し、収容部材26にシート材Pが積載される。さらに、装置本体10Aは、収容部材26に積載されたシート材Pを、搬送部16を構成する搬送経路28に送り出す送出ロール30を有する。
【0025】
〔搬送部〕
搬送部16は、シート材Pが搬送される搬送経路28に沿って、シート材Pを搬送する複数の搬送ロール(符号省略)を有する。
【0026】
〔表示操作部〕
図1に示されるように、表示操作部90は、一例としてタッチパネルディスプレイを備えており、後述する制御部12から受信する信号に基づいて、ユーザに画像形成装置10の情報を通知する通知手段の一例である。また、表示操作部90は、ユーザの操作を受け付ける受付手段としても機能する。
【0027】
〔画像形成部〕
画像形成部20には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが備えられている。なお、以後の説明では、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略して記載することがある。また、各色の画像形成ユニット18は、装置本体10Aに対して夫々着脱可能とされている。
【0028】
また、各色の画像形成ユニット18は、像保持体の一例である、図中矢印B方向に回転する感光体ドラム36と、感光体ドラム36の表面を帯電する帯電部材38とを有する。
【0029】
さらに、画像形成ユニット18は、帯電した感光体ドラム36に露光光を照射する露光装置42と、露光光を照射することで形成された静電潜像を現像してトナー画像として可視化(現像)する現像装置40とを有する。
【0030】
また、画像形成部20は、図中矢印A方向に周回する無端状の無端ベルト22と、無端ベルト22が巻き掛けられている補助ロール52、張力付与ロール54、及び駆動ロール56とを有する。さらに、画像形成部20は、各色の画像形成ユニット18によって形成されたトナー画像を無端ベルト22に転写する一次転写ロール44を有する。
【0031】
また、画像形成部20は、無端ベルト22に転写されたトナー画像をシート材Pに転写する二次転写ロール46を有する。そして、無端ベルト22、補助ロール52、張力付与ロール54、駆動ロール56、及び一次転写ロール44を含んで、転写装置32が構成されている。さらに、画像形成部20は、トナー画像が転写されたシート材Pを加熱・加圧して、トナー画像をシート材Pに定着する定着装置50を有する。
【0032】
(画像形成装置の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0033】
先ず、電圧が印加された各色の帯電部材38は、各色の感光体ドラム36の表面を予め定められた電位で一様にマイナス帯電する。続いて、露光装置42は、外部から入力された画像データに基づいて帯電した各色の感光体ドラム36の表面に露光光を照射して静電潜像を形成することにより、データに対応した静電潜像を各色の感光体ドラム36の表面に形成する。さらに、各色の現像装置40は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。
【0034】
また、各色の感光体ドラム36の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール44によって周回する無端ベルト22に順番に転写される。一方、収容部材26から送出ロール30によって搬送経路28へ送り出されたシート材Pは、無端ベルト22と二次転写ロール46とが接触する転写位置Tへ送り出される。
【0035】
転写位置Tでは、シート材Pが無端ベルト22と二次転写ロール46との間で搬送されることで、無端ベルト22の外周面のトナー画像は、シート材Pに転写される。シート材Pの表面に転写されたトナー画像が、定着装置50によってシート材Pに定着される。そして、トナー画像が定着されたシート材Pは、装置本体10Aの外部へ排出される。
【0036】
(要部の構成)
〔現像装置〕
次に、
図2から
図5を適宜参照しながら、実施形態の現像装置40の具体的な構成について説明する。
【0037】
現像装置40は、
図2に示すように、筐体72と、感光体ドラム36と対向して配置されている現像ロール60と、現像ロール60に現像剤Gを供給する供給オーガ66と、現像剤Gを撹拌する撹拌オーガ68とを備えている。また、現像装置40は、出荷後であって使用場所への設置前(例えば輸送中)などの使用開始前においては、ヒートシール76を備えている。なお、供給オーガ66及び撹拌オーガ68は、搬送部材の一例であり、ヒートシール76は、封止部材の一例である。
【0038】
筐体72は、
図2に示すように、感光体ドラム36の隣に配置されており、筐体72において、感光体ドラム36を臨む部分には、現像ロール60を露出させる開口部72Aが装置奥行方向に延びて形成されている。
【0039】
また、筐体72において、開口部72Aを挟んで感光体ドラム36の反対側には、現像ロール60が配置されている受渡路72Bが装置奥行方向に延びて形成されている。さらに、筐体72において、受渡路72Bの斜め下方には、供給路72Cが装置奥行方向に延びて形成されている。
【0040】
また、筐体72において、供給路72Cを挟んで受渡路72Bの反対側には、供給路72Cに対し重力方向の下方にずれて位置する撹拌路72Dが装置奥行方向に延びて形成されている。なお、供給路72Cは、第一路の一例であり、撹拌路72Dは、第二路の一例である。
【0041】
さらに、筐体72において、供給路72Cと撹拌路72Dとの間には、供給路72Cと撹拌路72Dとを仕切る仕切板72Eが、筐体72の底壁72Mの内面から立ち上がって形成されている。
【0042】
そして、
図3に示されるように、筐体72において、仕切板72Eの装置奥行方向の手前側の端部に隣接して供給路72Cと撹拌路72Dとを繋ぐ第一繋ぎ口72Kが形成されている。また、筐体72において、仕切板72Eの装置奥行方向の奥側の端部に隣接して供給路72Cと撹拌路72Dとを繋ぐ第二繋ぎ口72Lが形成されている。なお、第一繋ぎ口72K及び第二繋ぎ口72Lは、第一路と第二路とを現像剤の流れる方向で離れた部分で繋ぐ一対の繋ぎ口の一例である。
【0043】
これにより、供給路72Cと撹拌路72Dと第一繋ぎ口72Kと第二繋ぎ口72Lとで、現像剤Gが循環する循環路が形成されている。この実施形態では、供給オーガ66及び撹拌オーガ68の稼働により、
図3に矢印Fにて示す方向に現像剤Gが循環する構成とされている。なお、現像装置40における各方向を規定する用語について、装置の奥行方向の手前側(
図3における左側)を、撹拌路72Dの下流側又は供給路72Cの上流側と、また、装置の奥行方向の奥側(
図3における右側)を、撹拌路72Dの上流側又は供給路72Cの下流側と、適宜言い換えることがある。
【0044】
以上説明した筐体72の受渡路72Bには、上記のとおり現像ロール60が配置されている。
図2に示すように、現像ロール60と感光体ドラム36との間には、現像ロール60から感光体ドラム36に現像剤Gを受け渡すための間隙(現像ギャップ)が形成されている。そして、現像ロール60は、断面円状のマグネットロール60Aと、マグネットロール60Aに被せられ、マグネットロール60Aの周りを回転する回転スリーブ60Bとを備えている。この回転スリーブ60Bは、図示しない駆動源から回転力が伝達されて、図中矢印C方向(時計方向)に回転するようになっている。
【0045】
また、筐体72の供給路72Cには、供給オーガ66が配置されており、筐体72の撹拌路72Dには、撹拌オーガ68が配置されている。撹拌オーガ68は、装置奥行方向に延びている撹拌軸68Aと、撹拌軸68Aの外周面に形成されている、螺旋状の撹拌羽根68Bと、を含んで構成されている。供給オーガ66は、
図3に示すように、装置奥行方向に延びている供給軸66Aと、供給軸66Aの外周面に形成されている、螺旋状の供給羽根66Bとを含んで構成されている。
【0046】
供給オーガ66及び撹拌オーガ68は、正逆回転可能に筐体72に支持されており、正回転することで矢印F方向に現像剤Gを搬送し、逆回転することで矢印R方向に現像剤Gを搬送するようになっている。矢印F方向は定められた方向の一例であり、矢印R方向は定められた方向とは逆方向の一例である。したがって、供給オーガ66及び撹拌オーガ68が正回転を続けると、現像剤Gが上記の循環路を撹拌路72D、第一繋ぎ口72K、供給路72C、第二繋ぎ口72Lの順で循環するようになっている。
【0047】
ヒートシール76は、
図2に示すように、供給路72Cと現像ロール60との間に備えられた、一例としてポリエチレンで作製されたフィルムである。このヒートシール76は、装置奥行方向から見て供給路72Cと現像ロール60との間を塞ぐことにより、輸送中に現像剤Gが供給路72Cから現像装置40の外部に零れることを防ぐ構成とされている。ヒートシール76は、例えば筐体72に取り付けられた矩形枠状を成すフレーム部材72Fに、二重折りされた状態で熱溶着されている。フレーム部材72Fへの溶着部上に折り返されたヒートシール76の端部は、筐体72の手前側の端部からはみ出している。そして、ヒートシール76は、筐体72の手前側の端部からはみ出している端部が引っ張られると、フレーム部材72Fから剥がされつつ筐体72の外側に引き出されるようになっている。
【0048】
以上説明した現像装置40は、装置本体10Aに対し着脱可能とされており、例えば、供給オーガ66及び撹拌オーガ68の回転駆動により現像装置40中の現像剤Gが予め定められた基準よりも摩耗した場合などに、新品に交換されるようになっている。
【0049】
〔現像装置と装置本体との接続構造〕
図5に示されるように、装置本体10Aには、装着された現像装置40の供給オーガ66及び撹拌オーガ68を回転するための動力を発生するモータ92が設けられている。モータ92は、一例としてDCブラシレスモータであり、後述する制御部12によって制御されたドライバ96から供給される電流によって回転し、現像装置40の供給オーガ66及び撹拌オーガ68を回転駆動させる。
【0050】
また、装置本体10Aと現像装置40との間には、モータ92の動力を供給オーガ66及び撹拌オーガ68に伝達する伝達機構としてのカップリング114が設けられている。
【0051】
具体的には、カップリング114は、撹拌オーガ68に接続されたオーガ側部材114Aと、モータ92の回転軸に接続されたモータ側部材114Bとを有する。カップリング114は、現像装置40が装置本体10Aに装着される動作に伴って噛み合い、噛み合った状態でモータ92の動力(回転)を撹拌オーガ68に伝達するようになっている。また、本実施形態では、撹拌オーガ68に伝達された動力は、撹拌オーガ68に接続されたギヤ110A、筐体72に回転可能支持された中間ギヤ110B、供給オーガ66に接続されたギヤ110Cを介して供給オーガ66に伝達されるようになっている。
【0052】
また、現像装置40と装置本体10Aとの間には、コネクタ112が設けられている。コネクタ112は、現像装置40側のコネクタ112Aと装置本体10A側のコネクタ112Bとを有する。コネクタ112は、現像装置40が装置本体10Aに装着されるのに伴って、コネクタ112Aとコネクタ112Bとが電気的に接続されるようになっている。
【0053】
〔制御部〕
続いて、制御部12について
図4、
図5を適宜参照しながら説明する。
【0054】
図4に示すように実施形態の制御部12は、一例として、CPU102(Central Processing Unit)、RAM104(Random Access Memory)、ROM105(Read Only Memory)、ストレージ106、及び入出力部100を有している。また、CPU102、RAM104、ROM105、ストレージ106及び入出力部100は、バス108を通じて接続されている。
【0055】
また、
図4に示すように制御部12の入出力部100は、それぞれ表示操作部90、ドライバ96、及び検出部98と接続されている。
【0056】
ドライバ96は、現像装置40の供給オーガ66及び撹拌オーガ68を回転させる駆動電流をモータ92に供給する。このドライバ96がモータ92に供給する駆動電流の大きさは、ドライバ96から入出力部100にフィードバックされてCPU102で演算される。
【0057】
また、検出部98は、コネクタ112を介して現像装置40と通信することにより、現像装置40に組み込まれた記録部に記録された個体識別番号を検出する。また、検出部98が検出した現像装置40の個体識別番号は、入出力部100に送信される。
【0058】
次に、
図6を参照しながら、実施形態の現像装置40が装置本体10Aに取り付けられた場合のセットアップの制御について、説明する。
【0059】
(現像装置が装置本体に取り付けられた場合のセットアップの制御)
図6に示されるように、制御部12のCPU102は、ステップS10として、現像装置40が装置本体10Aに取り付けられたことを検出する。CPU102は、検出部98を通じて、現像装置40の個体識別番号を検出し、ステップS12へ移行する。
【0060】
また、ステップS12で、CPU102は、検出部98が検出した現像装置40の個体識別番号について、ストレージ106にセットアップ履歴が記憶されているかを判定する。
【0061】
ここで、ステップS10で検出部98が検出した現像装置40の個体識別番号がセットアップ履歴に記憶されている場合には、CPU102は、現像装置40のセットアップの制御を終了して、通常運転を行う。また、現像装置40の個体識別番号がセットアップ履歴に記憶されていない場合は、ステップS14へ移行する。また、ステップS14で、CPU102は、モータ92を予め定められた時間T1だけ、正回転駆動させることにより、撹拌オーガ68及び供給オーガ66を正回転(稼働)させる。換言すれば、CPU102は、時間T1だけ現像剤Gを矢印F方向へ搬送(以下、「順搬送」という場合がある)させる。なお、順搬送の開始から時間T1に達したときは、定められた時期の一例である。なお、時間T1は、撹拌オーガ68及び供給オーガ66の稼働により現像剤Gが上記の循環路を1周循環するのに要する時間に対し十分短い時間とされており、例えば5秒である。
【0062】
また、ステップS14で、CPU102は、ドライバ96から、順搬送の開始から時間T1に達したときのモータ92を駆動させる電流値を取得する。換言すればステップS14で、CPU102は、現像剤Gを順搬送させるために、モータ92が回転するトルク(以下、負荷トルクと称する)を取得する。このトルクは、定められた方向への搬送中の定められた時期の負荷の一例である。その後、CPU102は、ステップS16へ移行する。
【0063】
また、ステップS16で、CPU102は、ステップS14で取得した電流の値が、予め定められた基準値VLを超えているかを判定する。
【0064】
また、CPU102は、ステップS16で否定判定した場合にステップS18へ移行し、現像装置40のセットアップ動作を開始する。なお、このセットアップ動作は、現像装置40及び画像形成装置10の仕様に基づいて、適当に設定されるが、順搬送による現像剤Gの矢印F方向の循環動作を含む。
【0065】
また、CPU102は、ステップS18で、セットアップ動作が完了した後、ステップS20へ移行し、セットアップ履歴をストレージ106に記憶する。
【0066】
そして、CPU102は、セットアップ履歴を記憶した後は、セットアップの制御を終了する。
【0067】
また、CPU102は、ステップS16で肯定判定した場合にステップS22に移行し、モータ92を予め定められた時間T2だけ、逆回転駆動させることにより、撹拌オーガ68及び供給オーガ66を逆回転させる。換言すれば、CPU102は、時間T2だけ現像剤Gを矢印R方向に搬送(以下、「逆搬送」という場合がある)させる。なお、時間T2は、撹拌オーガ68及び供給オーガ66の逆回転により現像剤Gが上記の循環路を逆向きに1周循環するのに要する時間に対し十分短い時間とされており、例えば10秒である。また、ステップS22で、CPU102は、ドライバ96から、逆搬送の開始から時間T2に達したときの(逆搬送中の)モータ92を駆動させる電流値を取得する。換言すればステップS22で、CPU102は、負荷トルクを取得する。このトルクは、定められた方向とは逆方向への搬送中の定められた時期の負荷の一例である。その後、CPU102は、ステップS24へ移行する。
【0068】
また、ステップS24で、CPU102は、ステップS22で取得した電流の値が、予め定められた許容値ALを超えるかを判定する。また、CPU102は、ステップS24で否定判定した場合にステップS18へ移行し、上述のセットアップ動作を開始する。なお、上述の説明における基準値VLと許容値ALとは、異なる値とされていてもよく、同じ値とされていてもよい。
【0069】
また、CPU102は、ステップS24で肯定判定した場合にステップS26に移行し、モータ92を停止させることにより、撹拌オーガ68及び供給オーガ66を停止させる。その後、CPU102は、ステップS28へ移行する。
【0070】
また、CPU102は、ステップS28で、表示操作部90に、ヒートシール76の引き出しの忘れ確認を促す情報を表示する信号を送信する。換言すれば、制御部12は、ヒートシール76の除去を通知する。そして、CPU102は、ヒートシール76の除去を通知した後は、セットアップの制御を終了する。
【0071】
(作用)
次に、本実施形態の画像形成装置10は、上述の制御部12の制御による作用を
図7から
図11を適宜参照しながら説明する。
【0072】
(現像剤が手前側に偏っている場合の作用)
まず、
図7に示すように、現像装置40の内部で現像剤Gが手前側に偏っている状態で装置本体10Aに装着された場合の作用を説明する。
【0073】
現像装置40が装置本体に取り付けられてから、現像剤Gは時間T1だけ順搬送される。現像装置40の内部で現像剤Gが手前側に偏っている状態で装置本体10Aに装着された場合、現像剤Gによって第一繋ぎ口72Kが塞がれている。この状態から現像剤Gを順搬送すると、供給路72Cが撹拌路72Dよりも上方に位置しているため、現像剤Gの順搬送に要する負荷が
図10に示されるように次第に増加し、ステップS16の判定で負荷トルクが基準値VLを超える。このように、現像装置40の内部で現像剤Gが手前側に偏った状態で装置本体10Aに取り付けられた場合、ステップS16で肯定判定されて、ステップS22へ移行する。
【0074】
そして、ステップS22で現像剤Gが時間T2だけ逆搬送されることにより、現像剤Gが撹拌路72Dに分散するため、第一繋ぎ口72Kにおける現像剤Gの詰まりが次第に解消される。これにより、負荷トルクは、
図11に示すように、モータ92の逆方向の回転数に応じて次第に減少し、ステップS24の判定で許容値AL以下となる。
【0075】
また、この状態では、ステップS22で現像剤Gは、撹拌路72Dの内部に分散されるため、再び撹拌オーガ68を正回転させても、
図11に示すように、負荷トルクが許容値ALを超えにくくなる。このため、ステップS24で否定判定されて、ステップS18へ移行する。
【0076】
換言すれば、実施形態に係る制御部12は、現像剤Gを逆搬送中又は、逆搬送後の負荷トルクが、許容値AL以下である場合に、現像剤Gを順搬送により矢印F方向に循環させる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態では、ステップS16で肯定判定された場合に、逆循環のみを行ってからステップS18の通常のセットアップ動作に移行することができる。別の見方によれば、実施形態では、現像剤Gの順搬送に要する負荷トルクが大きい場合(ステップS16の肯定判定の場合)に、負荷トルクが小さい場合(ステップS16の否定判定の場合と比して、現像剤Gを逆搬送させる時間の割合を大きくしているといえる。
【0078】
その後、現像装置40は、上述のステップS18、及びステップS20の通りにセットアップ動作が実行されてから、通常運転を行う。
【0079】
(現像剤が奥側に偏っている場合の作用)
続いて、
図8に示されるように、現像装置40の内部で現像剤Gが奥側に偏っている状態で装置本体10Aに装着された場合の作用を説明する。
【0080】
現像装置40が装置本体に取り付けられてから、現像剤Gは時間T1だけ順搬送される。現像装置40の内部で現像剤Gが奥側に偏っている状態で装置本体10Aに装着された場合、
図8に示すように、現像剤Gによって第二繋ぎ口72Lが塞がれている。
【0081】
ただし、この状態から現像剤Gを順搬送すると、現像剤Gは、重力によって第二繋ぎ口72Lを通じて供給路72Cから撹拌路72Dに流れ落ちるため、第二繋ぎ口72Lが詰まりにくい。このため、ステップS16で負荷トルクが基準値VL以下となる。これにより、現像装置40の内部で現像剤Gが奥側に偏った状態で装置本体10Aに取り付けられた場合、ステップS16で否定判定されて、ステップS18へ移行する。
【0082】
その後、現像装置40は、上述のステップS18、及びステップS20の通りにセットアップ動作が実行されてから、通常運転を行う。
【0083】
(ヒートシールが引き出されていない場合の作用)
また、
図9に示されるように、ヒートシール76が現像装置40から引き出されていない状態で現像装置40が装置本体10Aに取り付けられる場合がある。この場合における、制御部12及び現像装置40の作用について説明する。
【0084】
現像装置40が装置本体に取り付けられてから、現像剤Gは時間T1だけ順搬送される。ここで、ヒートシール76が現像装置40から引き出されずに現像装置40が装置本体10Aに取り付けられた場合、
図9に示すように、現像剤Gは、供給路72Cから現像ロール60の供給が妨げられる。この状態から現像剤Gを順搬送すると、現像剤Gは供給路72Cから現像ロール60に排出されずに供給路72Cの内部に溜まるため、モータ92の負荷トルクが増加し、ステップS16で肯定判定される。
【0085】
この後、ステップS22で現像剤Gは時間T2だけ逆搬送される。これによっても現像剤Gは供給路72Cから現像ロール60に排出されずに供給路72Cの内部に溜まるため、モータ92の負荷トルクが低下せず、許容値ALを超えることになる。これにより、ヒートシール76が現像装置40から引き出されずに現像装置40が装置本体10Aに取り付けられた場合、ステップS24で否定判定されて、ステップS26へ移行する。
【0086】
その後、制御部12が上述のステップS26、及びステップS28の通りにモータ92を停止し、表示操作部90にヒートシール76の引き忘れを表示することにより、ユーザに対しヒートシール76の引き出しを促す。ユーザが現像装置40を装置本体10Aから離脱させ、ヒートシール76の引き出した現像装置40を装置本体10Aに再度装着すると、上記のセットアップの制御が開始される。この場合、ステップS20でセットアップの履歴が書き込まれていないため、ステップS12で否定判定され、現像装置40のセットアップが行われる。
【0087】
(作用及び効果)
実施形態の現像装置40及び画像形成装置10によれば、次に示す作用及び効果が得られる。
【0088】
実施形態の現像装置40では、撹拌オーガ68は、順搬送中の時間T1後の負荷トルクが基準値VL以下の場合には順搬送を維持し、時間T1後の負荷トルクが基準値VLを超える場合に現像剤Gを定められた方向とは逆搬送させる。
【0089】
これにより、現像剤Gの搬送に要する負荷が基準値VLを超える場合に、現像剤Gの逆搬送と順搬送とを同じ割合で繰り返すものと比較して、逆搬送後にセットアップ動作を行い、順搬送への搬送による現像剤Gの循環に至るまでに要する時間を短くすることができる。
【0090】
また、実施形態の現像装置40では、撹拌オーガ68は、現像剤Gの順搬送に要する負荷が大きい場合に該負荷が小さい場合と比較して現像剤Gを逆搬送させる稼働時間の割合が大きくなる。
【0091】
これにより、現像剤Gの順搬送に要する負荷が基準値VLを超える場合に現像剤Gの逆搬送と順搬送とを同じ割合で繰り返すものと比較して、逆搬送後にセットアップ動作を行い、順搬送への搬送による現像剤Gの循環に至るまでに要する時間を短くすることができる。
【0092】
また、実施形態の現像装置40では、撹拌オーガ68は、モータ92に流れる電流値によって現像剤Gを搬送する負荷が測定される。
【0093】
これにより、撹拌オーガ68の負荷を測定する専用の測定器を備える現像装置40と比較して、簡易な構成で撹拌オーガ68の負荷を測定することができる。
【0094】
また、実施形態の現像装置40では、現像剤Gを順搬送させる時期の正回転速度と、現像剤Gを逆搬送させる時期の逆回転速度とが、互いに同等とされている。
【0095】
これにより、逆搬送させる撹拌オーガ68の回転速度が現像剤Gを順搬送させる撹拌オーガ68の回転速度と異なる場合と比較して、負荷を得るための演算が容易になる。
【0096】
また、実施形態の現像装置40では、輸送時に現像剤Gが、第二路と現像ロール60との間から零れることを防ぐヒートシール76をさらに備えている。
【0097】
これにより、第二路と現像ロール60とので現像剤Gが移動可能な場合と比較して、輸送時に現像剤Gが現像装置40から零れることを防ぐことができる。
【0098】
また、実施形態の画像形成装置10は、実施形態の現像装置40と、トナー像を記録媒体に転写する転写装置32と、を備える。
【0099】
これにより、現像剤Gの循環に要する負荷が基準値VLよりも大きくなる場合に現像剤Gの逆搬送と順搬送とを同じ割合で繰り返す現像装置40を備える画像形成装置10と比較して、画像形成可能な状態になるまでに要する時間を短くすることができる。
【0100】
また、実施形態の画像形成装置10は、現像装置40と、トナー像を記録媒体に転写する転写装置32と、搬送部材による逆搬送中又は逆搬送後の負荷が許容値ALを超える場合に、現像装置40のヒートシール76の除去を通知する表示操作部90と、を備える。
【0101】
これにより、撹拌オーガ68による逆搬送中又は逆搬送後の負荷が許容値ALを超える場合に、ユーザに対しヒートシール76の除去を促すことができる。
【0102】
(変形例)
なお、本開示に係る現像装置40及び画像形成装置10の構成は、上述の説明に限られない。
【0103】
例えば、上述の説明において、モータ92と撹拌オーガ68との間にカップリング114が設けられた例を示したが、これに限らず、例えば、モータ92と供給オーガ66との間にカップリング114が設けられた構成としてもよい。また、撹拌オーガ68と供給オーガ66との間で動力が伝達される例を示したが、これに限らず、撹拌オーガ68と供給オーガ66とが独立して駆動される構成としてもよい。
【0104】
また、上述の説明においては、ステップS22で時間T2だけ逆搬送していたが、これに限られない。例えば、ステップS22で順搬送の総時間よりも逆搬送の総時間が長くなるように逆搬送と順搬送とを交互に行うようにしてもよい。
【0105】
また、上述の説明においては、第一繋ぎ口72Kを現像装置40が塞ぎ、供給オーガ66及び撹拌オーガ68の負荷トルクが上昇したことを、モータ92の電流値で検出していたが、これに限られない。例えば、供給オーガ66及び撹拌オーガ68に係るトルクを直接的に測定してもよい。
【0106】
また、上述の説明においては、逆搬送の開始から時間T2に達したときの(逆搬送中の)モータ92を駆動させる電流値すなわち負荷トルクを取得する例を示したが、これに限られない。例えば、逆搬送後に正搬送を行い、この正搬送中の負荷トルクによりステップS24の判定を行ってもよい。この正搬送中の負荷トルクは、定められた方向とは逆方向への搬送後の負荷の一例である。また、上述の説明においては、時間T2が時間T1よりも長い時間である例を示したが、これに限られない。例えば、時間T2は、時間T1以下の時間であってもよい。
【0107】
また、上述の説明において、モータ92の正回転の速度及び逆回転の速度が同等とされていたが、これに限らない。例えば、モータ92の正回転と逆回転とのいずれか一方の速度を、いずれか他方の速度よりも大きくしてもよい。
【0108】
また、上述の説明においては、現像装置40は、ヒートシール76を輸送時に備えていたが、これに限られない。例えば、上述の構成に変えて、ヒートシール76を有していない構成としてもよい。
【0109】
また、上述の説明においては、ヒートシール76が引き出されていないことを制御部12が検知した場合に、画像形成装置10は、ヒートシール76の引き忘れを表示操作部90に表示していたが、これに限られない。例えば、表示操作部90での表示に変えて、音声や警告灯等による通知としてもよく、また、通知の表示を行わなくてもよい。
【0110】
また、上述の説明においては、モータ92は、正回転及び逆回転が可能とされていたが、これに限られない。例えば、逆回転を行わないモータ92とされていてもよい。この場合、例えばクラッチによってモータ92と現像装置40との回転力が切り離され、またクラッチの二次側とカップリング114との間に歯車を挿入することによって、現像装置40に伝達する回転力の回転方向を逆転させる。
【0111】
また、上述の説明においては、現像装置40の撹拌路72Dが供給路72Cに対し下方にずれている例を示したが、これに限られない。例えば、現像装置40の撹拌路72Dが供給路72Cに対し上方にずれている構成としてもよい。この場合、
図7の場合と
図8の場合とで行われるセットアップ制御は逆になる。
【0112】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0113】
10 画像形成装置
10A 装置本体
12 制御部
20 画像形成部
32 転写装置
36 感光体ドラム(像保持体の一例)
40 現像装置
50 定着装置
52 補助ロール
60 現像ロール
66 供給オーガ(搬送部材の一例)
68 撹拌オーガ(搬送部材の一例)
72 筐体
72C 供給路(循環路、第二路の一例)
72D 撹拌路(循環路、第一路の一例)
72E 仕切板
72F 突起部
72K 第一繋ぎ口(循環路、繋ぎ口の一例)
72L 第二繋ぎ口(循環路、繋ぎ口の一例)
76 ヒートシール(封止部材の一例)
G 現像剤
P シート材
F 順方向(定められた方向の一例)
R 逆方向(定められた方向の逆方向の一例)
90 表示操作部(通知手段の一例)
92 モータ